Tumgik
#暑さ耐性
taico-favorte · 2 years
Photo
Tumblr media
あっつー☀( *¯ㅿ¯*)💦 * * #暑さ に慣れぬまま#梅雨明け しちゃったから#例年より #暑さ耐性 がない気がする💧 #義実家 の事で#バタバタ してるけど、#水分補給 と#休憩 を忘れずに取りたいです👍 #ルイボスティー に#麦味参顆粒 をin ✨#華泰茶荘 の#エコ水筒 (#華泰エコ水筒 )。#お気に入り で#愛用 してるけど、日本の店舗閉店しちゃったので#部品が買えない 。最近ステンレスボトルさえも重く感じる疲労度😂#軽くて丈夫 な水筒は#重宝してます ❤️ * #ハッシュタグからが本文 #ロビンちゃん #黒ねこロビンちゃん #黒ねこ意匠 (@kuroneko_design )様 。#スマホ越しの私のソフビ #スマホ越しの私のロビンちゃん https://www.instagram.com/p/Cf2v-FipAlI/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
kaoriof · 9 days
Text
(昔の日記です、お気に入りの文章教えてくれたらモチベになります……)
日記
その日は朝からジョギングをした。いつも昼過ぎぐらいに起きていたから、朝8時の街のざわめきがあんなにも違和感なく受け入れられていることに驚いた。結局少し走っただけでくたくたになってしまった。川を眺めながら、ゆっくり、ゆっくり歩いて帰る。鈍色の川だった。1週間に1回くらい、いままで生きたすべての生きものの屍が、地を踏む私の足裏のずっと奥底にしずんでいることを思い出して、不思議な気持ちになる。恐竜もそう、目に見えない小さな微生物も灰ほどの大きさになって光景の一部にちゃんと溶けている。そのことに深く安心して、わたしは好きな人たちのことをちゃんと思い浮かべられる。調べたら、紀元前5万年前から今までに誕生した人間を合わせると、1082億人もいるらしい。1082億人もの人間たちが流した血を、蓄えた知恵を、つないでいった命のことを考える。丘丘を越える風や、夜と花との匂いに触れると、結局いつもそんな想いに辿り着く。昼からは医療脱毛の予約が入っていた。ほぼ素っ裸になって赤い水性ペンで体のあちこちに線を引かれて、ぱちぱちした熱くて痛い光に耐える。わたしの褐色の身体だっていつかあの、深いところにある脆い、目に見えない、灰になってしまうのになあ。電車に揺られながら、ゴミ溜めに差す光を見つめていた。小説の中の、「眼を傷つけるほど鮮明に」という表現を気に入ったので、メモに残す。細い雲が花嫁の白いヴェールのように空に広がっている。なんだか浮かれていた。アルバイト先で出勤打刻を入力して、都合よくふたりきりになった同期の男の子に思っていることをべらべらしゃべってしまった。なんかもう誰に何を思われるとか誰かと何かをくらべるとかそういう事柄に鈍くなっている。バイト前にスタッフルームに入るといっつもからだをじろじろみてくるあの人、ふと見たら私の足を見つめてて、それ以来マジで無理になっちゃった。なんかたまたま目に入る情報の引きのわるさに自分でもびっくりしちゃうの。街歩いてたらちょうどだれかが小便してたり、ちょうどネズミが裏路地からでてきたり、恋人と上手くいってない時にインスタを覗けばちょうどだれかの記念日だったり、そういうの。でもこのあいだ西加奈子の白いしるしっていう本を読んだんだけどね、富士山に関係している話なの。それでたまたまわたしも来月山梨に行くの。こういう「ちょっとラッキー」みたいな軽くてふわふわした柔らかな偶然が、積み上げられたいやーな記憶を許してくれるの。こんなことを永遠に喋っていて、性格が悪いと思われるかもと不安だったけど、その人の方がわたしよりも5億倍くらい性格が悪かったので、あとはふたりでお偉い人が休憩から戻ってくるまでげらげら笑った。その夜はなんだかお酒でも飲みたかった。それで全て忘れ去るのは惜しいけれど。読まなきゃいけない本よりも読みたい本を読もう。学ばなきゃいけないことよりも、からっぽにみえる毎日のしずけさに意味を見出したい。恋人に別れを告げたのは自分なのに、会ったら触りたくなっちゃった。そういうこともあるよねー
無題
この人でいい、じゃなくて、「この人がいい」という感覚と大事にしていきたいと思う。4連勤目、ありがとうの一言も言えない禿げたひとたちにへらへら愛想を振りまく。やさしさに見返りを求めてはいけないなんてほんとうに馬鹿げている。わたしは自分に見合う対価をいつだって求めてるし、それを与えることこそが相手への敬意を表明する最適な手段だとずっと信じている。なんかもう無理、みんなキモイ。足裏も首も肩も痛い。インターネットばかり眺めていたら、夕陽の映る海も連なる山々も消費するものの1つに思えてきて、相当心が疲れているんだなあと自負する。色欲も皆無で、今ならどんなイケメンであろうと抱かれない自信があるくらい。言葉にできない日々こそ尊いのか、はたまた言葉に値しないものなんて、記憶されるに値しないものものなんてその程度なのか。通り過ぎた過去と進むべき未来の間で、ただ棒立ちしている。ただ、減っていくフォロワーの数値を眺める。わたしがその人の人生からいなくなる瞬間に、前よりもなんかすこしだけほっとする。
無題
ふと、あーこんな文章書くのやめて男子高校生のフリして架空の日記をつらつら綴っていきたいなーなんてことを思った。好きな女の子が教室に入ってくるあの瞬間に世界の色が変わって、空間がぐわんと無音で一新するかんじとか、廊下にひびきわたる古びたオルガンの重低音。蛇口から溢れる生きものみたいな水に顔をうずめて、あつい夏をのりきる。シャトラルランのアナウンスに合わせて、きゅっきゅと靴が床の光沢を擦る。太陽はギラギラ照って、それと同じ純度でみんなの肌が光る。時間にゴールテープがあったら、あと何回わたしはそれを切っていけるのだろう。いまはもっぱら実家暮らしを卒業したいと思っているけれど、いつか女であることを卒業したいと思う日がくるのかもしれないしそういう不確かなことばかりで全部うごている。ガガーリンの「地球は青かった」という台詞は有名だけれど、あれ、ほんとうは「地球は青いヴェールをまとった花嫁のようだった」と言ったとする説もあるらしい。わたしたちみんな青いヴェールをまとった花嫁のように生きていきたい。不確かで不透明な身体、心、ちいさな葛藤や、変化、醜さを直視する必要なんて全くないんだ。
無題 
黒いワンピースを大学に着て行ったら、先輩に黒が���合うと褒められた。わたしが可愛げなく「黒なんて誰でも似合う無難な色じゃないですか」と返すと、黒が似合う人ってほんとうは2割ほどしかいないらしいよと言う。でも先輩、黒いウェディングドレスなんてどこにもないじゃないですか。
とことんついていない日が続いている。空きコマにカラオケに立ち寄ったら、店員の不手際によってひどく待たされた。しかも音質がぼろぼろで、もうなにを歌っても音痴に聞こえてしまって、さいごのほうは泣きながら宇多田ヒカルを歌っていた。やることが多すぎて、依頼書添削の通知が���夜2時にきたりする。ぜんぶやめたい。
大学の文化祭実行委員をやっているのだけど、新規統括が決まった。これから新規が入ってくる中で、だれがどういう立ち回りをするか。新規統括の下にチームリーダーも2人いて、みんな多分わたしと同じくらい忙しいのに同じチームの人のタスク管理まで把握しているし、守らないといけない表記基準もちゃんとおぼえている。人の振り見て我が振り直せっていう諺、あったなあ。今は等身大にきこえる。
無題
ぽつぽつとした雨の音が家をまあるく包みこむ。包丁で水気の多い野菜を切る音やテレビの雑音を絡めながら一つの線になってゆく音の波に赤ん坊のように心を揺らされる。ときどき、だれかに肌で肌に触れてほしくなるときもあるけれどなんとか平気。朝起きて、しわしわになった白いベッドシーツになぜだか生きていたことの証を感じとって、朝からふわふわした気持ちだった。成り行きから友人と文通をすることになった。最近はめがねがこわれて、イヤホンをなくして、ほかにも不運だと思うことが何件かあった。それでもどんどんに綺麗になっていく自分のうつくしさや、河川敷でからだを動かした後の汗ばんだ首元を冷やす風、そういうものにそのつど救われていく。文章を書くのだって、すこし書かないだけでとびきり下手になったような感じだけどこうやって振り子のようにあちこちをいったりきたりして自分の居場所を掴んでいくと妥協できるようになった。わたしもほんとうは妥協を信仰とよびたいよ。書くの難しい、日記の練習。
反逆
朝から訳あって母と銀行に行かなくちゃいけなくなった。家族のことはそれなりにはすきだけど、一緒に暮らすことだけは大きらいなのでふつーにしにてーと思った。暑くて全部が嫌だった。道すがら、誤って小銭を何枚か落としてしまって困っていたのだけど、母はそれにすら気付かず歩く足を止めなかった。一度も振りかえらないまま。その瞬間、ああこのひとはこういう人なんだ、と思った。あなたが母親としてすべきことは娘の束縛でもスケジュールの管理でもなくて、隣に立ってあげることなんじゃないの?って、込み上げてくる怒りを必死に押し殺す。もうどうでもいい。わたしは宗教がきらいなわけではなくて、それに付随する人間の因縁がしぬほどきらいなのだと気がついた。
昨晩、大学の唯一の男友達とたらふくごはんをたべた。ありじはやさしいから全人類が惚れる、これまじ、と言われて心がほかほかした。この人とはしんでもキスとかセックスとかできないなと思う。「俺はさー親の束縛とかあんまなくて。朝帰りとかしても、母親、いつもと変わらずに何食べる?って聞いてくれるんよ。あーうどん、あったかいの、っていうと隣でつくってくれてさー」みたいな話を聞いて、母になる日がきてもこなくても何よりも大事にすべきなのってそういうあったかさ、優しさであってほしい。テーブルにあった占いボックスみたいなのに100円いれたら、吉と書かれたうすっぺらい紙がでてきた。ラッキーカラー青。次髪染めるならブルーブラックかな、そう思った。ちなみに男友達は「緑の人」って認識されたいらしくて、いつも緑の服着ててまじでおもしろい。
新宿駅は夜でも、バチバチに光っていた。帰宅して、そのあとは元恋人の友達と夜通し通話した。間にしょうもない下ネタをいいながら、ほぼ恋の話。エロい台詞を言わせたりして、ゲラゲラ笑った。毎日筋トレしてたら、足が細くなって、気持ちも前向きになった。でも、朝起きたら元恋人のインスタに載ってた私の写真が削除されていて、気持ち的には2度目の失恋だった。一度、私にもプライドがあるし元彼に連絡とかしたくない、と言ったとき、じゃあそのプライドを最後まで突き通しなよと言われたのでわたしはほんとうに最後まで突き通した。こんな美人でやさしい女を振るとかまじで勿体ねーっていう強さをおかずに生活を食ってるよ、ほんとうにすきだったんだ。
無題
高校時代、すごく仲のよかった友人にはじめての恋人ができた。このあいだ新歓合宿にいったの、といって見せてくれた写真、ほんとうにどれも眩しかった。わたしは大学に気の置けない友人が数人しかいないし、おまけについこのあいだ振られた身なので正直心の底から同じ目線でよろこぶことができなくてとてもつらい。ほんとうにいちばん救われて、いちばん好きな友達だったからこそなおさら。というか、さいきんずーっと無気力で、与えられる日々を過ごすというか半ば消化するような感覚でうけとめている。こうやってみんなそれぞれ離れていくのだとおもうとすごくさみしい。彼女にとって、わたしにとって一番だった関係性が、いつしかくずれてしまうのではないか、もう崩れてしまっているよでは無いか。そんなことをかんがえる。気休めにスタバでチャイティーラテを頼んだんだけどクソまずい、救われない。じぶん、はじめて付き合ったとき、どういう気持ちだったっけ。わたしの人生だからわたしがきちんとそこに価値や意味を与えないといけないのに、横たわって天井ばかり見て、挙げ句の果てに他人に妬みすら覚えてしまうのってすごく阿呆らしい。うらやましいな〜〜〜結婚するのかな〜握っていた手を手放されてしまったわたしにとっては、彼女が今一番求められているという状況は嬉しくもあり、うらやましくもある。海を背景に男の子と裸足で駆けだしたりするのって幻じゃなく存在するんだ。なんでこうもひとと比べてしまうのかわからない、何でそんなに上手くいくんだろう、なんでわたしだけこんなに不運で、こんなに寂しくて、こんなにつらいんだろう。だれしもが闇を抱えているのにそれを無視して、わたしだけ、わたしだけ、と卑屈に叫んでいるからバチが当たったのかな。去年、彼女とふたりで予備校へむかうとき、「はじめて」って片道切符だよね、なんてことを話した日もあったのに。もうほとんど大学に馴染むとか、ともだちつくるとか、学チカとかぜんぶぜんぶ諦めて、必要だけどこころの栄養にならないものは先送りにして隅に追いやって、ただひたすら本読んだり映画見たり、観葉植物に囲まれた生活をおくりたい。天気がいい日にはフラッと海に行って、そこにひとりでいるひとがいたら話しかけるとか、そういうところから心を元あった場所に置き直す努力をしないとこのままいちばんうつくしいとおもっている10代が終わってしまうなんてあまりに耐えられない。余裕がなさすぎるから5,000円の寿司料理を食べにいきたい。花が欲しい、誕生日に花なんて一輪も貰えなかったし。北海道の僻地とか一人旅したい、新潟の温泉とか和歌山の麦畑とか。ちっちゃなドラゴンをこころに飼いたい、人差し指くらいの蛇のタトゥーを掘りたい。意地悪な天使みたいな女の子になりたいし、やさしい悪魔みたいな男の子に好かれたい。バイトでお客様の身分証をみてそのひとの住所とか名前とか生年月日を手入力するんだけどなんか、その作業をするたびに不思議な気持ちになるの。当たり前のようにみんな違う名前で、違う日に生まれて、違う人生をおくっている。世の中わたしがしらないことで成り立っている。わたしは頑張っている、がんばることなどなにもないはずなのに頑張らないといけないことがとてもつらいけど、人生そういうもんですか?
無題
大切な人たちはこれからわたし以外のひとたちにも大切にされてゆく、でも。私はどうだろうか?なんてことを考えながら天井を眺めている。2限が終わってから、駅で待ち合わせて委員会のメンバーとはじめて会って昼食を食べた。そのあと用事があったけれど時間が余っていたので学校へ戻ったら、さっきの授業で同じ教室にいた女の子ふたりが外のベンチでたのしそうに話していた。雨ニモマケズ課題ニモマケズ。積み重なる焦燥感。積み重なると言うより色味が強調されてる感じ、わたしだけモノトーンの世界に取り残されている。木々がわさわさ揺れる。ともだちも好きな男もいなくなったときのために、ずーっと居たくなるサイコーの部屋をつくるぞ!と思って、観葉植物とプロジェクターとイエローのベッドカバーセットをポチる。ありったけのエネルギーをつかって見栄を張っているだけで、けして強くはない。気を緩めば赤ん坊のようになみだがぼろぼろでてくる。努力しているのだ。うつくしい写真を撮ろう。恋人はいるけど上手くいってるのか上手くいってないのかよくわかんない、けれど以前のように自分のことを犠牲にすることは少なくなった。今はわたしの相手をするのを面倒くさいと思う人に割く時間なんて1ミリもないと思っているし、だったら一人でしらないひとと酒を飲む方がまだマシ。外に出ればいくらでも拓けた空が存在していて、孤高になりきっているかのように風が吹く。汗をかけば涙なんて用無しだし、歩いて歩いて歩きまくれば、一瞬くらいは生きててよかったと思えるものが転がっているはずで、じぶんはそれを受け止めるのに値すると思っている。もうすぐ19になる。自分に時間を割くこと、自分への愛を惜しみたくない。だれかに想って貰うこと、だれかを想うことにはいつだって悲しみが伴うから、それをちゃんと受け入れられるくらいに。
無題
大学に入ってからみんなかわいくなっていって、わたしだけ取り残されているような気分。東京のど真ん中にすんでるから?みんなほそくて、白くて、髪から爪先までケアが行き届いていて己の恥が浮き彫りにされる。その一瞬はたのしいとかんじても、その背後にはいくつもの積み重ねられた気苦労があって帰りの電車の中でぐったりする。恋人のこと、しばらくは気にしないでおこうと思っていたのにこういう、心がげんなりしているときにその輪郭はいっそうまぶしく点滅する。とりあえず5キロ痩せる。いつかはだれかの手のひらサイズに収まる砂となってしまうのに、変なの、と思いながら、それでも毎朝まつ毛をあげる。でも、悲しくなったり辛くなったりはしなくなった。ひとりでもだいじょうぶなのだと思えるようになった。
無題
なんでわたしはふつーに生きていけないんだろうってずっと思っていた。母も父も日本の恵まれた環境でわたしを育ててくれたは良いものの、父は英語主体の企業に勤めていて、母に関しては日本語は流暢に喋れるものの読み書きは未だに不自由。小さい頃から携帯電話の契約書も学校の書類もすべて弟の分までわたしがこなしていた。想像してみて欲しい、12歳の少女が契約書の堅苦しい日本語を解読している様子。みんなが両親に綺麗な字で書いたもらった保護者会やPTAとかの同意書の中で、ひとり浮かないように1文字書くのに1分かけて、わたしの字とバレないように普段は字の汚い女の子を演出していた。日本人の集団に馴染むのが早かったのは、それくらい妥協や諦めを得るのがひとよりもはやかったということ。まわりの大人はみんな神様について話したがっていた。かみさまってなんだろう?かみさまなのに、自分でなんでもできるのに、なんで人間なんかにこだわるんだろう?さみしいのかな?なんて思っていたけれど、「かみさまは全能なので寂しいなどとは思わないのよ、許しを乞いなさい」そう言われてしまった。わたしのやさしさも、ときにはだれかにとって、間違いとなってしまうことを知った。自分のことを、昔も今もとてもやさしいと思っている。けれどそれは人に優しく接することで自分は善良な人だと信じたいだけなのだと思う、自分は世界から優しくされるべきだ、人に愛されるべきだと、自分のことを肯定したかった。でもそれってそんなにいけないことかな?インターネットをはじめたばかりの頃、世界には寂しい人間がこんなにたくさんいるんだと知って、それが救いだった。たくさんの言葉を綴ったけど、こわくなって一度ぜんぶ捨てた。だれかたったひとりでいいから、わたしも心底愛されたい。川のせせらぎや木々の息吹、風のあおさ、若い緑の匂い、花々、流れゆく時間のうつくしさ。ぜんぶかみさまの化身だと思っていて、それらに愛されていると感じていた。��れど高校に入ると、みんなひたすら楽しそうだった。好きな男の子に抱きしめられたり、友達と夜遅くまでどんちゃん騒ぎしたり、じぶんの美しいからだを隠さず、美しいということを魅せることによってつたえる。美しいから隠すというのもとても素敵だけど、なんで美しいから見せるのはだめなんだろう。美しいと分かればわかるほど人は傷つけたくないという気持ちになるのに。ずーっと日に当てず、布で覆っていた髪の毛は、日焼けすることなく漆黒を纏って光っている。みてほしい、ふれてほしい、わたしを認めて欲しい、一人だけじゃなくて、みんなに、そういう思いだけがぐらぐらと心のなかで揺れていた。お父さんお母さんにわかってたまるかとおもう、自分らは宗教や厳しいしきたりが当たり前で誘惑の少ない世界で育ったからそれを受け入れられるのが自然だっただけで、わたしと同じ目線に立てないくせに、立とうとしないくせに、守るとか成長させるとか文化だからとかいう理由でほんとうの自分を確かめたりそれを探すためにいろいろな経験をする機会をくれなかった。そもそも自分が天国に入りたいからという理由で、ひとの地獄にも気がつけない、もしくは与えているってとてもわたしよりも罪深い、そうおもってしまう。あーなんか愚痴みたいになっちゃった。生まれた瞬間から取り憑かれている呪いに終止符は打てない。もう戻れないと思ってしまった。きのう、大学のゼミの友人と、みんなで花火をして、夜の11時半に帰った。お酒とか飲むとすごく気持ちが楽になってなんでも話せて皆んなでわらって過去の苦悩をともにして、すごく幸せだった。これのどこが罪深いんだろう?とおもってしまった。みんなほんとうは弱いんだとしってなんでも許せるような気分だった。風が髪の毛をおもしろおかしく靡かせて首元をくすぐる。愛してくれる男の子もいる。頼りないし馬鹿だし女心ひとつもわかってないところもあるけど、それでもわたしの置かれていた宗教のこと、いっぱい知ってくれようとして、受け入れてくれて、ふたりのわたしをどちらも同等に扱ってくれる。友達は何も言わなかった。わたしが変わってしまっても、それに負い目を感じていても、ただただそこにいるわたしをみてくれた。みんなに、日々にだきしめられることのあたたかさを前よりもちかくかんじる。すぐそこにあったかい塊がたくさんある、なにも怖がることはないと思うの。本当はたまにすごくこわくなるけど、一人ぼっちになることとかいつかしんでしまうことは避けられないことかもしれないけど、それでも美しい日々を美しいものだと受け入れて生きていくこと、かみさまを理由にくるしいと喚いていたときよりも、自分はもっとこの世界が好きになった。どうか許してほしい。わたしがほんとうにやさしいの、いちばんしっているでしょう。人のことをすぐに疑うくらいなら心底信じてあげたほうがいい。今の自分を成り立たせるために、自分の一部を犠牲にしているかもしれない人も、それゆえに必死に暴れている感情に戸惑っている人も、みんなほんとうはとても素直で優しくてすてきなのだと思う。わたしは気付く、気づいてあげられる。寂しいときもうれしいときも、誰よりも貴方の元へまっすぐに走っていく。
無題
容赦なくどばどば目の奥に垂れ流れてくるブルーライト、過呼吸気味に泣き続ける夜もあと数年したら体力的に出来無くなりそうだから早く早く歳をとりたい。夜の3時なのに目を閉じても眠れなくて全身の血液が逆流しそうなくらいからだが強張っている。もうここ2週間くらい学校行ってない、なにしてるかというと家のカーペットのど真ん中でプリン食べながらフランス語の授業受けてる。同じ大学の女の子が、大学にはBBQかスノボかフットサルがやりたいようなやつしかいない。わたしは坊主かショッキングピンクのやつとしかともだちになりたくない、みたいなことを言っていて、そういうのってなんか違うし、かなしいとおもった。でも、こうやってかなしくなったりさみしくなったりするのを全て五月病として片付けてサヨナラできるから5月はわりと気に入っている、どれくらい好きかというと6月と10月の次くらいに好きかもしれない。「五月病」の仮面を被った鬱憤とした鈍色の塊が街中を苛ましているの、なんだかどきどきするから毎日赤い口紅をつけている。いつ悲劇に見舞われても良いように。ピエロみたいな足取りでときどき水たまりをばしゃばしゃしながら走り続けた、足元の花も日付もその日の占い結果も、あなたとのLINEのトーク画面も、日に日にぜんぶ気にかけなくなってゆく。てをつないでいた、自分の中にいた幼い少女が夢の中で喪服を着てた。あなただけは離れないで、と思って、でも、目を覚ましてもあなたに連絡は取らなかった。
無題
今日こそ、と意気込んでキーボードの上で指を交差させながらものがたりを紡ごうとするたび、これまで触れてきたいくつもの眩いことばがぶわっと一気に蘇ってわたしを刺してくる。おまえにはなにも書けないなにも残されていないおまえはなにもかなしんでいない。奥へ奥へとひきずりこまれる。誰も彼もが各々の光を持ち寄って、目の前の道はもう見えないところのほうが少なくなってしまったくらいに隅から隅まであかるい。どんなふうでも在ることのできたそれがほんとうのほんとうに空洞であったと気づいて、でももう泣けない。詩はどのように湧き出てくるんだろうか。音も色も。炭酸がシュワシュワするとか松ぼっくりの形とかどんぐりを拾い集めたりしたときのこと、もうわすれてしまったみたいに、世界がまぶたを1ミリ閉じた、それだけのことかもしれないのにその僅かなエッセンスがこんなにもわたしを主人公たらしめていたのかと途方もない気持ちをおぼえる。サンタクロースがいないとわかった瞬間にクリスマスへのあこがれが半減するのとおんなじようなさみしさをずーっとここさいきん噛み締めている。シシュンキが芸の才能の全盛期だからだろうか、おとなになればいままでずっと見えなかったものがわかって、もっと色鮮やかに日々を過ごせるのかと想像していた。外でガラス瓶ががらがらからからこんこんうるさい。布団の端っこ、握りしめすぎてすごくやわらかくなって、あたらしいパソコンも使いこなせるようになった。かなしいなかなしいなとおもうけれど、そのこと自体になんの揺らぎも感じなくて、かなしさがより加速するだけ、日々をヒビと書いていた頃があったのをおもいだした。ヒビをいれてゆく、ヒビがふえてゆく、日々。
無題
晴れて大学生になることができて、数日後に入学式を控えている。でもほんとうはもう大学やめたいくらい友達ができるのか不安すぎて、毎晩寝る前に泣いてしまう。このあいだ新入生交流会があったとき、教室に入ったら女の子が皆んな似たような淡いお洋服を着ているし、髪の毛が丁寧に整えられていて、かわいくて、おんなじような雰囲気で、インターネットでつながって和気藹々とはなしているひとたちもいて、自分は見かけが日本人じゃないから声もかけられないし、声をかけようと思っても(わたしこんなに目立つし、びっくりさせちゃうかもしれないし、迷惑かな...)とか考えちゃってすごくこわくて。ツイッターに勇気出して何か投稿しても、だれからも反応が来ないとそれもまた不安になってすぐに削除してしまう。これからずーっとこんなかんじで、高校のときみたいに心から打ち解ける友達なんて一生出逢えないのかもしれないとか思っちゃってさみしくて涙がぼたぼたでてくる。おおきいキャンパスの中を新歓のために端から端までひたすら歩いて、すっごくつかれた。新鮮といえば聞こえはいいけど、わからないことだらけで自分からなにか行動を起こすのをいちいち億劫にかんじてしまう。大学の中でも明るい人が多い、キラキラした男女が多い、と言われているような学部で、自分もそこに馴染めるかな、と思うとつらくなっちゃう。全然おもってたのとちがう、こんなの。これからどうしよう
無題
冗談抜きで毎晩泣いてしまう、ただそれが今はいちばん正しいことのように思えるからそうしている。
通知表をなくしてしまったので家中を捜したけれど見つからなかった。それで明日先生に怒られる予定だから今更のほほんと眠ることもできないでいる。たかがそれだけ、という言葉で収まることではなくて、何度もこうやってモノを無くしておいて一切学ばない自分に腹が立っている。
忙しくて皆んなの文章を読む時間がなかった、そうしたら自分のブログも読んでもらえなくなっちゃった。
今日も頑張ったと自分を愛てあげることができない。
なにもこんなにかなしいことばかりを書きたいわけじゃなくて、むかしみたいに空が綺麗だったとか友達と一緒にひるやすみにフルーツジュースを飲んだこととか、長らく話してなかった同級生と体育の時間でペアになってキャッチボールができたとか、予備校での先生のプチ話が面白かったとか、そういうちいさな喜びはあるけれど、夜になると感情の波が音を立てて自分の中でせめぎあう。その狭間で、わたしがいちばん好きだったわたしがぎゅうぎゅうに押しつぶされて捻り絞られて塩辛い水で溺れてしまうの。
こんなことを書いておいて浪人でもしたらどうしよう。恋人とでんわしていると本当にくるしくなってしまって、すごく嬉しいはずなのに全然喜べなくなってしまった。逢えないのに、逢えないのにそんなことするの、逢えないんだからこうしてほしい、とかそういう自分の身勝手な思いが本当に申し訳なくてくるしい。好きだからお勉強のことを応援したいのに、すきだから逢いたいし、好きだからそれを同時に我慢しないといけないものとひどく重たく捉えてしまって、すきだから嫌いになりたくないという一心で自分のもやもやした気持ちに無理やり蓋をする。会える距離にいる人たちの並んでいる姿を見て落ち込んでしまうけど、わたしはわたしのすべきことがあるし、それは彼もそうだから割り切るしかないこともあるのだとおもう。
金平糖
わたしがいくら誰かを呪って恨んでも、紙がその言葉で埋まるほどクソクソクソと書き殴っても、結局のところ現実ではその人を愛する人たちが存在していて、そして当人もまた違う誰かを愛しながら日々に幸福を見出すのだから、本当に一番かわいそうなのはわたしだけかもしれないなんて思った。だれかのことを考えて途方もなく苛立つ自分がいちばん自分を不幸たらしめている。駅前にあるでっかい木がゆらゆら揺れる。ゆうがた、眠くなったので勉強道具を片付けて喫茶店をあとにした。暑さで足取りが重くなりつつもすこしずつ歩く、踏んでいるのが蝉の死骸か大きな枯れ葉かの区別もつかない。黒い蝶々をみてから不運続きだ。だれもわたしが泣いてるなんて気づかなくて、錆び付いた車輪を引きずりながらどこにいるかもわからない恋人のことをかんがえる。遠くなった。夕陽を後ろにわたしの影だけが前に長く長く、大きく伸びて、前方を歩く少年が気付かずに頭にあたる部分を何度も踏みつぶす。美しいものにはある種の残虐さがあることを信じて、祈りとかいう逃避を繰り返している。大丈夫?と聞かないで欲しい、大丈夫じゃないから。もう誰にも自分のことを見て欲しくない。ただ自分だけは自分のことを大丈夫だと信じてあげたくて文章を書くという行為をしている。
雨が降っている。雨が降り続けてくれればいいのに、そうしたらわたしもそれを偶然だという言葉でもって割り切ることができるのに。点滅の中に放り出されて、その明暗に目眩を覚えながら自分の行き先もまともにわからずにただただ進んでいるだけのまいにち
不在
かみさまが見つからない。登録していた音楽ストーリーミングサービスが解約されていた。昼から夜まで建物のなかに閉じ込められて、夕焼けをゆっくり眺めることもなくなった。映画館の薄暗い照明と大きな音にこわくなっても、恋人の手を握ることができない。かみさまがいない。なにもかもを投げ捨てた結果、罪悪感から今更おかあさんにありがとうと言うこともできない。ずっと、信仰という名の呪いの渦の中にいる。小さい頃からこの世の中のものはすべて神さまが創ったんだと信じていて、でもさいきんはそのせいで自分の行動が制限されるのがとても憎々しかった。どれもこれも、神さまのせい、親のせい、うまれたせい、というふうにずっと側にあって救われてきたものを突き放すことそれ自体にとても苦痛を覚えるのに、脳味噌が勝手にそういう思考をして勝手にくるしんでいる��挙げ句の果てには同級生に推薦入試のネタに利用される。こんな家でていきたい、と思っても行くアテはひとつもない。お金もない。お金を自力で稼ごうとする活力もない。どんなにわたしがぜんぶ無かったことにしたくて信仰を罪で上書きしようと、依然として実在していようがしてまいが神さまというものはわたしの中にあって、そうか。これはそういう呪いなんだ、と思う。もうだめなんだと。恋も音楽も言葉も、性別も家族も、見た目も才能も過去も、ぜんぶ同じ容量で「呪い」として全人類に等しく降り注いでくれたならいいのに。抜け出せない世界を抱えるもの同士、ふたりでいっそのこと呪いをかけあってしまいたい、それなら呪いだって愛に変わるのかもしれない、とそういう陳腐な妄想でしか漠然とした淋しさを消費できない。さみしい。唯一の居場所を自ら捨てて、こんどはどこにも居場所がないとさみしくて涙を流す。こういう呪いが不思議と人生という物語の大きな軸になっていって、結局さいごにはその「呪い」自体に自らを救われる、なんていちばん美しい結末を享受できる人は一体どれくらいいるのだろう。迷信。もう剥ぎ取ることのできない仮面。うつくしかったわたしの心は嘘を重ねる毎に醜くコーティングされ続けて、今ではもうすべてのものが何かに縛りつけられているみたいに、目の前の光景はわたしになにも応えてくれなくなった。何をどうしたら正解なのか、どうしようどうしようと悩み続けた末にその苦しさを世界のほうが背負ってしまったのかもしれない。うつくしいという言葉に収まりきれずに溢れでて、胸をぎゅうっと締め付けるもの。瞬きを忘れるくらいにずっと見ていたいと思えるもの。一切のものを捨ててでもいいからその気高さに近付いたいと願わずにはいられないもの。そういった、どうしても拭えない不安感をやさしく抱き締めてくれる愛がほんとうは色々なところにあるはずなのに、以前に美しいと思っていたものをもう同じように美しいと思えない。花というのは揺り籠から墓場まで人の生活を彩るものだ、というようなことを太宰治が書いていた。「孤独は花だから。美しいものを寂しくしないように、そのまま纏えるほどの強さを身につけていけますように」 と綺麗な言葉で文章を終わることができない。不完全でも愛してください。底無しの未来に水をあげて。
無題
ここ四日間くらい先週の頑張りが底をついたのかぐったりしてしまって勉強にあまり手がつかない。殺してほしい。まいにち死にたい。がんばっても報われないひとだっているし、大して頑張らなくてもおいしいとこを掻っ攫っていくことができる人もいるんだろうなとおもうと泣いちゃう。東京という概念が巨大化して人を貪っている。東京って、日本ってこんなに高校生いたんだ、と思う。餌にされてしまうことの恐怖を突きつけられている。だれかの優越感を満たすための餌としてその努力を利用されてしまう未来がみえる、こんなこと言ったらまた考えすぎだってみんなに怒られちゃうけど。風が吹かないとその音がわからない風鈴みたいにわたしのなかのいちばん美しいところも、もしかしたら誰かに傷つけられて大きくその心を揺さぶられるまでわからないのかもしれないなんて気休めにぼんやり考える。夏という言葉が都合よくあちらこちらで使われるようになって、ぜんぶみんな夏のせいにするようになったから、たぶんもうほんとうの夏はもうやってこない。夏は遠くて遠くて悲しいくらいに鮮やかで到底手の届かないモノだと信じていたかった、それが今やだれかの快楽の理由付けにされてしまっているのだからもっと惨め。わたしがこうして夏を文章のネタにしているのと同じくらい惨め。おかあさんが泣いている姿とか勉強を理由にインスタグラムを更新しない友人の笑顔とか彼氏がわたしを抱きしめるときのつよさとか、そういうだれも知らないであろうものの美しさを、わたしだけが一瞬ひらりとわかるとき、そういうのがほんもののしあわせなんだろうと思う。もうあと半年とちょっと経ってしまえばわたしのこれからの人生の枠組みはもうほとんど決まった、という体で毎日がすすんでいく。日本は学歴社会だから大学名は重要だよと声を揃えて言われ続けて、今でもまだその現実を黒く塗りつぶして無かったことにしている。はやくぜんぶ死んじゃえばいい。アーメン。
eighteen, mytears
最近歩くのがはやくなった。暑さで腐っていく弁当箱の中の唐揚げ、毛を剃り続けて痛んだ腕。砂時計みたいにどんどん浪費されていくばかりの時間、人生を、客観的になって眺めてみると、なんて滑稽なものだと思うけれど、与えられたものをそれなりに消費していくことでしか自分のことを殺せない。まいにち山手線に乗ってる、ぎらぎらした太陽の光の下で蛇みたいに動いている列車。窓枠に空の青だけが切り取られるとまるで宙を浮いているみたいに感じられて死にたくなってしまう。こんな文章を書いていいほど、自分のことをうつくしいとだきしめて愛でてあげることができない。ブログを更新しなくなったらファンがたくさん減った。文章を書く行為ってとても勝手でずるくて逃げてるかんじがする。だからすきなのに、それをすきと言う自分のことを認めてもっとすきになるのに勇気がいる。ぜんぶそう。わたしは勉強のことを口にしていいほど頭も良くないし、外見にしろ性格にしろ友達との関係や恋愛においても尚更そう。参考書の羅列された文字をいくら追っても脳味噌が大きくなっていく感じがしないし、わたしの未来があかるくなっていくかんじもしない。あなたよりもつらい人は沢山いるから、ね。あなたの不幸なんてちいさなものだから、という言葉がどれだけ傷な言葉かわかってほしい。どこをみても善を装った暴力ばかりが転がっていて、本当はたぶんみんな何かに託けてマスクの下で舌打ちしているんだと思う、絶対そうだと思う。小さな四角い箱の中でみんな泣いている。夏にいちばんちかい記憶の底でみんな寂しがっている。勉強の意味の裏付けにあの子は一体なにを置いているんだろ。変なの。もう文章も書けなくなった。夏になると賑わう燕の巣を確認することもなくなった。野良猫をていねいに撫でなくなった。恋人ともうまくいかない。どれもこれもおまえ(わたし)のせい、がむしゃらに鳴いている蝉だって求愛のためにあんなに人の生活を邪魔することをゆるされるのに、わたしがそれをすると暴力だのめんどうくさいだの、そんな価値のないものに成り下がってしまうのはどうして。ただの自傷になってしまうのはどうして。だれも捕まえてくれない。あなたのことを好きで、それが結果的にあなたのことをくるしめてしまっても、それを俺もすきだからという理由だけでぜんぶゆるしてほしい。泣きすぎてお腹空いた。自分自身の未来に対しても過去に対しても、これを読んでくれているあなたに対しても、友人にも、恋人にも、両親にも、苦しくさせてごめんなさいという想いばかりあって、それを受け止めてくれた優しさに対してのありがとうばかりある。受験死ね、と最後に書こうかなとおもったけどちゃんとした日本語じゃないし縁起がわるいのでやめた。すぐにじゃなくても良いから最後にはみんな幸せになれますように、おやすみなさい。
魔法のトンネル
18歳になりました、という投稿をするつもりだったけれど、合間合間に想いの丈を綴っているうちに月を跨いでしまった。この期に及んで未だ梅雨を引きずっているかんじの毎日で、最後に晴れた日がいつだったかも忘れた。君のいない世界なんて夏休みのない8月のようだ、といつか野田洋次郎が歌っていたのを思い出して現実になりつつある言葉の並びに少しどきりとする。大学受験まであと半年くらい。アルコールでささくれが目立つ指。これから1年後、自分の居場所を全く想像できないことに対して残る不安感。この一年の間でとても大切な人ができて、その人が居るから今年はだれかと祝福メッセージやプレゼントの数を比べて露骨に落ち込むこともなかった。こんなままではいけないと思うけれど、これでもかというほど甘えてしまう。彼から電話がかかってこないまま気がついたら零時、開きっぱなしの参考書。ベッドから机の上の山を見あげる。もう流れるような文章も書けなくなった。ただ、机元を照らすためだけに付けた光が部屋中に行き届きすべてのものを露わにするように、自分のために費やした諦めとかいう努力がいつか私の人生全体を明るく縁取りますように。そう期待することしかできない。
朝、きまってこの時期の朝の。とりわけまぶたが重くて視界がぼやけているとき、雨音と扇風機の回転音の違いを聞き分けられないままなんだかもう一度眠ってしまいたくなる感覚になる。自分の憂鬱な気持ちをすべて代弁してくれているかのように完璧な美しさを崩すことなく泣いてくれる空、ずっと梅雨が好きだった。17歳。強いのか弱いのかわからない外圧をずっと肌身に感じながらも良くここまで頑張れてこれたと思う。強まったり弱まったりを繰り返しながら着実にわたしの内側を蝕んでいくもの。どんな記憶であれ時間が経てば薄れていってしまい、曖昧に濁した言葉でしか文章を綴れない。降って、降って、降りつもってゆくのはけして愛や幸せではなかった。幸せが一方で加速させる理想や願望、それによる劣等感、幸せでなくなる恐怖、あるいは幸福それ自体への疑いも、ぜんぶずっと祈っていればいつか大丈夫になるとおもっていた。そうした形での正しさしか知らなかった。
歳を重ねるにつれて特別なものが増えていくけれど、それらはなにもさいしょから特別だったわけじゃなくて、くるしくなったり嬉しくなったりするたびに複雑に絡まっていたものの辻褄があって少しずつ真っ直ぐな一本の線になっていく感覚に近い。最初はちいさな不幸から始まったことが最後にはたくさんの愛に囲まれて光になっていくと半年前ちょうど失恋したあとに書いた。たぶんきっとそういうことだとおもう。そういうことだとおもいたい。消化しきれない劣等感を抱えながら、それでもそれをだれかの優越感の餌にされてしまうのが気持ち悪くていつも満足げに振る舞っていた。小学6年生の頃、布団に包まって壁に手を当てながら(世界のどこにいても良いから今だけ運命の男の子が壁の向こう側で同じように手を合わせてくれていたらいいのにな、)とか祈っていた。アスファルトに浮かぶ白線が血脈のように都市に光を流し込んでいく、わたしはひとりで遠くまでこれるようになった。
誕生日当日、晴れた土曜日。
だれもわたしのことを知らないということがいちばん幸せだった。
となりには愛おしい恋人がいて、いっしょにタピオカを飲んだり服をみたり歌を歌ったりした。街中ですれ違う人はだれもわたしがブログをやってるなんて思わないし、人生で殆どはじめてに近いことをしているとも思わない。そういうのってとても気持ちが楽で良いなと思った。信頼している人たちに過度に期待をされること、責任を半分こするのに疲れてしまった。一緒に悪者になってほしかった。わたしがなにをしても、それがいちばん正しいことかのように大丈夫だよと諭してくれるだけで、それは救いになれるはずだった。おかあさんに喜んで欲しいから、友達に見限られたくないから、だれにも落胆されたくないから、とかいう言い分を勝手に作って勝手にくるしんでいる。ほんとうは静かでいられる関係性が好きだけれど学校の友人はみんなはしゃぐのが好きだから求められているものをそれらしく纏う。両親は善良な人だけれど時折意味不明な束縛をするので面倒くさい、わたしも普通の日本人の女の子みたいに生きてみたかったと思ってしまうことにすら罪悪感を感じる。信仰というのはとても美しい行為だと思うけれど、本来は人を救うはずであるものが「救われる」「罰せられる」という境界線においてときどき人をひどく苦しめてしまうのでとても扱いにくい。救いを見出すはずの宗教によって苦しめられるのはちがうよ、と友達に言われたことがある。大学生になったらぜったい一人暮らしをしたいとおもった。伸ばせと言われ続けてきた髪も思い切り切りたいし、慎ましいふりをするのもやめたい。わたしほんとうは男の子に抱きしめられたこともあるの。けれどそんなことを言えば両親をがっかりさせてしまうから、遠いところで一人で植物とか猫とかに囲まれてひっそりと生きていたい。
かみさまに対する信仰心が薄れても、小さな嘘に罪悪感を覚えなくなっても、男の子と関係性を持ったことがなかった自分自身を忘れても、文章が書けなくなっても、友達と疎遠になってしまっても、病気で人がたくさん死んでも、普通に生活が続いていくことにときおり悲しくなる。それくらいわたしは案外どうでも良いとおもってることが多いんだと感じてもっと悲しくなる。あっちへいったり、こっちへきたり、あるいは戻ったり、そういうのを繰���返していたら、もう戻れないところまできてしまったみたい。あるかどうかも分からない未来のことや、だれかとその過去を背比べしてそれに一喜一憂していたこと、ぜんぶだいじょうぶになればいいなとおもう。ぜんぶ抱きしめてぜんぶ愛してあげられたらどんなにいいだろうとおもう。わたしには愛しているものが沢山あるし、わたしもだれかにきっと愛されている。最近見かけなかったので死んだのかなと思っていた野良猫を今朝ひさしぶりに見かけて胸がきゅうっとなった。汚いものに沢山触れてきたわたしの手はもう美しい手じゃないけどそんな手のひらの中でも心地良さそうに包まれているちいさなその頭が愛おしくてなんども撫でる。純粋でなくなってしまうのがずっとこわかった。ううん。たぶん純粋だと思われなくなってしまうのがこわかった。
続きを書きたいけどあしたも学校があって、さすがにちょっとねむい。悪者になっても大丈夫だから、わたしはわたしのそばにいるし、君のそばにはわたしの愛してるきみがいるからだいじょうぶ。特定の誰かじゃないよ、みんなが幸せになれますように。
n(atsu)
線路が控えめな緑に縁取られていて夏を感じた。でんしゃがいつもより大きく揺れるな、とおもった。ひさしぶりに乗るから余計にそう感じるのか、ほんとうにいつもより大きく揺れているのかは良くわからなかった。塾へ着いたら体温検査をされた。世の中の非現実味は薄れていくけれど、それでもやっぱりまだどこかふわふわしているかんじがする。ふわふわ、という言葉は抽象度が高くて便利だと思う。白黒はっきりつけることで正義を実感している人間って意外と多いのかもしれないし、わたしも気付いていないだけで実際はそういうところがあるのかもしれない。燕が雛に餌をやっている様子と、健気に咲いている向日葵と、それに加えてマスクの内側の皮膚が熱気を帯びていく感覚。去年、男の子と花火を見に行って、わたしの中での鮮度の高い美しい夏はそこでずっと止まっている、あるいはもうほとんど完結されたようなかんじ。塾が終わってから本屋へ寄ると、同い年くらいの背の高い男の子が絵馬の形をした紙に合格祈願を書いてちいさな箱へ投じていた。わたしも流されてペンと紙を持ったけれど、多神教じゃないんだよなあと思ってやめた。わたしはわたしが信じている神様にもまだこわくて合格できますようになんて言えていない。いつだってこわいものから救ってくれるものが神様なのに、自分勝手に生きていながら窮地に追い込まれたときだけ救いを求めるのは割りが合わないと思う。好きな人と一緒に昼間から眠りたい。神聖な場所で祝福された心を持つ人に祈りを唱えてもらいたい。突然変異で雪が降ってほしい。騒音の全てを吸収して、それで全てなかったことかのように水になって溶けていってしまうの。指輪が欲しい。細いやつ、宝石はなくていいし装飾もなくて良いから。涙を拭う手に宿る愛があれば、だれかにゆるされたという証が指にあれば、虚無感を紛らわせるための画面スクロールも、劣等感を埋めるために耳触りの良い言葉を連ねる必要性も、不確かな焦りも薄まるかもしれない。というのも最近また得体の知れないストレスに悩まされていて、今日もすこしだけ泣いてしまった。すべてあなたの心の持ちようで変わるの、薬はなにも解決してくれないよ、と母にはそう言われて、それでもっとかなしくなった。そういうことじゃないの。模試を受けるにしても勉強した量に等しい成績が出なかったら、とか、到達点は同じでもそこまでの努力の過程に差があるだけで劣等感をかんじてしまう。まいにち頑張りたいのに思うように脳みそとからだが動かなくて悶えている。わたしは自分を高めることで自分は大切に扱われるべき美しい人間なのだという確信が欲しいだけで、それほどまでにきっとわたしの内側にある自分への愛や期待値というのは年齢とともに他人任せになっていって、諦めや、未来の自分の幸せに対する責任を負いきれないという言い訳や、ときおり世界から拒絶をされているかのように感じられた幼い頃の傷ついたこころがぜんぶガチガチに固まったしこりのようなものがずっとあるみたい。もっと自分で自分のことを愛してあげられますように。今、世界ではいろいろなことが起きていて、それに対して声をあげないという選択が道徳的ではないと非難されてしまうことがあるらしいけれど、関心を持たないということもひとつの意味のある心の持ちようだし、それをやさしさと捉える人もいるのに、とてもやりきれない。恋人が「みんなつらいけど、ありじはつらいの」と言ってくれたことがとても救いだった。だれかの不幸と自分の不幸を秤にかけるということにやっぱりわたしはある種の違和感を覚えるし、たとえそこに差があっても自分のことを放棄してまでだれかのために立ち上がることは少しちがうと思う。そうして切り捨てたものが何らかの拍子にいつか今度は自分自身を殺すかもしれないし、自分の身近で大切な人を傷つけるかもしれないし。わたしはわたしを取り巻く世界をたいせつにできたらいいなと思う。足取りが軽くなれば、もっと遠くへといけるでしょう。だいすきなひとが苦しんでいたらすぐに駆けつけられるし、わたしはそういう風に愛される女の子になりたいから沢山のことを頑張っている。月が変わったのでカレンダーをめくったら、「涙は人生のお師匠さん」という言葉の周りにたくさんの滴のイラストが描かれていた。扇風機をつけると、紙がパタパタ揺れる。がんばる。わたしの愛する人たちが沢山愛されますように。
どれほど遠いところに行こうと試みても
どこか気持ちがもやもやしてやりきれなかったので少しばかり走りに行こうと洗面所の前に立ってコンタクトレンズをつける。泣くまいとしていたけれど、使用期限切れだとも知らずにレンズを瞳に上にのせた瞬間、意志とは関係なく勝手になみだがぼろぼろでてきて焦る。ずっと我慢していた涙ももしかしたらそのなかに紛れていたのかもしれない、濡れた睫毛やすこし充血した白目を見るといつもどこかほっとした。
世界は絶えず美しくて、じぶんなんかがその大きな器の中で堂々と情けない顔をしているというのがなんだか滑稽に思えてきた、と昨日は日記に書いたけどやっぱりそう思えない。うまれる、しぬ、という表現がコピーペーストされてできた世界線。どうしてもくるしくなってしまう、くるしいものを見ないようにと目に覆いを被せて生きているからたまに世界を直視したときにあまりの眩しさになにもみえなくなってしまう。
結局のところ、きっとわたしはなににでもなれるし、なににでもなれた。わたしはわたしが望みさえすれば、家をでていくことも、うまれながらにして与えられた名前を捨てることも、今つながりを保っている関係性を断つことも、信仰を捨てることも、自分のからだを誰かに売ることも、求められてそれに応えることも、アカウントを削除することも、つらい勉強に身を投じることなく大学に行くことも、自分自身やそれに関係する人々をきずつけることもできてしまう。その可能性についてぼんやりかんがえていた。
考えてみればあまりにも不安定なわたしは、なににでもなってしまいかねない自分というものとずっと一緒にあるいてきたように思う。自分というものの一部をわざと切り離してあえて失うことを選んだり、あるいは舐められないよう努力をして立派なものに築きあげたりする過程でしか自分が自分であることをたしかめられなかった。欲を我慢しなさい、謙虚な姿勢で生きていきなさい、と幼い頃から教えられてきたことの反動がまさに今起きていてつらい。人間は生まれたままの姿こそもっとも美しい、醜い人間というのはひとりもいなくて、そしてだれもが平等に愛されるに値する、といった程度の言葉ではこの漠然とした不安感は解消されなくなってしまった。
あなたがいちばん大切にしていて、且つあなたをあなたらしくさせているものはなに?という質問をともだちがインスタグラムで公開して回答を募集していた。わたしは今までずっと恋愛をすることでしか自分を保てなかったの、という彼女の文句もまた同様に等しくまぶしいものだということに当人は気付いていないかもしれない。膨大な情報のなかで、なにをほんとうに掬いとるべきなのかわからずにいつまで彷徨い続けるのだろうかという不安を抱えている。たすけてほしい。毎晩、たすけて、たすけて、と寝る前に心の中で念じるようにしていて、そうして眠りにつくとなんだかほんとうにたすかったような感じがする。
というのも、なんとなく、という世界線を生きること自体あまりに物事を都合よく解釈していていらいらするので、とうとうまともに祈ることすらできなくなってしまったのだ。はずかしい。わたしは決して善良な人間ではないのに、善良な人間の中で同じ言葉を唱えていることに一種のはずかしさを覚える。
無題
一年前までは、死ね、クソ、うざ、という言葉にほんとうに値する人間や事物などなくて、物事のすべては捉え方なのだと、主観で世界の全てを決めつけてはいけない、美しくいなければいけない、という考えがあったからわたしはほんとうに一度もそういった言葉を使わなかったし使えなかった。それなのに今や抵抗が少なくなってしまって思いたくなくても大事な人たちにいらっとしたときや精神が弱っているときに反射的に汚い言葉が脳裏に浮かんでしまってやりきれない。過去をふり返るとき、その足跡がどれだけ美しくても、長く歩き続けてきたとしても、結局その先にあるのが地獄だったら意味がないでしょう。
外に出ても風は一切吹いていなかった。頬に染み付いたなみだの生温さは消えず、水面の揺れもしずかだったので川が川じゃなくてアスファルトみたいに冷たく感じられて、音もない夜にわたしは勝手にひとりぽつんと取り残されてる感覚だった。
それでも良いこともあった。このあいだ、雨が降った日にふとした好奇心で自分のうまれた日の天候を調べたら、わたしがうまれたその日も東京では雨が降っていたらしいとわかったこと。たくさんの雨粒のなかにも一粒くらい当時のものも紛れているのかなあ、と思った。たとえ同じ形をしたものが数多くあっても、情報量の多さのなかで下敷きになってしまうようなほんの些細なことでも、わたしはわたしのことを愛してくれているものをがんばって見つけ出したい。そしてそう思っているのと同じくらい、同時に心の奥のほうでは常にだれかに見つけて欲しいと思っている。わたしが失ってしまったわたしの美しさを見つけてほしい。もう誰にも傷付けられないように。もう自分のことを傷つけなくて済むように。愛せますように。
無題
あ〜もうわたしなんも勝てないな〜って思って泣きそう。勝てないものがおおすぎる。受験生なのに自分の欲に打ち勝って勉強に励むことすら怠ってしまって、他人と比べることでしか自分を測れないからだれかが頑張っているすがたをみても素直に応援できない自分がいてくやしい。みんな守りたいものをちゃんと守って、それをつよみにしているのに、わたしはなにかを失うことでしか自分が満たされていたことを実感できなかった。捨ててしまった欠片をひとつひとつ集めようと、かがんで地面を這っている惨めな姿を誰かに見られたらどうしよう。だれよりもきらきらした世界をしっているつもりで、かみさまからも愛されているつもりで、たくさんの人がずっとそばで応援してくれていることに対してそれ相応の結果や愛を返せているつもりだった。だけどぜんぜんそんなことなかった、そんなことなかったのにそれでも絶えず世界も人も優しくて美しくて眩しくて純度が高いので薄汚れた言葉をもってしまったわたしにはもう直視できないんじゃないかと挑戦することすらこわくてできない。わたしの写真や文章がだれかに良い影響を与えていたらそれはうれしいけど、それでわたしだけのものだったわたしの一部が他の誰かのものになってしまうのは少しだけ悔しい。ブルースクリーン越しに奪うこと、奪われることに慣れてしまった。わたしは結局わたしだけみてほしいと思っていて、それがわたしの幼さで弱さなのだと思う。弱さも強さも武器になるうるけど、ほんとうに強い人はちゃんと矛先を向ける対象を選ぶことができるから目の前の道をどんどん拓いていけるけど、弱いままのわたしはずっと自分の胸に矛先を向けているからだめで、自分を窮地に追い込んではじめて大切なものに気がつくことができる。「わたしが失ってしまったものをありじちゃんは大切にしていてすごいと思うし、これからもそれを守り抜いてほしい」とメッセージをいただいたことがあるけど、わたしが彼女の立場だったら同じようなこ���は決して言えないだろうと思う。きっと、ずるいなあ、と思ってしまう。ずるい。わたしもあなたみたいになりたかった、と。なりたい自分に到達できずに足掻いている途中であたらしい自分が形成されたとして、それはむしろなりたい自分とは真逆な人間なわけだから、その歪さを美しいと褒められても全くうれしいと思えない。やっぱりでも今日だけ美しいといってほしい。今日だけ慰めてほしい。そろそろぴえんって言葉つかっちゃいそう。
愛?
さいきん日常の何気ない瞬間において、いいなあ、とたくさん感じたけどその都度いちいちメモに起こしていないので内容はほとんどわすれた。なのでブログを更新できないし、あと二ヶ月も経たぬうちに十八になってしまうからせめて可愛げのあることなんかを少しくらい書きたかったのに状況が状況なので仕方ない。毎朝オンラインで出席確認があるんだけど昨日は二度寝して出られなかったし、このあいだ試しに大学の過去問を解いたら点数はだめだめだった。一日だけ夜に恋人に電話で弾き語りをしてあげた。ぜんぶ壊れちゃうならさいしょから手を伸ばさなきゃよかったってことを話したら、あのね、ちがうの、持っていたっていう事実がとてもたいせつなの、さいしょから持ってるのと持ってないのじゃちがうでしょ?わかる?と諭された。そうかもしれない。怠惰に怠惰を上書きするように生きている。こめかみに銃口を押し付けられて脅され怯えるようにして、つきまとってくる色々な事実から目を背けている。こんな具合に漠然とした不安感がうんぬんかんぬんとダラダラ書いているけどほんとうはそれなりに幸せで充実した生活をしているからいつかバチが当たってしまいそう。歳上の彼氏と別れた友達の女の子が、今頃煙草でわたしの肝臓ぼろぼろなんだろうなあ、もっと自分のことを大事にしてあげたかった、と裏垢で溢していたけど、きっと彼女にだって彼の影響で自分のモノが形を変えていく過程に幸福を覚えていた瞬間もそれ自体に救われたこともあったんだと思う。ただ薄暗くふちをなぞっていかないと未来への期待値があまりにも高すぎて落とし穴にハマってしまいそうでこわいからみんな可哀想ぶっている。たぶんどこにも事実なんていうものはほんとは存在などしていなくて、みんなが情報を選んだり捨てたりしているだけで、人間が数値にしたり名前をつけたりしながら記録をしているだけで、何もかもを取っ払ったら、あ、でも、そうなったらわたしはどうなっちゃうんだろう、なんてことをずっとぼんやり考えている。二か月くらい前にだいすきな友達といっしょに塾へと向かう道を歩きながら、わたしたち卒業までにいつか絶対この道で泣くと思うって笑いながら話していた。今ごろ存在していたかもしれない日と流していたかもしれない涙とあったかもしれない出逢い。そういうので世界が動いているのかもしれないと思うと心がふにゃあってなって泣きそうになる。この足を踏んでいるところのずっと奥に埋れてしまったいくつもの歴史に救われている。その後、小さなレストランで二人分のサンドイッチを頼んだ。ずっと憧れていた女の子にはやっぱりなれなかった。一度「憧れの女の子のフリをする」アカウントをつくろうとしたけど苦しくなってやめた。新作の化粧品と知恵袋での大学受験生の相談事と参考書のレビュー調べだけでほとんど埋まっている検索履歴欄の隅っこに追いやられてしまったいちばん綺麗なわたしを誰かに拾って欲しかった。少しくらい未来をあきらめても人生は終了しないけど単純にそこでわたしの自己肯定感は終了するし、わたしがいちばん大事にしたかったわたしも死んじゃうから、ねえ、わたしは大好きなみんなのことも自分のことも美しさを表現することもぜんぶあきらめないからみんなもわたしのことあきらめないでってインスタの裏垢に書いたあと、電気を消して寝た。許されない愛だけが輝いている。ずっと輝いている。いつか校庭を一面石灰の白に染めて北国の雪景色みたいにして、雨で偽物の冬が消えてしまう前にわたしたちは濡れながらキスをするの。安っぽい映画みたいに物語の順番をぐちゃぐちゃにして今よりももっときれいなところに走っていきたい。“なにも決定的なことが起きていないようなのに、いつしか死が準備されてしまっている、日常という戦場” において、好きな人にお願いだから死なないで、一人にしないで、と一方的に伝える行為がとても無責任だということだとはわかっているけど、ただ、それがわたしの知っている方法の中でいちばん確実にあなたの心を殺せるものだからゆるしてほしいと思った。しんだら身体の隅々まで洗って、痛かったところを撫でて、さいごにわたしの名前の由来になっている花の香りを墓石につけてあげる。あなたの歪みにはじめて触れた日、わたしはあなたのいちばん美しいところをみたようなかんじがして、それがとくべつで嬉しかった。まるかったり、とがっていたり、硬かったり、やわらかかったり、ざらざらしてたり、さらさらしてたりするの。生きているだけで美しいという言葉はみんな戯言だと笑って受け流すのに、しぬことになると急になんか真面目な顔をするからやになっちゃうよね。写真を撮ることを知らなかった頃のわたしはたぶんほんとうの写真家だったし、まだロックミュージックを知らなかった頃、わたしのロックスターはずっとわたしでしかなかったし、文学を知らなかった頃に感じていた世界とおなじ色合いの世界をわたしはもう見れない。そういうものだから、もしかしたら死ぬことなんて知らなかった頃、わたしたちもずっと死んでいたのかもしれない。それでたぶん今でもその頃の残像が残ってるのかもしれない。逃げて逃げて逃げた先で待っているから、そこでまた逢えますように。
無題
あこがれている女の子たちがみんな色白で華奢なことにむかついている。だれかを真似して美味しいところだけを盗むことは誰にでも出来るんだけど、でもそうじゃなくて、彼女たちがもっているものは彼女たちにしかもつことを許されていない域にある圧倒的なものだからくやしくて泣いてる。その子たちがフォローしているアカウントを全部フォローしたら同じ世界を見れるかもと思ったけどやめた。きっとわたしよりもいろんなものを見て感じて聞いて愛してたくさん傷ついてきたんだろうなあ、と思う。自分と向き合うのはとてもくるしくて、美しいものに触れることで浮き彫りになる絶望もまたするどくて、それでも躊躇いなく自分の内側にあるものを外にだして整えてまたぐちゃぐちゃにしていくの。そういう工程を何度もじっくりしずかにしてきたのかもしれない。お世辞にも美しいとは言えないものでも、美しい人がすればそれはたちまちに美しくなってしまう。ずるいなあ、十七年かけて見つけたものが諦めとかいう単なる逃げだとしたらやりきれない。頑張れるかなあ、がんばりたいなあ、って言うのたぶん二千回くらい繰り返しているけれど、こんなわたしもすこし��つちゃんと踏み出していて、前に比べたら痩せてメイクもするようになって結構垢抜けたし、何も書けないと言いながら泣き喚いてブログのアカウントを消すこともなくなった。ワンクリックで消えてしまった昔のわたしの言葉には相応の墓場もないけれど、だれかの支えや救いやたのしみになれたことが嬉しい。文章なんて手軽なもので誰でも書けるものだけど、誰でも、の中で、わたしのを読んでくれている人がいるのだという事実がうれしい。きっとでも綺麗事抜きでほんとうはだれでも特別で、特別じゃない人はいないんだろうけど、すべて目に見える数字として統計されてしまう今だからこそ他人からの評価やさまざまな人たちからの好意や自分は愛されているのだという確信の多さがそのひとの輪郭をなぞって、より濃くして、いわゆる個性と呼ばれる類のものを形成していくのかもしれない。くやしいし皮肉だけどそれを掻き分けていくのが、生きるということかもしれないし、あるいは自傷行為なのかもしれないし、わかんないけどわたしだけは自分の味方であれるように努力していけたらと思う。たとえ負け犬でも遠吠えできる余裕と気力があるうちはまだ勝ってる、たぶん
無題
きのう、河原まで自転車で走った。昼間の明るい時間帯に行くのはとても久しぶりだった。最近はストレスで奇行に走る人がいるらしいから夜に外に出るのはやめて、と母に言われた。テレビをつけてもスマートフォンのスクリーンをいくらスクロールしても、そこに有るのは饒舌に討論を繰り返す人間と、それに対する第三者からの警告、といったような感じだし、鬱々としていたのでちょうど良かったかもしれない。運動用にだぼっとしたパーカーを着て、弟のサドルがすこし硬い自転車を借りた。前方から吹いてくる強い風に服がぴたっと身体に張り付くので、はずかしくなってペダルを踏む力を強くする。桜の木はもうどこにも見当たらず、小さな花びらだけがコンクリート上にまばらに散らばっていた。空は青くて、高くて、鳥が群れてそこを飛んでいて、それをわたしが見ていて、だけどわたしのことは誰も知らないの。そしてわたしだって誰のことも知らない。その事実がいちばんやさしくて、それでいていちばん淋しいから美しいと思う。川の水面が光を受けてきらきらと煌めいているのを眺めるのが好き。光りの粒がたくさんあって、見る場所によってそれが大きくなったり小さくなったり近くなったり遠くなったりしてかわいいの。昼間は白く光るのに、夕方になると今度はピンク色になったり朱色になったりするからもっとかわいい。塔屋看板にペンキを塗装する業者の人。頭上を走るモノレール。走る犬。投げられたフリスビー、野球ボール。ふうっと口をすぼめてたんぽぽの綿毛を飛ばす子どもたち。うっすら川のにおいがして、うれしくなって少しのあいだ草原の上に横になった。草ってこんな柔らかいんだって思った。オレンジ色ってこんなにオレンジ色だったんだ、とか、鳥が一斉に空へ飛び立つときにパタパタと羽根の動く音が聞こえて、しゃぼん玉が弾ける瞬間にせっけんの匂いがして、英単語帳をしばらく眺めていたんだけどすぐに閉じて空のずっと奥の方をみてた。いつもはうざったい太陽の残像でさえ愛おしく思えてしまうなあ、どうなるんだろうなあ、これから、って思った。わたしが掬い取っている現実はきっとほんとうの世界のほんの一部でしかないから、救われますようになんて偉そうなことは言えない。だけど、たかが数日間外に出ていなかっただけなのに一人でこんなにも大袈裟に感動している。すこしくらい見返りを求めてもいい気がしてくる。
頭ぐわんぐわんする
現実に翻弄されている人間を嘲笑うかのようにして桜が我関せずと言わんばかりに堂々と咲き誇っているので、なんだかすこしだけ愉快な気持ちになった。白い四角形を顔の表面に貼り付けながら、それでも歩く足を止めない人間の行く末をかんがえると何もかもがいやになってしまうけれど絶望の輪郭をみんなでかじって食べていけば、なんとも名付けようのない不器用な形をした詩のような世界ができあがるのかもしれない。今日くそみたいなじじいがくそみたいな眼差しでこちらをみてきたので睨み返してやったんだけど、どれだけそうして自分の弱さを繕うように強がっていても彼には変わらずに愛するものがあって彼を救いにしている人もたくさんいて、そのことがなんだか、それだけがなんだかそのときのわたしの苛立ちの唯一の誤魔化しだった。だからわたしは彼を刺殺さないし、彼もわたしを殴り倒さない。そういうのって、大事なんだろうなあと思いながら電車の広告の文字を追っている。ちなみになにも頭には入ってこない。あたたかい毛布にくるまっていると誰かに抱きしめられているかんじがするから心地がよくて、すこしだけ唇を尖らせる真似をする。まぶたをあと何回閉じれば。何回綴じれば。いいんですか。コンクリートジャングルと自転車のサドルとスカイツリーの心臓。あ、と思う頃にはもうすでに全てが遅くなっていて後悔をするけど、あ、と再び思うと今度は以前のそれよりもより大きな幸せに満たされていることに気がつく。竹刀を持った少年たちが夜になると川辺に集まっていつもその刀を縦に振っている。わたしはたいして歌を歌うことも上手ではないし、勉強も大してできないし、顔だって凸凹している。けれどそれでも真っ直ぐに生きていけるかな。生きていきたいね。終末感の漂う世界をみることで、わたしは独りですこしだけ安心できた。終りがあることに赦される。本当は衝動のまま洗面所にあるハサミで髪の毛を思い切り切ってみたいし、派手な髪色にして東京の真ん中を歩きたい。それでも晴れることのない憂鬱を自分の中の非道徳的な理想に想いを馳せることで誤魔化してみたり、寂しいと思わなくても好きな人を自分の家に泊めて隣でぴったりからだを重ねながら長い夜を過ごしたい。そういうのをだらだらとしたいだけなのに、そういうのをするのにも勇気や妥協や諦めが必要らしい。がんばるよ。すこしずつ。
無題
まいにち予備校の自習室にいっていたら、自習室でしか勉強したくないからだになった。いままで宗教上の理由で髪の毛を隠してきたけど、大学生になったらボブにして染めて街を堂々と歩いてみたい、し、そうしてみる。たくさんあそびたい、だれになにをどう言われようと自分のしたかったことを一つずつしていきたい。親といっしょに暮らしていたら、わたしの「非」はぜんぶ彼らの責任になってしまうけど(これもちょっとおかしい話だけどそう考えている人は多いみたい)一人で暮らしだとわたしのしたことは全部わたしの責任になるらしいので、最近は常に逃げ出したい。思春期や若さを理由にしてどこか遠くへ逃げてしまうことは何もわるくない。ぜんぜんわるくない。寧ろそうするべきだとも思っている。一度離れ離れになることで改めて気付かされることや見えてくるものなんてたくさんあるし、それに加えて黒猫を相棒に迎えいれることがきまって、その子といっしょにふたりで(猫だから「人」ではないけど)暮らすことが決まったのでどきどきしている。もう失うものはない気がして、でもそれは自分がなにも持っていないからではなくて、幸せなことにたくさんのものを持っているからだということに最近気がつきました。毎日走ろうと思ってる、思ってるというか走っている。たくさんがんばって可愛くなるので、そのときがきたら誰かデートしてね
無題
つまらない文章しか書けなくなった。いや、そんなことはないんだけど、もしかしたら面白い文章を書かなくちゃと思うことがなくなっただけなのかもしれないけど、それでも書かずにはいられないほど心を動かされるものとかそれをさせてしまうくらいにわたしの大切なものをかき乱した嵐のような愛とか、水みたいにさらさらしてる美しい光景の数々とか、光とか風とか、なんかそういうの、そういうのに自分のからだとかこころを預けるのがこわくなってしまった。あっちへいったりこっちへいったり、そうしているうちに自分を見失いそうでこわい。だけど反面、もう自分のことで苦しまなくていいようにいっそのこと自分の存在とは程遠いなにかに染まってしまいたい。自分らしい自分なんて本当は存在しないのだとわかっていながらもそういったくだらない不安感をおぼえてしまう。というのも、たくさんの言葉とか音楽に触れているうちに、どんどん自分が感化に感化を重ねて変わっていっているのが自分でもわかっていて、だからもう昔書いていた文章は書けないし、昔捉えていた景色の感触も思い出せない。わたしが考えていることはすでに誰かが思いついていることで、でもだからといってその価値が下がるとかそういうことではないんだけど、時折それがすごくさみしくなる。なにかを表現することで、表現したくないなにかを誤魔化してきた自分が浮き彫りにされているようでとてもくるしくなる。ほんとうのわたしを認めてほしい、などと思うけど、同時にわたしのなにが貴様にわかるんだ、とも思う。自分のほんとうはどうしたいのかという気持ちをうまく掬いとってあげられないのがくやしい。思春期ってそういうものなのかなあ、こうやってぐるぐる変な渦に巻き込まれて、いつも自分だけど自分ではないなにかとすれすれになりながらもがいている。いちばん近いはずなのに、いちばん掴めない。なのに影みたいにしてどこまでもひっついてくるので厄介で。むかしの自分かもしれないし、認めたくない自分かもしれない。いずれにせよ、世界に翻弄されがちな自分の絶望や幸福を言葉や写真などに起こして大袈裟にしてみせる一連の行為に疲れてしまった。わたしはわたしに自分のことを認めてさせてあげたかったのだと思う。あなたの感じていることは言葉にされるに値することだと、慰めてあげたかったのだと。でも今はこうして文章を書くことで、言葉に残さなかったなにかが消えてしまいそうでこわいと思ってる。写真を撮ることで、写真に残さなかったなにかを裏切るような感じがしてこわい。それともそれはただ口実で、ほんとうはほんとうに一切のことに無関心になってしまったのかなあ。全てのことをどうでもいいと投げやりにしてしまうことで、失うものを少なくしたかったのかもしれない。そうすることがずっと強さだと思ってたけど、今もそう思っているところはあるけど、誰かにわたしのぜんぶを決めて欲しいなと思うけど、でも自分でちゃんとえらんでいきたいね。突き抜けたわたしの弱さを、考えすぎたよという言葉で突き放すひとたちはいたけど、それをわたしのいちばんの強さだと肯定してくれたひとは少なかった。考えすぎてしまうこと一般的にみていいことではないかもしれない。たしかにわたしは考えることで現実から目を背けているし、考えることであたかも自分が真っ当に生きていることを正当化しているし、考えることであなたに連絡したい気持ちやあなたに抱いてほしい気持ちを誤魔化しているけどそれがなんかいいなあっておもう。それがなんか、ちょっと可愛いというか、なんか人間味に溢れて嫌いになれない。ぐだぐだ空白を消費しているうちに、どうにもやりきれなくなって深夜にワンピース一枚でそとへ飛びだしたことがあって、そのとき足のくるぶしから太ももの内側へとひっつく夜の風のつめたさに今も慰められている。変わりたくない、と思うけど変わっていく自分を受け止めてあげられるだけの気持ちの余裕やそのかわりになにかを手放す強さとかそういうのを育てていかなくちゃいけないのだと思う。ちょっとだけかなしいけど、もしかしたらそれができた頃には、また遠い昔に出会えていた感動にまたはじめて「あたらしく」出会えるかもしれないと思うとちょっと頑張ってみようという気持ちになる。長々書いたけど自分でも一貫性がないことにくすりとしてしまう。ただの自分語り、あとでたぶん消しちゃうのでこれを読めた人はラッキー。あしたいいことがあるかもしれないね。
無題
ふわふわと遠いどこかを彷徨っているかんじで、それがちょっとだけ気持ち良かったり、気持ち悪かったり、こわかったり、かなしかったりした。一日中そんな調子だったのでひどくつかれた。わけわからないウイルスのせいで色々な部活の大会や練習が取りやめになった。期末試験もなくなって、これから空白の一か月間。放課後あちこちからだれかのすすり泣きとそれを優しく諭す声がきこえてきて、わたしは失うものなどなにもないのに、なにかを失ったような気分で、これを書いている今でさえ少し泣きそうで指が震えている。頑張って頑張ってさいごまで努力を続けてきたのに、こんなにも呆気なく終わってしまったことが悲しい。このままドミノ倒しみたいにたくさんの報道が、たくさんのだれかの涙が、自分の知らないところで募り続けていくことをかんがえただけでなんだか胸が空っぽになる。大した努力をしていないわたしが悲しむようなことでもないのかもしれないけど、それでもわたしは努力をしている友達の姿がだいすきだし、みんなの泣いている姿をみるのがつらかった。反面、涙を流せるほどの熱量をなにかに注いだ覚えもないことが余計にこころを空っぽにさせた。すこしだけ、この、世界がゆるやかにくずれていく様子に好奇心を覚えて胸が高鳴った瞬間もあったけど、やっぱりもっと美しいのがいいね。やさしいほうがいい。さいきん文章書いてなさすぎていかにも日記みたいな日記になりました。ぜんぶ大丈夫になりますように。
15 notes · View notes
kennak · 3 months
Quote
本来は親友に向けたマンションリフォームのアドバイスだが、LINEで送るには長すぎるので、増田の日記として公にさらしてみる。ブコメやトラバで有用な反論が得られるかもしれない。祝1000user超え。いろんな意見が聞けて楽しい。おそうじ浴槽がみんなに届いてうれしい。祝2000user超え。自分の知識がみんなの役に立ったようでうれしい。はてブ愛してる。増田は建築士としてそれなりに経験値はあるが、住まいのあり方や価値観は本当に多様なので、N=1の意見として参照するぐらいがちょうどよい。大前提適切な断熱壁と二重ガラス樹脂サッシが装備されていること。それがない建築が許されるのは安藤忠雄だけ。既存のサッシが交換できないならインプラスなどの内窓をいれればよし。風呂編おそうじ浴槽!これが言いたくてこの長い日記を書いているといっても過言ではない。google:image:おそうじ浴槽 他の設備投資を削ってでもこれを装備してほしい。日々の家事から風呂そうじを排除できるのでオススメ。じゃあ何を削ればいいかというと、、、鏡→いらない。水アカ掃除の手間を増やすだけ。化粧棚→いらない。必要に応じて��崎実業のマグネット収納をつかえばよい。浴室乾燥機→いらない。アイリスオーヤマの除湿器で代用できる。風呂の入り口付近にコンセントを用意しておく。上下するシャワーフック→これはいる。が、山崎実業のマグネットフックで代用可能。風呂のサイズは1620か1616にする。この2つは浴槽が1.6mあるから足を伸ばせる。そのほかの1416とか1418 etcは浴槽が1.4mになってしまう。ただし1616は一般に住宅用しかない。なぜか1620はマンション用もある。住宅用とマンション用の違いは施工に必要な天井の高さ(これショールームのスタッフすら知らなかったりする)。マンション用のほうが必要高が低いので、排水の勾配など制約の多いマンションでも施工できる。逆に言えばその制約さえクリアできれば住宅用をマンションに施工することも可能。最近は1616でもマンション用があるとのこと。TOTOは1717というさらに浴槽が大きいやつもあるらしい。トラバ感謝。なお換気扇は選べるならパナソニック製をオススメする。パナソニック以外は換気扇の羽を外すことができない。それでお前は何にしたノーリツのユニットバス1616。標準でおそうじ浴槽がついてくる。なぜならおそうじ浴槽はノーリツの特許だから。だがコスパが高すぎて儲からなかったのかノーリツはユニットバス事業から撤退してしまった。。。床編なぜか無垢フローリングにあこがれる人が多いが、高いし隙間が空くしメンテも大変で何がいいのかさっぱりわからん。オススメは厚突きフローリング。無垢の質感とべニヤの寸法安定性を両立している。薄い突板のフローリングは偽物感がすごいので、だったら偽物でいい。マンションだと防音フローリングといってふにゃふにゃのフローリングを勧めてくる工務店がいるが、これは工務店の施工が楽になる建材でユーザーにメリットはない。下地側で防音は確保できる。仕上げの塗装ウレタン塗装やUV塗装は強靭で水を放置しても浸透しない。ただし傷ついたときの補修はプロに依頼しないといけない。自然ワックス仕上げは質感に優れるが、醤油をこぼしたのを一晩放置すると浸透してシミになる。数年おきに塗り直しが必要だが自分でDIYできる。どっちが良いかはお好みで。それでお前は何にしたニッシンイクス150mmオーク自然オイル仕上げ/30度ナナメ貼り。複合オーク150幅 | 無垢・複合フローリング・不燃ボード|NISSIN EX.本当はヘリンボーンにしたかったがめっちゃ高いのでナナメ張り。床暖房温水式にしよう。電気式は暖まるまでの時間がかかりすぎて実用的でない。壁や天井の仕上げ天井躯体あらわし!中古マンションでなければできない仕上げ!天井は水漏れでカビてなければそのままつかえるはず。ぜひやろう。壁壁面は大抵のマンションで解体後にGLボンドという接着剤が盛大に残るので、上から塗装するかそのままにするかを判断する必要がある。google:image:GLボンド 撤去 マンションリフォームの事例集で綺麗なコンクリート壁がでてくる場合があるが、あれはもう一回壁を仕上げなおしている。余談だが世の中のほとんどのコンクリート打ちっぱなしの建築は、コンクリの上から打ちっぱなし風の塗装をしている(安藤忠雄のように本物のコンクリートで打ちっぱなしを仕上げるのはものすごく難しい)。一般人はその塗装をみて「やっぱコンクリート打ちっぱなしはかっこいいねー」と言っている。それは塗装だ。たまに「コンクリート打ちっぱなしって寒くないの?」と聞かれるが、それは断熱が入っていない建築をイメージしているから。なので安藤忠雄の住宅は夏暑いし冬寒い。なお忠雄本人はタワマンに住んでいる。マンションの場合、隣や上階に部屋があればそこが断熱として効くので打ちっぱなしでも大丈夫。ただし床は例外。熱伝導率が高いので皮膚が触れたときに同じ温度でもコンクリートやタイルのほうが冷たく感じる。それでお前は何にした壁面はGLボンド撤去の上、塗装。一部モルタル塗り直し。一般の壁はAEP塗装の白マット仕上げ。寝室とクローゼットはモイスという調湿建材。壁紙はきらいなので未使用。キッチン食洗器海外勢のデカイ食洗器をいれよう。パナソニックのビルトインは買ってはいけない。あれは卓上タイプよりも食器が入らない。海外食洗器をキッチンをいれるときは、床から天板の下端までの高さに注意してほしい。日本だとミーレがデカい顔をしてぼったくり価格で売っているが、これは高さが80cmでギリギリ日本の一般的なシステムキッチンに入る寸法だからだ。AEGやボッシュは82cm以上を要求するので、日本の一般的な85cmの高さのカウンターだと入らないことが多い。逆に言えばとにかく下を82cm確保すればどのメーカーでも入る。AEGはカゴがリフトアップする。ボッシュは耐久性が高い。ガゲナウはボッシュの見た目をかっこよくしただけ。IKEAはAEGのリフトアップを削除した廉価版。ミーレはぼったくり(2回目)。ガスorIH中華料理命!でなければIHをオススメする。加熱時に上昇気流が発生しないから油が飛び散りにくいし、使っていないときはフラットだからほかの用途に使える。勝間和代氏はIHのガラスの上でうどんこねてた。それでお前は何にしたコスト削減のためシステムキッチンは購入せず、天板だけ買って大工さんに施工してもらった。天板の下は無印の収納を突っ込んでいる。これで百万ぐらいコスト削減。天板はシゲル工業で作ってもらった。スクエアシンクって手で溶接するからめっちゃ高いんだけど、ここはプレス品だから安い。スクエアシンク | ステンレスワークトップとキッチンシンク製造のシゲル工業その他に検討したのはキッチンハウスのグラフテクト。今でもグラフテクトはアリだと思っている。GRAFTEKT -グラフテクト- | 家具のようなキッチン・システムキッチン水栓はLIXILのナビッシュA6。濡れた手で触らないので、水栓周りがよごれにくい。https://www.lixil.co.jp/lineup/faucet/navish/換気扇はパナのDEシリーズかフジオーにしよう。メンテがしやすい。パナはDWという10年掃除不要と謳っている製品を推しているが、あれは代わりに一切のメンテができず、10年で本体交換を必要とする地雷。IHもパナ。グリルまでIHにしている唯一のメーカー。このグリルが優秀で、オーブン代わりになるし、パンもおいしく焼ける。おかげでヘルシオとバルミューダトースターが不要になった。洗面台水栓は垂直面から生えたやつにすべし。立ち水栓は根本が汚れる。ダブルボウルは便利だが、なくてもなんとかなる。それでお前はLIXILのYL-537を2台設置。洗面台と水栓が一体型で、かつ壁から水栓が生えている。本来は公共施設用のものなので耐久性が高い。それでいてシステム洗面台より安い。いいことづくめ。唯一の弱点は排水トラップが真下に生えるから下の収納に制約がでる。脱衣所にガスコンセントを引いておくと、ガスファンヒーターで冬の風呂上がりの寒さや洗面所の足元の冷えを解消できる。乾太くんやガス炊飯器もそうだが現代のガス機器は優秀なのにマイナーなのでもっと評価されるべき。トイレ安さに惹かれてパナのアラウーノにしたが、失敗した。パナはアラウーノの素材のことを「有機ガラス系新素材」とか言っているが、これは単なるプラスチック。普段は自慢の泡洗浄で汚れを防いているが、一度洗剤が切れると陶器の数倍の速さで汚れる。しかも洗剤の消費ペースが早く毎月補充が必要。めんどい。やはりトイレはTOTOにすべきだった。パナは商品設計はとても誠実なのに、どこかに弱点があると言葉のあやでごまかそうとするのがムカつく。パナソニックが聞きなれない単語を使い始めたら要注意だ!手洗い器は洗面所と同じで、垂直面から水栓が生えているやつにしよう。その点でサンワカンパニーはダメ。あいつらインスタ映えすることばっかり一所懸命でメンテのことを忘れてる。照明調光可能な照明を入れる人類は太陽の動きと連動して暮らす生活を何万年と続けてきたので、極力それに合わせた照明を計画するのが基本。究極は「日が沈んだら寝る」だが、現代人には無理ゲーなので「夕日が沈むのを遅らせる」のを目的とする。なのでだんだん暗くできる調光可能な照明をいれる。夕日の代わりなので暖色にする。色温度が変わる機能は不要。増田は風呂や納屋も含めて調光可能にした。深夜になにかを思い出して、納屋やトイレに行ったときにバチっと全開でライトが付くのは不快だ。パナソニックがまさにそういった夜間だけ暗くなる人感センサースイッチを出している。[トイレ壁取付]かってにスイッチ(換気扇連動・ほんのり点灯モード対応) | アドバンスシリーズ | スイッチ・コンセント(配線器具) | Panasonicタスク&アンビエント聞きなれない言葉かもしれない。これはタスク=作業場所とアンビエント=環境照明は別々に計画しましょうということだ。真っ暗な部屋でスマホライトをを下向きにすれば手元が照らされ、上向きにすれば部屋がぼんやり照らされる。照明は向きによって機能が変わる。食卓やキッチンなど何かしらの作業が発生する場所には下向きのライトで必要な明るさ確保、それだけでは全体が暗いので、上向きの間接照明で明るさを補うといい感じになる。食卓の上にペンダントライトを吊るのはタスクライトのためであってオシャレのためではない。この「何かしらの作業が発生する場所」はライフステージの中で結構変動するので、照明の位置や向き、数を可変できる「照明ダクト+スポットライト」が増田のオススメ。白くて丸いシーリングライトは、タスクに必要な明るさを確保しようとするとアンビエントまで過剰に明るくなる。すると眼の光彩が絞られて手元が暗く感じる→さらに明るいシーリングライトを買ってきて・・・の無限ループに陥る。親のいる実家がどんどん明るくなるのはそのせい。シーリングライトは法律で販売禁止にすべき。それでお前は何にしたタスクライト→天井に配線ダクトをつけまくり、MAXRAYのレトロフィットスポットライトMS10481-44にウシオ電機のCシリーズの電球。 LDR6/5 E11 φ65 ロング(スポットライト) | 照明器具のマックスレイ | ウシオライティング(製品サイト) 信頼できるメーカーで調光可能で演色性が高くてそれなりに安いとなるとこのへんになる。ウシオ電機は一般にはあまり知られていないかもしれないが、建築業界ではとても有名な照明メーカー。器具自体はデザインでお好きにどうぞ。よく「LEDは10年もつぞ」と言われるが、その前に5年ぐらいで制御基板が壊れるので灯数が多い器具は電球が分離できるやつにしておいたほうがいい。アンビエント→リビングはコイズミの棚上照明。商品名の通り壁面収納の上を間接照明にして天井を照らしている。Shelf’s Compact Line|シェルフズコンパクトライン|コイズミ照明株式会社寝室は壁面にパナのホームアーキの壁面ブラケット。天井には照明無し。HomeArchi(ホームアーキ)|ブラケット|住宅用照明器具 | Panasonicスイッチ基本スイッチはすべてパナのリンクプラスで遠隔操作可能にした。正直高くついたしアプリは超クソだが、PSEを遵守したなかで選ぶとパナしかない。Philips Hueなどのスマート電球でリンクプラスの代用とすることも可能だが灯数が多いときはあまりオススメしない。演色性が低いのと基盤がすぐ壊れる。アプリはクソなので(2回目)、これらをArduino+Homebridgeで自動制御しているが、詳細を書くとこの日記が3倍に膨れ上がってしまうので、そのうちQiitaにでも書く。なお照明は製品設計としてそれなりに奥が深いので(インバーター周波数とか演色性とかカンデラとルクスとルーメンの違いetc)なるだけパナか照明専業メーカーのものを使おう。安いからってアイリスオーヤマとか買っちゃダメ![B! 家電] ブログ アイリスオーヤマのLEDシーリングライトのチラツキが酷いパナのアプリがクソで思い出した。パナソニックの玄関ドアホン、これもアプリも超クソだった。ピンポーンとなってからスマホで出るまでに30秒はかかる。 30秒もまたせたら相手は留守だとおもって立ち去ってしまう。それじゃあ、と思ってアイホン、Google Nest、Alexa Ring、も買ったが同様に遅延がひどい。どうしろと!!→結果、Aqara G4でなんとかジプシーを卒業できた。今んとこまともに機能するスマホドアホンはこれだけかも。安藤忠雄は好きです。
マンションリフォーム虎の巻
6 notes · View notes
pinball-1973 · 2 years
Text
夏の香港で、香港の友人たちとずっと屋外で遊んでいても、彼らは全然大丈夫で、私は暑さにやられてダウン…ということが続いたので、彼らの生活習慣をよく観察していたことあります。 香港人は朝食の時から甘ったるいミルクティーやレモンティーを飲んだり、食事の時にもコーラを飲んだり、オヤツに甘いエッグタルトをたくさん食べたり(若い女子でも平気で3つぐらい食べるw)しますけど、あれは暑い所で長年生きてきた人たちが自然と身につけた習慣…糖分を多めにとることで身体の保水性を高めている…と思われます。 日本人は、甘いものを避け、甘さ控えめの食べ物を選ぶ習慣が子供の頃から身についているから、香港にいても甘いものを避けて、それで暑さにやられやすい(汗が出やすくて水分不足になりやすい)。以来、私も意識して香港人と同じように甘いものを食べるようにしてかなり改善しました。
わざと熱中症になって耐暑能力を鍛えてわかったこと - 黒色中国BLOG
275 notes · View notes
st8610 · 1 month
Text
Tumblr media Tumblr media
昨年中投稿した写真にも写っていましたが、エストレヤにサイドバッグサポータを取り付けてオルトリーブのパニアを付けれるようにしました。
Tumblr media
2023年8月に友人とキャンプツーリングに行きました。 最近の北海道はお盆が明けてもなかなか気温が下がらず、バイクでのキャンプにも暑すぎるくらい。
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
急ぐような行程ではなかったですが、写真を見返すとずいぶんのんびりしてます。 キャンプインと同時に安着祝いからの設営開始。
Tumblr media Tumblr media
実はテントを新調しまして、この時が初陣でした。
Tumblr media
tent-Mark DESIGN - PAND TC+ 少し大きくて映えるテントが欲しいと思った折に購入しました。 ちょっと重いけど設営は楽で、耐久性もよさそうです。
Tumblr media
日の入りまで時間があるので遊びに行きます。
Tumblr media
近くに小さな川が流れているキャンプ場なので、パックロッドを展開し、歩いて入渓。いいサイズのヤマメが釣れたので美味しくいただきました。
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
夜になっても暖かく、遅くまで他愛のない会話で盛り上がりました。
Tumblr media
宿泊手段としてではなく、そのものが目的のキャンプは久々でした。アフターコロナでキャンプブームも下火になってきているらしいので今年はもう少し回数増やしたいですね。
Tumblr media
延長戦で久々に信号機トリオがそろいました。
3 notes · View notes
lllusioninthehead · 10 months
Text
2023/08/16
暑い日に少し昔の夢を見た。
いまの君には俺はどう見える?そんな言葉を過去に懇意にしていた人に投げかけていた。
公園のベンチに座り、焼けた砂利を足元に蝉の声を背中に聞きながら隣、同じ方向を見ながら話す。
いまより、ずっと夏が暑く感じなかったのは世界が変容する前だったのか、それとも身体に耐性が強くあったのか。わからない。虫にさされることも気にならなかった。
「ほんとはずっと君とそんな話がしたかった。君ならわかってくれる気がしたんだ」
返ってくる言葉が怖くてそう続けた。でもさ。
「たくさん言葉を交わして、なんとなく満足して帰るでしょ?でも、君と別れた途端に自分ばかり話してなかったかな?君は言いたいことを、伝えたいことを話すことができたかな?ちゃんと俺は受け止められたかな?」
そんなことを思ってしまうのがわかるから話せないんだ。怖くてさ。
ほんとはもっと話せればよかったんだ。
恥も外聞もなく。関係性も気にせずに。好ましく思ってる。なんか気が合いそうだとか。そんなんで良かったのにね。
彼女に顔を向けることができないのに何故か、彼女は白い服を着ている気がした。思い出の中のワンピース。袖のところに星のあしらいがある。
光が。当たって跳ね返る。光は清明にとって喜びだ。享受することを拒むように。
「だから顔を見てくれないの?」
懐かしい声。責めてるわけでもなく、ただ疑問。
そう、何も期待してないからできること。
もう、会うことのない人。夢でしか会わない、会えない。
話がしたかったの?声が聞きたかったの?あの日からちゃんと地続きの場所に立っているのか知りたかったの?
怖い。怖い夢。たぶん、また見る。顔も思い出せない人なのに。
答えずに汗だらけの現実を歩くために立ち上がる。
また、うまくできなかった。こんなところまで来たのに。帰り道を考えるとうんざりする。
傷はアスファルトに焼き付いて形を作る。そうでしか自分を確かめられない。傷つくことでしか学べないのだ。
夕方のソファーで目を覚ます。つけっぱなしのYouTubeから軽薄な笑い声。消費することでしか生きていけない物語がそこにはある。
まぁ、自分もか。
11 notes · View notes
kyoto4 · 10 months
Text
20230729  毎日、38℃をこえる
 連日、死ぬほどあつい。3日ほど39℃ちかくまで最高気温が上がったあとで、今日は38.1℃でした、と知ると、なんだか少し涼しくなったかのように錯覚してしまうが、いずれにしても京都の夏の本領発揮である。  お休みなので出かけるのだが、朝の7時半くらいに出てみることにする。なるべく日かげを走るように心がける。どこにいってもつんざくようなセミの声が響きわたってくる。鳴くのはもちろん雄の役目である。カモたちがせっせとご飯をたべていた。冬鳥はさぞ厳しかろうと想像する。加茂川ぞいはけっこうな数のおじさんが走っていた。女性陣はひとりも見かけなかった。  エアコンの発明者はウィリス・キャリアといわれている。彼がつくらなくてもそのうち誰かが思いついたのかもしれないが、もうちょっと名前をおぼえてもらってもいいようにも思う。ちなみにダイキン工業の旧社名は大阪金属工業所である。ウィキペディアによれば、2010年からキャリア社を抜いて空調事業の売上世界一となったらしい。キャリア社は、上記のキャリア氏がおこした会社で、日本法人は東芝をパートナーとしてえらんでいる。  エアコンは熱交換器なので、部屋の温度がさげた分、外気の温度をあげてゆく。京都は盆地なので風が吹きにくく、夜には熱がこもる。街なかはとくにひどい。風鈴さげたくらいではどうにもならない。昔から京都は暑かった。みんな耐えていたのだと思う。すずしい顔して知らんふりするのが京都の美徳である。  In Kyoto, it is considered a virtue to pretend not to know while wearing a calm expression
8 notes · View notes
kjh-417 · 10 months
Text
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
mes possibilites aujourd'hui. 今日のわたしの可能性。   庭の水撒きをする。   洗濯物を片付ける。   買い物に行く。     まだ少し ふらつきが残ってはいるけれど、 やるべきこともいくらかあるし 休みつつ、ほどほどに動く。   夕まずめに ひぐらしの声を聴いた。 秋はちゃんとやってくる。   酷暑の中、ちいさく咲く バラたちを、 今日もながめる。 彼らも耐えているのよね。
9 notes · View notes
marvin-masan · 7 months
Text
20231110
雨が降って空気がひんやりしている。
晴れが続いていたここ数日、ニットを羽織って運転しているとじっくり焼かれているような暑さがあったけど今日はちょうど良い体感で嬉しい。
見ない日がなかったツイッターのアプリをスマホから消した。
趣味のようなもので、友人が出来たり、ものごとを共有することが楽しかったし、自分が知っておくべきだと思うニュースも得ることができていた中で、ただ飛び込んできてしまう情報を丸呑みすることに限界がきたみたいだった。
かわいい物、流行ってるらしいこと、ライフハック、新譜、バズ構文、他人の生活、国への不満、将来の不安、戦争。
情報を空気のように吸って、これは買おう!と思った100均アイテムはすぐに忘れるのに、人が残した黒い言葉はずっと忘れられない。
私は愚痴をいってすっきりするのが苦手だ。
ここ数年、吐露しても解決しない問題がずっと続いていて、口に出す事すら苦しさを感じる。厳しい寒さが通り過ぎるみたいに、それらが終わるのをひたすら耐えている傍ら、人の愚痴を目の当たりにすると、その言葉に引っ張られてしまう感じがする。
書いている人はそんな事気にする必要がないけど、駅で理不尽に他人に怒りをぶつける人を見ると鬱屈とした気分になるのと同じで、私は勝手に飛び込んできたものをそのまま飲み込んでしまう。インターネット云々の前に、多分ソーシャルライフに向いていない。
Tumblr media
昨日着ていた服。
ニットジャケットは頼りない保温性だけどピシッとしないから好き。
身につけるものを一つ最初に決めてから、それに合わせて服を選ぶ。同じような服ばかりだけど楽しい。
息子に暖かいルームシューズを買わないといけないのだけど、いいサイズが見つからない。冷え込みが厳しい我が家の朝は烈火の如く泣き叫ぶ息子の声が響くのが日課になってしまった。
子供のクリスマスプレゼント、ケーキ、エアコンの清掃依頼、年末の歯科健診。髪の毛は切りにいけるかな。
2 notes · View notes
patsatshit · 8 months
Text
拙書『DJ PATSATの日記』以降、約1年半ぶりの日記。僕には普段から日記をつける習慣はない。理由はただひとつ、面倒くさいから。そんな自分が過去にわざわざ日記をzineにして販売したのは、もちろん自分語りをしたい訳では全然なくて、僕自身が日々、息をして飯を喰らい、排泄を繰り返している東淀川区、淡路という街そのものを記録したいと思ったから。そんな大仰な企みを抱きつつも、それを常日頃から継続できるほどの胆力を残念ながら持ち合わせていない。うっかり油断していたらあっさりと喰われそうになる淡路という街と向き合い、毎日毎日、何とかやり過ごすことで精一杯。だって街も人も濃ゆいねんもん。かつてフジテレビ系列で放送されていた『とんねるずのみなさんのおかげでした』内の「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」コーナーに登場する床の落下セットを当店タラウマラの入口に設置したいと本気で考えるくらいには辟易してる。いや、実際に脳内で落下させた人物や事案は余裕で3桁に届くでしょうね。でもそれは決して一方的な憎悪ではない、むしろ全面的に愛憎。ライオンの親子みたいなものかな。実際に相対してるときには、こいつらとは二度と顔を合わせたくないと胸中で中指をおっ立てているのに、そんな彼らのことを自分の筆で記録したいと思っているのだから自分自身でも訳がわからない。だけどいつだって物事はそんなに単純じゃない。「日記のような日記を書くことを誰もが何のてらいもなく欲望する」(上林翼)現状から距離を起きたくて、この一年はひたすらに小説脳だけを稼働させてきた。とは言いつつも、やっぱり飽き性で忍耐力のない僕は「梔子」「市街地の犬」「ほんまのきもち」「JAGUAR」と書き続けたところであっけなく小説脳が焼き切れた。そんなタイミングでvideo lover a.k.aあっちゃん(以下あっちゃん)に声をかけてもらい、ふたたび日記を書くきっかけをもらえたことにとても感謝してる。この日々のやり取りで、おっさんの凝り固まった頭をあっちゃんの柔らかい感性でグニャグニャにほぐしてもらおう。それはまるで新世紀のメンズエステ、ネオン街ジェネシス。そんなことを言ってるからまた呆れられる。ひとまわり以上も年齢差があるにもかかわらず、あっちゃんとは趣味嗜好、考え方なんかにたくさんの共通点がある。まだ3回くらいしか会ってないけど、確かに僕は退屈がひっくり返る予感がした。だってビースティーズ聴きまくっているような人やからね。いまから25年前に鼻垂れ小僧だった自分にとってのヒーローがまさにビースティーズとアンダーグラウンドレジスタンスだった。当時アメリカ村にあった古着屋のLOVE BUZZで『Check Your Head』のTシャツを買い、同じく同地にあったジェリービーンレコードでURの12インチを買い漁った。アルバイトで稼いだ給料はすべて古着とレコードに突っ込んだ。本を買う気も読む気もまったくなかった。おとなしく部屋にこもって本を読むほど暇じゃなかった。そもそも本を読むことが好きじゃなかった。それはいまも変わってない。オーバーサイズのディッキーズを腰履きして、ヨレたバンドTを着ることが誇らしかったし、URのレコードの盤面に彫られたメッセージにいちいち暑苦しく気持ちを昂らせていた。ヒーローはいつだって僕たちをがっかりさせるものだけれど、彼らの作った音楽は軽く四十路を超えた我が身にも未だに有効だ。僕の最新作「JAGUAR」のタイトルはもちろんURの49番目のカタログから拝借している。でもいま聴きたいのはその曲じゃない。タラウマラ閉店後の店内で97年にリリースされた「 The Turning Point」をターンテーブルに載せる。A面の「SOUL CIRCUITS」からマッドマイクのネバっこい生演奏がほとばしる。単調なのに、いや単調だからこそ中毒性の高いロッキン・エレクトロ・ファンクに思わず血が滾る。狭い店内には本日入荷したばかりの大量の中古自転車、それらはどいつもこいつも蜘蛛の巣や油や泥にまみれている。明日以降の整備の手間を考えると嘆息したくもなるが、この面倒臭さにこそURのファンクは効く。洗練とは真逆の真性の吐瀉、そう、あっちゃんがこの公開日記のタイトルを「Pat Sat Shit」と閃いた瞬間、デトロイトの彼らが自身の楽曲のことを「Shit」と形容していたことを思い出した。そんな折、父親からのLINEメッセージで茨木市に住む親戚の訃報が届いていた。僕は思わず「シット……」と呟いた。
youtube
5 notes · View notes
tokyomariegold · 10 months
Text
2023/6/12〜
Tumblr media
6月12日 三つ編みで出勤したら女性の上司に、あらよいですね���と言ってもらい、まさかでやっぱり嬉しい。 女の人に褒められると嬉しくなる。
昨晩周りの人たちが好きな傾向があるラバーガールのコント動画を少し見てみたけれど何が面白いのかあまりわからなくなってしまって悲しかった。 お笑いを楽しめなくなってしまった。 多分自分の人生が忙しすぎるのかな、と、自分の写真を1〜3期に分けて組んでみようとしている内の2期目の写真選びをした。
朝トイレの様子がおかしかったので詰まってしまったのかも…と不安のまま出勤したことを思い出した。大丈夫でありますように。
Tumblr media
6月13日 出勤の道で、雨が降る中レインコートを着て長靴で歩きながら除湿機をamazonで購入。買ってから、こんな状況で除湿機買ってるのなんかおかしいな、と思った。
出勤した給湯室から「あ、それ聞いたことあります。こないだデートした人から…でもいろんな人とデートしてて誰から聞いたか忘れちゃったんですけど…」という会話が聞こえてきて、いろんな人とデートする元気な人もいるんだな〜、となる。
私と同じようにバスに乗らず歩いて出勤している一期下の方に、道中に11匹のねこが落ちていることを伝えていたら「今日ねこ見つけました!」と報告してくれた。
今の上司も飼い犬を溺愛していて、そのラブなエピソードをたびたびお話ししてくれる。 今ちょうど里親の元から親犬が来ているとのことで、離れられなくなっちゃうんじゃないか、と訊ねると、夏休みに実家に帰省して親に会う感じで、ほどほどに楽しく限られた時を過ごしているとのこと。 誰も教えてないのにタオルで戯れるのが大好きで、不思議に思っていたところ、昨晩親犬が人目を盗んでタオルで戯れていたところを上司が発見したらしく、遺伝なのかな〜、という話をした。
今日から職場の冷房が解禁された。 思いがけず天気が回復して陽射しを浴びた。 いろんなものが身体に堪えて遠い気持ちになっている。
Tumblr media
6月13日 前年度までお世話になった上司が、職場の近くでパン屋さんをしているとのことで、お昼休みに職員さんに車で連れて行ってもらうことに。 事前に調べたところでは、とてもおしゃれで可愛らしいパン屋さん。 ご自宅でひっそり営業されているのかな、と思っていたけれど雑誌に掲載されたこともある人気店みたい。
久しぶりにお昼休みを誰かと過ごして、しかも職場の敷地外に出られるなんて、気分転換ってこうゆうことね〜といつまでも覚えられない職場周辺のロードサイドを眺めていた。
パン屋さんは売り切れ閉店してしまっていたけれど、素敵なお店と、そのお店の上司のお話をできたお昼休みでとても楽しかった。
かわいい刺繍が入ったシャツをよく着ている方に、かわいいですね!と伝えると「選択をする女の人のシャツです」と教えてくれた。 好きなブランドだったけれどもうなくなっちゃったんです、とのこと。どこのですか?と訊ねると、Ne-netだって! A-netのお洋服たちが少し寂しい感じになっていることや、Ne-netのお洋服のかわいさについてお話しできて、まさのことで嬉しかった。
今日こそは2日連続で受け取れなかった宅急便を受け取りたいのに全然バスが来ませんね。
Tumblr media
6月15日 朝駅に着くといつものバスが間引かれていたようで、バス停が大行列。雨の日なのになんで! そのまま1時間くらい歩いて出勤してみた。 途中からなんとなく同じように歩く人がいて、20mくらいの間隔をあけてずっと同じ道を歩いていた。駅のローソンの袋を下げていたので、もしかしたらこの人もバス停の人の多さにびっくりしたのかもしれない。
道中で泉まくらの新曲をダウンロード。 ちょっとだるいかも、で、ロキソニンを入れたらなんか身体がヒリヒリしてしまった。 ちょっと痛みも耐えられない!
帰り際、雨が降ってきそうですね、とロッカールームで他のチームの職員の方とお話をする。 窓の外の木は鳥が運んできた種から生長したでありう実生木で、こんな花が咲くんだね〜と言っていた。ふわふわの薄黄色の花。実が美味しいらしく鳥がよく食べにくるとのこと。
レインコートもきて完全装備で歩いていたら、車が走り去って泥水を飛ばしてきて、バスも全然こなくて、やっぱり雨の日はダメだ!
Tumblr media
6月16日 通勤中の紫陽花が咲き誇っていて劇にゃんこ状態。 暑さに体がなれないと夜中に起きては何かを食べてしまう傾向が強くなる。寝ている間に体力を消耗してしまっているのかな。
帰り際、おとといパン屋さに一緒に行ってくださった職員さんが話しかけてくれる。 その時車の中で大学の話をして、私の母校を伝えていたのだけれど「なんか聞いたことある大学だと思ったら、大学時代の同級生が今そこで先生をしているの!」とのこと! お二人とも関西の大学出身だけれど、関東に出てきた友人として最近までよく会っていたらしい。 名前を教えてもらったのに忘れてしまった。 私の所属していた学部とは違ったけれど、源氏物語の研究をしているらしい。我が母校っぽいな〜、と思った。
やっと天気が良くなったのでお昼休みに自転車でクリーニングを受け取りに行こうと思っていた矢先、出勤中に自転車で点灯して労災がうんぬんという話を聞く。上司が自転車で転けてしまい泥だらけで出勤してきていたとのこと。 怖くなって今日は自転車に乗るのをやめておいた。
明日はリップグロスと新しい香水を買いたい。 今日はお掃除そこそこに早く寝られますように。
Tumblr media
6 notes · View notes
kennak · 10 months
Quote
2週間ほど前だったか、イギリスの裁判所で、日本への被告人の引渡しが人権保障の観点から認められなかった趣旨の判決がされたと報道された。日本の刑事司法に対する国際的評価を知る上で有用と思い、読みたく思っていたが、高野隆弁護士が邦訳をブログに掲載されていたので有り難く拝読した。 先行事件の判決を踏まえて読まなければ全体的な理解は得られないかも知れないが、大要、次の如くである。 日本政府が英国籍の刑事被告人の引渡を求めたことに対し、法律の規定と実際の運用とに乖離があり人権侵害になるとの申立がされたことから審理を行い、条約上の人権保障が十分になされるかが争点である。 この観点から、【ダイヨーカンゴク】「制限時間の潜脱」「留置場での不当な扱い」「拘束具の誤用」「弁護士へのアクセス」「圧迫的な取調べ-その長さ」「抑圧的な取調べテクニック」「取調べへの弁護人立会並びにビデオ録画がなされないこと」【未決拘禁】「拘禁場所が不明」「物的環境(夏の耐え難い暑さ等)」「医療」「規律」等々と詳細な検討、評価が続けられている。 例えば「制限時間の潜脱」については、犯罪事実を分割して拘禁時間を実質的に延長出来ること、実際にもそれが行われていることが指摘されている。 「圧迫的な取り調べ」については、日本政府が形式的な規則の説明に終始していることへの不信感が表明されている。 「取調べへの弁護人立会」については、「この国際的に認められた最低基準を提供するという保証を提供しない理由がわからない」とまで書かれている。運動に関しても、「日本政府は・・ヨーロッパ人権条約3条に適合していないことを理解していない。しかも、証拠によれば、そのような最低基準さえも常に守られているわけではない」と、ばっさりである。 長文なので詳細は前掲ブログに当たられたいが、結論的に、判決は、「日本では合法とされるが人権条約締約国では行われていない処遇への懸念」が解消されるだけの保証がされなかったこと、「日本は、システムを監視するための国際的な基準に適合するシステムをもっていない」こと、日本政府は反証機会を与えられたが、上記の保証を約束しなかった、等として、日本政府への引渡しを免責した。 このような内容の判決であるので、日本の事と知らずに読めば、とんだ人権後進国だと嗤いながら読むことになるだろうが、日本の事と知っても、反論の余地が見出せないので、納得するしかない。 傍目八目と言うが、忖度なく第三者の評価に晒せば、おかしなことだらけの、人権国家を標榜するならあるまじき実態があり、裁判所を含め、それを糺す装置にはなっていないということが見事にすっぱ抜かれている。 一つの議論の契機としなければならない
日本の刑事司法の後進性について|名古屋市中区の弁護士法人 金岡法律事務所
3 notes · View notes
elle-p · 1 year
Text
P3 Club Book Fuuka Yamagishi short story scan and transcription.
Tumblr media Tumblr media
風花☆すたんぴーど!
証言1: 「山岸?ああ、あの地味で大人しい子だろ?前はちょっと暗かったけど、最近少し明るくなったよな。趣味······とかないんじゃねえの?たまに何か難しそうな本読んでるくらいで。あ、でも確か文化部入ってんだよな?あとはぁ、ゴメン、よくわかんねえや」
証言2: 「風花ちゃんは最高っす!あの儚げな姿、聞く者を夢に誘うようなほわほわした声、成績だって常に上位に入る明晰な頭脳、すべてが理想のままの美少女っす!そういや噂では、医学部目指して猛勉強中らしいっすよ。ああ、白衣姿の風花ちゃんに癒されたいっす~!」
証言3: 「山岸風花ぁ?なんかさぁ、あいつって妙にイライラすんだよね。 いつもオドオドラじうじしててさ。まぁ、確かに最近雰囲気変わったけどさ。いつも夏紀と一緒にいたじゃん?こーいうの何て言うの?虎のいを······かる羊だっけ?あはは、アタシってなんか普通に頭良くなーい?」
---人は、さまざまな仮面を持っている。友達と一緒にいる自分、家族と一緒にいる自分、恋人と一緒にいる自分、それぞれ違った顔を持つ。それは山岸風花にしても同様で、さまざまな証言からは得られない一面を、隠し持っていたりする。そしてそれは、同じ巌戸台分寮に住む仲間たちの前では、ごくまれに明らかにされることがある。例えば、こんな風に。
「ふぁ~あ······ん?風花、何やってんだ?」
とある休日の午後、惰眠を貪った順平が自室からラウンジに降りてきたとき、風花はソファに座って目の前の何かに集中していた。テーブルの上には、小さな人形が20数個ほど整然と並べられており、その横にはそれら人形が入れられていたと思しき袋の残骸が山となっている。
「あ、 順平くんおはよ······あはは、ちょっとね」
「ん?これってもしかしてボトルキャップってヤツか?そういやオレも昔集めてたぜ、大リーグシリーズのヤツ。懐かしいなぁ」
順平が言うとおり、それはボトルキャップに小さなフィギュアがついた、ソフトドリンクのおまけとして知られる物だった。
「実は······私けっこうこういうの好きで、たくさん集めてるんだ。ヘン······かな?」
確かにコレクターには男性が多いといわれ、収集癖がある女性は珍しいほうに入るだろう。しかも、いま目の前に並ぶそれは、多少、いやかなりマニア���クな部類に入るものだった。
「つか、何だこれ?怪獣?」
「ち、違うよぉ!これはね、“懐かしのモンスターシリーズ・シーズン3 B級ホラー映画の怪物たち” だよ。 怪獣なんかじゃないんだから」
そちら方面にあまり興味がない順平にとっては、幼いころに見た特撮怪獣と見分けがつかないのだが、風花にとっては大きな違いがあるらしい。意外といえば意外な風花の趣味に、順平はちょっと新鮮味を覚える。
「あのね、こっちが『トレマーズ』に出てた地底生物でしょ、そしてこっちが『バスケットケース』に出てたお兄さんのほうね」
お兄さんのほう、とか言われても、弟が誰かすら知らない順平は「そ、そうか」としか返事ができない。そんな順平に構わず、徐々に興奮をあらわにしつつ風花は説明を続ける。
「で、これは有名な物体X。 もちろんジョン・カーペンターじゃなくて旧作のほう。あ、こっちは取るのに苦労したんだよ、『死霊のはらわた』のアッシュの手首!ちょっとかわいいよね」
勢いが止まらない風花に、暑くもないのに順平は汗だくになる。軽く朝の (もう昼だが) 挨拶をしただけのはずが、妙なスイッチを押して風花の中の何かをはじけさせてしまったらしい。
だが、なぜかそこで風花はふっと表情を曇らせ、はぁと大きく溜め息をついた。
「でも······」
「ど、どうした?」
その憂いを刻んだ横顔に、少しだけ順平はどきりとする。何のかんの言って、風花はかなりの美少女なのだ。だが、その小さい唇から紡がれた言葉は、順平の不埒な馬っ気などしおしおに萎えさせるものだった。
「見つからないの、レア物が」
「へ?レア物?」
「そう。『バタリアン』に出てた、ゾンビ化ガスで生きっちゃった犬の標本。すごいんだよ、身体の真ん中で真っ二つに割れちゃってるのに、わんわん吠えるんだよ。おかしいよね」
屈託なく笑う風花。順平がふとテレビのほうを見ると、横でコロマルがだらりと寝そべって眠っている。風花って、確か犬好きだったよな?それでどうして、真っ二つになった犬でころころ笑えるのか、順平には不思議でならない。
「でね、それが超レアらしくって、いくら買っても出てこないの。シークレットだから個数とかの情報もないし······。いままで全部コンプリートしてたから、このシリーズも揃えたいんだけどな······ちょっと疲れて来ちゃった」
目の前に並ぶ20体以上のボトルキャップは、横に積まれた開封済みの袋からわかるとおり、おそらく今日買ってきたものだろう。いつ頃からコレクションしているか知らないが、これまでに買ったのは相当数に上るのではなかろうか。そして、ややへコみ気味の風花の顔を見ていた順平は、やがてある結論にたどり着いた。
「よっし、 風花!何かオレにできることあるか?そのレア物とやら手に入れるの、オレが手伝ってやるよ。あ、でも金貸してくれってのはナシな。オレってビンボーだからさ」
「え?順平くん······ホントに?······あ、ありがとう······嬉しい」
はにかむような笑顔を見せる風花。ああ、これだ、と順平は思う。以前、チドリを喪って生きる気力すらなくしかけた順平を、さりげなく気遣い癒してくれたのはこの風花の笑顔。それは決して恋愛感情ではなかったが、この子に悲しい顔をさせてはいけないという、ただそれだけの純粋で暖かな想いだった。
「いや~、しかし風花がホラー好きだなんて、ぜんぜん知らなかったぜ」
「え?別に私ホラー好きじゃないよ?」
「は?」
「純粋にコレクションが好きなの。ホラー映画のことは、集めてるうちに詳しくなっちゃった」
「そ、そう、なの······?」
一般人には理解不能なコレクター根性に触れ、先ほどの温かい想いはどこへやら、順平の背筋にちょっとだけ寒気が走る。だが、一度決めたことを反故にするわけにはいかないと、普段は見せない男気を精一杯奮って、順平は風花に対して力強く宣言した。
「おしっ!それじゃ明日から、幻のレア物探しをさっそく始めるぜっ!」
「うん!」
それが、順平受難の日々の始まりだった。
そして、レア物探しの協力宣言から1週間。 早くも順平は根をあげつつあった。
「ぜぇ······はぁ······ぜぇ······。ふ、風花······ちょ、 ちょっと休まない······か?」
「ダメだよ順平くん、さっき休憩したばかりじゃない。ほら、もう少しで寮も見えてくるよ」
レア物探しの協力、それは放課後に風花の買い物に付き合い、荷物持ちを引き受けるというものだった。だが、ひと口に荷物持ちといっても、その量が尋常ではなかったのだ。学校を出て寮までの道中にある、ありとあらゆるデパート、スーパー、駄菓子屋に立ち寄り、連日3~4ダースのドリンクを買い込むのである。単純計算で通常サイズのペットボトル1本500グラムだとして、4ダースでじつに25キロ!子供の頃からのマメな貯蓄で、風花の財力はそれだけの買い物に耐えられるものだった。不幸にも。
しかも、苦行はそれだけではない。ドリンクを買ったら、そのあとに飲むという作業が残っている。無駄を嫌う風花は、今まですべてをひとりで飲み干していたらしい。そのため1回に買える本数は限られていたが、順平の手伝いのおかげでそれが大幅に増えたと、めっきりご機嫌な様子である。だが、しかし······。
「出ねえな······レア物······げふっ」
「そうだね······くっ」
いったい確率的にどれほどのものかは知らないが、レア物ボトルキャップはいっこうにその姿を現わさなかった。
「さすがに······これ以上貯金使っちゃうのもマズイよねえ······くっぷ」
「つか······げぷつ······その前に······うぷっ······オレ の胃袋が······げーっぷ」
「でも······後には引けないよ、順平くん。最後まで、手伝って······くれるよね?」
思い詰めた表情で、順平を見つめる風花。そうか。こいつって、こんな負けず嫌いのところもあったんだ······。再度、自分が知らない風花の一面を見て、 順平はまた新鮮な気持ちになる。そして、そんな風花の知られざる顔は、次々と順平の前にさらされることとなった。
それが、風花の暴走の始まりであった。
「お願いしますっ!もしこのボトルキャップが出たら、譲っていただけませんかっ?あ、これ連絡先ですっ!」
「ふ、風花······さすがに恥ずかしいから······」
あるときは、たまたま同じドリンクを買った客を捕まえ、レア物が出た場合の譲渡契約を取り付けようとする強引な風花の一面を見た。
「レア物ボトルキャップを感じる······ユノの指先」
「って、ここでペルソナ召喚はマズイって!」
またあるときは、ユノのサーチ能力を使って開封せずに中身のボトルキャップを当てようとする、なりふり構わない風花の一面を見た。
「順平くん !これでもう大丈夫!あのね、アイギスのメンテ用に開発された、非破壊検査スキャナを桐条のラボから借りてきたの。これでボトルキャップなんか簡単に見つかるよ!ただ重量が2トン近くあるんだけど······スーパーまでどうやって運ぼう?」
「運べるかあーっ!」
そしてまたあるときは、万事そつがないようでいて意外と後先考えない風花の一面を見た。
······どちらかというと、できれば見せてもらわないほうがいい一面が多かった。
だが、それでもレア物ボトルキャップは見つからず······ついにキャンペーン最終日という日を、ふたりは失意のうちに迎えたのだった。
「結局······ダメだったね」
「ま、そういうこともあるさ。オレの人生なんか、ダメダメのダメばっかりだぜ?」
ポロニアンモールのベンチに並んで座り、おどけて言う順平に、彼が実際どのような気持ちで逆境を乗り越えてきたかを知る風花は、ただ優しく微笑みをもって答える。
「でも、ちょっと悔しいな」
「コレクター魂ってヤツか?」
「ううん、そうじゃなくて······順平くんとか、色々な人に力を貸してもらって、それに応えることができなかったのが、少し悔しいの」
「ま、オレは風花の意外なとこが一杯見れて、面白 かったからオールオッケーだけどな」
冗談めいて、でもかなり本音を覗かせて、順平は風花の無念を慰める。と、そこで。
「そういや、オレとか色々な人にって、ほかにも誰かレア物探し手伝ってくれてたのか?」
「あ、それはね······」
そう、風花が言いかけたときだった。
「風花ぁ!」
「え······え?な、夏紀ちゃん!?」
そこに突然現われたのは、先日家庭の事情で転校したはずの、風花の親友、夏紀の姿だった。
「う、ウソっ!どうしたの!?」
「いや、今日明日って連休じゃん?ちょっとヒマだから足伸ばしてみただけ。急に決めたから都合悪いかもと思って、何も知らせてなかったのにさ、会えるなんて運命っぽくない?」
「うん、うん!ホント運命的だよ!」
子供のようにはしゃぎながら、「何アイツ、 風花のカレシ?」、「ち、違うよぉ、お、同じ寮の人で······」と楽しげに会話する風花。これもまた、順平があまり見たことがない彼女の一面。
「あ、そうそう順平くん」
と、そのとき風花が順平のほうに向かい、夏紀の肩を軽く押し出した。
「さっき言ってた、もうひとりの協力者。 夏紀ちゃんもボトルキャップなんか興味ないのに、いろいろ情 報とか調べてくれたんだよ」
「あ、なんだ風花。まだ飽きずに集めてんの?マジ変なシュミだよね。そう思わない?」
おお、なるほどと順平が思ったそのとき、 夏紀が衝撃的なことを口走った。
「あ、そういやさ風花。前に教えてやった、えっと······バタリアン、だっけ?シークレットのやつ。いよいよ明日からキャンペーン開始だよね。しっかりゲットしなよ」
「··················え?」
「············は?」
「ん?アタシなんか変なコト言った?」
「明日······から?」
「そうそう。忘れたの?シーズン “4” のシークレット情報。アタシのケータイネットワークでゲットした、超貴重な情報なんだからね」
しーん。
不自然な沈黙が3人の間を支配する。
やがて。
「······ふーか?」
「······は、はい······」
「今までの、オレの、苦労は······?」
「············えーと············ごめん」
がっくりと、順平の全身から力が抜け、ボロニアンモールの冷たい大理石の床に突っ伏して動けなくなる。そういや、夏期講習騒ぎのときにもコイツ、うっかり連絡忘れてたっけ、と順平は思い出した。真面目でしっかりしているようで、じつはかなり間抜けでうっかり者。それもまた、風花の愛すべき一面なのであった。
3 notes · View notes
warehouse-staff-blog · 10 months
Text
こんにちは 名古屋店 コジャです。
半袖SWEATのプリントが入荷しました。
WAREHOUSE & CO. Lot 4084 半袖SW ALOHA HAWAII \11.550-(with tax)
Tumblr media Tumblr media
待ってました!!
Tumblr media
THE ALOHA。
Tumblr media
両面・多色。 フロントの胸元にクラシックなサーファー。 バックには「HAWAII ALOHA」に小さくハワイの景観。
Tumblr media
南国テイスト満載ですね~。
半袖SWEATに落とし込んでいるのがっぽさが出ますねぇ。
リゾート系を様々なプリントで愛用しておりますがこちらもラインナップに加わりそうです。 しかも半袖SWAETでハワイ柄がワードローブには無いアイテムだけに最高ですっ◎
今夏は以前御紹介したLot 4093 パネルボーダーに加えて、
Tumblr media
この「HAWAII ALOHA」で今夏は横乗り気分を満喫出来ますねぇ~。
179cm,69kg SIZE:XL
Tumblr media Tumblr media
サーフ×ミリタリーアイテムの相性も◎
Tumblr media Tumblr media
. . .
WAREHOUSE & CO. Lot 4084 半袖SW ZΤA \10.450-(with tax)
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
WAREHOUSEで見かけることの多いギリシャ文字のシリーズ。 この手の物に施されているキャラクターはユニークなプリントが多いのも特徴ですね。
何を表現しているかは分かりませんが《ZTA》から推測するに女性のキャラクターでしょう。
Tumblr media
ヒールのような靴も納得ですね。
Tumblr media
173cm,60kg SIZE:L
Tumblr media
. . .
WAREHOUSE & CO. Lot 4084 半袖SW 8 BALL \10.450-(with tax)
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
プリントや小物等ののデザインとしても用いられることのある「8BALL」。
勿論ビリヤードの8番玉からの物ですが、 その競技から派生した『Behind the eight ball』の意味で用いられることが多いと思われます。
『ツキがない』『窮地に陥る』といった意味のスラングのようで、 自嘲あるいは逆に苦境に立ち向かうというポジティブ・ネガティブのニュアンスが込められた8ボール。
負けが続いて背水の陣といったところなのでしょうか? ワードは無くとも描写のみで状況を把握出来るプリント。 なんともお洒落な表現方法ですねぇ。
バスケットボール・ボクシング・アメフト、 一番右端の方は何の競技でしょう??ビールジョッキを持っているようにも見えますが。。。
Tumblr media Tumblr media
バスケットボールプレーヤーの足がデカいのも良いですね~っ笑
Tumblr media
173cm,60kg SIZE:M
Tumblr media
. . .
「暑い」のでは?とよく聞かれますが、 身幅が膨らむシルエットで肌にピッタリとするものではないので思ってるよりも暑さを感じないんじゃないかなぁ~と思います。
私は暑さの耐性が強いのか半袖SWAETで外出してもTシャツ着用時と遜色なく楽しめてますよ。
VINTAGEの半袖スウェットもそうですが、 WAREHOUSEが展開する半袖スウェットも着丈がやや短めなので、 サイズを選べる今なら思っているよりも一つ上げることがオススメ。
ですが、 懐かしのVINTAGE感ある着こなしも良いと思いますよ。 短めの着丈や袖は、 重ね着をしてインナーをチラ見せというのも楽しんで下さいね〜。
私のように普段XL着用している方は上のサイズが無いのでスナップ画像(HAWAII ALOHA)を御参考下さい。
HPのトピックスも設けていますのでそちらも御覧になって下さいね。 https://ware-house.jp/newitem/ltng2306/
Tumblr media
では失礼致します。
-----------------------------------------------------
☞[LINE FAIR]
期間:2023年8月11(祝・金)~2023年9月10日(日)
条件:WAREHOUSEのLINE公式アカウントをお友達登録していただいているお客様が対象、且つ、御精算前にWAREHOUSEの公式LINEアカウント画面の提示
特典:恒例の特典
※WAREHOUSEの公式LINEアカウントをお友達登録して頂いているお客様が対象となります。 WAREHOUSEの公式LINEアカウント未登録のお客様はお会計の際に御登録頂ければ特典付きで対応させて頂きます。
※オンラインショップや通信販売、ビンテージ商品、及びセール商品は対象外となります。予めご了承下さい。
☞ [営業時間のお知らせ]
平素よりウエアハウス直営店をご利用頂き有難う御座います。 ウエアハウス直営店では営業を下記の通り変更しております。
《2023.8.20.現在の営業時間》
◎東京店 【営業時間:平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】無休 ◎阪急メンズ東京店 【営業時間:平日 12時~20時 土日祝 11時~20時】無休 ◎名古屋店【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】水曜定休 ◎大阪店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休
■ ウエアハウス大阪店は準備の為、営業時間を変更します ◎ 2023年8月20日(日)/12時~18時 ◎ 20238月21日(月)/15時~19時
◎福岡店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 ◎札幌店 【営業時間: 11時~20時】  木曜定休
今後の営業時間等の変更につきましては、 改めて当ブログにてお知らせ致します。 お客様におかれましてはご不便をお掛けいたしますが、 ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
.
☞ 『WAREHOUSE直営店の LINE公式アカウント開設』
WAREHOUSE&CO.直営店からのお得な情報や、エリア限定のクーポンなどを配布しています。
LINE公式アカウント開設にあたり、 2019年3月26日(火)以降、提供しておりましたスマートフォンアプリはご利用できなくなっております。 お手数をおかけしますが、今後はLINEアカウントのご利用をお願いします。
ご利用されるエリアのアカウントを「友だち登録」して下さい。 ※WAREHOUSE名古屋店をご利用頂いているお客様は【WAREHOUSE EAST】をご登録下さい。
※直営店のご利用がなければ【WESTエリア】をご登録下さい。
.
☞[リペアに関して]
弊社直営店で行っておりますジーンズ等のリペアの受付を休止させて頂いております。 ※ご郵送に関しても同様に休止させて頂いております。再開の日程は未定です。
ご迷惑お掛け致しますが、ご理解下さいます様お願い致します。 ※弊社製品であればボトムスの裾上げは無料にてお受けして���ります。お預かり期間は各店舗により異なりますのでお問合せ下さい。
.
☞WAREHOUSE公式インスタグラム
☞WAREHOUSE経年変化研究室
☞“Warehousestaff”でTwitterもしております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
WAREHOUSE名古屋店
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3-13-18
TEL:052-261-7889
《2023.8.20.現在の営業時間》
【営業時間:平日 12時~19時、土日祝 12時~19時】水曜定休
1 note · View note
yoshitugutuduki · 1 year
Text
ネオファウナ
Tumblr media
 白と黒。それがこの台地に登って抱いた最初の印象だった。起伏に富んだ白い氷原のあちこちから、黒い崖が顔を覗かせる。雪がちらついているせいか、それとも大地の白を映し出しているせいか、空もまた、灰色のはずが白んで見える。初めて訪れる北極圏は、太古の昔から日の沈むことのない、かといって日が高く昇り、大地の氷河を溶かすこともまたない、薄明の世界だった。  雪原専用の8脚車両で、傾斜の緩い台地の東側から登って早半日、狭い空間で疲れは溜まっていたが、私の体重が他の乗組員より重い分、贅沢は言えなかった。大丈夫、あと数時間もすれば、発掘のためのキャンプ基地に到着する。この辺りは雪の粘度が低く、おまけに雪の下の固まった氷河をうっかり踏んでしまうと、車両ごと転倒する危険がある。車体の脚部分に付いた音響センサーで、なるべく雪の厚い場所を探りつつ、進むしかないらしい。  私の隣では、ダンと名乗った白いクマの男性が車両に接続して操縦している。一見すると椅子にもたれかかっているようにしか見えないが、後頭部には電磁コントローラが付いている。彼自身によればちょっと前の型番だが、車両を動かすには使い慣れたものが一番しっくり来るらしい。後頭部樹状核増設手術を受けているらしく、扱いには手慣れているという。もう10年になるそうだ。他の2名が小柄で、荷物もかなり多い以上、体重の大きいゾウである私と、ダンの2名はそれぞれコクピットとサブピットに座ることになった。  「僕は地元の村の出なんですが」  思いのほか、荒々しげな見た目とは裏腹に、丁寧な口調でダンは喋り出した。運転中とはいえ、重苦しい静寂に耐えられなくなったらしい。  「どうもそっちでも、起きてるみたいなんですよ、失踪事件」  「本当なんですか」  それまで黙りっきりだったネズミの男、ジェイが、淡々と訊いた。��段驚くでもなく、寒い車内の温度に合わせたような冷やかさだった。仕事をし始めて半年間、ここに来て躓くまで彼と世界を巡ったが、未だに彼の感情の起伏は捉えられていない。  「えーと、報告では、確かに4件の失踪事件が、マクファーレンさんのご出身の村で確認されてますね、種はいずれもバラバラですが」  そそっかしいラエンの女性、ライラと名乗ったか、が手元の携帯モニタを叩いて読み上げた。ダン・マクファーレンと同じく、ここに着いた際に中央都市の空駅で出会ったばかりで、なおかつ、私とジェイの終盤を迎えた調査が躓くことになった原因だった。  いや、原因というのはよそう。別に彼女が引き起こした事態ではないのだから。  私たちはこの地に到着した瞬間に、すでに躓いていたのだ。
 私とジェイ・マウゼリンクスが実地調査を始めたのは半年前、そのきっかけになった、彼の調査に同行したのが1年程前だったか。赤道地帯の高地で発見された膨大な壁画、そしてそれを覆い隠していた巨大な洞窟は、数万年前に明らかな、我々知的生物による文明が存在した最古の証拠となり得るものだった。当時一介の動物文化学者だった私に、その研究の最前線に入って欲しいと言うオファーが来たのは、ジェイの横やりあってこそだと聞く。途中から研究に無理やり入り込んだジェイを疎む者はいたものの、全知的動物の大系統を、分子を用いて提示し、世界的に注目されている彼には、表立って反意を示すことができなかったようだ。無理やり私を暑い洞窟へ連れ出した彼は、これまでの古代文化とも違う、独特な意匠の壁画と、その物語る意味を教えてくれた。  それはカタログ、と言ってもいいものだった。中央に描かれた、楕円形の物体の中から、様々な種の、知的生物が出てきて、一様に並ぶ光景。そこには何万もの「立った絵」があったが、1色で描かれていながら、それぞれの絵はディテールが異なり、明確に別種と認識できた。赤道付近と言っても、安定陸塊上、そう、オセアニア大陸に位置する以上、ゾウやウマといった旧大陸を出自とする種は、ここには載っていないはずだった。だけれど、私の種だけではない。たぶん、あらゆる現生の知的生物が、この「カタログ」に載せられているのだろう。  分子生物学者のジェイは、恐らく人類のルーツを明確にしようとしているに違いなかった。そこで私に、手伝ってくれるように要請した。  誰もが気づかないふりをする。  感情の起伏に乏しいジェイが、この話をする時は苦々しい顔を必ず浮かべる。我々知的生物、つまり動物は、単一の系統である微生物として誕生し、無脊椎動物、魚類を経て、爬虫類となり、そこからそれぞれ鳥類と哺乳類が分かれた。これが、どんなにプロセスに疑問を抱こうと、この地球の教育機関で、幼獣ですら習っている仮説だ。  しかしこの仮説には矛盾が生じている。我々は進化の過程で、知能が発達したが、知能が発達するのが先だったのか、それとも様々な種に分化するのが先だったのか、という問題だ。知能が発達するのが先なら、例えば知能を退化させた種や、相応の歴史を示す物が残っていてもおかしくないが、実際はそんな種や事物は残っていないし、現在昆虫や魚類で示されているような、進化に至る原理、突然変異や、特に自然選択が、知能を持つと生じにくくなるのではないか、という仮説もある。一方で、様々な種に分化するのが先で、その後知能が発達したという仮説なら、上記の問題はクリアするが、いくら収斂進化という、似た生態的地位の生物に似た形質が出るという仮説があるとはいえ、そのような斉一的な知的生物化が起こり得るだろうか、という疑問が浮かぶ。そもそも、様々な種に分化しているのなら、我々には様々な、枝の途中となり得る、祖先種が数多見つかるはずだ。しかし、現状そんなものは一切見つかっていない。化石記録は魚類まで、それも現生の無脊椎動物や魚類とはかけ離れた姿で、我々の現在の姿を支持しない。  このジェイの主張に私は魅せられたのだろう。彼に伴って様々な古い遺跡をフィールドワークした。そうして、場所を絞り込んでいくうちに、文明誕生の起源となる候補が、この、新大陸の北極圏内にある、大きな台地で見つかった遺跡だと突き止めた。  残すは実地調査、既にキャンプ地が作られ、行われるはずだった大規模な調査に参加させて貰えることになり、北極へ向かう途上は、一睡もできないほどだった。しかし、いつまで経っても迎えの車両が来ない。どうもおかしいと思って、上空から気象観測用の無人機で見て貰ったところ、キャンプ地に誰の気配もない、ということが判明した。地元の警官隊に待機を命じられた私たちは、警官隊所属でこの地域を管轄していると名乗るライラと、この辺の地理に詳しく、仕事柄車両の扱いにも慣れているらしいダンと共に、キャンプへ向かうことになったのだった。
 洞窟の中は、明るかった。発電機が稼働したままになっていたせいか、洞窟の壁に設置されたライトが空間を照らし出し、携帯ライトを持たずとも奥深くまでの道は見えていた。ずっと昔読んだ恐怖小説と違って、静寂こそあれど、何十人ものスタッフが失踪したような、不気味な雰囲気は感じさせなかった。  先を行くジェイを呼んで、私より二回りは小さな彼の様子を聞く。  「キュクロプスさん、この先は若干狭いがあなたでも入れないわけではなさそうだ。ただ灯りがもう設置されていない。誰かライトを貸して欲しい」  そんな声が狭い道の前、ダンやライラの前から聞こえてくる。私は持っていた携帯ライト、ジェイには若干大きいかもしれないが、をダン、ライラに渡し、ジェイに渡すように促した。  「この奥は広い空間だ」  「慎重に進んでくださいね」  ライラが呼びかける。裂け目が出来て落ちていたりしたら大変だろう。  ライラに続いてダンが、そして私が狭い穴をくぐる。真っ暗であまり見えないが。空間が広いのは声の響き具合でわかる。  「これは、特に岩の裂け目とかはないみたいだ」  慎重に前進して、ジェイから渡された携帯ライトで周囲を見渡したダンが、何かに気づいた。  「なんだ、あれ」  真正面の、ライトで灯された場所を見る。明らかに場違いな物が、岩に貼りついていた。  「扉、ですね」  ライラが立ちすくんだまま不安げに言う。  鎮座している金属製の、明らかに現代的な円い扉は、私でも余裕で通れるぐらいには大きい。左側には、取手のような金属製の棒も繋がっている。  狼狽しているのか、先にこの空間に入ったジェイは、扉を見て何か考え込んでいるように見えた。そんな彼の横を通って、ダンがおもむろに取手に手をかける。  少しだけ、空気の吸い込まれる音がして、扉が開いた。  考え込むのをやめたらしいジェイが、吸い込まれるように扉の奥に入っていく。  「マウゼリンクスさん!」  ライラは止めに入ろうとしたのか、後を追った。私もそれに続く。  後ろから足音が聞こえる。ダンも来ているようだ。  扉の奥は、少し上向きの傾斜のある、通路だった。4名分の足音、金属音が響く。それ以外は、ジェイの今持っている携帯ライトが頼りだった。  こんなところに近代的な人工物があったなんて、何かの軍事基地とかだと、非常に私たちはまずいことをしているわけだが、なんでこんな洞窟の奥深くにあるのか、見当もつかない。  好奇心はとうに消え失せ、徐々に後悔と不安と恐怖が胸の奥を占めつつあった。そんな時、ジェイが立ち止まった。  「行き止まり?」  最後尾のダンが聞いた。ジェイは短く、いや、とだけ答え、目の前の壁、いや、長方形の扉だろうか、に設置された黒いパネルに、手をかざした。  扉が開くのと、視界が明るくなるのは同時だった。しばらく薄明りや闇の中で過ごしてきたせいか、目が痛い。なんとか視界を取り戻すと、通路と思しき、私たちが辿ってきた空間が明るく、ライトのようなもので照らされているのが見えた。扉の向こうは、少し落ち着いた明るさのようだ。ライラやジェイに続いて扉をくぐる。  そこは、一面緑色の森だった。
 唖然としていた私たちに、ジェイが呼びかけた。  「立体映像だ、本物の森じゃない」  各々が、凄まじい密度で生えている草木を触ろうとするが、すり抜けてしまう。どうやら本当に、偽物らしい。  「こんな植物見たことない。地球上でこんなの発見されてたっけ、それに日差しも」  「青い空だな」  上を見上げてジェイが言った。空と言えば、エアロプランクトンが漂っているため、地上からは緑色に見える、日差しもこんなに明るくはないはずだった。  「これが故郷の景色か」  そうジェイが呟く。  「その通りです、ここが本来の地球の景色です」  今までの穏やかな口調のまま、ダンが言い出した。  「マクファーレンさん?」  何を言い出すのか、と思い、私は振り向く。ライラも遅れて振り向いた。怯えているのか、その顔は強張っている。  「ようこそ、汎用生態系生産プラント、ネオファウナへ、私はこちらのオペレーションを行っているメインシステム、チャーリーと呼ばれています」  ダンは全員の方を向くと、恭しく礼をした。  「皆さんがご覧になっている映像は、本来の地球、東南アジアのカリマンタン島付近の熱帯雨林を再現したものです。本来の地球で最も多様性が保たれていた個所と言われています」  淡々と話すダンにはどこまでも表情が無かった。まるで愛想笑いを無理やり貼り付けたかのように、いや、人形や標本の魚のように、虚ろな笑みを浮かべたまま語り続けている。  「マクファーレンさん、どうしちゃったの?」  「私が現在操作しております個体は、身体の一部に改造を受け、なおかつ日ごろから電磁ネットワークに接続状態にありました。そこで、アバターを実体化させるよりも低電力で済むとみなし、デバイスとして使用するに至った次第です」  「俺をここに呼び寄せた理由はなんだ」  ジェイが、これまで聞いたことのない、敵意の籠った声で言った。赤い目が射止めるように、ダンを見つめている。しかしダンは答えなかった。  「ジェイをここに呼んだ理由は?」  今まで黙っていたライラが今度は言った。さっきまで怯えていたとは思えない、鋭い声だった。  「私は当該個体、あなたがジェイと呼ぶ個体を通して、ユーザーの設定した開始コードの発現タイミングを計算していました」  もはや私には何がなんだかわからなかった。洞窟の中の見知らぬ施設、見覚えのない緑、そして態度の一変した同好者たち。立っているのがやっとだった。  「一から説明してくれ、彼らがここに呼ばれた理由を」  ライラが続けた。ダンは薄笑いを浮かべ、苦虫を嚙み潰したような顔でジェイがそれをにらんでいる。  「始生暦時代に入って、人類の文明は大きく進歩し、大規模な星間文明を築くに当たりました。その過程で、本来の地球は大きく生態系を衰退させ、私が稼働を始めた段階では、乱開発防止のために所在不明とされていました。その代わり、多くの惑星が植民化され、人類は星間文明を自らの故郷とするに至りました。しかし、本来の故郷である地球への憧憬が無くなったわけではありません。数多の星々をテラフォーミングする過程で、人類はそのノウハウを蓄積させ、より高効率に、より速やかに他の惑星を地球化することを実現したのです」  「そして、故郷への憧憬は、私が制作されたネオファウナ計画に繋がりました。星間文明で用いられていた、地球由来の生物の遺伝情報を基に新たな労働力、知的生物を作り出す技術と、先に述べたテラフォーミング技術が結びつき、新たな地球を生み出すという計画へシフトしたのです」  「手順はまず、簡易な条件での地球化から始まります。条件に見合った惑星に、こちらのプラントで遺伝情報を改変し作製した大気性プランクトンなどを放ち、大気構成を地球により近いものとします。その後、水生プランクトンやごく微小な生物、水生生物、陸生植物、小型陸生動物といった順に作製し、放流します。生態系がそれぞれ安定してきた段階で次フェーズに移行し、最終的に大型動物を除いた不完全な生態系ができます」  「その後、大型動物をヒト型知的生物として作製し、惑星上に解き放ちます。初期はある程度の調整が必要ですが、徐々に文明化が進むと、自然と個体数も増えていくことでしょう。 ユーザーであるホモサピエンスに形態的に近いグループが作製されたのは、文化基準をかつてのユーザーの文明に合わせ、個体数増加を促すためです」 「ラエンのことだよ」  静かにライラが呟いた。  「私が開始コードを発現しようとしているのは、更にその次のフェーズです。当該個体を作製した私は、接続可能な別個体を使って、当該個体を外に出し、その脳を通して現在の惑星の状態を観察していました。もちろん、当該個体には脳神経の加速化措置と、私に情報を送るためのリソースも設置済みです。24年6か月を観察したことで、私は開始コードの発現を行うのに十分な時間が経過したと認識しました」  「それが、俺が作られた理由か」  相変わらずダン、否、チャーリーを睨んだまま、ジェイが吐き捨てた。  「開始コードの発現後はどうなる、先住種族と同じように、彼らを消去するのか」  「いいえ、開始コードの発現後は、現在作製している神経加速化の遮断、脳内の感覚抑制の解放、ボトルネック防止に用いられていた多系統繁殖用遺伝領域の切除、そして次代における原種形態への移行、これらを促すウィルス群を散布します。現在、その準備段階として、複数個体にこれらの措置が可能かどうかを試験しています」  「どういうこと?何が起きるの?」  何を言っているのか、門外漢の私にはわからない。だけれど何か恐ろしいことを言っている気がして、口走る。  「俺たち知的生物は知能を失い、動物に戻る。感覚も戻り、少子化対策に用いられかけてた遺伝領域はもぎとられ、子孫は四つ足の獣に、ってことだ。失踪事件は、その準備として、試験的にウィルスをばらまいたってことだ」  ダンは何も言わなかったが、ジェイが代わりに答えた。  「私に記録されている地球生命の情報は膨大ですが、基礎さえ完成すればあとは難しくありません。残りは生態系が安定するに従って、徐々に作製し定着させていく予定です。早ければ数十年で、この星は第2の地球となります。私やユーザーの願った地球の復活が遂に為されるのです」  ダンは両手を広げてまるで演説でもするかのように宣言した。私にはこれが夢の中の出来事のようでならなかった。  「当該個体と、そうですね、こちらの個体は私の本体にフィードバックすることにしましょう。現状のサンプルでは効率的なウィルスの散布が行えないので」  そう言うとダンの体は何も映っていない瞳で私の方を見た。ここが北極であることを思い出したかのような寒気が走る。先んじて捕まえられたジェイがもがいている。私も腕を強い力で引っ張られて、森の奥まで連れていかれそうになる。  「AIの癖によく喋るなお前は。中に誰かいるだろ、飛びっきりのイカれた奴が」  突然、腕が離れた。同時にジェイの咳き込む声がする。  見ると、大柄なクマを取り押さえているラエンの女性の姿があった。非現実的な光景に何が起こったのかわからなくなる。  「チャーリーだったか、以前遺跡を回って、似たような壊れた施設を見た時にあんたの名前を確認したよ。設置予定の生体プラント兼液体コンピュータの素体になるって時点でやばいと思ったが、こちとら先住種族を駆逐されんのも、せっかく根付いた知性を踏み台に懐古主義に走られるのもごめんでね、悪いが稼働停止してもらう」  出会った時の態度はどこへ行ったのか、荒々しい口調で告げると、周囲に火花が散った。  途端に、立体映像の森が消え失せ、通路と同じ無機質な灰色の部屋に変わる。  「案の定、システムはニューロン式を使ってたか。悪いけれど私はラエン��ゃないし、体はあんたの言うホモサピエンスでも、宿っている意識は年季の入った量子の寄生虫なんだ。量子脳に関してはこっちの方が上手なんだよ。3億年かけて辿り着いた、被食者と捕食者が共にいられる楽園、そう簡単に潰されてたまるか」  「私の活動が停止すれば、今後エアロプランクトンが作製されることもなくなりますよ」  苦しげでもない、さっきと同じ淡々とした口調でダンの体が言う。  「エアロプランクトンも継代を重ねて、あんたの供給なしに殖えるようになってるんだよ。この世界は変わっていくさ。でもそれは地球と違う、大型動物相の代わりに知的生物が優占し、交雑を重ね、多様化と均質化を入り混じらせる世界としてだ。本来の地球生命が今も変化を続け、この星だって変化の最中にあるのに、時を戻して止めようとした時点で、あんたは詰んでたのさ。わかったらとっとと凍りな、あんたの望んだ永遠の停滞だ」  轟音が響き渡った。床が震える。部屋のライトが点滅して、消える。真っ暗になった部屋が振動を続ける。盛大に転倒した私は、解放され糸が切れたように崩れ落ちたダンと、同じく転げまわるジェイをなんとか抱きしめる。  「私はこいつのやらかした後始末に行ってくるから、またどこかでね」  覚えているのは、そこまでだった。
 台地で起こったことは、巨大な雪崩によってキャンプ地と、内部の空洞が崩壊した、というニュースで片付けられた。私は他の2人と共に病室に缶詰になり、あれこれと話し合った。ダンは荒っぽいが人懐こい性格で、私のことは全く知らないが、幼い頃に父親が連れてきて兄弟のように育ったらしいジェイのことはよく覚えていた。ジェイは遺跡巡りと、ダンがジェイを覚えていないことで気づいていたらしい。  キャンプ地で失踪したスタッフと、近隣の村から失踪した住民が保護されたのは、私たちが洞窟の入り口で倒れていたところを発見された翌日だった。ちょうど反対側の海岸で見つかったらしいが、不思議なことに皆が一様に「吹雪が酷くなったのでビバークした」という記憶しか覚えていなかった。1本だけ、空の注射器が置いてあったそうだ。  ライラの行方は分からない。そもそも、地元の警官隊にはそんなメンバーどころかラエン自体がいなかったのだ。  「これからどうするんですか」  ダンは寝ている。病室の窓から空を見ているジェイが、どうしても気になった。  生きる目的を失ったのではないかと、思ったからだ。  「枷が外れた気分だ、清々しましたよ」  いつもと同じ、だけれど少し晴れやかな声色で彼が返した。  「なに、資料は集まってますから、最後の仕上げだけできなかったってことで」  彼らしくない、楽観的な言葉だった。彼も、吹っ切れたのかもしれない。  「あの場にいた誰もが、あの場所に関係している者だった、あなたを除いて」  「そうですね、傍観者として、大事たと思われたのかもしれません」  「チャーリーが言ってましたね、星間文明がどうとか」  「言ってましたね、多種族からなる星間文明とか、地球由来の遺伝情報で人類の伴侶を作り出すとか、あれ」  「そんなこと、言ってましたっけ」  記憶と知識の食い違いに、戸惑う。すらすらと出てきた言葉は、私の理解を大幅に超えていたはずだった。  「磁���映像で撮影した、あなたの脳のカルテを見せてもらいました。先天的な改変の痕跡が見つかったようです」  「私には、そんな自覚は」  「無いんでしょうね。誰かが、どこか遠くからあなたの脳を介して、この星を見ている」  私と同じですね、と彼は言った。彼が言っている間に、まるで目の奥の濁りが取れるみたいに、目の前は鮮やかになっていった。  目の前に広がるのは、白い空。  でもその向こうに広がるのは、プランクトンに覆われた碧色の空。  脳裏に浮かぶのは、あの時見た青い空。  「モッティさん」  白い空をバックに、白い毛並みの彼が振り向く。その顔には、見たことのない表情が浮かんでいる。  「この世界って、綺麗ですね
#SF
5 notes · View notes
genkidesuka2022 · 11 months
Text
アクセントだけじゃない 薬味の凄さ!
大根おろし、ゆず、かぼすなどの柑橘類・・・何を連想しますか?
実は、これらは薬味として使われることの多いものなんです。
薬味には、様々な種類があり辛味や独特な香りで食材のおいしさをより一層引き立てる香味野菜や香辛料のことです。
麺類や鍋ものなどの料理には欠かせない薬味には、どのような種類と役割があるか。
今回は薬味について取り上げてみました。目次
アクセントだけじゃない 薬味の凄さ
薬味とは
薬味から得られるさまざまな効能
薬味の歴史
薬味の種類と味や具体的な役割
野菜類
ネギ
ニラ
タマネギ
大根
セリ
三つ葉
シソ
タデ
木の芽
ショウガ
ミョウガ
ニンニク
行者にんにく
わさび
ホースラディッシュ
クレソン
パセリ
セロリ
コリアンダー(パクチー)
ミント
ドクダミ
ウイキョウ
ケッパー
バジル
ルッコラ
レモングラス
菊の花
かいわれ大根
海草類
海苔
青のり
あおさ
ヒトエグサ
とろろ昆布
香辛料
唐辛子
コショウ
カラシ
山椒の粉
花椒の粉
クミン
パプリカ
カルダモン
アニス
八角
ナツメグ
ターメリック
シナモン
ローリエ
陳皮
柑橘類
レモン
ライム
ゆず
カボス
スダチ
シークヮーサー
ダイダイ
種子類
ゴマ
ラッカセイ
クルミ
松の実
マカダミアナッツ
果実類
梅干し
干しブドウ
クコの実
魚・動物性のもの
削り節
サクラエビ
ちりめんじゃこ
その他
天かす
油揚げ
油条
最後に
関連
アクセントだけじゃない 薬味の凄さ
Tumblr media
薬味とは
薬味とは、料理の風味を良くしたり、食欲を増進させたりするために添えたり、料理に混ぜたり、つけたりする調味料のことです。
薬味には、わさび、ネギ、生姜、ミョウガ、大根のつま、すりごま、シソ、唐辛子、青のりなどがあります。
薬味は、料理の味を整えるだけでなく、食欲を増進させたり、消化を助けたり、殺菌効果を発揮したりするなどの効果があり焼き魚や鍋料理、冷奴や麺類などにひっそりと添えられていたりもします。
そして薬味を添える食品に合ったものを選ぶのが大切で、辛味や酸味、香りなどを引き立ててまた違ったおいしさに変えてくれます。
また薬味とともに食べる料理はおいしいだけではなく、体にとって様々な利点を得られるところも薬味の魅力です。
少量でもクセになるおいしさを引き出す薬味は、呼び名の通り薬のような効果を得られることも。
薬味は漢方薬の薬方を作る際の生薬であり、料理に添えられる薬味の中には漢方の材料として使われるものがたくさん存在します。
薬味から得られるさまざまな効能
世界中で脇役ながら欠かせない薬味は種類がたくさんあります。
日本で使われている代表的な薬味は、ネギや三つ葉、生姜やミョウガ、わさびや大葉など非常に豊富に食べられていますが、これらの薬味からは殺菌作用や疲労回復、血流促進、免疫力向上、精神的安定、食欲倍増効果、消化促進など、挙げだしたらきりがないほど得られる役割が多いのですよ。
薬味の種類の部分で後述しますが、料理の質を上げるために薬味はなくてはならない食材の一部となっています。
薬味の歴史
Tumblr media
普段様々な料理に合う薬味を添えて食べていますが、薬味の歴史は深いものです。
もともと薬味は世界中でスパイスやハーブとして多方面で活用してきました。
広大な国土の中で調達した食料を何日もかかって運ぶ必要があったヨーロッパでは保存を目的としてスパイスが活用され、耐え難い暑さの中で生活を送るインドや東南アジア諸国では、食欲を回復させるためにスパイスやハーブが使われてきました。
また、強い臭いを放つ肉類の臭み消しに使用したり、反対に香りを付けたりと、用途を選ばないスパイスやハーブは食生活を送る上で今も昔も手放せなかったものです。
しかし、日本ではこれだけ多くの薬味が定着したのはつい最近のことです。
1970年代半ばまでは浸透しておらず、商品が店頭に置かれることはあまりありませんでした。
もちろん家庭で常備してあるはずもなく、スパイスやハーブを積極的に使うという概念がなかったのです。
日本は島国ということもあり、海の幸や山の幸が豊富に取れ、国の中で運んでも新鮮な状態を維持したまま食べられます。
したがって、日本は他の国のように何かを得るために使用する目的ではなく、食材にアクセントをつけるために薬味を使ってきました。
さらに、スパイスやハーブを日本人が薬味として扱っている理由は、魚介類に慣れていることも挙げられます。
至る場所で魚類の入手が可能なこともあり、素材の味がダイレクトに出る刺身や寿司の新鮮さをそのまま生かせる薬味としての使い方が促進されてきました。
ただ、日本で薬味の歴史が全くなかったかというとそうでもありません。
日本で薬味の始まりはうどんの食べ方からだと記録が残っています。
江戸時代初期の1661~1672年には、江戸に住む町の住人たちにうどんが人気となります。
この頃にうどんを口にする際は、薬味も取り入れられるようになったとされています。
江戸時代の古典書籍では、「薬味として梅干し、垂れ味噌汁、鰹の汁、胡椒、大根、醤油汁がよい」という記録が残っています。
そのため、江戸時代で使われていた薬味は現代の薬味でいうコショウや大根などだったと言われています。
薬味の種類と味や具体的な役割
刺身には大葉やわさび、鍋ものには大根おろしなど、人によって薬味を使う料理は様々です。
好みもあるため、この料理には必ずこの薬味を使わなければいけないということはありませんが、薬味の種類と味を知って、詳しい役割なども覚えておくと良いと思いませんか。
野菜類
ネギ
Tumblr media
薬味では定番のネギは、シャキシャキとした食感と鼻を通り抜ける辛味が食材のアクセントになる薬味です。
辛味成分である硫化アリルと呼ばれる成分が含まれており、殺菌、抗菌の他にも血流促進や利尿作用などもあります。
ニラ
ネギとはまた違った独特の風味があるニラは、渋めの香りで食材の味に奥行きを持たせてくれる風味に仕上がります。
ニラもネギと同様に硫化アリルが含まれており、腸内環境を整えて高血圧や糖尿病を予防し、代謝を良くする役割などもあります。
タマネギ
料理の材料として登場する頻度の高いタマネギは、歯応えの良いショリショリとした食感と控えめな辛味で、食材の持ち味を引き立てる薬味です。
タマネギのツンとした香りもネギやニラと同様の成分が含まれているためです。タマネギは動脈硬化や血栓予防、抗炎症作用などにも良いとされています。
大根
焼き魚や鍋物などに添えられる大根おろしは、ピリッと辛い風味がクセになる薬味です。
大根おろしを薬味として使った料理は刺激を感じる風味はありますが、口の中で馴染みやすいためよりおいしさがアップします。
大根はすりおろすことでイソチオシアネートという成分が生まれ、殺菌や抗酸化作用、老化防止や肝機能などの向上に良いとされています。
セリ
歯応えがしっかりと感じられ、独特のクセが強めのセリ。主に香りを楽しむために使われることが多く、好き嫌いが分かれる薬味の一つです。
苦味があり、和風料理だけではなく洋風の料理とも相性ピッタリです。
抗酸化作用や認知症予防、解熱作用などの役割があります。
三つ葉
和風料理に鮮やかをプラスする三つ葉は、香りや味わいが濃く感じられる薬味です。
濃いめの味付けに仕上げた料理に負けない風味があるため、緑を足したいときにも役に立ちます。
三つ葉は美肌効果や高血圧予防、視力維持などの役割をします。
シソ
Tumblr media
魚や肉などのどんな食材とも合うシソは、万人受けする香り高い薬味です。
鼻をくすぐるような香りは、マンネリした料理をパッとおいしく変えます。
シソは動脈硬化の予防や皮膚や粘膜の細胞を健康的に維持するなどの役割があります。
タデ
刺身の横にひっそりと添えられている赤身みがかったタデは、強い辛味がある薬味です。
特に香りの強い魚と合い、川魚の塩焼きなどと一緒によく食べられています。
血流改善や加齢性眼病予防、高血圧改善などの役割があります。
木の芽
木の芽は山椒の若葉のことを指し、手で叩くことで香りが出ます。
お吸い物やちらし寿司などの香りや風味がダイレクトに出る料理に良く使われ、木の芽のほのかな香りが楽しまれています。
食欲増進や胃腸の働きを良くする役割があります。
ショウガ
Tumblr media
舌の上でピリピリと感じる辛味がどんな料理とも合うショウガは、料理に使うと隠し味のような存在になります。
口の中で広がる辛味と、じんわりと残る温かさがおいしい薬味です。
生のものと加熱させたものでは役割が異なりますが、抗菌作用や代謝促進、冷え症の改善などの役割をします。
ミョウガ
Tumblr media
ふっくらとした歯応えのあるミョウガは、薬味の中ではさっぱりとした味わいをしています。
苦味もあり、料理に使うと爽やかな香りを感じるミョウガは、血行促進やむくみ防止などの役割を持ちます。
ニンニク
ショウガに続いて使用頻度の高い薬味であるニンニクは、料理に使うとふわっと広がる香りで料理の味を包みます。
食欲をそそる香りがするため、風味を強くしたいときにもニンニクが役立ちます。
ニンニクは糖代謝を促進したり、疲労回復、かぜ予防などの役割をします。
行者にんにく
行者にんにくもニンニクに似た香りがする薬味です。好みが分かれる香りですが、シャキシャキとした食感は醤油漬けや酢味噌和えにして食べられています。
血流の流れを良くし、心筋梗塞や脳梗塞、生活習慣病の予防などに良いとされています。
わさび
Tumblr media
混じり気のない自然な辛さが爽やかに感じられるわさびも薬味としてお馴染みです。
突き抜ける辛さは食材のおいしさを引き立たせます。
わさびは抗菌作用に加え、消臭効果や発がんの予防などの役割をします。
ホースラディッシュ
ホースラディッシュの和名は西洋わさびです。
和わさびと比較すると色が白っぽく、1.5倍の辛さがあります。
肉類との相性が非常に良く、マヨネーズやサワークリームなどと組み合わせてソースを作ってもおいしく頂けます。
ホースラディッシュは抗菌作用で食中毒を予防し、血栓予防などの役割もあります。
クレソン
近年食べる方が多くなってきたクレソンは、独特な苦味や辛味がある薬味です。
ステーキやハンバーグにアクセントを加え、そのままサラダとして食べることもあります。
クレソンは筋肉痛やこむら返りの改善やアンチエイジング、口臭予防や食中毒の予防などの役割をします。
パセリ
唐揚げなどに添えられているだけで、あまり食べないという方も多いパセリは、強い苦味と青臭さがあります。
肉料理などを食べたあとにパセリを食べると、口の中がさっぱりとします。
パセリは、貧血予防や免疫力の向上などの役割をします。
セロリ
セロリも薬味の中で好き嫌いが分かれる食材です。
風が通ったようなスーッとした独特の香りは爽やかに感じられ、みずみずしい食感を味わえます。
セロリはストレスの緩和や止血の促進、高血圧の改善などの役割をします。
コリアンダー(パクチー)
スパイス系の薬味であるコリアンダーは、カレーのスパイスとしてよく使われています。
コリアンダーは名前が違うだけでパクチーと同じ植物です。
強く青々しい香りがありつつも、後を引かないすっきりとした味は、風味を引き立てる薬味です。
コリアンダーは美肌効果や消化促進などの役割があります。
ミント
強くすっきりとした感覚が明確なミントは、はじけるような清涼感の強い薬味です。
ミントを使うとスースーとする味わいで、口の中をさっぱりリフレッシュしてくれます。
ミントは、鎮静作用や乗り物酔いの予防、胃腸の働きを整える役割があります。
ドクダミ
お茶としても活用されているドクダミも薬味として使えます。コリアンダーに似た味わいがあり、爽やかな風味もあります。
ドクダミは、利尿作用や解熱、解毒などの役割をします。
ウイキョウ
ウイキョウは甘さと苦味を感じる奥深い味わいと、クセのある香りを出せる薬味です。
ウイキョウは母乳の出を良くしたり、消化器系の鎮静をするため痙攣を防止する役割があります。
ケッパー
ケイパーとも呼ばれるこの薬味は、つぼみの酢漬けのため、ケッパー独特の風味と酸味が楽しめます。
しかし、ケッパーの存在が強調されるような味わいではなく、あくまで添える料理がメインとなる味や風味です。
ケッパーは、リウマチや便秘改善や食欲増進、抗がんなどの役割があります。
バジル
バジルは強い爽やかな香りと少しの苦味を持つ薬味です。
料理に添えると食欲が刺激される良い風味を楽しめます。
バジルは、がんや動脈硬化の予防、リラックス効果などの役割があります。
ルッコラ
ルッコラはゴマのような風味と舌の上で少しはじけるようなピリッとした辛さがあり、ものによっては強い苦味があります。
ルッコラは、高血圧予防や骨粗しょう症、粘膜を健康に保つなどの役割をします。
レモングラス
レモングラスは一般的なレモンと同じ香り成分が含まれているため、レモンとほぼ同じ香りと味がします。
透き通るような爽やかな香りと、クセのない酸味を引き出すことができます。
レモングラスは、腹痛や下痢の緩和、食あたりの予防、殺菌と抗菌作用の役割があります。
菊の花
鮮やかな黄色で薬味としてよく見かける菊の花は、爽やかな香りと少しの甘みが感じ取れます。
菊の花は、抗酸化作用や殺菌、解毒、皮膚と粘膜を丈夫にする役割をします。
かいわれ大根
かいわれ大根は比較的強めの辛さを感じる薬味です。そこまで強い香りはないため、様々な料理の薬味として使われています。
かいわれ大根は、ホルモン調整や抗酸化作用、がん予防などの役割があります。
海草類
海苔
淡白ながらも奥深い味わいをしている海苔は、クセがほとんどないため少し香りを感じたいときに役立つ薬味です。
海苔は血中コレステロール値の低下や貧血予防、二日酔いや慢性肝炎予防などの役割をします。
青のり
青のりは磯の香りが非常に良く味わえる風味をしています。
青のりは、便秘改善やむくみ予防、美肌効果などが期待できます。
あおさ
青のりとよく似たあおさは、独特の苦味がある薬味です。
もちろん磯の香りもしっかり楽しめます。
あおさは、骨や歯の健康維持や腸内の善玉菌を増やす役割があります。
ヒトエグサ
青のり、あおさと並んでよく似ているヒトエグサは、葉が厚めで香りが良く、柔らかい食感が楽しめます。
ヒトエグサは、免疫力の強化や疲労回復、整腸作用などに働きかけます。
とろろ昆布
見た目で好き嫌いが分かれるとろろ昆布ですが、昆布の香りや味が十分に楽しめる薬味です。
とろろ昆布は、糖分や脂肪分の吸収を抑制したり、便秘解消などに良いとされています。
香辛料
唐辛子
辛さが明確な唐辛子には青と赤がありますが、より辛味を感じるのは赤唐辛子の方です。
唐辛子は引き立つ強烈な辛味があるため、辛い薬味が欲しいときにピッタリです。
唐辛子は、基礎代謝をアップさせたり、体を温める役割をします。
コショウ
調味料としてのイメージが強いコショウも薬味の一つです。
種類がいくつかあるコショウはそれぞれ風味や味が異なります。
ブラックペッパーはコショウを強く感じる独特の風味があります。
ホワイトペッパーはブラックペッパーより風味が控えめになっており、青コショウは辛味がある反面、爽やかな風味がある種類です。
赤コショウは色合いが綺麗でマイルドの風味を楽しめます。
コショウは、血行促進や消化機能の向上などの役割をします。
カラシ
カラシはマイルドな辛さがあり、後からくる旨みを引き出せる薬味です。
ただ辛いだけではなく、優しい辛さの中においしさがあります。
カラシは、殺菌作用や動脈硬化の予防などの役割があります。
山椒の粉
薬味として使う山椒の粉には柑橘系に似た香りを持ち、軽く舌が痺れる辛味があります。
山椒の粉は、骨や歯を構成したり、たんぱく質の合成などを行う役割があります。
花椒の粉
鮮やかな色合いが美しい花椒の粉は、爽やかな香りと口の中で広がる痺れが味わえる薬味です。
花椒は、消化液の分泌を促したり、消化不良を改善する働きがあります。
クミン
クミンは強い芳香がありますが、苦味と辛味は思いのほか控えめの薬味です。
口の中で広がる風味を味わえます。
クミンは、髪や爪などの細胞を再生、免疫機能を維持するなどの役割を担っています。
パプリカ
パプリカとピーマンは同じ野菜であり、パプリカはハンガリー語でピーマンを意味します。
味は控えめな甘みと微かな苦味があります。
パプリカは、細胞を保護する作用やむくみ予防、動脈硬化などの予防に働きかけます。
カルダモン
カルダモンは辛味があまり強くない代わりに香りが非常に強い薬味です。
上品で爽やかな引き立つ香りを楽しめます。カルダモンは、鼻詰まりや痰を抑制し、発汗作用などの役割があります。
アニス
アニスはリキュールの香り付けにも使用されるほど甘さと爽やかな香りを楽しむことができます。
胃もたれ防止や消化促進作用などの働きをします。
八角
八角はアニスと同じ主成分であるため香りがよく似ていますが、植物としては別物です。
八角はシナモンをギュッと集めて凝縮したような甘い魅惑の香りがしますが、苦味も感じられます。
八角は、新陳代謝を高め、風邪や咳止めなどにも使われています。
ナツメグ
スパイス系調味料としてお馴染みのナツメグは、甘く立つ香りと苦さを感じます。
しかし、マズイと感じる苦味ではなく、ほろ苦いような食材を引き立てる苦さです。
ナツメグは、鎮静作用や消化改善などの役割があります。
ターメリック
ターメリックは漢方に似た少し苦味が残る味わいです。
辛味は一切なく、土のような香りだと感じることもあります。
ターメリックは、抗アレルギー作用や月経調整などの役割を担���ます。
シナモン
シナモンはお馴染み、甘い香りが特徴です。
辛味は特になく、マイルドな風味が味わえます。シナモンは、血行改善やコレステロールの改善などに役立ちます。
ローリエ
ローリエは甘い香りがしますが、そんな甘さを感じさせない苦味があります。
また、ローリエは、防腐作用や消化促進、食欲倍増などの役割を持ちます。
陳皮
陳皮(ちんぴ)はみかんの皮のことです。陳皮はみかんの皮ですから、柑橘類特有の甘酸っぱい爽やかな香りを放ちます。
味は少し苦味があり、漢方として重宝されています。
陳皮は、咳止めや痰を切る作用があり、食欲不振に良いと言われています。
柑橘類
レモン
心身ともにリラックスする香りとさっぱりとした口辺り、そして強い酸味が持ち味のレモン。
はじけるような酸味と言えばレモンが最適です。
レモンは、毛細血管を丈夫に保つ働きや、動脈硬化、血栓予防などに役立つ役割があります。
ライム
柑橘類の薬味として定番のライムは、レモンと同じように酸味がある薬味です。
しかし、酸味の中に独特の苦味を感じられます。
レモンに近い香りを放ちますが、より角が立つ香りをしています。ライムは、疲労回復や免疫力アップ、成人病予防などの役割があります。
ゆず
ゆずは香酸柑橘と呼ばれる品種で、果肉を食べるのには向いていないとされています。
そのため、ゆずは主に果汁の酸味を風味付けする用途で使われる薬味らしい柑橘類です。
酸味と少しの苦味を感じるゆずは、悪玉コレステロールを抑制したり、炎症性の痛み、膀胱炎などにも効果があるとされています。
カボス
カボスもゆずと同様に香酸柑橘類に含まれる品種です。
しかし、カボスは香酸柑橘類の中では酸味が少ないのが特徴で、余計な酸味が不要な場合に適しています。
食材の持ち味を邪魔することはないため、薬味として香りのみを味わいたい際にピッタリです。
カボスは、筋肉に溜まった乳酸を原因とする肩こりや頭痛の緩和、胃液の分泌を正常にする役割などもあります。
スダチ
スダチは上品ながら引き立つ香りと酸味を味わえます。
カボスとよく似ていますが、カボスは控えめな香りをしているため、香りの感じ方が大きく異なります。
柑橘類で薬味として使うなら、スダチを選ぶ方も多いようです。
スダチは、新陳代謝を高めたり、疲労回復や体の中の不要な塩分を外に排出する力を持っています。
シークヮーサー
シークヮーサーは、レモンに近いくらいの強い酸味を感じます。
人によってはレモン+みかんを足して割ったような味と表現する方もいます。
爽やかで酸味感の強い味を感じられます。
シークヮーサーは、血糖値の上昇を抑制し、高血圧の改善などに役割があります。
ダイダイ
ダイダイも香酸柑橘類に含まれます。ダイダイも柑橘らしい強い酸味とさっぱりした味わい、苦味が特徴ですが、香りにクセがないため扱いやすい薬味となります。
ダイダイは、蓄積した乳酸の代謝分解を促して疲労回復や高血圧予防などに働きかけます。
種子類
ゴマ
小さい粒に旨みが詰まったゴマは、すったものも人気です。
粒が残っているゴマも、歯に当たるとプチッと弾けるような食感を楽しめます。
ゴマは、コレステロールの減少や脂質代謝の促進などに働きかけます。
ラッカセイ
おやつやおつまみのイメージでお馴染みのラッカセイ。
香ばしく食欲を刺激される風味と凝縮された旨みは格別です。
ラッカセイは、感染症の予防やアレルギー症状の緩和、皮膚や粘膜などの働きを手助けする役割があります。
クルミ
クルミは、強いコクと苦味や渋味を感じる奥深い味わいをしています。
クルミは心地良く鼻から抜けるまろやかな香りを楽しめます。クルミは、睡眠の質を向上させ、薄毛対策などにも役立つとされています。
松の実
松の実は、口の中でほんのりと広がる甘さと油分が風味をまろやかに感じさせます。
中には苦味や酸化したような香りを感じるものも多いですが、松の実の味は非常に贅沢な味わいです。
松の実は、炎症や発熱を抑制し、アトピーやアレルギーの緩和などに働きかけます。
マカダミアナッツ
ナッツの中で食べられていることが多いマカダミアナッツは、淡白ながらも油分が多く、ナッツらしい旨みやコクを感じます。
マカダミアナッツは、糖尿病予防や美肌効果、貧血予防などに役割を果たします。
果実類
梅干し
使う食材を選ばない梅干しは、強烈な酸味が鼻を突きぬける風味でお馴染みです。
物によってはしそ漬けや甘みを重視したフルーティーな味わいの梅干しもあります。
梅干しは、老廃物の蓄積を抑制し、血流促進やカルシウム、鉄などの吸収を促す役割を持っています。
干しブドウ
ブドウを乾燥させた干しブドウは、別名レーズンと呼ばれていますよね。
干しブドウは、乾燥させた実から溢れ出す微かな酸味と甘さが楽しめます。
干しブドウは、腸内環境を整えて血糖値の上昇を抑制する役割などがあります。
クコの実
クコの実は、非常に薄い味わいをしています。生臭い香りを放つものもあり、トマトに似たような味わいをしています。
クコの実を生で食べる機会はあまりないと言えますが、中国では漢方薬の成分に使われることもしばしばです。
クコの実は、眼精疲労の回復や抗酸化作用、滋養強壮などに良いと言われています。
魚・動物性のもの
削り節
動物性のものには削り節も薬味の一つです。削り節は周知の通り、風味も味も非常に高いものです。
上品な香りを手軽に食べられる薬味の一つと言えるでしょう。
削り節は、生活習慣病予防や血圧の正常化などの役割があります。
サクラエビ
サクラエビは、エビの強い旨みが凝縮された風味と味があります。
淡白な食材と合わせると、格段においしさがアップする薬味です。
サクラエビは、筋力の維持や血流促進、コレステロールを減少させる役割があります。
ちりめんじゃこ
ちりめんじゃこは天日干しされて乾燥しているため、イワシ類の旨みやふわっと広がる香りを楽しめる薬味の一つです。
ちりめんじゃこは、骨や歯を形成し、中性脂肪の低下やアルツハイマー病の予防にも役立ちます。
その他
天かす
天かすは淡白な味の食材にインパクトをプラスしてくれます。
天かす単体ではそこまではっきりとした味わいではありませんが、卵料理や豆腐料理などの薬味として使えば味のレベルがグッと上がります。
たんぱく質や脂質、炭水化物、ナトリウムなどが含まれていますが、高カロリーのため薬味として少量ずつ食べると良いですね。
油揚げ
油揚げは口いっぱいに広がる強い旨みと、コク、香ばしい風味を楽しめます。
油揚げは、認知症予防効果や骨密度の維持などの役割を担います。
油条
油条(ヨウティアオ)は、中華揚げパンのことです。小麦粉を練って油で揚げて作られます。
単体では味がそこまではっきりしているものではありませんが、小麦のふくよかな香りが楽しめます。
油条は小麦粉と油で出来ているため、薬味として少量程度楽しむ食べ方が良いでしょう。
最後に
様々な料理に何気なく添えられている薬味には、種類によってあらゆる役割があることが分かりました。
少しクセがありますが、どの薬味も料理にアクセントを与える重要な存在です。
どの料理に何の薬味が合うか分からないといった点や、どのような味に仕上がるのか分からないという方は是非今後の参考にしてみてくださいね。
1 note · View note