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#必殺キラキラはうめこまない術
miyuki-myu-a · 1 year
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@myu.nail◀︎プロフィールはこちら ⁡#必殺キラキラはうめこまない術 ⁡ ✴︎コロナ対策実施中✴︎ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ⁡ ⁡ ✴︎✴︎セミナー各種受付中✴︎✴︎ ・プリジェルエデュケーター ・ネイルサークル ・JINA 日本国際ネイル協会 熱くない、ベースを残すマシンセミナー ・ブリンブリンセミナー受付中! スワロフスキーをうめこまない ⁡ ⁡ サロンの詳細は ◼️@myu.nail のトップからHPへ◼️ ▷▶︎このInstagramではお客様ネイルや当店デザインネイルを公開しております🤗 ⁡ ▷▶︎使用している商材など、公開していないものも、コメントやメッセージでお気軽にお問い合わせください♪ ⁡ ⁡ ----------------- #プリジェル #大阪ネイル#藤井寺ネイル#ミューア#プリジェルエデューケーター#ネイルレッスン#ネイルレシピ#ジェルネイルの材料#ジェルネイル#ジェルネイルのやり方#藤井寺#ネイル技術向上#アートが可愛いネイル#最新ネイルデザイン#ネイルトレンド ⁡ ⁡ ⁡ (Fujiidera-shi, Osaka, Japan) https://www.instagram.com/p/CpTfLE0p6vJ/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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manganjiiji · 7 months
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浜にも見ゆるはキラキラ
どうしても疲れて体が痛くて寝ても寝てもまだ寝てしまい、2日間寝たきりだった。今日はパーソナルトレーニングもあったのに、それも行けずにやはり夕方まで寝ていた。2日間続けて行動すると、次の2日間行動不能になる。穏やかじゃない!尋常じゃない!しかしよく考えたら、肉体労働によって壊れた体を治すのにいつも半年以上はかけていたのだから、辞めてからひと月そこらで癒えるわけはないなと思った。それでも仕事で手に入れかけた筋力と体力を手離したくない一心でトレーニングに通う。まあ痩せられたら一番いいのだが、まずは筋肉だと思う。月曜日にトレーニングを受けて、その時の筋肉痛が今日、木曜の夜まで続いた。今やっと体の痛みが取れてきて、「今かよ!」となっている。そんな。でも痛みが取れて疲れが取れただけでももうよいのかもしれない。まだ回復の余地はある。今日は21時になってもまだ疲れてどうにも勉強できない、という状態で、いつの間にか寝ており、深夜1時過ぎに起きてやっと快復にたどり着いた。本当に良かった。それからたまたま寝支度のもくりを開いていた友人と通話し(嬉しい、楽しい)、待望の勉強を少しして、洗い物をして布団に入った。今。
今週の勉強時間が、そういう訳でまだ累計4時間半である。もう金曜日になってしまったのに!?月曜はもともと勉強しない日にしていたが、火曜はがっつりやるはずだった(が、体が痛すぎたのと、ドトールで参考書を開きながら30分爆睡していたのと、母親と急遽会うことになっ��のとで、終わった。)、水曜木曜は寝たきりになり、おじゃん。という感じだ。かろうじて、英単語の復習だけはしているが、それも1日20分程度。ただ少しずつ勘は戻ってきている気がする。速読英単語上級編は、結構内容を覚えてしまっているが、いまだに意味を忘れている単語がぽつぽつあり、黙読&音読と単語の確認だけにするか考え中(今はノートに全文書き写して精読している)。精読用に新しい問題集を、たとえば「やっておきたい長文」シリーズの500とか700を買おうかなと少し考えている。英検準1級の過去問の長文がわりとレベル的に合っていると感じるので(ただ、精読の必要がない程度の文構造なのであくまで単語と文脈のとり方の練習になる)、これは1日1題続けてやっていきたい。英語が喋れるようになるとはとても思えないが(耳が悪くて日本語さえ時折聞き取れないため)、読み書きは英語圏の中学生〜高校生くらいのレベルになれるといいなと思う。本当は喋れたら、かなりいいのだが。留学ができる。
社会学の教科書、実際的な調査研究の章に突入している。自分は何を調査したいかを考え、またそれが社会のどのような傾向を反映しているのかの仮説を立てるとすると、どの辺りが妥当だろうかと考える。真っ先に思いつくのは、児童虐待で通報され、児童相談所に連れていかれたり、自らが行ったりした児童が、そのまま自宅に帰されたり、一時保護ののち帰され、その後また虐待が続くというパターンが、量的にどれくらいの割合になるのか。逆を言えば、児相に保護され、虐待家庭から抜け出すことができた児童がほんの数パーセントであるという事実を、学術的に示した先行研究はあるのか。虐待を通報しても、虐待家庭に帰されて、報復としての虐待をさらに受けるケースがかなりの割合を占めると思うのだが、それについてとにかく社会に認知してほしい。児相での対応にさらに傷を深くして、その後も行政の支援を頼ることができないトラウマを抱えてしまう人が多いという現状は、数値的に実証できるのか。またこの調査を行うにあたって、ACE研究との繋がりが深くなってくる。ACEとは、未成年期に受けた心的外傷(虐待に限らず、いじめ、犯罪被害なども)のせいで、その後の人生のかなり長い期間、精神的に苦しみ、生涯にわたり就労や健康に大きなマイナスを抱えてしまう人々のことで、アメリカで近年この研究が進んでいる。日本でもACE研究が進めば、自殺者や犯罪者の生育環境との関連がかなり明らかになってくると思うのだが、これを研究することは実際的にどのくらいの難度なのか。家庭環境のせいで発達障害の激化や脳の変容(機能の低下)が起こることは医学の領域かもしれないが、家庭環境や教育現場での深刻なダメージというのは社会学の領域なのではないか、という感じがする。このあたりは実際もっと勉強してみないとわからない。
一昨日、カウンセリングの後母親に会った。誤って実家に届いてしまった退職者向けの書類を、郵送してほしいと言ったが、わざわざ持って会いに来るという件。私の退職がかなり気に入らなかったのだろうが、結局私がLINEで「私が退職した(というプライベートな)ことはあなたに言う必要がないと思ったので言っていないだけ」とあらかじめ伝えてあったからなのか、そもそも私の血縁者は「真面目な話」というのを家族内ですることにかなりの抵抗があるからなのか、結局世間話をして終わった。私はスタバでホワイトモカをアーモンドミルクに変更してみた。母親はアイスコーヒーにめずらしくミル��を入れていた(いつもはブラック)。母は、やはり私と真面目な話、将来の話、本質的な話をするつもりは毛頭ないようで、おばあちゃんの話、叔母の話、私が友人と何をしたとか今度どこに行くとか、そんなような普通の「雑談」をした。母はただ、私とそういう「家族」のふつうの営みのような会話をしたかっただけなのかもしれない。私は中学を卒業してから、成人して治療が成功するまで、母と個人的な会話をすることはなかった(他のメンバーとはそもそも口を聞かなかった)。最近の私は家族サービスの一環として母にわりと気安くいろいろなことを話しているので、母はまだそれを求めているのかも。ただ、母に対してはあくまで私の方が「親」の役割を果たしていて、あれやこれやと気を使って話題を引っ張ってくる。それが母には心地いいのだろう。末っ子で甘えん坊で顔が驚くほどかわいくて、ずっと周りに可愛がられて生きてきた母。自分が結婚し子を産むとその生き方が通用しなくなり、全てが嫌になってしまった母。子供が子供を産む時代。私たちの親世代のこの「成熟のしていなさ」はなんなのだろうと思う。聞くと、結構同世代は親のことで苦労している。逆に、と言っていいのか分からないが、私たちやその少し上の世代は、きちんと大人として小さな子を育てていると感じられる場面が多い(町中などで)。これは私の体感なのでまったく当てにならないが、時代は明らかに良い方にすすんでいる。それでも虐待死のニュースは絶えない。全くもって本当に、心の痛いことだと思う。どの時代にもクズはクズとして一定層いるが、中間層のクズ具合はやや減少しているように思う。私たち平成を未成年として過ごした世代は、かなり苦渋の世代だと思う、家庭環境において。だれもかれも無事なやつはそうそういない。とは、また私の観測範囲の話なので、これは類友のせいでそう思えるだけでしょうね。
子供を殺した、母親の彼氏の男が懲役14年。14年かあ…あまりにも短すぎる。なぜ無期懲役にならないのか。子供を殺して平気でいる人間など、一生刑務所から出てきてほしくない。その一方で、子供を殺さず生かしたまま虐待し続けていた人間というのは、今でものうのうと社会の中でそれなりの地位を得て悠々と暮らしている。犠牲になったのは子供の人生で、大人になってから虐待の証拠など示せるわけもないから、そういうひとが精神疾患を患っても、親を訴訟できるわけでもない。最悪な世界だなと思う。
2023.10.19
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sunakaburimovie · 1 year
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【My Favorite Movies of 2022】
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【My Favorite Movies of 2022】
ノー・シャーク
バスタブとブロードウェイ: もうひとつのミュージカル世界(U-NXET邦題ブロードウェイとバスタブ)
エルヴィス
セイント・モード/狂信
アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー
スペンサー ダイアナの決意
NOPE/ノープ
ミセス・ハリス、パリへ行く
幸せへのまわり道
マイ・ニューヨーク・ダイアリー
*今年も「3年ルールで2020年以降公開を新作とカウント」します。 ◆劇場で
『エルヴィス/Elvis』
“その時、腰が動いた”。メンフィスからラスベガスまで悪夢と背中合わせのスターダムを貪り、貪られ、燃え尽きるまでの英雄暗黒神話。パーカー大佐を語り手に大胆に解釈した、魔術(ブードゥー?)的ジェットコースター映画。20世紀アメリカ史、ポップ音楽史、芸能史、信仰、亡霊…の複数レイヤーはぴったりくっ付いたまま、どれも切り離せない。エルヴィスもその一つ。でもこんだけアメリカの光と影を象徴するポップアイコンは、エルヴィスかマリリン・モンローくらいだろうな。(奇しくもその2人の映画が同じ年に…)
『スペンサー ダイアナの決意/Spencer』
『ジャッキー』に続き、パブロ・ララインの20世紀実録風「亡霊映画」。ジョニー・グリーンウッドの音楽、まるで棺を運ぶように進む車列、そこにあるキジの屍、そして「何かが見ている」気配を感じる亡霊視点のカメラが過剰にオカルトホラー。ダイアナは魂を失くした着せ替え人形と化し、二つの屋敷の間に放置された案山子だ。けど、ララインは亡霊を殺しはしない。ただ穏やかに安らぎを与えるのだった。
『ミセス・ハリス、パリへ行く/Mrs. Harris Goes to Paris』
憧れは力なり。キラキラ輝くドレスと、それに心奪われる瞬間のドリー・ズーム!ミセス・ハリスの赤い頬、ちょこまかした仕草、時に押しが強い姿勢、旅行鞄で佇む姿はまるでパディントン。でも実は対価についての話であり、「箱とその中身」の話で、ある意味左岸派映画。贅沢は敵じゃない!レスリー・マンヴィルとイザベル・ユペールの共演こそ、ほんと贅沢でした。
『NOPE/ノープ』
思った以上にスローバーン。そして思った以上に『ヴァスト・オブ・ナイト』と対になる。何せ、方や「I see you」、方や「I hear you」だもの。アレはアダムスキー型というより、下から見上げたカウボーイハットみたいだった。
『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
作家になるにはNYだ!と、まずは憧れの力ありき。でも書く以前に読んでばかりの読書映画。ひたすらインプットの日々、消化しきれないほどの情報や知識や刺激的体験が次々と。羨ましいやらわかりみ深いやら。「フラニーとゾーイー」を久々に読み直したくなった。
◆配信で
『ノー・シャーク/No Shark』 https://www.amazon.co.jp/dp/B09KGFZ86K?tag=vod_contentsdetail-22
サメに食われたいのにサメはなし。NYのビーチを転々としながら、ひたすらその時を待つ女の脳内モノローグが延々と続く。まるで「ゴドーを待ちながら」か、ひとりマンブルコアか。正に人を食ったようなオチと、Toby Goodshankのエンディング曲がダメ押しする、デッドパンでナンセンスな「探索的狡噛」。それでもれっきとしたビーチ映画でサメ映画(反ジョーズ映画)。あの声とリズムが妙に心地良かった。
『バスタブとブロードウェイ: もうひとつのミュージカル世界/Bathtubs Over Broadway』 https://video.unext.jp/title/SID0067147
企業ミュージカル・レコード沼へようこそ。それは知られざるミュージカルの宝庫、もう一つのショウビズ世界。名作や名曲があり、巨匠もスターもいた。深い、深いぞこの沼は…!��と情熱、同志との出会い、真剣で貪欲な探究心が思わぬ広がりを見せていくのにワクワクしかないドキュメンタリー。マニアの真っすぐで曇りのない愛が起こす奇跡に清々しく心洗われた。
『セイント・モード/狂信』 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09HNDY45W/ref=atv_dp_share_cu_r
『キャリー』meets『ミザリー』を更にメンタル・スプラッターに振り切った感じで、ローズ・グラス監督デビュウ作は完成度高いと思う。陰気に寂れたコニーアイランド、ワンルームのアパート、主演モーフィッド・クラークが良い。
『アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー』 https://www.netflix.com/title/81161042
ロトスコープ・アニメで事細かに再現したスペースエイジの子供時代。ギプスしてる子が必ずいたとかイタズラ電話とかあったあった、TVアンテナに巻いたアルミホイル細かすぎ!でも記憶とは既にファンタジー。同じ69年の『ベルファスト』と通じると思った。ベトナム戦争とアイルランド紛争、少年の頭の中で混じり合う虚実、モノクロやアニメーションとしてパッケージ化した少年時代…けど、こちらには帰る家があって安心して眠れる。その楽観性が尊い。
『幸せへのまわり道』
(Amazonプライム、 U-NEXTほか)
トム・ハンクスはご本人完コピ以上に、優しく細めた目の奥にぞっとさせるブラックホールを演じているから恐るべし。殆ど瞬きしないし笑顔なのに笑ってない、『コラライン』のボタンの目みたいな…つい覗き込んでしまうようなその目に映る自分を見つめざるを得ない。ロジャースさんのシーンは全部、心がツーンとする。君たちは僕であり、君にできたなら僕にもできる。大変だけどやらなくちゃ…。ご本人の歌声が流れる中、優しさの王国ミニチュアセットを組み立てる男たちの手!
◆他にも良かった
『アネット』
緑のローブで殆どメルド(ドニ・ラヴァン)と化してるが、アダム・ドライヴァーはマイクとも人形ともプロレスができる、ほんと良いプロレスラーだな!先にサントラ聴いてたのもあって、スパークスのナンバーが頭から離れない。
『レット・ゼム・オール・トーク』
事件のないミステリー。ロードのないロードムービー(客船だから)。けど作家と探偵と死体はいる。そこがとても面白い。いわば聞き込みをする探偵役、ごく自然と年上に懐き気を許させるルーカス・ヘッジスのリアクションが絶妙。ソダーバーグは今まで特にピンとこなかったけれど、これはかなり好みで楽しかった。
『さよなら、私のロンリー』 https://www.netflix.com/title/81239497
エヴァン・レイチェル・ウッドの長くて重たそうな髪とダボダボな古ジャージ姿、動物的で芸術的な身のこなし、そして野太い声のインパクトたるや。生まれたてでおっぱい目指して匍匐前進する場面はちょっと感動しちゃう。痛くて甘くて苦くて儚くて曖昧で奇妙な、説明しにくい感覚をユーモラスに掬い取ってみせるミランダ・ジュライ。『ニューヨーカー誌の世界』にある短編小説の映画化『ロイ・スパイヴィ』も、ほろ苦く甘い後味が好き。
『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』 https://www.netflix.com/title/81341644
銀貨30枚より銃よりも強いのは、権力のバッヂ(今だからこそ尚更うんざりする話だ)。言葉と目力で深く静かにカリスマ性を放つダニエル・カルーヤと、身軽な身体で飄々とリアクションするラキース・スタンフィールドがとても良い。特に「何なんだよもう!」って巻き込まれて焦って悪足掻きするラキースは毎度最高、そのジレンマは滑稽なほど哀しい。監督シャカ・キングの演出が非常にソリッド。
『ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明け』 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09HNDVQL7/ref=atv_dp_share_cu_r
黒髪長身キャサリン・ウォーターストンと赤毛ヴァネッサ・カービー、これ時代が違えば『テルマ&ルイーズ』だ。だから悲劇だけど希望でもある。展開とは裏腹に、雪に覆われ荒涼とした冬景色から夏を迎え、来るべき世界へと「台帳には記録されない」女たちの地図。
夜空に星のあるように(リヴァイバル)
ザ・フォッグ(リヴァイバル)
ディナー・イン・アメリカ
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
ヒッチャー ニューマスター版
家をめぐる3つの物語
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野
パワー・オブ・ザ・ドッグ
ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!
幸せの答え合わせ
TOVE/トーベ
目指せメタルロード
トラブル・ウィズ・ユー
ペトルーニャに祝福を
元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件
洞窟
マチルダ・ザ・ミュージカル
ホワイト・ノイズ
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usickyou · 2 years
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無題h
 加蓮は、割に合わない話だと思った。  ターゲットは白菊ほたるといった。女性、年齢不詳、外見からは自分と同じか幼く見える。主な手口は不明。轢死、焼死、圧死、病死や失血死、彼女のカタログにはあらゆる死があって、同時に一つとして同じようなパターンは見つけられなかった。一方的に手札を晒しながらする賭けみたいなものだ。圧倒的に分の悪い、最悪の相手。  だから、加蓮は受諾した。彼女なら私をきらめかせてくれる、そう思った。  ほたるは、どうでもいいと思った。  ターゲットは北条加蓮。女性、十七歳。銃器や刃物、格闘も最低限はこなす隙のなさと、特異的な薬物の使用歴。カタログをぱらぱらと眺めて受諾した。この人なら私を殺してくれるかもしれない、そんな淡い願いを抱かなくなった頃のことさえ彼女はもう覚えていなかった。  そうやって、多少のすれ違いはありながらマッチングが成立した。
 世界にはルールがある。信号を守らなくてはならないとか、人を殺してはならないとか、そういうもの。  ルールにはいつも裏がある。たとえば誰も通らない夜中の道では信号を守る必要がないとか、同様に、ある条件下では人を殺してもよい、など。  後者の場合にはまたルールがあって、それは大体がショービジネスの要求に基づく。一つ、指定された時間、指定されたエリア内で行われること。一つ、民間人には気付かれないように、また可能な限り被害を出さないように行われること。一つ。どちらかが死ぬまで行われること。
 加蓮は蓮の花を眺めた。額縁の中の蓮。加蓮は、その花が好きだった。美しさや同じ名前を関しているということ、何より泥の海で咲く姿に心惹かれた。  しかし、絵画であるというただそれだけで、彼女にはそれがひどく醜いものであるように感じられた。不変や永久、ありもしない夢想を追いかけることは人生に対する裏切りだと、そんなことを考えていた。  気が付けば、手を握られていた。不運や死を連想させる、黒い衣装を纏った少女。 「デートならもっとスマートに誘ってよ」と加蓮は言う。相手の姿を窺いながら、自由な右手でジャケットの内をさぐった。「あと、そっちの気はないんだけど」 「すみません」と、そう言いながら少女、ほたるは手を離す。そうして絵画の蓮を見上げると、「聞いていただけますか」と言う。  加蓮はオートマチックの安全装置を解除して「どうぞ」と答える。ほたるは話しはじめる。 「この美術館に、好きな絵があるんです。ここから二つ先のエリアに、なんの変哲もない天使と赤ちゃんの絵です。有名じゃないし思い入れもないけど、パンフレットで見かけて、一目惚れでした」  加蓮は目線で監視カメラを数える。見えるだけで三台、すべてがこちらを向いている。確かめるまでもなく、ショーは二人が存在を互いに認識した瞬間に始まっている。 「だけど、一度も実物を見たことがないんです。見ようとすると、邪魔が入る。今日こそはと思ったんですけど、やっぱりだめでした」 「なら今から行ってみる? このまま、二人で」 「いいんです。どうせ無理ですから」 「そう。じゃあ」と言って加蓮は引き金を引く。ジャケットの内側で、弱々しい金属音が一度だけ響く。  銃は不発だった。理解に至るまでのコンマ数秒の間に、ほたるは再び加蓮の手を取った。今度は腕まで、そう簡単には剥がせないように。 「で、どうするの」と加蓮は訊ねながら観察する。両腕は奪われているが、相手も同じ。仲間が現れる、それは論外だが、これがショーを装った一方的な殺人である可能性はゼロではない。あるいは仕込み、よほど上手にやらないと査定が下がるし、そもそもこういう遮蔽物のない空間では難しいだろう。 「どうする、とかじゃないんです」とほたるは答えた。「選択するなんて私にはできません。委ねるだけです」 「何に?」と加蓮はまた訊ねる。その途中で、遠くから何かが破壊される音や悲鳴が聞こえることに気付く。 「来ましたね」とほたるは答えるでもなくささやく。声が、続けて体が震えを起こしはじめる。  加蓮は、ほたるが怯えていることに気付く。では、何に? 答はすぐに、隣のエリアから飛び込んできた。 「マジか」と加蓮は覚えず笑った。  轟音と悲鳴を連れて飛び込んできた自動車は、二人のもとへまっすぐ突き進む。加蓮のからは、赤い血が飛び散ったフロントガラスや、中でぐったりうなだれた運転手の姿が見える。 「恐がらないでください。一緒ですから」  そんな声が聞こえて、あんたの方がびびってるじゃんと思いながら加蓮は思い切りほたるの足を踏みつける。痛みへの反射でかすかに力が緩むと、背後から伸ばされた右手を掴み返して、肩を外した。それで完全に拘束を逃れて、ほたるを突き飛ばす反動でその場所を離れる。一瞬前に自らがいた空間を自動車は蹂躙し、ほたるの小さな体をはね飛ばすと壁に衝突し動きを止めた。  それであたりは静かになり、少し間を置いて再び悲鳴や助けを求める声が広がりはじめる。  加蓮は体を、損傷がないことを確かめるとジャケットから銃を取り出す。弾は薬室に送られているし、安全装置は解除されている。不発の理由はわからないが、もう済んだ。銃は処分して新しく手に入れればそれでいい。これも手段はわからないが、ターゲットは自滅した。念のため死体を確認して終わりだと、そう思った。  白い床にほたるは横たわっている。加蓮は、その周囲がぜんぜん汚れていないことに気付いて足を止める。「無理だった……また……」そんな声が聞こえた。  ほたるは、ゆっくりと起き上がる。  加蓮には、理解できない。  完璧にはねられていたはずだった。耐ショック用のインナー? 拘束されたときの感触で、それはないとわかる。だいたい装備でどうこうできる衝撃ではなかったはずだし、生身の手足さえ無傷なのに対する説明がつかない。 「大丈夫、できる、大丈夫……」ひとりささやきながら、ほたるは右手を床に押しつけると肩を入れた。くぐもった悲鳴を上げて、目にはうっすら涙を浮かべた。  加蓮はもう一度、銃口を向ける。薬室と安全装置を確かめて、引き金を引く。空虚な金属音を確かめて、予備のリボルバーを取り出すと同じようにする。同じ答が返ってくる。ほたるが「私、不幸なんです」と話しはじめる。 「生まれたときからずっと不幸で、何をしてもだめで、死にたいって思いました。だけど、死ねないんです。撃とうとした銃が壊れる。刃物は邪魔が入って肌に当てられない。灯油をかぶっても駅のホームに降りてもプレス機に飛び込んでも、死ねない」  だけど、とほたるは笑った。嬉しそうに、夢を見る少女の無垢な笑顔になって加蓮を見た。 「あなたは、素敵です。技術があって度胸があって、何より他の人と違って生きることへの熱量を感じます。あなたみたいなひとが死んでしまうことがあれば、もしかして、不幸な私も一緒に死ねるのかもしれません」  どうか、私を殺してください。  そう言って、ほたるは深々と頭を下げた。  加蓮はリボルバーに明らかな異常がないことを確かめると、あたりを眺めた。人はもういなくなっていて、まだサイレンは聞こえないけれど時間の問題だろうとは思った。  可能な限り被害を出さないこと。このままではルールに抵触するおそれがあって、それも彼女相手なら難しいだろうなと思って少し笑った。 「不幸自慢、私のも聞いてよ」と言うと、ほたるは黙って頷く。 「生まれたときから心臓に欠陥があってね、治療のために親はそれこそ死ぬまで働いてくれた。そのおかげで私は元気になって、だけど負債のカタにこんな仕事をすることになって、まあ才能はあったみたいだからそれはラッキーだったけど」  そこで一息つくと、また引き金を引いた。今度は破裂音があって、銃弾がほたるの首すじをかすめると、かすかに血が流れた。  加蓮は笑う。傷はつけられるし肩も外せる。要はやり方だ。 「で、病気と仕事、ぜんぶで何回くらいかな……覚えてないけど、死にかけたことがあるんだ。一回はマジで心停止までいったし、あれはやばかったなあ」  ほたるは動かない。ただまっすぐ、加蓮の言葉に耳を傾け続ける。 「そのたびにね、きらめくんだ。命がキラキラする。光りだして、熱くなって、生きてるんだって実感できる。あんたのこと、カタログで見てヤバいって思ったけど、やっぱ正解だったみたい」  二人は同時にサイレンを聞く。長居もそろそろ終わりだと、互いに目で伝え合った。 「絶対に死んであげない。だから、私をきらめかせてね」 「はい。そういうあなただから、一緒に死にたいんです」  二人は笑う。そうやって、紆余曲折を経ながらマッチングは完璧に成立した。
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cinnamoncloveand · 2 years
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「ねこステッカー」の寄付報告
Instagramでは1年前に報告済みの内容ですが、こちらでは報告をしていなかったので、遅ればせながら。
(以下、2020年12月の投稿より抜粋)
「ねこステッカー」は皆様のおかげで目標枚数の600枚を達成することができました。ご賛同して頂いた方々並びにご協力頂いた方々に改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
ご賛同数613枚、総額368,248円(心付け448円を含む)
皆様からお預かりした「ねこステッカー」の売上金の1/3(122,750円)づつを、岡山動物愛護会さま、Teamちいさな足あとさま、kururu~くるる~ 老猫ルームさまの3団体に寄付いたしました。各団体のより、コメントを頂いております。
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岡山動物愛護会さまは、県内で長きに渡り志を持って活動されているボランティア団体です。岡山動物愛護会さまよりコメントを頂きました。是非、ご一読ください。 また、岡山動物愛護会さまへ直接のご支援も可能です。 HP:https://okayamaaigokai.blog.fc2.com/ 口座:郵便振替01290-7-15999 岡山動物愛護会 (ゆうちょ銀行 一二九店 15999) 欲しい物リスト:https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/2P8M2GDYVROAY?ref_=wl_share
以下、岡山動物愛護会さまより頂いたコメントになります。
この度は、岡山動物愛護会に過分なご寄付をいただきまして、誠にありがとうございました。 岡山動物愛護会は、目の前で苦しんでいる一匹を助けることから、1977年に発足しました。 現在は、2012年に立ち上げたM公園プロジェクト、また地域猫活動にて、猫の不妊手術を中心に保護猫の病気の治療や里親探しを積極的に行っています。一匹でも多く猫たちが幸せになれるように努めてまいります。 いただいたご寄付は、すてられた猫たちの不妊手術代、医療費に大切に使わせていただきます。 温かいご支援に、改めて心より御礼申し上げます。 今後ともよろしくお願い申し上げます。 ◇少人数でのボランティア活動なので保護依頼はお受けすることができません。 岡山動物愛護会
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Teamちいさな足あとさまは、岡山県内で志を持って地道に活動を続けられているボランティア団体です。病気や高齢で里親が見つかりにくい犬、猫も積極的に保護されています。
Teamちいさな足あとさまよりコメントを頂きました。ぜひ、ご一読ください。また、直接のご支援も可能です。 HP:https://blog.goo.ne.jp/chiisana-ashiato ◇ HPに希望支援物資を掲載されています。 ◇ 支援金のお振り込先 口座:ゆうちょ銀行 記号 15470 番号 16048601 口座名義 Team ちいさな足あと 以下、Teamちいさな足あとさまより頂いたコメントになります。
この度はご寄付をいただき誠にありがとうございます。 私たちNPO法人『Team ちいさな足あと』は岡山で捨てられたり虐待を受けた犬猫たちの保護、治療、里親探しを行っています。 少人数で活動しているため保護・譲渡数は少ないですが、その分丁寧な活動を行うことを第一にしています。 特に譲渡は、犬猫の一生を左右する事なので慎重に何度も希望者さまとやりとりをしています。譲渡で終わりではなく、里親さまとはその後もお付き合いさせて頂いております。 また当会には、譲渡が難しい病気を抱えた子たちもいます。 劣悪な環境から保護した子たちは性格的にも体調的にも譲渡が難しい場合が多いです。その子たちにも可能な限りケアを行っております。 いただいたご寄付は現在保護している犬猫たちの医療費として、大切に使わせていただきたいと思います。 日々の活動報告や譲渡会の情報に関しましてはブログをご覧ください。 (https://blog.goo.ne.jp/chiisana-ashiato) ��後に、大変申し訳ございませんが、保護頭数が上限に達しており、新たな保護依頼などはお受けできません事をご理解いただきたいと思います。
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老猫ルームさまは、岡山県内でペットシッターをされている山本さまがボランティアで運営されている、病気や高齢で譲渡が難しい猫たちの保護部屋です。 山本さまよりコメントを頂きました。ぜひ、ご一読ください。
自走での運営を目指されており直接支援は募られていませんが、運営されているショップ「くるるプラス」の商品を購入することで、ご支援可能です。 老猫ルーム HP:http://kururu.me/oldcatroom くるるプラス:https://shop.kururu.me/ 以下、 くるる 老猫ルーム 山本さまより頂いたコメントになります。
この度は、当老猫ルームに、過分なご寄付のお申し出をいただきありがとうございます。 老猫ルームは、譲渡の難しい老猫や病気猫たちが暮らす小さなお家です。 みなさんの身近にいたかもしれない散歩の途中に見ていたガリガリだったあの子、近所のおばちゃんが生前に一緒に暮らしていたあの子…。 時間の経過とともに人々の記憶から消えていってしまったであろう子たちが、心ある方の手を借りて、この場にやって来ます。そして、おいしいものをたくさん食べ、必要な医療を当たり前に受けながら、残りの猫生を穏やかに送っています。 老猫ルームでは、殺処分の危機のある行政からの引き取りもなく、緊急性の高いレスキュー現場からの保護などもありません。 ですが、その子たちと同等に、人の目には触れる機会は少なくとも、助けを必要としている子たちが存在していることや、老猫や病気の子も適切な医療や丁寧なケアを受けることで、キラキラ輝く毎日を送れるようになるということをひとりでも多くの方に知ってもらいたいと思い、老猫ルームを開設した2017年より、彼らの日々を発信し続けてきました。 そして今回、ねこステッカー基金さまが、私の保護猫活動を見てくださり、 声をかけてくださったことを大変ありがたく感じています。 さらに、このプロジェクトを通して、たくさんの方に老猫ルームで暮らす子たちのことを知ってもらう機会を与えていただけたことが、何よりもうれしく、感謝の念に堪えません。 たくさんの子たちを救うことはできませんが、これからも、縁があり私の元にやって来てくれた子たちひとりひとりの命に真摯に向き合い、彼らが旅立つそのときに、もう少しここにいたかったな…。そんな風に思ってもらえる活動を続けていただきたいと思います。 年明けには老猫ルームの紹介ページもできあがります。 また、FacebookやInstagramでも、彼らの毎日を紹介しておりますので、今後とも、あたたかく見守っていただければ幸いです。 重ね重ねになりますが、この度は本当にありがとうございました。 2020年12月20日 山本 歩
---------------
これで、ねこステッカー基金の寄付報告は終わりです。 今回、犬、猫、生きものの幸せに少しでも貢献出来たのであれば嬉しく思います。そして、これを機会に保護活動の現状に少しでも興味を持って頂けたら幸いです。 最後までお付き合い頂きありがとうございました。それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
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jokertrap-ran · 4 years
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SinoAlice: Guild Co-op Event - The Songful Banquet of Cherry Blossoms Translation
*Spoiler free: Translations will remain under cut *Welcome to my whims. Hameln is fine.
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問題デス。春とイエバ!? Question, question! What does Spring entail?
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モチロン!潮干狩りとキャンプですネ! It’s got to be clamming and camping, of course!
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確かに以前の春は潮干狩りデシタが…… アレは春イベントに水着ヲ出せト言われたプランナーが苦シ紛れに考えたモノ。 I know we did clamming last year for the Spring Event, but that was only because the Planner managed to come up with the idea of swimsuits after much turmoil...
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言わば産みノ苦しみノ歴史なのデス。 ソレを思い出サセルのは鬼畜の所業デスよ! In other words, it’s the dark history of how it came to be; one of pain and suffering. Only a demon would make one shudder to remember such a time!
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ソンな内情をブチマケラレましても…… Even if that’s how it truly is on the inside...
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トニカクやり直しデス。春とイエバ!? In any case, let’s start from the beginning again. When it’s Spring, it’s-!?
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エ、エエ~ット……お花見……とか? Um, errrr…Flower viewing, perhaps...?
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ピンポーン!正解デス!!Bingo! That’s right!!
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エッ、本当に!?ソンな正攻法でイイノ!? Huh? What!? Something as straightforward as that does it!?
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ええ。タマにはストレートも必要デス。 Of course. Simple is best, sometimes.
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ワ~イ!お花見オ花見、楽しいナ!嬉しいナ! Yay~! Flower viewing~! We’re going to be flower viewing! Oh, how fun! How exciting!
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余興ノ人員も揃えマシタ。 まずはグレーテル、さらにシンデレラ、そしてハーメルンです。 The entertainers have already been gathered. First, we’ll have Gretel, followed by Cinderella and Hameln.
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スゴイ!最初から混乱しか予想デキナイ! That’s amazing! I can foresee the chaos and confusion they’ll bring right from the get-go!
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お花見ナンテおかしくなったモン勝ちデスよ。 The one who makes for the most chaotic Flower Viewing wins.
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じゃア、この3人ニハ早速余興ヲ──ん? 誰か来たヨウですが ……コレは……? Should we get the 3 entertainers started now then? Hmm? There seems to be someone headed this way? ...This is…?
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……ナルホド。まあイイでしょう。飛び込み参加モ大歓迎デス! ゲストを迎えテ楽しくヤリましょう! I see...Well, that works too. Any last minute participants are welcomed to jump in anytime! Let’s all enjoy ourselves together with the guests!
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ソウですネ。トテモ楽しくナリそうデス。 エエ。とても……ネ。 Yes, this looks like it’ll be real fun. Absolutely so, indeed...
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一度だけ。 友達に連れられて、アイドルのライブに 行った事がある。 Once. Just once, did I ever attend an Idol’s concert at the insistence of my friend who dragged me along.
それはまさに、夢の世界だった。 It was a world akin to a dream; something I never thought possible.
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「みんなー!今日は ハ ナ のライブに 来てくれてアリガトウ!ハナにピッタリ のこの場所で、最っ高の歌を聴いていっ てね!」 “Everyone~! Thank you all for coming to     Hana’s     live today! I’ll grace your ears with the best and greatest song out there in this perfect place of mine!”
薄紅の花びらが舞う、酒に似合いの風景 に安如として乱入してきた『ライブラリ  No.1の ア イ ド ル 』とやらば、 クソが100回つくようなくッッッッソ ド下手な歌を勝手に歌いだした。 The scenery was well-suited to a cup of sake, the air aflutter with the pink petals of the cherry blossoms. If only the place hadn’t been jacked by the “Library’s No.1    Idol   ” Speaking of, she’s so bad at it that she's about a 100 times shittier than what’s already considered crap; singing shitty songs all on her own accord and wrangling ears everywhere.
 「これは……聞くに堪えませんね……」 “This...I don’t think I can stand listening to this anymore…”
「おい、ナルシスト。あの女を消せ」 “Hey, Narcissist. Erase her.”
「私が手を下す必要ないかと」 “I doubt I’ll even have to do anything, really.”
そういって、ナルシストが指を示した失 では、極度の音痴に我慢の限界を迎えた ナイトメアたちが 怒 り を募うせていた。 That being said, he pointed his finger at something. A group of nightmares were already     seething     in     anger     at the hellish ear grating they were forced to suffer through; already reaching to the limits of their patience.
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さくら~↑舞う~↓ 景色~↑↑のぉ~↑ The fluttering~↑ dance~↓ of the~↑↑ Sakura in the background~↑
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Nooooooo↑↑ 歌ウノヤメロォ! NOOOOOOO↑↑ Stop singing!
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ロォ↓マンス~↑ 恋のぉ~神~~↑↑ Ro~↓ mance~↑ The god~ of love~~↑↑
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耳ガ腐ルゥゥ!助ケテェェ!! My ears are about to drop off! Someone, save me!!
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「あたしの歌で踊りだしたくなる気持ち は判るけど、暴れるのはダメだぞぅ✰」 “I understand that my singing makes one feel the urge to dance but rampaging? That’s a big no-no✰ ”
ナイトメアの蹴散うした ハナさんとやらば、その場で軽やか�� ターンをしてーー Kicking the Nightmare away, she did a light twirl on the spot.
「 ダ ン ス ならこう踊らなきゃ!」 “You’ve got to     dance     like this if you’re going to do it!”
この世のものとは思えぬ醜い歌に合わせ、 心を抉るような 前 衛 的 な踊りを 始めました。 She started to dance     Avant    -    garde    , coupled with the horrid song that was out of this world; one so appalling that it almost felt like someone was gouging my very heart out.
「眩暈がしてきた……」 “I’m actually starting to get dizzy from seeing this…”
艶やかな褐色の肌を持つシンデレラさん の殺意の失わせるほどの醜悪な歌と踊り。 A horrible, ear-grating song and an equally unbeautiful dance. One that actually made the glossy brown-skinned Cinderella lose all the killing intent that she wielded.
これには、さすがの私も辟易です。 That being said, this also repulses me, of course.
しかし、不思議な事に、綺麗な足を持つグレーテルさんだけは 魅 入 ら れ  たように歌に聞き入っていたのです…… But the strangest thing was that Gretel, the one with beautiful legs, seemed     utterly     charmed     and     entranced     by the song...
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席なんて、ステージからもの凄く遠い スタンドだったけど。 The seats were so far from the stage itself. Rather than seats, it was actually more like a stand.
そこから観る会場はサイリウムの光に 包まれて、まるで花畑みたいだった。 Watching the stage surrounded by psyllium lights from afar, it bore a resemblance to a flower garden of sorts.
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ステージでアイドルが歌う。 あたしの席から顔なんて見える訳ない んおに、それでも笑顔だとわかる。 The Idol sung atop the stage. I knew that they were smiling, even though I can’t possibly see them from my seat.
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「ねえ兄様。あの歌…… 懐かしくありませんか? 昔、兄様と二人で過ごした夜の 森で、冷たい月明りの下で聴いた……」 “Hey, brother? Isn’t this song nostalgic…? It’s the same song we heard at night, back in the forest where we lived together. Under the cold, icy moonlight…”
「森の奥から聞こえてきた、歌……」 “The same song that resonated deep within the forest itself…”
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ヤヤヤヤメヤメヤメヤメロメロンー! SSSST- STO- STOP STOP STOP-!
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オカシクナルルルルルルリルレロ! I’M STARTING TO GO CRRAAAAZY!
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わあ!斬新なコールアリガトー! Wow! Thanks for new cheer!!
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ハハハハナハナハ ナヒヒヒヒヒヒヒッ! HAHAHAHANAHANAHA-- HIIE!!
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アイドルの歌と踊りに合わせて、会場が 揺れる。アイドルはキラキラしていて、 とても可愛くて。それを観るみんなも、 とてもキラキラしていた。 The venue broke out in an uproar in response to the Idol’s song and dance. The idol was shining in the limelight and absolutely adorable. And the audience shone too, as they looked on.
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クソ下手音痴女 ハ ナ の歌と踊りは 戦意を失わせた。怒りを抱く事すら 勿体ないろいうか…… Listening and watching the shitty tone-deaf woman     Hana     singing and dance made me lose all the fight in me. Or, more like...It would be a waste to even feel rage at this...
そういうレベルにまで達しているのは、 ある意味芸術と言ってもいいのか もしれない。遠のく意識と視界が、 現実を拒否するように段々と霞んでいく。 It might even be called art, considering just how bad she was. My consciousness slowly faded as my vision grew hazier, as if rejecting reality itself.
「スモークいいわね!もっと焚いて! 会場をハナ色に染めちゃってー!」
“The smoke’s looking good! Keep it coming! Fill the area with colour―!”
音痴女の声に呼応するように周囲の木々 が揺れた。そこから 黄 色 い 煙 が大量に 吐き出される。 The surrounding trees shook, seemingly responding to the tone-deaf girl’s command. And then, a     yellow     smoke     spewed forth.
「これは…… 花 粉 ……?」
“Is this…    pollen    …?”
横にいたナルシストがそう呟いたような、 そうでないような……なんだ?頭が……
I feel as if the Narcissist beside me had muttered something like that...or not…? What’s this? My head... 
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大量の花粉が!これはイケマセン! A large amount of pollen! This won’t do!!
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桜の花粉ッてコンナに飛ばないのデハ? I thought the pollen from cherry blossoms wasn't this bad?
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ライブラリの桜ですカラ。 Well, it’s the Library’s cherry blossoms.
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その一言デ説明が済むの、最高デスネ! Nice! The explanation’s done and settled in a single breath!
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こんな事もアロウかと。ハイ!花粉ブロック! 99.9%花粉を遮断!機能性も抜群デス! Well, I did think this might happen. So...here! Pollen Block! It’s 99.9% effective!
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呼吸も99.9%遮断!死ヘノ片道装備デス! But that prevents breathing itself by 99.9%! It’s a one way ticket to death itself!
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 ライブが終わったあと、会場から出っていく みんなは、とにかく笑顔だった。 あたしも、もちろんその一人。 Everyone left the venue with a smile on their face once the Live ended. I, of course, included.
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その少女は、歌を歌った。 皆を笑顔にしたいのだと、そう笑った。 それがあまりに純粋で、 あまりに無邪気で。 だから私は、彼女に新しい歌を教えた。 The girl sang, and sang she did. She laughed about wanting to make everyone smile. All so innocent, all so pure. Thus, I taught her a new song.
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アイドルって凄いなって思った。 たった一人で数万人を笑顔にできる、 そんなアイドルに、あたしは憧れた。 I thought that Idols were amazing. Just one person, able to bring smiles to countless others. I admired Idols; they were my admiration.
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その少女の声には力があった。 我らに活動を促す力が。 そうーー 我らの時代を、もう一度取り戻す力が。 That girl’s voice held power. The power to urge us to motion; to act. That’s right―— The power to reclaim our reign once more.
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あたしは小さい頃から病気がちで。 人退院の度に、周りに迷惑をかけていた。 誰かを笑顔にする事より、 誰かを悲しい顔にする事の方が多かった。 I was always sickly ever since I was little. I only inconvenience those around me, whenever I get admitted to the hospital. Rather than making people happy, I made people sad, more often than not.
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「スモーク焚きすぎちゃって道が見えな いわ。誰か道案内してくれないかしら。 これからオーデイションがあるのよね」 “There’s too much smoke; I can’t see the way. Could I perhaps, get someone to lead the way? I’ve got an audition on the way.”
ハナさんは、こちらをじっとみて言いま した。つまり、私達に案内を要求してい るのでしょう。その気配を察したシンデ レラさんは、冷たい声で拒絶しました。 Hana spoke, keeping eye contact with me the entire time. In other words, she’s probably asking us for help. Cinderella coldly refused after having grasped the situation.
「金はあるんの?まあ払われても断るけど」 “Is there money in this? Well, not that I’d take it either even if you offered.”
「そんなぁ……ひどいですぅ……!」 “No way...how mean…!”
ハナさんの泣き声に呼応して、一層花粉 がと飛散します。これは宜しくありません。 More pollen was scattered upon her cries. This isn’t appreciated at all.
「少しくとも、あなたの姿は美しい。 私が 案 内 いたしましょう」 “You’re a beautiful one, at least. Allow me to     lead     the     way.”
「ありがとう!貴方、お名前は?」 “Thanks! What’s your name?”
「ハーメルン、とお呼び下さい」 “Call me Hameln.”
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ハーメルン……メルちゃんね!よろしく! Hameln…? Mel, then! I’ll be in your care!
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メル……? Mel…?
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ところでぇ……メルちゃんは──ハナと手を繋いではくれないの? By the way...Won’t you join hands with me, Mel?
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?こうしてあなたの手を取っていますが── ? But aren’t I already holding onto your ha...nd…?
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──テヘッ。 ──Tee-hee.
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花粉のせいで見間違えましたね。失礼。醜い。 I’ve blundered due to the pollen in the air. Pardon me, that was unsightly.
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ギャアッ!勘違イシタノハソッチナノニー! Gyaah! You’re the one at fault though!
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こんなあたしでも。アイドルになれば 誰かを笑顔にできるのかな。 知らない人にも、幸せを感じてもらう事ができるのかな。 I wonder if I can bring a smile to someone else’s face too, if someone like me can become an Idol. I wonder if I can make people that I don’t know feel happy too?
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会場いっぱいに咲くサイリウムの光の花 に包まれて、可愛いドレスを着た わたしがステージで歌を歌うーー そんな未来を夢見ながら 桜の木に向かっ歌っていたある日、 頭の中に素敵な歌が流れてきた。 The venue was blooming with Psyllium Flowers of light. Dressed in a cute dress, I sang; and sang I did―— I continued looking on, holding onto that dream for the future. One day, while I was singing to the Cherry Blossom Tree, a beautiful song sounded in my mind
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入院した病室の窓から桜が見える。 その桜の木に向かって、あたしは 歌を歌った。 桜が散る頃には退院して、 オーデイションを受けに行くんだ。 I can see the Cherry Blossoms from the window of my Hospital Room. I sang to the Cherry Blossom Tree and sang I did. When the Cherry Blossoms scatter and I get discharged from here, I’ll go for an Audition.
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少女は夢を抱いていた。 しかし、少女は病も抱えていた。 やがて少女に声は枯れ果てて、 その儚き夢も叶うことなく――
だから、私はその身に命を蕾を宿した。 The girl held onto a dream. However, sickness also had a clutch on her. Eventually, her voice faltered and faded, that fleeting dream of her’s never coming to pass.
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――桜が咲いて、散って。 入院してから何回目かの満開を迎える。 あたし、少しは歌が上手くなったかな? 早くオーデイションを受けたいな。 ――The Cherry Blossoms bloomed and scattered. I’ve seen many a cycle of it coming into full bloom ever since I was admitted. Have I gotten a little better at singing? I want to hurry and go for an Audition.
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これ以上、あのクソ下手音痴女のせいで 花粉を巻き散うされちゃ堪らない。 仕方なく、私達は手音痴女を案内していた。 しかし―― I can’t stand being showered by more Pollen because of the shitty tone-deaf girl. I suppose we don’t have a choice but to show her the way. But――
(あのブラコン、やけに大人しいな) (That Bro-con is being unsettlingly quiet.)
ハーメルンと手を繋いでご機嫌な音痴女 の後るに歩くグレーテルが、普段よりも 妙に静かで気にかかる。 いつもなら「兄様、兄様」と一人でぶつ くさ言っているはずなのに。 His unusual silence caught my attention, as he walked along behind Hameln, who had joined hands with the joyous looking tone-deaf girl. Usually, he’d be muttering “Brother, brother” all by his lonesome.
「……あ」 “…Oh.”
そのグルーテルが、小さな声を上げた。 That very Gretel made a small sound.
「兄様に…… 花 が咲きました……」 “    Flowers     are blooming…on Brother..”
籠の中の『兄様』からは、全く似合わな いファンシーな花が咲いていた。 Fancy unfitting flowers were blooming in the cage where “Brother” was held.
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何やら呻き声も聞こえますね。 I seem to hear something akin to moaning.
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そんな事どうでもいい!兄様、兄様! There’s absolutely no way that’s the case! Brother, brother!
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でも意外と似合ってんじゃない?その花。 But don’t you think that suits him surprisingly well? That flower, I mean.
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似合って……ああ……兄様、可愛いです…… It suits him…? …Ahh…Brother, you’re so cute…
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ねぇ、ドラゴンがいるんですけどぉー。 Hey, there’s a dragon here though―
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グウ……ズズッ……鼻ガ詰マッテ…… Ugh…sniff, sniffle…My nose’s all stuffed up…
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呻き声はコレでしたか。何とも美しくない…… So this was the cause of all the moaning. It’s not the slightest bit beautiful at all…
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――桜が咲いて、散って。 あと何回、この景色を見られるだろう。 歌おうにも声が出ない。 乾燥した唇が裂けて、血が滲んだ。 ――The Cherry Blossoms bloomed and scattered. I wonder how many more times I must witness this scene? No sound comes out even if I sing. My dry, chapped lips crack as blood oozes out.
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少女の顔は美しい。伸びた四肢も美しい。 そして少女から漂う匂い。 これは――ああ、 今まで花粉で気付きませんでしたね…… The girl had beautiful features. Her limbs were all so beautiful as well. Then came the smell that came along with her. This is―― Ahh, I never noticed due to all the Pollen flying about up till now…
「この腐臭は、美しくない」  “This smell of rot is not beautiful in the least.”
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――桜が咲いて、散って。 今年も、何とか見届けられた。 来年まで頑張ろうね、と 気気遣う看護師の声がする。 ――The Cherry Blossoms bloomed and scattered. I somehow managed to see the petals off again this year. I hear the kind, caring nurse telling me to do my best again next year.
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いつの間にか桜の木の下に来ていました。 そこには、人の形をした植物が、綺麗な 花を咲かせていくつも立っています。 Before I knew it, I was already standing below the Cherry Blossom Tree. There were many human-shaped plants, all with stunning flowers blooming on them.
「兄様。兄様と同じ花ですよ」 “Brother. It’s the same flower as the one blooming on you, Brother.”
花が咲いた兄様と、花の咲かない私。 それがなんだか、とても悲しい。 Brother, who had flowers blooming on him, and me, who did not. That was utterly saddening, in a sense.
「それなら お 揃 い になってみる?」 “Then how about you try becoming a     pair    ?”
どこからか、歌う声が聞こえてきます。 二人で過ごした、森の奥でも聞いた声。 あの時、兄様は近づくなと言ったけど。 I could hear singing coming from somewhere. A voice that I heard even back in the depths of that forest; back during the time I spent together with Brother. I recall telling whoever that had been to stay away from Brother, back then.
「じゃあ、願いを叶えてあげるね」 “Then, let me grant your wish!”
兄様、私はあなたと一緒がいいのです。 Brother, I want to be the same as you.
「ブラコン!」 “Bro-con!””
誰かが叫んでいるけど、邪魔しないで。 私は今、とても 幸 せ なのだから―― Someone was yelling. Don’t get in the way; For I’m extremely    happy    right now――
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あいつ、花に寄生されたのか!? That guy; Is he being parasitized by those flowers!?
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花を咲かすグレーテルさんも、また美しい。 Gretel’s beautiful even with flowers blooming on their being.
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アンタも、頭に花を咲かせてもらえば? How about we make one grow on your head too?
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それも良いですね。きっと美しいでしょう。 That might not be too bad of an idea. It’ll be a dazzling sight to behold, I’m sure.
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嫌味が通じないのか。このナルシスト…… Can’t you tell sarcasm when it’s in front of your face, you narcissist...!?
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――冬なのに、桜が咲いている。 ああ、枝に積もった雪がそう見える んだ。それでもいい。 最期に見られて良かった…… ――The Cherry Blossoms bloomed and scattered. Ahh, so that’s how the branches look like with snow piled on them. This is fine. I’m glad that I managed to see it in the end…
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突然現れた予定外の乱入者。 歌に合わせて撒き散らされる大量の花粉。 しかも思考を惑わすオマケ付き……と くれば、異変の 原 因 は明らかだ。 An intruder had appeared out of the blue; this was not planned. The large amount of Pollen being scattered around along with the song. Along with the added effect of addling your mind… In conclusion, the     root     cause     of this was startlingly apparent.
「どう考えてもアンタだろ?」 “No matter how you think about it, you’re the one behind all this, aren’t you?”
武器を突きつけつろ、ハナは震えた。 Hana trembled as Cinderella pointed her weapon at her.
「ち、違うもん!メルちゃん、助けて!」 “N-No, you’re mistaken! Help me, Mel!”
「残念ながら、あなたからは腐臭がする。 大変醜い臭いです。私に助けられる 価値は、地を這う虫ほどもありません」 “Unfortunately, there’s a rotting smell coming from you. It’s a horribly ugly scent. And I’m not obligated to help anyone or anything who’s worth is equivalent to a worm, crawling on the ground.”
「……っ」 “…Ngh.”
ハーメルンの言葉に息を呑むと、音痴女 は派手に笑��出し―― The tone-deaf girl sucked in a deep breath at Hameln’s words before breaking out into laughter――
「お前ら全員、花人形にしてやる!」 “I’m gonna turn all of you into Flower Dolls!”
義姉と同じくらい、
醜 く 顔を歪めた Her face distorted     uglily    ; it was almost as bad as Gishin’s own.
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みんな、あたしの歌を聴かなかった!だから花人形にしてやったのよ!! どう?これなら黙って歌を聴くでしょう!? No one was listening to my song! That’s why I turned them all into Flower Dolls!! How’s that for a change? Now you’ll shut up and listen to my singing, right!?
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人形にしなけりゃ聴いてもらえない歌なんて、アンタ才能ないんだよ。 それだけの話だろ? If no one’ll listen to you unless you turn them into a Doll, doesn’t that just mean that you don’t have the talent for it? That’s all there is to it, no?
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なのにアイドルを名乗るとは……ああ醜い。 And still, you dare call yourself an Idol…Ahh, how ugly.
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違う……あたしは、アイドルなのおぉ! No…I’m…I AM an Idol!
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――あたしは、アイドルになりたかった。 満員の会場で、光の花に囲まれて、 楽しそうに歌うアイドル…… だって…… みんあの 笑 顔 が、見たかったから。 病気がちのあたしの周りには、 悲しい顔しかなかったから―― ――I wanted to be an Idol. An Idol, singing happily in a full-house venue, with flowers of light blooming all around… Because… I wanted to see the     smiles     on everyone’s faces. Because there was nothing but sad faces around me, due to my sickly nature――
「生まれ変わったら、今度こそ……」 “Next time, if I’m reborn…”
そう呟いて、少女は光の中に 消 え 去 っ た 。 The girl murmured her last as she     faded     away     from the light. 
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……結局、この少女も 駄 目 だった。 確か、これで34人目だ。 それにしても、笑顔を見たいと言いなが ら、自分が見られる事が目的になるとは、 まさに本末転倒…… …That girl was a     no    -    good     either, in the end. I’m certain this makes it the 34th person now. Even so, to think that her goal would be for people to notice her despite how she’s always crowing about how she wanted to see everyone’s smiles… She’s certainly got her priorities wrong.
しかし、これだからこそ人間は面白い。 では、私は次の 苗 床 を 探すとしよう。 But this is precisely what makes humans all so interesting. Well then, I suppose I’ll have to find another     nursery    .
手始めに、少女を殺したあの3人を―― How about those 3 who killed the girl, for starters――
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桜さん。今まであたしの歌を聴いてくれ て、ありがとう。アイドルになる夢は叶 わなかったけど、あなたはあたしの、 たった一人の観客でした。 Dear Cherry Blossom, thank you for listening to my singing. I never fulfilled my dream of becoming an Idol, but you’re my one and only audience I ever had.
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黒幕はアノ桜の木デシタ。 The mastermind was that Cherry Blossom Tree.
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木にヨル支配とは、どこかで聞いたヨウナ。 A tree that rules everything? I feel like I’ve heard about this somewhere…
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ソンな物語もドコかにアッタような? I feel like a story like that exists somewhere out there.
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トコロデ、あの桜ハどうシマス? By the way, what are we going to do with that Cherry Blossom?
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アア、ソレならすでに対処済みデス。大事ナ兄様に花ヲ咲かせた木ニ腹を立てタグレーテルが根本カラ桜ヲぶち倒しマシテ。 Ohh, that’s already been dealt with. Gretel was mad that the tree had made flowers bloom on his beloved Brother and chopped it up, roots and all.
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エッ……黒幕を……? Eh…He did that to the Mastermind…?
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ソノ倒れた桜を眺めナガラ酒を飲ンでいた シンデレラが、「確か桜の木は、スモーク用のチップとして売れたな?」 と思いツキ、ハーメルンに命令シテ。  And then Cinderella was looking upon the fallen Cherry Blossom whilst sipping  on a cup of Sake pipped up, saying “Come to think of it, Cherry Blossom Wood  can be sold as Smoking Chips, right?” And thus, she ordered Hameln to procure it.
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エエ……黒幕がスモーク用……? Ehh…Using the Mastermind as smoking material…?
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ハーメルンは「艶やかな肌の主の言う事なら」 と、ソレは美しく桜の木をカットして。 結果、ライブラリ特製燻製用桜チップとしテ見事に高値で売れマシター! ハイこれ売上報告書。凄いデスヨ。 “If that’s what the master of glossy skin wishes.” Said Hameln, and he beautifully cut up the Cherry Blossom Tree. As a result, the Library’s Special  Cherry Blossom Smoked Chips are being sold for an astoundingly high price!! Here’s the Sales Report. Amazing, isn’t it!
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エエエ……本当ダ。黒幕メッチャ売レてる。 Ehhh…You’re right. The Mastermind’s selling really well.
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この売上デ燻製肉でも食べニ行きマセンカ? How about we use the Sales earnings to go eat some smoked meat?
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行クー!人ノお金で食べるオ肉大好き! Count me in―! I love eating meat when someone else’s paying!
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燻製に使うチップはもちろん桜デ…… The wood chips we’re going to use for the smoking will be Cherry Blossom, of course.
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29 notes · View notes
hananien · 3 years
Text
【SPN】庭師と騎士
警告:R18※性描写、差別的描写
ペアリング:サム/ディーン、オリキャラ/ディーン
登場人物:ディーン・ウィンチェスター、サム・ウィンチェスター、ボビー・シンガー・ルーファス・ターナー、ケビン・トラン、チャーリー・ブラッドベリー、クラウス神父(モデル:クラウリー)
文字数:約16000字
設定: 修道院の囚われ庭師ディーン(20)と宿を頼みに来た騎士サム(24)。年齢逆転、中世AU。
言い訳: 映画「天使たちのビッチナイト」に影響を受けました。ボソボソと書いてましたがちょっと行き詰まり、詰まってまで書くほどのものじゃないので一旦停止します。
 自分のことなら肋骨の二本や三本が折れていたとしても気づかないふりをしていられるが、部下たちを休ませる必要があった。
 王国騎士の象徴である深紅のマントは彼ら自身の血に染められ、疲労と傷の痛みとで意識がもうろうとしている者も数名いた。何よりも空腹だった。狩りをしようにも、矢がなく、矢を作るためにキャンプを張る体力もない。  一度腰を下ろせばそこが墓地になるかもしれなかった。  辺境の村を救うために命じられた出征だった。王はどこまで知っていたのか……。おそらくは何も知らなかったのに違いない。そうだと信じたかった。辺境の村はすでに隣国に占領されていた。彼らは罠にかけられたのだった。  待ち構えていた敵兵に大勢の仲間の命と馬を奪われ、サムは惨めな敗走を余儀なくされた。  森の中を、王城とは微妙にずれた方向へ進んでいるのに、サムに率いられた騎士たちは何もいわなかった。彼らもまた、サムと同じ疑いを胸に抱いていたのだ。全ては王に仕組まれたのではないかと。  誰一人口には出さなかったが、森の中をさ迷うサムに行き先を尋ねる者もいなかった。  なけなしの食糧を持たせて斥候に出していたケビンが、隊のもとに戻ってきた。彼は森の中に修道院を発見した。サムはその修道院に避難するべきか迷った。森は王国の領内だ。もしも王が裏切っていた場合、修道院にまで手を回されていたら彼らは殺される。  だが、このままでは夜を越せない者もいるかもしれなかった。サムは未だ六人の騎士を率いていて、王国よりサムに忠実な彼らを何としても生かさなければならない。  サムはケビンに案内を命じた。
 ディーンは自分の名前を気に入っていたが、今ではその名前を呼ぶ者はほとんどいなかった。  修道院では誰もがディーンのことを「あれ」とか「そこの」とか表現する。もしくは彼自身の職業である「庭師」とか。彼自身に、直接呼びかける者はいない。なぜなら彼は耳が聞こえないし、口も利けないから。  ディーンは今年で二十歳になる……らしい。彼は子供のころに両親を盗賊に殺されて、もともと身を寄せる予定だったこの修道院に引き取られた。ただし支払うべき寄付金も盗賊に奪われたので、修道士としてではなく庭師として働いて暮らしている。  夜中、ディーンはフラフラになりながら修道院を出て、納屋に帰り着いた。家畜小屋の横の納屋が彼の住処だ。神父が彼に酒を飲ませたので、藁の下に敷いた板のわずかな段差にも躓いてしまった。  そのまま藁の中にうずくまって、眠ってしまおうと思った時だ。納屋の戸の下の隙間から、赤い炎の色と複数の人影がちらついて見えた。  ディーンは、静かに身を起こした。少し胸やけはするが、幻覚を見るほど酔ってはいない。ディーンがいる納屋は、修道院の庭の中にある。修道士たちをオオカミやクマから守る塀の、内側だ。修道士たちは夜中にうろついたりしないから、この人影は外部からの――塀の外、森からの――侵入者たちのものだ。  門番の爺さんは何をしていたのか。もちろん、寝ているんだろう、夜更かしするには年を取りすぎている。今までも修道院が盗賊被害には遭ったことはあるが、こんな夜中じゃなかった。オオカミにとってはボロを着ていようが聖職者のローブを着ていようが肉は肉。強襲も山菜取りも日差しの入る間にやるのが最善だ。  では何者か。ディーンはそっと戸を開けて姿を見ようとした。ところが戸に手をかける間もなく、外から勢いよく開けられて転がり出てしまう。うつ伏せに倒れた鼻先に松明の火を受けてきらめく刃のきっさきを見て、そういえば、神父に持たされたロウソクが小屋の中で灯しっぱなしだったなと気づく。  「こそこそと覗き見をしていたな」 ざらついて低い声がディーンを脅した。ディーンはその一声だけで、彼がとても疲れて、痛みを堪えているのがわかった。  「やめろ、ルーファス! 何をしている」  若い男の声がした。ディーンを脅している男は剣のきっさきを外に向けた。「こいつが、俺たちを見張っていた。きっと刺客だ。俺たちがここに来るのを知っていて、殺そうとしてたんだ」  刺客、という言葉に、側にいた男たちが反応した。いったい何人いるんだ。すっかりと敵意を向けられて、ディーンはひるんだ。  「馬鹿な、彼を見ろ。丸腰だ。それに刺客なら小屋の中でロウソクなんて灯して待っているわけがない」 若い声の男が手を握って、ディーンを立たせた。俯いていると首から上が視界にも入らない。とても背の高い男だった。  「すまない、怖がらせてしまった。我々は……森で迷ってしまって、怪我を負った者もいる。宿と手当てが必要で、どうかここを頼らせてもらいたいと思って訪ねた」  背の高さのわりに、威圧的なところのない声だった。ディーンが頷くのを見て、男は続けた。  「君は――君は、修道士か?」 ディーンは首をかしげる。「そうか、でも、ここの人間だ。そうだろ? 神父に会わせてもらえるかい?」 ディーンはまた、首をかしげる。  「なんだ、こいつ、ぼんやりして」 さっき脅してきた男――闇夜に溶け込むような黒い肌をした――が、胡乱そうに顔をゆがめて吐き捨てる。「おお、酒臭いぞ。おおかた雑用係が、くすねた赤ワインをこっそり飲んでいたんだろう」  「いや、もしかして――君、耳が聞こえないの?」 若い男が自分の耳辺りを指さしてそういったので、ディーンは頷いた。それから彼は自分の口を指さして、声が出ないことをアピールする。  男の肩が一段下がったように見えて、ディーンは胸が重くなった。相手が自分を役立たずと判断して失望したのがわかるとき、いつもそうなる。  彼らは盗賊には見えなかった。何に見えるかって、それは一目でわかった。彼らは深紅の騎士だ。王国の誇り高い戦士たち。  幼いころに憧れた存在に囲まれて、これまで以上に自分が矮小な存在に思えた。  「聞こえないし、しゃべれもしないんじゃ、役に立たない。行こう、ケビンに神父を探させればいい」 疲れた男の声。  抗議のため息が松明の明かりの外から聞こえた。「また僕一人? 構いませんけどね、僕だって交渉するには疲れ過ぎて……」  「一番若いしまともに歩いてるじゃないか! 俺なんか見ろ、腕が折れて肩も外れてる、それに多分、日が上る前に止血しないと死ぬ!」  ディーンは初めて彼らの悲惨な状態に気が付いた。  松明を持っているのは一番背の高い、若い声の男で、彼はどうやら肋骨が折れているようだった。肩が下がっているのはそのせいかもしれなかった。ルーファスと呼��れた、やや年配の黒い肌の男は、無事なところは剣を握った右腕だけというありさまだった。左半身が黒ずんでいて、それが全て彼自身の血であるのなら一晩もたないというのも納得だ。女性もいた。兜から零れた髪が松明の炎とそっくりの色に輝いて見えた。しかしその顔は血と泥で汚れていて、別の騎士が彼女の左足が地面に付かないように支えていた。その騎士自身も、兜の外された頭に傷を受けているのか、額から流れた血で耳が濡れている。  六人――いや、七人だろうか。みんな満身創痍だ。最強の騎士たちが、どうしてこんなに傷ついて、夜中に森の中をゆく羽目に。  ディーンは松明を持った男の腕を引っ張った。折れた肋骨に響いたのか、呻きながら彼は腕を振り払おうとする。  「待って、彼、案内してくれるんじゃない? 中に、神父様のところに」 女性の騎士がそういった。ディーンはそれを聞こえないが、何となく表情で理解した振りをして頷き、ますます騎士の腕を引っ張った。  騎士はそれきりディーンの誘導に素直についてきた。彼が歩き出すとみんなも黙って歩き出す。どうやらこの背の高い男が、この一団のリーダーであるらしかった。  修道院の正面扉の鍵はいつでも開いているが、神父の居室はたいていの場合――とりわけ夜はそうだ――鍵がかかっている。ディーンはいつも自分が来たことを示す独特のリズムでノックをした。  「……なんだ?」 すぐに扉の向こうで、眠りから起こされて不機嫌そうな声が聞こえてほっとする。もう一度ノックすると、今度は苛立たし気に寝台から降りる音がした。「なんだ、ディーン、忘れ物でもしたのか……」  戸を開いた神父は、ディーンと彼の後ろに立つ騎士たちの姿を見て、ぎょっとして仰け反った。いつも偉そうにしている神父のそんな顔を見られてディーンは少しおかしかった。  ディーンは背の高い男が事情を説明できるように脇にのいた。  「夜半にこのような不意の訪問をして申し訳ない。緊急の事態ですのでどうかお許し頂きたい。私は王国騎士のサミュエル・ウィンチェスター。彼は同じく騎士のルーファス。彼は重傷を負っていて一刻も早い治療が必要です。他にも手当と休息が必要な者たちがいる」  神父は、突然現れた傷だらけの騎士たちと、さっき別れたばかりの庭師を代わる代わる、忙しなく視線を動かして見て、それから普段着のような体面をするりと羽織った。深刻そうに頷き、それから騎士たちを安心させるようにほほ笑む。「騎士の皆様、もう安全です。すぐに治癒師を呼びます。食堂がいいでしょう、治療は厨房で行います。おい」 目線でディーンは呼びかけられ、あわてて神父のひざ元に跪いて彼の唇を読むふりをする。  「治癒師を、起こして、食堂に、連れてきなさい。わかったか?」  ディーンは三回頷いて、立ち上がると治癒師のいる棟へ駆け出す。  「ご親切に感謝する」 男のやわらかい礼が聞こえる。「……彼はディーンという名なのか? あとでもう一度会いたい、ずいぶんと怖がらせてしまったのに、我々の窮状を理解して中へ案内してくれた……」  ディーンはその声を立ち止まって聞いていたかったが、”聞こえない”のに盗み聞きなどできるはずがなかった。
 明け方にルーファスは熱を出し、治癒師は回復まで数日はかかるだろうといった。サムは騎士たちと目を合わせた。今はまだ、森の深いところにあるこの修道院には何の知らせも来ていないようだが、いずれは王国から兵士が遣わされ、この当たりで姿を消した騎士たち――”反逆者たち”と呼ばれるかもしれない――がいることを知らされるだろう。俗世から離れているとはいえ修道院には多くの貴族や裕福な商家の息子が、いずれはまた世俗へ戻ることを前提にここで生活している。彼らの耳に王宮での噂が届いていないことはまずあり得なく、彼らがどちらの派閥を支持しているかはサムにはわからない。もっとも王が追っている失踪騎士を庇おうなどという不届きな者が、たくさんいては困るのだった。  出征の命令が罠であったのなら、彼らは尾けられていたはずだった。サムの死体を探しに捜索がしかれるのは間違いない。この修道院もいずれ見つかるだろう。長く留まるのは良策ではない。  かといって昏睡状態のルーファスを担いで森に戻るわけにもいかず、止む無くサムたちはしばらくの滞在を請うことになった。  修道院長のクラウス神父は快く応じてくれたが、用意されたのは厨房の下の地下室で、そこはかとなく歓迎とは真逆の意図を読み取れる程度には不快だった。彼には腹に一物ありそうな感じがした。サムの予感はしばしば王の占い師をも勝るが、騎士たちを不安させるような予感は口には出せなかった。  厨房の火の前で休ませているルーファスと、彼に付き添っているボビーを除く、五人の騎士が地下に立ち尽くし、ひとまず寝られる場所を求めて目をさ迷わせている。探すまでもない狭い空間だった。横になれるのは三人、あとの二人は壁に寄せた空き箱の上で膝を枕に眠るしかないだろう。  「お腹がすいた」 疲れて表情もないチャーリーが言った。「立ったままでもいいから寝たい。でもその前に、生の人参でもいいから食べたいわ」  「僕も同感。もちろんできれば生じゃなくて、熱々のシチューに煮込まれた人参がいいけど」  ガースの言葉に、チャーリーとケビンが深い溜息をついた。  地下室の入口からボビーの声が下りてきた。「おい、今から食べ物がそっちに行くぞ」  まるでパンに足が生えているかのように言い方にサムが階段の上に入口を見上げると、ほっそりした足首が現れた。  足首の持ち主は片手に重ねた平皿の上にゴブレットとワイン瓶を乗せ、革の手袋をはめたもう片方の手には湯気のたつ小鍋を下げて階段を下りてきた。  家畜小屋の隣にいた青年、ディーンだった。神父が彼を使いによこしたのだろう。  「シチューだ!」 ガースが喜びの声を上げた。チャーリーとケビンも控え目な歓声を上げる。みんなの目がおいしそうな匂いを発する小鍋に向かっているのに対し、サムは青年の足首から目が離せないでいた。  彼はなぜ裸足なんだろう。何かの罰か? 神父は修道士や雑用係に体罰を与えるような指導をしているのか? サムは薄暗い地下室にあってほの白く光って見える足首から視線を引きはがし、もっと上に目をやった。まだ夜着のままの薄着、庭でルーファスが引き倒したせいで薄汚れている。細いが力のありそうなしっかりとした肩から腕。まっすぐに伸びた首の上には信じられないほど繊細な美貌が乗っていた。  サムは青年から皿を受け取ってやろうと手を伸ばした。ところがサムが皿に手をかけたとたん、びっくりした彼はバランスを崩して階段を一段踏みそこねた。  転びそうになった彼を、サムは慌てて抱き止めた。耳元に、彼の声にならない悲鳴のような、驚きの吐息を感じる。そうだ、彼は耳が聞こえないのだった。話すことが出来ないのはわかるが、声を出すこともできないとは。  「急に触っちゃだめよ、サム!」 床に落ちた皿を拾いながらチャーリーがいう。「彼は耳が聞こえないんでしょ、彼に見えないところから現れたらびっくりするじゃない」  「ディーンだっけ? いや、救世主だ、なんておいしそうなシチュー、スープか? これで僕らは生き延びられる」 ガースが恭しく小鍋を受け取り、空き箱の上に並べた皿にさっさと盛り付けていく。階段の一番下でサムに抱き止められたままのディーンは、自分の仕事を取られたように見えたのか焦って体をよじったが、サムはどうしてか離しがたくて、すぐには解放してやれなかった。  まったく、どうして裸足なんだ?
 修道士たちが詩を読みながら朝食を終えるのを交代で横になりながら過ごして待ち、穴倉のような地下室から出て騎士たちは食堂で体を伸ばした。一晩中ルーファスの看病をしていたボビーにも休めと命じて、サムが代わりに厨房の隅に居座ることにした。  厨房番の修道士は彼らがまるでそこに居ないかのように振る舞う。サムも彼らの日課を邪魔する意思はないのでただ黙って石窯の火と、マントでくるんだ藁の上に寝かせた熟練の騎士の寝顔を見るだけだ。  ルーファスは気難しく人の好き嫌いが激しい男だが、サムが幼い頃から”ウィンチェスター家”に仕えていた忠臣だ。もし彼がこのまま目覚めなかったら……。自分が王宮でもっとうまく立ち回れていたら、こんなことにはならなかったかもしれない。  若き王の父と――つまり前王とサムの父親が従弟同士だったために、サムにも王位継承権があった。実際、前王が危篤の際には若すぎる王太子を不安視する者たちからサムを王にと推す声も上がった。不穏な声が派閥化する前にサムは自ら継承権を放棄し、領地の大半を王に返還して王宮に留まり一騎士としての振る舞いに徹した。  その無欲さと節制した態度が逆に信奉者を集めることとなり、サムが最も望まないもの――”ウィンチェスター派”の存在が宮殿内に囁かれるようになった。国王派――この場合は年若き王をいいように操ろうとする老練な大臣たちという意味だ――が敵意と警戒心を募らせるのも無理はないとサムが理解するくらいには、噂は公然と囁かれた。何とか火消しに回ったが、疑いを持つ者にとっては、それが有罪の証に見えただろう。  自分のせいで部下たちを失い、また失いつつあるのかと思うと、サムはたまらないむなしさに襲われた。  ペタペタと石の床を踏む足音が聞こえ顔を上げる。ディーンが水差しを持って厨房にやってきた。彼は石窯の横に置かれた桶の中に水を入れる。サムは声もかけずに暗がりから彼の横顔をぼうっと眺めた。声をかけたところで、彼には聞こえないが――  床で寝ているルーファスが呻きながら寝返りを打った。動きに気づいたディーンが彼のほうを見て、その奥にいるサムにも気づいた。  「やあ」 サムは聞こえないとわかりつつ声をかけた。まるきり無駄ではないだろう。神父の唇を読んで指示を受けていたようだから、言葉を知らないわけではないようだ。  彼が自分の唇を読めるように火の前に近づく。  「あー、僕は、サムだ。サム、王国の騎士。サムだ。君はディーン、ディーンだね? そう呼んでいいかい?」  ディーンは目を丸く見開いて頷いた。零れそうなほど大きな目だ。狼を前にしたうさぎみたいに警戒している。  「怖がらないでいい。昨夜はありがとう。乱暴なことをしてすまなかった。怪我はないか?」  強ばった顔で頷かれる。彼は自らの喉を指して話せないことをアピールした。サムは手を上げてわかっていることを示す。  「ごめん――君の仕事の邪魔をするつもりはないんだ。ただ、何か困ってることがあるなら――」 じっと見つめられたまま首を振られる。「――ない?」 今度は頷かれる。「――……そうか、わかった。邪魔をしてごめん」  ディーンは一度瞬きをしてサムを見つめた。彼は本当に美しい青年だった。薄汚れてはいるし、お世辞にも清潔な香りがするとは言い難かったが、王宮でもお目にかかったことのないほど端正な顔立ちをしている。こんな森の奥深くの修道院で雑用係をしているのが信じられないくらいだ。耳と口が不自由なことがその理由に間違いないだろうが、それにしても――。  水差しの水を全て桶に注いでしまうと、ディーンはしばし躊躇った後、サムを指さして、それから自分の胸をさすった。  彼が動くのを眺めるだけでぼうっとしてしまう自分をサムは自覚した。ディーンは何かを伝えたいのだ。もう一度同じ仕草をした。  「君の? 僕の、胸?」 ディーンは、今度は地下に繋がる階段のほうを指さして、その場で転ぶ真似をした。そしてまたサムの胸のあたりを指さす。  理解されてないとわかるとディーンの行動は早かった。彼はルーファスをまたいでサムの前にしゃがみ込み、彼の胸に直接触れた。  サムは戦闘中以外に初めて、自分の心臓の音を聞いた。  ディーンの瞳の色は鮮やかな新緑だった。夜にはわからなかったが、髪の色も暗い金髪だ。厨房に差し込む埃っぽい日差しを浴びてキラキラと輝いている。  呆然と瞳を見つめていると、やっとその目が自分を心配していることに気が付いた。  「……ああ、そっか。僕が骨折してること、君は気づいてるんだね」 ”骨折”という言葉に彼が頷いたので、サムは納得した。さっき階段から落ちかけた彼を抱き止めたから、痛みが悪化していないか心配してくれたのだろう。サムは、彼が理解されるのが困難と知りながら、わざわざその心配を伝えようとしてくれたことに、非常な喜びを感じた。  「大丈夫だよ、自分で包帯を巻いた。よくあることなんだ、小さいころは馬に乗るたびに落馬して骨を折ってた。僕は治りが早いんだ。治るたびに背が伸びる」  少し早口で言ってしまったから、ディーンが読み取ってくれたかはわからなかった。だが照れくさくて笑ったサムにつられるように、ディーンも笑顔になった。  まさに魂を吸い取られるような美しさだった。魔術にかかったように目が逸らせない。完璧な頬の稜線に触れたくなって、サムは思わず手を伸ばした。  厨房の入口で大きな音がした。ボビーが戸にかかっていたモップを倒した音のようだった。  「やれやれ、どこもかしこも、掃除道具と本ばかりだ。一生ここにいても退屈しないぞ」  「ボビー?」  「ああ、水が一杯ほしくてな。ルーファスの調子はどうだ?」  サムが立ち上がる前に、ディーンは驚くほどの素早さで裏戸から出て行ってしまった。
 キラキラしてる。  ディーンは昔からキラキラしたものに弱かった。  木漏れ日を浴びながら一時の昼寝は何物にも得難い喜びだ。太陽は全てを輝かせる。泥だまりの水だってきらめく。生まれたばかりの子ヤギの瞳、朝露に濡れた花と重たげな羽を開く蝶。礼拝堂でかしずいた修道士の手から下がるロザリオ。水差しから桶に水を注ぐときの小気味よい飛沫。  彼はそういったものを愛していた。キラキラしたものを。つまりは美しいもの。彼が持ち得なかったもの。  サムという騎士はディーンが今までに見た何よりも輝いていた。  あまりにもまぶしくて直視しているのが辛くなったほどだ。彼の瞳の色に見入っていたせいで、厨房で大きな音に反応してしまった。幸いサムは音を立てた騎士のほうに目がいってディーンの反応には気づかなかったようだ。  もう一度彼の目を見て彼に触れてみたかったが、近づくのが恐ろしくもあった。
 ディーン何某という男の子がこの世に生を受けたとき、彼は両親にとても祝福された子供だった。彼は美しい子だと言われて育った。親というのは自分の子が世界で一番美しく愛らしいと信じるものだから仕方ない。おかげでディーンは両親が殺され、修道院に引き取られる八つか九つの頃まで、自分が怪物だと知らずに生きてこられた。  修道院長のクラウス神父は親と寄付金を失った彼を憐れみ深く受け入れてくれたが、幼い孤児を見る目に嫌悪感が宿っているのをディーンは見逃さなかった。  「お前は醜い、ディーン。稀に見る醜さだ」と神父は、気の毒だが率直に言わざるを得ないといった。「その幼さでその醜さ、成長すれば見る者が怖気をふるう怪物のごとき醜悪な存在となるだろう。無視できない悪評を招く。もし怪物を飼っていると噂が立てば、修道院の名が傷つき、私と修道士たちは教会を追われるだろう。お前も森に戻るしかなくなる」 しかしと神父は続けた。「拾った怪物が不具となれば話は違う。耳も聞こえなければ口もきけないただの醜い哀れな子供を保護したとなれば、教皇も納得なさるだろう。いいかね、ディーン。お前をそう呼ぶのは今日この日から私だけだ。他の者たちの話に耳を傾けてはいけないし、口を聞いてもいけない。おまえは不具だ。不具でなければ、ここを追い出される。ただの唾棄すべき怪物だ。わかったかね? 本当にわかっているなら、誓いを立てるのだ」  「神様に嘘をつけとおっしゃるのですか?」  まろやかな頬を打たれてディーンは床に這いつくばった。礼拝堂の高窓から差し込む明かりを背負って神父は怒りをあらわにした。  「何という身勝手な物言いだ、すでに悪魔がその身に宿っている! お前の言葉は毒、お前の耳は地獄に通じている! 盗賊どもがお前を見逃したのも、生かしておいたほうが悪が世に蔓延るとわかっていたからに違いない。そんな者を神聖な修道院で養おうとは、愚かな考えだった。今すぐに出ていきなさい」  ディーンは、恐ろしくて泣いてすがった。修道院を追い出されたら行くところがない。森へ放り出されたら一晩のうちに狼の餌食になって死んでしまうだろう。生き延びられたとしても、神父ですら嫌悪するほど醜い自分が、他に受け入れてくれる場所があるはずもない。  ディーンは誓った。何度も誓って神父に許しを請うた。「話しません、聞きません。修道院のみなさまのご迷惑になることは決してしません。お願いです。追い出さないでください」  「お前を信じよう。我が子よ」 打たれた頬をやさしく撫でられ、跪いてディーンを起こした神父に、ディーンは一生返せぬ恩を負った。
 ぼんやりと昔を思い出しながら草をむしっていたディーンの手元に影が落ちた。  「やあ、ディーン……だめだ、こっちを向いてもらってからじゃないと」 後ろでサムがぼやくのが聞こえた。  ディーンは手についた草を払って、振り向いた。太陽は真上にあり、彼は太陽よりも背が高いことがわかって、ディーンはまた草むしりに戻った。  「あの、えっと……。ディーン? ディーン」  正面に回り込まれて、ディーンは仕方なく目線を上げた。屈んだサムはディーンと目が合うと、白い歯をこぼして笑った。  ああ、やっぱりキラキラしてる。  ディーンは困った。
 サムは困っていた。どうにもこの雑用係の庭師が気になって仕方ない。  厨房から風のように消えた彼を追って修道院の中庭を探していると、ネズの木の下で草をむしっている背中を見つけた。話しかけようとして彼が聞こえないことを改めて思い出す。聞こえない相手と会話がしたいと思うなんてどうかしてる。  それなのに気づけば彼の前に腰を下ろして、身振り手振りを交えながら話しかけていた。仕事中のディーンは、あまり興味のない顔と時々サムに向けてくれる。それだけでなぜか心が満たされた。  ネズの実を採って指の中で転がしていると、その実をディーンが取ろうとした。修道院の土地で採れる実は全て神が修道士に恵まれた貴重なもの――それがたとえ一粒の未熟な実でも――だからサムは素直に彼に渡してやればよかった。だがサムは反射的に手をひっこめた。ディーンの反応がみたかったのだ。彼は騎士にからかわれて恥じ入るような男か、それとも立ち向かってくるか? 答えはすぐにわかった。彼は明らかにむっとした顔でサムを見上げ、身を乗り出し手を伸ばしてきた。  サムはさらに後ろに下がり、ディーンは膝で土を蹴って追いすがる。怒りのせいか日差しを長く浴びすぎたせいか――おそらくそのどちらも原因だ――額まで紅潮した顔をまっすぐに向けられて、サムは胸の奥底に歓喜が生まれるのを感じた。  「ハハハ……! ああ……」 するりと言葉がこぼれ出てきた。「ああ、君はなんて美しいんだ!」  ディーンがサムの手を取ったのと、サムがディーンの腕を掴んだのと、どちらが早かったかわからかない。サムはディーンに飛びつかれたと思ったし、ディーンはサムに引き倒されたと思ったかもしれない。どっちにしろ、結果的に彼らはネズの根のくぼみに入ってキスをした。  長いキスをした。サムはディーンの髪の中に手を入れた。やわらかい髪は土のにおいがした。彼の唾液はみずみずしい草の味がした。耳を指で挟んで引っ張ると、ん、ん、と喉を鳴らす音が聞こえた。とても小さな音だったが初めて聞いた彼の”声”だった。もっと聞きたくて、サムは色んなところを触った。耳、うなじ、肩、胸、直接肌に触れたくて、腹に手を伸ばしたところでディーンが抵抗した。  初めは抵抗だとわからなかった。嫌なことは嫌と言ってくれる相手としか寝たことがなかったからだ。ところが強く手首を掴まれて我に返った。  「ごめん!」 サムは慌てて手を離した。「ご、ごめん、本当にごめん! こんなこと……こんなことするべきじゃなかった。僕は……だめだ、どうかしてる」 額を抱えてネズの根に尻を押し付け、できるだけディーンから離れようとした。「僕はどうかしてる。いつもはもっと……何というか……こんなにがっついてなくて、それに君は男で修道院に住んでるし――ま、まあ、そういう問題じゃないけど――ディーン――本当にごめん――ディーン?」  ディーンは泣いていた。静かに一筋の涙を頬に流してサムを見ていた。  「待って!」  またも彼の身の軽さを証明する動きを見届けることになった。納屋のほうに走っていく彼の姿を、今度はとても追う気にはなれなかった。
 夜、クラウス神父の部屋でディーンは跪いていた。  「神父様、私は罪を犯しました。二日ぶりの告解です」  「続けて」  「私は罪を犯しました……」 ディーンはごくりとつばを飲み込んだ。「私は、自らの毒で、ある人を……ある人を、侵してしまったかもしれません」  暖炉の前に置かれたイスに座り、本を読んでいた神父は、鼻にかけていた眼鏡を外してディーンを見た。  「それは由々しきことだ、ディーン。お前の毒はとても強い。いったい誰を毒に侵したのだ。修道士か?」  「いいえ、騎士です」  「騎士! 昨日ここに侵入してきたばかりの、あの狼藉者どものことか? ディーン、おお、ディーン。お前の中の悪魔はいつになったら消えるのだろう」 神父は叩きつけるように本を閉じ、立ち上がった。「新顔とくれば誘惑せずにはおれないのか? どうやって、毒を仕込んだ。どの騎士だ」  「一番背のたかい騎士です。クラウス神父。彼の唇を吸いました。その時、もしかしたら声を出してしまったかもしれません。ほんの少しですが、とても近くにいたので聞こえたかもしれません」  「なんてことだ」  「あと、彼の上に乗ったときに胸を強く圧迫してしまったように思います。骨折がひどくなっていなければいいのですが、あとで治癒師にみてもらうことはできますか?」  「ディーン……」 神父は長い溜息をついた。「ディーン。お前の悪魔は強くなっている。聖餐のワインを飲ませても、毒を薄めることはできなかった。お前と唯一こうして言葉を交わし、お前の毒を一身に受けている私の体はもうボロボロだ」  「そんな」  「これ以上ひどくなれば、告解を聞くことも困難になるかもしれない」  ディーンはうろたえた。「神父様が許しを与えて下さらなければおれは……本物の怪物になってしまいます」  「そうだ。だから私は耐えているのだ。だが今日はこれが限界だ。日に日にお前の毒は強くなっていくからな」 神父はローブを脱いで寝台に横たわった。「頼む、やってくれ、ディーン」  ディーンは頷いて寝台に片膝を乗せると、神父の下衣を下ろして屈み込んだ。現れたペニスを手にとって丁寧に舐め始める。  「私の中からお前の毒を吸い取り、全て飲み込むのだ。一滴でも零せば修道院に毒が広がってしまう。お前のためにもそれは防がなくてはならない」  「はい、神父様」  「黙りなさい! 黙って、もっと強く吸うんだ!」 神父は厳しく叱責したが、不出来な子に向けて優しくアドバイスをくれた。「口の中に、全部入れてしまったほうがいい。強く全体を頬の内側でこすりながら吸ったほうが、毒が出てくるのも早いだろう」  心の中でだけ頷いて、ディーンはいわれた通り吸い続けた。もう何度もやっていることなのに、一度としてうまくやれたことがない。いつも最後には、神父の手を煩わせてしまう。彼は自分のために毒で苦しんでいるのにだ。  今回も毒が出る前に疲れて吸う力が弱まってしまい、神父に手伝ってもらうことになった。  「歯を立てたら地獄行きだからな。お前を地獄に堕としたくはない」 神父は忠告してから、両手でディーンの頭を抱えて上下にゆすった。昨夜はワインを飲んだあとにこれをやったからしばらく目眩が治まらなかった。今日はしらふだし、神父がこうやって手を借してくれるとすぐに終わるのでディーンはほっとした。  硬く張りつめたペニスから熱い液体が出てきた。ディーンは舌を使って慎重に喉の奥に送り、飲み込んでいった。飲み込むときにどうしても少し声が出てしまうが、神父がそれを咎めたことはなかった。ディーンが努力して抑えているのを知っているのだろう。  注意深く全て飲み込んで、それでも以前、もう出ないと思って口を離した瞬間に吹き出てきたことがあったので、もう一度根本から絞るように吸っていき、本当に終わったと確信してからペニスを解放した。神父の体は汗ばんでいて、四肢はぐったりと投げ出されていた。  ディーンはテーブルに置かれた水差しの水を自分の上着にしみこませ、神父の顔をぬぐった。まどろみから覚めたような穏やかな顔で、神父はディーンを見つめた。  「これで私の毒はお前に戻った。私は救われたが、お前は違う。許しを得るために、また私を毒に侵さねばならない。哀れな醜い我が子よ」  そういって背を向け、神父は眠りに入った。その背中をしばし見つめて、ディーンは今夜彼から与えられなかった神の許しが得られるよう、心の中祈った。
 修道士たちが寝静まった夜、一人の騎士が目を覚ました。  「うーん、とうとう地獄に落ちたか……どうりで犬の腐ったような臭いがするはずだ」  「ルーファス!」 ボビーの声でサムは目を覚ました。地下は狭すぎるが、サムがいなければ全員が横になれるとわかったから厨房の隅で寝ていたのだ。  「ルーファス! このアホンダラ、いつまで寝てるつもりだった!」 ボビーが歓喜の声を上げて長い付き合いの騎士を起こしてやっていた。サムはゴブレットに水を注いで彼らのもとへ運んだ。  「サミュエル」   「ルーファス。よく戻ってきた」  皮肉っぽい騎士は眉を上げた。「大げさだな。ちょっと寝てただけだ」 ボビーの手からゴブレットを取り、一口飲んで元気よく咳き込んだあと、周囲を見回す。「それより、ここはどこだ、なんでお前らまで床に寝てる?」  「厨房だよ。他の皆はこの地下で寝てる。修道院長はあまり僕らを歓迎して��ないみたいだ。いきなり殺されないだけマシだけどね」  「なんてこった。のん気にしすぎだ。食糧をいただいてさっさと出発しよう」  「馬鹿言ってないで寝てろ。死にかけたんだぞ」 起き上がろうとするルーファスをボビーが押し戻す。しかしその腕を掴んで傷ついた騎士は強引に起きようとする。  「おい、寝てろって」  「うるさい、腹が減って寝るどころじゃない!」  サムとボビーは顔を見合わせた。
 三人の騎士は食堂に移動した。一本のロウソクを囲んで、鍋に入れっぱなしのシチューをルーファスが食べるのを見守る。  「で、どうする」 まずそうな顔でルーファスはいう。もっともルーファスは何を食べてもこういう顔だから別にシチューが腐っているわけではない。例外が強い酒を飲む時くらいで、一度密造酒を売って儲けていた商売上手な盗賊団を摘発した時には大喜びだった(酒類は国庫に押収されると知ってからも喜んでいたからサムは心配だった)。  修道院にある酒といえば聖体のワインくらいだろう。ブドウ園を持っている裕福な修道院もあるが、この清貧を絵にしたような辺境の修道院ではワインは貴重品のはずだ。ルーファスが酒に手を出せない環境でよかった。しかし――サムは思い出した。そんな貴重なワインの匂いを、あのみすぼらしい身なりの、納屋で寝ている青年は纏わせていたのだった。  「どうするって?」  ボビーが聞き返す。ルーファスは舌打ちしそうな顔になってスプーンを振った。「これからどこへ行くかってことだよ! 王都に戻って裏切者だか敗走者だかの烙印を押されて処刑されるのはごめんだぜ」  「おい、ルーファス!」  「いいんだ、ボビー。はっきりさせなきゃならないことだ」 サムはロウソクの火を見つめながらいった。「誤魔化してもしょうがない。我々は罠にかけられた。仕掛けたのは王だ。もう王都には戻れない――戻れば僕だけでなく、全員が殺される」  「もとからお前さんの居ない所で生き延びようとは思っていないさ。だが俺とルーファスはともかく……」  「若くて将来有望で王都に恋人がいる私でも同じように思ってるわよ」 チャーリーが食堂に来た。ルーファスの隣に座って平皿に移したシチューを覗き込む。「それおいしい?」  「土まみれのカブよりはな」  「なあ、今の話だが、俺はこう思ってる」 ボビーがいった。「この状況になって初めて言えることだが、王国は腐ってる。王に信念がないせいだ。私欲にまみれた大臣どもが好き放題している。民は仕える主を選べないが、俺たちは違う。もとから誰に忠義を尽くすべきか知っている。もう選んでいる。もうすでに、自分の望む王の下にいる」  「その話、なんだか素敵に聞こえる。続けて」 チャーリーがいう。  「いや、まったく素敵じゃない。むしろ危険だ」 サムはいったが、彼の言葉を取り合う者はいなかった。  ゴブレットの水を飲み干してルーファスが頷いた。「サムを王にするって? それはいい。そうしよう。四年前にあの棒みたいなガキに冠を乗せる前にそうしとけばよかったんだ。野生馬を捕まえて藁で編んだ鞍に乗り、折れた剣を振りかざして、七人の騎士で玉座を奪還する!」 そしてまた顔をしかめながらシチューを食べ始める。「俺はそれでもいいよ。少なくとも戦って死ねる」  ボビーがうなった。「これは死ぬ話じゃない。最後まで聞け、ルーファス」  「そうよ、死ぬのは怖くないけど賢く生きたっていい」 チャーリーが細い指でテーブルを叩く。「ねえ、私に案がある。ここの修道院長に相談するのよ。彼から教皇に仲裁を頼んでもらうの。時間を稼いで仲間を集める。探せば腐った大臣の中にもまだウジ虫が沸いてないヤツもいるかもしれない。血を流さなくても王を変える手はある。アダムだって冠の重さから解放されさえすればいい子に戻るわよ」  「それよりウィンチェスター領に戻ってしばらく潜伏すべきだ。あそこの領民は王よりもサムに従う。俺たちを王兵に差し出したりしない」  「だから、それからどうするのかって話よ。潜伏もいいけど結局王と対決するしかないじゃない、このまま森で朽ち果てるか北の隣国に情報を売って保護してもらって本物の売国奴になる他には!」  「ちょっと落ち着け、二人とも。修道士たちが起きてくる。それから僕の計画も聞け」  「ろくな計画じゃない」  「ルーファス! ぼやくな」  「そうよルーファス、死にかけたくせに。黙ってさっさと食べなさいよ」  サムはため息を吐きそうになるのを堪えて皆に宣言した。「王都には僕一人で行く」  「ほらな」とスプーンを放ってルーファスが特大のため息を吐いた。「ろくな計画じゃない」
 行商売りの見習い少年と仲良くなったことがあった。同年代の子と遊ぶのは初めてだったから嬉しくて、ディーンは思わず自分の秘密をもらしてしまった。自分の口で見の上を語る彼に、少年はそんなのはおかしいといった。  「君は神父に騙されているんだよ。君は醜くなんかない、夏の蝶の羽のように美しいよ」  「神様の家で嘘をついちゃいけないよ」  「嘘なんかじゃない。ホントにホントだよ。僕は師匠について色んな場所へ行くけれど、どんなお貴族様の家でだって君みたいな綺麗な人を見たことがないよ」  ディーンは嬉しかった。少年の優しさに感謝した。次の日の朝、出発するはずの行商売りが見習いがいなくなったと騒ぎ出し、修道士たちが探すと、裏の枯れ井戸の底で見つかった。  井戸は淵が朽ちていて、遺体を引き上げることもできなかった。神父は木の板で封印をした。ひと夏の友人は永遠に枯れ井戸の中に閉じ込められた。  修道院は巨大な棺桶だ。  ディーンは二度と友人を作らなかった。
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ジェイ・ローチ監督『オールザウェイ JFKを継いだ男』 (その1:ケネディ暗殺から1994年公民権法成立まで) 原題:All The Way 制作:HBO Films, アメリカ, 2016. いまから56年前の1964年7月、アメリカ国内で人種差別を禁止する公民権法が制定された。独立宣言で「すべての人間は平等」とうたいながらも、いまなお激しい人種差別がつづくアメリカにとって、人種差別を法律で禁じた公民権法の存在は特別な意味を持っている。 映画『オールザウェイ』は、「昇格」大統領と言われたリンドン・ジョンソンが、公民権法制定の大義のもと、大統領の座を勝ち取るまでの政治闘争の内幕を描いた伝記である。アメリカの歴史に深く刻まれる公民権法はどのように成立したのか、本作はその真実を伝える貴重な映像資料と言えそうだ。本稿では史実を参考に、映画がどのように当時の実態を描いているかを辿った。 なお、今回取り上げる『オールザウェイ』はHBO films制作の劇場未公開のもので、ロブ・ライナー監督の『LBJ ケネディの意志を継いだ男』とは別物である。アマゾンのPrime videoで観ることができる。主演のリンドン・ジョンソンをブライアン・クランストンが素晴らしい演技で熱演している。
CONTENTS その1:ケネディ暗殺から1964年公民権法成立まで
昇格した大統領が抱いた大志
ジョンソンが公民権法成立を目指した背景
法案通過の鍵となった投票権
議事妨害に対抗するジョンソン
ジョンソンが行った「特別な接待」
映画には描かれなかった上院通過の様子
取り下げられた投票権の行方
その2:民主党全国大会から大統領選挙まで
大統領選挙に立ち塞がる二つの難題
公民権活動家殺害事件が生んだ新党
寝室で行われた民主党全国大会の舞台裏
大統領選を有利にしたジョンソンのメディア戦略
悲劇を招いた北ベトナム空爆
圧倒的な勝利となった大統領選挙
プライバシーに見るジョンソンの現実主義と映画のスタンス
映画『オールザウェイ』を振り返って
昇格した大統領が抱いた大志 この映画は、第36代大統領リンドン・ベインズ・ジョンソンがアメリカ大統領に就任してからの、およそ一年間の出来事を描いている。中心となる話題は、公民権法の成立とジョンソンが自らの実力で大統領の座に着くまでの二つの過程である。 映画は、凶弾に倒れたケネディ大統領の血痕が残るリンカーン・コンチネンタルの描写からはじまる。事件は1963年11月22日、テキサス州ダラスで起きた。凶弾はケネディの頭部を貫通、大統領は即死だった。こうして、副大統領だったリンドン・ジョンソンが大統領の座に着き、ケネディの政策を引き継ぐことになる。 「昇格大統領、それが肩書きだ」というジョンソンに、妻のバード・ジョンソン1)が「そうね。でも来年の11月に変えましょう」と励ます場面がある。ジョンソンにとって大統領就任は、実力で大統領になるための戦いのはじまりでもあった。 ジョンソンは就任演説の際、その日がリンカンが奴隷解放宣言を出してちょうど100年目にあたることを念頭に、上下両院合同会議で次のように宣言する。
ジョン・F・ケネディの遺志であった公民権法の実現に向け、歩みを継続しましょう。100年以上にもおよぶ議論をさらに進め、前大統領が提出した公民権法に新たな章を付け加える時です。人種によるいかなる差別も、我が国から排除しようではありませんか。
演説でキング牧師が実現を訴えた公民権法は、ケネディ大統領によって法案作成が指示され、すでに議会で審議が行われていた。ジョンソンはその遺志を引き継ぎ、より確かな公民権法を制定しようと呼びかけたのである。
この演説にひときわに大きな期待を寄せる者がいた。マーティン・L・キング・ジュニア牧師である。キング牧師はちょうど三ヶ月前、「仕事と自由のためのワシントン行進」で演説を行ったばかりだった。「私には夢がある」と題された演説2) の反響は大きく、名演説として歴史に刻まれただけでなく、その後の公民権運動の支えとなった。映画には、そのキング牧師がジョンソンの考えに深く共感する様子が描かれている。 一方、ジョンソンの演説に万雷の拍手が鳴り響くなか、憮然とした表情の議員たちもいた。ジョンソンが師と仰ぐ南部出身のリチャード・ラッセル上院議員3) もその一人だ。ラッセルはかねてから人種差別主義と隔離政策を支持しており、公民権運動反対の陣頭指揮をとってきた。彼にとって朋友ジョンソンの考えは受け入れがたいものだった。ラッセルはその後、リベラルな姿勢を強めるジョンソンと対立を深めていく。 こうしてジョンソンは大統領就任と同時に、公民権法の制定を胸に民主党内部の右派議員の説得にあたり、さらには黒人層に気を配りながら自力で大統領の座に着くという、複雑で難しい道を歩みはじめることになる。次の大統領選までに残された猶予は1年間だった。 ジョンソンが公民権法成立を目指した背景 就任演説の翌日、黒人を読者層とする新聞が「2000万人の黒人が安堵した」と伝えるなか、あれは選挙対策の口上だろうとジョンソンの本心に期待する議員も多くいた。古参議員ラッセルも最初はそうだった。映画には、ジョンソンに疑問をぶつける右派議員を相手にラッセルが、「合衆国憲法の重大な危機だ。しかし彼にも事情がある。時がくれば公民権法を骨抜きにするはずだ。」と説得する様子が描かれている。ラッセルはラッセルで、南部出身の大統領を議会掌握に利用するねらいがあった。
共和党ではすでに、バリー・ゴールドウォーター上院議員が大統領候補者の指名を受けていた。彼は小さな政府と強硬な反共路線を打ち出していた。一方、大統領が交代したばかりの民主党には大統領候補を選ぶだけの余裕はなかった。「ゴールドウォーターなら楽勝ですよ」という上院議員のヒューバート・ハンフリーにジョンソンは、「手強いぞ。だが、自分が党候補になるのが先だな」と応じている。 翌年11月にジョンソンが大統領になるには、まず党の候補者指名を受ける必要がある。ケネディの弟、ロバート・ケネディが立候補する可能性もあった。ラッセルはそうなれば党内分裂だという。一方、ケネディが残した公民権法案は重荷になる。あるいはジョンソンは、大統領の権限で法案の審議を先延ばしにすることができたのかもしれない。しかし彼は、ケネディが死亡してすぐに法案と向き合うことを決意する。それは選挙戦を勝ち抜くための手段というより、大統領としての大義であり、困難をバネに選挙戦を乗り切ろうとする闘志の現れだっただろう。 ジョンソンのこの判断の背景には、公民権闘争の高まりがあった。その抗し難い機運がジョンソンに、公民権法の成立に掛ける決意をもたらした。映画のなかで彼は、「罪を犯してきた南部を救えるのは、南部出身の大統領だけだ」と心情を吐露している。しかしこれは、共和党の攻撃材料になるばかりか、下手をすれば党内右派との分断を招きかねない諸刃の剣だった。ジョンソンはラッセルから、リベラルの連中を付け上がらせるなと忠告を受けている。 法案通過の鍵となった投票権 ジョンソンに託された公民権法案は、1960年ごろケネディによって構想された。具体的には、「投票権の保護、行政的な対応、南部白人票の確保」を盛り込んだものだ。白人票の確保にケネディの政治姿勢が現れているが、投票権の保護は当時から人種差別対策の重要な柱だった。4) しかし黒人の投票権は、南部の保守的な人々には受け入れがたい、非常にリベラルな考え方だった。それだけに、このまま法案を通そうとすれば共和党からはもちろん、民主党内の反発も強くなる可能性があった。このころジョンソンは、「通らないような法案を全力で推進することは自分の政治的立場に大きな打撃を与える」5) と恐れていたという。 そこでジョンソンは、法案から投票権を除外することを考える。映画では、就任演説の翌日に行われたキング牧師との電話のやりとりに、その腹の内が描かれている。彼は投票権の重要性を訴えるキング牧師に「まさか私に説教かね」と疎ましがる。そして、H.R.1752(法案第7152号)と題された条文冊子から、投票権が記されたページを引きちぎるジョンソンの姿が描かれている。 投票権の除外というジョンソンの提案は、キング牧師には受け入れがたいものだった。側近のハンフリーも投票権を外そうとするジョンソンに、リベラル派も裏切りだと受け止めるだろうと反対する。しかし、ジョンソンは「お前が説得しろ。リベラル派の代表だろう」とハンフリーに詰め寄り、さらには副大統領候補の甘言を浴びせる。 ジョンソンはキング牧師に、「黒人を貧困から救う必要がある、保険や教育にも取り組みたい、この国を根本から変えたい、法案成立後には必ず投票権条項を追加する」と熱心に語りかける。それにたいしキング牧師は、「わたしは仲間に約束する必要がある。実現しなければ暴動も起こりかねない」とほのめかし食い下がる。これに対しジョンソンは、下院で確実に法案を通すためには君の協力が必要だと票の取りまとめを依頼する。結果的にキング牧師はジョンソンの提案を受け入れ、黒人指導者として黒人活動家を説得する協力的な姿が描かれている。 こうしたジョンソンの説得と活動が効いたのだろう。公民権法案は1964年2月、賛成290票、反対130票で下院を通過する。これによりジョンソンは当初の目的を達成するが、保守派のラッセルは落胆する。これまでラッセルに懐柔されてきた右派議員は、「これでもジョンソンを信じろというのか」と詰め寄る。これにたいしラッセルは、上院では議事妨害で食い止めてみせると応じている。一方、キング牧師はかろうじて仲間への体裁を保った格好だ。キング牧師には、選挙戦になればジョンソンは黒人票を欲しがるという読みがあった。 以上が映画に描かれた、公民権法案が下院を通過するまでの様子である。この一連のやりとりには、法案の通過を最優先に、人を選び報いることで自分の思いを達成していくジョンソンの姿が、実に丁重かつリアル描かれている。 議事妨害に対抗するジョンソン 法案の成立に危機感を抱いたラッセルは会見を開く。公民権法案は悪質で過激な憲法侵害に他ならないと訴え、我々有志は上院伝統のフィリバスター(議事妨害のための長時間演説)で戦うと宣言する。これを知ったジョンソンの妻バードは、「ディック(ラッセル)が語る愛国心には説得力があるわ。あなたは何のために闘うのか、国民に話すべきよ。」とジョンソンを鼓舞する。 妻の言葉に動かされたジョンソンは公邸の庭に記者団を集め、ラッセル上院議員の残念な決断に反応を示しておきたいと、小学校の教師だったころの思い出を語りはじめる。
テキサス州コチュラの古びた学校だった。コチュラは荒野の真ん中にある国境の町で、極貧のメキシコ移民であふれていた。教え子はかわいかった。毎日、朝飯抜きだから腹ペコで登校してくる。だが、みんな勉強が大好きなんだ。心が温まった。
しかし、子供たちはやがて変わる。キラキラ輝いていた瞳から光が消えてしまう。嫌われていることに気づくからだ。肌の色のせいで・・・
「慌てるな」と忠告されることもある。「政治生命が危険だ」と。だが私は言いたい。正しいと信ずることを行えないなら、大統領とは何だとね。
ジョンソンはテキサス州の貧しい農家に生まれ、苦学の末に教員養成大学を卒業した経歴を持つ。コチュラでの思い出は、その在学中に一年間休学して行った教員見習いの時のものである。6) こうした体験こそが、彼を公民権法の実現へと突き動かす原点になっている。ジョンソンという人物を考える上で重要なエピソードといえるだろう。 自身の苦しい過去を振り返るジョンソンに、メモを取る手を止めて話に聞き入る記者たちの姿があった。ジョンソンが打ち出すこうした親密で率直なメッセージは新聞に掲載され、人々の心を打ち、公民権法の善良なイメージを伝える広報活動として大きな効果を発揮したと考えられる。 ジョンソンが行った「特別な接待」 そうした努力にもかかわらず、議事妨害がはじまってすでに67日が経過していた。映画は荒び疲れた議場の様子を映し出す。そこではラッセルが、南部には黒人が集中しすぎている、黒人が全米で均等な比率になるように全州に振り分けるべきだ、と前代未聞の提案をしている。他にも、1500 ページのスピーチ原稿を持参した議員もいた7) というから、反対派の抵抗は相当なものだったのだろう。 長期化する議会妨害を利用し、公共施設での差別撤廃条項を骨抜きにしようとする共和党議員も現れる。譲歩しなければ妨害は続くというのだ。しかし、ジョンソンは要求をはねつけ、次のように説得する。
共和党は公民権法に反対するか、人種差別主義者に投票するかだ。われわれは歴史を作る、その歴史にどのように名を残すか考えるべきだ。アメリカの流れを変えた偉大な人物となるか、単なるおしゃべり男になるかだ。
コチュラのエピソードもそうだが、こうした会話の端々にジョンソンが人々を説得する巧みさが現れている。彼は自分に言い聞かせる形を取りながら、実際には相手が自分のこととして受け止めるように導いている。主張の正しさを押し付けるのではなく、相手がそう考えるように誘う巧みな話術だ。 そうこうするうちに、議会妨害は69日目に入る。この時点ではジョンソンはまだ劣勢だった。このままでは勝てない。彼は党派を超えて票の獲得に奔走する。あるときは、脳腫瘍で手術のため入院した議員向けに、「意識さえあれば投票はできる」と首席補佐官ウォルター・ジェンキンスにハッパをかけたりもする。さらに、法案通過に協力すると見た者には、大統領章が記された自分のカフスボタンを「世界にひとつしかないものだ」と言いながら押し付けたりする。 ジョンソンは別の場面で票の取りまとめについて、「大勢の女性を誘うようなものだ。遊ばないかと声をかけるといったんは断られる。ビンタを食らうこともある。しかし、大抵はイエスなんだ」と述べている。ジョンソンは、女性に声を掛けるの���同じ思いで、多くの議員を法案賛成へと引き込んだのだろう。映画のなかでジョンソンが「またカフスを頼む」と側近に伝える場面がある。彼はいったい、カフスボタンを幾つ作らせたのだろうか。 こうしたジョンソンの姿は、周りの人々に驚きをもたらしたようだ。ジョンソンのもとでホワイトハウス特別研究員を務めた歴史家のドリス・カーンズ・グッドウィンは、そうしたジョンソン特有のやり方を「特別な接待」と呼ぶようになったという。7) 熱心に説得を繰り返す彼のこうした姿勢はやがて、労働、宗教、公民権団体など、多くの団体のロビー活動に力を与えていく。 映画には描かれなかった上院通過の様子 議会妨害は74日目を迎え、法案はついに討論終結決議に持ち込まれる。映画にはこの最終局面の様子は描かれていない。しかし、本田創造氏の『アメリカ黒人の歴史 新版』8) によれば、この日の状況は次のようなものだった。
結局は討論打ち切り動議を採択するといった異例の白熱した審議をへて、6月19日──この日は、奇しくもケネディ大統領が政府原案を議会に提出してから、ちょうど満一年目にあたる──ついに賛成73票、反対27票で上院も通過し、それから十数日後の7月2日、ジョンソン大統領の署名を得て正式に連邦の法律として成立した。上院における反対27票は、その年の11月の大統領選挙で、共和党候補となって民主党候補のジョンソンに惨敗した、超保守主義者のバリー・ゴールドウォーターをはじめとする共和党議員6名と、南部民主党議員21名が投じた票である。(Kindle の位置No.2548-2554).
こうして「1964年公民権法」は苦難のうえ上院を通過する。ジョンソンの懸命の努力が難局を乗り切る原動力だったことは間違いない。まさにジョンソンは彼の信念に従い、アメリカの歴史に名を残す仕事をはたしたのである。 7月2日の法案署名の場面でジョンソンは、キング牧師に署名に使ったペンを贈呈している。一方、署名を前に退室するラッセルは「選挙に影響が出なければいいが」と言い残し、ジョンソンと袂を分つ様子が描かれている。去りゆくラッセルを見送るジョンソンは、「おめでとうございます」と声を掛けるハンフリーに、「私がいる限り南部は民主党を支持しないだろう。法案成立がそんなにめでたいか」とつぶやく。ジョンソンの気持ちはすでに大統領選挙にあった。 取り下げられた投票権の行方 ところで、こうして成立した「1964年公民権法」には別の正式名称がある。それは、「憲法上の投票権を実施し、公共施設における差別にたいする差止救済を与えるため、合衆国地方裁判所に裁判権を付与し、公共機関、公教育における憲法上の権利を保護するため、訴訟を提起する権限を司法長官に授権し、公民権委員会を拡大し、連邦援助計画における差別を防止し、平等雇用機会委員会を設置する等の目的のための法律」というものだ。9) この異様に長い名称を見て奇異に思う人もいるだろう。長すぎる名称のことではない。投票権の実施がうたわれているからである。ジョンソンは法案の成立を優先し、キング牧師に投票権の放棄を提案していた。この食い違いの詳細はWikipediaの「投票権法(1965年)」の記述で知ることができる。そこには、例えば次のように書いてある。
同法(1964年公民権法)には投票権の保護も幾つか入っている。登録官は、各投票者に書くことの識字試験を平等に管理することと、小さな誤りのある申請書を受領するように求めている。また6年生の教育を受けた者なら十分に投票できるだけの識字能力があるという「反証を許す推定」を創造した。��かし、公民権運動指導者からのロビー活動があったにも拘わらず、この法は投票時の差別の大半の形態を禁じることはなかった。10)
ジョンソンが1964年7月2日に署名した公民権法には、確かに投票権の保護が定められている。しかし、法案を通すことを優先し修正が加えられたことで、投票の際の差別を完全には排除できない不十分なものになっていたのである。しかしジョンソンは、前述のようにキング牧師との交渉のなかで「公民権法の成立後には必ず投票権条項を追加する」と述べている。はたしてこれは、法案の成立後履行されたのだろうか。 映画にはこの約束がどうなったかの具体的な描写はない。しかし、エンドロールに次の説明が加えられている。
(1964年11月の大統領選挙でジョンソンが当選した)翌年ジョンソンはキング牧師らと協力し、投票権法を制定。さらに「偉大な社会」を提唱し、福祉・教育・雇用などの分野で抜本的な改革を行った。
このとき制定された投票権法は「投票権法(1965年)」と記されるように、1965年8月6日にジョンソンの署名により法制化された。実はこの署名の際にもジョンソンは、国民に向けた次のようなメッセージを発している。11)
米国の文明の主流をなす基本的事実は、(中略)自由と正義と人間の尊厳はわたしたちにとって単なる言葉ではない、ということである。わたしたちはそうした概念を強く信じている。大きな発展や混乱、そして豊かさを体験しながらも、わたしたちはそれを信じている。従って、わたしたちの中に抑圧された人々がいる限り、わたしたちはその抑圧に加担しているのであり、それはわたしたちの信念を弱め、気高い目的の力を弱めるものである。
それ故に、これは米国のニグロの自由の勝利であるだけでなく、米国の国民の自由の勝利でもある。そして、皆さんが可決し、今日わたしが署名をするこの法律によって、探求を続けるこの偉大な国家に住むすべての家庭が、さらに力強く自由の中で暮らし、さらに素晴らしい希望を持ち、米国民であることをさらに誇りとすることができる。
こうして、法案の通過を優先して投票権が除外もしくは骨抜きにされた1964年の公民権法は、ジョンソンが約束した通り法案通過からおよそ1年後に正しく履行されたのである。これにより1964年の公民権法では限定的だった黒人の投票権の確保が拡大された。その効果は下記のように、まことに劇的なものだった。12)
1965 年末までに、深南部5州だけで新たに 16 万人のアフリカ系米国人が有権者登録をした。そして 2000 年までには、アフリカ系米国人の有権者登録率は、白人に比べわずか2%低いだけとなった。1965 年には、南部では連邦議会または州議会議員に選出されたアフリカ系米国人は2人にすぎなかったが、今日ではその数が 160 人に達している。
(その2へつづく)
(その1:ケネディ暗殺から1994年公民権法成立まで)
(その2:民主党全国大会から大統領選挙まで)
引用文献 1) バードは通称。本名はクローディア・アルタ・テーラー・ジョンソン。 Wikipedia「レディ・バード・ジョンソン」 https://bit.ly/2Z90Ekb 2) マーティン・L・キング・ジュニア「私には夢がある」American Center Japan, 米国国務省出版物, 1963. https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2368/ 3) Wikipedia「リチャード・ラッセル・ジュニア」 https://bit.ly/2QTRp2Z 4) 安東次男「ケネディと1963年公民権法案」立命館国際研究, 14-3, 2001.11. http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/assets/file/journal/14-3_02ando.pdf 5) 安東次男「1964 年公民権法と大統領政治」立命館国際研究, 13-3, 2001.3. http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/assets/file/journal/13-3_13ando.pdf 6) Wikipedia 「リンドン・ジョンソン」 https://bit.ly/2Dg4Map 7) アメリカンセンター Japan「ついに我らに自由を 米国の公民権運動」 https://americancenterjapan.com/wp/wp-content/uploads/2015/11/wwwf-pub-freeatlast.pdf 8) 本田創造『アメリカ黒人の歴史 新版』岩波書店, 1991. 9) 本田創造, 上掲書, Kindle の位置No.2554-2558. 10) Wikipediaの「投票権法(1965年)」 https://bit.ly/2EGUxwF 11) アメリカンセンター Japan「ついに我らに自由を 米国の公民権運動」p.61. https://bit.ly/3h2L1Rr 12) アメリカンセンター Japan, 上掲資料, p.61. https://bit.ly/3h2L1Rr
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skf14 · 4 years
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06090046
あるところに、それはそれは醜い姫がおりました。顔には幾つもの爛れた火傷の痕があり、目や耳は聞こえていましたが、人間が一目見ればバケモノ!と声を上げ逃げてしまいそうな、そんな顔でした。醜い姫は国の外れ、森の中で、真っ黒な面を被った魔術師の男と二人、暮らしていました。
姫は、街に住むことは出来ません。危ない場所だから行けない、と男に言われ、姫は素直に森の中、何もない狭い小屋で、野生の動物や花と戯れながら、日々を過ごしていました。
姫と男が住む国は、気弱な王と、それはそれは美しい王女が納めている国でした。元は普通の国だったその場所は、王女によって段々と変わっていきました。
彼女は王に成り代わって国の仕組みを変え、美しさこそが全てである、という法律をもとに、国を作り替えました。
美しの国、と呼ばれたその国は、6歳になった日、見た目の美しさで、社会的な地位が決められます。
その地位は、一生変わりません。見た目がとても美しくなって、上にのぼっていく人も稀にいましたが、皆、醜いものは醜いものに与えられた貧民街で泥水を必死に啜り、美しいものは美しい場所で美しい景色を見ながら、贅沢な暮らしをする、世界が光と影に真っ二つ。そんな国でした。
「相変わらず、あの国は醜いな。」
「あら、新聞を読んでいるの?」
「あぁ。天気が知りたくてね。もうじき雨季が来る。今日は林檎を見に行こうか。」
「やったぁ!行く行く!」
姫には、幼い頃の記憶がありませんでした。自分が誰から産まれ、なぜこんな顔になり、この一見不気味な男と暮らしているのか、全く分かりません。男に聞いても、「森で拾った。」としか言われなかった姫は、時々男が持って帰ってくる新聞や本、そしてさまざまな森の植物、動物を見ながら、色んな知識を付けました。
魔術師の男も、姫の前で面白い実験をしてみたり、野生動物を捕まえて捌いてみたり、常に好奇心を満たしてやろうと楽しいものをたくさん見せました。
姫は、側から見た自分の顔がとても醜く、国では酷い目に遭うことを知っていました。美しいものこそ全て、という価値観に染まりきった国の人間とは違い、姫の顔を気にせず、ただ何事もないように過ごしてくれる男は、姫にとって、かけがえのない人でした。
男は、姫と出会ってから一度も、仮面を外したことがありません。真っ黒なカラスのような嘴のついた仮面を被り、眼の部分も暗くてよく見えません。
でも、姫は、例え、その仮面の下を一度も見たことがなくても、男のことが大好きでした。
「魔術なんてものはね、本当は無いんだよ。全部、科学で説明ができるんだ。」
「科学?」
「そう。皆は知らないが、病気だとか、飢饉なんかも全て、科学で解決するんだよ。」
「それって素敵!よく分からない迷信とか、思い込みに縛られているなんて、馬鹿みたいよ。」
「君は賢いな。さ、早く眠ろう。明日は16歳の誕生日だろう?収穫をして、君の大好物を作ってあげよう。」
「本当!?楽しみ、早く寝なくっちゃ!」
その日の夜、男は、小屋の外の気配に気付いてゆっくりと起き上がりました。隣のベッドでは、気持ちよさそうに寝息を立てる姫がいます。
男がナイフを手に玄関を開け、人影目掛けてナイフを突きつけると、そこには、ガタイのいい男が一人立っていました。
「なんだ、アンタか。」
「物騒なお出迎えだな。久しぶり。」
「姫はもう寝てる。外で話そう。」
仮面を外した男が、訪ねてきた男からタバコを貰い、肺に深く煙を吸い込んで口からぼわり、と吐き出しました。夜の闇に、薄ら白い煙が燻り、溶けていきます。
「誕生日だから、様子を見に来たのか。」
「あぁ。あれから10年経ったんだな。」
「立派に育ったよ。昔から変わらず、綺麗な人だ。」
「...そう、だな。」
「用はそれだけか?」
「いや、これを、姫に。と思って。」
「...生花のブローチか。は、クリスマスローズを選ぶなんて、趣味が悪い。」
「そう責めないでくれ。俺はあの日からずっと、姫を忘れず想って生きてきたんだ。」
「まあ、そのおかげで今ここに姫がいるんだ。責めやしないよ。」
「じゃあ、俺はもう城に戻るよ。夜明け前には戻っておかないと。」
「待て、これ持ってけ。」
「...変わらないな、お前も。ありがとう。帰りがてら食べるよ。」
ガタイのいい男は、渡された包みを懐に入れ、後ろ手で手を振りながら夜の闇の中へ消えていきました。仮面の男は仮面とブローチを抱えたまま、満天の星が浮かぶ空をぼーっと眺めていました。星の光が瞬いて、時折地面へ落ちてきて、木に実った沢山の果実を照らしました。
姫は、美味しそうなパンの焼ける匂いで目が覚めました。溶けたバターと、蜂蜜とミルクの匂い。飛び起きてキッチンに行けば、エプロン姿の仮面の男が姫を抱きとめ、「おはよう。」と言いました。
「おはよう。今日の天気は?」
「快晴さ。魔法の力でね。」
「ふふ、昨日は夕焼けが綺麗だった。だから晴れたんでしょ?」
「バレてたか。さぁ、ペテン師特製の朝食ですよ。席について。」
「はぁい。」
「「いただきます。」」
姫は手に持ったカゴへ、もぎ取った林檎を一つ入れました。もう5個、6個ほど入ったそのカゴはずしりと重たく、姫の目にキラキラと輝く群青が写ります。
「今年も綺麗に実ったね!」
「あぁ、10年目ともなると安定するね。出来がいい。」
「はぁ、早くおじさんのアレが食べたいわ。」
「支度はしてあるよ。林檎を小屋へ運んでくれるかな。」
「はぁい!」
普通の林檎は火よりも濃くて、血のように赤いものだと、食べたことがなくとも本で読んで姫は知っていました。ただ、男の育てる林檎はどれも群青色。一眼見ただけではくさっている、と思わなくもない毒々しい色をしていました。でも、勿論毒などありません。姫は毎年、この林檎を、男の一番得意な料理で食べているからです。
「出来るまで眠っているかい?」
「ううん、見てたいの。だって今日は、私の誕生日だもの。」
「分かったよ。」
しゃく、しゃりと大きめの角切りに切られた林檎。瑞々しいそれよりも、姫はたっぷりの砂糖で煮込まれて、飴色になった林檎の方がずっと美味しそうに見えるのです。そう、姫は男の作るアップルパイが、世界で一番好きでした。
「さ、あとは焼けるのを待つだけ。」
「この待っている時間、狂おしいほど愛おしいわ。」
「こちらへおいで。」
「...なぁに?」
彼らの住む国では、16歳の誕生日は特別なものとして扱われていました。社会的地位が決められてから10年。顔の美しい者たちがそれはそれは盛大に祝う誕生日として、どこかの祭りのように盛大に騒ぐのです。
男は、クローゼットの奥から、大きな箱を取り出しました。姫の目は期待にキラキラと輝いています。埃の被っていないその箱を開け、姫は、嬉しさのあまり悲鳴を上げました。
箱の中にあったのは、純白のウェディングドレスでした。姫が物語の中で何度も見た、幸せなお姫様が王子と結ばれて、そして祝福の中で着るドレス。シンプルで模様も飾りも何もない、上品なデザインでした。
つやつやした生地を恐る恐る触って、手のひら全体で触れて、頬擦りしてみました。気持ちが良いその絹に顔を埋めて、そして、仮面の男を見上げました。姫の目には涙が揺蕩って、今にも溢れそうに膨らんでいます。
「どうした?」
「私、こんな綺麗な服、着ていいのかな。」
「君に着て欲しくて、君のために作ったんだ。」
「でも、私、」
「出会った頃からずっと、君は美しい。生まれてきてくれたことを、祝福したいんだ。それに、私は魔法使いだよ。いくらでも夢を見させてあげられる。騙されたと思って、着てくれないかな。」
「っ、分かった、大好きよ、おじさん。」
男はカメラを取り出して、中にフィルムを入れました。庭に置いた白いテーブルとチェアー。そして、姫の大好きなハーブティーにアップルパイ。外で待つ男の前に、着替えた姫が現れました。
純白のドレスに身を包んだ姫は、男が思わず見惚れてしまうくらい、それはそれは美しい姿をしていました。男は嬉しそうな声色で姫へ色々指示をし、座らせてみたりしゃがませてみたり、色々なポーズで写真を撮りました。
姫は写真が嫌いでした。でも、今日くらいは、綺麗な服を着た姿くらいは、せめて首から下だけでも、思い出として撮っておきたい、そう思って、涙を拭いながらカメラ���向かって笑い続けました。
お腹いっぱいアップルパイを食べた姫は、日が沈む頃にはすっかり眠りに落ちてしまいました。キッチンの机の上には、現像された写真たちが何枚も散らばっています。その写真に写る姫の顔には、爛れた痕も、傷も何もなく、まるで白雪のような肌に、真っ黒で艶めかしい黒髪、熟れた正しい林檎のように赤く色づいた小さな唇、まさしく姫と呼ぶにふさわしい可愛らしい娘が写っていました。
「10年も掛かったよ、ごめん。」
そしてその夜、森に火が放たれました。男は姫を抱え、森の奥、人知れず作っていた岩の洞窟に逃げました。真っ赤な炎が青い林檎の木を包んで、飲み込んでいきます。
姫は震える唇を噛み締めて、その光景をただ見ていました。
「私が、醜いから、森を焼かれたの?」
「違うよ。君は悪くない。」
「おじさんの林檎の木、沢山リンゴが実ってたのに、燃えてしまう。」
「大丈夫だよ。落ち着こう。ゆっくり3数えてごらん。」
「......さん、にぃ、いち、」
数を数え、男のかけた術によって眠った姫を、男はそっと洞窟の奥へと寝かせました。被っていた仮面を外し、彼女へと被せ、洞窟へも術をかけた男は燃え盛る木々を見ては笑い、火のついた木を四方に投げ、むしろ森に広がる火を手助けしました。
「燃えろ燃えろ。これでいい。はは、ははは!」
森は延々と燃え、舞い上がった青銀の灰が風に乗せられ舞い上がって、街の方へと流れていきました。
王女は爪を噛みながら、城の中で怒鳴り散らしていました。10年前に殺したはずの姫が、生きていると鏡に知らされたからでした。
王女はその日も日課を済ませるべく、鏡の間で鏡に話しかけていました。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは?」
『......おぉ、なんということ、この世で一番美しいのは、貴方の娘、白雪姫です。』
「何言ってるのよ、あの子は10年前に死んだわ。」
『いえ、生きています。街の外れ、森の中で自由に暮らしています。』
「なぜ10年もわからなかったの!?」
『強い魔力を感じます。』
「まぁいい、ちょっと!」
そばにいた側近の、ガタイのいい家来を呼びつけた王女は、冷酷な顔で一言、言いました。
「夜の間に火を放ちなさい。」
「お、王女様...しかし、あの森は...」
「焼け野原になれば、醜い者たちに土地を与えて畑にでもすればいい。早く火を。燃やし尽くして更地にして、殺すのよ。」
「......仰せのままに、王女様。」
城に突然の来訪者があったのは、火をつけた次の日の朝でした。王女は、呼んでも誰の姿も見えない城の中を、カツカツと苛立った足音を鳴らしながら歩いていました。
そして自室に戻った王女の前に、全身が黒い男が現れたのです。
「おはようございます、王女様。」
王女は固まりました。その男の、口の端の裂けたような傷痕と、色の違う左右の瞳、そしてその卑しい笑顔、神聖な城になど絶対入れるはずもないアシンメトリーな醜い顔には、嫌と言うほど見覚えがあったからです。
「あぁ、やっぱ覚えてた?そりゃそうか、自分の子供殺させた相手忘れるほどバカじゃねえな、さすがに。」
「何をしにきた。」
「お礼を。」
王女のベッドへ勝手に腰掛け、タバコへ火をつけて吸い出す男。困惑したままの王女を見て、心底楽しそうな笑顔を浮かべた男が、謎解きを始める。
「まずは10年前のお礼。娘の美しさに嫉妬したアンタの目の前で娘の顔に薬品ぶっかけて、その後一旦解放した俺を襲って、死体奪って、こんなご褒美までくれて、どうもありがとう。」
にこにこと上機嫌に笑いながら、男は昔を思い出していました。
鏡によって娘の美しさを知らしめられた王女は、6歳になる頃、呪術師の男に顔が醜くなる呪いをかけさせ、そして失望のあまり娘が自ら命を絶った、と、そういうストーリーを作り上げていたのでした。
勿論手を下した男も、二度と街を歩けないよう顔を傷つけて、トドメを刺させたつもりでした。
「10年前、アンタが娘の死体だと思ったあれは、俺が術をかけた豚の死体だよ。」
「な、そんな...確かに、鏡は死んだと、」
「何のために俺みたいな呪術師がいると思う?アンタみたいな醜い人間の心を騙して、呪うためだよ。ははは。」
高笑いが止まらない男は、ゆっくり瞬きしながら王女に近付き、煙を吐きかける。
「なぁ、王女さんよ。引き連れてるお供はどうした?」
「!!!まさか、それも、お前が...?」
「くく、ははは、あはははは。お前ならあの森を焼くって、分かってたからなぁ。俺は。」
王女は慌てて自室の窓に駆け寄り、バルコニーに出て外を見下ろしました。城の外、普段は美しい者たちが仲睦まじく集っている広場が、夥しい数の倒れ込む人々で埋まっています。
「10年間ずっと呪い続けたんだ。人も、土地も、何もかも、終わり。もうこの国は死んだ。」
「嘘だ、そんなはずは...貴様!」
「足掻くなって。もう、あとアンタが死ぬだけだから。」
男が人差し指を王女に向け、そして、オッドアイを見開き、何か言葉を呟きました。ニヤリ、と歪められた口角が釣り上がり、耳まで繋がった痕が引き攣れました。
ふわり、と浮いた王女が恐怖を顔に浮かべ、そして、男の指の動きと一緒に左右に揺らされ絶叫が城に響きます。
「さようなら。世界で一番醜い、王女様。」
下を向いた人差し指に操られるまま、王女は地面に顔から落ちていきました。男がバルコニーから下を覗けば、恨みがましい顔で見上げている王女がいます。楽しくてしょうがない男は、王女目掛けてバルコニーに置かれていた鉢植えを全て落とし、そしてスッキリした面持ちで城を後にしました。
男の育てていた青い林檎は、呪いの林檎でした。摂取しても、灰を吸い込んでも、育った大地さえ猛毒になる恐ろしいものを、男は森いっぱいに広がるまで育てていたのです。
ただ、男と、そして姫だけは、守りの呪いをかけたアップルパイを食べ続けていたので、この世界でも無事に生きられる。そんな理不尽すら、男は厭わないほど、この国を、人を嫌い、呪っていたのです。
死体の転がる小綺麗な広場を、男が楽しそうにスキップしながらかけていきます。転がる死体の中には、かつて姫と男が逃げるのを手助けした、あのガタイのいい男の姿もありました。
洞窟で丸二日眠っていた姫が目覚めた時、目の前には本の中でしか見たことのない海が広がっていました。今までは緑に囲まれていた姫は、また違う世界の自由を手に入れたのです。
そばに座って姫を見ていた仮面の男は、いつもと変わらない「おはよう。」を姫へと伝え、そのつるりとした頬をなぞりました。
いつもと違う感触に姫が目を見開き、己の顔に触れ、あふれる涙とともに男に抱きつくまで、あと3秒。
めでたし、めでたし。
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tieslog · 4 years
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3月に入ってから御言葉で異性の罪、情の罪についてのお話があったので、なんとなく警戒していたのだけれど、やっぱりというか、案の定というか、異性から告白されるというイベントが発生した。
有料記事を読んでいる方は既にご存知の通り、信仰を持つとサタンが堕落させようと必死で信仰者に恋愛イベントを持ち込み出します。
今までモテと無縁だった人でも謎のモテ状態になる。異性の罪が一番重い罪だとサタンは知っているからです。
異性の罪と聞いて有料記事未読の方は何がなにやらだと思うんですけど、神様と疎通して恋人同士になることが本来人間にとっての「幸せ」というものなんだよという話であり、世の中の男女が上手く行かない原因の根本がこれなのです。
アダムとエバがまだ霊的に成長してないのに身体の関係を持ってしまって、人生が狂った。そして彼らは神様が人類の救いの為に立てた中心者でもあったので、人類の運命も狂った。それを聖書の中では木の実を食べたで表現している。ことを私はRaptさんのブログで初めて知りました。
まあ異性の罪についての詳しい話は有料記事をお読み頂くとして、今回どうやって告白イベントをクラッシュして乗り切ったかを書き出し、分析して、自己反省していこうと思います。
告白されたのはコロナ休校で学校に通わなくてもよくなった休校中でした。
そう。私はつい最近まで通学していました。
その前はアルバイトをしていたのですが(アルバイトする前はポルターガイスト現象に見舞われたりしながら半ば世捨て人というか、ニートみたいな感じで、そもそも社会に参加してなかったんだけど、それは人によっては馴染みのない話だからまたの機会に)、
個性才能を発見したいというか、手に職をつけたほうがいいなとか…
いや本音を言うと、御言葉の中に電気的なことや工学的な話が出てくるから、それを理解できるようになりたいなという理由で学生になることにしたのでした。スマホの中身とか仕組みが分からないし、コンピュータやネットの概念が自分の中でフワッとしていたからです。
私はもともと小さい頃は図鑑を読んだり図工をしたりするのが好きで、小学校では本ばかり読んでいたし(バレエもやってたけど)、中学では美術をやって、高校は霊現象に見舞われてたから中退したけど美術部の先生には入部を誘われていた(寮生で門限とかもあったから入れなかったわけだけど…)所謂どっちかといえば文系人間であった。
でも今回通ったのは理系分野だったので、もう、それはそれは未知の世界だったわけなの��すが、意外や意外、文系は設計などのモノ作りの世界に向いてるっぽい?
いや、単に神様がそう導いてくれただけの可能性のが強い?
入学試験の日に面接があって、面接官をやっていた先生たちが「女の人他にいないけど大丈夫ですか?」って訊いてきたので、「え?女の人だと困る事例が今までにあったのでしょうか?」って訊き返したら、「いやそういう話は特にないです」と返されたので、なんだそれは…どういう意図の会話だったのだ…?と疑問に思いました。
一応卒業生に女の人は何人かいるんだけど、学年飛び飛びで発生するからお互いに写真でしか知らない感じです。
最終学年の夏季休暇より前だったかに会社見学先で会った女性の先輩は、2人きりになった瞬間に「女の人1人だけだと大変ですよね…」って切り出してきたから何かあったんだと思う。
そして先生たちには相談できなかったんだと思う。女の人は、いや人は、「この人に相談したところで解決しない」とわかっている相手に相談したりなどしないからである。この先生たちはあまり頼りにならない存在だとみなされていたんだろうなと思う。
私も入学早々話しかけてきた男の人(クラスメイト)相手に頭痛と吐き気を覚えたことがあって、「授業内容に関わること意外で私に話しかけないでもらえますか?何故か頭痛がするんで」と素直に伝えたんですけど(読んでる人は笑ってもいいです)、「え?なんで?いろんな雑談するほうが楽しくない?」みたいにヘラヘラ食い下がってきたし、それから1年くらいはしつこかった。
本当に面倒臭かった。めっちゃ滅びを祈ってた。どうせサタンに主管されてた人だと思ったから。そう、彼が他のクラスメイトと話す内容は大変下品な下ネタか、目下年下の人間を見下す高圧的で卑劣なもので、あと無い学歴で高学歴マウントをとろうとする(たまにいるよねこういう謎の行為するやつ)などの老害行為とか、とにかくこの世の地獄のような思想を煮詰めた煮こごりみたいな人だった。
そんでその下品な男の人は1年くらいして、ようやく私のことを「最初から生理的に受け付けなかったし」と言って避けるように(無視するように?)なってくれた。私はそれまでずっと「好き嫌いという以前に、人として生理的に受け付けないので関わりたくないです」とめげずに伝え続けてきたので、その台詞はパクリでは?と思いながらも、あと最初からそう思ってくれて話しかけないでくれていたなら私も楽だったのに…とか相手の発言に矛盾を感じながらも喜びました。
今まであなたによって発生してしまった無駄な時間はなんだったんだろうな?あとあなたが勝手にメルカリに出品した私が制作したキーホルダーも返してくれると嬉しかったけどそれは返してくれないのな?(追記:返してもらえませんでした)まあいいよ悪人が離れてくれればそれで。この世の物品など平和な生活に比べたらなんてことないぜ。
そんなこんなで、私は紅一点ながらも下心を持った男の人には塩対応する部分をみんなに見せてきたので、その後謎アタックしてくる人や、謎アプローチしてくる人はいなくなりました。他の��の頭のおかしい人が名前を連呼しながら横を通過したりとかはあったけど、その他は概ね平和に過ごせたと思う。
男子生徒と女子生徒で態度変えるタイプの男の先生たちからは「人使いが荒い」と言われていたし、クラスメイトにも「まあ…あの人はクレイジーだから…」とか「誰よりも男らしい」とか言われていたので、まあ大丈夫だろう、みたいな。
まあ大丈夫じゃなかったことが今回発覚したんだけど。
突然の休校が決まったのはニュースで臨時休校が話題になってからずっと後で、その前は周りに建っている小中学校や高校が休みになる中うちの学校はというと、スカイプを使ってのんびり他校とロボットカーレース的なことをしていた。
会社によってはリモートワークの環境作りに四苦八苦していたようだけど、流石は電気系の先生が多めの学校というか、大会におけるスカイプ空間は学校の設備と先生たちの私物によってサクサク構築されていった。やっぱり最近売れてる自撮り用の小さいながらも高性能なカメラは便利そうである。結構高いみたいだし、海外製は当たりハズレもあるみたいだけど。
そんな感じでのんびり過ごしていたのに突然休校することになったのは周り(東京都の偉い人とか)の目を気にして焦ったからなのか?
ちなみに学校から感染者は1人も出ていないし、もちろんインフルすら出てない。
まあコロナはインフルなのでパンデミックの報道はデマなんだけど、学校は男の人ばかりであるせいかみんな基本的に不健康な生活を送っていたので、そういう暮らしを目にすることに私は若干辛みを感じていたので、休暇は素直に嬉しかったです。(なんで男の人は健康な食事にあそこまで無頓着なのだろうか?)
休暇だけど最終学年なので、つまりは卒業であり、ある意味クラスメイト達とはこの先恐らく二度と会わなくなることを意味します。
それでサタンも焦ったのでしょうか?今回は卒業制作を一緒に仕上げた人間から告白されたんですね。
学校最終日、私はいつものように普通に登校しました。
休校になることは突然知らされたので、荷物や教科書を全て持って帰らねばならなくなったこともあり、まあまあ驚きましたが、それ以上に驚いたのがその日はなんとなくカートをゴロゴロ引いて登校してきたので、スムーズに荷物が持って帰れるという偶然でした。(いや、神様は偶然はないと仰っていましたから神様が霊感で持たせて下さったのでしょう。よって私は神様に感謝しました)
それまでの授業ではラズパイでサーバを構築してHPを作る授業が行われていたのですが無事終わったので、持ち込んでたモニタをもって帰ろうと思ってカートを持ってってたんですね。そこで突然の休校です。
午前中は後輩に教室を明け渡す為に作業場を掃除したりして過ごして、午後は後輩たちのプレゼン大会が予定されていて、いつもより授業の始まる時間が遅かったので私は一旦家に帰ることにしました。あとなんか掃除中にヘアゴムが切れてしまってピンチで、そのへんにあった針金で留めていたので、家でまとめ直したかったというのもある。
やばいピンチだ…と針金で留め直してたとき、思い返せば今回告白してきた人が髪を下ろしたらどうなるのか的な質問をしてきて、「どうって、邪魔ですよね。作業するのに」と返したら「そっか」と笑っていたけど、なんか違和感を感じたやり取りだったのだけど、そういうことだったのかね?
思い返せば中学生の頃プールの授業のあとで髪を下ろして乾かしてたら、当時学校にいた私のことを観察する会的な謎の集団がわざわざそれを見にやってきたことがあった。だからそう、こういう髪に関することで注目してくる男の人はもうなんか駄目なんだと思う。そういうことだったのかも。
そんで家に帰ってから髪を留めて、なんとなくハンカチを新しいものに替えて、また学校へと出発しました。
ちなみに家に着いたとき、たまたま祖母が家にいて何故かご飯を炊いていて、「ちょうど出来たから食べていく?」っていうので、いつもはお昼ごはん食べないんだけどその日は食べてから出発したのでした(よってちょっと出遅れた)。いつもは一駅歩くのだけど、遅刻は嫌なので駅のホームで電車を待っていたら、若い女の人達が「〇〇駅ってどうやって行くんだっけ?」とワイワイ喋りながらスマホで乗り換え検索しながらこちらに向かってきた。でも〇〇駅は反対方向の電車に乗ってから乗り継がなければならないので声をかけてそれを伝えたら、ちょうど反対側に電車がくるところだったのもあり「ありがとうございます!」と言いながら彼女たちは駆け足でギリギリセーフで乗車していった。(そこで私は思った。ああそうか、それで私は家を出遅れたのかも。神様ありがとう!)
なので学校に着いた時刻はプレゼン予定時刻ギリギリだったんだけど、予定が押したみたいでまだ余裕であった。神様ありがとうございます。
後輩達は私達の学年より真面目な子達が多いので、プレゼンはとてもクオリティが高かった。んだけど中に仏教かぶれの人がいて若干むむってなった。仏教は悪魔崇拝だからです。まあネタ化されてたからガチではないのかもしれないけど。全ての神社仏閣が滅びますように。
最後はなんか、お別れの挨拶をそれぞれ述べて終了という流れになったんだけど、プレゼンを指導していた外部講師の方が今日で十数年に渡る講師活動を終えるとのことで泣きながら色々と思い出を語っていた。熱血タイプの先生なので涙が思いと一緒に溢れてしまったのだろうと思う。私達も突然で驚いたけど色々とタイミングが良すぎである。もういっそ今日が卒業式ってことで良いのではと思った。
お化粧が崩れるのも構わず泣いている先生を見ていて、「そういえば私何故か新しいハンカチ持ってきてたな」と思い出し、そのハンカチを渡した(この時新しいハンカチを持たせて下さったのは間違いなく神様だと思った)。
彼女は潔癖症なので未使用であることを伝えて渡した。「もう学校最後だから洗って返せない。どうしよう!」と言うので、「あげますよ」って言ったら、「洗わないでとっておこうかな(笑)」とか言いだしたので、潔癖症なのにご冗談をと思いながら「いや洗いましょう。何か繁殖しちゃうかもしれないじゃないですか」って返したら「コロナとか?」と笑われたので、私はその流れのまま「コロナはインフルエンザなんですよ」って話をした。
(私最近会う人会う人誰とでもコロナはインフルの話をしているけれど、まだ誰にも否定されたり拒絶されてない。Twitterの工作員とは随分反応が違うよね)
そんなこんなで授業もおわり、作業室で卒業制作で作ったマシンを班員と二人で動かしたりして遊んだ。校長先生を乗せる約束をしていたのにまだ乗せてなくて可愛そうだという話があったので、久々の起動に様子を見ながら発進させてたんだけど、校長を呼んで乗せてたらしばらく動いてマシンは死んだ。
FETが爆発したりしたわけじゃないから、多分ダイオードが死んだとかじゃん?という結論になったんだけど、調べないとわからん…わからんけどもう時間がないので、あとはもう後輩たちが好きにすれば良いんじゃん?ということになった。大掃除のときにモータドライバの同人誌を託したことだし(次回はデジタルアイソレータとか入れてみてほしい)。
校長先生や担任の先生たちとのお喋りも今日で最後か…というわけで、せっかくなのでコロナの画像がサンゴ礁の写真を加工した画像だった説や、タピオカヤクザの話や、蓮舫議員の闇のお婆ちゃん陳杏村の話をした。私は学級日誌でも毎度こんな話しか書いてなかったので先生たちも慣れていたのもあると思うんだけど、割とスムーズに受け入れてくれました。東京都からお金が出てパーツとか買ったりする学校だったけど、都知事をディスったところで咎める者は誰もいなかった。小池百合子はやはり都の職員からも嫌われているのではないか。
このまま興味を持って色々調べるようになってくれれば嬉しいのだがどうだろうか。調べてくれますように。
そして私の知らないところで同性に伝道されるなり、ネットで伝道されるなりすれば良いと思う。
先生たちには「忘れ物があったら取りにおいでね」と言われたけど、学校まではルート的に結構距離があるので、私は「思い出と一緒に置いていきますね」と答えた。そしたら「じゃあ思い出が欲しくなったらいつでも来て下さい」と返されてしまった。グヌヌ被せボケ…
最後まで一緒に残っていたもうひとりのクラスメイトは「あと2時間くらいお話していたいですね!」とか言っていた。勘弁してほしい。
死にかけのマシンはホールに飾られることとなった。
試作の小型機は班員が夜なべして書いたプログラムのお陰か元気に走ったので、最後に走らせて展示場に到着させた。
班員は小型機にゴリアテと名付けようとか言い出して、私はゴリアテ倒す派なので(ダビデの話参照)���の場で反対したのだけれど、その後どうなったのかは分からない。今思えば何かの暗示であったのかもしれない。今回告白してきた人間はこの班員であるからである。
そんなこんなで帰りが遅くなってしまったのが良くなかったんじゃないかと今では思う。
校門を出たら外は真っ暗だった。冬だったので星がキラキラしていて大変綺麗で良かったんだけど「星が綺麗ですね…ってもう寝る時間じゃん!」と焦った。私は早く寝て早く起きて祈ったりしたいからです。
さてさよならするぜと班員に別れを告げるとき、私は特に台詞が思い浮かばなかったので、「とりあえず禁煙したら」と言った。彼は喫煙者だったからである。そしたら今までは絶対無理とか言っていたのに、今回は珍しく「禁煙外来に行こうと思う」と言い出した。
喫煙者が減ることは良いことだし、そのことは普通に嬉しかったので神様に感謝して、私は家に帰った。
その日は風が強くて、家の近所の庭的な広場に誰かのTシャツが落ちていたので、風向きから推測したマンションに届けに行った…のはいいものの、どこに置けばいいのか分からなかったから、そこら辺にいた住人らしき方に訊いて、エントランスに引っ掛けてきた。住人らしき方は見ず知らずの私にお礼まで言ってくれて、最近世間がピリピリしているというのに、優しく対応してくれてありがとうと思った。
それから1週間くらい経った頃だろうか。なんだか体が重かった。生理でも無いのに日中眠かった。
勉強したくても頭がモヤモヤするというか、お祈りの時間に起きられてもなんだか体が重かった。そういう日が数日続いた。
そんなある日、制作課題用に作ったSNSルームに置きっぱにしていたファイルをダウンロードしようとPCを立ち上げログインしたら、告白文が踊っていた。
いや、その前から就活どう?的な情報交換はしてた(私の就活はゆっくりでギリギリだったので先生やクラスメイトたちが私の代わりに心配していたというのもある)のだが、まさかこれを使って告白されることになるとは。そういう素振りを相手が見せたことがなかったので余計に驚いた。
読んだ瞬間はいつものごとく目眩と吐き気に襲われた。なぜ私は異性に好意を向けられたと認識した途端に吐き気と頭痛がしてくるんだろう?神様を信じるようになってからそうなるようになったのね。霊魂の苦しみが脳を通して肉体に伝わるからでしょうか?その仕組が知りたいのですががが。
ところで異性の罪は重罪なので、思わず「ブルータスお前もなの…?」と呟いてしまった。
霊魂は肉体と違って異性の罪によって、まるでウジやハエや汚物を飲まされているかのような地獄を味わうのだと、以前主が御言葉の中で仰っていました。
相手にこうして罪を犯させるような行動を私はどこかでしてしまっていたのだろうかとか、なんかそんな感じでショックを受けたついでにそのままブルータスについてググったら、なんと告白された日とカエサルが殺された日が同じ3月15日だったので思わず笑ってしまった。
よくイルミナティたちが日付にこだわって重要人物を殺したりするけど、確かその中に3月15日もあった気がする(そういうツイートを前に読んだ気がする)。
サタンが験担ぎして告白させたのかもしれんな。はっはっは…(真顔)
(そういえば志村けんが死にましたね。やっぱり小林麻央が海老蔵に生贄として殺されたみたいな感じで他殺なんでしょうか?)
告白文の内容は概ねこんな感じであった。
最終日にそちらから告白を受けたが(してないんですが?)、過去に色々あって二股かけて失敗しているのと(なんですと!?)、一緒に住んでる腐れ縁のルームメイトが人生に問題を抱えていてこれからも自分が助けになり支えていきたいので(誰のことだ?)、貴方の気持ちには応えたいが応えるわけにはいかないと思った。けれど前から可愛いと思っていたし称賛する気持ちは絶対に伝えたいと思っていたので今回告白に至ったと。その他、私と会うのを楽しみに学校に通っていたこと、可愛さにため息がとまらない(?)、私が小型機を操縦している様がキラキラして見えた(?)、ここ1週間ほど私のことを考えていた、買い物しに車を出して気付けば学校まで運転しておりそのまま夜空を眺め続けてしまった(重症では?)ことなどが書かれていた。
()は私の感想です。
そんで、うーん…?私そもそも告白してないけど?どういうこと???ってなった。
私としては、突然相手が目の前でサンドペーパーを敷きだしたと思ったらそのまま助走をつけて全裸で一気にスライディンクした挙げ句血まみれになりながら「どうもすみませんね…」とヨロヨロ退出していったような、こちらとしては見てはいけないものを見てしまったような、そんな気分である。
というか、1週間念を送られていたから具合が悪かったのかもしれないな…?
なんか頼もしいとか崇高とかいう文字も文章内に組み込まれていたので一応リスペクトしてくれてたっぽいことは分かるんだけど、恋愛フィルターを通してそう見えてただけだと思うと素直に受け取るわけにはいかないですよね。だって正気じゃないんだから。
校長先生が入学当初、学校の仲間は将来同じ分野の仕事仲間にもなるわけだから仲良くして情報交換していくといいよ的なアドバイスをお話してくれてた気がするんだけど、でもそこで相手に恋愛フィルターがかかっちゃったらさ、相手が間違ってるときに情が邪魔して相手を正論でコテンパンにしてあげられないわけだからもうその時点で良き仕事仲間とは言えないじゃん。
それに男の人って(弟もそうなんだけど)相手を褒めるときもそんないちいち褒めたりしないですよね。あっても一言で終わるじゃないですか。「スッゲ」「ヤベえ」「ウケんだけど」「流石ですな」「かっけえ」みたいな。だからこうやってリスペクトしてますよ感出して長文ぶつけてくるときは告白じゃなくとも下心があると疑った方が良いっぽい。よ。
可愛いに関してもよくわからなかったんだけど(私には可愛げがないという定評がある)、告白文を見るに、どうも頑張っていた姿がいじらしく見えたとかそういう意味での可愛いということであったらしい。ということは、男の人に比べたてまだまだ頼りない部分があったために可愛いに繋がってしまったのかもしれない。ネットで調べたところ庇護欲を掻き立てる女性はモテるらしいので、こいつは一人でもやっていけるなと思わせるキャリアウーマン的な女性にならないといかんなこれはと思ったし、反省した。
しかし腑に落ちないのが私が告白したことになっている部分なんだけど、どうも「星が綺麗ですね」と最終日に言ったことが告白と取られたらしいのね。
でも「月が綺麗ですね」は聞いたことがあるけど「星が綺麗ですね」はちょっと聞いたことがない。
それに夏目漱石が「月が綺麗ですね」と言ったという話はデマであることがわかっているし、それを告白に持ってくる現代っ子がどれくらいいるのかね?
わからん。
わからんので調べたら、出てくるわ出てくるわ…
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ちょっとバリーエーション増やしすぎじゃない?
これじゃあ異性の前で景観を褒めてはいけないことにならないかい?
しかも「星が綺麗ですね」はタロットが元ネタだと?悪魔崇拝者共め…なんと迷惑な。(ちなみに占いもタロットも、悪魔崇拝からきた文化です)
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なので私は告白してないのでそれは勘違いだし、一応漱石はデマだよと伝えた。
(あとうっかりここにたどり着いてこれを読んでる方で陰謀論よくわからない人向けにお知らせしとくと、夏目漱石の名前の由来はフリーメイソンなので、興味が湧いた方は調べてみて下さい。)
あとキラキラして見えるとかため息が止まらないとか深夜徘徊とか目に余る異常行動が気になったのでそっちも調べたんだけど、人は恋に落ちると脳内麻薬が出て、なんかそういう状態になるらしい。
というか、完全に病気だよね。
脳内麻薬で脳が酸欠になるらしい。煙草でも脳は酸欠状態になるっていうのに、お前さんはこのまま死ぬつもりか?
冷静になあれ。
とりあえずセロトニンが不足するとそういう情緒不安定状態になるらしいので、日光浴をおすすめしといた。
そしてSNSからは重要ファイルをサルベージした後離脱した(Twitterにおけるブロックのようなものです)。
しかし業務用のSNSで告白って公私混同って感じで普通にルール違反だと思う。勘違いとは言え、気持ちに応えるわけにはいかないからと理性で踏み留まってくれたのは、有難いっちゃ有難いけれど、結果告白してしまったのでは無意味なのではないか。それは踏み留まれているとは言えないわけで。
恋は病気。
愛は理知。
冬の星が綺麗な理由は太陽が早く沈むから残照の影響が少なく湿度も低いためにその分光がこちらに届くから。
よって、さらばだブルータス。
というか以前「背中を押すのは友人の特権だ」とか発言してたような気がするのだけど、友達だと思ってくれていたのは嘘だったということか?
まあ私は私で男友達ですら御免だしこの先男とはプライベートで仲良くするつもり無いですって言ってたわけだけど、大事なことだからそれ2回くらい伝えたはずなんだけど、聞いてなかったのかねブルータスは。
ちなみに「ブルータスお前もか」は「月が綺麗ですね」と同じく言ってないのに言ったとさ���てる言葉の一つなのであった。綺麗にオチまでついてしまったのであった…
実はその後、学校に卒業書類貰いに行かなきゃいけない日があって、ちょっと憂鬱だったんだけど、エンカウントしないように祈って早めに登校したら、早めに書類もらえたし、早めに帰れたのでブルータスには会わずに済みました。
神様ありがとうございます!
あと水筒持ってくの忘れたんだけど何故か先生が自販機の飲み物奢ってくれるっていうのでお水を買ってもらえました。
先生ありがとうございました。
おしまい!
帰りが遅くなった最終日、家族が私の身を案じて祈ってくれていたそうである。私は本当に、神様に、みんなに助けられて生きてきたし、今もそうである。感謝します。どうかみんなの信仰生活も守られますように。
今サタンが絶賛大暴れしているそうなので、他の信仰者の方々もゲリラ告白をされたりしているのだろうか。どうか無事に撃退できますように。
あと恋の脳内麻薬は3年くらい出続けるらしいから3年は会わない方がいいっぽい。先生には悪いけど文化祭も行かないほうが良さそう。
異性の罪を犯したときに3年くらい期間を設ける話はもしや脳内麻薬にも関係しているのだろうか?まだまだ分からないことが沢山ありますね。
しかし思いがけずスムーズに荷物が持って帰れたり、知らない人が電車に間に合ったり、奇跡的なタイミングでハンカチを差し出せたからといってなんだっていうんだろう。神様にとって有益かというと、そうでもない。
結局学校は神様に意識を向けて生活し辛い空間だったことが証明されただけなんだと思う。卒業が早まってよかった。それこそ、神様に感謝すべきことだったのではないか。
唯一連絡手段が残された相手と縁が切れたことも、信仰生活を送るうえでとても有難いことであったと思います。ありがとうございました。
あと私は異性からの好意に気付かなさすぎであるということが発覚したので、これからもっと遠巻きにしてもらえるように頑張ろうと思いました。
そして恋愛コラム的なことが書かれているサイトって、全部占いへ誘導するようなものばかりで、この世の中に恋愛の文化を広めたのがサタンであることがよくわかる構図だなと思いました。
人間との恋愛は人間を幸せにはしません。不幸への入り口です。
占いは闇です。何も解決しません。
何事も神様に求めるべきです。神様に相談しましょう。
今回色々あった中で私にとって良かったことって、コロナはインフルだって話ができたことくらいじゃないでしょうか。もっとディープな話をスムーズに展開できるようになりたいですね。
反省!
こうして自分を省みる機会を与えて下さった神様とRaptさんに感謝します。どんなに神様が機会を与えて下さっても、Raptさんの宣布する御言葉がなければ理解できないし、悟れないからです。それから私の為に祈ってくれた方々にも感謝します。本当に命拾いしました。ありがとうございます。
コロナのデマが世界中の人々にバレますように。
あと最近初めて行った公園が心臓の形してる気がした。
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そして電車の広告にあった有名テニスプレイヤーの顔がそっくりで、2人は血縁かもしれないと思った。
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この春あちこち散歩したけれど、東京都民は都知事の言うことなんて心の底では信じていなくて、パンデミックは演出不足であるなと思った。
だって人がわんさか住んでる団地で1人も感染者出てないし、誰も死んでないし、噂好きなおばさまも誰かが死んだ噂すら聞かないって言ってるし、というか2月も3月も全然救急車来てないし(12月と1月は夜でもバンバン来てたのに。餅かな?)。
都民はみんな訝しがっている。
陽の光を浴びながら元気に遊ぶ子どもたちを見ながら散歩したけど、あれはあれで免疫力がアップしてインフルにかかりにくくなって良いのではないかと思った。
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『先生の海』
今宵は勉強合宿の真っ最中である。
夏休みに、2泊3日の勉強合宿。
しかし、わざわざこんなことをしなくても、お受験を控えた私たちは、毎日学校とお家との往復しかしていないし、日々勉強漬けの毎日だ。
なので、寧ろ勉強合宿は、教員も生徒も、罪悪感なくお泊まりを楽しめる息抜きだと思う。少なくとも夜は。
現に、勉強を終え、入浴を終え、寝る支度を整えながら生徒たちは、キャッキャとはしゃいでいた。
真夜中になると、力尽きて寝る生徒もいれば、せっかくだからと、コソコソ恋話を始める生徒もいる。
私は、その空間が好きじゃなく、かといって寝れもしないので、静かに廊下を出ていった。
この時間、教員は見回りを終え、酒にツマミに、ストレス発散も含めて、夜の会を催しているに違いない。
そして、生徒たちの話題に馴染めない私と同じように、そこから抜け出す教師がいることを知っている。
私たち生徒が寝ている教室から階段を降り、1階にある職員室の近くにある教室が教員らの寝床である。
1つ階を降りていくと、陽気な先生方の笑い声が聞こえて来た。予想通り、いや、それ以上に騒がしいな、と思いながらボソボソと薄暗い廊下を歩いていくと、
こちらもまた予想通り、蝋燭を立てて細々と歩いてくる影と鉢合わせた。
「こんな夜遅くに何しているのですか?」
私が思った通りの声が暗闇から聞こえて来た。暗く長い廊下に、先生の声が響く。
「.......寝付けなくて」
私がそう答えた頃には、先生はもう目の前にいて、蝋燭の光に端正な顔が照らされていた。
先生は、少し微笑んで、
「実は私もです」と言った。
「どうして寝付けないのですか?」
「特に理由はありません。強いて言うならば、居心地が悪い.......のかも」
「そうですか、私もなのです。
こんな事もあろうかと、そこの教室の掃除もしておきました。どうですか、あそこで寝ますか」
「はい。では、お言葉に甘えて」
先生の後に続いてて暗い廊下を少し進んだ所にある教室に入る。
「蝋燭、もっと持ってくれば良かったですね。まさか、2人になろうとは思わなかったので、すみません。」
「いえ、こちらこそ、お邪魔してしまってすみません。それより先生、蝋燭より、お布団は余分に用意してあるのですか?」
「あ.......」
そんな事だろうと、思った。
蝋燭も余分に持っていない人が、布団を余分に用意している訳もない。
「すみません.......布団.......用意したいのですが、余分な分は遠い東棟の教室にありまして.......鍵も取りに行かねばなりませんし、蝋燭が持つかどうか.......」
「え、先生、蝋燭の予備も持っていないのですか?」
「.......すみません、早く寝てしまいたかったので、要らないかと思いまして.......」
「とりあえず、お布団を敷きましょう。この間にも蝋燭が減ります」
「そうですね、すみません」
「あ、大丈夫です。私が敷きます。
それで、掛け布団も下に敷いて、寝ましょう。さすがに硬い板の上で寝るのは苦痛でしょうし、幸い、今日は掛け布団も要らない気温ですし」
「はい。」
私が2つの布団を並べると、先生はすかさず、蝋燭を持っていない右手で布団の端を掴み、ちょいちょいと布団の距離を離した。
「あ、なんでそんな離して敷くんですか」
「え、いや、離した方が色々と良いでしょう」
「私、怖がりなんです。せめて、もう少し近くにしてください」
「分かりました。」
そうこうして、ようやく布団を敷き終え、二人して横になる。
蝋燭は、2人の枕元の間においた。
「.......それにしても、意外ですね。先生は、心配症だから、余分に持ってき過ぎるぐらいかと思っていたのに.......」
「.......そちらこそ、貴方はしっかりしているので、怖いものなんて平気だと思っていました。寧ろ、そうゆうものを信じていなさそうですし.......!」
「.......そういえば先生、眼鏡外さないんですか?」
「何かあってはいけませんから、こうゆう時に眼鏡は外しません」
律儀な先生は、私の目をまっすぐと見て話す。先生は元々端正な顔立ちをしているので、蝋燭の灯に照らされると、何だかいつもより神秘的に映る。
「へぇ。じゃあ、寝相良いんですね」
「えぇ、まぁ。悪くは無いと思いますけど.......!」
「.......そういえば先生、今朝の掃除で草むしりしていませんでした?」
「.......していましたけど、それが何か?」
「.......いや、それで、腰とかどこか、痛めていませんでした?」
「.......貴方は、想像以上の観察力ですね。否定はしません」
「やっぱり。いや、草むしりはまたまた見て、大変そうだなと思ったのですけれど、
先生、今日の授業、少し姿勢がおかしかったですし、たまに腰を擦っていたし。」
「そうですか、それはお恥ずかしい限りです.......」
「ですので、先生、こちらに来てください」
「.......いえ、それは、いけません」
相変わらず私の目を真っ直ぐ見つめたまま言う。しかし、先程よりも、眼力が強い、気がする。
「どうして?」
「どうもこうも.......いけません」
先生の声色は、低いのに優しくて、諭したような口調で言う。
「掛け布団じゃやはり、薄いですし、余計に腰を痛めて、明日に差し障ったら大変ですもの」
「.......いけません。」
「頑なですね。別に誰も見ていませんし、大丈夫ですよ」
「.......私が大丈夫でないので」
「.......は?」
この時、少し先生の目が泳いだ。珍しい。
「.......私は、貴方が好きです。ですので、いけない理由がわかるでしょう」
いつも通り、無表情の先生が、ほんのり頬を赤くしている。
これは、蝋燭の灯りのせいだろうか。
「私もです。それなら、良いでしょう?」
先生の眼鏡が少し痛いけど、それよりも��の柔らかさに気を取られる。
薄くてひんやりした唇に触れていると、幽霊か何かかと思ってしまう。
そのうち先生が、眼鏡を外すために一度顔を離して、もう一度私に向き直して柔らかく微笑んだ。
あぁ、ずるいな.......
そのまま先生に飲み込まれる。
海の中に沈んでいくみたい。
この空間では、私の酸素は先生で、先生の酸素は私。
2人で息のできない場所にわざと飛び込んで、お互いを頼りに息をするような。
ここは、私たちだけの世界。
そう思うと、身体が火照って全体的に熱っぽくなってきた。
先生と唇を離した方が、息がしづらい。
いっそ、こんな私を笑ってくれたらいいのに。
先生は、こんな私を愛おしそうに見つめる。
本当に、ずるい人。
でも、知っていた。そんな貴方を、好きになったのだから。
先生は、先生の世界を持っていて、私は、それが羨ましかった。
ひとりだとかひとりじゃないとか、そうゆうものじゃなくて、先生だけの空間が、確かに存在しているから。
その先生の世界を見てみたかった。
だから、先生が好きなのだろう。
このまま先生と重なったら、先生の世界を見られるのだろうか。
学生時代からの旧友や、先生のことを私よりもずっとたくさん知っている人ですら知らない世界を、
私は見られるのだろうか。
合格?不合格?
私が変なことを考えていたのを悟ったのだろう、ふと目が合った先生は、怒っていた。
先生の怒った顔は初めて見た。
きっと、自殺するような生徒が居たら、先生は怒るのだろうな、なんて思っていたけれど、それ以外では、決して怒らない先生。
怒っていても、表情は付いてこない。
誰のどんな思いも、先生には届かなくて、
でも先生は優しいから、
自分の意思とは無関係にできてしまった透明な壁に、張り付いて、必死に生徒の声を聞こうとしているんだと、いつも感じていた。
先生が表情を無くしたのは、いつなのだろうか。どうして無くしてしまったんだろうか。
けれど今、先生は怒っている。
蝋燭の乏しい灯りでできた影のせいで、鬼みたいな顔になっている。それは、背筋を凍らすような恐ろしさで、でも、だからこそ、嬉しかった。
こんな表情するんだなぁ。
「何を、考えているのですか」
「何だと思いますか?」
「私の内側のことでしょう、どうせ」
「どうせ?」
「いるんですよ、たまに、私ではなく、私の内面に興味を持つ人が。貴方は違うと思っていたのに。」
「そのことに対して、どうして、そんなに怒るのですか?」
「だって、嫌でしょう。自分よりも先に、自分の内側を見ようとする人なんて。」
今度は少し、悔しそうだ。
蝋燭の灯りの加減かもしれないが、なんだか悔しそう。
「大抵の人は、“自分=自分の内面”だと思うのですが。先生は、違うのですか。
それとも、先生には、知られたくない何かが、そこにあるのですか?」
「.......わからないのです。
わからないから、怖いのです。
その、知られたくないものというものが、自分でわかっていたなら、回避の仕方は幾らでもあります。
そうすれば、親しい人も、恋人でも、幾分か容易に出来るでしょう。
しかし、私にはわからないのです。
ですから、人と、関わるのが苦手なのです。
ただ、..............」
「ただ、先生は優しいから、生徒たちを大切に思っているから、この仕事は辞められないし、何か力になれることがないか、いつも探している。
けれど、そうすればするほど、自分のその知られたくないものに対しての恐怖や怒りは募るばかり.......故に生きにくい。」
「そうです.......。本当は、貴方も私と同類の人なのではないかなんて、思っていました。
けれど、全く違いました。
貴方は、分かっているのですものね。自分の知られたくないもの。
“それ”を、明確に理解している、していないのとでは、全く違うのですもの。」
先生がそう言って俯いた時、私たちを満たしていた海の水位が、だんだん下がっていくのを感じた。
あ、もう少しで顔を出せてしまう。
そうすると、もうこの海には戻れない。
そう思うと、恐ろしくなった。
私は、まだここに居たいのに。
先生の果てしないこの海を、隅々まで泳いでみたいのに。
「そんな事ありません。私も、自分の“それ”を知りません。」
「え?」
先生が顔を上げた。不安そうな先生と目が合う。こんな不安定な表情も、初めて見た。
先生は基本、無表情だから、
生きる術として微笑みや優しい表情は完璧にできるけれど、それ以外の表情はあまり見たことがない。
出来ないのかもしれない。
「私も、先生と同じです。知らない側の人間です。ただ、私と貴方の違いは、知りたいかどうかです」
「知りたいか、どうか。貴方は、怖くないのですか?知らないということが、」
「私は、先生ほど真面目ではないので。
見たくないものは、見ません。
“それ”が、どんなものであったとしても、いつか、誰かが知るでしょう。
私でもない、貴方でもない、つまり、当事者でない誰かが、知るのです。
そうなら、わざわざ自分で見に行く必要がありますか?
辛い思いをしてまで、傷だらけになってまで、そこにたどり着く必要があるのでしょうか?
たどり着いた途端、今までの私たちが、無くなってしまうかもしれないのに?」
すると、先生の目から鱗が出てきた。
ポロポロと溢れて、軽いからなのか、上へ上へと登っていく。
鱗はキラキラと光っていて、しかし、先生の瞳は、鱗よりももっとキラキラと眩しかった。
この色が、先生の本当の色だ。
黒真珠のような、墨で塗りつぶしたような瞳の色ではなく、
綺麗な漆黒なのに、光に当たって何色にも輝く色。
今まで先生に纏わりついていた重苦しい雰囲気が、変わっていく。
先生の、その独特の雰囲気が好きだった。
自分で自分を縛り付けて、それでもそれを1つずつ背負って生きていた、証に見えたから。
重苦しい何かは、先生の傷口から出た何かで、それを知っていたから、いつも壊れてしまわないか心配だった。
けれど、壊れなかったのは、求めていたからだろう。
「生」を。「生きること」を。
先生が、本当に欲しかったのは、“それ”ではなく、自分自身。
生きることを選んだ自分自身。選び続けてきた自分自身。
いままでの、全て。
だから、先���の瞳から涙は流れない。
溢れるのは、オーロラ色に輝く鱗だけ。
「たどり着かない。それが、正解です、先生。“それ”にたどり着くよりも、大切なことがあるはずです」
「生きること。ただ、私という人間を、人生を、生きること。
それだけで良かったんだ.......」
先生が、そう呟くと、先生の海は、暗く深い濃藍色から、翡翠色に変わった。
今までの先生も、先生の人生。
だから、先生の海は消えない。ただ、色が変わっただけ。
「だから、先生。もしも、先生が先生の人生を生き続けて、それでも、“それ”を知りたいと渇望するようになったら。
私が教えてあげます。先生の“それ”を。
だから、その時には、私の“それ”を先生が教えてください。
今の先生になら、分かるはずです。私の“それ”」
「分かりました。約束しましょう。
.......ここまで私の内面に入って来たのは、貴方が初めてです。
おかげで私は、自分のことを知ることが出来ました。ありがとう」
「それは、光栄です。私が、先生の海の中でも溺れないのは、やはり、私たちは似ているからなのでしょうね」
「私の、海.......ですか?」
先生は、キョトンとした顔をする。
こんなにコロコロと表情が変わる先生を、初めて見た。
これからは、色んな表情が見られるのだと思うと、胸が高鳴る。
「貴方は想像力が豊かですね」
「私は、先生の海をこれから貴方と泳ぎたいんです。いいですか?」
「もちろん。こちらこそ、よろしくお願いします」
先生がそう言うと、蝋燭の灯りが消えた。
暗闇の中で、先生の体温だけ感じる。
こんなに暗いのに、先生の海の波の音はずっと耳に響いていて、その音に混じって
「おやすみなさい」
と、低くて美しい声が聞こえた。
「おやすみなさい」
そうして私も、安心して、すぐ眠りについてしまったので、先生の吐息を聞けなかったことが、残念だ。
※蝋燭の時代なので、大人と見なされる年齢も若かっただろうし、教師と生徒の恋愛にも、あまり問題視されていない時代、昔の常識では、生徒は結婚していてもおかしくない年齢、
というつもりで書きました。
私は、大人の順番が好きじゃないし、語りたい人なので、恋人たちにもひたすらお互いについて語らいでほしいと思っています。
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chiyodadada · 4 years
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確定申告がどうしてもできない。自分でも信じられないくらいできない。いや多分技術的には可能だと思う。みんなやってるし、サル以上の知能があれば誰でもできるように設計されているんだとは思う。僕は東大卒だからできないわけがないのだ。
しかしできない。できないというか、やろうとする気が起きない。結果できない。本当にもう、自分でもどうしたのかと思うほどできない。今日はめちゃくちゃ頑張って、書類を郵送するための封筒と切手を用意した。それが限界だった。スモールステップにもほどがあるだろ。
なぜこんなにも確定申告ができないのか考えてみると、どうせ確定申告ができなくても自分が損するだけだしなと考えている節があることがわかった。あと今年は提出期限が実質撤廃されたことで、まあいずれやればいいだろ、いずれやるだろとも思っているようだ。これじゃあできるはずがない。普段僕は〆切を守らせる仕事をしているが、その仕事の重要性を改めて感じた。よーし、〆切を守らせるぞ!
それはともかく、それじゃあ僕はどうやったら確定申告ができるんだろうか? 自分が損するだけだしなと考えているとはいえ、別に損したいわけではない。絶対に確定申告はやったほうがいいのだ。これは間違いない。戻ってくるお金も、今年はレーシック手術とふるさと納税をしたので、そんな少ない額ではない。しかし……戻ってこないと死ぬほどの額でもない。まあ失ったとしても、ショックは受けるが、数年引きずるようなものではない。まあ、やりたくなかったんだから仕方ないと心を整理するだろう。そのお金がないことで、誰かに怒られたり、誰かが困ったりすることもない。
これは困った。人間の行動が実行機能と報酬系によって制御されているのであれば、何かの要因で僕のそれは著しく低下していることになる。まあ最近は胸苦しすぎワロタってくらいストレスを感じていたし、それに僕は自分がADHDではないかと小学生の頃から疑っているので、もうとっくのとうに僕の大脳辺縁系のHPはゼロなのかもしれない。とにかく問題は、現状のままだと「なにをどうやっても僕は確定申告ができない」ということだ。できるようになる要因がない。外部刺激として誰かが普段の僕のように宥めたりすかしたりしてくれたらわからないが、僕に確定申告をやってくれるようお願いしてくる人もいない。僕が僕を諦めたら、それでひっそりと終わる話なのだ。
ふと、これは夢と同じではないかと思った。夜眠るときに見る夢ではなく、将来の希望のほうの夢だ。具体的であろうとなかろうと、みんな何かしらの夢を持っている、少なくとも持っていたはずだ。最初から持っていなかったという人もいるかもしれないけど、持っていたことを思い出せなくなっただけなんじゃないかと思う。それはどんなものであれ、つまりは「なんかいまよりいい感じになりたい」という想いだ。
しかし、夢を抱きつづけるのは結構しんどい。夢と現実のギャップに苦しむし、「なんで俺はできないんだ!」といった自己嫌悪にも陥る。そのとき、夢を諦めるというのはなんて素敵な選択肢だろう! 夢を諦めたところで損するのは自分だけだし、なんなら諦めた瞬間に、損したという感情すら失う。あれはたいした夢じゃなかったなと心の整理をつけるから。もはや現実とのギャップもない、自己嫌悪もない。これはいいね! どうやら夢は諦めるというのが最善手らしい! 叶わなかった夢なんて、どうせそこまで叶えたいとも思ってなかったのさ! 最高のライフハックに辿り着いてしまった!
いやまてまて、そりゃ諦めたあとの僕はいいかもしれないけど、諦めるまえの僕の気持ちはどうするんだ。かわいそうに、泣いてるぞ! あんなに目をキラキラさせて、楽しそうに語ってたじゃないか! 未来の幸せに想いを馳せて、興奮で眠れなくなったりしていたじゃないか! あの時の自分といまの自分を比べてみろ! どっちを大切にしてやりたい! どちらがより喜ばせてあげたい人間だ!? いまのお前なんてもう、日がなTwitterと漫画ばっか見てるだけの冴えないアラサーじゃないか! こんな人間、もはやどうだっていいだろう! むしろいまの自分を諦めてでも、あの時の自分を大切にしろ!
だから、僕はなにがなんでも確定申告をやる。絶対やる! 必ずやる! いまギリギリ確定申告をやらなきゃと思っている僕のため、1秒後にはもう諦められて殺されてしまうかもしれない僕のためにやる! やるぞ! やるんだ! すぐやるぞ!やるやるやる!やるやるやるやるやる!
やるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやるやる!!
でもやっぱりちょっぴり怖いので、心優しい方がいたら僕にTwitterでもLINEでもいいので、「確定申告やった?」と聞いてください。どうぞよろしくお願い致します。
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kumikosalon · 5 years
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  #おしゃれは全身のカラーでコーディネート🗝✨  今日も、お気に入りの オレンジコートをchoice🧥   遠くから見た時の 全身バランスでコーディネート♪   📗久美子流コーディネートポイント📕✍️ ‧✧̣̥̇‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧✧̣̥̇‧  全身を3色以内でまとめる。  グラデーションは1色と見なす。 例)黄緑、カーキ、モスグリーン➡︎1色  白は1色に数えない。  どこかに柄を入れる。  柄の色から3色まで取り出す。  金具類はゴールドで統一する。  靴は基本的にキラキラ系。  オレンジ色コーデは、縛り(ルール)が強め。 白または、デニム、黒、アニマル柄に合わせる。 大きめのヒョウ柄がベストマッチ✨  ‧✧̣̥̇‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧✧̣̥̇‧   オレンジ色を着ると 気分が明るくなるわー♪🍊   私は月星座が獅子座で、 イメージが太陽🌞なのよ〜。   ほんで、 ゴールドとかオレンジ、イエローが ピタッとハマるわけだ💕😆   その補色のパープルや エメラルドグリーンなんかもハマる♪   一方、ネイビーや黒、グレーは 地味だから着ててもワクワクしなーい😑   ワクワクしないと引き寄せ力が弱まるので 基本的におしゃれをして外出するのがモットー‼️   服を選び、着こなすことで その日の気分もスッキリ✨前向きに😊✨   ところで…   結婚当初は、出発時刻から30分以上も 家族を待たせてた私。   サイテーですな…😓   そう、時間管理が めちゃくちゃ苦手なのよ。   でもね、結婚して夫から学びました✨   準備は前日までに計画して、 余裕を持ってしておくことだと。   今回も、前日にコーディネート。   前日に気温や天気もチェックして、 何を着るのか考えました。   上下ハンガーに吊るし、チェックして。😉 靴まで👠考えてから寝ます💤   おかげで、出発時刻に 遅れなくなりました〜✨✌️   何ごとも、成功するには 仕込みがモノを言うのだ〜‼️   ☾︎✴︎.*·̩͙ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ .*·̩͙✴︎☾︎  1日で稼ぐ❗️超インスタ集客術 眠っている資格やスキルを活かして ストック型の安定収入を得る方法  ☾︎✴︎.*·̩͙ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ .*·̩͙✴︎☾︎   こんなお悩み、いっしょに解決しませんか❓   ●借金返済で追い詰められている ●資格を取ったのにお金に換えられていない ●好きなことで 安定して稼ぎたい ●インスタやSNSから集客できていない ●収入は増やしたいが 副業をする余裕はない   あなたにオススメの解決法は #超インスタ活用術です😊✨    今なら、インスタで速攻集客する‼️ 🔻必殺技PDFをプレゼント🔻 https://kumikosalon.com/mail-magazine/   またはプロフィールのURL🔗を押して LINE友だちになってね♪ @kumikosalon_com    ❤️久美子のミッション  スマホ1つで 好きなことをお金に変え すべての人が幸せに生きる方法を 世界中に広めます。    #人生激変 #着こなし #引き寄せの法則 #超インスタ #SNS集客 #インスタ集客 #女性起業家 #好きなことを仕事に #自分ビジネス #テロメア #再生医療 #画像加工 #海外コーデ #海外ファッション #インスタマーケティング #おしゃれテク #久美子流コーディネート #月星座獅子座 #オレンジ色のコート #orangecoat #orangejacket https://www.instagram.com/p/B4CyacWA35B/?igshid=1on5vsx9bma3
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70%の日本企業 「法令違反」発覚!
2018年「労働搾取」と非難されている外国人受入れ企業を労働基準監督署は調査しました。
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《NHKの番組では関係者の証言を交えて下記の問題点が取り上げられた》
・茨城県の学校では「定員の3倍」の学生が在籍(3分の2は学生の所在不明)
・2年間で55万人が死亡している。
・5年間で120万人が死亡(半数以上が20~30代)
 死亡理由の多くは「自殺」「突然死」「不審死」など不明な死が多い。
・19歳の留学生と21歳の技能実習生が死亡。
 来日費用100万円の借金返済の為、密漁して溺死。
・毎日返済に追われて学校も仕事させて返済と学費を優先させている。
 学費の支払いを優先させる学校側は、授業中に寝ていても、学校を休んでも「学費さえ支払えばビザ更新時に出席したことにする」
《日本語学校の先生が証言》
「基本的には日本語学校とか専門学校というのは、一番は金ですからね。留学生ってのは金のツルみたいなもんでね。ハハハハ… 上の方が授業中に来て“学費をいつ払うんだ。給料日はいつなんだ”って学生に聞���てるんですよね。日本語をシッカリ覚えるとか日本語能力のレベル上げるとか、そうゆう話は一切聞いていいないよ。う~ん。最初、来たばっかりはキラキラして希望に燃えた子が、段々と色あせてくるっていうの・・・・きっと裏切られたと思った子もいるんドャないですか」
《斡旋業者の証言》
「ベトナムの平均月収は 17,000円。日本で働くことができれば10倍稼げる。毎月2万5000円から5万円を実家に送っている子もたくさんいる」
と、斡旋するブローカー業者は借金を進めるが、実際に成功する若者は2割だと話す。
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《NHKの取材内容》
1、金の為にキャリアを失った
「入学から1年、新たな学費30万円の支払いを求められた学生の一人は、低賃金で働く技能実習生。来日時に100万円の借金、その返済だけでも収入全額を毎月払っても2年半かかる。学費を支払うことはできない為、不法滞在者でも雇う職場を探した。ベトナム人が10名ほど集まるアパートを見つめた。そこは劣悪な環境や過酷な労働で職場から逃げ出した技能実習生や学校に失望した留学生たちが借金の返済に苦しみ帰国もできない。そして不法滞在者になったベトナム人が集まっていた」
危険な仕事でもやるしかない
「自分の生活費だけではなく、借金の返済と自分の国にいる家族への送金も必要。違法なことでも金をくれるなら自分の労力を提供して稼ぐだけ。雇い主が合法化か違法かは、もはや重要ではありません。不法滞在になった時点で違法ですから。仕事をくれればなんでもヤルしかない」
2、劣悪な環境
「縫製の技能実習生は、残業の時給400円で断る選択は許されない。毎月120時間の残業で4万円だと云う。でも、仕事場よりも寮にいる時が辛い。寮は10人以上が1つのバストイレで生活し、シャワーの順番待ちで最後の子は深夜2時になる」
3、パワハラ
「塗装業の技能実習生は、来日する為に100万円の借金をしたことを社長に話た翌日から、暴言と暴力が始まった」
4、実習の実態
「製造業の技能実習生は、技術を学ぶ機会は無い。仕事は補助作業ばかりで、日本人が嫌う雑用を押し付けられている」
5、いじめ
「職場でイジメに苦しみ、技能習生の監理団体に何度も職場を変えて欲しいと訴えるも、何とかするからもう少し頑張ってと言われるだけで一向に改善されないと遺書を残し自殺」
現在、技能実習生は途中で職場を変更することが原則認められない。
〝技術を教える〟という制度を餌で低賃金で都合良く使える実習生を働かせ、労働者の権利である転職さえ保障されていない。
日本の便利なサービスや安価で提供できる日用品、食品類は外国人労働者の犠牲で成り立っている側面もあると言える。
日本の社会を維持する為に協力する必要があります。
《単純労働で日本の工場で働く外国人労働者の話》
「家族、友人、ご近所さんがいないので生活は寂しいです。会社以外の人とコミュニケーションはありません。私達は職場と寮の往復だけです。毎日その繰り返しです」
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総務省統計局データには、日本国内の全就業者数は約6,732万人。
内、146万人が外国人です。
2008年の頃は日本国内の全労働者の内「112人に1人」くらいの外国人だった割合が、現在では「46人に1人」が外国人という状況です。
分かりやすく学校で言えば、全ての学校で全てのクラスに必ず外国人が1人はいるという状況です。
今後、増加する外国人とのコミュニケーションは避けることのできない課題となります。
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[動画(限定公開)YouTube]
https://youtu.be/Mw0aXWH1uWA
[アーカイブ]
http://bit.do/iwaoki
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18ashr · 5 years
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関ジャニ∞はずっと7人
私が関ジャニ∞を本格的に好きになったのは2018年の5月。 渋谷さんの脱退報道後でした。
ちなみに表現として彼のファンからすれば不快に思うことがあるかもしれません。
その場合は閲覧したあなたの自衛の問題です。私は知ったこっちゃありません。
本題に入る前に語ります。
17-18年のカウコンの村上さんのARASHIのラップで初笑い、ラップしてる間、左下で座って指ハートしてる丸山さんのかっこよさは今でも覚えてます。
もともとジャニーズに対してメチャクチャ好きという感覚はなくて、その年のカウコンで久しぶりに、ジャニーズに対して好感を持ちました。
そのカウコンから約4か月後、私は精神的に荒れる時期に入りました。
理由は職場ですが、まぁ割愛。
自殺も考えられないほど追い詰められ、また自分自身でも追い詰めて、家に帰るとなぜか涙が流れる日々。
どうにかして現実から逃げようとしてたまたま見つけた動画。
そこにはアイドルがコンサートでつなぎを着て、ヘルメットを被って、コントしてる映像。
その時、紫色のつなぎを着てる彼が、当時の私がずっとずっと言いたかった言葉を代弁してくれたんです。
今考えると、「それか~い!!」って笑えるんですけど、当時は全く余裕がなくて、笑って過ごすことが出来なくて、ボロボロ泣きました。
これでもかっていうくらい泣きました。
そこから毎日のようにその動画を見て、気持ちを落ち着かせて、少し余裕ができるとほかの動画とか見てみたり、そもそもこのグループって誰がおんの?っていう初歩の初歩から調べました。
なんてかっこいい人たちを私はスルーしてたんだろう。もっと早く知ってたらよかったな。惜しいことしたな。だけど今じゃなきゃダメだったんだろうな。
そんなこと思いながら生きて、ふと、そういや渋谷さんが脱退するなーとぼんやり思いました。
彼の脱退報道後に関ジャニ∞を好きになったけど、動画で見てたような明るい雰囲気の番組よりかはどこかほの暗い空気で、7人としての活動のカウントダウンが進んでる最中が多かったし、夏からは6人体制でのツアーが始まっていたので、私の中では関ジャニ∞ってすでに6人なんですよね。
彼を好きな方が7人の関ジャニ∞に夢見るのも、別にかまわなかった。亡霊のように生きればいい。
彼がいたら~…という発言も見かけたけど、どうでもよかった。 私が自衛すればいいだけ。
私の中の関ジャニ∞はずっと6人で必死に走り続けてくれているから、私は6人を応援するだけだと思ってた。 夏にFC入って、追加公演に行きました。
とても楽しかった。 それはもう楽しかった。
今までロックバンドのライブは行ったことがあっても、ペンライトを振ることはなかった。
アリーナ席からスタンド席を見るとキラキラしててものすごく綺麗だった。すごくドキドキした。
象、NOROSHI、ここに……聞きたかった曲が聞けて めちゃくちゃ楽しんだ。
好きになった人が目の前にいる!ステージ動いてる!演奏してる!ファンサしてる!すごい!
なにわ男子、当時は顔も名前もわからなかったけど今は分かるよ!がんばれよ!
そんなこと思ってた。これからはこの6人で、ファンにかっこいい姿見せてくれるんだろうなって思ったし、私も彼らを支えられる一人になりたいと思った。
楽しくて、面白くて、笑顔になれるかっこいい人たちと出会えたと嬉しく思ったんです。
さてここから本題です。長いよ~。
自己満だけど書かなきゃ整理がつかないんだよ~。
私のヒーローが見ることはないだろうけど、どうしても。 ねぇ、村上さん。あなたの中では関ジャニ∞はずっと7人ですか? 今の6人ではないんですか?ましてや8人でもないのね? そもそも人数にこだわる話じゃないとも思うけど。
横山さんとともに報告から一番長く時間があったと言ってましたね。
一年経って出す結論が7人。6+2=∞。
これじゃダメだったんですね。
ごめんね。ごめんなさい。
7人を否定するわけじゃないけど、無かったことにするつもりもないけど、私には村上さんの傷を今後理解することも共感することも無いでしょうね。
いや、誰にも村上さんの傷は見えないし理解できません。それは誰であっても。
関ジャニ∞を7人として捉えられない私がファンでいてもいいですか。今の6人の関ジャニ∞が好きな私はどうしたらいいかな。
村上さんの発言も、渋谷さんの関ジャニ∞表記も、一部のファンからすれば嬉しいことなんだろうね。あの頃を忘れてないって。
割れたヒビは戻らない?割ったのは誰?これがみんな納得する形ですか?
でも彼のことはどうでもいい。だって知らないから。 でも村上さん。ねぇ、私のヒーロー。
この先あなたの中で関ジャニ∞は7人ですか。私の中では関ジャニ∞は6人なんだよ。ダメですか。
そりゃずっと一緒だったもんね。やっと後輩が安心して歩める道を作ったんですもの。そりゃ~仲間意識強くて当たり前よね。
2018年からしか関ジャニ∞知らないけど、村上さんは誰よりも多いレギュラー番組の中27時間テレビもこなして、誰よりも“通常営業”で居続けてくれましたね。
村上さん、普通で有り続けたから壊れたんですか?関ジャニって今7人でしたっけ? 8人から始まった関ジャニ∞。1人辞めて7人で走り続けて約14年。2018年にまた1人辞めて。 7人での活動が長いから“関ジャニ∞は7人”ですか?
確かにグループ活動って、アイドルって、 1人でもできるけど、1人でできないこともあるよね。メンバーがいて出来ることが増えて、グループがあるからソロで活動しても 頑張れるっていう気持ちあると思う。錦戸さん言ってるもんね。 グループに還元できるようにって。 グループって帰る場所でもあり、共に戦える場所なんだよね。それは、わかってるつもりです。
ここまで雑誌未入手状態で購入者のツイート見てワァーーー!!と打ち込んだもので、ここから入手済みに打ち込んだもの。
とは書いても、実際に雑誌を見ても上記で思ったことを改めて思うだけでした。 あ、最初に「ごめんね」とも思いました。だって私の中でも、この先も6人なのに。 これから先、そういうファンが増えますよ。
私がより関ジャニ∞を好きになったのは“ここに”を聴いたとき。 6人の声の重なりがすごくて、一人一人の声も聞こえるのに、混ざり合ったときに誰もケンカしてなかった。 1人の声でも強いけど、6人の重なり方にゾクゾクした。
渋谷さんありきのグループではないのに、ファンの中でも「みんな歌上手くなってる!」とかいうふざけた内容を見て腹立ってたんですけど、もともと歌えるほうよね。 技術で言えば丸山さんと安田さんがダントツだと思ってる。 別に音楽評論家をしたいわけではないですけども。
早く6人で再録したアルバム出ないかな。それかグレコンのライブ音源出てほしいな。辞めた彼を受け付けないわけじゃないけど、どうかこの先関ジャニ∞と彼が交わることがありませんようにと思ってしまう。
いや、結果、渋谷さんを受け付けないような書き方になってるかもしれない。だけど本音。松岡さんが言ってたね、両方が成功することが喜ばれるって。
関ジャニ∞のファンはともかく、彼のFC入った方はこんな形でも納得してるの? こういう考えのファンがいるのはメンバー嫌がるかな。ファンでいてもいいかな。村上さん、私、ファンでいてもいいかな。
もしかしたらこの先も“7人発言”聞くことがあるかもしれないね。 その時は耳塞いで聞かなかったことにするかもしれません。 むしろ開き直って同調するかもしれません。人間ってむずかしいなぁ。
ただただ願うのは、メンバーの健康と、関ジャニ∞の活動が継続すること。メンバーとファンが笑い合える場所が存在してくれればいい。
良い子なエイターがツアーチケット当たりますように。 みんなが元気でツアーに参加できますように。
尻切れトンボだけど飽きちゃったので終わります。
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terano-kodomo-blog · 5 years
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虹の降る惑星
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 宇宙人も色々である。なかには妙に悪知恵の働く奴もいる。  とあるゲム星人の商売人、地球に来訪する前に誰も気に掛けない辺鄙な惑星に降り立ってみた。生命もなく、大気も悪く、まったく生存に適した環境ではない。とりたてて見る物もなく、足下の砂を記念に瓶詰めにしただけで飛び去った。  地球に降り立ち、いつものように製品を買い付ける。その時、ちょっとしたいたずら心が働き、地球人に先ほどの砂を見せてみる。これはダイムモルという希少鉱物で地球にはこのような物はなかろう、とふっかけた。地球の商人はキラキラと輝くこれまで見たこともない鉱物に大変な興味を示した。宇宙通貨の代わりにこの鉱物の支払いでも構わないと言う。これにはゲム星人の商人もしめたもの。さっそく取引が成立し、気前よく瓶ごと砂を渡して多くの交易品をせしめた。  ゲム星人が帰った後、地球の商人はさっそく謎の鉱物を科学鑑定に出してみた。すると、ゲム星人の言うとおり、この鉱物は地球には存在せず全く未知の物質と判明した。学術的な価値は天井知らずだ。なにせ地球上にはこの小さな瓶一つ分しか存在しない特別な鉱物なのだ。名前はなんと呼ぼうか。そういえば、すでに名前はあるんだった。ダイムモル���  とんでもない幸運で一��財を得たかと思ったら、学術的な価値が高く個人の経済益を優先すべきではないとの国家判断で、僅かばかりの報奨金と引き替えに、ダイムモルは国家に接収されてしまった。商人にはなんともおもしろくない話。再びゲム星人との商談の場、地球の商人は必死にダイムモルの取引を持ちかける。味を占めたゲム星人もそれに応じてダイムモルと地球の製品を交換する。    地球人がただの砂を有り難がるという奇妙な噂はたちまちゲム星人の商人の間で広まった。めいめいが地球を訪れる前に辺鄙な惑星で砂をすくい上げていく���その砂をほんの一握り渡すだけで山ほどの交易品と交換できるのだ。多くのゲム星人の商人が地球に押し寄せ、取引は活発化した。ようやく研究者の手を離れ、民間に出回る程度のダイムモルが流通し始めた。それでもまだ金やダイヤモンドとは希少価値は比較にならない。資産家が大金を支払ってなんとか握りこぶし程度の少量のダイムモルを手にできるのであった。ダイムモルが国際市場で取引されるようになり、ますます価値は高騰していく。  あるものは莫大な資産を投じ、ダイムモルの結晶をあしらった装飾品を作った。それは宝石の評価額記録を簡単に塗り替えてしまった。今やダイムモルは地球で最も優良な投機商品であり、また一つの資産的なステータスですらあった。    宇宙人も色々である。とあるゲム星人の政治家は何でもない辺鄙な惑星の砂を事情を知らぬ地球人に騙して売りつける商売を良くは思わなかった。そのような詐欺的な取引を行うべきではないと強く訴えかけたのである。しかし、ダイムモルで莫大な富を築きつつあるゲム星人の商人達はまるで聞く耳を持たない。地球人にも取り入ってみたが、彼一人の提訴では信じてもらうに至らない。そこで一計を案じ、小型の衛星ほどもある超大型の貨物船で辺鄙な惑星に赴き、船いっぱいにダイムモルと呼ばれる砂をありったけ詰め込んだ。    あるよく晴れた昼下がりのこと、唐突に空から虹が降り注いだ。七色に輝く砂が無数に地上へと降ってきたのだ。人々はしばしその美しさに見とれ、やがて誰ともなくこの砂がダイムモルであることに気がついた。狂乱。壮絶な争奪であった。なにせこの砂はダイヤモンドや金よりもはるかに価値があるのだ。ほんの一つまみで大金を得ることになる。誰しもが我先にと砂をかき集めた。しかし、それすらわずか一時の反応。幾日も止まず世界中に降り積もるダイムモルにやがて驚喜も収まり、人々は交通機関の麻痺や多量の砂の廃棄に頭を悩ませ始めた。  1週間に渡り、地球上の砂を全て入れ替えんばかりにダイムモルは降り続けた。正義心に溢れたゲム星人の思惑通り、今や誰一人ダイムモルなど欲しがらない。国際市場ではダイムモルの価値は暴落し、もはや有り余った虹色の砂を引き取ってもらうのに金がかかる始末。資産確保の動きであらゆる取引相場で売りが殺到し、地球上から莫大な資産が瞬く間に失われていった。それはまさに大恐慌であった。世界中の相場から資金が消え、多くの取引市場が急落に耐えきれず消滅した。  地球に長い不況が訪れた。
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