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#草を抜かざれば木も茂らず
nostalblue · 1 year
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たらのき
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防獣ネットで仕切った内側には自然にさまざまな種類の野草や樹木が茂ってくるが、その中には食用可能な山菜や果樹もある。新芽が山菜「タラの芽」として有名なタラノキもいつしか当地数カ所に現れたが、放置していたらいつの間にか写真のような高さになった。いよいよ邪魔になってきたので何とかしないといけない。
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圃場整備の観点からすると、このタラノキはかなりタチの悪い雑木だ。その先端から根本まで鋭く硬いトゲで覆われていて、うっかり触ったり体に当てようものなら大きなダメージを被ってしまうからだ。放置して高く太くなったものは尚更だ。
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今回は根本周りの棘を削ぎ落とし、手ノコで慎重に切り倒すことにした。
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他にもいくつかの箇所のタラノキを伐採したが、前述のように棘だらけなのでその処分も悩ましいところ。ヘタなところに置いてうっかり踏んでしまったら危ない。其れならばと適当な長さに切って通路脇に並べて挿してみた。そのままじっくり朽ちて行くも良し、あるいは再生して芽を出すなら食材に利用するも良し。ポツリポツリじゃあ非効率で収穫する気にはならないが、一度にある程度まとまった量が穫れ腹を満たせるなら有効利用に転じるかも知れない。なにせ巷では「山菜の王様」と称されるぐらいだからね。
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暖かさが増すと、それぞれの挿し枝の頂部から新芽が出てきた。テキトーに土に挿しただけなのになんとも強いものだと感心する。
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苦労して切断した太い株元からもしっかりと芽吹いていた。抜け目なし(笑)。
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初穫りを天ぷらにしてみる。ちなみに新芽といえども棘はそれなりに硬く、割と痛いのを我慢して収穫するのだが、揚げてしまうとそんな棘も全く気にならず食すことができる。アク抜きなどしていないが、さっぱりとした淡泊な味で、仄かに残る新緑の風味が季節を感じさせてくれる、上品で美味しい山菜だ。油や小麦粉が高騰していなければさらに美味しく感じられることだろう(悔)。
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同じようなトゲトゲだったのでタラノキだと思って挿したけど、出てきた芽を見てこちらは違う種類であると判明。調べてみると同じウコギ科で別属の「ハリギリ」という樹木のようだ。ちなみにこの新芽も山菜として美味しく食べられるらしいのでいずれ試してやろう。
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bearbench-tokaido · 2 months
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三篇 下 その三
上方者は、 「ハァ、ソンナラお前のお馴染みは何屋じゃいな」 と、意地悪く問うと、 「アイ、大木屋さ」 と、弥次郎兵衛がいう。 「大木屋の誰じやいな」 と、上方者がさらに問うと、 「留之助よ」 弥次郎兵衛が答えた。 上方者が 「ハハハ、そりゃ松輪屋じゃわいな。 大木屋にそんな女郎はありもせぬもの。 コリャお前、とんとやくたいじゃ、やくたいじゃ」  (やくたい…上方言葉で、らちもない、とんでもない、よくない、など広い意味に使う)
弥次郎兵衛は、 「ハテ、あそこにもありやすよ。ナァ北八」  (大木屋は実在の大見世の扇屋のこと。松輪屋はやはり実在の松葉屋のこと。留之助は松葉屋の抱えの名妓の染之助のこと。したがってこのやり取りでは上方男の勝ち) 北八、面倒臭くなってきて、 「ええ、さっきから黙って聞いていりゃ、弥次さんおめえ聞いたふうだぜ。 女郎買いに行ったこともなくて、人の話を聞きかじって出放題ばっかり。 外聞のわるい。国者の面よごしだ」
弥次郎兵衛は、 「べらぼうめ、俺だって行くってんだ。 しかもソレ、お前を神に連れていったじゃァねえか」  (神…取り巻き、太鼓持ち。遊廓付きの本職ではなく、客が連れ込んだ遊びの取り巻き仲間。落語の野太鼓がこれである) 北八、思い出して、 「ああ、あの大家さんの葬式の時か。なんと、神に連れたとは、おおげさな。 なるほど二朱の女郎の揚げ代はおめえにおぶさったかわり、 馬道の酒屋で、浅蜊のむきみのぬたと豆腐のおから汁で飲んだ時の銭は、みんなおいらが払ったじゃねえか」  (葬式くずれで繰り込むなら安い店にきまっている。揚げ代二朱なら宿場の飯盛なみのごく安い女郎。馬道は吉原に通ずる町。そこの酒屋のぬたも汁もごく安い庶民的な食い物である)
弥次郎兵衛は、 「嘘をつくぜ」 北八も、 「嘘なもんか。しかもその時おめえ、さんまの骨をのどへ立てて、飯を五六杯、丸呑みにしたじゃねえか」 「馬鹿言え。お前が田町で、甘酒を食らって、口を火傷したこた言わずに」 「ええ、それよりか、おめえ土手で、いい紙入れが落ちていると、犬の糞をつかんだじゃねえか、恥さらしな」  (土手…吉原に入る途中の山谷堀に添った日本堤の土手八丁、金持ちなら土手八丁を四ツ手駕で飛ばし、貧乏人なら歩く、いずれも弥次郎の自慢が嘘だと、北八が暴露したかたち)
と、遣り合っている二人に、上方者が 「ハハハハハ、いや、お前方は、とんとやくたいな衆じゃわいな」 弥次郎兵衛が、 「ええ、やくたいでも、悪態でも、うっちゃっておきゃァがれ。 よくつべこべとしゃべる野郎だ」 上方者は、関わり合いにならない方がいいかと、 「ハァこりゃご免なさい。ドレお先へまいろう」 と、そうそうに挨拶して、足早に行ってしまう。 その後ろ姿をみながら、弥次郎兵衛は、 「いまいましい。うぬらに一番へこまされた。ハハハハハ」   この話の間に、三ケ野橋を渡り、大久保の坂を越えて、早くも見付の宿(磐田市)にいたる。
北八、 「アァくたびれた。馬にでも乗ろうか」 ちょうどそこへ、馬方が、 「お前っち、馬ァいらしゃいませぬか。 わしどもは助郷役に出た馬だんで、早く帰りたい。 安く行かずい。サァ乗らっしゃりまし」  (助郷…東海道の交通の確保のために、沿線の村々に幕府がかけた役務で、人馬の徴発を含めて重いものだった)
弥次郎兵衛は、 「北八乗らねえか」 と、問い掛けると、 「安くば乗るべい」 と、馬の相談が出来て、北八はここから馬に乗る。 この馬方は助郷に出た百姓なので、商売人の馬子でないから丁寧で慇懃である。
弥次郎兵衛は、 「そうだ、馬子どん。ここに天竜川の渡しへの近道があるんじゃねえかな」 と、思い出して、聞いてみると、 「アイ、そっから北の方へ上がらっしゃると、一里ばかしも近くおざるわ」 と、馬方がいう。 北八が、 「馬は通らぬか」 と、更にとうと、 「インネ、徒歩道でおざるよ」 と、ここから弥次郎は一人近道のほうにまがる。
北八は馬で本道を行くと、早くも加茂川橋を渡り、西坂の墳松の立場に着く。 茶屋女が声をかけてくる。 「お休みなさりやァし、お休みなさりやァし」 茶屋の婆も声をかけてくる。 「名物の饅頭買わしゃりまし」 馬方が、その婆様に声を掛ける。 「婆さん、おかしな日和でおざる」 「お早うございやした。いま新田の兄いが、一緒に行こうかと待っていたに。 コレコレ横須賀の伯母どんに、言いついでおくんなさい。 道楽寺さまに勧説法があるから、遊びながらおいでと言ってよう」  (道楽寺は遊びながらおいでにこじつけた架空の寺の名) 馬方は、 「アイアイ、また近うちに来るように伝えときましょう。ドウドウ」 と、いうと、また歩き出した。
「この馬は静かな馬だ」 北八は、珍しく乗りやすい馬なので、つい、そういうと、 「女馬でおざるわ」 と、馬方が、こたえる。 北八は、にんまりして、 「どうりで乗り心地がよい」 馬方が、問い掛けてきた。 「旦那は、お江戸はどこだなのし」 「江戸は日本橋の本町」 と、北が答える。 「はあ、えいとこだァ。わしらも若い時分、お殿様について行きおったが。 その本町というところは、なんでもえらく大きい商人ばかしいるところだァのし」 と、昔のことを思い出しながら、話してくる。 「オオそれよ。おいらが家も、家内七八十人ばかりの暮らしだ」 と、またまた、くちからでまかせ。 馬方もしんじているにのかいないのか、 「ソリャ御大層な。お神さまが飯を炊くも、たいていのこんではない。 アノお江戸は、米がいくらしおります」 「まあ、一升二合、よい所で一合ぐらいよ」 と、考えながら言うと、 「で、そりゃいくらに」 と、馬方は、よく分からない。 「知れたことよ、百にさ」 と、北八がいうと、 「はあ、本町の旦那が、米を百文づつ買わしゃるそうだ」 馬方は勘違いして、そういう。 北八、笑いながら、 「ナニとんだことを。車で買い込むは」 「そんだら両にはいくらします」 と、馬方。 「なに、一両にか。ああ、こうと、二一天作の八だから、二五の十、二八の十六でふみつけられて、四五の廿で帯解かぬと見れば、無間の鐘の三斗八升七合五勺ばかりもしようか」  (割り算の九九の二一天作の八は一二天作の五の間違い、途中から浄瑠璃の文句でごまかしている。米の値段も出でたらめ) と、何やら、難しそうな、計算をはじめる。 「はあ、なんだかお江戸の米屋は難しい。わしにゃァわからない」 馬方は、すっかりけむに負かれて、 「わからぬはずだ。おれにもわからねえ。ハハハハハ」 と、北八も自分でいっててわからなくなった。
この話のうちにほどなく天竜川にいたる。 この川は信州の諏訪の湖水から流れ出て、東の瀬を大天竜、西の瀬を小天竜と言う。 舟渡しの大河である。弥次郎は近道を歩いてここで北八を待ちうけ、ともにこの渡しを越えるとて、一首。
 水上は 雲よりい出て 鱗ほど 浪の逆巻く 天竜の川  (水、雲、鱗、浪、逆巻く、みな竜の縁語の竜づくしが趣向)
舟からあがって立場の町にいたる。 ここは江戸へ六十里、京都へも六十里で、東海道の振り分けになるから中の町(浜松市)というそうだ。
 傾城の 道中ならで 草鞋がけ 茶屋に途絶えぬ 中の町客  (ここを江戸吉原の中の町に見立てて、花魁道中の高足駄の代わりに草鞋、吉原の引き手茶屋と街道筋の茶屋、どちらも客が絶えぬと言う趣向)   それより萱場、薬師新田を過ぎて、鳥居松が近くなったころ、浜松宿の宿引きが出迎えて、 「もし、あなたがたァお泊りなら、お宿をお願い申します」 と、二人の呼びかける。 北八がそれに答えて、 「女のいいのがあるなら泊りやしょう」 客引きここぞとばかりに、 「ずいぶんおざります」 と、いうと、弥次郎兵衛が、 「泊まるから飯も食わせるか」 宿引き 「あげませいで」 北八、 「コレ菜は何を食わせる」 宿引き、 「ハイ当所の名物、自然藷でもあげましょう」 「それがお平の椀か。そればかりじゃあるめえ」 「 それに推茸、慈姑のようなものをあしらいまして」 「汁が豆腐に蒟蒻の白和えか」 と、北八が、客引きとやりあっている。
弥次郎兵衛が、 「まあ、軽くしておくがいい。その代わり百ケ日には、ちと張り込まっせえ」  (ここのやり取りは、宿引きの言うのが、野菜ばかり並べた精進料理なので、死人の法要の料理だと皮肉ったのである。法要では、当初と百ケ日には料理を張り込むのがしきたり) 「これは異なことをおっしゃる。ハハハハハハ。時にもうまいりました」 「オヤもう浜松か。思いのほか早く来たわえ」 と、弥次郎兵衛、ここで一首読む。
 さっさっと 歩むにつれて 旅ごろも 吹きつけられし 浜松の風  (松風の音の颯、颯と、さっさと歩くとにかけている。風に吹き送られて早く着いた意味も含む)
その横を宿ひきが駆け抜ける。
宿引きは、旅館に駆け込むと、 「サァサァお着きだよ」 と、置くに声をかける。 「お早くございました。ソレおさん、お茶とお湯だァよ」 それに、こたえて、この旅館に亭主が出てくる。 弥次郎兵衛が、 「イャそんなに足はよごれもせぬ」 と、いうと、亭主 「そんなら、すぐにお風呂にお召しなさいまし」 と、奥に案内しようとする。
つづく。
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kachoushi · 6 months
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雑 詠
花鳥誌 令和5年9月号
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雑詠巻頭句
坊城俊樹主宰選 評釈
雑詠巻頭句
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人心の萎え青山の風死せり 藤枝 昌文
 青山は「あおやま」。港区の青山墓地りのこと。もっとも青山(せいざん)とはもともと墓地のことを言う。灼熱の日は風も死す。人心とは生者のもの。この墓地ではそれも萎える。死生観すら垣間見える。
初秋のみな左向く幽霊図 藤枝 昌文
 幽霊の絵はそうなのだろう。確かに右向きは無いようだ。正面も無い。秋の風情とはその向きにあると看破した作者。幽霊というその恨めしさはこの位置にあるのだろう。
通り雨盆僧ちとも身じろがず 藤枝 昌文
 盆の喜捨にある僧侶か。雨が来てもまったく動く気配は無い。それが仏の道のひとつなのだろう。盆という生者と死者の交信にある刹那ならではの景色に相違ない。
炎帝は茂吉の墓に居座れり 加納 佑天
 斎藤茂吉の墓は青山墓地にある。そこは大久保利通の墓の入り口にある。この二人の巨頭の墓にこそ居座るものは炎帝。
茂吉一人黄泉の国にて灼けてをり 加納 佑天
 その茂吉はたった一人で黄泉の国へ。墓も灼けているが茂吉も灼けている。そんな運命なのだろう。歌人として天才として、そして詩人としての孤独を感じた。
炎天へ零戦仰角三十度 加納 佑天
 零戦の停止している様子。前方は持ち上げて、その角度が三十度ということ。あたかもこれから炎帝へ向けて出撃するかのよう。たしかに太平洋戦争のとき零式戦闘機はこの角度で飛んでいった。散るために。
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天近き牧牛の背や雲の峰 古川 時江
 かつて島嶼部の牧場で放牧の牛を見たことがある。隠岐島だったか。牛たちは皆こんな感じ。天もまたすぐその上にあるという実感もよくわかる。
夏木立天に及ぼす起立かな 古川 時江
 この起立が面白い。そして及ぼすという間接的な表現に奥行きを感じる。夏木立の勇壮な姿はまさにこの通り。はたして夜は起立をやめて臥所に寝るのか。そんな存在感すら感じる。
夏蝶の影夏蝶の見当たらず 栗原 和子
 夏蝶の影は巨大で黒黒と。その影ばかりが飛翔し本体は消失した。それほどの灼熱。
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夕立の沖を見てゐる海人ひとり 続木 一雄
 海人は孤独である。夕立のときは漁を休む。どんなことを思っているのか。
獣臭少し黒部の草いきれ 馬場 省吾
 黒部渓谷。この獣の匂いは鹿か猪か。渓谷にある草原にその獣たちの無尽の匂いが。
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炎帝を睨み返せし不動尊 天野 かおり
 炎帝は巨大でふてぶてしい。しかし不動尊はそんな者に負けない。仏の力。
虚ろてふ同じ形の蟬の殻 田丸 千種
 蟬の抜け殻。当然だがそれは蟬の形。生命体が抜けたあとの虚とは空しさ。
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何所をどう突いてみても蟇 村上 雪
 これは傑作。蟇という生き物の本質。どこから見ても蟇。それは土塊にも似て。
水かけて人も神輿も沸湯す 和田 久鼓
 この本質は凄い。祭の熱気と興奮はすべてこの句の中にある。沸湯とは血の滾ること。
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poetohno · 9 months
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第三節―熱帯雨林
「楽園の影」
太陽は日射しを永遠のように注ぎ雨は止まないかのように降り続ける
楽園の影では生き残りを賭けた苛烈な闘いが繰り広げられている生き残るために生命は多様に進化していく
森は迷宮のように広大な土地を形成し生き物の雄叫びが木霊する
森があるというだけで水は身体にまとわりつき重さを湛え木が重力を支えている
嵐は轟音を響かせ果てしない力が渦巻いている
「植物から始まる螺旋」
植物を食らうのは虫たち植物たちは身を守るための盾を求め獣たちは狩るための牙を研ぎ生死の螺旋を描く
陽が昇り 燦々と輝き 雨が降り 夜が降り注ぐ輪廻は変わることなく 閉ざされたような 迷宮の森
「森の光と闇」
この世界は雲の境のように二分されている下の世界には鬱蒼と茂った木々立ちが行く手を阻む垂れ下がる蔓や枝 湿った空気が視界を遮る光は葉に阻まれ 木々は光を閉ざす地表は薄暗く包まれている
この世界から抜け出て木の上に登ると光が注ぎ葉が互いに重なり大地を覆うように広がり緑の海を歩けると錯覚するほどに果てしなく続いている空を飛び交い 木々を渡る 生き物たちが憩う
光の世界を目指して植物たちは競争を繰り広げる木と空の狭間に光と闇が分け隔てられている
闇の中に生きる草木は光が注ぐ時を待ち続けているそれは砂漠にとっての雨であり極地にとっての春であり草原にとっての湖となる
それは嵐によってもたらされる木々の壁をものともせずに吹き荒れ木をなぎ倒した時 光を遮るものは何もない
動植物が交わす命の響きが新たなる木を紡ぐ森に差し込んだ光は瞬く間に闇に閉ざされる
「共存」
植物と動物は相克している動物たちが植物を食らい尽くせば植物たちは失われ―動物も死に絶える
植物たちは毒を身に着け動物たちも自らの肉体を変化させていく毒には毒をもって制し 試行錯誤と知恵で乗り越える
競走が激化する背後に共存の道が拓かれる
木々は動物に受粉や種子の運び屋を依頼し代わりに動物たちは住処と食料を得る
植物が動物に命の後継を託すなら動物は植物に命の糧を求め
命を育む関係が森に秩序をもたらしている
果てに特定の動物は唯一の植物だけを求め植物も一種の動物のみに応えられるように変わっていく
それは共存と共栄の道その姿もまた森の一面でしかない
「空の鳥 地上の死神」
光の当たる世界に羽根が舞い上がる鳥たちが謳歌を堪能している
鮮やかな命の羽ばたきの影に万の命が闇を担っている
生き物が闇の下で犇めき―蠢き―食らいあう鳥でさえ落ちてしまえば摺り込まれる
黒い死の川が延々と続いている蛇のように 死神が列をなしている蟻一匹一匹は豆粒ほどの大きさしかないが横切るものは万物が獲物であり足跡には死だけが残る
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kasayoichi · 11 months
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珠玉の友①
老いを是とせず
死を退け
希求するは涯なき生
古より万人は仙薬を追い求めて蓬莱を探し、ときに現世の果てへ消えていった―――
一、
 西に傾く陽の光が弱まり、人がまばらになった市中には濃く長い影が落ちはじめている。伸びた影の先には、天蓋を差し、白衣装に身を窶した一行と、そのうしろから運ばれる真っ赤な龕があった。鳴り続ける鉦鼓と弔いの哭泣を引き連れて干潮の浜へとむかっていく葬列を、静かに見送った。
 大清康熙暦二十一年、冬。
 冬至も過ぎたこの頃、雪こそ降らないこの国だが、陸を吹き抜ける乾いた海風はさすがに身に染みる冷たさにかわっていた。昨年までいた福州に比べればなんとも生易しい気候ではあるが、それでも四肢の末端はすっかり冷え切り、足袋が欠かせない。いつもより厚手の羽織を重ね着て悴んだ指を𠮟咤して筆を動かし、子弟たちを指導しながら漢文の組み立てなどをしていると、あっという間に昼八つ時を大きく過ぎていた。
「今度は丁越市(テイエツシ)だそうです……絶対おかしいですよ」
「まあ、多少気味は悪いが」
 夜詰めをほかの講師に引き受けてもらった己煥は、久米の大門付近で聡伴と落ち合い、ふたりで城下へむけて浮道を歩いていた。このあと城下の近くで朝明と合流し、今夜は漢籍の会読をする予定だ。 数町ほど歩けば座り仕事で冷え切った身体も暖まるだろうと思っていたが、逆に冷え切った夜風が容赦なく吹きつけ歯を鳴らしそうになる。己煥は重ね着をした袖のなかで組んだ己の腕で、辛うじて暖を取っていた。 寒空のもと、ふたりが歩く路肩の松並木のあいだ、その遠く向こうに死者を乗せた朱塗りのそれが目に入ったのはその途中のことである。
 夏以来、 城下とその先へ下���た四町や港では、先の旅役にかかわった者たちには災厄が降りかかるという噂が巡っていた。来る年に清からの冊封使節を迎え入れる準備に追われる王府は完全に無視を決め込んでいたが、尾ひれがつき這うように官吏たちのあいだで話が広がる様はなんとなく不気味なものである。
「はじめはちょっとした偶然だと思ったんですけど」
 偶然、先の旅役に同行した某氏が原因不明の病に臥せった。
 偶然、先の旅役で才府を務めた者の室がお産で命を落とした。
 偶然、先の旅役で加子(水夫)務めた者が薩州へ向かう途中、大風で流された。
 そして昨晩、偶然、先の旅役で五主を務めた丁越市が知人と争った末に死亡した―――
「偶然じゃないか?」
「四人が偶然なわけないじゃないですか!四人なんて片手で数えていられるのもあと少しですよ?己煥様は他人事のようにおっしゃいますけど、私たち一緒に船に乗りましたからね!」
「葬式なんて最低でも月一はどこかの村で出ることだろう」
 聡伴は一生懸命恐怖を訴えて喚いてみたが、己煥の反応は今ひとつである。生まれた時分からたびたび生死をさまよっていたと聞くこの御仁にとっては、すべからく平等に訪れるものに対して、何をいまさら、という感じなのだろうか。
「私は帰国以来大きく体を壊したこともないし、朝明は……相変わらずだ。よほど痴情のもつれにでも巻き込まれない限り死にはしないだろう」
「そういう前振りが余計に怖いんですって!」
「―――左様、これから年の瀬にむけて冷え込みますゆえ……調子が良いなど大層なことをおっしゃっておられるとあとが怖いですよ、短命二才様?」
 九町ほど歩いた、寺の門前に続く橋の前、唐突に背後から投げかけられた言葉に、聡伴は顔をしかめて勢いよく首をうしろに回した。
 ―――短命二才、この渾名で己煥を呼ぶ者で碌な奴はいない。
「どこの者だ?」
 うっとおしく思った己煥は、ゆっくりと声のほうへ体を向きなおす。すると、己煥らよりも五、六は歳が上のようにみえる、赤帕を巻いて煙管を吹かしている男と、その脇に付き人らしき振袖の若衆がおり、こちらへ近づいてくる。少し体を横に傾けると、隣の聡伴が、赤冠の青年は某氏某家の子息・茂部之子だと耳打ちしてくれた。その家名は三十六姓のうちのひとつで、己煥にも聞き覚えがある―――同籍の士だ。
 王府に仕える士は、その出自と住まいから籍を四つに分けられている。
 朝明のような王族に縁ある家柄の者が住まうが城下、そこを下った先一帯に広がる四町には聡伴のような中級の士、さらに北側の港町には下級の士、そして四町と北の港のあいだが、己煥らが籍を置いている唐栄の村である。
「貴方より名声は劣りますが、この私も唐栄の出であり進貢使節の一員だったというのに寂しいことをおっしゃいますなぁ」
 吐き出された煙草の煙が、この男の周りを取り囲むように漂っている。
 己煥は深く息を吸い込ぬよう着物の袖で口元を抑えていたが、次第にあたりの空気も燻されたように乾き、咳き込みそうになる。
「なぁにが”使節の一員”ですか。あなたが心汚く縁を頼って船に乗り込んだことくらい周知の事実ですよ?用があろうがなかろうが失礼させていただきます」
 こんなやつと話す必要はありません、と聡伴は己煥をうながして右へ回ろうとした。
「なにか良い薬でもお召しになりましたか?」
「どういうことだ?」
 唐突な問いに、立ち去ろうとしていた己煥と聡伴はうっかり足を止めた。
 道行く人々がこちらの様子を窺いながら通り過ぎていく。士族の子弟らしき若者が路上で剣呑な雰囲気で言い合いをしているのだ。目立たないはずがない。茂部之子の傍で控えている若衆も困り顔で黙り込んでいる。
「いやぁ、不思議なこともあるものですなぁ。あれほど御身体が弱く上天妃の宮で教鞭を執られるのも稀といわれていた貴方が、今年は講解師に任じられたうえ冠船の諸事まで手伝っているというではないですか」
 来年は清から冊封使節が訪れるため王府のありとあらゆる役所がすでに大忙しであるが、海の向こうとの窓口になっている己煥ら三十六氏の官吏はいっとう多忙を極めていた。
「そこの推参な小童は私の縁故を心汚いと宣ったが、短命二才様が口にされたのはとてつもない良薬であらせられるようだ」
 なるほど、と己煥は静かにため息をつく。結局はいつものくだらない突っかかりである。一人のときは適当に口を閉ざしてその場をやり過ごすのが常だった。煙たさが治まってきた己煥は、口元から袖を離す。 この先で待たせているであろう朝明のことを思案して腕を組み直した。
「あなたにもそのうち素晴らしい効能を持った薬が見つかりますよ、多歳赤冠殿?」
「このッ……」
 ふたりを睨みながらも、無理に口の端を釣り上げ表情を取り繕う様は、なんとも品がなくみえる。あれほど分厚くとぐろを巻いていた紫煙は、今や線香ほどのか細い煙のすじとなって漂いながら、大人しく煙管に納まろうとしていた。
 年長の者をためらいなく挑発する聡伴に感心していると、なかなかあらわれない己煥たちに待ちくたびれたのか、朝明が橋を渡りこちらへ下ってくるのがみえる。己煥と聡伴が己のうしろを見やっていることに気がついた茂部之子も、つられてうしろを向いた。
「そうだそうだ。薬なら四町の市のほうが取り揃えが良い。さっさと下って行っちまえ」
 軽快な笑みを浮かべた朝明は、手首で軽く追い払うしぐさを見せる。若年にもかかわらず己より官位が高い聡伴や朝明に逆捩じを食らわされる恰好となった茂部之子は、あからさまに唇を噛みしめ吐き捨てる言葉を探していた。側に控えていた若衆は、これ以上この主人の口を開かせまいと、彼に去り際であることを小声で訴えている。
 茂部之子が動くよりも先に、朝明は己煥の上腕を軽く掴んで橋のほうへ上がるように導く。思ったより力を入れて組んでいた袖下の両腕を解くのに手間取りながら、己煥は朝明に従った。
「……災いは平等だ」
 茂部之子は取り繕ったしたり顔で言い放つ。
「家柄の良い才府も、優秀な五主も、不幸には抗えない。五本目の指を数えるのが貴方がたのうち誰か一人でなければ幸いですな」
「あなたはご自分の心配をなさったほうがよろしいですよ!そろそろ寒さが堪える御老体であらせられますしね!では失礼!」
 聡伴は今度こそ足を止めまいと、慌てて朝明と己煥を追いかける。
 橋を下った先では、大股で容赦なくひたすら前を歩く朝明に引っ張られて、足をもつれさせた己煥が待ったをかけていた。寺の門前を過ぎたあたりには馬を待たせてくれているのだろう。ここから城下へ少し上がったところに、朝明の別邸がある。
「朝明様!」
 ふたりに追いついた聡伴は、時間を取らせてしまったことを朝明に詫びるが、馬に乗りながら垂れ流すのは先程の愚痴であった。
「なんですかあいつ!己煥様が口利きで職位をもらったかのような言い方」
「それなりの位に就けば、私でなくとも下の者からの妬みや嫉妬は誰だってかっている」
 身体が弱く、これまでたいして仕事を抱えてこなかった己の名が聞こえるのが面白くない下級官吏が多いのは致し方ないことだろうと己煥は思っている。
「それでも言わせすぎだ。少しは周りを黙らせる努力をしろ」
「なんだお前まで」
「せっかく才能と実績は折り紙付きなんですから、御身体崩されてたときのことなんて気にしなくていいんですよ」
「この調子じゃあ小賢しい出世の競り合いで潰されちまうぞ。とくにお前んところは」
 同籍同士の出世争いが著しい唐栄に生まれながらも、己煥はどうも控えめで気が柔い。己と立場が逆であったほうが過ごしやすかったのではないかとすら朝明は思ってしまう。
「己の沈黙は是の証で」
「他の妄言こそが真とされるんだぞ」
 お前の将来に係ることなんだから、と朝明は念を押す。
  官吏という職は、謹厳実直に仕事をこなすだけでは立身の道は拓けないし、従順で馬鹿正直では勤めをまっとうすることはかなわない。頭だけではなく、気と口もよく回さなければ生き残れないのだ。己煥とてそれがわからないわけではないのだが。
 強く言い聞かせてくるふたりに気圧された己煥は、結局のところ、朝明しかわからない程度に頬を膨らませてふたりから目を逸らし、相変わらず黙っておくことしかできなかった。
 
「ところで朝明様、あの噂は……」
「いいか聡伴、進貢船の員数は二百余名だ。それが全員死んだら龕は出ずっぱりだぜ?」
 荼毘のさいに遺体を納めて運ぶ龕は、各村にひとつずつしかない大切な共有物だ。月に何度も葬式を出されてはたまったものではない。
「そりゃあ、まぁそうですけど……あ、お刺身美味しかったです」
 すっかり陽が落ちたころに到着した朝明の別邸でふたりに散々窘められ、供される料理に鼓を打っていても、聡伴はどうにも噂が気にかかって仕方がない。腹に流し込んだ汁物の温かさが、少しだけ気を軽くさせた。
「船旅は死に近い。船をおりてもそれの気配はなかなか離れぬだろう」
 そして、その心懸かりは吐き出されるにつれて尾ひれを纏い、村を流れ、町へ飛び、やがて大きな噂となる。
 屋敷の使用人に獲らせてきたのだという玄翁に、 己煥もありがたく一切れ、箸をつけた。 血色の良い白身は厚めに切りおろされ、ほんの少し加えた酢が身そのものの淡い味を引き立てている。
  見目のためにうっすらと残された皮がおびる青い濃淡は、薄明りのなかで鈍く光り、とても美しかった。
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thesunabar · 1 year
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如月十三日(月)大安吉日❤️ ⁡ ✝️いつまでもあると思うな親と店✝ 88㎏⤵️⤴️ポンコツ肥満は今日もぼんやり ⁡ ⁡ お湿り横丁、閑古鳥予報☔️ 兎にも角にも取り敢えずは確定申告完了💻 後はお上のみぞ知る🤲 ⁡ ここ暫くパキパキに乾燥していたので、ここらで小休止ですね、ちょいと汗ばむ日中から少し涼しくなってきました ⁡ 今月は革命君月間なので、信州亀齢、浅間嶽、浅茅生、奥能登の白菊、越前岬、そしてロ万Revolutionがオンリストです🍶 グイグイ飲み干して🙏 ⁡ 先月はお久ぶりさんに一見さんとお馴染みさんが多数ご来店いただきました🙏 今月は今のところお馴染みさんに日々お助けいただいてますね、ありがとうございます😭 ⁡ 今宵はご予約1件いただいております🙇‍♂️ おまんちしております💋 ⁡ 日めくりカレンダーによれば「草を抜かざれば木も茂らず」そうです🤔 ⁡ よろぴこどうぞ🙇‍♂️ ⁡ 牡蠣は北海道厚岸と三陸山田🦪 ⁡ ふぐ皮とカラスミの卵蒸、重慶飯店の麻婆豆腐、トマト卵炒め、ウインナーたまご🥚 生ハム ハモン デ テルエル切落とし、エ・イ・ヒ・レ😘 ⁡ 生ハムと青とうがらしの包みピザ、豚ロースの味噌生姜焼き、セセリ串葱蒸し焼き、も、おススメです💡 ⁡ 〆ものは、 クミン焼きそば 広島菜と紫蘇の混ぜごはん焼おにぎり カラスミ稲庭素麺 アンチョビふきのとうのショートパスタ ⁡ ⁡ AKABU NEWBORN、横山五十 ホワイト大吟醸、雪の茅舎 にごりパック、仙禽 雪だるま、浅茅生は剣呑に熊蟄穴は澄and滓、信州亀齢は山田錦と美山錦とひとごごち、十四代は本丸に角新本丸に中取り純吟播州愛山etc. ⁡ ⁡ 【如月の店休日】 5(日) 12(日) 19(日) 23(㊗️木)※貸切営業 26(日) ⁡ ⁡ 【🚨唎酒コース🚨】 ・最初の1時間は3300円(4〜5杯) ・延長は1時間毎に1100円(状況に応じて) ※税込、小鉢付き ※グラス交換制 ※お酒は肥満のおススメを順に ※1組1名から4名迄 ⁡ 【⚠️予約制⚠️フードセット】 ・2名様から ・¥7700(税込) ・150分制(ラストオーダーは30分前) ・ガリ、突き出し、生ハム、卵、魚、肉、〆 ・肥満おススメ日本酒をご提供(4〜5杯) ⁡ ◎お席のご予約、貸切(8名様から)、承ります →お気軽にお問い合わせください📞📲 ※貸切予約はご来店ください🍶 ⁡ https://sunabar.thebase.in/ 視野を広く裾野を広く🌋 ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします🙏 ⁡ ◎手洗いと手指消毒の励行🥷 ◎無駄な大声(地声含む)は永遠に自粛🙅 ◎マスクや距離感など優しいキモチ👼 ⁡ アタシ 待つは ⁡ どうぞ よしなに ⁡ かしこみ かしこみ ⁡ #新四谷舟町砂場 #the_neo_sunabar #四谷舟町砂場 #舟町砂場 #the_sunbar #日本酒スナック #NYFS #荒木町 #四谷三丁目 #舟町 #日本酒 #焼酎 #ワイン #麦酒 ⁡ ♨️新四谷舟町砂場(Neo Yotsuya Funamachi Sunabar) 〒1600007 東京都新宿区荒木町6 ルミエール四谷1FA 0333545655 [email protected] 17時頃から24時入店(変更の可能性有り) ※ラストオーダーは気分次第よ責めないで😘 不定休 facebook.com/NeoYFS facebook.com/the.sunabar instagram.com/the_sunabar twitter.com/_sunabar (新四谷舟町砂場) https://www.instagram.com/p/ComHK2LyNCu/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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herbiemikeadamski · 1 year
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 2月13日(日) #大安(壬寅) 旧暦 1/23 月齢 22.3 年始から44日目にあたり、年末まであと321日(閏年では322日)です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 昨日は春先の様な暖かさでした🌸 そりゃそうですけど、もう暦は 春ですからね🤚しかし、実際は 2月は、まだまだ寒い日が続くねw 今朝も寒く感じましたが、昨日の 暖かさと比べてしまうからですね。 今日は雨が降るらしいけど🚐やし 心配ありませんね🤣😅🤣それも 今日明日ですから15日からは⤵️ 今週も、お手柔らかお願いします。 . 今日一日どなた様も💁‍お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今���は何の日■. #伊達のあんぽ柿の日.  福島県北地域と相馬地域の12市町村を管轄するふくしま未来農業協同組合(通称・JAふくしま未来)が制定。  「あんぽ柿」は燻蒸した後に乾燥させて作られる干し柿で、燻蒸により守られる鮮やかなオレンジ色とゼリーの  ようなトロッとした食感、豊かな甘さとジューシーさが特徴。  福島県の冬を代表する特産品で同組合は生産量日本一を誇る。  福島県伊達市で「あんぽ柿」の出荷が始まってから203年で100年となることを記念し、さらに多くの人にその  美味しさを味わってもらうことが目的。  日付は最盛期である冬の期間で、燻蒸製法の確立・普及に携わった人が13人であったこと、発祥地の福島県  伊達市梁川町五十沢(いさざわ)のいさ(13)から12月13日、1月13日、2月13日の33日間を記念日とした。 . . #大安(ダイアン). 「大安日(にち)」の略。 陰陽(おんよう)道で、旅行・結婚など万事によい日。 一切合切(イッサイガッサイ)が良いとされる日。  「大いに安し」の意味。 六曜の中で最も吉の日とされる。 何事においても吉、成功しないことはない日とされる。 六曜は、暦注の一つで、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種の曜がある。 . #大明日(ダイミョウニチ). 民間暦でいう吉日の一つ。  この日は、建築・旅行・婚姻・移転などすべてのことに大吉であって、他の凶日と重なっても忌む必要がないともいう。 . . #ドレスデン爆撃. 第二次世界大戦終盤の1945(昭和20)年2月13日(火)から15日(木)にかけて 連合国軍によって行われたドイツ東部の都市、ドレスデンへの無差別爆撃。 . #毒入りコーラ第三の事件発生(#1977年). 1977年の今日、#青酸入りコーラ事件 発生。 . #銀行強盗の日. . #苗字制定記念日. . #土佐文旦の日. . #豊後高田市恋叶ロードの日. . #日本遺産の日. . #NISAの日. . #地方公務員法施行記念日. . . #世界てんかんの日(二月の第二月曜日).   公益社団法人日本てんかん協会が制定。  てんかんについての正しい知識を広めるのが目的。  日付は国際てんかん協会と国際抗てんかん連盟がヨーロッパでは聖ヴァレンタインがてんかんのある人々を  救った聖人として称えられていることにちなみ、バレンタインデー直前の月曜日を「世界てんかんの日」  (International Epilepsy Day/IED)としたことにならい、2月の第2月曜日に。 . #初虚空蔵(毎月13日). . #石井スポーツグループ登山の日(毎月13日). . #お父さんの日(毎月13日). . #王様の食パンの日(毎月13日). . #一汁三菜の日(毎月13日). . . ■本日の成句■. #草を抜かざれば木も茂らず(クサヲヌカザレバキモシゲラズ). 【解説】 木の根元にある草が木の繁茂の障害になっていることから 群小の障害を取り除かないと、大事は成就しないという 教え。 . . 1964(昭和39)年2月13日(木)先勝. #出川哲朗 (#でがわてつろう) 【お笑いタレント】 〔神奈川県横浜市神奈川区〕. . . (松屋) https://www.instagram.com/p/ColC-78SczVy4ustVPwH6XTmbLxRHlasVaW4HA0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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hi-highmt · 2 years
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富士山満喫、倉見山・杓子山・石割山
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富士急の三つ峠駅スタートで、倉見山→杓子山→石割山→山中湖へと抜ける縦走ルートを歩いて来ました。
倉見山は3度目ですが、三つ峠駅からは初めて。駅自体は昨年6月、三つ峠へ登る際に利用しましたが、どうやら改装されたようでトイレも駅舎も綺麗になっていました。
ちなみに、こちらの写真は桂川の橋の袂で撮影した富士山。
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登山道へと続く林道で見つけたタイリクオドリコソウ(大陸踊り子草)。 名前の由来は花の形が踊り子に似ているから、だそうです。シソ科。
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ニセアカシアも沢山咲いていました。「偽」でも十分綺麗です。
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この辺から登山道っぽくなって来ました。そしていきなりの急斜面の始まり。
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三つ峠もよく見えます。 これだけスッキリと晴れていれば、山頂での富士山も期待出来そう♬
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東桂からのルートに比べると、こちらは直登って感じ…。角度が凄い。
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この倒木だらけの道の先が「さすの平」。そこからも三つ峠がよく見えます。
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健脚の男性2人に抜かれながらも、東桂からのルートに合流。 ここから相定ヶ峰までは知った道なので安心です。
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3月には分かりませんでしたが、山頂手前はヤマツツジの群生地でした。
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2ヶ月ぶりに、倉見山山頂に到着〜!標高1256.22m。細かい。
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おぉ、初夏の富士山も良いですね〜♬
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相定ヶ峰へと向かう尾根の途中からは、ツツジとのコラボスポットも。
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相定ヶ峰。ここで、きざみ梅のオニギリを一つ。
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次の杓子山への道は、バリエーションルート。 通る人が少ないのか、踏み跡も少なく登山道には草が生えていました。
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こんな感じの、どこから取り付いたら良いのかが分かりにくい岩が多数。
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そして右手には時々富士山。ありゃ、雲が増えてきたな…。
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途中、丸い山頂の名もなきピークを通過。 ここがなかなかの曲者で、山頂付近には何本かピンクテープの巻かれた木がありますが、杓子山へ続く道が分かりにくい! 右手を意識して下って行くと、下の方に続きの尾根が見えました。
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こちらは根っこを掴みつつ、よじ登りました。
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さらに進むと、南アルプスの山並みが見えるポイントも。
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登山道の右下の土がゴソッと落ちて、根っこが剥き出しになっていました。
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で、また巨岩を登ります。
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この岩には、この花(調べたけど名前が分かりません)とスギゴケが沢山。
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岩の上も岩岩ロード。木が生い茂って、先が見えない…。
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更に上り返して…
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青空が!これはもしや…
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杓子山の山頂に到着〜!標高1597.6m。 生憎お目当ての富士山は雲の中ですが、折角なので鐘を鳴らしておきました。
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山中湖は見えるのになぁ。
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南アルプス(北岳、間ノ岳などなど)もよく見えます。
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とりあえず、ちゃんぽんでも食べながら雲が晴れるのを待ちますかね…。
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30分粘ったけどダメでした。
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仕方ない、諦めて鹿留山(ししどめやま)に向かいます。
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こちらの道は、さっきまでと違って分かりやすい!
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ちょっとした岩場も出て来ますけどね。
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ここから鹿留山へはピストンで、またこの分岐へと戻って来ます。
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鹿留山。標高1,632m。特に何もないけど、貧乏性なので踏んでおきました。
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先ほどの分へ戻り、急な岩場を下ります。
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あ、さっきより雲が晴れてきた!
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ちょっとウキウキして、この辺は小走りしてみたり。
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立ノ塚峠。 紛らわしい道が何本か通っていますが、この看板を見逃さなければ大丈夫。
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この先は広くて平坦な道が続いていました。ボケ(木瓜)の花も綺麗。
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加瀬山(かせやま)。1,275m。何も無い…。
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これまた走りたくなる熊笹ロード。
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そして久々の舗装道路にぶつかり、忍野高原二十曲峠。標高1151.5m。
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ここからの富士山も良し!雲、あと一息ですね。風よ吹け〜!!!
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看板の裏の登山道へと入り、溝のように抉れて滑る道を進みます。 写真は途中で頭上に咲いていたオオベニウツギ(大紅空木)。
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フェンス沿いの道を抜けた鉄塔の下から見た富士山。雲が完全にどきました!
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更に登ると、シロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺)?群生していました。
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御正体山(みしょうたいやま)との分岐まで辿り着いたということは…
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右手に見えるアレはもしかして…
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石割山の山頂に到着〜!標高1,413m。 あまりの嬉しさに「やった〜!」と大きめの声が出てしまいました。 山頂でおくつろぎ中だったカップルのお二人、失礼いたしました…。
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だってだって、こんな素晴らしい富士山が拝めたんですもの〜。 そりゃ声も出ますって!しかも山中湖越しですよ。もう最高です。
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ここで富士山を眺めつつ本日3度目の栄養補給。 デニッシュやらアップルパイやら3種ほど詰め込んで来ましたが、 バスの時間も気になったので10分ほどで切り上げました。 (残りは富士山駅のホームで平らげました)
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急な岩場などを幾つかこなすと、何やら賑わっているスポットが。 どうやら���こは、石割神社のよう��す。
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なるほど、割れてますね。 そして社の裏の階段を登っていくと…
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岩の裏も割れていて、ここを3回通り抜けると御利益があるのだとか。 私もやってみようと思ったけど、荷物が邪魔で通れない!
後ろの女性に言われてザックを手に持ち、横向きで何とか通り抜けたものの、 岩に擦ったようでスポーツタイツの左膝に穴が〜! バスの時間も気になるし、テンション下がったので1回でやめておきました。
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神社から先は砂利道の林道と延々と続く石段の参道。 真ん中に手摺りがあるせいでジグザグに下ることも出来ません。
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最後の方は手摺りが無くてやや楽だったけれど、膝が壊れるかと思った…。
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登山道はここでお終い。橋を渡って、平野バス停まで1.6kmを歩きました。
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そして何が凄いって、帰りの富士山駅ホームからの富士山。 遮るもの無く、ドドーンと1番大きく見えたのでした。
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kitaorio · 2 years
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兄弟山の背比べ
 春の暖かな風がまるで優しくなでていくように村を通り抜けていきます。村のはずれに山が二つならび、まるでその温もりを村にとどめておくかのようでした。  二つの山は兄弟でした。でも、どちらが兄でどちらが弟か誰も知りま���ん。村人がその二つの山が兄弟と知っているのは、いつでも兄弟喧嘩をしているからでした。  ある時はどちらが先に山の中に花を咲かせるか、ある時は積もる雪の量がどちらが多いか、また、ある時は生い茂る木々の数がどちらが多いかを山に住む鳥達に手伝わせて競ったり、そうかと思うと山に住む鳥達も、どちらが上手に鳴けるかと一緒になって競っていたのでした。  いつものように勝つの負けるのを繰り返し、新しい競争の種を見つけては飽きずに競い始めます。  ある日のこと、それぞれの山にある木の実でどちらに大きい実があるかを競っていました。まだ、木々が実を結ぶのには早いこの時期に、鳥達は苦心して探し出します。そして、実を結ぼうとまだ花が咲き続けている草花の中から、ようやく実らしく膨らみ始めた実を見つけては頂上に持って行き、大きさを競っていったのでした。  鳥達が見つけ出しては、それを競い、そして頂上に持ってきた木の実を積み上げる。そうやって青や赤や深紫の小さな山は次第に大きくなっていき、ゆっくりと争いの方向が変わっていったのでした。  争う内容が、木の実の大きさから、実の山の大きさを競うようになっていったのでした。  兄弟山のそれぞれに、木の実の山があるものの、鳥やリスなんかの小動物が集めてきた獲物ですから、積み上げていっても大した高さになりません。  そもそもがどっこいどっこいの大きさの兄弟山です。その上にどれだけ積み重ねていっても、似たような高さにしかならないのでした。
 そのころ、村では五月晴れの澄んだ空の下、村人は畑仕事や野良仕事に精を出し、その休憩の話題として兄弟山のざわつきについて話をしていました。カラスが多いなどと話をする者もいれば、山のふもとで木の実が鳥に荒らされている、なんて話をする者もいれば、山の動物が増えたのかなぁ、なんてことを推測する者もいたのでした。それでも、まだ山について話をするのは少しだけで、土をいじり、種をまき、作物を作ることに精を出しているました。
 山の上では、鳥達がせっせと木の実を運び、少しでも高くなるように競っていたのでした。頂上から少し下がった木の上で休憩をしていたカラスがぼそっと、どちらの山が高くなれるか背伸びして比べればいいのに、とつぶやいたのでした。  山はそれを聞くと、それをやろうと木の実集めを止めるようにと鳥達に言ったのでした。
 村人達は春が終わる前に、作物の苗を植え終わったり、生え始めてきた雑草を取ったりと忙しくしていました。気付くと山に集まっていた鳥達は村に戻り始め、いつものように遊ぶようになっていったのでした。すっかりと姿を消していたカラスも村で我が物顔で水浴びをして、兄弟山が背比べをする前のような風景になり、それを横目に村人達はせっせと畑仕事に精を出していたのでした。  兄弟山はひっそりと背比べを続けていたのでした。大きくなろうと力んでみたり、大きく息を吸ってはおなかを膨らませたりしています。いっこうに高くなりそうにないと身動きをしていました。何の気なしに兄弟の様子を眺めにやってきたカラスの羽が落ちて、山の鼻先をくすぐりました。鼻先がむずがゆくなり、思わず大きなくしゃみが出ます。山のくしゃみです。山の足下にある村には大きな揺れが起き、溜め池の水は揺れてあふれ、家々では家具が倒れ、その激しい揺れに泣き出す子供もいたのでした。  それだけ大きな揺れだと兄弟山のもう片方の頂上に積んであった木の実の山も崩れます。  そのくしゃみをきっかけに、今度は二つの山がくしゃみだけでなく身震いなんかもするようになり、互いに互いの上にある木の実の山を崩そうと躍起(やっき)になったのでした。  もちろん、そのたびに大きな揺れが村を襲い、溜め池の水はあふれ、家の中にあるものはすっかりと倒れてしまいました。そうかと思うとはじめの揺れで驚いて泣いていた子供は慣れてしまい気にもとめずに遊んでいたりしたのでした。子供と同じように大人達も揺れに慣れ、池の縁には盛り土をし、倒れて困るような物はそもそも寝かしておく。かまどやいろりからは燃えやすい物を遠ざけて、目を離している時に揺れがあっても火が広がらないようにしたりと、揺れとともに暮らしていくようにしたのでした。  今日揺れたからと言って、明日揺れるかはわかりませんが、近いうちに必ず揺れるのならば、揺れるのが当たり前のこととしてやっていこうと村人達は言い合っています。  兄弟山は相変わらずの小競り合いを続けます。  けれども、木の実の山はくしゃみや身震い程度で崩せるところはほとんど崩れてしまい、何をしようと変わらなくなっていったのでした。  兄弟はどうにかして背を高くしようと考え込んだのでした。  村はしばらくのあいだ静かな日々が続いたのでした。  けれども、その静かな時間は長くは続かないのでした。  きっかけはあくびです。  それはそれは大きなあくびがきっかけになったのでした。  思いっきり口を開いて体を伸ばすと、頭半分ぐらい高くなったのでした。  山は気付きました。  あくびをしてのびれば、背が高くなる。それからというもの、兄弟山は背伸びをしては競い合っていたのでした。  山が伸びをすると、地鳴りがします。村に山の方向から、草木を震わせ、時には小石も揺れてかちかちとぶつかり合う音が地面を伝ってくるように迫ってきます。  その地鳴りが村に届くと、揺れ、村を震わせるのでした。  村人はすっかりと慣れてしまい、その揺れもいつものことと気にしないでいるのでした。  背伸びでの競争はしばらく続いていました。  兄弟山はそれぞれで考えています。どうにかしてもっと伸びをしたい。どうしたらよいのかとあれこれ試していたのでした。体を揺らしながら伸びをしてみたり、首をすぼめて勢いをつけて伸びをしてみたり、思いつく方法をすべて試してみたのでした。  村はそのたびに揺れます。けれども、村人はすっかり慣れています。いくら揺れようが、続けざまに揺れようが、少し目をやるぐらいで気にとめようともしなかったのでした。  一方、兄弟山は伸びのコツが少しずつわかってきたのでした。思いっきり力んでから伸びをすると、��の少しですが背が高くなっていったのでした。それこそ、人間がぐっとおなかに力を入れるみたいに力んで、それから伸びをすると、げんこつ一個分ずつぐらいでも大きくなっているのでした。  兄弟山は気づいていなかったのですが、おなかに力を入れるごとに、ほんの少し山の真ん中が膨らみ、そしてその膨らんだ分が伸びをするごとに背丈になって大きくなっていったのでした。  村の異変は今までと違う形で静かに起きていたのでした。ほぼ毎日の揺れや地鳴りは、それまでは小刻みな揺れだったのが、ゆっくりとした大きな揺れに変わり、村のため池は盛り土は揺れであふれることがなくなったにも関わらず干上がったりしたのでした。  揺れに何も感じなくなっていた村人も干上がった池の底にたまった泥を見て少しは驚いたのですが、そこにのたうつフナやナマズを目にし、捕まえるのに忙しくなり、深く考えるのを止めたのでした。  それでも、井戸の水が温かくなり、まるで湯のようになると、その変容をみて気味悪がり遠縁を頼り村を去るものも出てきたのでした。その一方で去りゆく隣人を送り出しつつも、昨日と同じ毎日を繰り返そうとする村人もいるのでした。  兄弟山の背比べは、そろそろお互いに無理が出始めていました。背伸びをするたびに山の土が崩れ落ち山肌は裸のところが多くなり、山のあちこちにはひび割れができ、草木が落ちたりしていたのでした。  何かしたら揺れたり地鳴りがしたりというのはほぼ毎日のことでしたが、ここ数日はすっかりと静かになったのでした。  兄弟山はなにやら険しい顔をしています。互いが互いの方を向いて、口を真一文字に結び、なにやら脂汗を流しています。なにか具合が悪いのを我慢しているような表情なのでした。お互いの山肌からは、いままで木の実を運んだりと働いていた鳥達がすっかりと姿を消しています。  その変化は村でも感じていて、風が山から来るような日は、なにやら卵の腐ったような匂いがするようになったのでした。  村では、揺れが少なくなったことに喜び、そして、時折流れてくる妙な匂いは、少し我慢しておけば問題ないだろうと考えたのでした。
 突然、大きな揺れが村を襲いました。  いままでの揺れは揺れてるうちに入らないぐらいに大きく、少しぐらいの地震でも平気だった家が倒れ、その中にいた村人は逃げることもできず、その瓦礫の山に閉じこめられたのでした。  あまりの大きさに辺りを見回している村人に、地鳴りとは違うドンという大きな音と振動が体中を震わせます。  すっきりと晴れ上がって雲一つない空の下、兄弟山のそれぞれの頂上からは今まで見たことがないような煙が立ち上がっているのでした。  いままで、どんなに山が村を揺らし空を慣らそうとも居続けていた村人も、いよいよ逃げなければならないかと腰を上げようとしていたときでした。山の上を覆っていた煙が、まるで一つの生き物みたいに山の斜面を下ってきたのでした。ゆっくりと、まるで雪解け水が流れ出すように山肌を煙が降りてきます。流れた跡からも新しく煙がわき立つものですから、山の形が煙に飲まれ、一つの大きな煙みたいになっていったのでした。  村人は遠くで起きている山の変化に気付き、その煙が村に迫ってるのを目の前にあわてて荷造りをしています。  村にいた鳥達はとうの昔に遠くに逃げて姿を消し、家の中に救っていた鼠達も、この前まで梁の上で追いかけっこしていたのがいなくなっていました。  いま、村の中にいるのは村人だけです。  村人達は、村から離れることができませんでした。  ゆっくりと動いているように見えた煙は、村に近づいていくにつれて早くなっているように見えました。大きな煙の山が遠くで動いているからゆっくりと見えていただけで、早さが増したわけではありません。残念ですが村人がそれに気付いた頃には、林の木々が煙の熱風で焼け焦げる匂いが村中に立ちこめ、あっというまに田畑はすっかりと飲み込まれていたのでした。  そこまで来ると逃げる間なんかはありませんでした。毎日の平穏な日常があった村が飲み込まれ、何もない平野になり、畦(あぜ)や家はすっかりとならされていたのでした。  残ったのはなだらかな大地の起伏のみです。  数日して、煙がすっかり落ち着き、風がさっと吹いて見通しが良くなりました。  まっさらな村の先には、すっかりと形を失い、今までの喧嘩が嘘のようにくっついてしまった一つの山が見えたのでした。
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palakona · 3 years
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目まぐるしく変わる天気予報
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
どうも、こんにちは。7月3日(土)は、鳥取にフライフィッシングに行ってきました。ジムニーの1ヶ月点検を予約したら日曜日の午後になり、必然的に釣行は土曜日一択。奈良県山間部の天気予報を見てみると土曜日は雨らしい。で、範囲を北陸、鳥取に広げたんですが、北陸は曇天、鳥取は曇天か小雨がパラつく程度。北陸は、今後のアブの発生を考えると最後のチャンス?先週の釣行で釣友さんが「(アブがでるまで)あと2週間(7月中旬)ぐらいかな」と言っておられたし。でも〜、軽自動車で3時間の高速道路走行ってしたことないし、1ヶ月点検も終わってないので気が進まない。で、中間案というか、鳥取なら大して降られずに釣りができるだろうと。
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結果的に正解だったんかな。天気予報しか見てませんでしたが、天川は釣りができるような状況ではなかったそう。北陸も、ジムニー乗りのフライマンさんのブログを見たら「3ヶ所回ったが濁流増水で釣りを断念」って書いておられました。天気予報だけ見て鳥取に行ったんですが、鳥取東部は平水でした。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
最初の釣り場は峠の集落の上の川。基本的に地元にお金を落とす主義なんだが、鳥取で遊漁券を買ってたら平地に降りてまた戻らないと行けないので、山崎ICを降りたところにある兵庫県内の釣具屋さんで年券を購入。まあ、鳥取はコロナ感染がほぼないので気を遣って入境前に買ったってのもある。この集落の上流部はかつてはイワナが良く釣れた。アメリカに行ったヘンドリクソンさん(ハンドルネーム)が見つけた釣場。だから以前だったら絶対特定できるような写真はアップしなかったが、なぜこの写真をアップしているかというと立入禁止になってたから。環境保全のためらしい。鳥取の川の周りは獣害防止のために網や電気柵を張り巡らしているので釣り場に向かう時にゲートを開けて通ったりする。釣り人がゲートを開けっ放しとか駐車が邪魔とか何かあったんやろか?集落の向かいの川も、駐車スペースになってる入川口を管理者が立入禁止にしていた。これで「ボウズ逃れ鉄板系」の釣り場が一つ減ってしまった。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
最初の釣り場でボウズを回避してお気楽に釣り場巡りをするつもりだったがアテが外れた・・・。トボトボ歩いているとドアにかけられたスヌーピーを見つけた。なんでこんなところにと思ったが、誰かがスヌーピーをドアに掛けたかったんだろう。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
河岸を変えて2番目の釣り場へ。階段がついてて降りるのは楽。降りて行く時に水滴をまぶした蜘蛛の巣があったので絵になるかと撮ってみた。絵にならんか。
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2021年7月、SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
今日は4番ロッドを振りたい気分。"じょっ"さんに作ってもらった「No.63」を持ってきた。和製パーフェクショニストって呼びたい素晴らしいアクション。ロッドを振らずにホールでループをコントロールするように意識する。川に降りてウェットフライを投げて矢野シルクラインのウェットリーダーを見ているとコツッっと当たったのに気づいたがそれは乗らず。釣れるかも♡。しかし、期待に反してアタリが遠い。もう、ここぐらいしか釣れる気がせーへんのに。大きな「落込み」でリーダーの動きが止まったので合わせるとやっぱ喰ってた(嬉)6寸ぐらいでイワナにしては小さいが、貴重な1尾なのでセカセカと��きあげたらそのまま外れて川にお帰りになられた・・・(悲)。またアタリがあったが乗らず。マズイやんけ。ここで釣れなかったら終わりって感じのこの区間の鉄板ポイントでブレイデッドリーダーの先端が沈んでる気がしたので合わせたらやっと釣れた!引きを味わう余裕もないw
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
集落を抜けたあたり、堰堤が見えるところまで釣り上がったが、ボサが濃くなって堰堤まで行く元気あらへん。かつては当たり前のように堰堤まで行ってたけどな。上手い釣友さんと釣りに行くようになってからフライキャスティングが以前よりもっと好きになり、ロッドも4番が好きになった。ボサを潜りながらテンカラキャストって苦行やわ。ところで、手前の黒いチューブってなんやろね?鳥取の川岸ではよく見かける。自然渓流には似合わず美しくないが。当然、中は水が通るんやろし、民家に綺麗な水を引き込んでるんやろか?鳥取東部で見かけることが多いのも集落のそばで釣ってるから?
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
第3のポイントに来たが先行者が居た・・・。鳥取って釣り人少ないから先行者ってあまりないけど、この日は多かった。フライマンを何人も見ましたよ。「何人も」ってちょっと大げさかなw。必然的に僕は反対側の支流に入ったけど、左側の川岸にさっきの黒いチューブが這ってますね。この先の淵で泣き尺ヤマメを釣ったことあるんだけど、この日は何も釣れなかったしボサが酷いので嫌になって上がれるところで退渓。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
この支流はちゃんとしてるのは入口だけで、少し上がるとガレ場みたいな荒れ果てたショボい流れになってた記憶がある。逆に言えばボサもない。当時は入渓したらポイントごとにウェットフライでイワナが釣れた・・・といっても短い区間だけでせいぜい数尾だったけど。ボサの向こう側に荒廃した流れがあるはずと道を歩き始めたがゲートが通せんぼ。通行禁止の表示もないし獣害避けのゲートやったら人の通行は可能なはずだが、舗装路を覆うほどのボサを見たら行く気もしませんね・・・。またポイントが一つなくなった。
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2021年7月、鳥取
もうお昼なので昼食にします。鳥取はコロナ感染がほとんどないので大阪からの釣行は気を遣う。行かない方が良いのかなって。でも、「鳥取 観光」で検索すると逆に安全をアピールして来てくださいって感じなので行ったのです。とはいってもやっぱ気を遣うので、遊漁券は県外で買ったり、昼食もコンビニでお弁当を買って川岸で一人で食べるかって思ってたんですが、釣り場のある区域はコンビニがありませんね・・・。コロナ禍の中で基本的に外食を自粛していましたが、道の駅の食堂を利用することにしました。鳥取は安全をアピールしているだけに消毒用アルコールが入館時、入室時に使うよう励行されていて食堂の席も透明の衝立で前と横がカバーされていて完璧ですね。でも、会話の時はマスクをつけてくださいって感じで、一人ならいいですけど、同行者がいたらしんどいかも。写真のとんかつ定食は絶品でした。吉川豚でしたっけ?鳥取東部は豚肉が名産なので豚カツ美味いし、ご飯と味噌汁も素晴らしい。なのに週末のお昼時にお客は僕だけ。コロナのせいや。ホンマ気の毒。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
昼食後は午前中最後の釣り場の隣の支流に行きました。お腹が弱いので、昼食後に道の駅から遠くに離れるのはストレス。この川では28センチのイワナを釣ったことあるが、それぐらいしか釣れた記憶がない。フライマン見たことあるからここで釣ってる人いるんかな?
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
なんか釣れたけどこのサイズw。山陰なのにアマゴの幼魚ですね〜。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
学校のプール跡って聞いた気がしたけど、川から上がったところに「河川プール」って看板が出てなんか書いてありました。もう埋まってるし泳げませんね。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
プール跡の奥も流れは続いているし、昔は奥まで入ったけど、遡行距離は短いし釣れた記憶もない。堰堤があったんやったっけ?ボサを見てたらうんざりしたんで退渓。ブラブラ歩きながら車に戻る。綺麗な花が咲いてたけど、植えられているのか自然に咲いているのか。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
集落の中の小道。日本家屋が立ち並んで良い風情です。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
今となっては珍しい木製の電柱。貼られているプレートの意味がわからない。真ん中の数字を囲むように1〜12って点検したって年月かなあ。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
なんか味があるような気がしたんで中央一点構図でパチリ。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
集落の中を歩くときは当然マスクをしています。偏光サングラスにマスクって見ようによっては不審者に見えるかもw。そんなオッサンでも、「こんにちは」って挨拶すると集落の人は愛想よく挨拶を返してくれて「釣れたか?」って聞いてくれたり。「何人も釣りに来てるから釣れないわ」って言ってましたけどw。公園があって遊具が置いてあったので撮ってみました。ぞうさんの滑り台かな。
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2021年7月、鳥取
バス停がありました。フツーはベンチが多いと思いますけど、座り心地の良さそうな椅子です。
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2021年7月、鳥取 SONY α7(APS-Cサイズ撮影)+SELP1650
もう帰ろうかとも思いましたけど、15時ぐらいで帰るのも勿体ない気がしてちょっと離れた釣り場に行きました。春先に良型ヤマメ、アマゴを連発したことあるんですけど、春以外釣れたことない���。この日は天気予報しか見てなかったんで、奈良南部、北陸が濁流増水って知らなかったんですけど、この川は減水で浅くなってましたね。といっても、繁茂した木の枝や草が川面に張り出してボサになってましたので、遡行は結構ストレスありますw。「夏ヤマメは一里1尾」って言葉を思いながら遡行して行きましたけど、ボサと護岸で退渓できる場所も少ないし、釣れないし、途中で上がれそうなところがあったので退渓しました。
ということで、7月3日(土)は、イワナ1尾、小アマゴ1尾の2尾でした。実は最後の川でメザシサイズのヤマメ?が釣れたんですけど、写真が撮れなかったのでヤマメかアマゴかわからないのでノーカン。カウントするほどのサイズでもないですし。
年券買っちゃったのであと1回ぐらい来ますが、次回はブラウントラウト釣れる場所に行こうと思います。でも、知ってる人が結構行ってるし釣れないって聞いてるから釣れないだろうなあ。
では、また。
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kachoushi · 2 years
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各地句会報
花鳥誌 令和4年11月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和4年8月3日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
宿浴衣姉の選びし緋の絵柄 笑 ふり向けば浴衣に貝の口結び 同 線香花火消えゆくまでの物語 同 耳澄ますふる里あたり遠花火 同 男あり鳥獣戯画の扇子手に 雪 買ひもせぬ西瓜叩きて女去る 同 ながむれば大団円の天の川 数幸 大西日かつて住みけり四畳半 同 堂縁はこの世の浄土三尺寝 匠 山頂に不動明王時鳥 清女 糊かたき浴衣に着替へ胡坐くむ 泰俊 盆の月もの言はざりし夢の母 啓子 一心に線香花火の果てるまで 千加江 水晶の数珠を両手に盆の経 天空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月4日 うづら三日の月 坊城俊樹選 特選句
盆の月今宵は何を語らうか 都 端々の糸のほつれや秋すだれ 同 夜明より鎌を光らせ盆用意 同 極暑日や五臓六腑の吐息聞く 同 秋立つや雲の流れも水音も 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
夏草の色に埋れてマリア像 小鳥 十字架の墓石の装飾を蟻 健志 大小の蟻群をりて茂吉墓 季凜 炎天の墓を抱きし大樹かな 悠紀子 僅かなる供花に蟻よせ土饅頭 順子 あなたは此処にゐるのですかと墓洗ふ 美紀 黙祷のしじま落蟬動かざる はるか 鶏頭の墓守として枯るるまで きみよ 赤松の肌の剥がれてゆく晩夏 要 寝墓らは異国の夏草に埋む 慶月
岡田順子選 特選句
異国なる地下に眠りて百合の墓 俊樹 高々と維新の墓の晩夏越ゆ 慶月 父眠るまで蟬時雨澄みわたる 和子 冥界の番地を探す蟬しぐれ 千種 岡持で冷麦墓地を横切りぬ 荘吉 原爆忌蛇口に日差し反射する きみよ 観音の裸足の御足齧る蟻 眞理子 座る人なき八月の椅子を売る 和子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
小次郎の修業の岩や河鹿笛 時江 人を恋ふ夜は殊更に星流れ 信子 ストローに青の動いてソーダ水 同 火に油注ぐが如く蟬時雨 みす枝 塞ぐこともよきこともあり髪洗ふ 上嶋昭子 黒門は大き医師の避暑の宿 ただし 婉然たる笑みに怯みぬ水鉄砲 上嶋昭子 遺されし言葉しみじみ墓洗ふ 信子 燕の子花のごとくに口開き 同 肌シャツを濯ぐ男や夜の秋 上嶋昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月8日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
流灯会家長を兄が引き継ぎて エイ子 声明唱ふ百人の僧流灯会 あき子 ずつしりと固き重さの南瓜かな 秋尚 海鳴りの届く岬や星月夜 和魚 流灯の千のうねりに手を合はす あき子 子どもらの流灯舟に日暮れ待つ 和魚 通夜出て遠き日思ふ星月夜 廸子 天窓の四角の中の星月夜 同 流灯の岸離るるをためらひて 秋尚 今頃は虚子に逢はるる星月夜 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月11日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
黄昏にキセルを吹かす生身魂 登美子 献花終へ色なき風に立ち竦む 同 蚊帳の中げにも楽しき秘密基地 みえこ 地蔵盆僧の読経に老いの数珠 令子 おしろいが揺れて小包ひとつ来る 裕子 寂声の中寿の母の踊り唄 登美子 濃く流る昨日の雨か太宰の忌 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
サルビアや杖に適はぬ町歩き 悦子 軽き音する物買うて草の市 栄子 流蛍や宵の名残は夢の中 宇太郎 類縁の女ら遺影原爆忌 都 北向けば村中の墓盆の灯よ すみ子 法師蟬朝の一巻上げて去る 史子 日々草咲いて子沢山の路地 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
裏庭の風の匂ひの来る網戸 雪 大いなる幟淋しき夏祭 同 水中花咲かせしまひし淋しさよ 同 新涼の城朝影に包まれり かづを 一杯の水に生死や原爆忌 みす枝 空を染め海を彩る大花火 英美子 神主も僧侶も踊る盆踊り 千代子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月17日 萩花鳥会
過ぎし日や郡上踊の輪で踊り 祐子 この星に被爆で喜寿の原爆忌 健雄 若衆も今は老いたり山車を引く 恒雄 今日も晴れ猛暑何様甲子園 俊文 星祭り願ひはみんな平和の字 ゆかり 微唾も身体蝕む熱帯夜 明子 ひまはりの浴衣親から子へ孫へ 美恵子
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令和4年8月17日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
天の川流れ海まで幾千里 世詩明 山里を見守るがごと天の川 千加江 銀漢や幼き頃と同じ夢 同 銀河へと雄島の磯の紅い橋 笑子 空蟬の縋りし幹に影残し 同 制服の語り継ぐ子等原爆忌 同 初秋や静かにとまる指揮者の手 泰俊 銀漢を追へば遥かに集魚灯 同 蟬の殻こんな所に脱がずとも 雪 炎天に息を潜めて生きるもの 同 ポッペン吹く暑中見舞の切手貼る 同 かなぶんが一つ昔の音に落つ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月19日 さきたま花鳥句会
星月夜小さき漁港の舟だまり 月惑 緑蔭の茶室に一期一会の書 一馬 水澄めりザリガニのそり川の底 八草 研ぎたての刃の沈み込む熟れトマト 裕章 山寺の秋の蚊を吐く大木魚 紀花 亡き夫の座面の凹み籐寝椅子 とし江 はたた神関東平野を走り抜け ふじ穂 窓越しの明るさに覚め星月夜 ふゆ子 銅鑼の音の坂かけのぼる湖極暑 康子 いかづちの運ぶ大雨や地の悲鳴 恵美子 夜来雨止むやいなやの油蟬 静子 送り盆旧家の嫁を演じきり 良江 夏蝶の漂ふごとく遠ざかり 正子
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令和4年8月21日 風月句会 栗林圭魚選 特選句
踏切の音秋蝶を呼びにけり 和子 烏瓜花の朝を寂しめり 斉 蟷螂と共に息つく上り坂 軽象 耳に棲みついて遠かり秋の蟬 千種 新涼を幌深く行く乳母車 久子 水の秋平らかに音消し去りぬ 千種 向日葵のおとろへ雨の匂ひけり 溺れさうな飛びの行方や秋の蟬 久子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月22日 鯖江花鳥俳句會 坊城俊樹選 特選句
酔芙蓉とは酔ふ為に開く花 雪 此の水に咲かねばならぬ水中花 同 天の川小さき星を鏤めし 世詩明 草刈りて大きな句碑となりにけり 同 落蟬の魂の抜けたる軽さかな みす枝 流灯会手波を立てて送りやる 同 母と子の疎開の蔵の終戦日 中山昭子 初浴衣見せたき人に遠くゐる 上嶋昭子 一杖をもて厳流の滝に立つ 一涓 空蟬をとどめておかぬ大嵐 紀代美
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年8月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
暁に鳴るは鉄砲百合の花 成子 花楝仏心遠くけぶらせて 久美子 紙飛行機飛んで戻らぬ夏の海 ひとみ 少女らの腿でわけ入る青山河 佐和 海酸漿鳴らす少女の私へと ひとみ 白玉や雨の過ぎたる城下町 喜和 指鳴らす彼は嫌ひで空梅雨で 由紀子 乾坤の弾みさながら雨蛙 朝子 あめんぼの踏むは魔法の水ならん 古賀睦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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crossbreed · 4 years
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神戸・教員間いじめ事件の衝撃2019年10月、教員による教員「いじめ」が大きく報道された。舞台は神戸市立東須磨小学校。インフォーマルな権力を掌握した教員グループが、他の教員たちを習慣的に辱め、暴力を振るい、奴隷化し、そのことを楽しんでいた。被害教員を恥辱にまみれさせる嗜虐あそびの数々は、奴隷プレイともいうべきしかたで、生きることのすべてをきめ細かく「わがもの」につくりかえようとするものであり、全人的な教育・指導(人格支配)の創意に満ちていた。またそれは、職場を加害教員グループを中心とするお祭り騒ぎで埋め尽くす、政治的な空間占拠の営みでもある。彼らは、ここはオレたちを中心とした祭りで埋め尽くされた世界であるという「現実」をつくりあげ、逆らうことはできないぞと他人を畏怖させ、支配を確かなものにする。被害教員を(それが人間だからこそ)人間以下の存在に変形させるお祭り騒ぎによって、あそびの「感動をわかちあい」、職場を「感動でいっぱいにする」ことは、自分たちの勢いを中心として「指導力」がすみずみに広がる集団形成をもたらし、逆らうと怖いぞという権力の誇示にもなっている。「人間まるごと支配」の祭りと、人間関係の利害・権力政治が一体となり、人格モードが変わった教員たちはおぞましい別世界をつくりあげていた。 〔PHOTO〕iStock もちろんこのような「世界」は、市民社会の基本的なかたちと相容れない。現代の先進諸国は人間の尊厳に高い価値をおく。人は個人として尊重される。奴隷的あるいは家畜的な扱いを受けない。人格支配は許されない。すべての人は人間として平等である。もちろん限定された職務の範囲において職務権限の不平等は必要だが、それは、人間「まるごと」が上位者たちに「なかよくしてもらえるよう」に変わる――生まれ変わる――ことを求める身分関係ではない。これが市民社会の基本的なかたちである。しかし日本の学校は、多かれ少なかれ、子どもだけでなく教員にとっても、「何があたりまえの現実であるか」が市民社会と異なる別社会になっている。それは学校だけではない。「社畜」「ブラック企業」などと言われ、人格支配がまかりとおる日本の職場についても、同じことが言える。 わたしたちが生きる日本は、中間集団全体主義にまみれた社会だ。中間集団全体主義は、人格支配を必須条件とする。市民社会の論理とは相容れない。各人の人間存在が共同体を強いる集団や組織に全的に(頭のてっぺんから爪先まで)埋め込まれざるをえない強制傾向が、ある制度・政策的環境条件のもとで構造的に社会に繁茂し遍在している場合に、その社会を中間集団全体主義社会という(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』253ページ)。東須磨小学校の閉鎖空間では、私たちの社会のすみずみにいきわたる中間集団全体主義が、極限的、集中的、典型的にあらわれた。これは、私たちの顔をくっきりと映し出す倍率を高くした鏡である。人間を不幸にする社会のしくみは、「あたりまえ」の生活に埋め込まれている限り、いつまでも続く。「それ」として見えてこないからだ。今回の極限的な事件は、人が人をいためつけ、人が人を恐れて生きなければならない中間集団全体主義の場のしくみを、くっきりと浮き彫りにする。そして、これを社会問題にすべきではないかと問いかける。「殺してやる」「どうなっても知らんぞ」まず報道を用いて、教員たちの群れがつくりあげていた、「別の世界」を紹介する。現校長(前校長のもとで教頭であったが今年2019年になって持ち上がった)は、加害教員たちについて話す。「この4名の教諭は本校の中核教諭です。指導力とともに力を持ち合わせ、私もこの先生から教えてもらうことが多かったです」「自分より力があり、口出しできなかった」(『FNN PRIME』2019.10.08)。このグループが生じた経緯については、次のように報じられている。前の前の校長が一昨年(2017年)4月、後にグループの中心になる加害教員を東須磨小学校に呼んだ。この教員の周囲にイジメ集団が形成された。この教員は、前の校長にも気に入られていた(『週刊新潮』2019年10月31日号)。校内でインフォーマルな権力を掌握し、だれも逆らうことができなくなった加害教員グループは、以前の校長たちのもとで勢力を拡大していった。 東須磨小学校に勤務していた元教員は証言する。前校長は、「あいつは今から切る」「殺してやる」といった発言をしていた。殺すというのは、この(教員の)世界で生きることができなくしてやるという意味なのだが、そういうことはしょっちゅう言っていた。前校長は、「裏切った奴らの方に付くんだったらオレは遠慮なくあんたのことは切るからな」「どうなっても知らんぞ」とことあるごとに言っていた(フジテレビ『バイキング』2019年10月16日放映)。被害者の一人は、昨年2018年の12月に前校長に相談しようとしたが、「それはいじめじゃないよな」「いじめられてないよな」と繰り返し言われ、「仲は良いよね」と念を押された。また、「(加害教諭から)お世話になっとるやんな(世話になってるよな)」とも言われた。前校長は、近隣学校の親睦会に欠席すると伝えてきた教員に「お前、オレの顔に泥を塗ってええんか」と脅した(教頭時代)。酒を飲めない教員に強制的に酒を飲ませた。書類を渡しに来た教員に、「お前、タイミングを考えろよ。俺がイラついているのが分からんのか」と凄んだ。以後その教員は他の教員に「今、〇〇先生に話をしに行ってもよいですか」とメモで事前確認をしなければならなくなった(教頭時代)(『週刊文春』2019年10月31日号)。想像を絶する加害行為の数々加害教員グループの行為については、次のようなことが報道されている。(1)身体を押さえつけ、歓声を上げながら、激辛のカレーやラーメンを強制的に食べさせる。その激辛の汁を目に塗りたくる。焼き肉のタレを大量に飲ませる。(2)新車の上に乗る。車の中で液体をぶちまける。鞄に氷をいれる。髪の毛や服にノリをつけて、パリパリにする。児童へ配布するプリントに落書をきしたり、水で濡らしたりする。はいていたジーンズを破る。パソコンのキーボードを壊す。携帯電話にパスワードを入力して使えなくする。(3)被害教員の尻を棒状のもので叩き、みみず腫れが生じた。足を踏みつける。プロレス技をかける。椅子を蹴る。被害者が『痛い、痛い』としゃがみ込むほど強く、叩いたり、蹴ったりする。熱湯の入ったやかんを顔につける。首をしめて呼吸困難に陥らせる。ビール瓶を口に突っ込んでビールを飲ませる。ビールのから瓶で頭をたたく。被害教員(男性)の乳首を掃除機で吸う(『週刊新潮』2019年10月31日)。(4)「ボケ」「カス」「クズ」「とろい」「犬」「ポンちゃん(ポンコツの意味)」などと言う。「毎日、…〝性病口〟〝くず口〟〝うんこ口〟〝ごみ口〟などと呼」ぶ(『週刊新潮』2019年10月31日号)。(5)飲食を強要する。仕事をしているのに自動車による送迎を強要する。ダイエットを命じ、体重増減のこまかな報告を要求する。(6)被害教員が担任をしているクラスの児童に「反抗しまくって、学級をつぶしたらいい」とけしかける。被害教員を侮辱し痛めつけるさまを児童におもしろおかしく話す。児童に被害教員のことを「犬のような存在」と言う。(7)猥褻メッセージを送るよう、強要する。「そろそろ生理ちゃうんか」などと女性教員の生理周期を話題にして笑いものにする。しゃがんでいるときに見えた女性教員の下着をみなのまえで話題にする。しゃがんでいる女性教員に後ろから接近し、足で尻を持ち上げるようにして接触する。セクハラの被害教員を、頭が揺れるほど叩いたり、運動会でひきずって怪我をさせたりする。(8)男性教員と女性教員に性行為を強要する。さらに性行為を画像にとって報告するよう命令する。 これについては『週刊文春』が詳細に報道している。 …A(加害教員)が、Z先生(被害教員男性)に向かってこう尋ねた。「そういえばお前、体重なんぼまで落ちてん?」…Z先生はAと男性教員Bらから、ダイエットを命じられていた。…体重の増減は、数値の見える体重計の写真をLINEに送ることで、Aらに管理されていたが、その日、Z先生の体重を確認したAは、ニヤつきながらこう言い放ったという。 「おっ、痩せてるやん。ご褒美に約束通り、Y(女性被害教員)と(性行為の意で)ヤろか」 Aから性行為を強要されたY先生とZ先生は、拒否の意思を示した。だが、Aはうら若き女性のY先生にこうたたみかける。 「じゃあこの後、Zのチンコ握るくらいはせぇよな」 さらにAは、後で行為の証拠画像を送って来るようにと念押しまでした。…Aは「ネットで拾った画像を送って来ないように」と、Y先生の手に、黒いペンで目印となるマークを付けたのだ。…解散間近、AはY先生とZ先生に追い打ちをかける。 「お前ら、(さっき言ったことを)今日やらんかったら知らんぞ」 …「(証拠画像は)汚いからオレの携帯には送ってくんなよ。X(被害教員)の携帯に送れ」 …X先生のスマホが、メールの受信を告げる。画面を開くと、Aが命じた行為を実行したと思しき画像が映し出された。男性の陰部を握る女性の手には、Aが付けた黒い印が残っていた。…その後、Aはこの経過を面白おかしく同年配のBに話し、「Zが射精した」と二人で笑いの種にしていたという。(『週刊文春』2019年10月24日号、22~23ページ)(9)被害教員(男性)が交際している女性についての性的なデマによる侮辱、および下着・性的画像・接触の要求。これについては『週刊新潮』と『週刊文春』が報じている。加害教員は、被害教員が「交際している女性についても、〝やりまんと付きあってるもんな〟〝俺、お前の彼女とエッチした〟〝お前の女、すぐ股開くで〟〝軽い女やから〟」などと言った(『週刊新潮』2019年10月31日号)。 C(加害教員)はX(被害教員)に『Y(Xが交際している神戸市内の女性教職員)の下着を持ってこい』とか『下着の写真を撮ってこい』と要求するようになった。Xのスマホを取り上げ、勝手にフォルダをスクロールして彼女の写真を探したこともあった。「オレはYと一発ヤッた」と言い出して、性器の特徴まで妄想して、ニ��ニヤと語り始めた。CはXに、Yについての性的写真をしつこく要求した。Cは、自分がつくった粘土細工をXに渡し、それをYの自宅アパートに飾っておくよう命令した。そしてXに、「おい、彼女の下着をはやく見せろよ。そういえば、粘土細工を渡したよな。オレの作品を部屋にちゃんと飾っとるか、今から行って確認させろ」と言って、実際にYの自宅にやってきた。Cは何度もYの自宅前までおしかけた。Cは飲み会の帰りにXの車に乗り込むと、自宅ではなく、Y宅に向かうようXに指示したこともあった。Cは、Yの家に上がり込み、わいせつな行為に及んだとする噂を生じさせた。(『週刊文春』2019年10月31日号)(10)被害教員が出張にいくとき「甘いもんを買ってくるのが礼儀やろ」と強要し、買ってくると「こんなもんで好かれようとするな」といって、目の前でお土産を捨てた(『週刊新潮』2019年10月31日号)。(11)思い通りにならないと感じた児童の体を突き飛ばす。被害児童は骨折した。学校組織はそれを警察に届けず、闇から闇に葬った。市教育委員会は、「突き飛ばしたのではなく、児童をバレーボールのコートの外に出そうとした際に児童の足がもつれて転んだ」と説明した。児童に「あなたのことが嫌い」と言う。急に椅子を引いて児童を転倒させる。被害児童は頭を打った。加害教員について次のように言う保護者もいた。「本当に熱心で、親身になってくれる先生だったんです。問題を抱えた子の家に何回も足を運んだり、イジメやセクハラをしていたなんて信じられません」(『週刊文春』2019年10月31日号)。現校長は一連の虐待行為を教育委員会に報告していなかった。事件が大きく報道された後の記者会見で、ときに泣いたりしながら、誠実そうな表情で、「本当に被害教員には申し訳ないが、そういうことを感じたり気づくことはできなかった。隠蔽という意図は一切私の中ではありませんでした」と答える。それに対し、東須磨小学校で勤務していた教員は、「私は、被害者が暴力的なパンチやキックをされているのを、主に職員室内で見た。教頭(現校長)は同じ職員室内で仕事をされているので、余計目にする機会は多かったんじゃないかと思う」と証言する(フジテレビ『バイキング』2019年10月16日放映)。また現校長は、教員の加害行為を問題にする保護者に対し、「先生にも、そして皆さんにも本当にごめんなさいの気持ちでいっぱいです。これから先生たちみんなが仲良くなるように、先生たちは全力で力を合わせて一生懸命がんばります」と答えた(『FNN PRIME』2019年10月8日)。10月16日に開かれた保護者会で学校側は加害教諭4人のコメントを公表した。そのうちリーダー格の40代女性教諭のコメントは次のようなものだった。「自分の行動が間違っていることに気付かず、被害男性が苦しんでいる姿を見ることは、(今まで)かわいがってきただけに本当につらい」。なぜいじめが起こるのかこの事件を、マス・メディアは集中的に報道した。テレビでは、「立派で尊敬すべきはずの先生がこんなことをしている。あきれた。ゆるせない」という感情のストーリーをあおる報道が目立った。ここで起きていることの大筋は、本稿のはじめの部分で述べた。上記報道による紹介を読んだあとで、もう一度、はじめの部分の論述に目を通していただきたい。一言でいえば次のようになる。(1)学校と教育が特別扱いされる現行制度に支えられた構造的な閉鎖空間のなかで、(2)嗜虐的攻撃(いじめ)の筋書を用いた遊びによる悪ふざけのお祭り騒ぎと、(3)利害権力政治が、(4)不可分に結合し渾然一体となることで、(5)大きな市民社会のなかで「何があたりまえであるか」の別領域となった祭政一致の小さ��社会が生じた。 以下、今回の事例を検討しながら、この「祭」と「政」の詳細を分析する。加害教員が行った嗜虐的迫害の内容は驚くほど多彩である。一見すると一つ一つがバラバラでまとまりがなく、理解しがたく感じられるかもしれない。しかし、そのほとんどは、以下で説明する全能筋書〈遊びたわむれる神とその玩具〉によって組み立てられていると考えれば、一貫した論理のもとで理解可能になる。戦略的攻撃と嗜虐的攻撃は、結合していることが多いが、それ自体、別のものである。たとえば、ピストルを突きつけて脅した後に口封じのために撃ち殺して金を奪うといった行動は、通常、「金を手に入れるためにピストルで脅し、口封じのために射殺する」といった戦略的攻撃の側面と、「ピストルをつきつけられた被害者がブルブルふるえて失禁するさまを見てゲラゲラ笑う」といった嗜虐的攻撃の側面が結合している。嗜虐的攻撃は、独特の欲望のひな型を満たすことをめざす攻撃である。この欲望のひな型は、全能を享受することに向けられた筋書の一種である。説明しよう(以下引用箇所では嗜虐的攻撃を「いじめ」と表記している)。【他者コントロールの欲望のひな型】他者をコントロールする全能というものについて、掘り下げて考えてみよう。たとえば、コップを壁にたたきつけて粉々に砕いても、そこには他者コントロールの手応えはない。それに対して他者は、自己とは別の意志を有しており、独自の世界を生きている他者である。だからこそ、いじめ加害者は、他者の運命あるいは人間存在そのものを深部から、自己の手のうちで思いどおりにコントロールすることによって、全能のパワーを求める。思い通りにならないはずの他者を、だからこそ、思い通りにするのである。これを、他者コントロールによる全能と呼ぼう。他者コントロールによる全能には、さまざまなタイプがある。いじめによるものは、そのうちのひとつだ(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』74~76ページ)。それでは、嗜虐的攻撃(いじめ)の欲望のひな型は、どのようなものか。【嗜虐的攻撃(いじめ)の欲望のひな型】いじめの加害者は、いじめの対象にも、喜びや悲しみがあり、彼(彼女)自身の世界を生きているのだ、ということを承知しているからこそ、その他者の存在をまるごと踏みにじり抹殺しようとする。いじめ加害者は、自己の手によって思いのままに壊されていく被害者の悲痛のなかから、おもいどおりにならないはずの他者を、だからこそ、思いどおりにする全能を生きようとする。このような欲望のひな型を、加害者は前もって有しており、それが殴られて顔をゆがめるといった被害者の悲痛によって、現実化される。これがいじめの全能筋書である(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』77~78ページ)。【嗜虐的攻撃(いじめ)の全能筋書のレパートリー】嗜虐的攻撃の全能筋書は、具体的な迫害行為の場面で、さまざまなかたちをとる。これらはすべて、もともとあった他の筋書が、嗜虐的攻撃の全能筋書に転用(流用)されたものである。代表的なものは、次の三形態のレパートリーである。(1)〈破壊神と崩れ落ちる生け贄〉: 加害者が力を加えると、被害者は、その爆発的な勢いによって瞬時に崩れ落ちる。子どもが積み木を一気に崩すときのような筋書の転用(流用)。(2)〈主人と奴婢〉: 命令―使役の筋書の転用(流用)。(3)〈遊びたわむれる神とその玩具〉あるいは〈遊ぶ神〉: 悪ふざけによって、通常の世界の条理を、条理が条理であるからこそ「ありえない」やりかたで変形させることは、世界そのものを自在につくりかえているかのような全能筋書となる。全能は、笑い転げるというしかたで享受される。遊びたわむれる神は笑いながら世界を破壊しつつ創造する。つまり、あらたな接続線を引いて世界の別次元の脈絡をありえないようなやりかたで強引に結びつけ、思いのままに条理そのものを一気に破壊しつつ再創造する。そして、その思いもよらぬ形態変化の愉快なかたちに笑い転げるのである。この論理は抽象的に考えればムズカシそうであるが、具体例を挙げれば、わかりやすい。たとえば通常は口から吸うたばこを肛門にさして、肛門から吸うしぐさをし、これをホタル(尻が光る昆虫)と命名する(学生の体験談より)。こういうものである。こういった楽しい遊びのストーリーが、嗜虐的攻撃の全能筋書として転用(流用)される。この全能筋書〈遊ぶ神〉のレパートリーが、人間の嗜虐的攻撃に最悪の「豊かさ」を付け加える。たとえば児童生徒による嗜虐的迫害(いじめ)事例をみると、よくここまで思いつくものだと感心せざるをえない遊戯的様式を、加害者たちは創造する。たとえば、手に積ませたおがくずにライターで火をつける。靴を舐めさせる。ヒモで首を縛って四つんばいにして犬にする。草を食わせる。便器に顔を突っ込む。性器を理科の実験バサミではさんだり、シャープペンシルを入れたりする。スカートを頭の方で結び視界と自由を奪ったうえで、予期せぬ身体的侵襲を加える虐待遊びを、「茶巾絞り(ちゃきんしぼり)」と命名する。そこには歌や奇妙な命名や振り付けがしばしば付随する。また、ルワンダや旧ユーゴなどでみられたように、民族紛争時の民兵が、ただ殺すのでなく、なぶり殺しを行う(さらに強姦がその「味つけ」に加わる)ときの、創意に満ちた「なぶり」の要素を生み出すのが、全能筋書〈遊ぶ神〉である(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』84~97ページ 要約と加筆)。この理論について詳しくは拙著『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』を参照されたい。学術書としては『いじめの社会理論――その生態学的秩序の生成と解体』がある。 〔PHOTO〕iStock 性的に「おもうがまま」にすること今回の東須磨小学校の事件に特徴的なのは、全能筋書〈遊ぶ神〉が突出している、ということである。加害教員が被害教員を嗜虐的に痛めつける筋書のレパートリーのうち、〈遊ぶ神〉が圧倒的に多い。加害教員たちが行っていたお祭り騒ぎは、広い社会では何の利益ももたらさない純然たる愚行であるが、閉鎖的な世界ではきわめて合理的な権力政治の手段になっている。実際に彼らは世渡りがうまい。自己コントロールも人並み以上である。加害教員は前校長のお気に入りでもあった。前校長が、些細なことに難癖をつけて下位者を痛めつけるありさまを紹介したが、このような前校長にへつらって気に入られるためには、かなりの自己コントロール能力が必要である。加害教員たちは、市民社会から遮断された人間関係の政治において、きわめて合理的にふまっている。それは次のような祭政一致の政治である。 (1)お祭り騒ぎの勢いによって、ここにいるオレたちが勢いの中心なんだゾということを絶えず示し続けることができる。(2)そのお祭り騒ぎが嗜虐的迫害(いじめ)であるから、他の人たちはものすごい恐怖を感じる。このことによって、他人を恐怖で支配することができる。(3)もともと日本の学校は構造的に、その場その場の「みんな」の感動が響き合い「ひとつになること」、「わたしたちの日々のがんばり」、主流のムードに同調して「なかよくすること」が、規範の準拠点になりがちである。規範の準拠点とは、神とか、天皇とか、法とか、人間の尊厳といった、「よい/わるい」を決定する、これ以上根拠をさかのぼることができない畏怖すべき参照点である。このような小社会で、お祭り騒ぎの勢いの中心になることは、自分たちが生み出す「みんなの」勢いが、神のように畏怖すべき規範の準拠点になるということでもある。勢いの中心にある側に逆らうことは、力関係上大きな損失があるとか、気持ちのうえで圧倒されるとかいったことだけでなく、「なかよくする」「みんなで気持ちを一つにする」という最高規範に反しているという罪悪感をもたらす。加害グループがインフォーマルな権力を掌握し、日々お祭り騒ぎを積み重ねることが、「よい/わるい」の基準自体を外部の市民社会とは別のものにする。彼らはこうして、悪ふざけを積み重ねながら祭政一致の別世界をつくりあげる。これは生物学でいう「ニッチ構築」にあたる。(4)「おもしろ」と恐怖が一体となったお祭り騒ぎは、サブリミナルなところから、人格のまとまりをすり抜けて情動を反応させ、パブロフの犬のような反応の連鎖としての人間の集合体をつくる。こうして人間存在の深いところから被害者を、調教された動物のように従属させることができる。このような祭政一致の「おもしろ残酷遊び」は、進行するにつれて性を手段とするようになりやすい。それは、性が人間存在の深み、核心、根底にあると感じられているからである。だからこそ、それを思うがままに破壊してつくりかえることは、他者の人間存在を「わがもの」にする営みが完成形に近づくあかしとみなされる。性が人間存在の深部が賭けられた領域であると感じられるからこそ、嗜虐的虐待がエスカレートするにつれて、性という媒体が入り込んでくる。多くの前近代社会では、勝った側が負けた側を性的に「おもうがまま」にすることは、その力の輝きを示す営為として当然のことであった。預言者モーセが率いるユダヤ人集団はミディアン人集団との戦争に勝ち、男たちを皆殺しにし、女と子どもを捕虜にした。捕虜たちが生きているのを見たモーセは、もっとまじめに殺せと怒った。「子どもたちのうち男の子は皆殺せ。男と性行為をしたことのある女も皆殺せ。処女だけは、おまえたちのために生かしておけ」(『旧約聖書』民数記)内戦や民族紛争のような局面では、それが条理であるがゆえに条理をひっくりかえして〈遊ぶ神〉が、性の使用と結合して暴走し、強姦と殺戮と極限的なブラック・ユーモアが渾然一体となった凄惨きわまる事態をひき起こす。 心理学者のフィリップ・ジンバルドーは、健康な若者を十数人ずつ、看守役と囚人役に分けて地下の模擬監獄で共同生活をさせた。すると、ほんの数日で、看守役は囚人役を嗜虐的に痛めつけるようになり、囚人役は心理的に破綻しはじめた。(注:近年、ジンバルドーが若干のそそのかしをしていたという説が有力になってきた(参考)。しかし、若干のそそのかし程度でここまでエスカレートすることは、人間は状況によってきわめて嗜虐的になりうることを示す。ジンバルドー自身の不正疑惑と実験そのものの価値は別である)このプロセスが進行するにつれて、看守役が、囚人役に性行為のしぐさをするよう命じてあざ笑うといったことが、自然発生的に増えてきた。また、アブグレイブ収容所に収容された人々に米軍関係者が虐待を加えていた事件でも、それが進行するにつれて、遊戯的に性的な恥辱を与える残虐な行為がエスカレートしていった(ジンバルドー『ルシファー・エフェクト』)。被害教員の存在を深部から破壊しつつ…東須磨小学校の加害教員たちも、被害教員の存在を深部から破壊しつつ完全に「わがもの」にする遊戯として、被害教員の性をいじくりまわしている。被害教員が、その性を、存在の根底において「かけがえのない、固有の世界を生きる、わたし」と関わる領域としているからこそ、そのポイントに集中して恥辱を加えるお祭り騒ぎは、他者を人間であるからこそ人間以下の存在に変形して支配する祭りに欠かせない要素になるのである。また、被害教員が交際する女性は、被害教員にとって「ただ肉体目当てにひっかけて遊んでいる」のではなく、「かけがえのない、固有の世界を生きる、わたし」の深部で交わる「特別なあなた」であるからこそ、加害教員は、被害教員が交際している女性に性的に接近し、汚辱を加えて、お祭り騒ぎをしようとするのである。もし交際女性が被害教員と前者の関係にあったとすれば、加害教員は少なくとも女性の側にはそれほど関心をもたなかったであろう。性の領域にかぎらず、被害者が自己が自己であることに関連づけて、何よりも大切にしている(と感じられる)ものを破壊し、汚し、あるいは、何の価値もない存在に変形することは、祭りに必要なイベントとなる。歴史をひもとけば、子どもを神への生け贄にすることが求められ、それに従うことで共同体の一員として生存することが許される、といったことは、祭政一致の社会ではよくみられる。新任教員がはじめて給料をもらって、あるいはみずみずしい人生の門出を祝うようにして購入したとおぼしきピカピカの新車だからこそ、加害教員たちは上に乗ってへこませ、水をこぼし、汚して破壊しようとする。これが激安のオンボロ中古車であれば、わざわざこのようなことをしないだろう。神は「わたしは全能の神である」といってアブラハムのもとにあらわれた。そして、アブラハムの人生を、高齢の妻が子を産むといった、ありえないことでいじくりまわしはじめた。そしてアブラハムに、子のイサクを殺すように命じた。アブラハムは従順に命令に従おうとした。神はその態度をよしとした(『旧約聖書』創世記)。加害教員グループがやっていることは、こういうことである。前述のお土産のエピソードは、きわめて示唆的である。加害教員はお土産を買ってこいと被害教員を圧迫し、そのうえで、被害者が苦労して買ってきたお土産に「こんなもんで好かれようとするな」と悪態をついてゴミ箱に捨てたのであった。この、お土産をごみ箱に捨てる行為の意味は、中井久夫による次の分析がみごとに当てはまっている。 「透明化作戦」の過程で行われるものに「搾取」がある。… …何よりも被害者を打ちのめすのは、そのようにして被害者にとってはいのちがけで調達した金員を、加害者がまるで無価値なもののように短時間で慰みごとに浪費したり、甚だしきは燃やしたり捨てたりすることである。これは加害者が加害者にとっては被害者の献身的行為も無に等しいということを被害者に見せつけるために行う行為である。被害者にとっては、加害者がいかに巨大で、自分がいかにちっぽけでとるに足りないかを身にしみてしたたか味わう瞬間である。(中井久夫『中井久夫集6 1996-1998 いじめの政治学』みすず書房)癌の進行度をあらわすステージ分類のように、人道に反する行為によって人間が根底から破壊される程度を示すステージを考えることができる。たとえば、ナチスドイツのユダヤ人収容所でのありさまは最高レベルの進行度を示していると考えることができる。そこでは、人前で裸でいるとか、人が見ているところで排便排尿するといったことが、あたりまえの状態になっていた。このような事態が認められれば、ステージはかなり進行していると判断できる。 人間の奴隷化・家畜化『週刊文春』によれば、東須磨小学校の加害教員は男女の被害教員に性行為を強要し、「命じた行為を実行したとおぼしき画像」(『週刊文春』2019年10月24日号)を送信させた。実際に性的行為の画像が送信されたという事態は、人間の奴隷化、さらには家畜化という点で、ステージがナチスドイツのユダヤ人収容所と同等の水準に達していることを示している。加害教員たちが行おうとした遊びの筋書は、次のようなものである。二匹の家畜化した被害教員に、家畜のように交尾することを強制する。飼い主になった加害教員は、侮辱の笑いを浴びせながら、その家畜人間の交尾を見世物にして盛り上がる。これである。性行為の画像を要求することは、性的興奮のためにポルノグラフィを手に入れるといったこととは、まったく異なっている。これは、人間を人間でない家畜にみたてて、人間がその汚い家畜に変化させられて交尾するのを、きれいな人間としてあざ笑う、という筋書を成就する遊びである。だから、加害教員は「(証拠画像は)汚いからオレの携帯には送ってくんなよ。X(別の被害教員)の携帯に送れ」と命令する(加害教員は、被害教員を汚物のカテゴリー(穢れが多い。人に非ず。人間以下の動物)に入れ、自分たちを汚物に触れない清浄のカテゴリー(きれいな人間)に入れる)。その結果、実際に性行為の画像が送信され、加害教員グループは、「Z(被害教員)が射精した」と笑い合うのである。もちろん人間の尊厳を最高価値とする市民社会の側としては、報道が正しいとすれば、このような加害教員たちに、(1)刑事裁判による執行猶予なしの重い刑事罰、(2)民事裁判による高額の損害賠償金の支払い、(3)退職金なしの懲戒免職を科さねばならない。この三つのうち、どれか一つでも欠けることは許されない。たとえ初犯であっても執行猶予をつけてはならない。彼らが為したことは、人道に反する罪であるからだ。加害集団の「世渡り」と「世界」のしくみ以下の論述は、東須磨小学校のケースが生じる10年前(2009年)に書かれたものであるが、「生徒たち」を「加害教員グループ」に代えれば、そのまま、加害教員グループの合理的な「世渡り」と、彼らが生み出しながらそのなかに棲む「世界」のしくみを要約したものになっている。すこし長くなるが、「生徒たち」を「加害教員グループ」に書き換えて紹介しよう。お祭り騒ぎで悪ノリするときの存在感は、群れのなかでの有利な身分や勢力を与える。嗜虐的攻撃(いじめ)によるお祭り騒ぎは脅しによって力を顕示し、自己勢力を拡大する合理的な戦略にもなっている。…集団生活で悪ノリする権力ゲームは、他者コントロールの全能追求で利益を最大化できる、あるいは利益のためにこの全能追求に「気合いを入れ」なければならない利害構造に支えられている。…加害教員グループにとって権力とは、他者コントロールの形態を用いた全能具現の営為であると同時に、利害構造のなかでの戦略的行為でもある。利害構造のなかの戦略的合理性という観点からは次のように言うことができる。お祭り騒ぎ(悪ノリ)は…戦略によって導かれ、このお祭り騒ぎを通じて当の戦略がさらに合理的となるような政治空間ができあがっていく。そしこの政治空間のなかで、お祭り騒ぎはますます戦略的に合理的なものになる。この繰り返しのなかで、巻き込まれた者たちの内的モードは、心理的断片群が瞬時に群れの勢い(空気)に応じて作動する、「群れ人格」のモードへ転換していく。こうして、保身と勢力拡大の手立てを計算しながら、ばかになって悪ノリする者たちが生み出す心理―社会的な政治空間が完成していく。そしてこの政治空間を成立平面として、さらに次の時点の権力とお祭り騒ぎが生み出される。このようなループが回り続けるとき、政治空間は動かしがたい社会的現実になる。そしてこの社会的現実のなかで、嗜虐的攻撃(いじめ)はどんどんエスカレートしていく。(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』157~159ページ 「生徒たち」を「加害教員グループ」、「〈祝祭〉」を「お祭り騒ぎ」、「いじめ」を「嗜虐的攻撃(いじめ)」に書き換えた)加害教員グループがどれほど戦略的合理性(世渡り能力)に満ちており、どれほど狭い世界の「中核」として政治的に成功していたかを示すのが、前述の現校長の発言である。「この4名の教諭は本校の中核教諭です。指導力とともに力を持ち合わせ、私もこの先生から教えてもらうことが多かったです」「自分より力があり、口出しできなかった」(『FNN PRIME』2019.10.08)彼らが生きる教育的自治の「世界」に市民社会が介入したとき、彼らは破滅した。彼らの世渡り能力(戦略的合理性)は、教育の世界でうまくやることに特化しすぎており、外の世界が見えなくなってしまっていたのだ。このような教育的自治の世界がいかに有害なものであるかを、加害教員グループはくっきりと示してくれた。 〔PHOTO〕iStock 私たちは、日本のまちがった教育制度のもとで大繁殖する、教育的自治の世界から大きな被害を被っている(これについては、この『講談社現代ビジネス』での一連の論考、あるいは『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』などで繰り返し論じた)。だが、私たちは学校の集団生活を「あたりまえ」と感じるように習慣づけられてしまっているので、それが目の前にあっても見えてこない。だから学校が市民社会のなかの「別の世界」になること自体が、改善すべき社会問題と感じることはなく、結果、悲惨な事態はいつまでも続く。この、教育的自治の世界で大繁殖する残酷を、東須磨小学校の加害教員グループは、いわば10倍の倍率で拡大してみせて���れた。彼らは、細胞内の特定の構造をくっきりと浮き上がらせる染色液のような存在である。
神戸教員いじめの「残酷な支配構造」加害者が作り上げた「別世界」 - ライブドアニュース
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hananien · 4 years
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【S/D】サム���忘却の呪い(仮)1~4
ツイッターに画像で投稿しているS/D小説です。一万文字超くらい。まだ続きます。
もし魔女のロウィーナが、将来自分を殺す男になると知って攫い、殺してしまうつもりだった幼少のサムに情がわいて、自分の子として育てることにしたら? そしてハンターが”魔女狩り”に特化した集団だったら? という妄想から生まれた小話です。シーズン12の11話「忘却の呪い」をオマージュしています。アリシアやマックスという12から登場する魔女キャラにも出てもらってます(彼らはハンターだけどここでは魔女として)。
連載中の小説を書きたいとは思うんだけど宿便状態なので、ガス抜きに小話を書いてる現状です。なのでお気楽な感じで読んでもらえると。。
 サムの養い親である魔女いわく、日のあるうちの森は獣の領域。だから理性ある魔女や魔法使いは夜に活動し、昼間のうざったい太陽が地上を照らしている間は絹のシーツに包まって体力の回復に努めるのだという。サムにいわせれば怠惰の言い訳にすぎないが、夜更かしな魔女たちの生態がいとおしくもあった。何より夜の彼女らはサムなど足元にも及ばぬほど鋭い英知と魔力の使い手だ。ならば彼女たちと少しばかり生態の異なる自分が、早起きして夜の”活動”の手助けをするのは義務であるし喜びでもある。獣の領域というなら早朝の森は狩りをするのに恵まれた環境だ。彼女たちはウサギのシチューが大好きだけど、そのウサギがどこで泥の毛皮を脱いできて鍋に飛び込んでくれたのかは考えたがらない。
 自分が何者であっても、森を歩くのが好きな男に変わりはなかっただろうかとサムは想像する。下草を踏むたび立ち上る濡れて青い土のにおい。罠にかけた小さな獣をくびくときすら、森はサムと獣のどちらをも憐れんで祝福してくれる。森はサムのびっくり箱だ。彼は自分の生まれた場所を知らない。だけど彼の親がこの森の入口に彼を捨てたとき、赤ん坊と森のあいだに絆が生まれ、その瞬間から森がサムの故郷になったのだ。※
 そうだ。森はいつもサムを驚かせてくれる。かくれんぼで遊んでいた七歳の彼を、その懐の深さで半月のあいだかくまってくれ、養い親をすっかりやつれさせてしまった時のように。
 その日、狩りを終えたサムの目の前を、遅寝のウサギが飛び跳ねていった。茂みの奥に逃げ込んだウサギを彼は追いかけた。腰には今日のぶんの収穫が下げられていたけれど、もう一匹恵まれたって困ることはない。
 茂みの中から黒い毛皮が現われた。サムは手を伸ばそうとしてひっこめた。黒くもなかったし、毛皮でもなかった。朝露で濡れた短いブロンドがゆっくりとサムのほうを向いて、彼はアッと息をのんだ。魔女がウサギを化かして僕をからかおうとしているのか。そうでなければなぜこんな場所に、サムの知らない男がいる?
 ところがブロンドの男の懐からさっきのウサギがぴょんと飛び出して、サムの脇を通ってどこかへ行ってしまった。「バイ、うさちゃん」と男はいった。寝ぼけたように、低くかすれた、それなのに、ぞっとするくらい、やわらかな声だった。
 「僕はサム」と、サムはいった。まぬけ、と森がささやくのが聞こえた。もしくは自分自身の心の声だったかもしれない。
 男は重たげなまぶたを持ち上げて、サムを見上げた。 
 「やあ、サム」
 新緑、深い湖、砂金の流れる小川。男の瞳は輝いていた。
 森はまたもサムに驚きを与えてくれた。彼は恋多き魔女たちに囲まれながら、自分が恋することが出来るとは思っていなかった。
 この時までは。
 昼過ぎから始まるブランチの席で、気もそぞろなサムに、養い親のロウィーナはけげんな視線を送る。
 「今朝のウサギ、ちょっと血抜きが甘いじゃない? 生臭いのは嫌よ、われわれは吸血鬼ではないのだから」
 「そう?」 サムはぼんやりと答える。「そうかな? それ、缶詰の肉だけど」
 「サミュエール」 ロウィーナの視線がますます冷たくなる。
 「今朝の狩りは空振りだった?」 行儀よくパンをちぎってアリシアがたずねる。彼女は見た目だけではなく、実年齢もサムとさほど離れていない若い魔女だ。母親のターシャ、双子のマックスとともに、ここロウィーナの屋敷に下宿している。
 「今朝の狩り……」 思いもかけぬ収穫があったことを姉弟子にどうやって伝えればいいだろう。いや、とサムは意識の中で首を振る。
 魔女のなわばり意識の強さといったら、狼人間が可愛く思えるほどだ。人間が――しかもどうやら”記憶があやふや”な、身元の怪しい――神聖な魔女の森に入り込んだと知れたら、ロウィーナははっきりと戦化粧をして森へ勇み、彼を排除しかかるだろう。双子のアリシアとマックスも、彼らは敵とみなした人間に容赦はしない。つまり、明日のシチューの中身が決まるってことだ。
 サムはぶるっと震えた。靴の底から顎の奥まで震えは伝わってきた。春の始まりに色づく枝先のように初々しく、美しい彼の瞳が、よく炒めてから煮込んだ紫玉ねぎの横に浮かんでいるさまを思い浮かべて。彼の肉つきのよい白い二の腕を調理するときの甘い香りを想像して。彼の肉を食べる――残酷なはずの行為が甘美な誘惑に感じる自分にうろたえて。
 だめだ、だめ。そんなことにはさせない。彼のことは秘密にする。
 「今日は、思ったより暖かくて」 サムは本当のことだけを口にする。「血を抜くのが遅すぎて、ダメにしちゃった。毛皮だけはいで、肉は捨てたよ」
 「また寄り道をしたんでしょう。狩りのあとはすぐに帰ってこなきゃだめよ。獲物を持ったままウロウロしないの」 ロウィーナは血のような葡萄ジュースで唇を湿らせる。
 「でないとあなたが獲物にされるわ」
 サムはこっそりと屋敷を抜け出し、森の男を見つけた場所まで急ぐ。
 彼はそこにいなかった。けれどたどり着いた茂みの変わりようを見て、逃げたわけじゃなさそうだと安堵する。ただの茂みだったそこは、下草が踏みならされて空き地に変わり、中心の地面は掘られていて、男が簡易なかまどを作ろうとしていたことが見て取れた。
 がさがさ音がして、薪になりそうな枝を腕に抱えた男が戻ってきた。サムの顔を見ると一瞬で表情が明るくなる。「サム!」 男は枝を足元に落としてサムに近づいた。その両手がわずかに広げられているので、サムは自分がハグされるんだと気づいた。
 サムが躊躇いながら上げた腕の下に、男の腕が入り込んできた。肩甲骨の下に巻き付いた腕がぎゅっと彼の胴体を締める。”抱きしめられた”んだ。魔女たちはサムによく触れたがるけど、頬にキスしたり腕を組んだりするだけだ。
 こうして誰かに真正面から抱きしめられるなんて、初めての経験だ。他人の体温を腹で感じるのも。
 なんて心地がいいんだ。
 「また来てくれたんだな」 男はそのまま顔だけを上げて、同じくらいの高さにあるサムの目を見てにっこり笑った。
 サムはまぶしくてクラクラした。まるで、ああ、彼は太陽みたいだ――魔女や魔法使いが忌み嫌う太陽――けれど彼らが崇める月を輝かせる光の源。
 「来るっていったじゃないか」 サムはゆっくりと、舌が絡まないようにいった。ハグに動揺したなんて、彼の笑顔にクラクラしたなんて、知られたら、あまり恰好がつかない気がした。恋に長けた魔力使いの男女のスマートな駆け引きを思い返し、取り澄ました顔を作る。「ほら、パンとジュースを持ってきた。昨日から何も食べてないって、ほんとう?」
 「ありがとう!」 男はサムのぺたぺたと頬を叩いて感謝を表した。――状況を考えれば、それは感謝のしぐさで間違いないはずだ。サムにとってはあまりに親密すぎたので、すぐには思い当たらなかった。だけど、男は四六時中、出会った人間の頬をぺちぺちしてますとでもいうように平然として、その場に屈むとリュックの中を探りだす。
 サムは早まる動悸を抑えるため、こっそり深呼吸を繰り返した。
 「どうかな、憶えてないんだ。何も憶えてない」 男は瓶の蓋を捻って開け、すぐに半分を飲み干した。よほど喉が渇いていたんだろう。きれいに反った喉のラインを必要以上に凝視しないようにサムは気をつけた。「ほんとに、参ったよ。腹が減って、おまえの捨てていったウサギを焼こうと思ったんだ。でも火を熾す道具が見つからなくて」
 「何も憶えてないって、どうしたの? どうしてこの森に入ったんだ? 町からそんなに遠くはないけど、ここが魔女の森だってわかってるだろう? それとも、よそから来たの?」
 「それが、わかんねんだ」
 「何も憶えてないの? 自分の名前も?」
 彼は、驚いたように目をしばたかせた。まるで自分に名前あることすら、失念していたように。
 その様子に異様さを感じて、サムはまさか、と思った。記憶喪失の人間が、”自分の名前を思い出せない”と悩むことはあっても、”自分に名前があること”を忘れて明るく振る舞うなんてことがあるだろうか。この異様さは、まじないの気配に通じる。彼の様子は、身体的、精神的な後遺症による記憶喪失であるというよりも、呪いによるダメージを受けている状態だと思ったほうがしっくりくる。
 でも、まさか。だれが彼を呪うっていうんだ? 中世ならともかく、このセンシティブな時代に魔女が人間を呪うなんてありえない。
 「うーん、たぶん、Dがつく気がする」 男が考え込むと眉間にしわができた。「D、D……ダリール、ディビット、違う……。デ……デレック? パッとしねえなあ……」
 「ダンカン? ダドリー?」
 「うーん?」
 「ドミニク? ドウェイン?」
 「ドウェイン? いいかもな。おれをそう呼ぶか?」
 「それがきみの名前なの? 思い出した?」
 「うーん? 多分違う気がする。でもいかしてるよな」
 サムは首を振った。彼の愛嬌に惑わされてはいけない。「もう少し、思い出してみようよ。デイモン、ディーン、ダライアス、デイル……」
 「それだ!」
 「デイル?」
 「いや、もう一つ前の」
 「ダライアス? ディーン?」
 「ディーンだ!」 男はうれしそうに歯をむき出して笑った。「おれの名前はディーンだ。それに、思い出したぞ。おれには弟がいる」
 「いいぞ。どこに住んでいたかは?」
 男はさらにしわを深くして考え込んだが、しばらくしても唸り声しか出てこない。
 サムはちらばった薪を集めて、かまどの枠を組み立てた。気づくとディーンがじっと見つめていた。
 「何も思い出せない」 あっけらかんとしていた少し前と違って、悲しみに満ちた声だった。「どうしちまったんだろう。おれ。ウサギを抱いて、おまえを見つけた。それ以前のことが、何も思い出せないんだ」
 「たぶん……たぶんだけど、きみは呪われたんだ」 サムは慎重に言葉を選んでいった。「魔女のことは、憶えてる……というか、知ってるだろ? 今ではそんな悪さをする魔女は少ないけど、トラブルになる自覚もないまま、彼女ら――彼かもしれないけど――を怒らせて、呪われるってことも、ないわけじゃないんだ」
 「呪われた?」 ディーンは大きな目を限界まで開いた。「おれが? どうして?」
 「わからない。もしかしたら違うかも。でもきみ、どこにも怪我はないようだし、記憶がないっていうのに、やたら気楽だったろ。それにここは魔女の森だよ。人間は入ってこない。基本的にはね。なのにきみがここにいるっていうのが、魔女が関わっているっていう証拠にならない?」
 「おまえはずいぶん賢そうに話すんだな」 ディーンは鼻をすすった。水っぽい音がした。「何が証拠になるっていうんだ。おれはどうすればいい? どこに行けばいい」
 「ここにいればいい」 サムは火種のないかまどを見つめて、それから首を振った。「ここじゃだめだ。ここは屋敷から近すぎるし。僕の家族に見つかったらディーンが危ない」
 「何をいってるんだ? 怖いぞ」
 「大丈夫。もっと奥に、今は使ってないあばら家があるんだ。たぶん僕しか知らない。そこにディーンをかくまってあげる。僕は魔法使いなんだ――まだ一人前じゃないけど。いろんな本を読める。それに、僕の親はすごい魔女なんだ、ディーンにかけられた呪いを解く方法をきっと知ってる」
 「まて、待てよ。おまえが魔法使い? おまえの親が魔女? おれに呪いをかけたのはその魔女じゃないのか? ここはその魔女の森なんだろ?」
 「ロウィーナは人に呪いなんてかけないよ。そんなにヒマじゃないんだ」
 「わかんないだろ」 ディーンの声に水っぽさが増した。と思ったら、彼はぽろりと涙をこぼしている。サムは頬を叩かれた時以上に衝撃を受けた。こんなに静かに泣く人は見たことはなかった。
 「ディーン、ごめん。���かないで」 折れた薪の上に尻を乗せて、膝を折りたたんで小さくなっているディーンの横にしゃがみ込む。「大丈夫だよ。僕が守ってあげる。記憶を取り戻してあげるから」
 ディーンはサムを見つめて、まばたきもせずまた二粒涙を落した。サムを奇跡を見守っているみたいにじっと彼を待った。やがて彼は赤いまぶたで瞳を覆って、小さくうなずいた。
 「わかった。おまえを信じるよ」
 あずまやに移動して寝床を整えた頃にはもう日が暮れかけていたので、サムは急ぎ屋敷に戻らないといけなかった。夕食にはコックを雇っているとはいえ、実際に食卓を作るのは女主人であるロウィーナの指示をうけたサムだ。
 「また何か食べ物を持ってくるよ。遅くなるかもしれないけど、夜中までには必ず」
 「サム、おれの記憶、戻るよな?」
 小屋の質素な木戸を開けたサムは振り返る。戸の影で彼の不安そうな顔の半分が隠れてしまっている。サムより年上に見えるのに、心内を素直に伝えてくる瞳だけをみるとディーンは幼い子供のようだ。このまま留まりたい思いでいっぱいになる。
 彼が人間ではなかったら。彼が記憶ではなく、過去を持たない精霊だとしたら、それは森がサムに与えた贈り物なのではないか。
 彼を森の精霊だといって屋敷に連れ帰り、ターシャやマックスが連れているような使い魔として側に置く。何も知らず、誰と繋がりもない彼の唯一の主人となる。彼の食べるもの、着るもの、行動の範囲の一切をサムが指図し、彼のすべてを支配する。それがサムに、許されているとしたら?
 あるいは彼をこのままここに留め置いて、二人で秘密の生活を続ける。ディーンには記憶を取り戻す方法がなかなか見つからないといっておけばいい。小屋を出ればいかに危険かを言い聞かせれば、逃げられることはないだろう。
 違う。僕は彼を支配したいんじゃない。ただ彼に――
 「キスしたいな……」
 「えっ」
 「えっ、あっ、いや」 妄想が強すぎて声に出ていたと知ってサムは慌てた。
 「き、君の記憶は戻るよ、僕にまかせて。でも、いったん戻らなきゃ。ロウィーナは僕が家にいると思ってる。彼女は僕の部屋に勝手に入ったりしないけど、ディナーの準備に遅れたら魔法の鏡で覗かれるかも。僕がいないことがばれたら大騒ぎになる、森に捜索隊が出されたら大変だ。僕が行方不明になったのはもうずっと前のことなのに……」
 「サム、おれにキスしたいのか」
 「えっ」 サムは片手で戸にすがりつきながら唇をこすった。「なんで?」
 「なんでって、そういっただろ? おれは、憶えてる」
 そういって、自分の唇の感触を確かめるように、ディーンは舌をそろりと出して下唇を噛む。赤い舌と、暗がりでもきらりと輝く白い歯が、熟れたベリーのような唇から覗いた。サムは狩人の本能で手を伸ばした。指先が唇に触れ、湿った感覚がした。頬を滑った指が、耳たぶに触れると、そこは唇よりも熱かった。ディーンはため息を吐いた。
 「サムの手、でっかいな」
 ディーンは少し俯いて、サムの手が自分の項を包み込めるようにした。サムは夢心地で一歩近づき、両手でディーンの頭を抱く。後ろで木戸が閉まる音がする。ガラスの嵌っていない窓が一つあるだけの小屋の中は真っ暗になった。
 ディーンは目を閉じたままゆっくりを顔を上げた。親指の付け根に彼の穏やかな脈動を聞く。野性の鹿に接近を許されたときのように誇らしく、謙虚な気持ちになった。サムは初めてキスをした。
 何をいわれるかとひやひやしながら屋敷に戻ったが、ロウィーナは不在だった。かわりにアリシアがキッチンを取り仕切っていた。気が緩んだサムは今度はアリシアににやけ顔が見られないかと心配するはめになった。味見をして、雇いのコックにしょっぱいわね、でもこれでいいわ等と指示を出しながら、アリシアはサムを観察している。魔女というのはみんなそうだ。気安いふりをして他人の心を探るのに余念がない。
 食卓が完成するころにロウィーナとターシャが帰ってきた。二人が揃って出かけていたことにサムは驚いた。何か大きな事件があったのかと思い、それからあずまやのディーンのことがばれたのではないかと怖くなる。
 ロウィーナは冷静を装っていたけどイライラしているのは明らかだったし、ふだん泰然としているターシャもどこか落ち着きがない。
 「二人でどこに行ってたんだ?」
 食事が始まってしばらくして、マックスが尋ねた。サムは二人の魔女の答えを待つ間、ろくに呼吸もできなかった。ロウィーナがグラスを煽ったので、ターシャが話し出した。
 「ロックリン家よ。招待状を出しに行ったの。とんでもないことを聞かされたわ。大事が控えているから心配ね。おかしなことにならなければいいけど。ロウィーナ……」
 「ギデオンが死んだこと?」 ロウィーナはその話題を口にするのも腹立たしいとばかりにターシャをにらんだ。「大したことじゃないわ、あの腐った三つ子が今までそろっていたことが不吉だった。わざわざ私たちに話したのはサムの儀式にケチをつけるためよ。なめられたもんだわ、たかが数十年ばかりアメリカに入植したのが早いからって」
 「ロックリン家? 私もあいつらは嫌い。でもしょうがないわ、あっちは由緒正しいドルイドのスペルを持ってる」 アリシアがみんなの顔を見回す。「私たちにあるのは……実地で身に着けた薬草学に、星占術、たくさんの水晶。あちこちの流派を回って極めた最先端の魔法術。あれ……全然悪くないかも?」
 「さしずめ野草派ってとこだな」 マックスが調子を合わせる。「雑草と自称するのはやめておこう。でも、サムの儀式は予定どおりやるんだろ?」
 「もちろんそのつもりよ」
 「僕の儀式って?」 みんなが当然のようにいうから、サムは何か重要な予定を自分だけ聞き逃していたのかと焦った。ロウィーナとターシャ親子はともに定期的に魔法の儀式を行う。サタンへの忠誠を示し、魔力を高めるためだ。子どもにはまだ早いといって、いつものけ者にされていたから、どうせ自分には関係ないと思ってよく聞いていなかったのかも。
 「僕も儀式に参加できるの?」
 それを熱望していたのは覚えているが、ディーンを匿ってる今は避けたい。
 「いいえ、そうじゃない。サム。”あなたの”儀式よ」 サムが言い訳を探す間もなくロウィーナはいった。
 彼女は背筋をピンと伸ばしてサムを見た。「あなたはもう十六歳。サタンに忠誠を誓って一人前の魔法使いになる時が来たの。小さいころに教えたでしょ、森のストーンサークルで儀式を行う。この土地に住まう全ての魔女と魔法使いの立ち合いのもと、新しい魔法使いの誕生を祝うのよ」
 サムはあっけにとられた。「そんな――大事なことを、なんで――もっと前に、言ってくれなかったんだ」
 「逃げちゃうと困るでしょ」 アリシアがあっさりといってのける。「多感な思春期の子どもに”おまえは十六歳になったら”死の書”にサインしてサタン様の下僕になるんだ、それまで純潔を守れ”なんていったら大変なことになる。私もマックスも、知らされたのはその日の夕方。まあそれまでも、男の子と仲が良くなりすぎないように見張られていたけどね」
 「その反動が今きてる」 マックスが気だるそうに顔を向けて、双子はほほ笑んだ。
 「その日の夕方だって?」 サムは仰天した。「まさか、今夜?」
 「まさか。今日は招待状を出しただけ。儀式は明日の夜」 ロウィーナはため息を吐いて再びカトラリーを持つ手を上げる。「まあ、だから、明日の昼間の勉強はお休み。あなたは寝ていなさい。真夜中に始め、明けの明星が昇るまで行うのが通例なの。初めての儀式だから特に長く感じるものよ。主役が居眠りなんて許されませんからね、しっかり寝ておくことね」
 「私たちもその助言がほしかったわ」 双子が嘆くと、ターシャが「私の若いころなんてもっとひどかった。真夜中に叩き起こされて……」と話を始める。サムはそれを耳の端で聞きながら、味のしない肉を噛み締めた。大変なことになった。
 ストーンサークルはディーンをかくまっているあずまやのすぐ近くにある。ただの天然のアスレチックジムだと思っていた古ぼけた巨石にそんな使い道があったなんて知らなかった。
 ディーンを別の場所へ移す? いや、他に森に彼を隠せるような場所なんて思い当たらない。もしも永久に彼を森に閉じ込めておくっていうなら別だ――大木のうろ、崖下の洞窟、そういった場所を幾つか知っている――そこを拠点に家を作ることができる。何週間、何か月、何年もかけていいなら、サムは彼のために新しい屋敷だって建てられる――だけどそうじゃない。そうはならない。ディーンの記憶を取り戻して、彼の帰る場所を思い出せてあげるんだ。
 「ロウィーナ……聞いていい?」 サムは何でもないふうに装って質問した。「人の……記憶を消す魔法ってあるだろ? 難しいのかな?」
 当然ながら、何でもないふうに答えてくれる魔女はいなかった。みんながサムの顔を見るので、サムは急いで唐突に変な質問をした正当な理由を披露しなければならなかった。
 「思春期に……」 喉にパンが詰まったふりをして咳をする。「その、儀式のことを聞かされたって、ああそう、って受け入れる子もいるかもしれないだろ。まずは話してみないと。隠すのはあんまりだ。それで、すごくその子が嫌がったり、自暴自棄になるようなら、その時は記憶を消す魔法を使えばいいんじゃないかと、そう思ったんだ。ただ思いついたんだよ」
 一瞬、間があいて、マックスが「ひゅー」と口笛を吹くまねをする。「その考え方、俺は好きだな。冷酷で、合理的で。さすが、ロウィーナの一番弟子」
 ロウィーナは口元でだけ微笑み、ゆっくりと首を振った。「そうね、でも少し、短絡的よ。一時的に記憶を奪うことは、ハーブの知識があれば簡単にできる。だけど人の記憶を完全に消し去るのはとても難しい魔法なの。呪いというべきね。そんなものは仲間に使うべきじゃない」
 「一時的なものだったら、ハーブを使えば治る?」
 「ええ。ジュニパーベリー、それとほんの少しのベラドンナ……」 ロウィーナはスープをすすりながらすらすらと必要なハーブの種類を挙げていく。サムは記憶しながら、どれも屋敷の薬草庫や温室から拝借できるものだと思って安心した。「……マンドレークの頭をすり鉢にしてそれらを混ぜ合わせ、魔力を溜めた水に浸す。それを飲むのよ。簡単でしょ」
 「それは記憶を失わせるほうのレシピじゃない?」 薬草学に長けたターシャが口を出す。ロウィーナはそうだったわと頷いた。「記憶を戻すほうなら、ベラドンナを入れちゃだめだった。だけどそういったハーブの魔法は時間とともに解けるから、ふつうはわざわざ作らないのよ」
 「記憶をあれこれする魔法はドルイドが得意だったわね。ロックリン家にも伝わってるはずよ、あの書……」 ターシャは訳ありげな微笑みをロウィーナに向ける。「”黒の魔導書”。あれのせいで多くの魔女が高いプライドを圧し折ることになったわ。まあ、でも、今ではちょっと時代遅れね」
 「あいつらの頭は中世で止まっているのよ」 ロウィーナは憎々し気につぶやいて、ツンと顎を上げた。
 その夜中、各々が部屋に戻ってそれぞれの研究や遊びに没頭している時間、サムが眠っていることを期待されている時間に、彼はこっそりとベッドを抜け出してキッチンに忍び込んだ。用意したリュックサックにパンと果物を詰め込む。早くディーンのところに戻りたかった。空腹で不安な思いをさせたくないし、新しいランプを灯して暗闇を払ってやりたい。それになにより、彼と話がしたかった。記憶がなくてもかまわない。彼の声を聞いていたい。彼にどうして僕とキスをしたのと尋ねたいし、どうして僕がキスをしたのかを話して聞かせたい。もう一度キスをさせてほしいといったら彼は頷いてくれるだろうか。サムは期待でうずく胸を押さえた。断られないだろうという確信がそのうずきを甘いものにした。
 「サム?」 暗がりからロウィーナが現われてサムの心臓は押さえたまま止まりかけた。冷蔵庫のドアを開けてうずくまる養い子をしばし見下ろして、ナイトドレスにローブを羽織った彼女はふと目元をやわらげた。
 「眠れないのね。儀式の話をしたから」
 「う、うん。そうなんだ。喉が渇いて……」 サムは冷蔵庫のドアを閉めて立ち上がり、足元のリュックを蹴って遠ざけた。暗いから見えないはずだ。
 「心配することはないわ。あなたはただそこにいて、”死の書”にサインをすればいいだけ。あとは私たちの長い祝福を聞いていればいいのよ。夜が明けるまでね」
 「勉強はたくさんさせられてるけど、夜更かしの授業はなかったな」
 「何をいってるの。あなたが毎日遅くまで本を読んでいること、呪文や魔法陣の勉強をしてることは知ってるわ」 ロウィーナはそういってサムを驚かせた。彼女は手を伸ばしてサムの伸びた前髪を撫でつけてやった。
 「情熱のある、熱心な生徒を持って光栄だわ。あなたはきっと、偉大な魔法使いになる。私にはわかる。あなたがほんの赤ん坊のころからわかってたわ」
 「森で僕を拾った時から?」
 んー、とロウィーナは目を細めて考えるふりをした。「やっぱり、あなたが自分の足でトイレまで歩いていけるようになった頃かしらね」
 サムは笑って、自分を育てた魔女を見つめた。彼女の背丈を追い越してもうずいぶん経つ。彼女がサムの身体的な成長について何かいったことはなかった。けれど時々、彼女が自分を見上げる目が、誇らしく輝いているように思える瞬間があって、サムはその瞬間をとても愛していた。
 「ロウィーナ」
 「なあに」
 「僕、成人するんだね」
 「魔女のね。法律的にはまだ子ども」
 「ロウィーナのおかげだ。僕、あなたの子どもであることが誇らしいよ」
 ロウィーナの目が輝いた。
 「まだまだ独り立ちはさせないわ。もう少し私のしごきに耐えることね」
 「覚悟しとくよ」
 ロウィーナは冷蔵庫を開けて水のデカンタを取り出した。キッチンを出ていこうとする彼女の柳のような後ろ姿に息を吐いて、踏みつけていたリュックを引き寄せる。何か思い出したようにロウィーナが振り向いて、サムは慌ててまたリュックを後ろ脚で蹴った。
 「いくらでも夜更かししていいけど、明日の朝は狩りに行っちゃだめよ。食事の支度は双子に任せるから」
 「なんで?」
 ロウィーナは肩をすくめた。「ロックリン家のギデオン。彼が死んだのは夕食の時にいったわね。死体が森で見つかったのよ。彼らの領地は森の東側だけど、ハンターはそんなこと気にしないわ」
 サムはギクリとした。「ギデオンはウィッチハンターに殺されたの?」
 「魔女を殺せるのはウィッチハンターだけよ」
 「だけど、そんなのニュースになるだろ」
 「正当な捕り物ならハンターは死体を残さないし、カトリーナの様子じゃ何かトラブルを隠してる。だけど巻き込まれるいわれはないわね。しきたりだから、明日の儀式には彼ら――生き残った二人の嫌味なロックリン家――も呼ぶけれどね。森にはハンターがひそんでいるかもしれない。目撃者がない状況でハンターと遭遇したら、やつらがいうところの違法行為がなくても逮捕されるわよ。だから、サミュエル、明日の儀式にみんなで行くまでは、森に入っちゃだめ」
 「わ、わかった」
 ロウィーナが行ってしまうと、サムは念のために一度部屋に戻って、ベッドサイドのランプを付けた。それから温室に忍び込み、ハンガーに吊るされているマンドレークを一根、それと必要なハーブを掴んでリュックに詰める。温室の裏口からこっそりと抜け出したサムは、二階で休むロウィーナに心の中で詫びながら、パーカーのフードを深くかぶって、まっすぐ森へ向かった。
◇ ◇ ◇
ツイッターにも書いたけど設定だけは壮大。このあと・というかいま書いてるのは三部作のうちの一部でディーンとは別れて終わる。そしてサムは魔女の権利向上のために戦う革命戦士もどきになり、ハンターのディーンとは敵対関係に。。というロミジュリな。でも大ボスはUKの賢人か悪魔かチャックにでもして魔女もハンターも同じ側で戦うんだな。(そのあたりはボヤボヤ)最終的な問題は二人が兄弟だってどうやってばらすか、ばらした時の反応はどうするかだけど、その時にはもうやることやっちゃって覚悟できてるサミさまになってるだろうからきっとなんとかなる。
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oka-akina · 4 years
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9月22日
 電柱と、それによりかかる電柱と、たぶんなにか看板、ぜんぶまとめて覆い尽くすように葛のつたと葉っぱが生い茂って、緑色のでっかいでっかいペンギンが立っているみたいなかたちだ。対向車のいない信号待ち、だだっぴろい道路の向こうに見えた。田んぼと畑と荒れ地、「スクラップ」とか「レンタルコンテナ」とかの看板、うず高く積まれた自転車らしきもの。盛り土には雑草がにょきにょき生えていた。遠くにamazonの倉庫。  弟1のアメ車は幅が広くてケツがでかくてえっらい鼻が長く、よくもまあこんなにおおきな車を運転できるなあと驚いた。ミラーのところに錆び加工がしてある凝った車だ。四人も乗れない、狭くて無理だと弟1は渋ったが、乗ってみたら言うほど狭くはなかった。弟1、弟2、夫、わたしの四人で出かけた。  車高が低いので60kmでも疾走感があるなと夫が感心した。そうして「まあこういう原野にアメ車は似合う気もしてきたな」とちょっと悪い笑い方をする。田んぼや畑なんだから原野ではあるまいが、ようするに自分の地元をいじっている。そうして、川の両岸に木と草となんかよくわからんものが鬱蒼とはびこりジャングルみたいで、たしかに、「人の手が加えられていない自然」と言いたくはなった。ところで弟2もアメ車に乗っていて、夫だけハイブリッドの国産車で、なんとなく「三匹の子ぶた」みたいだ。わらの家、木の家、れんがの家。このわらの家はとてもとても格好良い。
 お彼岸の墓参りということで夫の実家を訪ね、夫の弟たちも来ていたので、久しぶりに家族そろったという状態になった。わたしは実家よりむしろ気をつかわないので、というか適度に気をつかい適度に気を抜き適度に甘えたり一線をひいたりしており、夫の実家だから夫マターでやってくださいよという姿勢というか、判断はぜんぶひとまかせにするというか、結婚して十年になるけどギリギリまだ客だろうというか、あんまりいい言い方じゃないけどともかく頭をつかわない、流れに乗って過ごす。弟1と弟2が独身で、夫とわたしには子どもがいないので、現状四人みんな「子ども」の立ち位置というのもあると思う。孫はとか結婚はとか多少ふざけて口に出すことはたまにあったけども、最近はあんまりそれもなく、まあこんなところでしょうという感じ。ちょっと気をつかうくらいの間柄のほうが友好というか平和というか。夫の母は前に会ったときよりちょっとやせていて、もともとやせているけども、いまは体重が三十キロ台だというのでちょっと心配になった。子どもなりに。  墓参りはものの数分で済み、夕方だったからすずしかった。どこも道がけっこう混んでいた。買ってきた寿司と焼き鳥(すべて豚)などを囲み、弟2が「自粛期間中に料理にはまった」と作ってくれた鶏チャーシューをつまみ、ちょびっと酒を飲んだ。順番に風呂に入りながら、弟1がTENET観たいんだよなと言い、弟2とわたしも観たいと言い、じゃあ明日観に行こう、このへんでやってるか? 9:20上映だけど起きれるか? 起きれる、みんな寝坊したらおれだけでも行く、などと話はかたまった。もうだいぶ前の正月、わたしの妹も加えて五人でワンピースの映画を観に行ったことがあり、あのときはまだみんな二十代だったかもしれない、たぶん三人ともそのときのことを思い出していた。  夫はもう寝ていたので、明け方トイレに起きた夫に、映画観に行くことになったよと寝ぼけながら伝えた。夫も寝ぼけていたが「まあいいだろう」となんかえらそうな、というかぺこぱみたいな返事をした。実家に行くとテレビをけっこう観る。
 農道をぶっとばしてショッピングモールの映画館へ向かった。映画館はすいていた。席がひとつ飛ばしのためもあるかもだけど、そんなに人がいないように見えた。チケットを買うとき、弟1が「とにかくうしろの席がいい」と主張し、受付の人が四人並びですと最後列は空いてなくて…とべつの列を指してくれるのを、ばらばらでかまわないから今あるいちばんうしろに座りたいのだと弟1はぶつぶつ言い、夫が「2:2でやってください」と言った。四人分のチケットをいったん夫がまとめて支払い、弟2がごち!ごち!とはしゃぎ、夫はいやな顔をした。いやな顔というポーズで、ごはん代含めてあとで仲良く精算するのはわかった。  映画のなかみの話は詳しくしないけども、わたしはこのテの話は「世界がぜんぶ・全員消えちゃうんならべつにそれでよくない…?」という気持ちになっちゃうので、なんでみんないっしょけんめい戦ってんのかわかんないからともかくそれはそういうものとして観ることになり、ともかくそれはそういうものとして面白い…という感じになる。インタステラーでも思ったけど、ノーランは画作りにあんまりこだわりがねえんじゃねえかなあとも思う。金塊をぼっこんぼっこん落としながら飛行機が体当たりするとかは映画だ!ってギャグで、面白かった。映画だ!ってギャグを全力でやってる映画は楽しいよなーと思う。そしてわたしは楽しくない映画も好きだし楽しい。  ただもう、そんなことより、三匹の子ぶたみたいなぜんぜん趣味のちがうこのきょうだいたちがみんな退屈せずに面白がっていたので、観に来てよかったなあと思った。この人たちみんなが楽しいのってこういう映画なんだなあという発見もあった。わたしはふだん映画は一人で観るので、四人でぞろぞろ観ているのが新鮮でもあった。  映画館を出た瞬間「わかった?」「わっかんねえ」「最初のテロはどうなったの?」「おれは七、八割わかった」などと話しあい、コーヒーを飲みながらおのおの「TENET 解説」で検索し、しばし四人無言になり、やがて「やっぱニールは死んでんじゃん」「かわいそうじゃん」「なんで妻は酸素マスクいらんの?」「二回回転扉入ってるからだよ」「他人の解説を読んでもわからん」「youtuberの解説動画があるよきっと」「船から引きずられてるけどあれは死んでる?」「世界がぜんぶ消えちゃうんなら息子がどうとかいうレベルじゃなくない?」「歯はどうやって元に戻したのか?」「インドのおばさんがめっちゃ悪いってこと?」などなどバカまるだしの(というかいっさい格好つけない)感想をしゃべりあった。弟2がドヤ顔でTENETの回文の画像を見せてくれ、夫がすかさず「酢豚作りモリモリ食ったブス」と回文をとなえ、ということはもし邦画なら、「酢豚」という武器商人と「モリモリ」という組織ということもあり得る…などと話し、ところでわたしは回文であってもブスとはあまり言いたくないので「イカのダンスは済んだのかい」とかがいいな…と思った。イカって名前の武器商人。  そのあとみんなでラーメン屋に行き、すごく濃いつけめんを食べた。広い広い畑の真ん中、そこだけちょびっと工場地帯みたいになってて、そのはじっこにぽつんとあるラーメン屋で、「バグダッドカフェ」みたいだと思った。つけ麺にのっていた煮豚のチャーシューが分厚くて、でも箸でほろほろ崩れ、どうやったらこういうふうにやわらかくなるんだろうと昨晩鶏チャーシューを作った弟2が言う。店のテレビでは天気予報がやっていて、台風の予想進路を弟1と夫が黙って見上げていた。
 家に帰り、夫の父が精米に行きたいというので夫が車を出すことになった。30kgちょっとあるから一人では無理だ、そしてアメ車じゃ米はのらない(のせにくい)からということになり、面白そうなのでわたしもついていった。ホームセンターのはじっこにあるコイン精米機。去年「精米」という短編を書いたけども、あれは主人公の兄が車をぶつけられ、実家を訪ねた主人公が精米しに行くという話で、なんか小説の筋をなぞっているみたいな感じで、ときどきそういうことがある。書いたことをあとからやってみるみたいな。30kgの米袋はとても重く、夫と夫の父が二人で持ち上げた。これよりちょっと重いのがお母さんだねと言おうとしてやめといた。精米したての米はあたたかく、袋ごしでもほかほかしていた。夫の家の前の道路は狭いので、バックで入り、逆行逆行とTENETの話をした。  となりの家の夫のおさななじみが、たまたま帰ってきていて、来週からベトナムに単身赴任になるそうで、夫はちょっとあいさつしに行った。気をつけてなとしゃべったあと握手を交わし、めずらしく握手なんかしたのは、たぶんさっき映画を観たからだと思う。  夕方早めに帰り、やはりなんだかんだ疲れていたのか、自宅に着いてすぐわたしも夫も昼寝(夕寝)した。つけ麺で腹いっぱいだったので、めかぶと冷ややっこで夕飯にし、精米したての米を炊いた。米を洗おうとしたらまだあたたかくてびっくりした。
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herbiemikeadamski · 2 years
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 5月14日(土) #大安(丁卯) 旧暦 4/14 月齢 13.3 年始から134日目(閏年では135日目)にあたり、年末まではあと231日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 「おはこんにちわ」😅💦大寝坊にも 程がありますよね↴⤵️⤵️⤵️それに☔ 「やっぱり」ですかなんですが午後 から止むのを期待しましょうか😅💦 ちと、遅すぎるので今朝は失礼します。 . 今日一日どなた様も💁‍お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #名古屋城焼失. 第二次世界大戦も末期の1945(昭和20)5月14日(月)未明に日本に降伏を迫るため、米軍はB29爆撃機で  攻撃目標を「名古屋城周辺」とし、名古屋城を右旋回する形で人口が密集する5カ所に設定した。  1時間以上におよぶ爆撃で名古屋は火の海になり、直接の攻撃目標では無かった国宝だった名古屋城が  巻き添えになり石垣だけが残り全焼してしまった悲しい日です。  記録では、名古屋城では、天守、本丸御殿などを主要な建造物が焼失とあり。  金鯱を避難させるために組まれていた足場に焼夷弾が引っかかり、そこから上がった火炎が城全体を  火だるま状態にしたとある事から推測すると明らかに標的であったに違いない気がしませんか?  辛うじて戦災を免れました一部を残った事を良い事に米軍は大嘘の報告を日本に言い訳しています。 . #大安(ダイアン). 「大安日(にち)」の略。 陰陽(おんよう)道で、旅行・結婚など万事によい日。 一切合切(イ���サイガッサイ)が良いとされる日。「大いに安し」の意味。 六曜の中で最も吉の日とされる。 何事においても吉、成功しないことはない日とされる。 六曜は、暦注の一つで、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種の曜がある。 . #一粒万倍日(イチリュウマンバイビ).  一粒万倍日は何事を始めるにも良い日とされ、特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに吉であるとされる。  但し、借金をしたり人から物を借りたりすることは苦労の種が万倍になるので凶とされる。  また同じ意味合いで、借りを作る、失言をする、他人を攻撃する、浪費などもトラブルが倍増するので避けたほうがいいとされている。 . #天恩日(テンオンビ).  天の恩恵をすべての人が受ける日。 民間暦でいう吉日の一つ。 , #母倉日(ボソウニチ).  暦で、母が子を育てるように、天が人間をいつくしむという日。 , #種痘記念日.  種痘(しゅとう)とは、天然痘の予防接種のことで、ワクチンをY字型の器具(二又針)に付着させて上腕部に刺し、円形の傷を付けて皮下に接種することです。 . , #チャップリン来日.  1932年チャールズ・チャップリンが初の来日。 , #VSOP運動の日. . #マーマレードの日. . #碁石の日(#ごいしの日). . #けん玉の日. . #ゴールドデー. . #温度計の日. . #丸大燻製屋・ジューシーの日(毎月14日). . #聖衆来迎練供養会式(毎月14日). . #パラグアイ独立記念日.5月15日まで . #リベリア国家統一の日. . #イエローデー・ローズデー(#韓国) . #2022 ITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会(2022 ITU World Triathlon Yokohama)  横浜市山下公園周辺特設会場(山下公園スタート・フィニッシュ) ( 神奈川県 ) 5月14日(土)-5月15日(日) 【主催】 世界トライアスロンシリーズ横浜大会組織委員会 . . ■今日のつぶやき■. #草を抜かざれば木も茂らず(クサヲヌカザレバキモシゲラズ) 【解説】 木のねもとにある草が木の繁茂の障害になっていることから 群小の障害を取り除かないと、大事は成就しないという教え。 . . 2002(平成14)年5月14日(日) #白本彩奈 (#しらもとあやな) 【女優、モデル、元子役】 〔東京都〕 . . (at 牧野記念庭園) https://www.instagram.com/p/CdhRMQwhXnrD2N1HSRAgUmd2BLiEKE9AKuanqg0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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oisiihito · 1 year
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オウシュウは息をあげて、木にもたれかかる。シダの葉が彼の足をくすぐり、どこからともなく風の歌が聞こえる。おれはいまどこにいるのだろう。ウェンズデイは!ウェンズデイはもうついてきてはいない。彼女を置いてここまで走ってきてしまった。オウシュウは自分がいま置かれている状況に愕然とした。おれはいったい何をやっているのだろう。そう考えると、彼は急に怖くなった。少女を見失った。ウェンズデイもいない。フォレストも見つからない。この深い山の中で、彼はさびしいほど独りぼっちだった。彼は今すぐにでも家へ帰ってあたたかいシャワーを浴びたかった。そして成分調整牛乳を飲み、組み立てたばかりの新しいベッドにもぐりこみたかった。しかしここは得体のしれない奇妙な山の中で、彼はいま実に独りぼっちだった。そのことを実感すると、彼は急激に疲れていくのを感じた。意識がずっと奥のほうに追いやられているような感覚になった。眠気ももちろんあった。しかし、今はとにかく歩かなければならない。ウェンズデイとフォレストを探さなければならない。オウシュウは長靴を履きなおすと、またぬかるんだ山の中を歩き始めた。
しばらくして、オウシュウは妙に開けた場所に出る。そこは半径が十メートルほどある円形の空き地で、木も草も何も生えていなかった。地面がまっさらな裸になって濃い土の色が剥き出しになっている。その場所は何かしら神聖なものを感じさせた。何かが起こりそうな予感がする。不安と期待の混ざったような雰囲気が、いつの間にか辺りに充満していた。彼は、その空き地から少し離れた針葉樹の後ろに隠れて、様子をうかがいながら、じっと待ってみることにする。オウシュウが歩みを止めると、山はもう何も語らなかった。耳の張り裂けそうな沈黙が彼の周りを覆って、薄汚れた月の明かりが何かの具合で時々差し込んだ。
どれくらい経っただろうか、誰かがあちらからやってくるのがわかる。オウシュウから見て左側の茂みから何かがこちら側へ、というよりはその空き地に近づいているようだ。それは一歩また一歩と空地へと近づいてくる。オウシュウは息をのむ。その音もうるさいほどに、山は厳しい沈黙を保っていた。茂みから何かが姿を現し、月明かりがその姿を照らす。足元から上半身へと、月明かりがその影を伸ばす。それは、ウェンズデイだった。彼女はうつろな目をしながらぼんやり右斜めへと視線を移し、頼りない歩幅で歩いていた。その後ろから、フォレストが現れる。フォレストは傷一つなく、相変わらず緑色のきれいな毛並みをその身体に備えてはいたが、彼もウェンズデイ同様、うつろな目をしながらそのすぐ後ろをとぼとぼと歩いていた。オウシュウはすぐ彼らに駆け寄ろうとした。彼らをこの手に抱きながら、早くこの山から抜け出そうと思った。そう思うと彼はまた泣きたくなった。オウシュウの身体は冷え切っていた。早く帰ろう。もう全部終わりでいいのだ。しかしその考えとは裏腹に、彼の身体は動かなかった。というよりまったく動かすことができなかった。疲れよりも先だって何かが彼の身体をそこに押しとどめていた。本能よりもさらに深いところからの信号が彼の身体を捉えていた。彼は身体を動かせずに、ただウェンズデイとフォレストが空き地にたたずんでいるのを眺めていた。目だけがやけに滑らかに動いた。
ブルーのワンピースを着た少女と、電話口の男が姿を現したのは、月の明かりが消えた後だった。
オウシュウが電話口の男のことを認識できたのは、彼が少女と喋る声を聞いたからだった。その声はあの時とまったく同じように中立的で、事務的な響きだった。男は暗闇と同じ真っ黒なスーツに身を包んでいた。顔はずっと見えなかったが、やけに背の高いことだけが分かった。少女は汚れ一つないワンピースを着ていた。とてもさっき、オウシュウに追い掛け回されていたとは思えないほど全身が清潔に保たれていた。
男と少女は何かを話しているようだったが、その内容までは位置的に聞き取れない。彼らはウェンズデイとフォレストの周りをぐるぐる回りながら、何かを点検しているように見えた。そして一通りの点検を終えると、ウェンズデイの服を一枚ずつ脱がし始めた。まず長靴とサマーニットを脱がせ、それからスキニージーンズのチャックを下した。男が脱がせた服を少女が畳んでいった。ウェンズデイは眼鏡を残して、あっという間に裸になった。彼女の裸体はやがてまた現れた月に照らされ、その美しい曲線の淡い影を地面に落とした。次に彼らはフォレストの緑色の体毛を剃刀で丁寧に刈り取っていった。そのきれいな緑色の毛は、彼らの手によってみるみるうちに剥がされていき、フォレストは、なんだかみすぼらしく醜い、うす禿げた犬になってしまった。それから彼らはとてもよく研がれたステーキナイフで、ウェンズデイとフォレストの喉を掻き切っていった。彼らの喉は 'ぱっくり' と割れ、噴水から水が飛び上がる要領で、喉から血が勢いよく流れ出た。男はウェンズデイを、少女はフォレストを逆さに持ち上げ、血を最後の一滴になるまでその空き地に吸わせた。何度も何度も、ドレッシングの残りを絞り出すみたいにして両足を持ち、上下に振った。オウシュウはそれを見ている間、何も感じてはいなかった。ただその様子をじっと見ていた。その光景を忘れないでいようと思った。何かが彼の中で燃え始めていた。しかしそれはあくまでも彼の中で起こっている出来事で、決して外には出ない。ただ確かに、彼の中で何かが燃え始めていた。静かな炎が、彼の中で何度も何度も揺れる。
男と少女は死体を二つ並べると、マッチを擦り、新聞紙に火をつけ死体に焚べた。最初、炎は淡く揺れていたが、何かのきっかけで、パチパチと音をたて急に大きくなった。その炎を頼りに、男は38本の煙草を吸い、少女は小説を読み進めた。男は何度も深く息を吐き、正しく煙草を吸い続けた。小説を読む少女の横顔は、清閑そのもので、デューラーの宗教画みたいにみえる。炎は長い間燃え上がり、そして灰になった。彼らはウェンズデイとフォレストの死体が灰になったのを見届けると、またその小さな声で少しだけ話をして、山の中へと引き上げていった。何度か強い風が木々を縫うようにして吹きつけ、そのあとにはもう何もなかった。辺りは薄く、明るくなり始めている。オウシュウは自分の身体が動くことを確認すると、振り返らず、ひとりでに山を下り始めた。彼の中で燃えていたものはもうすでに尽きて、あの空き地と同じように、後には何もなかった。怒りも後悔も、不思議と悲しみもなかった。彼は山の中を歩き続ける。低い地鳴りのような音が、彼の身体の中から聞こえる。私たちはそれに耳を澄ませる。
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