Tumgik
#まくべは俺の中じゃ圧倒的(襲い)受け
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pixivでcpタグ漁ってて幸せそ〜〜〜なお二人を見てると彼氏欲しくなっちゃうからもうやめて寝よう
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shukiiflog · 2 months
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イキヤ真澄樹しみれーと10
セックス、誘惑、クローゼットへの迎え、タクシー車中の会話
圧迫による一時的な視覚障害なのでおくすりのんで血流もどして、30分くらいで見えるようになる…今日は触らないようにって目元に包帯巻かれて、圧迫してた時間とか力の入れ加減から血管が弱いかもってこと言われて、お薬は継続して飲むように処方される 「むやみに触れないようにと安静に過ごすように。走ったり、長時間歩いたりして心拍が上昇することも避けてください」 「一週間経って視覚に不調がなければ大丈夫でしょうしかし圧迫するとまたなりますからね。目を大事にしてください」
4949cry — 昨日 23:23 「…やっぱり 真澄も眠れなかったんだ」
sz — 昨日 23:25 「目を閉じて休んではいるみたいですけど… よく、魘されてる…のかも」
4949cry — 昨日 23:34 料理よそいながら「… よく眠る子だったんだ 真澄 …せっかく限られた自由時間に会えても、その少しの時間も眠たがるくらい 俺は …遊びたかったけど 真澄も頑張って目こすりながら起きて それでも船漕ぎ出しちまうから、よく一緒に昼寝をしてた …それが、中学生の頃から なくなった…」 俯く… 目閉じる…
sz — 昨日 23:39 「きっかけは … 」
4949cry — 昨日 23:41 「セックスするようになって」イキヤくんみる…「俺が先に寝ちゃうようになって 真澄がどうしてるか見てなかった」
sz — 昨日 23:42 そういえばセックスもするんだった、て今頃思い出してるイキヤ 「…セックスするようになったことに 理由…とかって…あるんですか」
4949cry — 昨日 23:44 「セックスするようになったのは俺が襲われたから」
sz — 昨日 23:45 「襲われた から… 」 …どう …いう ふうに、結びつくんだろう 「…怖くは なかったんですか …襲われたのに… 」 ……いや もし治療的なことを始めるなら …俺が真澄さんの立場でも そういうことをしたかもしれない …
4949cry — 昨日 23:52 「… 怖がったらいいの?」じっとイキヤくんを見る… 「どうしたらいいの?」
sz — 昨日 23:55 「分から…ない 俺は誰ともセックスしたことないから、どういうものなのかも 分からないし…」 他人のそういう行為なら見て育ったけど 俺自身は誰とも触れ合わずにきたから …… 性欲… 「真澄さんと樹さんがセックスするのは お互いに欲情するから…ですか?」
4949cry — 今日 00:04 「…」 ぐら ぐら 「…してみたらわかる いろいろだよ」 イキヤくんの顎つかんでキスする
sz — 今日 00:06 ! ぐらぐら樹さんを抱きしめようとしてたとこだった… キス されてイキヤがびっくりで固まっ?た
4949cry — 今日 00:07 舌入ってくる
sz — 今日 00:08 …っ?
4949cry — 今日 00:08 「する?俺と」
sz — 今日 00:10 樹さんの肩そっと掴んでゆっくり距離おく… 「樹さんに対して俺は …そういう感情…?は… 持てねえから… でき…ない 」
4949cry — 今日 00:11 「…。」睨む…
sz — 今日 00:14 「樹さんのことが…好きだけど… 無闇にそういう セックスとか…は したくない
4949cry — 今日 00:14 「こんなこと 気持ちとかいらないんだよ」
sz — 今日 00:15 イキヤが樹さん抱きしめた… 「気持ちがなくて樹さんとするのは …辛い ちゃんと大事にできるのか、…俺にはなんの経験もないのに」 …大事にさせて…
4949cry — 今日 00:21 「…セックスに夢見すぎじゃない?」ふ… 「身体を暴き合うんだ ボクシングとかだって殴りあって、あんなの突然殴り掛かったらただの暴力だけどわざわざやりあう、おんなじだよ全部 人と関わるなんてことはさ、大事にしたいってどういうこと?気持ちってどうしたってわからない、わからない どうしたら」
sz — 今日 00:30 「……夢 見たいのかもしれない なんの夢もない行為だけ手伝わされて感覚狂ってんのかも、セックスについて 」 ろくなもんじゃない あんな行為 でも今の俺が真澄さんに抱いてる感覚は? あんなことがしたいのか?
4949cry — 今日 00:34 「気持ち一つで意味の変わる行為なんて夢だ 悪夢を見ろよ ずっと はやく 自分だけ綺麗なとこから眺めてんじゃねえ 身体 バラバラにな る、」
sz — 今日 00:36 ぎゅ… 「樹さんとセックスしたら 俺も悪夢をみれる?」 真澄さんと樹さん ふたりきりの悪夢に触れられる?
4949cry — 今日 00:40 「試してみるか?」 「やめろ」 ますみん起きてきた…
sz — 今日 00:41 「…おはようございます まだベッドで安静にしててください」
4949cry — 今日 00:41 自分だけ綺麗なとこから眺めてんじゃねえ、 って言葉が ますみん聞こえてた
sz — 今日 00:42 ますみんの身体が心配イキヤ…
4949cry — 今日 00:43 「…、…」言葉がでないますみん 真澄を見てからもっかいイキヤくんにキスしようとする
sz — 今日 00:45 「…っ 」 拒めばいいのか どうすればいいのか 戸惑ってリアクションできないイキヤ 「樹 さ …
4949cry — 今日 00:48 イキヤくんが樹さんに襲われかけた、て言ってたのを思い出すますみん 樹さんまた舌入れてくるし身体撫でてくる 容赦ない
sz — 今日 00:51 舌入れられたら、初めての性的快楽みたいな感覚にくらっとなって 目の焦点揺らぐ 樹さんの肩掴んで身体離そうとするけど、体撫でられたところから、あついし、ぞわぞわ…これまでにない性的刺激が駆け上ってくる
4949cry — 今日 00:52 …、樹 は 、… ますみん動けない… 樹さんは押し倒そうとしてくる
sz — 今日 00:54 「……っ は…、…ぅ、」 舌入れたキスが慣れなくて息乱れた
4949cry — 今日 00:55 止める べき ?なのか ? 樹は本当に望んでこうしてるわけじゃない …なら …けど そんなの今更すぎて 僕ができることは樹の身体を守ることくらいしか … 自分だけ 高みの見物みたいな、 ますみん部屋から出てった…
sz — 今日 00:58 押し倒してきた樹さんの体をぎゅっと抱き締める「樹さんと真澄さんの悪夢に これで寄り添えるなら …」俺は…
4949cry — 今日 00:59 それだけだと知覚してしまうのでどこまでも逃げる… 樹さんイキヤくんに乗っかってめちゃくちゃにキスしてくる 身体押さえつけるようにしながら擦り付けて刺激する
sz — 今日 01:02 (°°)…セックスさせる…?、
4949cry — 今日 01:02 イキヤくん次第だな
sz — 今日 01:03 さくしゃがエロに飢えてるのでうっかりこのままなだれこませそうで
4949cry — 今日 01:04 ww
sz — 今日 01:05 イキヤならしっかり拒むと思うんだけどなー�� せめて気持ちがないとぜんぶ暴力に感じられるみたいな潜在意識あるし…
4949cry — 今日 01:07 実際に樹さんとこにエロなだれこんでもエロくなさそうなんだよなー 樹さんあんましっかり勃たなくて自分が受け身でイキヤくんを加害者と同じ位置に堕とすみたいな行為としてやってくる クローゼットの中でまるくなるますみん…
sz — 今日 02:08 えええんそれはだめだぁぁ;;
sz — 今日 08:25 樹さんの肩掴んで自分の身体からべりっと引き剥がす「やめてください …したくない」
4949cry — 今日 15:48 「…おまえの意思なんて関係ない 」一度ほほえむ…「やってみたら それはそれでどうにかなってくんだからさ」
sz — 今日 15:55 イキヤがしゅっと樹さんの身体の下から滑るように出てその動きのまま流れるように樹さんの体組み敷いて両腕取り押さえた、痛くない取り押さえ具合 「…やめて、ください こんな…ことより、真澄さんの具合 みにいかさせてください …どうにか、なんて ならない ……ならない ですよ、 もしも俺が樹さんにそういうふうに触れる…時が 来たら ーーーーー」 殺すまでやってしまうだろう
4949cry — 今日 16:13 「きたら?」促すー じっとイキヤくん見あげている…
sz — 今日 16:15 「…言いたくない… 」前に拒絶されて 非難されたことが ある
4949cry — 今日 16:17 「真澄にはするの?」にこ
sz — 今日 16:19 イキヤの目が泣きそうになった 「…… どう なん だろ… わからな… し たい の かも …」違う 違う、 イキヤ混乱している イキヤにとって「セックス」ってその言葉でまとめて把握することが難しい 樹さんとしたらこんなことになる、真澄さんとしたらこんなことになる、って、全部まるで違うことが起きてる感じで、
sz — 今日 16:27 それぞれがどれも一般的な「セックス」って言葉におさまるのか、まとまるのか、わからない?みたいな だから樹さんに、自分とはセックスしないけど真澄とはするのか?、って質問されて、静かに脳内混乱している
4949cry — 今日 16:39 樹さんもセックスは人によって違うと思ってるけどイキヤくんにはいじわる言ってるな… そして真澄もさっきまでそれを聞いてしまったので自分のしてたことがわからなくなってるな…
sz — 今日 16:41 ますみんこれどこまで聞いてるん…
4949cry ますみん部屋から出てった…
4949cry — 今日 16:42 真澄が聞いてたのはここまでだな 「動物のくせに知性があるから苦しむ」じっとイキヤくん見つめる 「イってるときって何も考えられなくなってIQ3とかになるっていうよね 苦しいこととか全部その時は忘れられるの あはは…」
sz — 今日 16:50 だから真澄さんは樹さんとセックスしてた? 安らげるから
4949cry — 今日 16:52 「そんな顔してるなよ」ふ…「今どういう体勢かわかってる?うつひこの好きにしていいよ」 「真澄は俺が殺されてもそれがうつひこのしたことなら受け入れる」
sz — 今日 16:53 イってる時 自慰でも同じなのか …消えたくなる、惨めで苦しくて居場所がないような イキヤが樹さんの胸元に顔伏せて額くっつけた… 「…させないで 優しくさせて…」 泣きそう 涙滲んだ目を閉じて耐えてる
4949cry — 今日 16:58 「…俺がそうさせてるっていうの?」
sz — 今日 17:01 顔伏せたまま 樹さんの首にゆっくり両手が伸びて 優しく纏わりつく 両手のひらの中に樹さんの首がおさまる 触れてるだけ ぐら ぐら 「 たすけ たい …今度こ そ 」 死ぬまで勝手に生かし続けて結局助けられなかった 母さん …
4949cry — 今日 17:06 「おまえがそうしたいだけだ」 睨む…「相手のせいで行動を決めたなんて …自分の人生いきられない奴の責任転嫁だ 自分で自分との折り合いをつけられない子供のいいわけ」 「俺は子供は嫌い」 「セックスがなんだっていうの 心は傷つけられたら戻らないって?戻す必要なんかない 身体の機能があればどうとだってなる 心なんかどうせ忘れたらそれまでの意味付けの塊でしょ 酷いことをされたんだとか可哀想だとか外からどんなに洗脳してこられたって俺は受け入れない」
sz — 今日 17:13 … あいつは 大人  ?
4949cry — 今日 17:13 メタから見てると樹さんがこれ言うのは自分で自分に聞かせるためみたいな感じがするな イキヤくんはまともに樹さんの考えとして受け取っちゃいそうだが
sz — 今日 17:14 イキヤが正気?に戻った 樹さんの言葉から真澄の声が脳裏に響いた 身体を道具やもののように扱う 「ーー………真澄さんの様子、見てきます」
4949cry — 今日 17:17 おお
sz — 今日 17:17 樹さんの上から完全に退いて立つ
4949cry — 今日 17:17 まに受けなかった( ・∇・)…?
sz — 今日 17:18 イキヤはまにうけるやつなんでまにうけてると思うんだけど、それより自分が状態異常でまともじゃねえなって冷静になった
4949cry — 今日 17:18 樹さんもとくにイキヤくんを引き止めたりしない…床で寝そべったままちょっとため息ついてみせる イキヤくん…ヾ(・ω・ )
sz — 今日 17:20 樹さんをナチュラルに助け起こそうとして、また絡みつかれたりしても…と思って、そのまま触れずに、真澄のいる部屋に向かった 相手のせいで行動を決めない…自分のしたいようにしなきゃ、って樹さんの言葉から思った結果、「今は真澄さんが気がかりだ」が一番行動したいことだった
4949cry — 今日 17:26 真澄がいる部屋…湊さんに死なれた時の部屋 閉じ込められたクローゼットに自分で閉じこもっている…
sz — 今日 17:28 んっ?まったく別の場所? 同じ物件の中の違う部屋とかじゃなくて? (°°)…もしこの住居そのものから出ていったようならイキヤが止めてるはず…
4949cry — 今日 17:29 別の場所〜 ほあ
sz — 今日 17:30 今の真澄を簡単に一人で外出はさせない…
4949cry — 今日 17:32 真澄も自覚はないけどトラウマ状態みたいなだからふらふら出てっちゃった
sz — 今日 17:33 …(°°)樹さんの挙動に集中しすぎて真澄が出てったことに気づけなかった…ことにするか…?
4949cry — 今日 17:33 今までも樹さんの言うことで傷付いてふらふらでてっちゃうことはわりとよくあった 気づかなかっってなると部屋の中探す…?
sz — 今日 17:36 イキヤが正気に戻ったので、バリィッッッ!!!と神経張り巡らせて一瞬で周辺一体に真澄の気配がない、居ない、ことに気付いた 一応すべての部屋を急いで見て回ってから、 居ない「樹さん、ちょっと出ます!」猛ダッシュで部屋から出ていく 一人で真澄のいるところまでノンストップで猛ダッシュ 今ならわかる 真澄がどこにいるのか なんでかは分からないけどわかる
4949cry — 今日 17:39 おお…(゚ω゚)えすぱーイキヤ
sz — 今日 17:39 本領発揮 トキさんの子…
4949cry — 今日 17:41 樹さんは追いかけないけど部屋でちゃんと大人しく?寝転がったままでいるかなー
sz — 今日 17:43 真澄のいる家、鍵とかかかってるんだろうか… かかってたらイキヤ迷わず蹴破って突入 真澄のいる地点がクローゼットの中なのを訝しんでもいるけど蹴破って入って迷わずノンストップでその部屋まで行ってクローゼット開けはなつ
4949cry — 今日 17:45 扉には鍵掛けてないかもな クローゼットは外からしか開けられないけど中からは鍵とかないからイキヤくんはすぐあけられるであろう ますみん居る… 蹲って両手で目元とか頭圧迫して強張りすぎてちょっとふるえている
sz — 今日 17:48 「真澄さん 迎えに…きました …」真澄の身体を包むように覆うように抱き締めて優しくさする…
4949cry — 今日 17:50 息止める…
sz — 今日 17:50 「遅くなってごめんなさい …帰りましょう」 呼吸 心音 体温
4949cry — 今日 17:51 「…、… 」行屋さん ? 「う つ ひこ、?」 心音はずっと固まってたと思えんほど速いかな…体温はひえひえ気味
sz — 今日 17:53 イキヤ、さすりながら少し腕緩めて真澄としっかり顔見合わせて優しく微笑む…
4949cry — 今日 17:54 ますみん目圧迫しすぎて一時的に見えなくなっている…
sz — 今日 17:54 「大丈夫ですよ」大丈夫… 真澄をだっこしてクローゼットからそっと連れ出す 近くにベッドとかソファとかくつろげるものあったら、だっこしたまま一緒にそこに一度腰をおろす…
4949cry — 今日 17:56 「あ、」急に身体が浮いて怖がるますみん …おろされた ふあんげ
sz — 今日 17:57 横抱き姿勢 あやすみたいにそのまま、患部に響かないようにだけゆっくりゆっくり…姿勢変えさせる…
4949cry — 今日 17:58 ベッドとかソファあるかなー…ソファベッドあったかな どこの部屋か忘れたw
sz — 今日 17:58 部屋移動させるか…
4949cry — 今日 17:59 うつひこがどうして居る? 幻聴かと思ったら感触まであった ぼく 僕 は …僕 が 居なかったら よかったのに、 どうしたら
sz — 今日 18:01 ゆっっっくり…真澄の身体、さすりさすり… …あっためる…
4949cry — 今日 18:02 すぐ両手で顔覆ったり爪立てたりしそうになる…目見えてないせいかイキヤくんが見てることをちょっと意識から忘れがちなのかも 普段より素のままの不安定な状態だしな さすられて「うつひこ?」ってもっかい呼ぶ
sz — 今日 18:03 「真澄さん 出てったの 気づかなくてごめんなさい …ごめんなさい 」こんなふうに一人にするなんて 早く安静にさせたい 患部がどうなってるかしっかり確認して処置を 目が 見えてない のか? 一過性のもんか?
4949cry — 今日 18:07 「…」どうして謝ってるんだ 僕は 助けなかったのに 怒りもしないで …逆に謝るなんて 僕のせいなのに 頼ったのも引き合わせたのも見てるだけで逃げて うつひこの望むようには全部させてあげられない 樹 が 一番、大事だ、
sz — 今日 18:11 「…大丈夫ですよ」 ーーーーーー…… 「大丈夫… 」
4949cry — 今日 18:12 「なに …」息止めたまま掠れた声…
sz — 今日 18:12 飲みもの … イキヤがキスして自分の唾液を喉に浸ませていいものか悩んでいる… 手近なところに飲み物がない この姿勢を迂闊に変えたくない 傷が 真澄のあたまそっと自分の首筋に引き寄せる… 真澄の頭しずかにゆっっくり撫でる…撫でる… 誰より大事だ…この人が 俺の手で死んでくれたなら …違う 違う、 安らかで いて
4949cry — 今日 18:20 「…僕がもっと居なかったらよかった うつひこは …僕が好きだと言ってくれたけど 僕は愛とかわからない… 僕 を 好きでも …蔑ろにしてしまう 樹のそばにいてくれたら …」 肺の中の息尽きて言葉続かんくなった
sz — 今日 18:26 息尽きて(°°)…イキヤがキスしそうだったがやめるかも…? キスで息吹き込める…?
4949cry — 今日 18:39 息吹き込まれたら今もう弱ってるからとくに抵抗できずに息吹き返される 少しけぽってなる… 目見えてないから病院行ったほうがいいかもな
sz — 今日 18:41 そういう目の見えなさなのか…やばい
4949cry — 今日 18:42 目へのダメージとしては回復しやすい部類ではあるけど しばらく包帯巻いとくことになるのかも 目触っちゃわないように
sz — 今日 18:45 「あなたが居なかったら俺も居ねえし 愛が分かんねえってなら俺が教えます」 どんな手を 使って でも 「…タクシー呼んでいいすか 目、病院行きましょう」 声のトーンと話し方で微笑んでることが分かるように発声した 息、呼吸、声を出すことが苦手なイキヤの、懸命な努力 声を出すことというか、声を自在に操るみたいなこと、が、苦手 CV.小林千晃さん…
4949cry — 今日 18:50 ww
sz — 今日 18:50 がびまる
4949cry — 今日 18:50 優しい言い方なのは感じとっているますみん
4949cry — 今日 18:52 「…どうしたら …」 ますみん寝て起きてすぐここまで歩いてきて痛み止め飲んでないので苦しくなってきて胸押さえた…どうしたらいいのかもわからない 樹さんのことを見てた自分って存在をなくしたい…
sz — 今日 18:59 「今は何も考えないで 目を閉じて、なるべく身体の痛みが和らぐ姿勢と呼吸をすることに、集中して それだけに集中して、…他のことは何も考えないで あなたは何もしなくて大丈夫です」
4949cry — 今日 19:00 「…そ 、」そんなこと
sz — 今日 19:00 見えてないことを承知で真澄にむけて微笑みかけ続ける… 口角が柔らかく持ち上がって声も優しく微笑む
4949cry — 今日 19:01 「…」やさしい 僕に 向けられるには …不相応が過ぎる、こんな
sz — 今日 19:02 大事にしたい…大事にしたい て、イキヤが心から思ってたら、自然にずっと微笑んでるな…
4949cry — 今日 19:02 うつひこに …報われてほしいのに どうして僕なんだ…
sz — 今日 19:03 真澄の頭を優しく撫でつづける…
4949cry — 今日 19:04 撫でられてだんだんトラウマ状態の隠れてた子供から今のますみんに身体が戻ってきて、脈や呼吸が一定になる…
sz — 今日 19:06 「大丈夫… 呼吸に集中して… ごめんなさい…呼吸すると胸…痛むかもしれないけど …らくにして
4949cry — 今日 19:06 ぐったり… うつろに開いたままだった目もくったり閉じた…
sz — 今日 19:08 イキヤ、痩せきった細腕ながら怪力のおかげで真澄をだっこしてても抜群の安定感と安心してぐったり身を任せられる体幹の揺るがなさ 「そう… そのまま静かに… 頭になにか浮かんだら俺の心臓の音をよく聴いて… 」 さす… さす…
4949cry — 今日 19:13 うつひこのおと …
sz — 今日 19:13 ※イキヤの心音は常時頻脈のトキさんと違って平均的かそれより穏やかなくらいです。ただし歳をとるにつれてトキさんと体質が似通ってきて、いふわんでそらちゃんが管理することになった薬が必要になってくる。 今は真澄にはゆっくり穏やかな心音が聴こえるはず
4949cry — 昨日 19:52 …誰の助けにもなれないのに こんなのは報いじゃなくて ここにいていい存在じゃなくて どうしたらいいかわからない …消えたい … 考え ず に 痛み、 うつひこ が いる… 「…」言われた通りにするくらいのことは してあげたい それが優しくて僕に向けられていることに罪悪感はあるけど …
sz — 昨日 20:01 ますみん…いいこ…
4949cry — 昨日 20:04 タクシーのって病院へ…
sz — 昨日 20:05 ずっと付き添うイキヤ 車椅子とかなかったら手をとって介助する
4949cry — 昨日 20:08 圧迫による一時的な視覚障害なのでおくすりのんで血流もどして、30分くらいで見えるようになる…今日は触らないようにって目元に包帯巻かれて、圧迫してた時間とか力の入れ加減から血管が弱いかもってこと言われて、お薬は継続して飲むように処方される 「目が見えない状態で過ごすのは困難ですのでご自宅で介助が難しければ入院していかれますか?」 ってイキヤくんに ますみんは「はい」入院します、て言いそうだが
sz — 昨日 20:10 (゚ロ゚)入院しちゃうの
4949cry — 昨日 20:10 イキヤくんが断ったら一緒に帰ることになるかもだが( ・∇・) ますみん「つい先日まで入院してました?安静にしてくださいよ?」って叱られそうw
sz — 昨日 20:13 真澄が入院生活を望んだらイキヤは無理やりやめさせることはできない… 自宅で介助できるかって聞かれた時に「具体的に気をつけるべきことを教えてもらえるとありがたいのですが」みたいな、返しをナチュラルにしてそう… 目が見えない人を介助するときの注意点…
4949cry — 昨日 20:20 「目は今はもう見えていますので、手の方を固定しても構いません」 「むやみに触れないようにと安静に過ごすように。走ったり、長時間歩いたりして心拍が上昇することも避けてください」 「身体は意識して居る以上に動かしています。習慣になっている動作は無意識にやってしまいますからね」
sz — 昨日 20:24 「これからいつ頃まで注意して過ごすべきですか」
4949cry — 昨日 20:28 「一週間経って視覚に不調がなければ大丈夫でしょう しかし圧迫するとまたなりますからね。目を大事にしてください」
sz — 昨日 20:30 イキヤから見ていつも死にかけの身体の説明が… 「…真澄さん 聞いてましたか…?」
4949cry — 昨日 20:32 「うん」頷く
sz — 昨日 20:33 「手伝うんで、真澄さんも協力してください」
4949cry — 昨日 20:34 「…うん」医師の手前頷くしかないますみん…w お医者さんもますみんが頷いたのみて念押して「お薬出しておきますね」って紙渡して、イキヤ真澄は診察室退出…
sz — 昨日 20:36 帰りもタクシーかな…
4949cry — 昨日 20:36 そうだな ますみん所在なさげ… 今までお助けマンとしてしっかり地に足のついた頼れる風だったますみんの佇まいがちょっと変化した 目見えてないせいかずっとしょん…って俯いてる感じだし…w
sz — 昨日 20:38 イキヤ、タクシーの中でも真澄の片手にずっと手のひら乗せてる… たまに両手で挟んであっためる…
4949cry — 昨日 20:39 イキヤくんあっためれるほど表面温度あるか( ・∇・)
sz — 昨日 20:39 あやしいですね(O O)
4949cry — 昨日 20:39 ww
sz — 昨日 20:40 なんというか、見えてない状態の人に触覚で働きかけようとしてる 冷たいかもしれないけどどこにも触れないよりマシだ みたいな
4949cry — 昨日 20:40 タクシーの中で徐々に回復する視覚
sz — 昨日 20:40 大事に思われてることを知ってほしい
4949cry — 昨日 20:41 痛いほど伝わっている… 「…うつひこ …、」 樹のこと止められずに逃げた って、あの時の話しかけたけど、タクシーだから運転手に聞こえるかも と思って言うのやめる… 痛み止めが効いてて身体が痛くも苦しくもなくて、ふわああ…って疲労というか疲れというかで意識遠のきそうになる
sz — 昨日 20:46 「樹さんは…無事 です 何も なにもして…ません …なにも ってのは …違うのかも しれないけど 」
4949cry — 昨日 20:49 「…!」 「…」ぎゅ って手を握り返す…
sz — 昨日 20:50 「樹さんの そばに… いちゃいけないんじゃないか 俺 助けたい一心で …首に手をかけました …絞めなかったけど 」
4949cry — 昨日 20:58 「…、樹を?」
sz — 昨日 21:00 「 …はい」 「愛してるとも殺したいとも言ってたって 前に樹さんに真澄さんの前で詰られた …言いました …詰られて当然の ーーーー俺は 歪です …誰かを愛したり、思い遣るに値しない …」 殺したい なんて 普通はどれほど相手の幸せを願っても出てくるはずのない発想なんだ、…きっと
sz — 昨日 21:08 俺は根本から だめなんだ
4949cry — 昨日 21:08 「…悪かった」
sz — 昨日 21:09 「…なにに謝ってんすか…」苦笑… 「それでも真澄さんと樹さんのそばにいます 」さいごまで 「…樹さんは 真澄さんのことを こういう俺でも樹さんのそばに居させるのに構わないって 俺になら樹さんを殺されてもいいんだって …言ってました それは 本当ですか」
4949cry — 昨日 21:14 「…樹にとって 死が一番の安らぎかもしれないと思うことがあった なのに …自分の贖罪に突き合わせて 一番大事なのは結局我が身だったんだろうよ この手で樹を殺すことを選べないのを …」うつひこに 今更放り出して逃げるなんて とか 言ってねえで これ以上レイズが嵩む前に終わらせるのがいい …なのに 責めるでもなく 追いかけて 手を差しのべられては 「…悪かった うつひこの好意を自分の目的に利用した…いっとき酷く傷付けてでも突き放すべきだった 」 そうすれば …離れて仕舞えばいずれ傷は癒えて 思い出として置いて行けたかもしれんのに
4949cry — 昨日 21:22 助けなかったくせに 今更どうしようもない、殺せないならせめて自分も死なないまま このままそれぞれの地獄で生きるしか そこに巻き込んでしまった 引き摺り込んだ… うつひこには …好きなように生きて 幸せに過ごしててほしかった 僕でさえなければ …
sz — 昨日 21:27 「ーーー俺は 多分 しつこいですよ どれだけ手酷く重ねて傷つけられようと 愛した人のそばにいます 最期までです 自分の手で逃げ道を片っ端から絶ってるんです どこへもいきたくないから
4949cry — 昨日 21:32 「殺すまで ってことか?」少し声のトーン落とした…運転手ごめん 「うつひこにとっての報いは相手が死ぬことなのか」
sz — 昨日 21:33 …そうじゃなかったはずだった 多分 でも 「母さんが、自分で死んでしまうまで、俺はずっとしつこく生かし続けました 頼まれてもねえ望まれてるか知れねえ介護を勝手に続けて 幼い頃からずっと …樹さんより分かりやすかったとも言える 母さんは繰り返し身を投げて数えきれない回数死にかけた そういう人を なんとか制して生かしてたんです …死だけが報いだなんて思ってたわけじゃなかった はず … どうでもいい他人ならいくらでも助けてやれる、命も救える、そのことに迷いも躊躇も葛藤もない 大事な人だけが そこが曇る 俺の中の躊躇いのない健全性みたいなものが ーーーー俺は ……」 ひ と を  殺せる 「…殺さないし、死を願ってるわけでも…ないです
ただ 安らかにいてほしい 」
4949cry — 昨日 21:54 「…自分の力で実現できる理想には限界があるぜ」ちょっと見えてきた目でイキヤくんの方むく… 「だからとも恋愛沙汰じゃあ理想の相手を探す 野生動物は露骨にそうだろう …うつひこの理想に僕らは合致してない」 「経緯を聞く限りじゃうつひこのやってることは過去の踏襲だ …他に幸福な人との関わりを知らねえからまた似たような事例に引っかかる」 「…おまえが殺人犯になってまで救われるべき人間はいねえよ」
sz — 昨日 22:03 「それを決めるのは俺です。どんな形に歪めて変えてでも、真澄さんと樹さんには救われてもらいます」
4949cry — 昨日 22:09 ますみん俯く… 「…そうかよ …好きにしな」窓の外向く… どうしたらいいかもうわからない …
sz — 昨日 22:13 イキヤにも 分からない…
4949cry — 昨日 22:18 タクシー元の部屋に着いた( ・∇・)
sz — 昨日 22:18 うみ
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takahashicleaning · 4 months
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TEDにて
ジャン = ポール・マリ:戦争で死と遭遇した後に残される恐ろしい余波
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
2003年4月、バグダッドに米軍が侵入を開始したとき、戦場記者。ジャン=ポール・マリが滞在していたホテルをミサイルが直撃しました。
その時、彼は死に直面し、古代より戦場で命を賭けた人たちにとり付いてきた亡霊と出会ったのです。「目に見える傷跡は残さないのに、人を殺すこともできる ― それは一体何なのでしょう?」とマリは問いかけます。
彼が「死の虚無との出会い」と表現したのは、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」とも呼ばれる障害です。死と精神病、そして恐怖と深いトラウマが後に残すものについて探るトークです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、危うく死ぬ。または、重症を負うような出来事の後に起こる、心に加えられた衝撃的な傷が元となる、様々なストレス障害を引き起こす疾患のこと。
私は調査を始めました。やり方はよく知っています。本を読み精神科医に問い合わせ、博物館や図書館へ行き、ついに、この事を知る人々を突き止めました。
軍の精神科医です。そして、これはトラウマと呼ばれる現象でした。アメリカではPTSDやトラウマ・ニューロシスと呼ばれ、これは存在を語られてこなかった現象でした。
それで、トラウマとは何なのでしょう?死との対面です。皆さんは、死を体験したことはありますか?死体のことや病室で亡くなった祖父や交通事故にあった人の話ではありません。
死の虚空についての話です。誰もが見るべきではないものです。昔の言い回しにこうあります「太陽も死もじっと見てはいけない」人は、全てを失う死に焦点を当てて見つめてはいけないのです!!
それを体験してしまうと一見何事もなかったように時は過ぎ、数日、数週間、数ヶ月、時には数年。やがて、突然、爆発します。
それは、すでにウイルスのように頭に入り込んでしまっているのです。心の窓の前には、そのイメージがあって頭に入り込んでいるそのイメージは頭の中を占拠していくのです。
男性も女性も突然、もう眠ることが出来なくなる。苦しみやパニックの発作に襲われます。
脳が誤動作していくパニック発作です。ちょっとした不安などではありません。突然、眠ることが出来なくなるのです。なぜなら眠ると毎晩毎晩、同じ悪夢が現れ同じイメージに苛まれます。
どんなイメージかというと例えば、ある兵士が建物に侵入すると待ち構えていた別の兵士が、銃口を彼に向ける。彼はその銃口を見つめます。すると、銃口は突然巨大になり、形を変え、毛むくじゃらになり全てを飲み込みます。
彼はこう言いました「俺は死を見たんだ。死んでしまったんだ」その瞬間から彼は自分が死んだことに気づいたのでした。これは、単なる感覚ではなくて彼は自分が死んだという確信があったのです。
実際は誰かが入ってきて敵の兵士は逃げたか撃たなかった。彼は撃たれたわけではないのですが、その瞬間に脳が死んでしまったと認識したのです。
例えば、集団墓地の匂い。私もルワンダでたくさん見ました。例えば、友が呼ぶ声。殺されかけている声。
でも、自分には何もできない。その声が聞こえるので毎晩、夜中に目覚め、それが何週間も何ヶ月も続き、子供のようにトランス状態でパニックを起こし、恐怖を感じるのです。
私は、大の男が子供のように泣くのも見ました。頭の中にあのイメージを見て、脳に強制的に焼き付けられた恐怖というイメージを、死の虚空のイメージと認識するのを見て泣くのです。その恐怖に似た何かは、何かを隠しており、頭の全てを占領していきます。
それには、どうしても抗えないのです。
これは珍しいケースでしょうか?いいえ、非常によくあることです!イラク戦争に行った兵士の3分の1は、彼らはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいます。1939年には、第一次世界大戦の兵士20万人が英国の精神病院で治療を受けていました。
戦争の恐ろしさ。脳に焼きついてしまう憎しみの連鎖です。
ベトナムでは、5万4千人のアメリカ兵が死に。1987年には米国政府が10万2千人の(約2倍ですよ)退役軍人たちの自殺を発表しました。ベトナムで戦死した兵士の数の2倍です。これで分かるでしょう。
現代の戦争だけじゃなく、古代の戦争でも本に書かれているように物語られています。
なぜ、私たちはこの事について語らないのか?なぜ口をつぐむのか?もし、そのことを語らなければ破滅が待ち受けています。
治療の方法は、ただ一つ!!
幸いにもこれは回復し得る病なのですが、ムンクの叫びやゴヤなどを思い出してください。そして、治療可能なのです!
トラウマ、このあなたを圧倒し、麻痺させ、しまいには殺してしまう死との対面から回復する唯一の方法は、その経験を表現する方法を見つけることです。
昔の人はこう言いました「ただ言葉だけが我々を一緒につなげるものだ」
言葉がなければ、私たちは人間ではなくなります。言葉のお陰で私たちは人間たり得るのです。このような言葉のない虚無が支配する恐怖のイメージに出会った後、そこから抜け出せる唯一の方法は人間の言葉を発することです。
つまりどういうことか?これは、トラウマの後、間違いなく、人は「存在の耐えられない軽さ」を失い、自分が永遠に存在するかのような感覚という認識を見失います。
これは、ここに居る私たちは永遠に居続けられるという誤った感覚ですが、それなしでは途方に暮れてしまいます。
「じゃあどうすれば?」トラウマの生存者たちは、この永遠の感覚を失い軽さを失うのです。でも、彼らは、新しい発見をすることも出来ます。もし、死と直面することになっても隠れたり沈黙を続けずそれと向き合うということです。
2018年現在では、サピエンスは20万年前からアフリカで進化し、紀元前3万年に集団が形成され、氷河のまだ残るヨーロッパへ進出。紀元前2万年くらいにネアンデルタール人との生存競争に勝ち残ります。
そして、約1万2千年前のギョベクリ・テペの神殿遺跡(トルコ)から古代シュメール人の可能性もあり得るかもしれないので、今後の「T型オベリスク」など発掘作業の進展具合で判明するかもしれません。
メソポタミアのシュメール文明よりも古いことは、年代測定で確認されています。古代エジプトは、約5千年前の紀元前3000年に人類最初の王朝が誕生しています。
(個人的なアイデア)
一度でも、人が人を殺してしまうと、その人は人間という概念には入らなくなる。これを仏教では、「業(ごう)を背負う」と言う概念というが、憎しみの連鎖も近い概念。
解決する方法は、戦国時代の古代日本にあって、人間の概念から外れたサムライ同士が、社会システムのために最前線まで自ら戦いに行き、日本の社会システム内で生きれない代わりに生贄として命を捧げる
こうして、戦いという形で善性に奉仕し、業(ごう)を背負ったサムライも憎しみの連鎖から転化されることで社会システム内の許しを請うという昔の人の知恵です。
法律がない時代の悲しい運命。しかし、法律がある現代でも万能ではないので感情や倫理などもあり難しい問題です。
現代では、人が人を殺してしまった兵士に近いかも。ナショナリズムとも呼ばれる。
最新物理学では、不確定性原理とエネルギー保存の法則により、他人が見ていなくても本人が見ているし、その行動や思いは波動として広がり続け、本人が話さなくても時空に折りたたまれ記憶されていくので
人間の善行為も悪行為も関係なく何千年でも繰り返して行く事象もありえます。
これは、最新物理学で裏付けられてて、仏教では「因果応報」とも言われます。
それに近い現象として・・・
研究論文「Killing Horizons Decohere Quantum Superpositions(キリング・ホライズンは量子の重ね合わせをデコヒーレンスする)」からのインスピレーション。
はじめに量子論で言われる粒子性と波動性。
次に、二重スリットの観測者問題。
三つ目に、ホーキング博士の「ブラックホール情報パラドックス」より・・・
「ソフトヘア」部分は、ブラックホールに落ちる物体だけでなく、ブラックホールの周辺に存在する量子の情報も記録しており、人間のように先入観はない「観測者」の条件を満たしていたことが、最近示されました。
この三つからインスピレーションがきた!
マクロ的にブラックホールが人間の原始的な目の機能を有しているなら・・・
まず、現在2023年までに判明しているユニバースの��り立ちの経緯を説明します。
ビックバン後に素粒子の標準理論に従うならば、ブラックホールが時間をかけて大量に点在して形成していく。
その後、ブラックホールも増え、融合、大質量になるに従い、ブラックホールの重力も範囲が広がる。
それに従い、重力波やその影響を受けた粒子の方も三つ目のメカニズムにより存在が確定していく。指数関数的に物質形成スピードも加速するメカニズム?
ビックバンの爆発を契機に、ブラックホールが波動性のダークエネルギーに満たされたユニバースの「最終的に宇宙に存在する全ての重ね合わせが完全に破壊されることになる」ことで
ユニバース全体の加速度的な時空の膨張にもに繋がります。
つまり、重力波などにより時空の膨張範囲も自発的に起こりつつ、指数関数的に時空膨張スピードも加速していくメカニズムの可能性が示されたかもしれない。
斥力やアクシオン、ダークマター、ダークエネルギーではない?
超大質量ブラックホールが中心にある銀河系以外の場所には、物質が存在しない事象も説明可能になる。時空は存在するが、波動性のままなので物質が生まれないから。
ブラックホールが人間の原始的な目の機能を有している可能性もあります。
逆に、考えるとミクロ的に人間の眼は、マイクロブラックホール生成装置?にも。今まで展開してきた仮説が正しいならそう見えなくもない。
視線に関する日本語の多様な表現には「視線に引き込まれる」など似たような言葉が。
果たしてただの偶然の一致なのか?
人間の眼の新たな機能、可能性として、新しいユニバース視点からここに到達しました。
と考えていたら・・・
さらに、インスピレーションがきました。
ブラックホールの周辺に存在する量子の情報も記録しているなら「梵天」や「アカシックレコード」が、実は、銀河系中心の超大質量ブラックホールのことかもしれない。
このレベルの巨大な記憶装置なら原初の宇宙からの全記録をしていても不思議はない。
仏教の無明にも概念が似ているし、量子エンタングルメントがブラックホールと人間の脳と相関作用して
宇宙際タイヒミューラー理論からアクセスして読み出してるメカニズムがあるかもしれない?
そうなら、少しユニバース領域を拡張してみると別の銀河系の超大質量ブラックホールにもその場所の原初からの全記録がある?
遥か銀河の遠くから重力波?何かのテクノロジーで読み出しができれば、地球にいながら別銀河文明の痕跡も知り得るかもしれない。
と考えてしまいました・・・
そして
モルフォジェネティックフィールドと「キリング・ホライズンは量子の重ね合わせをデコヒーレンスする」から
モルフォジェネティックフィールドによって時空に波動性が記録されていく可能性があるなら
それなら強烈な波動性の感情も時空に記録される?梵天に?
つまり、銀河系の中心にある超大質量ブラックホールに?
しかも、感情は形ある人間にしか発生しないので他の動物は共鳴しない仕組み?
ブッダの言うように人間の「パワーか?フォースか?」の本でのパワーレベルを上げて
自ら変わることで良い感情と共鳴しないと憎しみの連鎖も変わらない?終わらない?
その後
トポロジカルな輪廻転生や最新数学から明らかになっている概念を古代エジプトやそれ以外の宗教概念(パワーか?フォースか?で言う200以上の数値)と組み合わせて・・・
人間にも理解できるように現代的に数値化できないかを考察した。及び、将来の量子コンピューターで計算する可能性やその道筋を示していく。
あの世までは数値化できないが、手前のサンスクリット語でいうパーラミター(彼岸領域)までだけど・・・
「パーラミター」は「波羅蜜多(はらみた)」とも言います。般若心経です。
この仮説に死の瞬間の走馬灯をデータ化した情報を聞いてさらにインスピレーションがきました。
それは、超大質量ブラックホールに死の瞬間の人の記憶がタイヒミューラー理論で量子エンタングルメントにより記録されているとしたら?
つまり、アカシックレコードに記録されているとしたら?
人の死の際に走馬灯。つまり、走馬灯がよぎると言うデータが、死の直前に夢を見ている。もしくは記憶を再生して、何十倍ものスピードで記憶を再生していると言う解釈から
ひらめいたことが1つあります。
もしも死の瞬間に、その激烈な感情を自動的に沸き起こす人間の走馬灯システムが超大質量ブラックホールにアップロードされるための起動スイッチかも?
そのスイッチが入るために、アップロードできている?
または、アップロードするために、感情を一時的に死の瞬間に高めることで、超大質量ブラックホールに記録していると言う可能性が考えられます。
肉体の方は死を迎えるが、そういう意識は、感情を高ぶらせることで、超大質量ブラックホールに記録される
肉体の方、肉体が死を迎えても、意識の方が超大質量ブラックホールに記録されているので、その次の世代に生まれ変わったときに、さまよう意識が・・・
胎児へ回帰し、iPS細胞みたいにリプログラミング。また、そこから超大質量ブラックホールにアクセスしダウンロードできるような仕組みが?
もしかしたらタイヒミューラー理論と合わせて数学的なそういう裏付けで証明できる可能性があるかもしれないとひらめいた。
検証不可能だから、ただの仮説ですけど・・・
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greater-snowdrop · 11 months
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毒を食らわば皿まで
うちよそ。フェドート←ノルバ(パパ従兄弟) ※モブの死/暴力・性暴力行為の示唆
 揺れる焚火を前にマグを両手で包み込む。時折枯れ木が弾ける音を拾いながら、岩場に座すノルバはじっと揺れる炎を見据えていた。泥水より幾分かましなコーヒーはすっかり湯気が消え去り、食事の準備をしていたはずの炊き出し班がいつの間にやら準備を終えて、星夜にけたたましく轟く空襲に負けぬ大声で飯だと叫んでいた。バニシュを応用した魔法結界と防音結界が張られているとはいえ、人の気配までは消すことが出来ないがゆえに常に奇襲が警戒されるこの前哨地において、食事は貴重な愉楽のひとつである。仲間たちが我先にと配膳の前に列を成していくその様子を、ノルバはついと視線だけを向けて捉えた。  サーシャ、ディアミド、キーラ、コノル、ディミトリ、マクシム、ラディスラフ、ヴィタリー。  炊き出しの列に並ぶ仲間の名を、かさついた口元だけを動かし声は出さずに祈るように唱える。土埃にまみれた彼らが疲弊しきった顔を綻ばせて皿を受け取っていく様に、ノルバは深く息を吐いた。
「おい、食わないと持たないぞ」 「っで」
 コン、と後頭部を何かで軽く叩かれ、前のめりになった姿勢に応じてマグの水面が揺れる。後ろを仰ぎ見れば、見慣れた顔が深皿を両手に立っていた。
「フェドート……」 「ほら、お前の分だ」 「ああ……悪ィな」
 ぬるくなったマグを腰かけている岩場に乗せ、フェドートから差し出された皿を受け取る。合金の皿に盛られたありあわせの材料を混ぜ込んだスープは、適温と言うものを知らないのか皿越しでも熱が伝わるほど酷く熱い。そういえば今日の炊事係にはシネイドがいたな、と彼女の顔を思い浮かべ苦笑いを零した。  皿を渡すと早々に隣を陣取ったフェドートは、厳つい顔に似合わず猫舌のために息を吹きかけて冷ましており、その姿に思わず小さく笑い声がもれる。すかさずノルバの腕を肘で突いてきたフェドートに「面白れェんだから仕方ねえだろ」と毎度の言い訳を口にすれば、彼は不服そうな顔を全面に出しながら「それで、」と話を切り上げた。
「さっきは何を考えていたんだ。お前がぼうっとしているなんて、珍しい」 「…………ま、ちょっとな」
 ようやく冷まし終えた一口目を口に含んだフェドートに、ノルバは煮え切らない声で返した。彼の態度にフェドートはただ咀嚼しながら無言でノルバを射抜く。それに弱いの分かってやっているだろ、とは言えず、ノルバは手の中でほこほこと煮えているスープに視線を落として一口分を匙で掬った。  豆を中心に大ぶりに切られたポポトやカロットを香辛料と共に煮込んだスープは、補給路断たれる可能性が常にあり、戦況の泥沼化で食糧不足に陥りやすい前線において比較的良い食事であった。フェドートが別途で袋に詰めて持ってきたブレッドや干し肉のことも考えれば、豪華と言えるほどである。まるで、最期の晩餐のようなものだ。  ───実際、そうなるのかもしれないが。  ため息を吐くように匙に息を吹きかけ、口内を火傷させる勢いのスープを口に放り込んだ。ブレッドと食べることを前提に作ったのだろう。濃い味付けのそれは鳴りを潜めていた空きっ腹を呼び覚ますのには十分だった。  フェドートとの間に置かれたブレッド入りの袋に手を伸ばす。だが彼はそれを予測していたらしく、袋をさっと取り上げた。話すまで渡さないという無言の圧を送られたノルバは観念して充分に噛んだ具材を飲み下す。表面上を冷ましただけではどうにもならなかった根菜の熱さが喉を通り抜けた。
「次の作戦を考えてた。今日までの作戦で死者が予想以上に出るわ、癒し手が不足してるわで頭が重いのはもちろんだが、副官が俺の部下九人を道連れにしたモンだからどうにもいい案が浮かばなくてな」
 言って、ノルバはフェドートの手から袋を奪取すると中から堅焼きのブレッドを取り出し、やるせなさをぶつけるように噛み千切った。何があったのか尋ねてきた彼に、ノルバはくい、と顎で前哨地に設営された天幕を指す。中にはヒューラン族の男が一人とロスガル族の男が二人。ノルバと同じく、部隊指揮官の者達だった。折り畳み式の簡易テーブルの上に置かれた詳細地図を取り囲み話をしているが、平行線をたどっているのか時折首を振る様子や頭を掻く様子が見える。  お前は参加しなくていいのか、とノルバに問おうとして、ふと人数が足りないことに気付いた。ここにはノルバ率いる第四遊撃隊と己が所属し副官を務める第二先鋒隊、その他に第八術士隊と第十五歩兵隊に第七索敵隊がいたはずだ。そう、もう一人部隊長が────確かヒューラン族の女がいたと思ったが。  フェドートが違和感を覚えたことを察したのか、ノルバはスープに浸したブレッドを飲み下すとぬるいコーヒーを手に取り、その味ゆえか、はたまたこの状況ゆえか、眉間に皺を寄せつつ少量啜った。
「セッカ……索敵隊の隊長な、昨日遅くに死んだんだわ。今回の作戦は早朝の索敵と妨害がねェ限り成り立たなかったろ? 俺はその代打で一時的に遊撃隊を離れて第七索敵隊の指揮を預かってた。…………そうしたら、このザマだ」 「……副隊長はどうしたんだ、彼女が死んだのならそいつが立つべきじゃあないのか?」 「普通はな。ただ、まあ、お前と同じだよ。副官としては優秀だが、全体を指揮する人間とは畑が違う。本人の自覚に加えて次の任務は少しの失敗もできないとあって、俺にお鉢が回ってきたってェわけだ」
 揺れる焚火の薪が音を立てて弾けた。フェドートはノルバの言葉に思い当たる節があるのか、「ああ……」と声を零すと干し肉を裂いてスープの中に落としていく。ノルバはその様子に僅かに口角を上げると、ブレッドをまたスープに浸して食みながら状況を語った。  曰く、昨日遅くに死んだセッカは直前まで普段と至って変わらない様子だったという。しかし、日付が変わる直前、天幕で早朝からの作戦に向けての確認作業中にセッカは突如嘔吐をして倒れ、そのままあっけなく死んだ。彼女のあまりにも急すぎる死に検死が行われた結果、前回の斥候で腕に負った傷から遅効性の毒が検出され、毒死という結論に至った。  本人に毒を受けた自覚がなかったこと、術士隊がその日は夜の任であり癒し手の人数が不足していたため軽症者は各自で応急処置をしていたこと、その後帰還した術士隊も多数の死傷者を抱えて帰ってきたこと等、様々な不幸が折り重なって生まれた取り返しのつかない出来事だった。  問題は死んだ時間である。早朝からの任務を控えていたセッカが夜分に死亡し、且つ翌朝の作戦は必要不可欠であったため代理の指揮官を早々に選出しなければならなかった。だが、セッカの副官である男は「己にその器たる資格なし」と固辞し、索敵隊の者も皆今回の作戦の重大さを理解しているからこそ望んで進み出るものはいなかった。  その最中、索敵隊のひとりが「ノルバ殿はどうか」と声を上げたのだと言う。基本的にノルバは作戦に応じて所属が変わる立場だ。レジスタンス発足後間もない頃、何もかもを少数でこなさなければならない時期からの者という事もあって手にしている技術は多岐にわたる。索敵隊が推した所以である諜報技術もその一つだった。結局、せめて今回作戦だけでもと頼まれたノルバは一日遊撃隊を離れ、索敵隊を率いたという。
「別に悪いとは言わねェよ。あの状況で、索敵隊の精神状況と動かせるヤツを考えれば俺がつくのが妥当だ。俺はセッカがドマから客将として入ってから忍術の手ほどきも受けていたから、死んだと聞いた時から予想はしてた」 「………………」 「ああ、遊撃隊は生還率が高く、指揮官が一時離脱しても一戦はどうにかなると言われたな。実際、俺もどうにかなる……どうにかさせると思ってたさ。そうなるよう事前に俺がいない間の指示も伝えてから行った。だけどよ、前線を甘く見る馬鹿が俺がいないからって浮足立って独断行動をしたら、どうにもなんねェんだわ、そんなの」
 ブレッドの最後の一口を呑む。焚火の煙を追って、ノルバは天を仰いだ。帝国軍からの空襲は相変わらず止む気配がない。威嚇を兼ねたそれごときで壊れる青龍壁ではないが、星の瞬く夜空を汚すには十分だった。
「技術はあって損はないけどよ、その技術で転々とする道を進んだ結果、一度酒飲んで笑った仲間が、命を預かった部下が、てめェの知らねえとこで、クソ野郎の所為でくたばっていく度に、なんで俺は獲物一つの野郎でいられなかったんだと思う」
 目を瞑る。第四遊撃隊は今朝まで十六人だった。その、馬鹿な副官を合わせて十人。全体の約三分の二を喪った。良かったことと言えば、生き残った者たちが皆比較的軽症だったことだ。戦場で果てた者たちが、彼らの退路を守ってくれたという。死んだ部下たちの遺体は回収できなかった。帝国が回収し四肢切断やら臓器の取り分けやらをされて実験道具としているか、はたまた荒野に打ち捨てられたままか、どちらかだろう。明日戦場に出た時に目につくだろうか。もう既に腐敗は始まっているだろう。その頃には虫や鳥が集っているかもしれない。  とん、とノルバの背に手が触れた。戦場において味方を鼓舞するそれを半分隠せるほど大きな手。その手は子供をあやす父親のようにゆっくりと数回ノルバの背を叩くと、くせの強い彼の髪に触れた。届かない空を見上げていたノルバの視線をぐっと地に向かせるように、荒っぽいが情愛のある手つきでがしがしとかき回す。「零れるからやめろ馬鹿!」と騒ぐノルバに手を止めると、最後に彼の頭を二度軽く叩いて手を離した。  無理をするな、とも、泣いていい、とも言わない。それらがノルバにはできないことであり、また見せてはならない顔であることを元々軍属であったフェドートは理解していた。ノルバは片手で椀を抱えたままもう片方で眉間を抑え、深く息を吸って、吐いた。
「……今回の大規模な作戦目標は、この東地区の中間地点までの制圧だ。目標達成まであと僅か、作戦期間は残り一日。全部隊の半数以上が戦死し、出来る作戦にも限りがある……が、ここでは引けない。分かっているよな」 「ああ。この前哨地の後ろは湿地帯だ。今は雲一つない空だが、一昨日から今日の昼間までにかけての雨で沼がぬかるみを増している。下手に後退すれば沼を渡っている最中に敵に囲まれるのがオチだ。運よく抜け出せたとしても、晴れだしてきた天気の中ではすぐに追跡される。補給路どころか後衛基地の居場所を教えてしまうだろうな。襲撃されたら単なる任務失敗では済まない」 「そうだなァ、他にはあるか?」 「……第七索敵隊の隊長はドマからの客将だったな。彼女が死んだとあれば、仲間の命を優先して中途半端に任務を終えて帰るべきではない────いや、帰れないな。"彼女は勇敢に戦い、不幸にも命を落としました。また、甚大な被害が出たため作戦目標も達成することが出来ず帰還しました。"ではドマへの示しがつかない。せめて、目標は達成しなければどうにもならん」 「わかってるじゃねェの」
 くつくつと喉を鳴らして笑うノルバを横目に、フェドートは適温になってきたなと思いながらスープを食む。豆と根菜に内包された熱さは随分とましになっていた。馴染み深い香草と塩っ気の濃い味で口内を満たしながら、フェドートはこちらに向けられている視線へと眼光を光らせた。  鋭い獣の瞳の先にあるのは、ノルバが指した天幕。射抜かれたロスガルの男は肩をわずかに揺らすと、すぐに視線を地図へと戻した。フェドートは男の態度にすっと目線を椀へと戻すと、匙いっぱいにスープを掬う。具に押しのけられて溢れたスープが、ぼとぼとと椀に戻っていった。  万が一にでもこのまま撤退という話になれば────もしくは目標を達成できず退却戦となれば、後方基地に帰った後、まず間違いなくノルバは責任を問われる者のひとりになるだろう。ともすれば、全体の責任を負いかねない。ノルバ自身は最良を尽くし、明らかに自身の行いではないことで部下を大量に失っている身だが、皮肉なことに彼はボズヤ人でないことや帝国軍に身内を殺された経験を特に持たないことから周囲の反感を買っている。責任の押し付け合いの的にするには格好の獲物だ。  貴重な戦力であり、十二年ひたすらに積み重ねてきた武勲もある。まず死ぬことはないだろうが相応の折檻はあるだろう。フェドートは息子同然の子の師であり、共にボズヤ解放を目指す戦友であるノルバにその扱いが待ち受けているのが分かっているからこそ、引けないとも思っていた。ノルバ本人にそのことを言っても「いつものことだ」と笑うから決して口にはしてやらないが。  汁がほとんど匙から零れ、具だけが残ったそれを口に運ぶ。いつの間にかノルバは顔から手を離していた。血糊の瞳と、濁った白銀の瞳はただ前を見つめ��いる。ノルバは肩から力を抜くように大きく息を吐き出すと、フェドートに続くように匙いっぱいにスープを掬い大口を開けて食べ、袋から干し肉を取り出して頬張った。
「ま、何にしろ全体の損失を考えりゃここでは引けねェが、簡単に言えばあと一日持たせてもう目と鼻の先にある目的を達成さえすればどうとでもなるんだ。なら、大人しく仰々しいメシを食いながら全滅を待つこたァねえ。やっこさんを出し抜いて、一泡吹かせてやろうじゃねェの」 「本当に簡単に言うなぁ……」 「そんぐらいの気持ちでいかなきゃやってけねェんだよ、ここじゃあな。ダニラ達もあっちで相当頭捻ってるし、案外メシ食ってたら何か、し、ら…………」
 饒舌に動いていた口が止まる。急に黙り込んだノルバにフェドートは怪訝そうな顔でどうしたと彼を見やる。眼に映った顔は、笑っていた。  ノルバの手の中で、空の匙が一度踊る。そのしぐさに目を奪われていると、匙はこちらを指してきた。
「なあ、フェドート。アンタ、俺の副官になる気はないか?」
 悪戯を思いついたこどものような表情だった。しかし、彼の声色が、瞳が、冗談なのではないのだと語る。「は、」とフェドートは吐息のごとく短い声を上げた。ノルバは手を引いて袋の中からまたブレッドを手に取る。「ようはこういうことだ」ノルバは堅く焼いたそれを一口大に引きちぎり、ぼとり、と残り半分もないスープの中に落とした。
「遊撃隊と」
 ぼとり。
「先鋒隊と」
 ぼとり。
「索敵隊。この三部隊を統合して俺の指揮下に置き、一部隊にしたい」
 三つのかけらを入れたスープをノルバは匙でくるりと回す。突飛な発想だった。確かに遊撃隊はノルバを含め僅か六人の生存者しかいない。どこかの部隊に吸収されるか、歩兵隊あたりから誰かを引き抜いてくる必要はあるだろうが、わざわざ先鋒隊と索敵隊をまとめる必要があるかと言われれば否である。  帝国との兵力差は依然としてある状況でいかにして勝ち進めることができているのかと問われれば、それは部隊を細かく分けて配置し、ゲリラ戦で挑んでいるからに他ならない。それをノルバはよく知っているだろうに、何故。  答えあぐねているフェドートにノルバは真面目だなと笑うと、策があるのだと語った。
「承諾が得られるまで細けェことは話せねェが、成功率は高いはずだ。交戦時間が短く済むだろうからな。それが生存率に繋がるかと言われれば弱いが、生き残ってる奴らの肉体と精神両方の疲労を考えれば、戦えば戦うほど不利になるだろうし、どうせ負けりゃほとんどが死体だ。だったら勝率を優先した方がいい。ダニラのヤツは反対するかもしれねェが……俺が作戦の立案者で歩兵隊と変わらない規模の再編隊を率いるとなれば、失敗したら責任を負いたくない野郎共は頷くだろ」 「おいノルバ、」 「で、これの問題点と言やァ、デケェリスクと責任を全部しょい込んで無茶苦茶を通そうとする馬鹿の補佐につける奴なんて限られてるし、そもそも誰もつきたかねェってとこなんだが」
 ノルバ自身への扱いを聞きかねて小言を呈そうとした口を遮って続けられた言葉に、フェドートは息を詰まらせた。目の前の濁った白銀と血溜まりの瞳が炎を映して淡く輝く。
「その上で、だ。もう一度言うぞ、第二先鋒隊副隊長さんよ。生き残って勝つ以外は全部クソな俺の隣席だが、そこに全てを賭けて腰を据える気はないか?」
 吐き出された地獄へ導く言葉は弾んでいた。そのアンバランスさは他人が見れば奇怪に映るだろうが、フェドートにとってはパズルピースの最後の一枚がはめられ、平らになった絵画を目にした時のような思いだった。ああ、お前はこんなに暴力的で、強引で、けれども理性的な男だったのか。  「おっと、ギャンブルは嫌いだったっけか」とノルバが煽るように言う。彼の手の中でまた匙がくるりと弧を描いた。茨の海のど真ん中で踊ろうと誘っておきながら、退路をちらつかせるのは彼なりの優しさかそれとも意地の悪さか──おそらくは両方だろう。けれども、フェドートはここでその手を取らぬほど���野暮な男になったつもりはなかった。  フェドートが口角を上げて応える。ノルバは悪戯の成功したこどもの顔で「決まりだな」と言うと、浸したブレッドを頬張る。熱くもなく、かと言ってぬるくもない。シネイドが作ったであろう火だるまのようなスープはただ美味いだけのスープになっていた。  この機を逃すまいと食べ進めることに集中した彼に合わせてフェドートも小気味よく食事を進ませ、ノルバが最後の一口を口に入れるのに合わせてスープを飲み干す。は、と僅かに声を立てて息づくと、ノルバは空の皿を脇に置き腰のポーチを漁ると小箱を取り出した。フェドートはそれに嫌そうな顔を湛え腰を浮かせたが、「まあ待てよ」とノルバがにやにやと笑って彼の腕を掴んだ。その細い腕からは想像できないほどの力で腕をがっちりと掴んできた所為で逃げ道を塞がれる。もう片方の手でノルバは器用に小箱を開けた。中に鎮座していたのは煙草だった。
「俺が苦手なのは知っているだろう!」 「わーってるわーってる。そう逃げんなよ。願掛けぐらい付き合えって」
 スカテイ山脈の麓を生息地域とする特有の葉を使ったそれは、ボズヤでは広く市民に親しまれてきた銘柄だった。帝国の支配が根深くなり量産がしやすく比較的安価なシガレットが普及してからというもの、目にしなくなって久しかったが、レジスタンスのひとりが偶然クガネで発見し仲間内に再び流行らせたという。ノルバも同輩から教えられたらしく、好んで吸う側の一人だった。  ノルバは小箱から葉巻を取って口に咥えると、ポーチの中に小箱をしまい、代わりに無骨なライターを取り出して、フェドートに向かってひょいと投げた。フェドートが器用に受け取ったのを見るや否や彼は咥えた煙草を指差して、「ん」と喉の奥から言葉とも言えない声を上げた。フォエドートが嫌がる顔をものともせず、むしろそんなものは見ていないとばかりに長く白いまつげを伏せて火を待つノルバに、フェドートは観念してライターの蓋を開けると、押し付けるように彼の口元の上巻き葉を焦がした。
「今回だけだぞ。いいか、吐くときはこっちには、ぶっ、げほッ!」 「ダハハハハ!」
 フェドートが注意を言い終わるよりも先に、ノルバは彼に向かって盛大に煙を吐き出した。全身の毛を逆立ててむせる彼に、ノルバは腹を抱えてげらげらと笑う。
「お前なあ!」 「逃げねえのが悪ィんだよ、逃げねえのが」 「お前が離さなかったんだろうが!!」
 威嚇する猫のように叫ぶフェドートなどどこ吹く風で笑い続けるノルバに、「ったく……」と彼はがしがしと頭を掻く。ノルバの側に置かれた椀をしかめっ面のまま手に取り、もう片手で自身が使った皿と空になった麻袋を持ってフェドートは岩場から立ち上がった。
「こいつは片付けてくるから、吸い終わってから作戦会議に呼び出せよ、ノルバ」
 しかめっ面の合間から僅かに呆れた笑みを見せたフェドートは、ノルバに背を向けると配膳の天幕から手を振るシネイドの方へと足を進めた。その彼の後ろ祖型を目で追いながらノルバは膝に肘を立て頬杖をつくと、いまだくつくつと喉からもれだす笑い声は殺さないまま焚火の煙を追うように薄く狼煙を上げる葉巻を弄ぶ。
「他のヤツならこれでイッパツなのになァ。わっかんねェな、アイツ。おもしれえの」
 フェドートの背中にふうっと息を吐く。煙で歪んだ彼の背は掴みどころが見つからない。ノルバはもう一度吸ってその煙幕をさらに深くするように吐きだすと、すっかり冷めたコーヒーを飲み干して立ち上がった。
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c6h4clch3-share · 1 year
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サイバーパンク2077
あなたはサイバーパンクと呼ばれるジャンルを知っているだろうか。 端的に言えば、人体と機械とを置換するサイバネティック技術の普及した未来でパンク=自分の生き様や美学を貫き通して果てる好漢たちを描くジャンルだ。
そんなサイバーパンクの世界観で生きる一人のパンクとなって未来都市のオープンワールドを駆けるゲームが存在する。そう、それがサイバーパンク2077だ。
世界観
時は2077年、資本主義が増長し合衆国体制の崩壊したアメリカ。
国家や自治体よりも私企業がマネーパワーと政治的発言力を持ち、個人の尊厳や高潔な倫理なんてケツ拭く紙にもなりゃしねぇ。 サイバーウェアと呼ばれる人体に埋め込む機械による義体技術が普及した未来都市「ナイトシティ」で、各企業は覇権を握るために暗闘し、様々なギャングや傭兵が金に踊らされ代理戦争を行う、そんな世界。
とまぁ色々と書いたが、基本的に情報量で圧殺してくるジャンルなので簡単なところだけ抑えて聞き流してもらって構わない。 具体的には、以下のポイントだけ抑えて貰えればいい。
機械を人体に埋め込む技術が発達している
国家よりも私企業の権力が強く、ギャングを使った代理戦争をしている
舞台こそアメリカだが企業勢力は日系企業、中華系企業も参戦している
ギャング勢力の国際色も豊かで、ギャングの縄張りごとにそれぞれの文化で街が彩られていく
インターネットは AI の暴走により崩壊している
生き残っているのは都市単位のファイアウォールにより守られたイントラネット
元々は TRPG の系譜であり、プレイヤーはそんな裏稼業で自身の名を挙げるべく奮闘する傭兵となってさまざまな依頼を受けて銃弾をブチ込んだりブチ込まれたりみたいな日々を送っていく。2077 でもそれは同様だ。
サイバーパンク2077の「ウリ」
ゲームの限界に挑んだビジュアル
youtube
まぁまずはこの動画を見て欲しい。 ゲーム内のビジュアル表現の細かさと大都会の情報量に圧倒されることだろう。 画角などは撮影用に調整されゲームに必要な UI は消されているが、これらの映像は概ねゲームの映像をそのまま使用している。
こんな誰もが描いたような未来都市や広大な荒野をオープンワールドでハチャメチャに走り回れるのだ。もうこれだけで楽しい。 レイトレーシングにも対応し、細部に至るまでリアルを追求した未来世界が目の前に広がる。一人称視点の RPG であることもあり、世界観への没入感が非常に高い。
もちろん相応に要求されるスペックも高いけどね……。
最高に悪い治安
ところでこの未来都市、治安が最高に悪い。
至る所に浮浪者、荒くれ、酔っぱらい、ギャングがひしめいている。まともな市民なんてナイトシティには数える程もいない。 道を歩けばガンをつけられ、あちこちで鉛玉が飛び交い、夜のお店がネオンをギラつかせている。だがそれがいい。
命の価値が非常に軽いからこそ、どのように生きてどのように死んだかがパンクの人生を物語るのだ。平凡な男はナイトシティに居場所はない。 ある種、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という由緒ある日本人的な刹那の情緒が遠く海を隔てたアメリカで生きている。
ところで、日本はこの世界観においては「悪役」である。 というのも、この世界観が世に出たのは日本の高度経済成長期、アメリカを経済力で喰おうとせんばかりの時代だった。アメリカ人にとって日本は武力によらない静かな侵略者であり、この世界観においてもそれは覇権企業「アラサカ」という形で登場しており、ナイトシティ市民には蛇蝎のごとく嫌われている。
そんな悪役であるところの日本で人気を博した「滅びの美学」が作中の主役であるパンクたちの価値観として普及しているのはなんたる皮肉か、と思わざるを得ない。
バディもの+ピカレスクロマンというオタク垂涎のストーリー
本作のストーリーを大まかにジャンル分けするなら、「バディもの+ピカレスクロマン」であろう。
主人公である「V」はナイトシティで活躍する傭兵であり、ストーリー序盤ではゲーム開始前から苦楽をともにしてきた気さくな相棒の「ジャッキー・ウェルズ」と、中盤以降の転機を迎えて以降は伝説のロックミュージシャンにして反企業を先導したカリスマ、「ジョニー・シルヴァーハンド」の意識体とともに様々な依頼をこなしていくことになる。
ジャッキー・ウェルズはスペイン系の流れを汲むラテンの陽気な男で、主人公Vとはあるきっかけから意気投合し相棒として傭兵稼業に飛び込んでいく。 陽気な言い回し、息の合った掛け合い、「背中は預けた」と言わんばかりの共闘体制。プレイヤーとしても親しみを持たずにはいられないそんな男だ。
反してジョニー・シルヴァーハンドはクズ・オブ・ザ・イヤー2020を受賞するクズの中のクズだ。 企業に対してのテロ活動を繰り返した結果、2020年の事件で精神を企業に捕らえられ、デジタルチップの中に閉じ込められた彼はVの頭の中で目を覚ます。 やれ「タバコを吸わせろ、無ければ買ってこい」だの、「この体は俺がもらう、お前は銃で頭を撃ち抜いて死んじまえ」だの、第一印象は最悪な上に、意識体なので戦闘ではクソの役にも立ってくれないしクエスト中も四六時中うるさいし何かあったらすぐ企業に中指を立てる。ジャッキーと比較してウザくて仕方がない。 だが、様々な難局を共にくぐり抜け、過去を共有し、次第に死に向かっていくVの体を案じている姿を見るうちに、不思議と憎めないやつになっていく。クズな友人を持つ気分とは、あるいは、ヒモに誑かされるとはこういうものか。まぁクズなんですぐ雑な関係に戻るんですけどね。
こういったタイプの違う二人の相棒とのバディ関係、関係性オタクならこれだけでご飯何杯食えるかわからない。美味すぎる。
マルチエンドを採用している本作では物語の決着の形はいくつかあるのだが、個人的には「死神」ルートと呼ばれるルートでのジョニーとの関係性が非常に好みなので、ぜひここまでたどり着いていただきたい。
また、本作は「ピカレスクロマン」の要素を汲んだ一作でもある。 ナイトシティの秩序は私企業が握っており、そんな企業に対して反旗を翻す「生き様への美学を持った傭兵」たちは反体制側という構図になる。 Vは単なる傭兵であり、企業への反感はあれどナイトシティの一般市民の範疇は出ていないのだが、ある事件で企業によって余命幾ばくもない身体となり、果には大昔の反企業テロリストと身体を共有することに。 そんな「同居人」に毒されたか、はたまた個人としての恨みか、傭兵として立身出世し名を挙げたVは最終的に覇権企業「アラサカ」に全面戦争を仕掛けるまでに至る。その過程で出逢う様々なパンクたちや相棒ジャッキー、ジョニーやV自身の生き様は「美学」と呼ぶべきものであり、その美学を貫き通して生き様をナイトシティに刻みつけていく。
こっちはこっちでオタクたまんないよなぁ!? じゃあ2つを一気に味わったらどうなっちまうんだ? ……こうやってナイトシティから出られなくなるのさ。お前もどうだ?
自由度の高いビルドシステム
オープンワールドといえば「自由さ」がウリのゲームシステムだ。
本作においても広大な舞台を自由に駆け回りあちこちに喧嘩をふっかけクエストをこなす楽しみはオープンワールドの基本通りの楽しみ方である。
だが、本作における「自由さ」はそれだけにとどまらない。 キャラクタービルドの自由の高さというのも本作を象徴する「自由さ」である。
例えば、自身の肉体のみを頼りに拳で全てを沈めていくストリートブロウラー。 例えば、アサルトライフルやショットガンで射撃戦を制するソロ。 例えば、敵地に隠密潜入しサイレンサー付きハンドガンで秘密裏に敵を屠るアサシン。 例えば、相手を視線だけでハッキングし悟られること無く敵を制圧するネットランナー。
これら全て本作で実現できるキャラクタービルドである。 もともとサイバーパンクという世界観は TRPG で培われたものであるため、それを踏まえた本作は主人公の戦い方にも TRPG さながらの自由さが反映されている。
FPS というジャンルではあるが、銃など撃たずともクリアは可能なのだ。 ちなみに、自分はハンドガンとハッキングで完全ステルスなニンジャプレイをしている。襲われたことすら悟らせず銃弾一発、視線の一差しで仕留める。超楽しい。
おわりに
本作は視覚聴覚テキスト、全てに渡って圧倒的な質感と情報量でプレイヤーを圧倒し魅了するゲームだ。 高い没入感と下らなくて魅力的な世界、そしてその世界で生きる一人の傭兵の生き様を自由に描いていけるゲーム性。まさにプレイヤーがナイトシティに生きていると言って過言ではない。
その分高いマシンスペックのゲーミングPCや次世代コンシューマ機を要求するし、ソフトの値段も高いので二の足を踏む気持ちはわかる……。とても良くわかる。 なので、YouTube でゲームプレイの配信や動画を見たり、同じ世界観で制作されたスピンオフアニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」を見て、少しでもナイトシティに興味を持ってもらえたら是非本作を手に取ってもらいたい。 また、原作 TRPG も新版が本作の人気に後押しされ人気を博しているので、TRPG プレイヤーはぜひこちらも楽しんでいただきたい。卓が欲しければ立てるから。立てるから……
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supersoniclevel · 2 years
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真5プレイ記 その6
だんだん実際の進行状況に近づいてきました。 以下ねたばれ注意(台東区クリアまで)
台東区エリアの大体: あっ、あの上に宝箱がある!……でも行けない…… お!あそこにマガツカがある!……でも行けない…… あそこに行くためにここに上りたいのに、ここに上るにはどこから行けばいいの!? (地図とにらめっこしてあっちいったりこっち行ったりぐるぐるまわる) くぁ~~~~こんな所に道あったんかい~~~~!!!💢💢💢💢💢💢 んで目的地に着いたら着いたでマガツカの悪魔にぶち殺されたり宝箱の中身が拾えなかったり報われぬこと甚だしい。 でも、これまではほぼおつかいというか、まずはここ、次はここ、って細かく目的地を決められてたのが、今回はどの主神からぶちのめしてもいいので、オープンワールドのマップを冒険するような楽しさはありました。 前回のアブディエル&いちろうくんのイベントと、たおちのイベントを経て、「物語が動き出した! いよいよ終わりの始まりだ……!」ってめちゃめちゃテンション上がってゼウスの所に一直線で向かっていったらあっさり1ターンキルされたので、おとなしくマップ全部埋めてから主神たちを一人ずつやっつけました。……え? シヴァ? 知らない神ですね…… ゼウスに一番苦戦したけど、オーディンとヴァスキは割とサクサク。台東区を彷徨い歩いた甲斐があったぜ…… オーディン初見のとき、ビノくんが電撃撃ったら反射されて自ターンが即時終了して、ヤバイ!と思ったらオーディンが電撃撃ってきてビノくんがブロックして敵ターンが即時終了したので、イチャイチャしてんじゃね~~~~となったのがちょっと面白かったです。ビノくんは反射ダメージもらってるのでビノくんの負け。 さて、終盤とあって、道中ではこれまでの関わったキャラとひととおりイベントが発生。 ゆづるくん:「やる気無いなら余計な手出しすんな」と牽制される。 急に殺意高め……まああんだけ「行きたくない」「やりたくない」「気が重い」って態度に出してりゃそうなるか……。 なんかいちろうくんがアブディ��ルのとこにいくのは明らかだったから、将来的にアブディエルと敵対したらいちろうくんも敵になるだろうというのは予想していたけど、ゆづるくんとこういう形で道を分かれる可能性が出てくるとは意外でした。 東京を活かすルート?を選べばゆづるくん&ツクヨミとは協力関係でいられるんだろうけど、そうでない場合は彼は黙ってないわけだ…… ところでこれ、たおちはどうなんだろ? 「何もわからず消えていく東京の人たちを哀れだと思うなら創世しましょ」的なこと言ってたけど、もししんごくんが東京は魔界に還るべきっていう決断をしたとしたら、彼女はしんごくんを至高天へ導いてくれるんだろうか? アオガミさんはなんかもうしんごくんが何言っても受け入れてくれるしついてきてくれそうだけど…… いちろうくん:「自分がアブディエル様を導く」と腹を決めた様子。 何度も言っているけど、「神の秩序があって、それに従ってさえいれば平和な世界が保たれる」っていうのはとても安心で、楽。正解がない、何が正解かわからないことにずっと不安を抱えて生きてきたいちろうくんが神の秩序を求めるのはとても自然なこと。ロウくんはそれに縋るあまり、まるで自分の意思でその道を選んだかのように錯覚し、利用されてしまったけど、でもいちろうくんは、世界に神の秩序をもたらすための力を得ることを、自分の意思で決めたわけだな。 ずっと思っていました。自分の頭で考え、自分の心で決めてほしいって。彼はそうした。ならもう何にも言わないよ。もし道を違えても、きみとは全力で殺し合える。またしかるべきときに会おう。 ちなみにすげ~どうでもいいんですが、学生寮の屋上にいるアフロの学生、さっさといちろうくんとつきあえよ……とおもっている。大好きじゃん……何…… ジョカ:八雲の考えや人となりについて教えてもらった。 アオガミさんの言うとおり、結局人間の味方なの?敵なの?って思っていたけど、ジョカの話を聞いてとても腑に落ちた。彼が言ってることは、たぶん……わたしがカオスくんに昔の自分を捨てずに強くなって欲しかったと思っているのと同じことなんだ……。悪魔と合体して人間やめたことそれ自体がどうこうではなくって、過去の自分を捨て、かつての自分と同じ思いをする人に寄り添うことをやめ、自分を苦しめた卑劣な人間と同じ存在に堕する、そういう生き方が八雲の言う「悪魔の誘惑に屈する」てことなんだと思った。そしてそういう人間は、他の人間に害をなす。だから新しい世界には不要で、それを排除するための犠牲は仕方が無いと割り切っているということなんだな…… ここで「理解できる」を選んだせいか、港区クリアして初めて東京に戻ってきたときからず~~~~~~~~~っと右回りだったトイレのアイコン(俺)がようやくニュートラルになりました。いこう。このままいこう。アイコン回るな。 ごこうさん:一体何者なんだ……? いつも普通に魔界におり、誰の側にもつかない俯瞰した視点でビノくんに語りかけてくる。彼は誰かの半身とか、はやおみたいに本当の姿は○○みたいなわけではないのかな? 真1の太上老君みたいなものかな…… フィン・マックール:王として認めてもらいました。 ナホビノになれば王になれる!というご時世になって、我こそはと王座を目指す者たちがいて、自分の支持する者を王にしようとする者たちがいて、王座争いから退く者がいて……そしてフィンのように、王に仕える者になろうとする者もいるんだなって、ハッとしました。 うまく言えないけれど、世の中の動きや提示された問題について、どういう道を選ぶかはほんとうに自分次第なんだなぁって。 フィンだって、理想の王がいる=自分の理想の世界があるわけじゃん、だからやろうと思えば半身の人間を探しだしてナホビノとなってその理想の世界を作る道は選べるのよね。おそらくそれだけの強さもあるでしょう。だけどそれが全てじゃないんだな…… ツクヨミ&ゆづるや、アブディエル&いちろうや、ジョカ&八雲や、各陣営の主神たちを見てきて、それぞれ自分の思う理想の世界があって、もちろんそれを作りたいよなぁって考えてたけど、自分の理想の世界を叶えるために、理想の王を見つけて支えようとする、そういう選択もあるのか……と。そのスタンスって、各陣営の悪魔たちや神々が自分のところの主神たちを支持するのとは、また意味合いが違うと思う。 もちろんフィン自身に、自分がついていく王を選べるだけの力があるっていうのもあるんだけれど。 べつにフィン・マックール推しじゃないんだけど、この激動の時代にあって、しっかり自分のやりたいことを見据えていて、そのために行動できるのはすごいなぁと思ったのでした。 ザコちゃん:かわいい! 品川の大穴のイベントがすごく怖くて、最終的に、ザコちゃんがシナリオ上滅ぼすべき存在のようになってしまったらいやだな……って思っていたけど、ビノくんの半身ということに落ち着いてよかったです。 ……ガミさんは??? しんごくんはザコちゃんともナホビノになれるし、アオガミさんともナホビノになれる?? それともしんごくんが1でザコちゃんとアオガミさんが0.5ってこと? でもそれだとこれまで1.5でナホビノになってたことになるし……? カギを手に入れたときに小難しいこと喋っていたのは、スサノオとしての意識ってことなのかな?色々謎だけどザコちゃんが可愛いからもういいか。 戦闘ボイス、ナビボイスほぼ使い回しなのがちょっと残念でした…… ちなみにわたしは「神も悪魔もいない人間だけの世界」をずっと提唱していますが、現実世界(ゲームの中の世界ではなく、マジの現実。日本に限らない)が、悪魔と人間がちょうど良く折り合っていると考えていて、まあ一部過激な宗教や、それにともなう戦争などもあると言えばあるんだけれども……あくまでも人間側がそれぞれの神や悪魔、精霊や妖怪のような存在を信じることによって、それを崇めたり、襲われないように避けたり、人間が主体で付き合っている感じがする。 (そもそも人間の想像上の存在だからっていう野暮なツッコミはやめてくださ……) ので、神々や悪魔は存在して、でもお互い過度に干渉しないくらいの距離感が保てればいいなと思うんだけど、メガテンの世界は神に全部委ねて法による支配を受け入れるか、悪魔と共存し力による支配を受け入れるか、どっちもぶっ殺すか、の極端な3択なので、それならばいちばん近いのはNかな……となる。 ちなみに何度も言うけど真2Lルートの結末は理想にかなり近かったですメギドアークによる圧倒的な犠牲に目をつぶればの話。
お台場まわりはまた長くなるので分けます。 なお台東区のマップ全部埋めた時点で、ミマンちゃんは166体でした。ここまでノーヒント。 このまま全員集められたらいいなぁと思うけど難しいだろうなぁ。
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lyglog · 3 years
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ゼルダ無双クリア
プレイして本当に楽しかったです。ありがとう。ありがとう。しかし中盤からマスターソード全然使ってなかったので大事なエンディングムービーに装備していなかった罠。ごめんマスターソード、退魔の騎士なのに存在すら忘れていたw クリア後はルピー稼ぎしやすくなった模様です。ツルギバナナだいじなので売らずにとっておくことお勧め。サブクエも大量解放されたため、エンディング後まだまだやり込む要素ありそうですね。
以下、ネタバレ含むめちゃめちゃ長い感想文。記事分けるか迷いましたがぜんぶ詰めで書いてしまいます。本家愛ゆえ多少辛口です。
*
※※注意※※ この先、本家BotW~無双の大事なネタバレ含みます。ブレワイ本家エンディングの展開についても触れているのでご注意。
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🔽 おおまかな所感 真エンド閲覧済みです。ちなみにブレワイ本家はオール満点。
・シナリオ ★★★☆☆☆ ・バトル  ★★★★★☆ ・システム ★★★☆☆☆ ・ハピエン ★★★★★★ ・ゼルダ姫 ★★★★★★ ・英傑愛  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★
🔶 はじめに すごく面白かったです。良かった点はいっぱい。挙げきれない。とにかく英傑ありがとう。一方、悪かったと感じた点は後半のシナリオ設定とカメラワーク、敵出現のシステム面。長所に比べたらぜんぜん少ない短所……なのですが、そのわずかな欠点が本家ファンには割と難点なのかなーというのがクリア後の正直な感想です。
🔶 ゼルダ姫主人公の物語 物語は本家と時系列が異なる完全IF。主人公もリンクではなく、ゼルダと未来から来たガーディアンでした。BotWネタありつつコンセプトやキャラクターは本家とは違う方向へ進んでいきます。シナリオはどんでん返しタイプではなくほんのり先が読める。でも「それをこう持ってるかあ」みたいな驚きを細々と挟んでいました。
🔶 プレイ対象層 BotWプレイヤー前提な部分もありますが本家未プレイヤーも楽しめる面白さでした。世界観や戦場となる場所の説明はTipsで読めるし、必要な知識はムービーやナレーションで解説されるため、無双シリーズから入った人にBotWを知ってもらうちょうど良い作品かもしれません。これやってから本家戻ったらみんな死んでるけど。
🔶 英傑の活躍 英傑が出て来る、という謳い文句通り中盤までは彼らに関するストーリームービーが多く嬉しかったです。英傑好きにはファンディスクとして成り立つかもしれません。しかし後半になるとリンク同様、背景にまぎれたモブ的扱いになっていた気がしなくもない。ゼルダとの絡みシーンに多少出て来るのですけど、最後らへんは戦場で会話する程度しか出番なくなったのがちょっとばかし寂しかったです。
🔶 本家と無双の対比表現 全体的に、ストーリーからバトルまで、本家シナリオ、特にDLC2の内容を基本にしており、ムービー表現も一部オマージュがありました。 細かいところだとエンディングラストの表現。「プツッ」と画面が消えるシーンがありまして。ギリギリ精神保っていたテラコ(未来から来た小さいガーディアン)の意識が途切れた表現だと思うのですが、なんとなくBotW冒頭リンクが目覚めるシーンと似てるんですよね。
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姫の声でフッと光が挿して目覚めるリンクと、姫に看取られてぷつりと意識が消えるテラコ。意図的に対比されてる印象が強い。
🔶 ハイラル王と時の神殿 ハイラル王救出の舞台が「始まりの台地」だったのは感無量でした。本家序盤の舞台である台地でリンクを導いてくれる老人、つまりハイラル王の魂が、100年前の真実を語る場所。それが時の神殿。しかも女神像に話かけた後に声を掛けられるあのシーン、ですね。
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無双ではこれを完璧にオマージュしてました。時の神殿・女神像の前で死んだはずのハイラル王と再会する…という構図に「やられた!」となりました。思わず本家で同じ場所を見比べにいったほど。再会の場所がハイラル王に相応しく、場所や光の加減が相まって「あの老人を救えた」という気持ちになれました…感激ですありがとうありがとう。
🔶 作中時系列の変化 先でも触れましたが、本家と無双、時系列が序盤から変わっています。パラレルワールドであるという意図的な仕込みでしょうか。 たとえば本家だとリーバルとリンクの出会いは退魔の騎士と認められた後の出来事となっています。しかし無双ではマスターソード手に入れる前に姫付き騎士となり、各英傑とも「護衛騎士」としての立場で出会っている模様。なのでリンクと各キャラとの関係性が本家と少し違ってきています。
自力で確認できた部分では一戦目から本家BotWと時系列がズレていたので、「テラコが100年前に来た時点ですべての時間軸が変化した」と解釈して良さそうです。
🔶 キャラクター同士の関係性変化 最も大きな変化を感じたのはゼルダ姫との関係。リンクが退魔の騎士と判明する前にある程度親しくなっているため本家ほど八つ当たりされて避けられていません。コンプレックスゆえにリンクの存在を疎ましく思う、という描写が減り、それよりも「己の力不足に悩み使命感を強くしていく」という方向に変わってる気がしました。外より内側、という感じでしょうか。それもまた姫関連のシナリオ見やすかった一因かもしれない。
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🔽 今作テーマ
🔶 「いまの私にできることは全てしたいんです」 今回の作品テーマは、ウルボザ、インパ、ゼルダとキャラクターを変えて繰り返し主張される「たとえ力がなくても…それでも、今は自分にできることをひとつずつしましょう!」「私たちの努力は全て、決して、無駄になんてなりません!」 という言葉。
🔶 ハピエンになった理由 オープニングからして確実にハッピーエンドに向かっているな~と拝見していたゼルダ無双、結末まで見ると喜びに満ちたエンディングを迎えることが出来た理由はひとえに「過去から現在までのゼルダ姫の努力」「100年後に目覚めたリンクの努力」に集約されていたかなと。 これはBotW本家を象徴する台詞とも言える本家ウツシエ記録、全てを喪った姫が放つ「私が今までしてきたことはなんの役にも立たなかった!」という言葉への意趣返しでもあると思います。
今作のキーとなった、
幼きゼルダが組み立てたガーディアン
それが与えてくれたシーカーストーンやシーカータワーの力
その力を通じて呼び寄せられた100年後からの助っ人
は、どれも100+α年間を通じて二人の努力が繋いだ縁です。テバ、シド、ルージュ、ユン坊の懐かしい面々が助けにきてくれるシーンは胸が熱くなると共に、荒廃した世界観の中でBotW本家を楽しんできたプレイヤーの思い出を否定することなく上手く合わせたなあと感動しました。
🔶 バッドからハッピーへ バッドエンドがハッピーエンドになるって、少なからず抵抗ある人いると思うんですよね。バッドエンドの先にも生きてきた人がいて、彼らは一生懸命生きている。特にBotWはその世界線の先で目覚めたリンクが頑張り、ガノンを��ち倒した――その努力は、どうなるの? なかったことになるの? って。 しかし厄災の黙示録では、ゼルダ姫だけでなく、本家でのリンクの行動がこの作品の結末を救ったことになります。少なくとも、ゼルダ姫だけの努力では未来から来た助っ人との繋がりは存在しなかったし、面識もなかったろうから、あんなに一生懸命戦ってはくれなかったろう。と……そう感じました。 ここから先、ハッピーエンドに分岐した世界観がどうなるかは分かりませんが、努力が報われて良かったねとウルり。
これに関しては本家BotWにも「厄災前にゼルダが最後まで研究をし続けていたからこそ冒頭でシーカータワー起動方法をリンクに伝えてくれた。100年前のゼルダの努力が100年後のリンクの冒険を助け、結果的にガノンを倒すことへ繋がった」という解釈があります。つまり無双における「ゼルダとリンクの冒険が平和をもたらした」という構図も本家をしっかり踏襲した結果だと考えて良いと思います。
なお個人的にはむしろ、本家ではプレイヤーへ伝わりにくかった姫の努力の部分を、無双ではしっかり伝わるよう強調してきたなとさえ感じました。
🔽 作品完成度と疑問点
🔶 総合評価は★3.5~4.2 夢中になってプレイしました。面白かったです。しかし自分は英傑の活躍を目当てにプレイしたこと、本家が醸し出す滋味深い物語がどうしても脳裏に先立つことを鑑みて、シナリオに関しては厳しめの評価になってしまいました。たぶんBotWと名乗ってなければもっと評価は違うのですが、任●堂公認続編と公言してるので、本家と比較されるのは仕方ないことかと…。
🔶 シナリオに対する疑問が多い ことシナリオに関してはウーンと唸る部分がありました。 未来から来たテラコにハッピーエンドルートの全てを一任しすぎている。敵が仲間入りするシーンに関しても詳しい描写がなく都合良かったり、ゼルダ以外の人間がモブになっていたり、背景の一部であるリンクはバトル要員以外に居る意味はあるのだろうか…と疑問が過ったり。細々した部分になんとも言えない気持ちが残りました。 看過できなかった各疑問は下記に綴ります。
※以下ボロクソ語ってますが個人的にはテラコは嫌いじゃないです。いや、ちょっと微妙だけど。傍から見ていた家族も「なぜゼルダにスタ●ウォーズいるのか。他のガーディアンはゼルダぽくて問題ないが、こいつのデザインは作風ぶち壊しでは?」と発言してたけど。(すみませんちょっと賛同しました)
……が、それでもテラコは可愛くて割と好きです。以上を踏まえた上で読んでください。
🔶 疑問①:リンクが圧倒的空気 リンクが物静かだから影が薄い、というより、彼が行うはずだった行動がテラコにとって代わられている、という問題です。たしかにリンクは元から無口。本家ウツシエも存在薄めではありました。けれど本家では姫とリンク、二人の関係を軸に物語が展開されていくため主人公然とした雰囲気は残っていました。
しかし無双は……テラコが出てきたことで、リンクは単に「退魔の剣を持ってるだけの存在」「姫を守るだけの便利な役」になってしまった。本来リンクにもう少し焦点が当てるべき場所で(彼が喋らないので)ちょいちょいテラコが代弁するように画面に入ってくる。が、どちらにしろテラコも喋れないから出番を取っただけ。それならリンクさんをもう少し丁寧に描いてあげたら良かったんじゃないかなあと感じました。 ※ちなみに英傑に焦点当たっているシーンは割とリンクの存在あります。姫がメインの時はないです。
🔶 疑問②:テラコ便利屋すぎる ハッピーエンドには必要なキャラクターですが、厳密に見ると、テラコは物語を破綻させてもいるなあと。さきほど上記に挙げた理由もさることながら、とかく最強主人公すぎる…。
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プルア「テラコのお陰でさくさくっとシーカータワー強化して全軍隊がテレポート出来るようになったよ☆ どこにでも総力戦しにいけるよ~~��やァ~~~ガーディアンってすごいよね~!」
ほんとうにそれで良いのだろうか……BotWが持っていた物語の味が、テラコの便利すぎる力により消えた感じがあります。もちろん、テラコの生まれた経緯は「ゼルダ姫が昔、遺物の設計図を見ながら組み立てた」ということなので、結果的に「ゼルダのたゆまぬ努力が作った奇跡」と万々歳ネタではあります。あるの、ですが……そのガーディアン、なぜ時空超える力もってるのか。という大事な要素は明かされない。こいつたまたま時空を超える力もってました~、と…? 
ちなみに幼い姫が設計図を見ながら作っていたムービーから察するに、テラコは昔から存在する型だと予想されます。なぜならあの歳のゼルダがあの設計図を描いたとは考えにくいです。仮に彼女がいちから作った代物なら、他のガーディアンも増産可能になってるはずですし。
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となると古代シーカー族がそもそも最初から時空を超える技術を持っていた可能性がある。そしてテラコ型にその力を込めたが、貴重なタイプもしくは世界にひとつしかないタイプで発見されてこなかった…? しかし時空を超え力があるなら一万年後に復活する災厄ガノンに関して何か活用して関与できたはずでは?(それがテラコということでしょうか)
テラコは時オカ技術の流用なのでは?との考察があります。神獣も時オカ賢者の名前が多いため、無双もあの時代を念頭においている可能性はあるなと思うのですが(メドーだけは風タク賢者。リト族という名前が初めて出たのがその作品)、ただし時オカではハイラル王家の秘宝だったような。あと、スカウォ姫が時空超えた時の扉ってシーカー族のものでしたっけ。どうやらテラコはあの青く光るネジがキーアイテムらしいので、それだけハイラル王家の技術という可能性はありますね。
とはいえ時空を超えた点はまだ全然いいです。やっぱり一番気になるのは「テラコがいればシーカー技術の謎もぜんぶ解~決~☆」で済ませた部分。
🔶 疑問③:忘れられていたテラコ テラコに関して疑問点がもう一つ。なぜ、誰もテラコのことを思い出さないのだろう、と。 様々なガーディアンと比較しても、テラコは大変特徴的な外見しています。なので「他に類を見ない特殊なガーディアンだ」と言い切るくらいなら、「あれっなんか見たことあるやつじゃない?」と誰かひとりは覚えていないものでしょうか。
回想でも幼いゼルダがあのガーディアンを連れ歩いていた(少なくともそばに置くくらい愛でていた)ような描写がある。ということは、王や近衛は多少なりともテラコを見掛けていそうですよね…?w
🔶 疑問④:敵キャラの扱いが大雑把 コーガ様仲間入りに関しては「寛大なゼルダの心およびハイラルに住まう者はみな同胞と考えている」「少しでも仲間を増やしてハイラルに住まう人々全員でガノンに立ち向かいたい気持ち」と捉えてはいます。が、展開さくっと飛び越えて仲間からの意見は何もない。隠しキャラとしてプレイアブルになる憑依ガノンと違い、一応メインストーリー中に仲間になるのだからもう少し言及して欲しかったです。次の戦場で唐突に仲良く会話しててびっくりしました…! しかもスッパはそこから一切出てこず「まさか、あの時戦ったカースガノンの中にいた?」と震えていたらちゃっかり真エンドロールにいる。尺の問題かもしれませんが、後半ゼルダ姫以外のキャラがほぼ存在皆無なことと合わせて、なんとなく適当さを感じる…。
また憑依ガノンに従っていた敵役アストルに関しても当て馬扱いすぎるのでは~とモニョりました。ギャラリーにさらりと人物紹介が載っているだけ。。。オロチや無双ならいいんですよ。でもこれBotW続編って言うから……;;
🔶 以上より抱いた作品の印象 プレイしながら、終盤へ近づくにつれてストーリーぶっとばしてるなーと言う印象が強くなっていきました。無双オールスターズはそれでいいけれど、本家ストーリー仕立ての続編と銘を打っているのでその視点で評価してしまう。まあ無双だから仕方ない…のか……。
姫を丁寧に描いている分、周辺キャラに関する穴がやや目立つ気がしました。おかげで姫を好きにもなりましたが、BotW本家の良いところって、ムービーは姫中心でも、各イベント使いながら英傑や周辺人物の人となりを丁寧に描いて立体感を作り出してくれたところだと思っています。なので今回は「ある程度描いたからいいでしょ」的な平べったいシナリオに感じました。
🔶 その上での評価 上記の理由&また、これから後ほど語る無双姫の扱いにより、終盤へ進むにつれて演出とシナリオ、ストーリー設定に首をかしげるシーンも増えました。なので自分の中でのクライマックスは神獣解放戦~ハテノ砦救出戦で止まっています。そこから先は崩壊していくためBotW続編とは別物として捉えたい気持ちが大きい。(過激派)
でも最初に述べたように、気に掛かる部分を含めたとしてもゲームとしては面白くプレイできました。最終的には「ハッピーエンドをありがとう」の一言を伝えたいなと思います。 各キャラとのやりとりは面白いし、みんなの素顔をじっくり見れる素敵な作品でした。無双のお陰で知らなかった一面をたくさん垣間見れて、本家やDLCから更にイメージ変化したキャラもいたくらいです。特にリーバル先生とハイラル王は優しい印象が強くなったし、本家ではほんの少し苦手だった姫への好感度上がりました。 エンディングも綺麗にまとまっていたのではないでしょうか。BotWキャラクター達への愛が詰まった素敵な作品だと思います。 よって総合★3.5~4つ。 ※シナリオ重視人間なので満点にはできませんでした。ぼろくそ言ってファンの方ごめんなさい。
🔽 100年後の世界に関して
🔶 分岐した世界線 Tipsで「二つの未来が生まれた」と書かれていました。したがって物語の中で英傑たちが「100年後の世界も頼んだよ」と発言するのは、パラレルワールドとして在る未来世界のことを指してると解釈して良さげ。なのでストーリー中もただ単に「後継者を未来から呼び出した」のではなく「異世界から呼び出した」と表現したほうが正確かもしれません。 結末を予測させないためクリア後まで「パラレルワールドの話である」という点へ触れなかったのかもしれませんが、シナリオ進行中にもう少しちゃんと説明したほうが良かったのでは?
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🔶 本家BotWの未来は つまり……? 英傑が死んだ未来も依然存在しており? あっちの未来の英傑が助かった訳ではない? 未来変えてしまったら本家そのもの否定する形になるので当然ですが。分岐であろうと英傑が笑顔になれる世界線が作られたことに嬉しさを感じつつ、真の救済ではないのかあと少し悲しみ。分岐はあってもこういうパラレルワールドはなんとなく拍子抜け……。まあゼル伝は公式分岐いっぱいあるから有り得るとは思っ以下略
🔶 ハッピーエンド違い 自分の中での最高のハッピーエンドは「あの世界線の英傑が助かること or 蘇るに近い未来」でした。でも無双EDは、あちらではいま尚みんな死んだことになっており、ハイラルに住む人々はその大厄災の悲しみを乗り越えてブレワイ世界を生きている。インパやプルアが経験した苦しみも変わらず残っているし、シドの姉を失った悲しみも消えるわけではない。 同時に存在している本家世界では、それが「変えようのない歴史的事実」だから。 ならば……死んだはずの人に分岐未来で出会ってしまった助っ人たちは、どうなんでしょう。自分の世界に戻ったら「やっぱり英傑様や家族は死んでました」は逆に辛くないのだろうか…。そんな切なさが残るところはやはりBotWですね。
🔶 幸せなら良い 己の中では、真実、これをハピエンとして受け入れていいのか疑わしい気持ちが依然として残っています。でもテバやルージュ好きとしては大変嬉しいイベントでした。未来の後継者と過去の英傑達の絡みなんて二次創作でしか見られないと思っていた……。ありがとうコー●ー。ありがとう任●堂。世界救われたしこれでリンミファの夢は叶うかもしれない……アアア。
こんなに愛があるのだからご都合主義でもいい、みんなが幸せならそれでいいんだ……という気持ちにさせてくれる、パワーに溢れた作品でした。
🔽 無双物語のゼルダ姫
🔶 姫好感度爆上がり 一貫して主人公はゼルダ姫でした。特に終盤になるとほぼゼルダとテラコの物語。ゼルダ視点で物語が進むって珍しいような…? あと内容にあんまり関係ないけど覚醒ゼル��の描写に使われる、ブレワイ特有の光の描写(イラスト的な線状の輝き)が好きです。そして「ガノン戦の弓ーーッ!」という感動。
🔶 リンクへの態度が変化した理由 冒頭で「姫とリンクとの関係性が変化している」と述べましたが、おかげで姫がリンク(とプレイヤー)に対してマイルドな態度になり、ストレス少なく物語に集中出来ました。以下、二人の関係がなぜあれ以上悪化しなかったのかと根本的な理由を考察してみる。
🔶 そもそも何故こじれていたか 元々、本家でゼルダ姫とリンクの仲がこじれていた原因は、姫が力に目覚めない+リンクがさっさと退魔の騎士として覚醒してしまった→覚醒できない姫がリンクに劣等感を持ってしまった……という流れがありました。 その上で本家BotWの各ウツシエを辿っていくと「(最初は退魔の騎士であるリンクの存在がコンプレックスで疎ましく思っていたが)イーガ団に襲われたところをリンクに守られ少しずつ彼に信頼を寄せていく切っ掛けとなった」とあります。イーガ団さまさまです。
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一方、無双の時間軸ではリンクが退魔の騎士となるイベント以前にイーガ団急襲事件がありまして。ゼルダ姫はそこで彼に守られ、「父親が選んだ護衛騎士」という立場としか見ていなかったリンクへ「姫付き騎士」として信頼を寄せていくことに。 コンプレックス抱いてしまう前に彼と親しい関係性を築くことになった姫は、この後、たとえ自分より先に覚醒してしまうリンクへ劣等感を抱いたとしても、それほどアレな態度を見せなくなりました。(本当によかったです)
🔶 苦悩する姫のストーリー それも含め体験版的に今作は笑顔が多いのかな~と思いきや……物語の雰囲気は本家通りでした。姫が力に目覚めず焦燥してしまう中盤あたりが特にもにょもにょするかもしれません。英傑は集い、退魔の剣士も見つかり、さあみんなでがんばりましょう~!という雰囲気の中で彼女だけが俯いてしまう。
加えてBotW知ってる人間は、ゼルダ姫がそのまま力に目覚めず、国が崩壊してからやっと覚醒してガノンを封じ込めている…との経緯を知っているがゆえに「さすがに今作は最後まで覚醒しない訳ないよね?」とどきどきする部分だと思います。ハテノ砦まで伸ばすのだろうなあと予期はしつつ、自分は
一周目は覚醒しない→本家通りハイラル壊滅→ガーディアンの力でまた過去に戻る→同じ戦場をプレイして救いに行くパターン……もあり得る…?
とも考えたり。個人的にこの展開でも面白かったかもしれない。未来を行き来できる設定あるのだからいきなり救わなくても良かったし、そっちのほうが「ああやはりBotWの続編なんだ」と実感できた気がします。 それに英傑たちの死も一度は直接見たい。そこで一旦絶望してから救いたい(血涙)
🔶 覚醒した姫の印象 姫が覚醒してからは物語が一気に加速し、シナリオ雰囲気ががらりと変わりました。本来プレイヤー達が「ゼルダ姫」へ抱いていた崇高な姫というイメージが蘇って、BotWで100年間ガノンを封じ続けている「彼女」へいっそう近くなった気もします。
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これまでずっとゼルダを勇気付けてくれた人々が不安そうにしている絶望的な状況の最中、トライフォースを持つ姫巫女として文字通り周囲を照らす光となっていく…という構造は上手いです。中盤までは親しみを込めて「ゼルダ」と呼び捨てしたい気安さがありますが、終盤は「ゼルダ姫様」と呼ばなければならない凜とした姿でした。(どうやら今作は姫が三つのトライフォース全て持っているようですね)
🔶 無双版姫の違和感 しかしロードオ●ザリングや映画版バイ●ハザード最終章の最終決戦に近い演出をしているせいか神聖さより強さが目立っていた印象。そこはまあ無双だから仕方ないですが…なんか「俺に任せとけ!」的な台詞言うタイプには見えないので違和感覚えたり。
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テラコも相まって、終盤は「これなんの作品だっけ…」と過ぎる瞬間が多くなったのは内緒。特に自分なんて退魔の剣持参してなかったので…本当にリンクの存在薄い…。
🔶 ゼルダ姫のコンセプト分岐 無双の覚醒ゼルダかっこいいなーと思う反面、今作の「ゼルダ姫」はコンセプトが変化してるかもしれないですね。
本家ではラストで「もうその剣の声も聞こえなくなりました。力が枯れ果てたのかもしれません。でも私、もういいんです」と清々しく笑うシーンあって。「ずっと力に目覚めず劣等感に悩んでいたゼルダ姫が、コンプレックスの象徴であるリンクと共に戦ったことを経て、完全に吹っ切れ、力を持たざる存在でもよいのだ、それが自分だ、と受け入れることが出来た(ウルボザの言葉どおり胸を張ることが出来た)」というあの姿があるからこそ、苦悩した過去も意味を持ったのだろうし、ブレワイ独自の劣等感や無才の姫という深みのある物語になったんだろうなーと自分は考えていました。
しかし、そこで「覚醒した姫は強いゾ!すべて任せろ!」になると、BotW当初から描かれてきたゼルダ姫のコンセプトがやや異なる方面へ変化していくのでは、とも思わなくもない。だって姫の魅力は力ではないんです…力のトライフォースを持っているから確かにその要素もあるかもしれませんが、本家で描かれてきた彼女はそうではないんです…!(過激派再び)
ただし。その分、今作は「ゼルダ姫が頑張ってきたことはすべて意味を成した」という異なるメッセージが語られています。だから……分岐未来ごとに姫のコンセプトが形成された、ということで良いのかな…。
🔽 神獣、英傑、後継者
🔶 個人的ナンバーワンポイント英傑 神獣は内部の再現度すごい。また100年後の後継者は英傑自身の子孫が多いせいか、やり取りがとても可愛い。ずっと見ていたかったです。英傑+後継者の日常、などストーリー補足DLC来ないかなあ。
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🔶 英傑アレンジBGM最高  厄災版BGM、やばいです。やばやばのやばです。別の記事でも語っていましたが、戦場を駆け抜ける英傑たちの格好良さを表現したアレンジ、いつまでも聞いていられる。あの切ない原曲がこんなに格好良くなるんだ、と驚きました。しかもリーバル先生は性格上ライバルとして出て来るクエストが多いため、一人だけ敵版BGMがある優遇っぷり。味方版も敵版どっちもカッコよくてたまりません。 美しかった旋律は気高さに、悲しみが漂っていた音色は偉大さに。各英傑に焦点当たるクエやメインシナリオをプレイすると戦場入った途端にアレンジ流れるのですが、もう、ほんと好き。すごく好き。アアアアって気分が高まる。けど、ちゃんと原曲も流れるんです。使い分けている。音楽だけで一万円払う価値あるなと思いました…。
ちなみにですがウルボザは原曲が非常に美しいので、彼女だけ原曲のほうが好きです。
🔶 ウルボザとルージュ 母を亡くしたルージュにとってこの時代におけるウルボザは、先祖というより母代わりに近い存在だったのかもしれないな~と思いました。不安を零すルージュに「あんたは一人じゃないよ」と声掛けたり、「さあ戦いにいこうじゃないか」とわざわざ手を繋いで神獣へ飛び込むシーン良かった。ルージュの母上が生きていたら、こういう会話しながら一緒に戦っていたんだろうなあと想像しました。 ウルボザが関わる物語はどれも暖かくて大好きです。(関係ないけどタワーから各戦闘地域へ空飛んで移動する時、「やっぱり高いねえ!」と少しハラハラしてるウルボザ可愛い)
🔶 ダルケルとユン坊 ユン坊は本家で先祖であるダルケルと邂逅していますが、豪快、かつ臆病とはほど遠い(と思っている)本人の背を生で見ることは大きな成長に繋がったんじゃないかなと。助けに来たユン坊を逆に守ろうとする背中の格好良くて……「ダルケル様!」「俺に様つけるんじゃねえ!」ってシーンもすごい好きです。自分も昔は臆病だったからこそユン坊にはもっと逞しくなってほしいのかな。だからこそ「様」つけたくなるんですよ! と一人思いながら。ちなみにユン坊はしっかり「ゴロ」になっていました。 急に突拍子もないことするダルケル兄貴はユン坊と並び一番の可愛い枠だと思ってます。
🔶 ミファーとシド  シドに至っては、共に暮らし、失ってしまった最愛の姉に再会できたのですから感無量ですよね…。魔物に囲まれた仲間を助けるため二人で神獣へ乗り込みながら「こんなに成長したシドと戦えるなんてね」とミファーが喜びを口にして、シドが「俺も……いや……ッ」と言葉が出ない様子で口ごもるシーン。そうだよね、喜びだけじゃ言い表せないものあるよね、と胸が詰まりました。 他の子孫や助っ人にとって英傑は「過去の人」。でもシドにとっては生身の暖かさを知る「肉親」。会えて嬉しい、だけには留まらない、これまで経験した大きな悲しみや苦しみも一気に押し寄せたのかなーと想像してました。姉弟の関係性好っき…。(ミファーは姉としての顔が一番好きです)
🔶 リーバルとテバ  テバとリーバル先生は血縁関係ないけどリーバルが唯一肩を並べて戦える同族戦士、というやり取りが可愛くて笑いました。 「英傑様にもこんな一面が」 「英傑様の素顔も拝めましたしね」 テバ本人は憧れの英傑に近づけたことが嬉しくて発言してる模様ですが、リーバルの難ある性格、遠回しに揶揄されてるwww 当のリーバル先生は「フンッ」とだけ返すも、PT構成画面やキャラ切り替え画面では親しげに話してるし、一緒にクリアした神獣戦では「僕達二人なら余裕だよね、テバ」と褒めちゃうあたり後輩のことめちゃくちゃ気に入ってる説。同じ時代に生きていたら世話焼きそう。しかもテバが訓練場愛用してることにもフフンッと喜んでて、この人可愛いがすぎた。好き。
🔶 時空を超えた出会いの意義 こう考えると、英傑や後継者達は、時を超えたことで自分たちの欠けたものに会えたのかもしれないですね。ルージュは若くして天に召された母親、シドは喪ってしまった姉、ユン坊は奮い立たせてくれる憧れの背中、リーバルは肩を並べることが出来る同種族の仲間。 やはり英傑は良いものだ。
🔶 英傑同士の関係性 戦場における英傑同士の会話から、彼らの関係性がよく分かり嬉しかったです。以下なんとなく各バトル台詞から察せられるもの。
【リーバルから見た英傑】 ウルボザ→文句なしの腕前と尊敬、自分より上と思ってそう ダルケル→同等の力を持つ存在、素直に感謝を口にする相手 ミファー→癒しはあれど戦闘の腕は自分より下と認識?
【ダルケルから見た英傑】 ウルボザ→年長組の対等な立場、力量は同程度だと認識 リーバル→男同士の友情的なアレ、一緒にバカできる仲間 ミファー→娘的な立ち位置? 世話を焼いてしまう相手
随時追加
🔶 個人的な妄想 ところでガーディアンであるテラコに人格があるなら神獣にも人格はないのでしょうか。賢者とか……賢者ぽいのとか……。神獣と英傑のやりとりが見たい。
🔽 バトルやシステムの感想 ノーマルとハードの感想です。
・総合評価 ★★★★☆☆ ・素材集め ★★★★☆☆ ・カメラ  ★★☆☆☆☆ ・サブクエ ★★★★★★ ★★★★★★ ・神獣操作 ★★★☆☆☆
🔶 総合評価★4.5くらい 大勢をぶった斬り、あとはウィークポイントを粛々と削っていく仕様。英傑とリンクが汎用性高い(リーバル先生除く)かもしれない。反対に後継者キャラは動きまわる子が多く、カメラワークと合わせて操作難易度高い気がする。あまり見たことないシステムが多いなあと思いました。今の無双って色々と進化してるんですね…!
🔶 良かった点①:固有アクション キャラごとの固有アクションシステムは特徴的で面白かったです。特に序盤から重宝しているのはリーバル先生。次にテバの空中攻撃でした。もはや蹂躙の域。 他に、最初戸惑ったけど強いなーと感じるのはシド王子。R2によるリズムゲー。ゲルド砂漠など煙が多いと見えませんがタイミング掴めば感覚でR2押せるから便利。ただ溜めモーションが長くて自分の場合は被弾率も高かったです。 ウルボザのアクションも好きです。雷が爽快。音も画面もかっこよくて、特にY2X連打コンボがお気に入りです。
🔶 良かった点②:サブクエ そのプレイアブルキャラクターを強化していくにはマップに点在するサブクエをこなしていく必要があります。各々4行程度の小話があり、キャラクターや世界観に沿った内容なのが凝ってるなあと感じました。当時はこんな出来事があったのか、こんな生活をしていたんだな、と想像できて嬉しかったです。BotWやり込んでからプレイすると戦場歩きながら「当時はここに拠点作ってたんだな」など楽しくなります。
🔶 良かった点③:シーカーストーン 今作目玉であるシーカーストーンシステム。本家ではリンクしか使用できなかったあの力を、テラコの恩恵により全員リモコンバクダンやビタロックを使えるようになったのは面白かったです。ナビ表示されるのでどのタイミングで何のシーカーストーンー使えば良いか、というマーク出るから戦い易くなる。 終盤に登場する怨念のガーディアンのようにナビ無し敵が出現しても、それまでの戦いで「この動きにはこれだな」と学習しているため動き見て活用できました。 ただ通常戦闘やメインは、要求レベル高くなるにつれて複数戦増えていきます。一人に注視すると別の方向にシーカーストーン使わなければならなかったり、  そのへんは見極めが必要。
🔶 苦労した点①:カメラワーク たぶんこれがシステム面の短所ナンバーワン。カメラワークが「そっちじゃないw」となるシーンが多く、敵見ていたのにいきなり壁の中へカメラが回って画面が見えない、というパターンがありました。紙一重や獣神系の高難易度はカメラワークの問題で難しくなっているかもしれない。あと探索要素として室内にも宝箱やコログがいるのでコンプリート目指すなら入らなければいけないのですが、カメラワークが本当に悪いので部屋の中がよく見えないし室内細かいのに上部オブジェが視界の邪魔をする……。 その割に移動速度は自動ダッシュになるため、視界が悪く歩き回りながら駆け足でぐるぐるするという。戦闘もつらかったけど室内探索が特につらかった。。
🔶 苦労した点②:進行不可バグ バグが少しありました。マスターソードゲットする戦場みたいに、エリア封鎖されて戦うシーンが何回かあるのですが、敵が本来進めない場所に入り込んでしまい、攻撃届かない&向こうも攻撃してこない、と…。(その戦場は最初からやり直しました) 何回もプレイできるの嬉しいので自分はこのバグは気にならなかったですがw
🔶 苦労した点③:敵出現の仕様が悪い 300体や500体と一定数指定されて敵殲滅するタイムアタックがあるのですが、敵出現の仕方がタイムアタックにぜんぜん向いてないなあと思いました。少しでもマップに敵を残しちゃったら、その一匹を探しまわって倒さないと次の雑魚団が出てこないんですよね。 マップ見れば赤い点があるため居場所分かるっちゃ分かるんですがたった数匹のために来た道戻って――は時間がもったいない。なのにハイラルチャレンジと呼ばれるサブクエはほぼ制限時間仕様なので敵出現システムとクエストが合っていない気がしました。
🔶 苦労した点④:神獣戦 カメラワークと近い部分があるのですが敵がどこにいるか見えなくて肩が凝ってしまいます。  危険マークorすぐ近くまで飛んで来た敵しか見えず。岩が来るのか、弓が来るのか、ウィズローブの攻撃なのか。まあ体験版では触れない部分だしイメージと違ったのは仕方ない。ただ、ちまちましてるから人によっては「無双なのに爽快感がない」とストレス溜まりそうだなと。 自分は目視では戦況追えなかったため途中からマップ見ながら倒すコツ覚えました。でもマップには載らない、移動を邪魔する障害物なんかもフィールドにはあって…マックスサイズゆえに動き制限される神獣戦は難しい…!
神獣戦含めて今後のアプデ楽しみにしています…!
7 notes · View notes
hananien · 3 years
Text
【SPN】庭師と騎士
警告:R18※性描写、差別的描写
ペアリング:サム/ディーン、オリキャラ/ディーン
登場人物:ディーン・ウィンチェスター、サム・ウィンチェスター、ボビー・シンガー・ルーファス・ターナー、ケビン・トラン、チャーリー・ブラッドベリー、クラウス神父(モデル:クラウリー)
文字数:約16000字
設定: 修道院の囚われ庭師ディーン(20)と宿を頼みに来た騎士サム(24)。年齢逆転、中世AU。
言い訳: 映画「天使たちのビッチナイト」に影響を受けました。ボソボソと書いてましたがちょっと行き詰まり、詰まってまで書くほどのものじゃないので一旦停止します。
 自分のことなら肋骨の二本や三本が折れていたとしても気づかないふりをしていられるが、部下たちを休ませる必要があった。
 王国騎士の象徴である深紅のマントは彼ら自身の血に染められ、疲労と傷の痛みとで意識がもうろうとしている者も数名いた。何よりも空腹だった。狩りをしようにも、矢がなく、矢を作るためにキャンプを張る体力もない。  一度腰を下ろせばそこが墓地になるかもしれなかった。  辺境の村を救うために命じられた出征だった。王はどこまで知っていたのか……。おそらくは何も知らなかったのに違いない。そうだと信じたかった。辺境の村はすでに隣国に占領されていた。彼らは罠にかけられたのだった。  待ち構えていた敵兵に大勢の仲間の命と馬を奪われ、サムは惨めな敗走を余儀なくされた。  森の中を、王城とは微妙にずれた方向へ進んでいるのに、サムに率いられた騎士たちは何もいわなかった。彼らもまた、サムと同じ疑いを胸に抱いていたのだ。全ては王に仕組まれたのではないかと。  誰一人口には出さなかったが、森の中をさ迷うサムに行き先を尋ねる者もいなかった。  なけなしの食糧を持たせて斥候に出していたケビンが、隊のもとに戻ってきた。彼は森の中に修道院を発見した。サムはその修道院に避難するべきか迷った。森は王国の領内だ。もしも王が裏切っていた場合、修道院にまで手を回されていたら彼らは殺される。  だが、このままでは夜を越せない者もいるかもしれなかった。サムは未だ六人の騎士を率いていて、王国よりサムに忠実な彼らを何としても生かさなければならない。  サムはケビンに案内を命じた。
 ディーンは自分の名前を気に入っていたが、今ではその名前を呼ぶ者はほとんどいなかった。  修道院では誰もがディーンのことを「あれ」とか「そこの」とか表現する。もしくは彼自身の職業である「庭師」とか。彼自身に、直接呼びかける者はいない。なぜなら彼は耳が聞こえないし、口も利けないから。  ディーンは今年で二十歳になる……らしい。彼は子供のころに両親を盗賊に殺されて、もともと身を寄せる予定だったこの修道院に引き取られた。ただし支払うべき寄付金も盗賊に奪われたので、修道士としてではなく庭師として働いて暮らしている。  夜中、ディーンはフラフラになりながら修道院を出て、納屋に帰り着いた。家畜小屋の横の納屋が彼の住処だ。神父が彼に酒を飲ませたので、藁の下に敷いた板のわずかな段差にも躓いてしまった。  そのまま藁の中にうずくまって、眠ってしまおうと思った時だ。納屋の戸の下の隙間から、赤い炎の色と複数の人影がちらついて見えた。  ディーンは、静かに身を起こした。少し胸やけはするが、幻覚を見るほど酔ってはいない。ディーンがいる納屋は、修道院の庭の中にある。修道士たちをオオカミやクマから守る塀の、内側だ。修道士たちは夜中にうろついたりしないから、この人影は外部からの――塀の外、森からの――侵入者たちのものだ。  門番の爺さんは何をしていたのか。もちろん、寝ているんだろう、夜更かしするには年を取りすぎている。今までも修道院が盗賊被害には遭ったことはあるが、こんな夜中じゃなかった。オオカミにとってはボロを着ていようが聖職者のローブを着ていようが肉は肉。強襲も山菜取りも日差しの入る間にやるのが最善だ。  では何者か。ディーンはそっと戸を開けて姿を見ようとした。ところが戸に手をかける間もなく、外から勢いよく開けられて転がり出てしまう。うつ伏せに倒れた鼻先に松明の火を受けてきらめく刃のきっさきを見て、そういえば、神父に持たされたロウソクが小屋の中で灯しっぱなしだったなと気づく。  「こそこそと覗き見をしていたな」 ざらついて低い声がディーンを脅した。ディーンはその一声だけで、彼がとても疲れて、痛みを堪えているのがわかった。  「やめろ、ルーファス! 何をしている」  若い男の声がした。ディーンを脅している男は剣のきっさきを外に向けた。「こいつが、俺たちを見張っていた。きっと刺客だ。俺たちがここに来るのを知っていて、殺そうとしてたんだ」  刺客、という言葉に、側にいた男たちが反応した。いったい何人いるんだ。すっかりと敵意を向けられて、ディーンはひるんだ。  「馬鹿な、彼を見ろ。丸腰だ。それに刺客なら小屋の中でロウソクなんて灯して待っているわけがない」 若い声の男が手を握って、ディーンを立たせた。俯いていると首から上が視界にも入らない。とても背の高い男だった。  「すまない、怖がらせてしまった。我々は……森で迷ってしまって、怪我を負った者もいる。宿と手当てが必要で、どうかここを頼らせてもらいたいと思って訪ねた」  背の高さのわりに、威圧的なところのない声だった。ディーンが頷くのを見て、男は続けた。  「君は――君は、修道士か?」 ディーンは首をかしげる。「そうか、でも、ここの人間だ。そうだろ? 神父に会わせてもらえるかい?」 ディーンはまた、首をかしげる。  「なんだ、こいつ、ぼんやりして」 さっき脅してきた男――闇夜に溶け込むような黒い肌をした――が、胡乱そうに顔をゆがめて吐き捨てる。「おお、酒臭いぞ。おおかた雑用係が、くすねた赤ワインをこっそり飲んでいたんだろう」  「いや、もしかして――君、耳が聞こえないの?」 若い男が自分の耳辺りを指さしてそういったので、ディーンは頷いた。それから彼は自分の口を指さして、声が出ないことをアピールする。  男の肩が一段下がったように見えて、ディーンは胸が重くなった。相手が自分を役立たずと判断して失望したのがわかるとき、いつもそうなる。  彼らは盗賊には見えなかった。何に見えるかって、それは一目でわかった。彼らは深紅の騎士だ。王国の誇り高い戦士たち。  幼いころに憧れた存在に囲まれて、これまで以上に自分が矮小な存在に思えた。  「聞こえないし、しゃべれもしないんじゃ、役に立たない。行こう、ケビンに神父を探させればいい」 疲れた男の声。  抗議のため息が松明の明かりの外から聞こえた。「また僕一人? 構いませんけどね、僕だって交渉するには疲れ過ぎて……」  「一番若いしまともに歩いてるじゃないか! 俺なんか見ろ、腕が折れて肩も外れてる、それに��分、日が上る前に止血しないと死ぬ!」  ディーンは初めて彼らの悲惨な状態に気が付いた。  松明を持っているのは一番背の高い、若い声の男で、彼はどうやら肋骨が折れているようだった。肩が下がっているのはそのせいかもしれなかった。ルーファスと呼ばれた、やや年配の黒い肌の男は、無事なところは剣を握った右腕だけというありさまだった。左半身が黒ずんでいて、それが全て彼自身の血であるのなら一晩もたないというのも納得だ。女性もいた。兜から零れた髪が松明の炎とそっくりの色に輝いて見えた。しかしその顔は血と泥で汚れていて、別の騎士が彼女の左足が地面に付かないように支えていた。その騎士自身も、兜の外された頭に傷を受けているのか、額から流れた血で耳が濡れている。  六人――いや、七人だろうか。みんな満身創痍だ。最強の騎士たちが、どうしてこんなに傷ついて、夜中に森の中をゆく羽目に。  ディーンは松明を持った男の腕を引っ張った。折れた肋骨に響いたのか、呻きながら彼は腕を振り払おうとする。  「待って、彼、案内してくれるんじゃない? 中に、神父様のところに」 女性の騎士がそういった。ディーンはそれを聞こえないが、何となく表情で理解した振りをして頷き、ますます騎士の腕を引っ張った。  騎士はそれきりディーンの誘導に素直についてきた。彼が歩き出すとみんなも黙って歩き出す。どうやらこの背の高い男が、この一団のリーダーであるらしかった。  修道院の正面扉の鍵はいつでも開いているが、神父の居室はたいていの場合――とりわけ夜はそうだ――鍵がかかっている。ディーンはいつも自分が来たことを示す独特のリズムでノックをした。  「……なんだ?」 すぐに扉の向こうで、眠りから起こされて不機嫌そうな声が聞こえてほっとする。もう一度ノックすると、今度は苛立たし気に寝台から降りる音がした。「なんだ、ディーン、忘れ物でもしたのか……」  戸を開いた神父は、ディーンと彼の後ろに立つ騎士たちの姿を見て、ぎょっとして仰け反った。いつも偉そうにしている神父のそんな顔を見られてディーンは少しおかしかった。  ディーンは背の高い男が事情を説明できるように脇にのいた。  「夜半にこのような不意の訪問をして申し訳ない。緊急の事態ですのでどうかお許し頂きたい。私は王国騎士のサミュエル・ウィンチェスター。彼は同じく騎士のルーファス。彼は重傷を負っていて一刻も早い治療が必要です。他にも手当と休息が必要な者たちがいる」  神父は、突然現れた傷だらけの騎士たちと、さっき別れたばかりの庭師を代わる代わる、忙しなく視線を動かして見て、それから普段着のような体面をするりと羽織った。深刻そうに頷き、それから騎士たちを安心させるようにほほ笑む。「騎士の皆様、もう安全です。すぐに治癒師を呼びます。食堂がいいでしょう、治療は厨房で行います。おい」 目線でディーンは呼びかけられ、あわてて神父のひざ元に跪いて彼の唇を読むふりをする。  「治癒師を、起こして、食堂に、連れてきなさい。わかったか?」  ディーンは三回頷いて、立ち上がると治癒師のいる棟へ駆け出す。  「ご親切に感謝する」 男のやわらかい礼が聞こえる。「……彼はディーンという名なのか? あとでもう一度会いたい、ずいぶんと怖がらせてしまったのに、我々の窮状を理解して中へ案内してくれた……」  ディーンはその声を立ち止まって聞いていたかったが、”聞こえない”のに盗み聞きなどできるはずがなかった。
 明け方にルーファスは熱を出し、治癒師は回復まで数日はかかるだろうといった。サムは騎士たちと目を合わせた。今はまだ、森の深いところにあるこの修道院には何の知らせも来ていないようだが、いずれは王国から兵士が遣わされ、この当たりで姿を消した騎士たち――”反逆者たち”と呼ばれるかもしれない――がいることを知らされるだろう。俗世から離れているとはいえ修道院には多くの貴族や裕福な商家の息子が、いずれはまた世俗へ戻ることを前提にここで生活している。彼らの耳に王宮での噂が届いていないことはまずあり得なく、彼らがどちらの派閥を支持しているかはサムにはわからない。もっとも王が追っている失踪騎士を庇おうなどという不届きな者が、たくさんいては困るのだった。  出征の命令が罠であったのなら、彼らは尾けられていたはずだった。サムの死体を探しに捜索がしかれるのは間違いない。この修道院もいずれ見つかるだろう。長く留まるのは良策ではない。  かといって昏睡状態のルーファスを担いで森に戻るわけにもいかず、止む無くサムたちはしばらくの滞在を請うことになった。  修道院長のクラウス神父は快く応じてくれたが、用意されたのは厨房の下の地下室で、そこはかとなく歓迎とは真逆の意図を読み取れる程度には不快だった。彼には腹に一物ありそうな感じがした。サムの予感はしばしば王の占い師をも勝るが、騎士たちを不安させるような予感は口には出せなかった。  厨房の火の前で休ませているルーファスと、彼に付き添っているボビーを除く、五人の騎士が地下に立ち尽くし、ひとまず寝られる場所を求めて目をさ迷わせている。探すまでもない狭い空間だった。横になれるのは三人、あとの二人は壁に寄せた空き箱の上で膝を枕に眠るしかないだろう。  「お腹がすいた」 疲れて表情もないチャーリーが言った。「立ったままでもいいから寝たい。でもその前に、生の人参でもいいから食べたいわ」  「僕も同感。もちろんできれば生じゃなくて、熱々のシチューに煮込まれた人参がいいけど」  ガースの言葉に、チャーリーとケビンが深い溜息をついた。  地下室の入口からボビーの声が下りてきた。「おい、今から食べ物がそっちに行くぞ」  まるでパンに足が生えているかのように言い方にサムが階段の上に入口を見上げると、ほっそりした足首が現れた。  足首の持ち主は片手に重ねた平皿の上にゴブレットとワイン瓶を乗せ、革の手袋をはめたもう片方の手には湯気のたつ小鍋を下げて階段を下りてきた。  家畜小屋の隣にいた青年、ディーンだった。神父が彼を使いによこしたのだろう。  「シチューだ!」 ガースが喜びの声を上げた。チャーリーとケビンも控え目な歓声を上げる。みんなの目がおいしそうな匂いを発する小鍋に向かっているのに対し、サムは青年の足首から目が離せないでいた。  彼はなぜ裸足なんだろう。何かの罰か? 神父は修道士や雑用係に体罰を与えるような指導をしているのか? サムは薄暗い地下室にあってほの白く光って見える足首から視線を引きはがし、もっと上に目をやった。まだ夜着のままの薄着、庭でルーファスが引き倒したせいで薄汚れている。細いが力のありそうなしっかりとした肩から腕。まっすぐに伸びた首の上には信じられないほど繊細な美貌が乗っていた。  サムは青年から皿を受け取ってやろうと手を伸ばした。ところがサムが皿に手をかけたとたん、びっくりした彼はバランスを崩して階段を一段踏みそこねた。  転びそうになった彼を、サムは慌てて抱き止めた。耳元に、彼の声にならない悲鳴のような、驚きの吐息を感じる。そうだ、彼は耳が聞こえないのだった。話すことが出来ないのはわかるが、声を出すこともできないとは。  「急に触っちゃだめよ、サム!」 床に落ちた皿を拾いながらチャーリーがいう。「彼は耳が聞こえないんでしょ、彼に見えないところから現れたらびっくりするじゃない」  「ディーンだっけ? いや、救世主だ、なんておいしそうなシチュー、スープか? これで僕らは生き延びられる」 ガースが恭しく小鍋を受け取り、空き箱の上に並べた皿にさっさと盛り付けていく。階段の一番下でサムに抱き止められたままのディーンは、自分の仕事を取られたように見えたのか焦って体をよじったが、サムはどうしてか離しがたくて、すぐには解放してやれなかった。  まったく、どうして裸足なんだ?
 修道士たちが詩を読みながら朝食を終えるのを交代で横になりながら過ごして待ち、穴倉のような地下室から出て騎士たちは食堂で体を伸ばした。一晩中ルーファスの看病をしていたボビーにも休めと命じて、サムが代わりに厨房の隅に居座ることにした。  厨房番の修道士は彼らがまるでそこに居ないかのように振る舞う。サムも彼らの日課を邪魔する意思はないのでただ黙って石窯の火と、マントでくるんだ藁の上に寝かせた熟練の騎士の寝顔を見るだけだ。  ルーファスは気難しく人の好き嫌いが激しい男だが、サムが幼い頃から”ウィンチェスター家”に仕えていた忠臣だ。もし彼がこのまま目覚めなかったら……。自分が王宮でもっとうまく立ち回れていたら、こんなことにはならなかったかもしれない。  若き王の父と――つまり前王とサムの父親が従弟同士だったために、サムにも王位継承権があった。実際、前王が危篤の際には若すぎる王太子を不安視する者たちからサムを王にと推す声も上がった。不穏な声が派閥化する前にサムは自ら継承権を放棄し、領地の大半を王に返還して王宮に留まり一騎士としての振る舞いに徹した。  その無欲さと節制した態度が逆に信奉者を集めることとなり、サムが最も望まないもの――”ウィンチェスター派”の存在が宮殿内に囁かれるようになった。国王派――この場合は年若き王をいいように操ろうとする老練な大臣たちという意味だ――が敵意と警戒心を募らせるのも無理はないとサムが理解するくらいには、噂は公然と囁かれた。何とか火消しに回ったが、疑いを持つ者にとっては、それが有罪の証に見えただろう。  自分のせいで部下たちを失い、また失いつつあるのかと思うと、サムはたまらないむなしさに襲われた。  ペタペタと石の床を踏む足音が聞こえ顔を上げる。ディーンが水差しを持って厨房にやってきた。彼は石窯の横に置かれた桶の中に水を入れる。サムは声もかけずに暗がりから彼の横顔をぼうっと眺めた。声をかけたところで、彼には聞こえないが――  床で寝ているルーファスが呻きながら寝返りを打った。動きに気づいたディーンが彼のほうを見て、その奥にいるサムにも気づいた。  「やあ」 サムは聞こえないとわかりつつ声をかけた。まるきり無駄ではないだろう。神父の唇を読んで指示を受けていたようだから、言葉を知らないわけではないようだ。  彼が自分の唇を読めるように火の前に近づく。  「あー、僕は、サムだ。サム、王国の騎士。サムだ。君はディーン、ディーンだね? そう呼んでいいかい?」  ディーンは目を丸く見開いて頷いた。零れそうなほど大きな目だ。狼を前にしたうさぎみたいに警戒している。  「怖がらないでいい。昨夜はありがとう。乱暴なことをしてすまなかった。怪我はないか?」  強ばった顔で頷かれる。彼は自らの喉を指して話せないことをアピールした。サムは手を上げてわかっていることを示す。  「ごめん――君の仕事の邪魔をするつもりはないんだ。ただ、何か困ってることがあるなら――」 じっと見つめられたまま首を振られる。「――ない?」 今度は頷かれる。「――……そうか、わかった。邪魔をしてごめん」  ディーンは一度瞬きをしてサムを見つめた。彼は本当に美しい青年だった。薄汚れてはいるし、お世辞にも清潔な香りがするとは言い難かったが、王宮でもお目にかかったことのないほど端正な顔立ちをしている。こんな森の奥深くの修道院で雑用係をしているのが信じられないくらいだ。耳と口が不自由なことがその理由に間違いないだろうが、それにしても――。  水差しの水を全て桶に注いでしまうと、ディーンはしばし躊躇った後、サムを指さして、それから自分の胸をさすった。  彼が動くのを眺めるだけでぼうっとしてしまう自分をサムは自覚した。ディーンは何かを伝えたいのだ。もう一度同じ仕草をした。  「君の? 僕の、胸?」 ディーンは、今度は地下に繋がる階段のほうを指さして、その場で転ぶ真似をした。そしてまたサムの胸のあたりを指さす。  理解されてないとわかるとディーンの行動は早かった。彼はルーファスをまたいでサムの前にしゃがみ込み、彼の胸に直接触れた。  サムは戦闘中以外に初めて、自分の心臓の音を聞いた。  ディーンの瞳の色は鮮やかな新緑だった。夜にはわからなかったが、髪の色も暗い金髪だ。厨房に差し込む埃っぽい日差しを浴びてキラキラと輝いている。  呆然と瞳を見つめていると、やっとその目が自分を心配していることに気が付いた。  「……ああ、そっか。僕が骨折してること、君は気づいてるんだね」 ”骨折”という言葉に彼が頷いたので、サムは納得した。さっき階段から落ちかけた彼を抱き止めたから、痛みが悪化していないか心配してくれたのだろう。サムは、彼が理解されるのが困難と知りながら、わざわざその心配を伝えようとしてくれたことに、非常な喜びを感じた。  「大丈夫だよ、自分で包帯を巻いた。よくあることなんだ、小さいころは馬に乗るたびに落馬して骨を折ってた。僕は治りが早いんだ。治るたびに背が伸びる」  少し早口で言ってしまったから、ディーンが読み取ってくれたかはわからなかった。だが照れくさくて笑ったサムにつられるように、ディーンも笑顔になった。  まさに魂を吸い取られるような美しさだった。魔術にかかったように目が逸らせない。完璧な頬の稜線に触れたくなって、サムは思わず手を伸ばした。  厨房の入口で大きな音がした。ボビーが戸にかかっていたモップを倒した音のようだった。  「やれやれ、どこもかしこも、掃除道具と本ばかりだ。一生ここにいても退屈しないぞ」  「ボビー?」  「ああ、水が一杯ほしくてな。ルーファスの調子はどうだ?」  サムが立ち上がる前に、ディーンは驚くほどの素早さで裏戸から出て行ってしまった。
 キラキラしてる。  ディーンは昔からキラキラしたものに弱かった。  木漏れ日を浴びながら一時の昼寝は何物にも得難い喜びだ。太陽は全てを輝かせる。泥だまりの水だってきらめく。生まれたばかりの子ヤギの瞳、朝露に濡れた花と重たげな羽を開く蝶。礼拝堂でかしずいた修道士の手から下がるロザリオ。水差しから桶に水を注ぐときの小気味よい飛沫。  彼はそういったものを愛していた。キラキラしたものを。つまりは美しいもの。彼が持ち得なかったもの。  サムという騎士はディーンが今までに見た何よりも輝いていた。  あまりにもまぶしくて直視しているのが辛くなったほどだ。彼の瞳の色に見入っていたせいで、厨房で大きな音に反応してしまった。幸いサムは音を立てた騎士のほうに目がいってディーンの反応には気づかなかったようだ。  もう一度彼の目を見て彼に触れてみたかったが、近づくのが恐ろしくもあった。
 ディーン何某という男の子がこの世に生を受けたとき、彼は両親にとても祝福された子供だった。彼は美しい子だと言われて育った。親というのは自分の子が世界で一番美しく愛らしいと信じるものだから仕方ない。おかげでディーンは両親が殺され、修道院に引き取られる八つか九つの頃まで、自分が怪物だと知らずに生きてこられた。  修道院長のクラウス神父は親と寄付金を失った彼を憐れみ深く受け入れてくれたが、幼い孤児を見る目に嫌悪感が宿っているのをディーンは見逃さなかった。  「お前は醜い、ディーン。稀に見る醜さだ」と神父は、気の毒だが率直に言わざるを得ないといった。「その幼さでその醜さ、成長すれば見る者が怖気をふるう怪物のごとき醜悪な存在となるだろう。無視できない悪評を招く。もし怪物を飼っていると噂が立てば、修道院の名が傷つき、私と修道士たちは教会を追われるだろう。お前も森に戻るしかなくなる」 しかしと神父は続けた。「拾った怪物が不具となれば話は違う。耳も聞こえなければ口もきけないただの醜い哀れな子供を保護したとなれば、教皇も納得なさるだろう。いいかね、ディーン。お前をそう呼ぶのは今日この日から私だけだ。他の者たちの話に耳を傾けてはいけないし、口を聞いてもいけない。おまえは不具だ。不具でなければ、ここを追い出される。ただの唾棄すべき怪物だ。わかったかね? 本当にわかっているなら、誓いを立てるのだ」  「神様に嘘をつけ��おっしゃるのですか?」  まろやかな頬を打たれてディーンは床に這いつくばった。礼拝堂の高窓から差し込む明かりを背負って神父は怒りをあらわにした。  「何という身勝手な物言いだ、すでに悪魔がその身に宿っている! お前の言葉は毒、お前の耳は地獄に通じている! 盗賊どもがお前を見逃したのも、生かしておいたほうが悪が世に蔓延るとわかっていたからに違いない。そんな者を神聖な修道院で養おうとは、愚かな考えだった。今すぐに出ていきなさい」  ディーンは、恐ろしくて泣いてすがった。修道院を追い出されたら行くところがない。森へ放り出されたら一晩のうちに狼の餌食になって死んでしまうだろう。生き延びられたとしても、神父ですら嫌悪するほど醜い自分が、他に受け入れてくれる場所があるはずもない。  ディーンは誓った。何度も誓って神父に許しを請うた。「話しません、聞きません。修道院のみなさまのご迷惑になることは決してしません。お願いです。追い出さないでください」  「お前を信じよう。我が子よ」 打たれた頬をやさしく撫でられ、跪いてディーンを起こした神父に、ディーンは一生返せぬ恩を負った。
 ぼんやりと昔を思い出しながら草をむしっていたディーンの手元に影が落ちた。  「やあ、ディーン……だめだ、こっちを向いてもらってからじゃないと」 後ろでサムがぼやくのが聞こえた。  ディーンは手についた草を払って、振り向いた。太陽は真上にあり、彼は太陽よりも背が高いことがわかって、ディーンはまた草むしりに戻った。  「あの、えっと……。ディーン? ディーン」  正面に回り込まれて、ディーンは仕方なく目線を上げた。屈んだサムはディーンと目が合うと、白い歯をこぼして笑った。  ああ、やっぱりキラキラしてる。  ディーンは困った。
 サムは困っていた。どうにもこの雑用係の庭師が気になって仕方ない。  厨房から風のように消えた彼を追って修道院の中庭を探していると、ネズの木の下で草をむしっている背中を見つけた。話しかけようとして彼が聞こえないことを改めて思い出す。聞こえない相手と会話がしたいと思うなんてどうかしてる。  それなのに気づけば彼の前に腰を下ろして、身振り手振りを交えながら話しかけていた。仕事中のディーンは、あまり興味のない顔と時々サムに向けてくれる。それだけでなぜか心が満たされた。  ネズの実を採って指の中で転がしていると、その実をディーンが取ろうとした。修道院の土地で採れる実は全て神が修道士に恵まれた貴重なもの――それがたとえ一粒の未���な実でも――だからサムは素直に彼に渡してやればよかった。だがサムは反射的に手をひっこめた。ディーンの反応がみたかったのだ。彼は騎士にからかわれて恥じ入るような男か、それとも立ち向かってくるか? 答えはすぐにわかった。彼は明らかにむっとした顔でサムを見上げ、身を乗り出し手を伸ばしてきた。  サムはさらに後ろに下がり、ディーンは膝で土を蹴って追いすがる。怒りのせいか日差しを長く浴びすぎたせいか――おそらくそのどちらも原因だ――額まで紅潮した顔をまっすぐに向けられて、サムは胸の奥底に歓喜が生まれるのを感じた。  「ハハハ……! ああ……」 するりと言葉がこぼれ出てきた。「ああ、君はなんて美しいんだ!」  ディーンがサムの手を取ったのと、サムがディーンの腕を掴んだのと、どちらが早かったかわからかない。サムはディーンに飛びつかれたと思ったし、ディーンはサムに引き倒されたと思ったかもしれない。どっちにしろ、結果的に彼らはネズの根のくぼみに入ってキスをした。  長いキスをした。サムはディーンの髪の中に手を入れた。やわらかい髪は土のにおいがした。彼の唾液はみずみずしい草の味がした。耳を指で挟んで引っ張ると、ん、ん、と喉を鳴らす音が聞こえた。とても小さな音だったが初めて聞いた彼の”声”だった。もっと聞きたくて、サムは色んなところを触った。耳、うなじ、肩、胸、直接肌に触れたくて、腹に手を伸ばしたところでディーンが抵抗した。  初めは抵抗だとわからなかった。嫌なことは嫌と言ってくれる相手としか寝たことがなかったからだ。ところが強く手首を掴まれて我に返った。  「ごめん!」 サムは慌てて手を離した。「ご、ごめん、本当にごめん! こんなこと……こんなことするべきじゃなかった。僕は……だめだ、どうかしてる」 額を抱えてネズの根に尻を押し付け、できるだけディーンから離れようとした。「僕はどうかしてる。いつもはもっと……何というか……こんなにがっついてなくて、それに君は男で修道院に住んでるし――ま、まあ、そういう問題じゃないけど――ディーン――本当にごめん――ディーン?」  ディーンは泣いていた。静かに一筋の涙を頬に流してサムを見ていた。  「待って!」  またも彼の身の軽さを証明する動きを見届けることになった。納屋のほうに走っていく彼の姿を、今度はとても追う気にはなれなかった。
 夜、クラウス神父の部屋でディーンは跪いていた。  「神父様、私は罪を犯しました。二日ぶりの告解です」  「続けて」  「私は罪を犯しました……」 ディーンはごくりとつばを飲み込んだ。「私は、自らの毒で、ある人を……ある人を、侵してしまったかもしれません」  暖炉の前に置かれたイスに座り、本を読んでいた神父は、鼻にかけていた眼鏡を外してディーンを見た。  「それは由々しきことだ、ディーン。お前の毒はとても強い。いったい誰を毒に侵したのだ。修道士か?」  「いいえ、騎士です」  「騎士! 昨日ここに侵入してきたばかりの、あの狼藉者どものことか? ディーン、おお、ディーン。お前の中の悪魔はいつになったら消えるのだろう」 神父は叩きつけるように本を閉じ、立ち上がった。「新顔とくれば誘惑せずにはおれないのか? どうやって、毒を仕込んだ。どの騎士だ」  「一番背のたかい騎士です。クラウス神父。彼の唇を吸いました。その時、もしかしたら声を出してしまったかもしれません。ほんの少しですが、とても近くにいたので聞こえたかもしれません」  「なんてことだ」  「あと、彼の上に乗ったときに胸を強く圧迫してしまったように思います。骨折がひどくなっていなければいいのですが、あとで治癒師にみてもらうことはできますか?」  「ディーン……」 神父は長い溜息をついた。「ディーン。お前の悪魔は強くなっている。聖餐のワインを飲ませても、毒を薄めることはできなかった。お前と唯一こうして言葉を交わし、お前の毒を一身に受けている私の体はもうボロボロだ」  「そんな」  「これ以上ひどくなれば、告解を聞くことも困難になるかもしれない」  ディーンはうろたえた。「神父様が許しを与えて下さらなければおれは……本物の怪物になってしまいます」  「そうだ。だから私は耐えているのだ。だが今日はこれが限界だ。日に日にお前の毒は強くなっていくからな」 神父はローブを脱いで寝台に横たわった。「頼む、やってくれ、ディーン」  ディーンは頷いて寝台に片膝を乗せると、神父の下衣を下ろして屈み込んだ。現れたペニスを手にとって丁寧に舐め始める。  「私の中からお前の毒を吸い取り、全て飲み込むのだ。一滴でも零せば修道院に毒が広がってしまう。お前のためにもそれは防がなくてはならない」  「はい、神父様」  「黙りなさい! 黙って、もっと強く吸うんだ!」 神父は厳しく叱責したが、不出来な子に向けて優しくアドバイスをくれた。「口の中に、全部入れてしまったほうがいい。強く全体を頬の内側でこすりながら吸ったほうが、毒が出てくるのも早いだろう」  心の中でだけ頷いて、ディーンはいわれた通り吸い続けた。もう何度もやっていることなのに、一度としてうまくやれたことがない。いつも最後には、神父の手を煩わせてしまう。彼は自分のために毒で苦しんでいるのにだ。  今回も毒が出る前に疲れて吸う力が弱まってしまい、神父に手伝ってもらうことになった。  「歯を立てたら地獄行きだからな。お前を地獄に堕としたくはない」 神父は忠告してから、両手でディーンの頭を抱えて上下にゆすった。昨夜はワインを飲んだあとにこれをやったからしばらく目眩が治まらなかった。今日はしらふだし、神父がこうやって手を借してくれるとすぐに終わるのでディーンはほっとした。  硬く張りつめたペニスから熱い液体が出てきた。ディーンは舌を使って慎重に喉の奥に送り、飲み込んでいった。飲み込むときにどうしても少し声が出てしまうが、神父がそれを咎めたことはなかった。ディーンが努力して抑えているのを知っているのだろう。  注意深く全て飲み込んで、それでも以前、もう出ないと思って口を離した瞬間に吹き出てきたことがあったので、もう一度根本から絞るように吸っていき、本当に終わったと確信してからペニスを解放した。神父の体は汗ばんでいて、四肢はぐったりと投げ出されていた。  ディーンはテーブルに置かれた水差しの水を自分の上着にしみこませ、神父の顔をぬぐった。まどろみから覚めたような穏やかな顔で、神父はディーンを見つめた。  「これで私の毒はお前に戻った。私は救われたが、お前は違う。許しを得るために、また私を毒に侵さねばならない。哀れな醜い我が子よ」  そういって背を向け、神父は眠りに入った。その背中をしばし見つめて、ディーンは今夜彼から与えられなかった神の許しが得られるよう、心の中祈った。
 修道士たちが寝静まった夜、一人の騎士が目を覚ました。  「うーん、とうとう地獄に落ちたか……どうりで犬の腐ったような臭いがするはずだ」  「ルーファス!」 ボビーの声でサムは目を覚ました。地下は狭すぎるが、サムがいなければ全員が横になれるとわかったから厨房の隅で寝ていたのだ。  「ルーファス! このアホンダラ、いつまで寝てるつもりだった!」 ボビーが歓喜の声を上げて長い付き合いの騎士を起こしてやっていた。サムはゴブレットに水を注いで彼らのもとへ運んだ。  「サミュエル」   「ルーファス。よく戻ってきた」  皮肉っぽい騎士は眉を上げた。「大げさだな。ちょっと寝てただけだ」 ボビーの手からゴブレットを取り、一口飲んで元気よく咳き込んだあと、周囲を見回す。「それより、ここはどこだ、なんでお前らまで床に寝てる?」  「厨房だよ。他の皆はこの地下で寝てる。修道院長はあまり僕らを歓迎していないみたいだ。いきなり殺されないだけマシだけどね」  「なんてこった。のん気にしすぎだ。食糧をいただいてさっさと出発しよう」  「馬鹿言ってないで寝てろ。死にかけたんだぞ」 起き上がろうとするルーファスをボビーが押し戻す。しかしその腕を掴んで傷ついた騎士は強引に起きようとする。  「おい、寝てろって」  「うるさい、腹が減って寝るどころじゃない!」  サムとボビーは顔を見合わせた。
 三人の騎士は食堂に移動した。一本のロウソクを囲んで、鍋に入れっぱなしのシチューをルーファスが食べるのを見守る。  「で、どうする」 まずそうな顔でルーファスはいう。もっともルーファスは何を食べてもこういう顔だから別にシチューが腐っているわけではない。例外が強い酒を飲む時くらいで、一度密造酒を売って儲けていた商売上手な盗賊団を摘発した時には大喜びだった(酒類は国庫に押収されると知ってからも喜んでいたからサムは心配だった)。  修道院にある酒といえば聖体のワインくらいだろう。ブドウ園を持っている裕福な修道院もあるが、この清貧を絵にしたような辺境の修道院ではワインは貴重品のはずだ。ルーファスが酒に手を出せない環境でよかった。しかし――サムは思い出した。そんな貴重なワインの匂いを、あのみすぼらしい身なりの、納屋で寝ている青年は纏わせていたのだった。  「どうするって?」  ボビーが聞き返す。ルーファスは舌打ちしそうな顔になってスプーンを振った。「これからどこへ行くかってことだよ! 王都に戻って裏切者だか敗走者だかの烙印を押されて処刑されるのはごめんだぜ」  「おい、ルーファス!」  「いいんだ、ボビー。はっきりさせなきゃならないことだ」 サムはロウソクの火を見つめながらいった。「誤魔化してもしょうがない。我々は罠にかけられた。仕掛けたのは王だ。もう王都には戻れない――戻れば僕だけでなく、全員が殺される」  「もとからお前さんの居ない所で生き延びようとは思っていないさ。だが俺とルーファスはともかく……」  「若くて将来有望で王都に恋人がいる私でも同じように思ってるわよ」 チャーリーが食堂に来た。ルーファスの隣に座って平皿に移したシチューを覗き込む。「それおいしい?」  「土まみれのカブよりはな」  「なあ、今の話だが、俺はこう思ってる」 ボビーがいった。「この状況になって初めて言えることだが、王国は腐ってる。王に信念がないせいだ。私欲にまみれた大臣どもが好き放題している。民は仕える主を選べないが、俺たちは違う。もとから誰に忠義を尽くすべきか知っている。もう選んでいる。もうすでに、自分の望む王の下にいる」  「その話、なんだか素敵に聞こえる。続けて」 チャーリーがいう。  「いや、まったく素敵じゃない。むしろ危険だ」 サムはいったが、彼の言葉を取り合う者はいなかった。  ゴブレットの水を飲み干してルーファスが頷いた。「サムを王にするって? それはいい。そうしよう。四年前にあの棒みたいなガキに冠を乗せる前にそうしとけばよかったんだ。野生馬を捕まえて藁で編んだ鞍に乗り、折れた剣を振りかざして、七人の騎士で玉座を奪還する!」 そしてまた顔をしかめながらシチューを食べ始める。「俺はそれでもいいよ。少なくとも戦って死ねる」  ボビーがうなった。「これは死ぬ話じゃない。最後まで聞け、ルーファス」  「そうよ、死ぬのは怖くないけど賢く生きたっていい」 チャーリーが細い指でテーブルを叩く。「ねえ、私に案がある。ここの修道院長に相談するのよ。彼から教皇に仲裁を頼んでもらうの。時間を稼いで仲間を集める。探せば腐った大臣の中にもまだウジ虫が沸いてないヤツもいるかもしれない。血を流さなくても王を変える手はある。アダムだって冠の重さから解放されさえすればいい子に戻るわよ」  「それよりウィンチェスター領に戻ってしばらく潜伏すべきだ。あそこの領民は王よりもサムに従う。俺たちを王兵に差し出したりしない」  「だから、それからどうするのかって話よ。潜伏もいいけど結局王と対決するしかないじゃない、このまま森で朽ち果てるか北の隣国に情報を売って保護してもらって本物の売国奴になる他には!」  「ちょっと落ち着け、二人とも。修道士たちが起きてくる。それから僕の計画も聞け」  「ろくな計画じゃない」  「ルーファス! ぼやくな」  「そうよルーファス、死にかけたくせに。黙ってさっさと食べなさいよ」  サムはため息を吐きそうになるのを堪えて皆に宣言した。「王都には僕一人で行く」  「ほらな」とスプーンを放ってルーファスが特大のため息を吐いた。「ろくな計画じゃない」
 行商売りの見習い少年と仲良くなったことがあった。同年代の子と遊ぶのは初めてだったから嬉しくて、ディーンは思わず自分の秘密をもらしてしまった。自分の口で見の上を語る彼に、少年はそんなのはおかしいといった。  「君は神父に騙されているんだよ。君は醜くなんかない、夏の蝶の羽のように美しいよ」  「神様の家で嘘をついちゃいけないよ」  「嘘なんかじゃない。ホントにホントだよ。僕は師匠について色んな場所へ行くけれど、どんなお貴族様の家でだって君みたいな綺麗な人を見たことがないよ」  ディーンは嬉しかった。少年の優しさに感謝した。次の日の朝、出発するはずの行商売りが見習いがいなくなったと騒ぎ出し、修道士たちが探すと、裏の枯れ井戸の底で見つかった。  井戸は淵が朽ちていて、遺体を引き上げることもできなかった。神父は木の板で封印をした。ひと夏の友人は永遠に枯れ井戸の中に閉じ込められた。  修道院は巨大な棺桶だ。  ディーンは二度と友人を作らなかった。
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神戸・教員間いじめ事件の衝撃2019年10月、教員による教員「いじめ」が大きく報道された。舞台は神戸市立東須磨小学校。インフォーマルな権力を掌握した教員グループが、他の教員たちを習慣的に辱め、暴力を振るい、奴隷化し、そのことを楽しんでいた。被害教員を恥辱にまみれさせる嗜虐あそびの数々は、奴隷プレイともいうべきしかたで、生きることのすべてをきめ細かく「わがもの」につくりかえようとするものであり、全人的な教育・指導(人格支配)の創意に満ちていた。またそれは、職場を加害教員グループを中心とするお祭り騒ぎで埋め尽くす、政治的な空間占拠の営みでもある。彼らは、ここはオレたちを中心とした祭りで埋め尽くされた世界であるという「現実」をつくりあげ、逆らうことはできないぞと他人を畏怖させ、支配を確かなものにする。被害教員を(それが人間だからこそ)人間以下の存在に変形させるお祭り騒ぎによって、あそびの「感動をわかちあい」、職場を「感動でいっぱいにする」ことは、自分たちの勢いを中心として「指導力」がすみずみに広がる集団形成をもたらし、逆らうと怖いぞという権力の誇示にもなっている。「人間まるごと支配」の祭りと、人間関係の利害・権力政治が一体となり、人格モードが変わった教員たちはおぞましい別世界をつくりあげていた。 〔PHOTO〕iStock もちろんこのような「世界」は、市民社会の基本的なかたちと相容れない。現代の先進諸国は人間の尊厳に高い価値をおく。人は個人として尊重される。奴隷的あるいは家畜的な扱いを受けない。人格支配は許されない。すべての人は人間として平等である。もちろん限定された職務の範囲において職務権限の不平等は必要だが、それは、人間「まるごと」が上位者たちに「なかよくしてもらえるよう」に変わる――生まれ変わる――ことを求める身分関係ではない。これが市民社会の基本的なかたちである。しかし日本の学校は、多かれ少なかれ、子どもだけでなく教員にとっても、「何があたりまえの現実であるか」が市民社会と異なる別社会になっている。それは学校だけではない。「社畜」「ブラック企業」などと言われ、人格支配がまかりとおる日本の職場についても、同じことが言える。 わたしたちが生きる日本は、中間集団全体主義にまみれた社会だ。中間集団全体主義は、人格支配を必須条件とする。市民社会の論理とは相容れない。各人の人間存在が共同体を強いる集団や組織に全的に(頭のてっぺんから爪先まで)埋め込まれざるをえない強制傾向が、ある制度・政策的環境条件のもとで構造的に社会に繁茂し遍在している場合に、その社会を中間集団全体主義社会という(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』253ページ)。東須磨小学校の閉鎖空間では、私たちの社会のすみずみにいきわたる中間集団全体主義が、極限的、集中的、典型的にあらわれた。これは、私たちの顔をくっきりと映し出す倍率を高くした鏡である。人間を不幸にする社会のしくみは、「あたりまえ」の生活に埋め込まれている限り、いつまでも続く。「それ」として見えてこないからだ。今回の極限的な事件は、人が人をいためつけ、人が人を恐れて生きなければならない中間集団全体主義の場のしくみを、くっきりと浮き彫りにする。そして、これを社会問題にすべきではないかと問いかける。「殺してやる」「どうなっても知らんぞ」まず報道を用いて、教員たちの群れがつくりあげていた、「別の世界」を紹介する。現校長(前校長のもとで教頭であったが今年2019年になって持ち上がった)は、加害教員たちについて話す。「この4名の教諭は本校の中核教諭です。指導力とともに力を持ち合わせ、私もこの先生から教えてもらうことが多かったです」「自分より力があり、口出しできなかった」(『FNN PRIME』2019.10.08)。このグループが生じた経緯については、次のように報じられている。前の前の校長が一昨年(2017年)4月、後にグループの中心になる加害教員を東須磨小学校に呼んだ。この教員の周囲にイジメ集団が形成された。この教員は、前の校長にも気に入られていた(『週刊新潮』2019年10月31日号)。校内でインフォーマルな権力を掌握し、だれも逆らうことができなくなった加害教員グループは、以前の校長たちのもとで勢力を拡大していった。 東須磨小学校に勤務していた元教員は証言する。前校長は、「あいつは今から切る」「殺してやる」といった発言をしていた。殺すというのは、この(教員の)世界で生きることができなくしてやるという意味なのだが、そういうことはしょっちゅう言っていた。前校長は、「裏切った奴らの方に付くんだったらオレは遠慮なくあんたのことは切るからな」「どうなっても知らんぞ」とことあるごとに言っていた(フジテレビ『バイキング』2019年10月16日放映)。被害者の一人は、昨年2018年の12月に前校長に相談しようとしたが、「それはいじめじゃないよな」「いじめられてないよな」と繰り返し言われ、「仲は良いよね」と念を押された。また、「(加害教諭から)お世話になっとるやんな(世話になってるよな)」とも言われた。前校長は、近隣学校の親睦会に欠席すると伝えてきた教員に「お前、オレの顔に泥を塗ってええんか」と脅した(教頭時代)。酒を飲めない教員に強制的に酒を飲ませた。書類を渡しに来た教員に、「お前、タイミングを考えろよ。俺がイラついているのが分からんのか」と凄んだ。以後その教員は他の教員に「今、〇〇先生に話をしに行ってもよいですか」とメモで事前確認をしなければならなくなった(教頭時代)(『週刊文春』2019年10月31日号)。想像を絶する加害行為の数々加害教員グループの行為については、次のようなことが報道されている。(1)身体を押さえつけ、歓声を上げながら、激辛のカレーやラーメンを強制的に食べさせる。その激辛の汁を目に塗りたくる。焼き肉のタレを大量に飲ませる。(2)新車の上に乗る。車の中で液体をぶちまける。鞄に氷をいれる。髪の毛や服にノリをつけて、パリパリにする。児童へ配布するプリントに落書をきしたり、水で濡らしたりする。はいていたジーンズを破る。パソコンのキーボードを壊す。携帯電話にパスワードを入力して使えなくする。(3)被害教員の尻を棒状のもので叩き、みみず腫れが生じた。足を踏みつける。プロレス技をかける。椅子を蹴る。被害者が『痛い、痛い』としゃがみ込むほど強く、叩いたり、蹴ったりする。熱湯の入ったやかんを顔につける。首をしめて呼吸困難に陥らせる。ビール瓶を口に突っ込んでビールを飲ませる。ビールのから瓶で頭をたたく。被害教員(男性)の乳首を掃除機で吸う(『週刊新潮』2019年10月31日)。(4)「ボケ」「カス」「クズ」「とろい」「犬」「ポンちゃん(ポンコツの意味)」などと言う。「毎日、…〝性病口〟〝くず口〟〝うんこ口〟〝ごみ口〟などと呼」ぶ(『週刊新潮』2019年10月31日号)。(5)飲食を強要する。仕事をしているのに自動車による送迎を強要する。ダイエットを命じ、体重増減のこまかな報告を要求する。(6)被害教員が担任をしているクラスの児童に「反抗しまくって、学級をつぶしたらいい」とけしかける。被害教員を侮辱し痛めつけるさまを児童におもしろおかしく話す。児童に被害教員のことを「犬のような存在」と言う。(7)猥褻メッセージを送るよう、強要する。「そろそろ生理ちゃうんか」などと女性教員の生理周期を話題にして笑いものにする。しゃがんでいるときに見えた女性教員の下着をみなのまえで話題にする。しゃがんでいる女性教員に後ろから接近し、足で尻を持ち上げるようにして接触する。セクハラの被害教員を、頭が揺れるほど叩いたり、運動会でひきずって怪我をさせたりする。(8)男性教員と女性教員に性行為を強要する。さらに性行為を画像にとって報告するよう命令する。 これについては『週刊文春』が詳細に報道している。 …A(加害教員)が、Z先生(被害教員男性)に向かってこう尋ねた。「そういえばお前、体重なんぼまで落ちてん?」…Z先生はAと男性教員Bらから、ダイエットを命じられていた。…体重の増減は、数値の見える体重計の写真をLINEに送ることで、Aらに管理されていたが、その日、Z先生の体重を確認したAは、ニヤつきながらこう言い放ったという。 「おっ、痩せてるやん。ご褒美に約束通り、Y(女性被害教員)と(性行為の意で)ヤろか」 Aから性行為を強要されたY先生とZ先生は、拒否の意思を示した。だが、Aはうら若き女性のY先生にこうたたみかける。 「じゃあこの後、Zのチンコ握るくらいはせぇよな」 さらにAは、後で行為の証拠画像を送って来るようにと念押しまでした。…Aは「ネットで拾った画像を送って来ないように」と、Y先生の手に、黒いペンで目印となるマークを付けたのだ。…解散間近、AはY先生とZ先生に追い打ちをかける。 「お前ら、(さっき言ったことを)今日やらんかったら知らんぞ」 …「(証拠画像は)汚いからオレの携帯には送ってくんなよ。X(被害教員)の携帯に送れ」 …X先生のスマホが、メールの受信を告げる。画面を開くと、Aが命じた行為を実行したと思しき画像が映し出された。男性の陰部を握る女性の手には、Aが付けた黒い印が残っていた。…その後、Aはこの経過を面白おかしく同年配のBに話し、「Zが射精した」と二人で笑いの種にしていたという。(『週刊文春』2019年10月24日号、22~23ページ)(9)被害教員(男性)が交際している女性についての性的なデマによる侮辱、および下着・性的画像・接触の要求。これについては『週刊新潮』と『週刊文春』が報じている。加害教員は、被害教員が「交際している女性についても、〝やりまんと付きあってるもんな〟〝俺、お前の彼女とエッチした〟〝お前の女、すぐ股開くで〟〝軽い女やから〟」などと言った(『週刊新潮』2019年10月31日号)。 C(加害教員)はX(被害教員)に『Y(Xが交際している神戸市内の女性教職員)の下着を持ってこい』とか『下着の写真を撮ってこい』と要求するようになった。Xのスマホを取り上げ、勝手にフォルダをスクロールして彼女の写真を探したこともあった。「オレはYと一発ヤッた」と言い出して、性器の特徴まで妄想して、ニヤニヤと語り始めた。CはXに、Yについての性的写真をしつこく要求した。Cは、自分がつくった粘土細工をXに渡し、それをYの自宅アパートに飾っておくよう命令した。そしてXに、「おい、彼女の下着をはやく見せろよ。そういえば、粘土細工を渡したよな。オレの作品を部屋にちゃんと飾っとるか、今から行って確認させろ」と言って、実際にYの自宅にやってきた。Cは何度もYの自宅前までおしかけた。Cは飲み会の帰りにXの車に乗り込むと、自宅ではなく、Y宅に向かうようXに指示したこともあった。Cは、Yの家に上がり込み、わいせつな行為に及んだとする噂を生じさせた。(『週刊文春』2019年10月31日号)(10)被害教員が出張にいくとき「甘いもんを買ってくるのが礼儀やろ」と強要し、買ってくると「こんなもんで好かれようとするな」といって、目の前でお土産を捨てた(『週刊新潮』2019年10月31日号)。(11)思い通りにならないと感じた児童の体を突き飛ばす。被害児童は骨折した。学校組織はそれを警察に届けず、闇から闇に葬った。市教育委員会は、「突き飛ばしたのではなく、児童をバレーボールのコートの外に出そうとした際に児童の足がもつれて転んだ」と説明した。児童に「あなたのことが嫌い」と言う。急に椅子を引いて児童を転倒させる。被害児童は頭を打った。加害教員について次のように言う保護者もいた。「本当に熱心で、親身になってくれる先生だったんです。問題を抱えた子の家に何回も足を運んだり、イジメやセクハラをしていたなんて信じられません」(『週刊文春』2019年10月31日号)。現校長は一連の虐待行為を教育委員会に報告していなかった。事件が大きく報道された後の記者会見で、ときに泣いたりしながら、誠実そうな表情で、「本当に被害教員には申し訳ないが、そういうことを感じたり気づくことはできなかった。隠蔽という意図は一切私の中ではありませんでした」と答える。それに対し、東須磨小学校で勤務していた教員は、「私は、被害者が暴力的なパンチやキックをされているのを、主に職員室内で見た。教頭(現校長)は同じ職員室内で仕事をされているので、余計目にする機会は多かったんじゃないかと思う」と証言する(フジテレビ『バイキング』2019年10月16日放映)。また現校長は、教員の加害行為を問題にする保護者に対し、「先生にも、そして皆さんにも本当にごめんなさいの気持ちでいっぱいです。これから先生たちみんなが仲良くなるように、先生たちは全力で力を合わせて一生懸命がんばります」と答えた(『FNN PRIME』2019年10月8日)。10月16日に開かれた保護者会で学校側は加害教諭4人のコメントを公表した。そのうちリーダー格の40代女性教諭のコメントは次のようなものだった。「自分の行動が間違っていることに気付かず、被害男性が苦しんでいる姿を見ることは、(今まで)かわいがってきただけに本当につらい」。なぜいじめが起こるのかこの事件を、マス・メディアは集中的に報道した。テレビでは、「立派で尊敬すべきはずの先生がこんなことをしている。あきれた。ゆるせない」という感情のストーリーをあおる報道が目立った。ここで起きていることの大筋は、本稿のはじめの部分で述べた。上記報道による紹介を読んだあとで、もう一度、はじめの部分の論述に目を通していただきたい。一言でいえば次のようになる。(1)学校と教育が特別扱いされる現行制度に支えられた構造的な閉鎖空間のなかで、(2)嗜虐的攻撃(いじめ)の筋書を用いた遊びによる悪ふざけのお祭り騒ぎと、(3)利害権力政治が、(4)不可分に結合し渾然一体となることで、(5)大きな市民社会のなかで「何があたりまえであるか」の別領域となった祭政一致の小さな社会が生じた。 以下、今回の事例を検討しながら、この「祭」と「政」の詳細を分析する。加害教員が行った嗜虐的迫害の内容は驚くほど多彩である。一見すると一つ一つがバラバラでまとまりがなく、理解しがたく感じられるかもしれない。しかし、そのほとんどは、以下で説明する全能筋書〈遊びたわむれる神とその玩具〉によって組み立てられていると考えれば、一貫した論理のもとで理解可能になる。戦略的攻撃と嗜虐的攻撃は、結合していることが多いが、それ自体、別のものである。たとえば、ピストルを突きつけて脅した後に口封じのために撃ち殺して金を奪うといった行動は、通常、「金を手に入れるためにピストルで脅し、口封じのために射殺する」といった戦略的攻撃の側面と、「ピストルをつきつけられた被害者がブルブルふるえて失禁するさまを見てゲラゲラ笑う」といった嗜虐的攻撃の側面が結合している。嗜虐的攻撃は、独特の欲望のひな型を満たすことをめざす攻撃である。この欲望のひな型は、全能を享受することに向けられた筋書の一種である。説明しよう(以下引用箇所では嗜虐的攻撃を「いじめ」と表記している)。【他者コントロールの欲望のひな型】他者をコントロールする全能というものについて、掘り下げて考えてみよう。たとえば、コップを壁にたたきつけて粉々に砕いても、そこには他者コントロールの手応えはない。それに対して他者は、自己とは別の意志を有しており、独自の世界を生きている他者である。だからこそ、いじめ加害者は、他者の運命あるいは人間存在そのものを深部から、自己の手のうちで思いどおりにコントロールすることによって、全能のパワーを求める。思い通りにならないはずの他者を、だからこそ、思い通りにするのである。これを、他者コントロールによる全能と呼ぼう。他者コントロールによる全能には、さまざまなタイプがある。いじめによるものは、そのうちのひとつだ(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』74~76ページ)。それでは、嗜虐的攻撃(いじめ)の欲望のひな型は、どのようなものか。【嗜虐的攻撃(いじめ)の欲望のひな型】いじめの加害者は、いじめの対象にも、喜びや悲しみがあり、彼(彼女)自身の世界を生きているのだ、ということを承知しているからこそ、その他者の存在をまるごと踏みにじり抹殺しようとする。いじめ加害者は、自己の手によって思いのままに壊されていく被害者の悲痛のなかから、おもいどおりにならないはずの他者を、だからこそ、思いどおりにする全能を生きようとする。このような欲望のひな型を、加害者は前もって有しており、それが殴られて顔をゆがめるといった被害者の悲痛によって、現実化される。これがいじめの全能筋書である(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』77~78ページ)。【嗜虐的攻撃(いじめ)の全能筋書のレパートリー】嗜虐的攻撃の全能筋書は、具体的な迫害行為の場面で、さまざまなかたちをとる。これらはすべて、もともとあった他の筋書が、嗜虐的攻撃の全能筋書に転用(流用)されたものである。代表的なものは、次の三形態のレパートリーである。(1)〈破壊神と崩れ落ちる生け贄〉: 加害者が力を加えると、被害者は、その爆発的な勢いによって瞬時に崩れ落ちる。子どもが積み木を一気に崩すときのような筋書の転用(流用)。(2)〈主人と奴婢〉: 命令―使役の筋書の転用(流用)。(3)〈遊びたわむれる神とその玩具〉あるいは〈遊ぶ神〉: 悪ふざけによって、通常の世界の条理を、条理が条理であるからこそ「ありえない」やりかたで変形させることは、世界そのものを自在につくりかえているかのような全能筋書となる。全能は、笑い転げるというしかたで享受される。遊びたわむれる神は笑いながら世界を破壊しつつ創造する。つまり、あらたな接続線を引いて世界の別次元の脈絡をありえないようなやりかたで強引に結びつけ、思いのままに条理そのものを一気に破壊しつつ再創造する。そして、その思いもよらぬ形態変化の愉快なかたちに笑い転げるのである。この論理は抽象的に考えればムズカシそうであるが、具体例を挙げれば、わかりやすい。たとえば通常は口から吸うたばこを肛門にさして、肛門から吸うしぐさをし、これをホタル(尻が光る昆虫)と命名する(学生の体験談より)。こういうものである。こういった楽しい遊びのストーリーが、嗜虐的攻撃の全能筋書として転用(流用)される。この全能筋書〈遊ぶ神〉のレパートリーが、人間の嗜虐的攻撃に最悪の「豊かさ」を付け加える。たとえば児童生徒による嗜虐的迫害(いじめ)事例をみると、よくここまで思いつくものだと感心せざるをえない遊戯的様式を、加害者たちは創造する。たとえば、手に積ませたおがくずにライターで火をつける。靴を舐めさせる。ヒモで首を縛って四つんばいにして犬にする。草を食わせる。便器に顔を突っ込む。性器を理科の実験バサミではさんだり、シャープペンシルを入れたりする。スカートを頭の方で結び視界と自由を奪ったうえで、予期せぬ身体的侵襲を加える虐待遊びを、「茶巾絞り(ちゃきんしぼり)」と命名する。そこには歌や奇妙な命名や振り付けがしばしば付随する。また、ルワンダや旧ユーゴなどでみられたように、民族紛争時の民兵が、ただ殺すのでなく、なぶり殺しを行う(さらに強姦がその「味つけ」に加わる)ときの、創意に満ちた「なぶり」の要素を生み出すのが、全能筋書〈遊ぶ神〉である(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』84~97ページ 要約と加筆)。この理論について詳しくは拙著『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』を参照されたい。学術書としては『いじめの社会理論――その生態学的秩序の生成と解体』がある。 〔PHOTO〕iStock 性的に「おもうがまま」にすること今回の東須磨小学校の事件に特徴的なのは、全能筋書〈遊ぶ神〉が突出している、ということである。加害教員が被害教員を嗜虐的に痛めつける筋書のレパートリーのうち、〈遊ぶ神〉が圧倒的に多い。加害教員たちが行っていたお祭り騒ぎは、広い社会では何の利益ももたらさない純然たる愚行であるが、閉鎖的な世界ではきわめて合理的な権力政治の手段になっている。実際に彼らは世渡りがうまい。自己コントロールも人並み以上である。加害教員は前校長のお気に入りでもあった。前校長が、些細なことに難癖をつけて下位者を痛めつけるありさまを紹介したが、このような前校長にへつらって気に入られるためには、かなりの自己コントロール能力が必要である。加害教員たちは、市民社会から遮断された人間関係の政治において、きわめて合理的にふまっている。それは次のような祭政一致の政治である。 (1)お祭り騒ぎの勢いによって、ここにいるオレたちが勢いの中心なんだゾということを絶えず示し続けることができる。(2)そのお祭り騒ぎが嗜虐的迫害(いじめ)であるから、他の人たちはものすごい恐怖を感じる。このことによって、他人を恐怖で支配することができる。(3)もともと日本の学校は構造的に、その場その場の「みんな」の感動が響き合い「ひとつになること」、「わたしたちの日々のがんばり」、主流のムードに同調して「なかよくすること」が、規範の準拠点になりがちである。規範の準拠点とは、神とか、天皇とか、法とか、人間の尊厳といった、「よい/わるい」を決定する、これ以上根拠をさかのぼることができない畏怖すべき参照点である。このような小社会で、お祭り騒ぎの勢いの中心になることは、自分たちが生み出す「みんなの」勢いが、神のように畏怖すべき規範の準拠点になるということでもある。勢いの中心にある側に逆らうことは、力関係上大きな損失があるとか、気持ちのうえで圧倒されるとかいったことだけでなく、「なかよくする」「みんなで気持ちを一つにする」という最高規範に反しているという罪悪感をもたらす。加害グループがインフォーマルな権力を掌握し、日々お祭り騒ぎを積み重ねることが、「よい/わるい」の基準自体を外部の市民社会とは別のものにする。彼らはこうして、悪ふざけを積み重ねながら祭政一致の別世界をつくりあげる。これは生物学でいう「ニッチ構築」にあたる。(4)「おもしろ」と恐怖が一体となったお祭り騒ぎは、サブリミナルなところから、人格のまとまりをすり抜けて情動を反応させ、パブロフの犬のような反応の連鎖としての人間の集合体をつくる。こうして人間存在の深いところから被害者を、調教された動物のように従属させることができる。このような祭政一致の「おもしろ残酷遊び」は、進行するにつれて性を手段とするようになりやすい。それは、性が人間存在の深み、核心、根底にあると感じられているからである。だからこそ、それを思うがままに破壊してつくりかえることは、他者の人間存在を「わがもの」にする営みが完成形に近づくあかしとみなされる。性が人間存在の深部が賭けられた領域であると感じられるからこそ、嗜虐的虐待がエスカレートするにつれて、性という媒体が入り込んでくる。多くの前近代社会では、勝った側が負けた側を性的に「おもうがまま」にすることは、その力の輝きを示す営為として当然のことであった。預言者モーセが率いるユダヤ人集団はミディアン人集団との戦争に勝ち、男たちを皆殺しにし、女と子どもを捕虜にした。捕虜たちが生きているのを見たモーセは、もっとまじめに殺せと怒った。「子どもたちのうち男の子は皆殺せ。男と性行為をしたことのある女も皆殺せ。処女だけは、おまえたちのために生かしておけ」(『旧約聖書』民数記)内戦や民族紛争のような局面では、それが条理であるがゆえに条理をひっくりかえして〈遊ぶ神〉が、性の使用と結合して暴走し、強姦と殺戮と極限的なブラック・ユーモアが渾然一体となった凄惨きわまる事態をひき起こす。 心理学者のフィリップ・ジンバルドーは、健康な若者を十数人ずつ、看守役と囚人役に分けて地下の模擬監獄で共同生活をさせた。すると、ほんの数日で、看守役は囚人役を嗜虐的に痛めつけるようになり、囚人役は心理的に破綻しはじめた。(注:近年、ジンバルドーが若干のそそのかしをしていたという説が有力になってきた(参考)。しかし、若干のそそのかし程度でここまでエスカレートすることは、人間は状況によってきわめて嗜虐的になりうることを示す。ジンバルドー自身の不正疑惑と実験そのものの価値は別である)このプロセスが進行するにつれて、看守役が、囚人役に性行為のしぐさをするよう命じてあざ笑うといったことが、自然発生的に増えてきた。また、アブグレイブ収容所に収容された人々に米軍関係者が虐待を加えていた事件でも、それが進行するにつれて、遊戯的に性的な恥辱を与える残虐な行為がエスカレートしていった(ジンバルドー『ルシファー・エフェクト』)。被害教員の存在を深部から破壊しつつ…東須磨小学校の加害教員たちも、被害教員の存在を深部から破壊しつつ完全に「わがもの」にする遊戯として、被害教員の性をいじくりまわしている。被害教員が、その性を、存在の根底において「かけがえのない、固有の世界を生きる、わたし」と関わる領域としているからこそ、そのポイントに集中して恥辱を加えるお祭り騒ぎは、他者を人間であるからこそ人間以下の存在に変形して支配する祭りに欠かせない要素になるのである。また、被害教員が交際する女性は、被害教員にとって「ただ肉体目当てにひっかけて遊んでいる」のではなく、「かけがえのない、固有の世界を生きる、わたし」の深部で交わる「特別なあなた」であるからこそ、加害教員は、被害教員が交際している女性に性的に接近し、汚辱を加えて、お祭り騒ぎをしようとするのである。もし交際女性が被害教員と前者の関係にあったとすれば、加害教員は少なくとも女性の側にはそれほど関心をもたなかったであろう。性の領域にかぎらず、被害者が自己が自己であることに関連づけて、何よりも大切にしている(と感じられる)ものを破壊し、汚し、あるいは、何の価値もない存在に変形することは、祭りに必要なイベントとなる。歴史をひもとけば、子どもを神への生け贄にすることが求められ、それに従うことで共同体の一員として生存することが許される、といったことは、祭政一致の社会ではよくみられる。新任教員がはじめて給料をもらって、あるいはみずみずしい人生の門出を祝うようにして購入したとおぼしきピカピカの新車だからこそ、加害教員たちは上に乗ってへこませ、水をこぼし、汚して破壊しようとする。これが激安のオンボロ中古車であれば、わざわざこのようなことをしないだろう。神は「わたしは全能の神である」といってアブラハムのもとにあらわれた。そして、アブラハムの人生を、高齢の妻が子を産むといった、ありえないことでいじくりまわしはじめた。そしてアブラハムに、子のイサクを殺すように命じた。アブラハムは従順に命令に従おうとした。神はその態度をよしとした(『旧約聖書』創世記)。加害教員グループがやっていることは、こういうことである。前述のお土産のエピソードは、きわめて示唆的である。加害教員はお土産を買ってこいと被害教員を圧迫し、そのうえで、被害者が苦労して買ってきたお土産に「こんなもんで好かれようとするな」と悪態をついてゴミ箱に捨てたのであった。この、お土産をごみ箱に捨てる行為の意味は、中井久夫による次の分析がみごとに当てはまっている。 「透明化作戦」の過程で行われるものに「搾取」がある。… …何よりも被害者を打ちのめすのは、そのようにして被害者にとってはいのちがけで調達した金員を、加害者がまるで無価値なもののように短時間で慰みごとに浪費したり、甚だしきは燃やしたり捨てたりすることである。これは加害者が加害者にとっては被害者の献身的行為も無に等しいということを被害者に見せつけるために行う行為である。被害者にとっては、加害者がいかに巨大で、自分がいかにちっぽけでとるに足りないかを身にしみてしたたか味わう瞬間である。(中井久夫『中井久夫集6 1996-1998 いじめの政治学』みすず書房)癌の進行度をあらわすステージ分類のように、人道に反する行為によって人間が根底から破壊される程度を示すステージを考えることができる。たとえば、ナチスドイツのユダヤ人収容所でのありさまは最高レベルの進行度を示していると考えることができる。そこでは、人前で裸でいるとか、人が見ているところで排便排尿するといったことが、あたりまえの状態になっていた。このような事態が認められれば、ステージはかなり進行していると判断できる。 人間の奴隷化・家畜化『週刊文春』によれば、東須磨小学校の加害教員は男女の被害教員に性行為を強要し、「命じた行為を実行したとおぼしき画像」(『週刊文春』2019年10月24日号)を送信させた。実際に性的行為の画像が送信されたという事態は、人間の奴隷化、さらには家畜化という点で、ステージがナチスドイツのユダヤ人収容所と同等の水準に達していることを示している。加害教員たちが行おうとした遊びの筋書は、次のようなものである。二匹の家畜化した被害教員に、家畜のように交尾することを強制する。飼い主になった加害教員は、侮辱の笑いを浴びせながら、その家畜人間の交尾を見世物にして盛り上がる。これである。性行為の画像を要求することは、性的興奮のためにポルノグラフィを手に入れるといったこととは、まったく異なっている。これは、人間を人間でない家畜にみたてて、人間がその汚い家畜に変化させられて交尾するのを、きれいな人間としてあざ笑う、という筋書を成就する遊びである。だから、加害教員は「(証拠画像は)汚いからオレの携帯には送ってくんなよ。X(別の被害教員)の携帯に送れ」と命令する(加害教員は、被害教員を汚物のカテゴリー(穢れが多い。人に非ず。人間以下の動物)に入れ、自分たちを汚物に触れない清浄のカテゴリー(きれいな人間)に入れる)。その結果、実際に性行為の画像が送信され、加害教員グループは、「Z(被害教員)が射精した」と笑い合うのである。もちろん人間の尊厳を最高価値とする市民社会の側としては、報道が正しいとすれば、このような加害教員たちに、(1)刑事裁判による執行猶予なしの重い刑事罰、(2)民事裁判による高額の損害賠償金の支払い、(3)退職金なしの懲戒免職を科さねばならない。この三つのうち、どれか一つでも欠けることは許されない。たとえ初犯であっても執行猶予をつけてはならない。彼らが為したことは、人道に反する罪であるからだ。加害集団の「世渡り」と「世界」のしくみ以下の論述は、東須磨小学校のケースが生じる10年前(2009年)に書かれたものであるが、「生徒たち」を「加害教員グループ」に代えれば、そのまま、加害教員グループの合理的な「世渡り」と、彼らが生み出しながらそのなかに棲む「世界」のしくみを要約したものになっている。すこし長くなるが、「生徒たち」を「加害教員グループ」に書き換えて紹介しよう。お祭り騒ぎで悪ノリするときの存在感は、群れのなかでの有利な身分や勢力を与える。嗜虐的攻撃(いじめ)によるお祭り騒ぎは脅しによって力を顕示し、自己勢力を拡大する合理的な戦略にもなっている。…集団生活で悪ノリする権力ゲームは、他者コントロールの全能追求で利益を最大化できる、あるいは利益のためにこの全能追求に「気合いを入れ」なければならない利害構造に支えられている。…加害教員グループにとって権力とは、他者コントロールの形態を用いた全能具現の営為であると同時に、利害構造のなかでの戦略的行為でもある。利害構造のなかの戦略的合理性という観点からは次のように言うことができる。お祭り騒ぎ(悪ノリ)は…戦略によって導かれ、このお祭り騒ぎを通じて当の戦略がさらに合理的となるような政治空間ができあがっていく。そしこの政治空間のなかで、お祭り騒ぎはますます戦略的に合理的なものになる。この繰り返しのなかで、巻き込まれた者たちの内的モードは、心理的断片群が瞬時に群れの勢い(空気)に応じて作動する、「群れ人格」のモードへ転換していく。こうして、保身と勢力拡大の手立てを計算しながら、ばかになって悪ノリする者たちが生み出す心理―社会的な政治空間が完成していく。そしてこの政治空間を成立平面として、さらに次の時点の権力とお祭り騒ぎが生み出される。このようなループが回り続けるとき、政治空間は動かしがたい社会的現実になる。そしてこの社会的現実のなかで、嗜虐的攻撃(いじめ)はどんどんエスカレートしていく。(『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』157~159ページ 「生徒たち」を「加害教員グループ」、「〈祝祭〉」を「お祭り騒ぎ」、「いじめ」を「嗜虐的攻撃(いじめ)」に書き換えた)加害教員グループがどれほど戦略的合理性(世渡り能力)に満ちており、どれほど狭い世界の「中核」として政治的に成功していたかを示すのが、前述の現校長の発言である。「この4名の教諭は本校の中核教諭です。指導力とともに力を持ち合わせ、私もこの先生から教えてもらうことが多かったです」「自分より力があり、口出しできなかった」(『FNN PRIME』2019.10.08)彼らが生きる教育的自治の「世界」に市民社会が介入したとき、彼らは破滅した。彼らの世渡り能力(戦略的合理性)は、教育の世界でうまくやることに特化しすぎており、外の世界が見えなくなってしまっていたのだ。このような教育的自治の世界がいかに有害なものであるかを、加害教員グループはくっきりと示してくれた。 〔PHOTO〕iStock 私たちは、日本のまちがった教育制度のもとで大繁殖する、教育的自治の世界から大きな被害を被っている(これについては、この『講談社現代ビジネス』での一連の論考、あるいは『いじめの構造――なぜ人が怪物になるのか』などで繰り返し論じた)。だが、私たちは学校の集団生活を「あたりまえ」と感じるように習慣づけられてしまっているので、それが目の前にあっても見えてこない。だから学校が市民社会のなかの「別の世界」になること自体が、改善すべき社会問題と感じることはなく、結果、悲惨な事態はいつまでも続く。この、教育的自治の世界で大繁殖する残酷を、東須磨小学校の加害教員グループは、いわば10倍の倍率で拡大してみせてくれた。彼らは、細胞内の特定の構造をくっきりと浮き上がらせる染色液のような存在である。
神戸教員いじめの「残酷な支配構造」加害者が作り上げた「別世界」 - ライブドアニュース
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takahashicleaning · 3 years
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TEDにて
ジャン = ポール・マリ:戦争で死と遭遇した後に残される恐ろしい余波
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
2003年4月、バグダッドに米軍が侵入を開始したとき、戦場記者。ジャン=ポール・マリが滞在していたホテルをミサイルが直撃しました。
その時、彼は死に直面し、古代より戦場で命を賭けた人たちにとり付いてきた亡霊と出会ったのです。「目に見える傷跡は残さないのに、人を殺すこともできる ― それは一体何なのでしょう?」とマリは問いかけます。
彼が「死の虚無との出会い」と表現したのは、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」とも呼ばれる障害です。死と精神病、そして恐怖と深いトラウマが後に残すものについて探るトークです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、危うく死ぬ。または、重症を負うような出来事の後に起こる、心に加えられた衝撃的な傷が元となる、様々なストレス障害を引き起こす疾患のこと。
私は調査を始めました。やり方はよく知っています。本を読み精神科医に問い合わせ、博物館や図書館へ行き、ついに、この事を知る人々を突き止めました。
軍の精神科医です。そして、これはトラウマと呼ばれる現象でした。アメリカではPTSDやトラウマ・ニューロシスと呼ばれ、これは存在を語られてこなかった現象でした。
それで、トラウマとは何なのでしょう?死との対面です。皆さんは、死を体験したことはありますか?死体のことや病室で亡くなった祖父や交通事故にあった人の話ではありません。
死の虚空についての話です。誰もが見るべきではないものです。昔の言い回しにこうあります「太陽も死もじっと見てはいけない」人は、全てを失う死に焦点を当てて見つめてはいけないのです!!
それを体験してしまうと一見何事もなかったように時は過ぎ、数日、数週間、数ヶ月、時には数年。やがて、突然、爆発します。
それは、すでにウイルスのように頭に入り込んでしまっているのです。心の窓の前には、そのイメージがあって頭に入り込んでいるそのイメージは頭の中を占拠していくのです。
男性も女性も突然、もう眠ることが出来なくなる。苦しみやパニックの発作に襲われます。
脳が誤動作していくパニック発作です。ちょっとした不安などではありません。突然、眠ることが出来なくなるのです。なぜなら眠ると毎晩毎晩、同じ悪夢が現れ同じイメージに苛まれます。
どんなイメージかというと例えば、ある兵士が建物に侵入すると待ち構えていた別の兵士が、銃口を彼に向ける。彼はその銃口を見つめます。すると、銃口は突然巨大になり、形を変え、毛むくじゃらになり全てを飲み込みます。
彼はこう言いました「俺は死を見たんだ。死んでしまったんだ」その瞬間から彼は自分が死んだことに気づいたのでした。これは、単なる感覚ではなくて彼は自分が死んだという確信があったのです。
実際は誰かが入ってきて敵の兵士は逃げたか撃たなかった。彼は撃たれたわけではないのですが、その瞬間に脳が死んでしまったと認識したのです。
例えば、集団墓地の匂い。私もルワンダでたくさん見ました。例えば、友が呼ぶ声。殺されかけている声。
でも、自分には何もできない。その声が聞こえるので毎晩、夜中に目覚め、それが何週間も何ヶ月も続き、子供のようにトランス状態でパニックを起こし、恐怖を感じるのです。
私は、大の男が子供のように泣くのも見ました。頭の中にあのイメージを見て、脳に強制的に焼き付けられた恐怖というイメージを、死の虚空のイメージと認識するのを見て泣くのです。その恐怖に似た何かは、何かを隠しており、頭の全てを占領していきます。
それには、どうしても抗えないのです。
これは珍しいケースでしょうか?いいえ、非常によくあることです!イラク戦争に行った兵士の3分の1は、彼らはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいます。1939年には、第一次世界大戦の兵士20万人が英国の精神病院で治療を受けていました。
戦争の恐ろしさ。脳に焼きついてしまう憎しみの連鎖です。
ベトナムでは、5万4千人のアメリカ兵が死に。1987年には米国政府が10万2千人の(約2倍ですよ)退役軍人たちの自殺を発表しました。ベトナムで戦死した兵士の数の2倍です。これで分かるでしょう。
現代の戦争だけじゃなく、古代の戦争でも本に書かれているように物語られています。
なぜ、私たちはこの事について語らないのか?なぜ口をつぐむのか?もし、そのことを語らなければ破滅が待ち受けています。
治療の方法は、ただ一つ!!
幸いにもこれは回復し得る病なのですが、ムンクの叫びやゴヤなどを思い出してください。そして、治療可能なのです!
トラウマ、このあなたを圧倒し、麻痺させ、しまいには殺してしまう死との対面から回復する唯一の方法は、その経験を表現する方法を見つけることです。
昔の人はこう言いました「ただ言葉だけが我々を一緒につなげるものだ」
言葉がなければ、私たちは人間ではなくなります。言葉のお陰で私たちは人間たり得るのです。このような言葉のない虚無が支配する恐怖のイメージに出会った後、そこから抜け出せる唯一の方法は人間の言葉を発することです。
つまりどういうことか?これは、トラウマの後、間違いなく、人は「存在の耐えられない軽さ」を失い、自分が永遠に存在するかのような感覚という認識を見失います。
これは、ここに居る私たちは永遠に居続けられるという誤った感覚ですが、それなしでは途方に暮れてしまいます。
「じゃあどうすれば?」トラウマの生存者たちは、この永遠の感覚を失い軽さを失うのです。でも、彼らは、新しい発見をすることも出来ます。もし、死と直面することになっても隠れたり沈黙を続けずそれと向き合うということです。
2018年現在では、サピエンスは20万年前からアフリカで進化し、紀元前3万年に集団が形成され、氷河のまだ残るヨーロッパへ進出。紀元前2万年くらいにネアンデルタール人との生存競争に勝ち残ります。
そして、約1万2千年前のギョベクリ・テペの神殿遺跡(トルコ)から古代シュメール人の可能性もあり得るかもしれないので、今後の「T型オベリスク」など発掘作業の進展具合で判明するかもしれません。
メソポタミアのシュメール文明よりも古いことは、年代測定で確認されています。古代エジプトは、約5千年前の紀元前3000年に人類最初の王朝が誕生しています。
<個人的なアイデア>
一度でも、人が人を殺してしまうと、その人は人間という概念には入らなくなる。これを仏教では、「業(ごう)を背負う」と言う概念というが、憎しみの連鎖も近い概念。
解決する方法は、戦国時代の古代日本にあって、人間の概念から外れたサムライ同士が、社会システムのために最前線まで自ら戦いに行き、日本の社会システム内で生きれない代わりに生贄として命を捧げる
こうして、戦いという形で善性に奉仕し、業(ごう)を背負ったサムライも憎しみの連鎖から転化されることで社会システム内の許しを請うという昔の人の知恵です。
法律がない時代の悲しい運命。しかし、法律がある現代でも万能ではないので感情や倫理などもあり難しい問題です。
現代では、人が人を殺してしまった兵士に近いかも。ナショナリズムとも呼ばれる。
最新物理学では、不確定性原理とエネルギー保存の法則により、他人が見ていなくても本人が見ているし、その行動や思いは波動として広がり続け、本人が話さなくても時空に折りたたまれ記憶されていくので
人間の善行為も悪行為も関係なく何千年でも繰り返して行く事象もありえます。
これは、最新物理学で裏付けられてて、仏教では「因果応報」とも言われます。
<おすすめサイト>
メリッサ・ウォーカー:アートはPTSDの見えない傷を癒せる
ロジェカイヨワ戦争論と日本の神仏習合との偶然の一致について2019
セバスチャン・ユンガー:なぜ?退役軍人は戦争が恋しくなるのか!
日本テーラワーダ仏教協会
仏教と物理学
エド・ボイデン: ニューロンの光スイッチ
トーマス・インセル:精神疾患の新たな理解に向けて
メアリー・ルー・ジェプセン:未来のマシンで脳からイメージを読み出せるか?
脳と直接通信できるステント
<提供>
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gkeisuke · 4 years
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200120-21香川旅行記 第1話「黄金の神社」
誕生日を迎える少し前、1月か2月に豊崎愛生さんが生まれた土地である徳島に一人旅をする習慣があった。
新しく一つ歳を重ねる前に、自分を見つめ直すためで、自分を見つめ直すこととは、自分と豊崎愛生さんとの間の関わりを見つめ直すことでもあった。
それ以外の目的は無いほうが多いくらいで、商店街をブラブラして1日が終わることも多々あるくらいだった。
去年、初めて車で徳島旅行をした。
これまで、自分の脚では行けなかった場所を新しく切り拓いて、そこで得た物もたくさんあって、それが楽しいと思ったのだ。
それをきっかけに、2019年は2〜3ヶ月に1回くらい、ふらふらとレンタカーを使っていろんな場所に旅行をしていた。
***
そうして、2020年も徳島旅行を考える時期が来たのだけど、車で行ってみたかった場所は去年に行き尽くしていたし、スフィアツアーを経て、個人的に思うところもあったので、今年は「まだ行ったことのない場所」に行ってみたいなという気持ちの方が強くなっていた。
去年、スフィア大阪の翌日にヨシダさんと、GENNARIのトオルさんと遊んだ時、ヨシダさんの地元である高松の話を聞いて「私もいつか遊びに行きます」と約束を交わしていたので、折角だから、今年は高松に行ってみようと思った。
ヨシダさんと遊ぶ、ヨシダさんの生まれ育った土地を知るということ以外、今回も特に目的は決めてなかった。ヨシダさん大好き人間か?はい……。
幸いにも、ヨシダさんは二日ガッツリ時間をあけてくれた。ありがてえ。
とりあえず、高松に向かうにあたって、ジムで��りながら、YouTubeで解説動画を観て、社会科の勉強みたいなことをしていた。
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高松駅の近くには、大きな商店街が何本か伸びたアーケード街があるらしい。
私は商店街大好き人間なので、それだけでちょっとワクワクした。
あと、ごく個人的に、今年はまだ初詣に行けてなかったので、主な観光スポットとして確実に名前が挙がっている金刀比羅宮には行こうと思っていた。
行程的にも、初日はまず金刀比羅宮、通称「こんぴらさん」でヨシダさんと待ち合わせすることとなった。
金刀比羅宮と『願い』について
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空港に到着して、レンタカー(※滋賀に行った時と同じくトヨタのヴィッツだった)を借りて金刀比羅宮へ。
両サイドに観光客向けの出店が並ぶ参道に入ると、立ちながら小さな瓶でビールチューハイを飲んでいる人がいたので、一発でヨシダさんだと分かった。
初めて来る知らない土地に、知ってる友人がいるのを見ると、ようやく自分の所在を見つけたような気持ちになって嬉しくなってしまう。
大分待たせていたけど、めっちゃニヤニヤしながら近づいてしまった。
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今回、折角ヨシダさんに会いにいくのと、年末年始にエピソード無料開放期間が重なっていた(今も続いているが)ので『Tokyo 7th シスターズ』を読み進めていた。
今回の香川旅行に目的が一つだけあって「Tokyo 7th シスターズ メモリアルライブ 『Melody in the Pocket』 in 日本武道館」のライブBDをヨシダさんと一緒に観ることだった。
今、ナナシスの話を詳しくやり出すと、この日記は5万字とかになってしまうので省略するが、EPISODE4.0の物語にかなり人生を揺さぶられてしまったので、ヨシダさんには話したいことがたくさんあった。
鬼のような階段(全785段)を登りながら、オタク早口で、直前まで飛行機の中でプレイしていた 『EPISODE 0.7 -Melt in the Snow-』の話をしていたところ「七咲……ニコルは……あの世界では……一番の憧れの対象な…………わけで…………そういう……アイドルが…………本当は…………臆病で…………怖がりな………普通の女の子だって……………涙を隠して…………笑顔でいる姿が………… ………… アイドルなんだって ………… ………描くのは…………本当にすごいと思って ………… ………」と、後半は息も絶え絶えになっていた。
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ナナシスの話をしながら、マヤノトップガン産駒のルーチェ号と遭遇するサプライズなどもありつつ、30分くらいかけて本宮に到着する。
ヨシダさんと参拝の話をする。神様にするのは「何かを叶えて欲しい」というお願いではなくて、自分の中に立てた誓いを聞いてもらうことなのだと。
私は、一人で徳島に行っていた時、彼女や彼女たちの幸福と健康を、そして、そこに自分が平穏に関わり続けられることを祈っていた。
その願い自体は、そう変わっていない。
ただ、それを叶えるために「自分がどうしなくてはいけないか」というのを考えるようになった。
結果、願いの中に彼女たちの名前は出てこなくなった。
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おまもりを買った。
めっちゃ金運に対してギラついた男みたいになってしまったけど、ちゃんと説明を読んだら、決して金運特化のおまもりというわけでは無かったので良かったです。
参拝を終えて、785段を再び下る。
途中、ヨシダさんの学生時代の後輩さんと遭遇したり、ヨシダさんが写真撮影を頼まれていたりしたので、やはりココはアニキのシマなんだな……という思いが実感として湧き上がった。
表参道のお土産屋さんや飲食店は、外国人観光客用にほどよくアップデートされており、懐かしさと新しさと俗っぽさが、ほどよく温かさで包まれていて、温泉街を思わせる心地よさがあった。
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参拝前に客引きのおばちゃんにつかまっていたこともあり、義理堅い男たちで知られる我々は「こんぴらうどん」で昼食をとる。
私の事前リサーチでは、琴平周辺のうどん屋としては、とりあえずココに行っておけば間違いないような評価を受けていたのだけど、ヨシダさん曰く「割と何処にでもある」チェーン店とのことだった……。
が、美味い…………マジで…………。
讃岐うどん自体は東京でも食べられるのだけど、東京の食べ物はどれも回答としては「80点」という感じがして、こうして旅行に来てご飯を食べると、一つ一つの繊細さとか質の高さみたいな素点で圧倒的に差がつく感覚がある。
旅行に来る前、うどん県うどん県言うので、じゃあ俺は絶対にうどん以外の魅力を見出してやるからな……と意地になっていたけど、香川はうどんが美味しい。それは逆ら���ようもなく事実だった。
デザートに和三盆アイスを食べたら(※この旅で2キロ増えた)ちょうどいい時間だったので、高松へと車を向ける。
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参拝の後、途中でおみくじを引いた。
信じる、信じないというよりは、生きる上の一つの指針として、私はおみくじが好きだ。
久しぶりに大吉だった。
今まさに旅行に来てるのに「旅行:わるし見合すべし」と書いてあったり、よく見ると「叶うけど、すぐには叶わんから頑張れよ」ということばかりが書いてあったけど『大吉』なのだ。
最初の3文字逆から読むと概ねヨシダさんじゃんというのも含めて、なんとなく、一人じゃない旅を選んだことで、スフィアや豊崎愛生さんではなく、自分のことを願ったことで、必然的に引けた『大吉』であるように思えたのだ。
最後に「有頂天になると誘惑にもかかります」とめっちゃ釘を刺されていたので調子こかないようにしつつ、きっと良い旅になるなと思ったのでした。
第1話 黄金の神社 おわり
このペースと重さで書いてたら、また京都旅行の時みたいに途中で力尽きると自ら察したので、今後、全5回に分けて、1日1本ずつ上げていく強制力を発揮していこうと思います……。
第2話 びっくりピーマン襲来
は、1月26日0時ごろ配信予定です。
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全国各地の議会で通用する方法ゆえ、全力で拡散をお願いしたい。 あいちトリエンナーレの芸術監督という「実績」をもって、今後、津田氏は全国の自治体に講演を行っていく。お仕事なのだから有償なのは当然だけれども、自治体が主催する場合は、「税金から津田氏の給与」が払われることになる。つまり、貴方の街で開かれれば、貴方のお財布から津田氏の給与を払う。
まずもって議員という立場である以上、「払ってよくない」とは言わない。だが、この文章をお読みの方が「え??私は、昭和天皇の御真影を焼く映像を展示させた芸術監督を呼ぶために、私の納めた税金を使われたくない!」と思ったとすれば、それはそれで【民意】である。 私は民意に応える立場であるため、地元の市議にどのような動きをとってもらえば良いか、方法を記しておく。
この動きは、神戸市議会に属する上畠のりひろ議員(自民)の実績だ。および共に動いた外海議員(維新)の動きによるものである。
最大のポイントになる。 市議として行動するにあたり、実は「中止せよ」とは言っていない。むしろ「推進して頂きたい」という論法を用いている。内心がどうであったかは想像に任せるが、議員として地元の市行政と相対するにおいて「反対してない」「中止を求めていない」のは、実は最大のポイントだ。
何を求めたのかと言えば、「公平性の担保」である。 例えば津田氏の動画を見せた上で、極めて特定の政治色が強いことを提示し、その上で開催を要望したようだが「公平性の担保の為、有本香氏」の登壇を要請している。 また、行政とは公正明大であることが求められるゆえ「①昭和天皇の御真影を焼く映像の存在」や「②日の丸や星条旗を侮辱するような展示物(馬鹿な日本人の墓)」の存在も、神戸市のシンポでは隠さず触れるように求めた。
一部には「政治の圧力だ!」とか「弾圧だ!」という声が聴こえてきそうなので、先に書いておくが、市議らが行政や実行委員会に求めたのは中止ではない。公平性の担保であり、その意味ではむしろ開催を支援し要望する形式での動きである。 公平性を求めたところ、神戸新聞の元役員が実行委員長として中止を決定したのが経緯である。
流石だなと感じたのは、これは実行委員長名において文書で回答を得ている。 かつ、ネットにも公開しており、この手法は全国に横展開できる形となっている。
うえはたのりひろ神戸市議の動き以下、Twitterに投稿された上畠市議の発言を掲載する。
(一文にまとめて紹介するため、改行などをBlog用に修正。また”続く”不要個所のみ削除。)
維新の外海議員と共に古川専務理事と面談。津田大介氏の人選は実行委員会で企画時は各地芸術祭の責任者を呼んでシンポジウムをしようというもので、他にも瀬戸内国際芸術祭にも声をかけたりしたそうです。津田大介氏だから敢えて呼びたいとか、政治的意図は全くないとのこと。
古川専務理事と担当係長には高須先生の助言も踏まえて津田氏の宣伝となるような中止とは言わないが、行政イベントの公平性担保を確保を求め、シンポジウムには一辺倒の主張でなく、立場を異にする有本香さんをお呼びしたり、天皇陛下の写真を燃やす映像を確信的に行った発言を紹介して神戸市民にジャッジできる機会を作り、せっかくの神戸の芸術祭が津田氏のプロパガンダにならないよう申し入れました。又、動画を見せて津田氏が自身への批判者をリスト化し殺すリストを作り犯罪を示唆する人物であり、不穏当で神戸市民が殺される対象になりかねない危惧を伝えました。
古川専務理事は①〜③の外海議員と私の懸念を理解され、速やかに実行委員長の理事長に報告するとの事。これから市長とも面談するようです。週末には結論を出すとの事で再度報告頂きます。出展作品は素晴らしいものが沢山あり、芸術祭が津田氏によりケチがつかないよう成功させたいとのことです。
①維新の外海議員@sotomikaizoと共に古川専務理事と面談。津田大介氏の人選は実行委員会で企画時は各地芸術祭の責任者を呼んでシンポジウムをしようというもので、他にも瀬戸内国際芸術祭にも声をかけたりしたそうです。津田大介氏だから敢えて呼びたいとか、政治的意図は全くないとのこと。続く⇒ https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1159036155230224384 …
愛知で確信的に昭和天皇の写真を燃やした如き映像や慰安婦像を展示させた津田大介氏を神戸市主催アートプロジェクトKOBE2019行事のシンポジウムに呼ぶとのこと。断固反対。公金によって津田氏を断じて呼んではならないと考えます。この考えの下、神戸市会議員として動きます。http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2019/07/20190719073003.html …
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②続き⇒古川専務理事と担当係長には高須先生の助言も踏まえて津田氏の宣伝となるような中止とは言わないが、行政イベントの公平性担保を確保を求め、シンポジウムには一辺倒の主張でなく、立場を異にする有本香さんをお呼びしたり、天皇陛下の写真を燃やす映像を確信的に行った発言を紹介して 続く⇒
③続き⇒神戸市民にジャッジできる機会を作り、せっかくの神戸の芸術祭が津田氏のプロパガンダにならないよう申し入れました。又、動画を見せて津田氏が自身への批判者をリスト化し殺すリストを作り犯罪を示唆する人物であり、不穏当で神戸市民が殺される対象になりかねない危惧を伝えました。続く⇒
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③続き⇒神戸市民にジャッジできる機会を作り、せっかくの神戸の芸術祭が津田氏のプロパガンダにならないよう申し入れました。又、動画を見せ���津田氏が自身への批判者をリスト化し殺すリストを作り犯罪を示唆する人物であり、不穏当で神戸市民が殺される対象になりかねない危惧を伝えました。続く⇒
④⇒古川専務理事は①〜③の外海議員と私の懸念を理解され、速やかに実行委員長の理事長に報告するとの事。これから市長とも面談するようです。週末には結論を出すとの事で再度報告頂きます。出展作品は素晴らしいものが沢山あり、芸術祭が津田氏によりケチがつかないよう成功させたいとのことです。
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維新の外海開三・神戸市議
昨日上畠議員@NorihiroUehata と共に面談させていただいた「アート・プロジェクト KOBE 2019 :TRANS-シンポジウム」の開催中止がさきほど発表されました。関係各局ならびに実行委員会事務局においては苦渋の決断であったと思いますが支持させていただいたます。
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非常に、うまい部分
各地方議会において、現場を戦う議員からすると「お!」という部分が何か所かある。
例えば、綾瀬市の笠間昇市議とも本件について話したのだけれど、話の通し方については絶賛していた。私も同じ感想である。
この部分を少し大きくクローズアップしておきたいのは、ネットの反応がよくわからない部分もあって、援護したいという思いもあったため。 恐らくネット保守論壇からすると「中止を求めてくれ!」とか「反対だ!!」って言って欲しいという部分はあると思う。
けれど、それを正面からやりにくいルールの下で議員は活動している。 気持ちよく言って、言うだけ言って終わりならば、それでもいい。 だが、きっちり成果をあげようと思うと、ちゃんとルールの下で動く必要がある。
実は、上畠議員は『KOBE2019行事のシンポジウムに呼ぶとのこと。断固反対。公金によって津田氏を断じて呼んではならないと考えます。この考えの下、神戸市会議員として動きます。』と、事前に投稿してはいる。
けれども、市議として市行政と相対するに、「事業の中止は求めていない」のがポイントだ。議員個人の思惑は”呼んではならない”であってとしても、実際の活動はそうはなっていない。 ここに上手さがある。
また、中止の決定は行政側の責任で実施されており、 かつ文書でとっている点も上手い。
愛知で確信的に昭和天皇の写真を燃やした如き映像や慰安婦像を展示させた津田大介氏を神戸市主催アートプロジェクトKOBE2019行事のシンポジウムに呼ぶとのこと。断固反対。公金によって津田氏を断じて呼んではならないと考えます。この考えの下、神戸市会議員として動きます。http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2019/07/20190719073003.html …
神戸市:シンポジウム「2019年‐2020年、アートは異物を受け入れるのか」開催のご案内
今秋、神戸市の新開地エリア、兵庫港エリア、新長田エリアを中心に開催されるアート・プロジェクトKOBE
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まずお伝えしたいのは、市議個人には中止する権限はない。 議員とは立法分野に属しており、三権分立のうち立法・行政・司法という区分けのうち、この権限を持つのは行政である。議員ではない。
行政のトップは市長である。 では議員が何をするかと言えば、市長が提案してきた予算案に対し、賛成・反対を議会の議決と言う形で承認を与え、もしくは否決する権限を持つ。 認定された事業を(議会に報告した通りに)執行するのが行政の役割なのだが、その事業を執行する・中止するかは、行政側の判断にかかってくる。
ならば、議員はどう動くのか。 「中止だ!」と声高に叫べばいいのか? それも一つの手法だけれども、単純にそれが答えとは思わない。
私たち議員が、「事業の中止を!」と声高に叫んだとしよう。 そして中止になった場合、どうなるか。 それこそ「政治による弾圧だ!」とか、「検閲だ」等の論拠を与える糸口になる。
だからこそ、中止を願っていたとしても(そのために行動したとしても)中止自体は求めていない。 この部分はメディアの方もしっかりと確認したほうがいい。「市議として何を申し入れたか」が全てだ。
最大の部分は、公平性の担保。
立場を異にする有本香さんを呼ぶことを提案。 また、行政イベントゆえの透明性の確保からだろう、「天皇陛下の写真を燃やす映像を確信的に行った発言を紹介」を提案。 その論拠として、神戸市民にジャッジできる機会を与えることを提案。
行間に滲み出るのは、「神戸市議として」、「神戸芸術祭」に対する愛である。津田氏個人の政治活動というか、プロパガンダにならないよう、という部分。
これは、誰も否定できない。
かつ、維新の外海議員と同席で行っている点も上手い。 笠間議員ともこの部分を高く評価した。上畠議員は自民党の党籍を有するが、自民のみの手柄としているわけではなく、維新とも共闘歩調をとる。
この部分は(自民・維新がセットという部分)ネット保守も批判すべきではないと思っており、私は維新と距離のある立場だけれども、高く評価する。
神戸市議会の議会構成は以下。 定数69に対し、自民は19議席のみ。 市政与党は41議席。公明(12)や市民連合(8)、共創・国民民主(2)と与党を組む。
野党陣営は、維新(10)、共産党(9)、つなぐ(5)。 他、無所属が4という構成。
この申し入れが自民党を代表したものかはわからないが、自民・維新がセットで動いた場合、市長サイドには極めて厳しい数字が待ち受ける。 仮に「まったく未対応」となった場合、自民がブチ切れて市長と敵対関係になったと仮定する。
その場合は、市政与党41から自民19を引いて22議席に減少。 自民・維新がタッグを組んだ場合には、自民19と維新10を合算して、29議席になる。 こうなった場合、市長は安定した議会運営ができない。
ゆえに、この申し入れについて、市は真剣に考える必要がある。 正直、議会の数の力を背景にした政治力学の話であり、過半数を絶対に維持せねばならない市行政サイドとの「高度な交渉」の一つ。 具体的に、中止は申し入れてはないけれど、市は検討せねばならない。津田大介氏個人のために、神戸市が停止するような政治闘争に発展してしまっては、たまったものではないからだ。
けれども、そこは前面には出さない。 これが議員の戦い方だ。
維新と一緒に出す。 中止の決定がなされた最大の理由だとは思う。
書くのは簡単だし、説明されれば納得だろうが、関西圏において「さぁ、一緒に行きましょう」といってスムーズに行ったのかというのは疑問もある。手を取り合うことを思いついたこと、実行に移したことは、実は凄い政治才覚だと思う。
外海議員は極めて保守色が強く、上畠議員は絶賛していたけれども、上畠議員とは同じ選挙区。つまりライバルにあたる。自分にとってもライバルの存在に対し、さらっとこういうことができるのは凄いと思う。本当に。
お気づきでしょうか、投稿においては「外海議員の名前を冒頭」に持ってきております。書き出しは”私、上畠のりひろは~”で始まるのではなく、徹底的に外海議員を立てて書いている。 このあたりは、本人の性格が良いのか、それとも大企業の管理職であった経験から鍛えられた部分なのかはわからないけれども、外部から見ていて気持ちのよい部分です。
呼んだらどうか?と提案されていた、有本さんも以下のように投稿している。 これは見ていて、非常に気持ちのよい流れ。
うえはた先生、お疲れ様です。今回の件ではぜひとも、自民・維新という党派の違いを超えて、心ある議員方が連携していたたげればと存じます。津田さん個人の問題というより、今回の件で問われているのは、行政はいかなる良識をもって文化向上のための助成にあたるか、ということだと思います。 https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1159342965384368128 …
@arimoto_kaori 有本さん、ありがとうございました。本日、維新の外海議員と津田大介氏を招くシンポジウムの件で専務理事と面談しました。まとめておりますのでご高覧下さい。https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1159278681052737536?s=19 …
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繰り返しになるが、議員は「中止を求めていない」点は強く書いておく。 それは政治事実ではない。
あくまで公平性の担保であり、根底には神戸の芸術祭への愛がある。 そこに共通の理解が生じたゆえに、中止の決定を実行委員会(広義の行政サイド)が下したのだ。
議員によって中止に追い込まれたイベントなどではない。
※ 余談になるが、川崎の事例などで私たちが介入しずらかった理由も察して頂きたい。こういう動きが次回以降とれなくなるからだ。かと言って、ガンガンやる人を全否定もしない。ただ、一緒にはやりにくい状況になる場合があることもわかって欲しい。
行政が中止に至るまで。実行委員会方式でやっておりますが、これは広義での行政サイドとして扱います。
今回、中止の決定を下したのは行政側の判断です。
神戸市議の上畠のりひろ氏に伺ったところによると「実行委員長は、元神戸新聞の常務であるため、表現の自由にも最大限に配慮して判断して頂けると思う」と当該実行委員会事務局の財団専務理事(神戸市外郭団体)から回答を得ているとのこと。神戸市から出向している担当局長からの回答であり、議員間で得た情報ゆえ公式のものとして取り扱います。
つまり、実行委員長である神戸新聞の元役員が「表現の自由に最大限に配慮した結果」が中止であったということは触れておきたい。 これが議会側が公正性の担保を求めた際の、行政側や実行委員会側の判断であったという事実が浮き彫りとなった。
求めたのは中止ではなく、公平性の担保であり、 「市民にジャッジの機会を与える」など建設的な提案であった。
言い換えれば、改善を受け入れて頂き、「むしろ推進」というスタンスである。 議員本人の内心は別にあったとしても、政治事実としては「有本さんも登壇して頂き、是非、やりましょう!」という動きである。
議員側は「やりましょう」と言っているのに、行政が中止した、と。 それが政治事実である。
【正式発表:神戸市主催 津田大介氏参加シンポジウムは中止】維新 外海議員・私上畠とシンポジウムの公平性の担保を求めていた件について続報です。既に報じられていますが津田大介氏参加のシンポジウムは、実行委員会(委員長 元神戸新聞常務取締役 服部孝司)の判断により中止となりました。
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組織的な援護体制
上畠議員には、脅迫犯まがいの投稿がなされた。 速攻で警察に行く。そして、議会はそれを守る。
メディアも集中砲火をかけようとする。 まさに神戸新聞が動き始める。 上畠議員は、記者名を公開して牽制を試みる。 どこかで見た手法だと感じないだろうか。
後述するが、上畠議員は赤旗撲滅作戦で共に行動した同志。 超初期メンバーで、一部からは赤旗一期生と呼ばれる。党本部通達が出たり、禁止の風潮が出る前に身体を張って戦った議員たち。 私の爆破予告の一見や、それ以降、行橋市議会が刻まれた「テロに屈したバカ議会」という動きも把握していると想定される。 (他、関西圏だと伊丹市の佐藤議員、いまは議長。綾瀬市の笠間昇議員も赤旗一期生。)
党本部も含め、ちょっと特殊な扱いを受ける存在であり、初期段階での議員個人のリスクが高すぎたため、援護を受けている。詳しくは書かない。 初期に赤旗を取り上げた議員は、皆それぞれに痛い目にもあっており、戦��ノウハウが豊富。経験値が桁違いと言ってもいい。
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では、動きを見てみよう。
上畠議員が警察に。
@Misaka9830 しばくとは、殴る・蹴るなど暴力をふるう言葉ですね。(http://zokugo-dict.com/12si/sibaku.htm )。ましてや議員をできんくなるレベルにしばきあげるとまで宣言。私も妻子がいる身です。明日、身辺の安全の為にも東灘警察署に行ってきます。 https://twitter.com/Misaka9830/status/1159818097940807680 …
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@Misaka9830 こちらの件で東灘警察署に参りました。 https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1159822673049837569 …
@Misaka9830 しばくとは、殴る・蹴るなど暴力をふるう言葉ですね。(http://zokugo-dict.com/12si/sibaku.htm )。ましてや議員をできんくなるレベルにしばきあげるとまで宣言。私も妻子がいる身です。明日、身辺の安全の為にも東灘警察署に行ってきます。 https://twitter.com/Misaka9830/status/1159818097940807680 …
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同じ神戸市議会の岡田ゆうじ市議が援護のtweet。
#津田大介 の「殺すリスト」といい、#津田の取り巻き の「しばき上げ宣言」といい、 政治家として筋を通すことは本当に大変という実例。 どうか御身ご大事に。 https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1160086964952977408 …
@Misaka9830 こちらの件で東灘警察署に参りました。 https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1159822673049837569 …
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かつ、明確にスタンスを示す。 これは心強いだろう。
怖い怖い 上畠議員にSPを付ける必要があるのでは… 批判者「殺すリスト」なんかを作ってる人物を 文化事業の総責任者に据えるとは、 愛知県の人選はどうなっているんでしょう… 神戸市では絶対に通らないと思います 我々がいますから https://twitter.com/NorihiroUehata/status/1160002507625549824 …
「殺すリスト」作成と批判 上畠市議、津田氏を https://www.sankei.com/life/news/190809/lif1908090048-n1.html … @Sankei_newsから
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メディアへの牽制。
私が「牽制」と感じただけで、上畠議員が牽制を意図したものかはわからない。だが、実際その効果はあるだろう。
神戸新聞 #上杉順子 記者は記事中で私と外海議員が財団側に「8日に登壇者の見直しなどを直接要請していた。」と書き、まるで津田氏の差し替えを求めているように読めますがそれは違います。津田氏と立場を異にする登壇者も追加して意見の多様性と公平性担保を求めたのです。 https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201908/sp/0012594237.shtml …
「アートは異物を受け入れるのか」テーマだった 津田大介氏出席シンポ中止
 「表現の自由」を問う企画展が中止された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(愛知県で開催中)の芸術監督・津田大介さんを招き、神戸市内で18日に予定
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事実として、上記の神戸新聞の記事は「歪んでいる」との評価を受けるような状況にある。 上畠議員らが申し入れたのは、中止ではない点は、焦点からはずしている。 結論部分には、以下のように記される。
「登壇すると愛知の件ばかり注目される」津田大介氏出席シンポ中止
(前略)
藤野一夫・神戸大教授(文化政策)は、シンポジウム中止の決定について「このようなドミノ現象を恐れていたが実際に起きてしまった。全国に波及し、自己検閲や自粛が相次げば、居心地の悪い、息苦しい社会となってしまうだろう。市議による政治的圧力の影響があったとすれば、憲法違反であり、大変遺憾なことだ」と話した。
(後略)
www.kobe-np.co.jp神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201908/0012594237.html
どうにかこうにか、メディア側の論調で「津田は悪くない!神戸市議会がおかしい!」と持っていきたいようだ。 政治弾圧などがあり、その被害者に仕立てたいのだろう。
私が言いたいのは、ドミノ現象が起きるのはこれからだ、という点。 なぜならば神戸の事例を、他の自治体も踏襲するだろうし、そのノウハウを私がまとめ、読者がそれを地元の市議らに配布するからだ。
自己検閲が行われたわけでもない。
岡田議員の主張は、地方議員としての当然の職責について言及したものである。
「政治家は黙っておれ 公費は俺達『芸術ムラ』の人間が好きなように使う 口をはさむなら 『検閲』『憲法違反』『表現の自由の弾圧』として お前の政治生命を消し去るぞ」 という芸術ムラ、御用マスコミ、暇なプロ市民の 三大スクラムに 絶 対 に 負 け ま せ ん か ら 
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【所見】公共事業を批判・検証するのが民主政の大前提。 その中で、なぜ芸術事業だけが無批判、無謬となるのか。 「芸術無罪」「芸術無謬」は民主政に対する挑戦。その方が憲法違反。 あらゆる公費の使途を厳密に審査する義務が政治家にはあり、一方私費の芸術祭に我々は何の影響力も持たない。
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公費が適切か否かを議論するべきは、議会である。議決をもって税は支出されるものであり、それを決めるのはメディアでも芸術家でもない。
表現であろうと、道路工事であろうと、それが何であろうと税の支出は議会を通す。それが三権分立であり、民主主義。
この動きに過敏に反応している者たちは、根本的な部分で履き違えている。
これは税の執行と議会の話であって、表現の自由とかそういう次元の話ではない。 そっちはそっちで話せばいいが、税が絡む以上は、こちらはこちらのルールがある。
私個人の意見として、彼らに言いたいことは、「(そっちのルールとか)知らんがな」である。
ようは、税金つかって、公共の看板つかって、 好きなようにプロパガンダやって、公金でウマウマして、議会とかから指摘は受けたくないよーん!が、”彼らの言う表現の自由”なのだとしたらだが、
そんなの知ったこっちゃないが、こちらはこちらで税の使途をしっかり調査するという、普通の職責を果たすだけと答えるよりない。根本的な部分でズレている。
神戸市が守ったもの、それは芸術
あいちトリエンナーレの炎上は、まだ収束していない。
県知事の動きも謎であるし、例えば津田大介氏が芸術監督を降りるなどの引責もない。 県議会の動きも、良いとは思えない。地域を代表する企業の動きも緩慢だ。
ゆえに、愛知については批判的な書き方となることはご了承いただきたい。
自由民主党 参議院議員の加田裕乃先生の投稿。 これは心強いだろう。地方議員出身の先生です。
人を貶めて「表現」や「アート」をはき違えて語る津田大介氏に、アートプロジェクトを語る資格は無い絶対反対です https://twitter.com/norihirouehata/status/1159036155230224384 …
愛知で確信的に昭和天皇の写真を燃やした如き映像や慰安婦像を展示させた津田大介氏を神戸市主催アートプロジェクトKOBE2019行事のシンポジウムに呼ぶとのこと。断固反対。公金によって津田氏を断じて呼んではならないと考えます。この考えの下、神戸市会議員として動きます。http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2019/07/20190719073003.html …
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さて、神戸市が守ったものが何か、です。
ここは私が上畠議員と話していて感じたものでありますが、「神戸芸術祭を守りたい」という一点です。 神戸には芸術を専門とする学校があり、芸術祭に対して本当に熱心に活動しているそうです。
ここで津田大介氏を呼び、彼らに悲しい思いをさせたくなかった、 それが中止の判断を下した行政と、上畠議員らとの共通の思いです。
愛知の場合。
あいトリのボランティアをしているけど、予めこの作品を展示する事を知らされていたら、携わるか否かすごく考えたと思う。同じボランティアの友達みんなも同様に言ってる。#あいちトリエンナーレ#表現の不自由展
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あいトリのボランティアをしているけど、予めこの作品を展示する事を知らされていたら、携わるか否かすごく考えたと思う。同じボランティアの友達みんなも同様に言ってる。#あいちトリエンナーレ#表現の不自由展
作品と津田さんに関する調べが浅かった責任は私達にもあるけど、「あの作品の展示を予め知った上でこの活動に参加しているんだね。反日感情があるの?」と勘違いされることが多々あって、本当に心苦しい。#あいちトリエンナーレ#表現の不自由展
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作品と津田さんに関する調べが浅かった責任は私達にもあるけど、「あの作品の展示を予め知った上でこの活動に参加しているんだね。反日感情があるの?」と勘違いされることが多々あって、本当に心苦しい。#あいちトリエンナーレ#表現の不自由展
1200人もが研修期間を経て運営や団体向けのガイドツアーなどに無償奉仕しているのに、あまりに無責任すぎない?今回の作品に関して、事前に伝える義務があったはずと思う。#あいちトリエンナーレ#表現の不自由展
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あいちトリエンナーレは、あの展示により「ただの政治プロパガンダ」になりさがった。 それをプロパガンダと判断するかどうかは個々人の判断だが、色がついたことで悲しんでいる者もいる。
神戸市の動きは、愛知県と対比すべきもの。
兵庫県の国会議員も、神戸市の市議たちも、党派を超えて守ったんだ。 市行政も率先して動き、それぞれの立場で守ったんだ。
これが明確な差であり、はっきり言えば愛知の政治は、今回は大失態だ。 官房長官まで巻き込み、大臣が出てきて、地元企業には迷惑をかけ、 下手すれば日米関係の経済問題で「失点」として取り上げられるようなことがあり、
それでも「臭いものにふた」とばかりに、なかったことにしようとする。 そういう及び腰な姿勢が、実際に芸術に希望を持った学生を傷つけているではないか。 私はその一点において、あいちトリエンナーレを強く批判する。
神戸市が何を守ったのか、なぜ中止と言う決定を行政が下したのか。 それは極論すれば、市議が動いたからではなくて、神戸芸術祭を守りたかったからだ。 もっと言えば、芸術祭の参加を守りたかったからだ。
その共通理解のもと、勇気を出した政治家が先鞭をつけ、 議会や国会議員という地域の政治組織も呼応したからこそ、こういう結果につながったんだ。
そのことを絶対に忘れてはならない。
全国で使える前例
津田大介氏は、「あいちトリエンナーレ」の芸術監督という肩書を活かし、地方行政での講演活動などを狙っていたのだろう。 それが事実かどうかは知らないが、以下のような投稿はしている。
神戸の件、僕は出演するつもりだったんですが、昨日の夜突然聞かされて僕も驚いてる(これが全国ニュースになるのか……)ところです。
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神戸の件、僕は出演するつもりだったんですが、昨日の夜突然聞かされて僕も驚いてる(これが全国ニュースになるのか……)ところです。
まず、現場の混乱を招いたことを申し訳なく思います。他方で、行政が行う文化事業のあり方が危機に瀕しており、このような時期だからこそオープンな場で表現の自由や芸術イベントのあり方について話したかったとも思います。安全・円滑な管理という点での現場の判断は支持しますが、中止は遺憾です。
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津田氏に関わらず、行政の文化事業において「そっち系の人」が登用される事例は多々ある。 例えば共産党の支持母体と言っても過言ではない団体が、行政に名義後援を打診し、公共性を看板にプロパガンダをやる等はどこの自治体でも見受けられる行為。
また、文化振興公社(図書館などを運営する自治体の三セクの一般的な名称)などで主催する事業で、色の強い人を呼ぶ等。ちなみに、原資は税金であるが三セクを経由されると、議会にはそのままはあがってこない。
三セクに対する全体の予算のみが計上される場合があり、個別の事業が明確化されないからだ。議員サイドがよっぽど注意していない限り、意図せずに通過する場合もある。これは市の公務員も把握が漏れるときがあり、三セクの担当職員クラスのみで決まっていることもあるようだ。
神戸の前例は、このあたりにも一石を投じる前例。
仮に津田大介氏の登壇を、「税金で」求めた場合だけれども、 それが貴方の住む街の事業だとすれば、貴方のお財布から津田氏の給料を支払う形になる。
それが嫌だなと思ったならば、このBlogでもいいし、上畠議員のTwitterなどでもいい。地元の市区町村議に送って欲しい。
地元の議員は、察するだろう。 「是非、開催してください。ただし、公平性の担保はお願いします。例えば有本香さんも同席させたり、百田尚樹さんや高須院長もいいですね。」と、そんな主張をするだろう。
結果は、たぶん津田氏を登壇させることを中止すると思う。 それが行政の決定になるはずだ。別に私費でやるのは構わないのだけれども、税を使う以上は地方議員は議論すべきだ。市民も、ガンガン声をあげていい。
実際、開いてしまってもいいんじゃないかな。
有本香さんと津田大介氏が、同じ壇上で共に討論する。 お金を払っても私は見たいけどな。呼んでくれるなら、私も登壇しましょうか?
テーマの中で「昭和天皇の御真影を焼く映像を展示した芸術監督として、どう思っているの?」とか聴かれるかもしれないが、それはちゃんと答えて頂きたい。
神戸市議達は、神戸の芸術祭を守った。
真剣に取り組んできた芸術家たちの努力を守るために
神戸は戦った。
その上で得られた前例だ。
今回、神戸市が作った前例とは、
「貴方の街で、貴方のお財布から津田氏の講演料を支出しなくて済む方策」
としても活用できるように思う。
貴方がすることは簡単だ。
神戸市の活躍をネットで拡散して欲しいのが一点と
地元の市区町村議に「開催しないで欲しい」と
「是非、神戸の動きを念頭に、前例のある中止だ」というのを
貴方の住む街の行政に活かすべく、地元議員に連絡をすること。
この手法とロジックが伝わっていくと
税を原資とした文化事業に「巣食う者たち」は、非常に困るように思う。
だから私たちはやらねばならない。
前例が得られた以上、なすべきことは、
そんなに高いハードルではない。
あとは、やるかやらないかだ。
昭和天皇の御真影を焼く映像を展示した芸術監督である、津田大介氏の講演料を貴方の街の税金で支出したくないと思った方は、FBでのイイネ・シェア、Twitterでの拡散をお願いします。
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sorairono-neko · 4 years
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え? そうだったの?
 勝生勇利の第一印象というものをおぼえていない。試合の公式練習で会ったとき言葉を交わしたはずなのだけれど、とにかく彼はごく平凡で、目立たなかったので、頭に残っておらず、どんな挨拶をしたのかわからないのだ。たまたま滑走順がクリストフの前で、そのときに勇利を見たのが初めての彼の記憶だが、日本人はおさなげに見えることもあり、クリストフにとって勇利は、最初、ノービス選手のような存在だった。こんな子どもが自分と張り合うのか、と驚いてしまった。  しかし、スケートは確かだった。勇利は昔からスケーティングがうつくしく、流れるようななめらかなすべりをした。そういう持って生まれたものというのはたいへん重要である。未熟な技術はみがけばよいが、その人の持つ「色」は変えられない。勇利はいずれ光り輝くだろうと思わせる、原石のような秘められた魅力があった。競技が終わったとき、クリストフは自分から声をかけた。  勇利はヴィクトル・ニキフォロフのファンで、語ることはほとんどが彼の話だった。クリストフもヴィクトルのことは知っており、いつか彼と近づきになりたいものだと考えていたので、勇利と話すのは楽しかった。しかし、勇利の好意は度を超しているように思われた。クリストフは一度、「ヴィクトルが結婚しようと言ってきたらどうする?」と言ってひやかしたことがある。本当にたわいない、子どもらしいいたずらのような質問だった。クリストフは勇利が「そんなことヴィクトルが言うわけない」と怒るか、「からかわないでよ」と赤くなるか、どちらかだと想像した。しかし勇利はそんな反応はしなかった。彼はまっかになって口を利かなくなり、どこかへ行ってしまったのだ。  そのあと勇利に会ったとき、彼ははにかみながら説明した。 「さっきはごめん。ヴィクトルと結婚したいと思ってるわけじゃないんだよ。ただ驚いちゃって。ぼくの許容範囲を超えてしまったんだ」 「ヴィクトル」と「結婚」というふたつの言葉だけで姿を消すほど勇利はヴィクトルが好きだったようだ。勇利は自分の心境を、「フリーのジャンプをすべてトリプルアクセルにした感じ。いっぱいいっぱいで死にそう」と言っていた。そのときはまだ四回転は跳べなかった。  勇利を見ていて思ったのは、見かけほどよわよわしくはないし、負けん気の強さも持っているし、何かきっかけがあればひと皮むけるのに、ということだった。それと、あんなに優しそうなのに、割合そっけないところがあるということ。クリストフ自身がつめたくされたわけではないのだけれど、ファンサービスの仕方や、初対面の人に向ける笑顔を見ていると、なかなか手ごわいということが感じて取れた。自分も最初、あんなつくったような笑みを向けられていたのだろうか?  それから幾年か経ってヴィクトルにも会ったが、ヴィクトル・ニキフォロフの印象は、強く正しくうつくしい、というものだった。これは彼と知り合う前からそうだ。ヴィクトルは圧倒的な強さを誇っていた。ときおり、試合用の気分が乗らないのか、妙な演技をすることはあったけれど、たとえ得点がさほど出なくとも、クリストフにはそれさえも魅力的なプログラムに思えた。ヴィクトルがヴィクトルの好きなようにすべった、という印象だ。コーチの言うことを守らなかったのだ。もちろんそういうときは、キスアンドクライで手ひどい説教を受けていた。  金メダルを獲っていなくても、それは、ヴィクトルのスケートがまずいということではなかった。クリストフには、いつもヴィクトルは強い者に見えた。強い者は正しい。そして彼はうつくしい。ヴィクトルは、ほかとはかけ離れてすぐれた正義だった。  ヴィクトルはそれから何年もトップスケーターであり続けた。クリストフはずっと彼を好きだったが、もうただ彼にあこがれるだけの少年ではなく、親密な友人だった。ヴィクトルのほうもクリストフを好もしく思ってくれているようで、それが態度ににじみ出ており、ライバルと言われながらも、ふたりはたいへん仲がよかった。  しかし、そのうちにヴィクトルの表情が曇り始めた。相変わらずスケートは冴え渡���ているのだが、何か考えこんでいるようなことが多くなった。ヴィクトルはクリストフにいちいち自分の心情を語らなかったし、クリストフのほうも聞きただしたりはしなかったけれど、王者ゆえの孤独というものは想像できた。一度、それとなく「元気がないね」と言ったところ、ヴィクトルは苦笑を浮かべて答えたものだ。 「クリスの前にいると油断してしまう」  確かに、報道陣やファンの前では、いつだってヴィクトルは晴れやかで陽気な顔をしていた。  そんなときだ。ヴィクトルが休養を取って日本へ行き、勝生勇利のコーチをすると言い出したのは。 「本気?」  クリストフはすぐにヴィクトルと連絡を取った。 「本気」  ヴィクトルは楽しそうに答えた。 「勇利に頼まれたから?」  クリストフはバンケットでのことを指摘した。 「それもある」 「あの動画を見たから?」 「それもある」 「それも、それも、って、結局何が決め手なんだい?」 「スケーティングに惹かれたからさ」  ヴィクトルは率直に打ち明けた。そのときのはずむような声を、クリストフは何年も忘れることができなかった。 「君はスケートに惹かれたらコーチしたくなるのかい?」 「勇利のスケートはそうだ」 「すっかりその気になっちゃって。君、コーチなんかしたことないだろう。わかってる? 優秀な選手が優秀なコーチになるとは限らないんだよ」  クリストフはヴィクトルのやることに文句をつけたかったわけではない。ただ、ふたりの友人のことが心配だった。ヴィクトルの選手としての今後。そして、彼を熱愛している勇利。──あれほどヴィクトルが好きなのに、そのヴィクトルにコーチをされたりしたら、勇利はどうなってしまうのだろう? 「勇利がして欲しいと言い、俺もやりたいと思った。大切なのはそれだけさ」 「ヴィクトルならそう言うと思ったよ」 「俺は人を驚かせること、やってみたいことはためらわずやってみる主義なんだ」  ヴィクトルは笑いながら話した。 「勇利ったらね、可笑しいんだよ。俺を見て信じられないっていう顔をしてるんだ。自分から頼んできたくせにね。すごく他人行儀なんだよ。バンケットのときはあんなに積極的でかわいかったのに。いまは俺と目が合うのも死にそうって感じだ」 「いつもの勇利だね」 「ああ、早く親しくなりたいなあ。もっといろんなことを話したいよ。彼のことを誰よりも知りたいし、俺のことも知ってもらいたい」  ヴィクトルがこんなことを言うのを聞くのは初めてだった。 「……勇利のことを泣かさないでくれよ」  クリストフはそうヴィクトルに頼んだ。  ふたりと再会したのは中国大会のときで、勇利の演技は、これまでとはまるっきり変わっていた。いつも気恥ずかしそうにうつむいていた彼が、堂々と人々の視線を集めている、といったふうだった。もちろん勇利だって、氷の上では昔から輝いていたのだけれど、その時代とは比較にならない優雅な態度、高貴な雰囲気があった。ショートプログラムで見せた女王然としたそぶりは忘れられない。 「クリス、勇利にはね、いろんな顔があるんだ」  ヴィクトルはうれしそうに勇利のことを語った。 「落ちこんだり喜んだりそっけなかったり優しかったり、かわいかったり、人の話を聞いていなかったり、従順だったり反抗的だったり、表情がくるくる変わる」  彼は、最後に会った世界選手権のおりにひきくらべ、見違えるほどいきいきしていた。 「勇利は君の好みに合ったようだね」  クリストフはからかった。 「あんなにおもしろい子はいないよ。とても魅力的だ。クリスもそう思わないか?」  ヴィクトルは自慢した。 「それにね、勇利は俺のことが大好きなんだよ」 「好かれるのなんて珍しくないでしょ」 「そうだけどね……」 「ヴィクトルはどうなの?」 「俺? 俺だってもちろん好きだよ。大のお気に入りだ!」  実際、ヴィクトルの態度を見ていればそれはたやすく知れた。勝生勇利はヴィクトル・ニキフォロフの秘蔵っ子だった。  しかし、翌日のフリースケーティングのときには雲行きが怪しくなった。勇利の様子がおかしいのだ。クリストフだって競技に出るのだから、試合の日にまで友人の心配をしてはいられない。それはコーチのヴィクトルの役目だ。しかし、そのヴィクトルが使命をまっとうできるかどうかは、はなはだ疑問だった。おそらく勇利は、かつてないほどの重圧を感じ、苦しんでいる。彼は繊細なのだ。ショートプログラム一位、ヴィクトル・ニキフォロフがコーチ。それがどれほど大きな意味を持つか。ヴィクトルにはそこの微妙なところは、おそらくわからないだろう。コーチに向いてないんだよ、とクリストフは考えた。  案の定、滑走前に現れた勇利は目をまっかにし、ぎこちない態度だった。ヴィクトルとのあいだがよそよそしい。何かあったな、とクリストフは思った。勇利は泣いたにちがいない。ヴィクトルのやつ、いったい何を言ったんだか、とあきれた。  試合のあと、ヴィクトルはクリストフにこぼした。 「勇利って複雑すぎるよ」  しかしそう報告する彼の目はきらきらと輝き、喜びにみちていた。 「自分の得意なジャンプを跳んでもらえたのがそんなにうれしい?」  クリストフはわざと意地悪を言った。するとヴィクトルが──いつも余裕を示している悠然としたヴィクトルがむきになったのだ。 「そういうことじゃないんだ。ただジャンプを跳んだからじゃない。俺との積み重ねのうえに生まれたジャンプなんだ、あれは」 「あれ、キスしてたの?」  クリストフは唐突に尋ねた。ヴィクトルは「え?」と間の抜けた声を上げた。 「勇利に。キスした?」  ヴィクトルは答えなかった。そのとき、ちょうど勇利が取材を終えて現れたので、「ゆうりぃ」とうれしそうに駆けていってしまった。クリストフは可笑しかった。勇利は変わった。確かに。しかし、それ以上にヴィクトルも変わったのだ。  次に会ったのは、グランプリファイナルのおりだった。ヴィクトルをひと目見てクリストフは驚いた。勇利に向けるヴィクトルのまなざしが、ひどく情熱的だったのだ。中国大会のときからその気配はあったけれど、いまや彼の愛情ははっきりと目にあらわれていた。 「ヴィクトル……、君、本気で勇利にまいっちゃったみたいだね」 「クリス、この試合はね、俺の勇利が優勝するよ。俺は自分の力でファイナル六連覇はできないけど、勇利がそれをかなえてくれるんだ」  ヴィクトルは勇利とそろいの指輪をはめていた。クリストフは、いろいろな者からあれほど愛されているにもかかわらず、彼はなんとなく結婚しそうにないという気がしていたので、指輪をつけてうれしそうに披露する様子がおもしろくて仕方なかった。 「君が結婚指輪を見せびらかすような男だとは思わなかった」 「まだ婚約指輪だよ。うらやましい?」 「そういうのを『うらやましいのではないか』と認識できる力が君にあったことが驚きだ」 「どういう意味だ」 「勇利はすごいね」  勇利はヴィクトルの言うようには、金メダルを獲れなかった。にもかかわらず、ヴィクトルはたいへんうれしそうな様子をしていた。勇利のエキシビションは見ていられなかった。なぜかクリストフは、ふたりの演技を見ながら、ほほえましい気持ちになると同時に、どこかそわそわするような──気恥ずかしい思いも感じたのだ。 「ヴィクトル、君たちのデュエットだけど」 「最高だっただろ」 「ふたりが仲よくしていて結構だったんだが、どうも落ち着かない気分にさせられた」 「なんで?」 「なんというか、他人のセックスを見せられている気になった」  ヴィクトルは目をまるくした。彼は途方もなく大笑いし、クリストフの肩に手を置いてちいさく言った。 「そうだろうとも」  そして口元を上げて続けた。 「でもまだ勇利のことは抱いてない」  次はヨーロッパ選手権での再会だった。もちろん勇利はこの試合には出ない。ヴィクトルも彼に会っていないはずだ。選手復帰をしたため、ヴィクトルはロシアで稽古に励まなければならなかった。勇利は日本で練習を続けているようだ。それぞれ、ロシア選手権でも全日本選手権でも成績はよかったようだが、ヴィクトルはひどく落ちこんでいた。 「勇利に会いたいんだ」  ヴィクトルは率直に打ち明けた。 「会いたくて会いたくてたまらない」  クリストフは、ヴィクトルが誰かに会いたがることがあるなんて想像もしていなかったので、ついほほえんでしまった。 「電話すればいいじゃない」 「してた。毎日やったら『そんなにかけてこないで』と怒られた」 「ああ……、まあ、勇利にはそういうところがあるよね。どこかつめたいというか」 「ちがうんだ。勇利も俺に会いたいんだ。声を聞いてしまうとその気持ちが激しくなるからかけてこないでと言ってるだけなんだ」 「勇利がそう告白したの?」 「ちがうけど……」 「いいけどね」  そうかもしれないしちがうかもしれない。どちらにしても、ヴィクトルをそんなふうに悩ませるのがいまの勇利らしい。 「まあ落ち着きなよ」 「落ち着けないよ」 「たった三ヶ月じゃないか」  ヴィクトルは溜息をついた。彼は思いつめたようにつぶやいた。 「クリス、俺ね……」 「なんだい」 「勇利とセックスがしたいんだ」  クリストフは溜息をついた。 「……あのね」 「したくてしたくてたまらないんだ」  ヴィクトルは苦しそうに胸を押さえた。クリストフはばかばかしくてやっていられなかった。 「まだ一度もしてないんだ。勇利に入れたい」 「あのね……」 「勇利を抱きたい。気が狂いそうだよ」 「まるで初めて恋を知った少年のようじゃないか」 「つらいよ」 「二十八歳にしてこの始末。こじらせてるね」 「勇利とやりたい」 「黙りな」 「こんな下品な俺を知ったら、勇利は俺を嫌いになるだろうか……」 「そういうくだらないことで悩めるなら、まだまだ元気だね、ヴィクトル」  ヴィクトルの演技はせつなさと愛情を帯びており、ひどく叙情的で、かなりの評判になった。クリストフは勇利の「エロス」を見たときのように、「去年までとぜんぜんちがう」と思った。気取り返ってメダルにキスしていたヴィクトルはどこへ行ってしまったのだろう? いまの彼は、メダルを掲げて笑顔を振りまき、「勇利、金メダル獲ったぞ! これをきみに捧げよう」などとはしゃいでいる。これが「クリスの前にいると油断してしまう」とさびしげにつぶやいたあの男だろうか?  シーズンが終われば、勇利はロシアに渡るらしい。それを世界選手権後に聞いたクリストフは、「よかったじゃない」と祝福した。 「これで毎日会えるね。勇利はヴィクトルの家で暮らすの?」 「ああ……」 「ますますうれしいだろう」 「まあね……」  しかしヴィクトルは浮かない顔をしていた。 「どうしたの。勇利と喧嘩でもしたのかい?」 「いや……」  ヴィクトルはしばらく黙ってグラスに口をつけていた。ふたりはホテルのバーで飲んでいた。クリストフは首をかしげた。何か問題があるのだろうか。 「何を落ちこんでるんだい? 勇利とやりたいんだろ? いよいよじゃないか。一緒に住めば自然とそういうことになるさ。お望み通りセックスできる。やりまくれるよ」 「それなんだ」  ヴィクトルがおもてを上げ、訴えかけるようにクリストフを見た。 「いままで俺は、勇利を抱くのがこのうえなく楽しみだったんだ」 「だろうね」 「でも、考えてみたんだが……」  ヴィクトルは悩ましく打ち明けた。 「俺、愛してる子とセックスするの、初めてなんだ……!」 「…………」 「童貞みたいなものじゃないか……!?」  クリストフは黙って琥珀色の液体を飲んだ。 「どうすればいいのか、いまから不安になって緊張する……」  ヴィクトルは何か大切な教えでも書いてあるかのように、グラスを熱心にみつめている。 「勇利を気持ちよくしてあげたい。彼は正真正銘の未経験だから、恐怖もあると思う。くつろがせてあげたい。大事に、優しく、かわいがってあげたい。でも俺にその余裕があるだろうか!?」  クリストフはあいづちも打たなかった。 「俺が下手なことをしたら勇利は幻滅するんじゃないか? きっと俺のことを、世界一セックスの上手い色男だと思ってるぞ。そんな俺が手間取ったり、うろたえたり、愛撫がじゅうぶんじゃなかったり、何か失敗したりしたら……」 「…………」 「クリス」  ヴィクトルはクリストフの腕をつかんだ。彼は真剣に言った。 「入れる前に暴発したらどうしよう!?」 「……そこまでいろいろ考えるなら、緊張のあまりたたないほうを心配したほうがいいんじゃないの」 「あ、それはないよ。大丈夫」  ヴィクトルはひとしきり、ああどうしよう、ああ不安だ、手際の悪い俺なんて勇利はがっかりする、勇利がセックスを嫌いになったらどうすればいいんだ、と悩み騒ぎ、最後には、セックスがこわい……としゅんとして去っていった。しかしクリストフは知っていた。それでもヴィクトルはやりたくてやりたくてたまらないのだ。  春になり、翌季のプログラムをさっさときめてしまうと、クリストフは休暇を取って、あちこちを好きなように旅した。そのとき、ロシアにも行く機会があった。ヴィクトルに連絡を入れたら、仕事でモスクワにいるという。クリストフはホテルのレストランで彼���落ち合った。 「勇利とセックスしたぞ!」  会うなりそう言われたのだが、クリストフが驚いたのは、その発言のためではなかった。ヴィクトルの表情がいままでとはまったくちがうのである。常にとろけており、にこにこしており、瞳はきらきらと輝いていた。彼は、勇利が、勇利は、勇利に、勇利を、と勇利の話ばかりした。簡単に言えば、ヴィクトルは、完全に腑抜けになってしまっていたのだ。 「ヴィクトル……」 「クリス、聞いてくれ。勇利と初めてした翌朝、俺は感動のあまり口を利けなかったんだ。そしたら勇利がなんて言ったと思う? せつなそうに俺をみつめて、『後悔してるの?』とこうだ。してるわけないだろう!」 「ヴィクトル、声が大きいよ」 「勇利はかわいいんだ。くわしいことは言えないけどね。とにかくかわいかったんだ。かわいかったということだけしか言えない。あんなにかわいい生きものに俺は会ったことがない。何を食べたらああもかわいく育つんだ? この世には不思議なことがあるものだね!」  クリストフの知る限り、ヴィクトルはもう長く、勇利のことばかりみつめていた。それも、いとしくていとしくてたまらない、というとろけたまなざしだった。勇利から視線をそらさないのである。勇利がよそを向いて何か話していても、うん、うん、とうなずきながら勇利だけを見ていた。愛情にみちたとろりとした表情は、まわりのほうが赤面するほどだった。声も勇利に話すときだけこのうえなく優しく、甘ったるくて、たわいないことを口にしていても、愛してるよ、大好きだよ、絶対に離れないよ、とささやいているようだった。そんなヴィクトルだったから、この男、勇利を抱いたらどうなってしまうんだ、と心配になることがあった。その答えがいまわかった。こうなるのだ。 「ヴィクトル、なんか原型とどめてないよ」 「何のことだ?」 「どろどろにとけちゃって、人のかたちをしてない」 「してるよ!」 「今日なんの仕事だったの?」 「撮影」 「服?」 「ああ」 「ダメ出しされただろ」 「よくわかるね」  わからないわけないだろう。 「どうやってオーケィもらったわけ?」 「かっこいい顔をしろと言うものだから、勇利が喜びそうなヴィクトル・ニキフォロフ、という題目を自分に与えてみた」 「ここでも勇利か……」  クリストフはグラスを掲げた。 「童貞卒業おめでとう」 「ちがう」 「でもそんなようなものだったんだろ。ちゃんとできたの?」 「聞きたい?」 「聞きたくない」 「ふふふふふ……」 「ヴィクトル、俺といるあいだは正気を保ってくれ」 「そうそう、俺はクリスに相談があったんだ」  ヴィクトルが思い出したように言った。 「最高にしあわせそうだけど、相談するようなことあるの?」 「あるとも」  彼は、勇利勇利と騒ぎ、うきうきとはしゃぎきっていた態度を改め、まじめな顔をした。お、これはちゃんとした話か、とクリストフも背筋を伸ばした。 「いま話した通り、俺は勇利と結ばれた」 「やっぱり勇利の話なわけね」 「もう毎日がばら色で、最高の日々だ」 「ヴィクトル、顔、顔。またとけてる」 「好きな子とのセックスがあんなにいいものだとは思わなかった……」 「顔」 「勇利を見るたび、ああこの子を抱いたんだなと実感がわいて、うれしく、幸福に、そして苦しくなる。人を愛するとは��変なことなんだね」 「ほんとに相談なの? のろけられてる気しかしないんだけど」 「リンクでも、『でれでれするな』とまわりによく怒られる」 「簡単に想像がつくよ」 「勇利との暮らしのいとなみは喜びだ。しかし……、」  ヴィクトルはそこで眉根を寄せた。いかにも男らしい、苦悩にみちた表情だった。 「……勇利がかわいすぎるんだ」  彼はぽつんと言った。クリストフは聞きまちがいかと思って、「え?」と訊き返してしまった。 「勇利がかわいすぎるんだ」  ヴィクトルはくり返した。聞きまちがいではなかった。 「見ているとつらくなるくらいいとおしいんだ」 「…………」 「心臓が止まりそうになることは一日に両手の指の数を超える」 「…………」 「勇利があまりにもかわいい」  ヴィクトルは声を振り絞って言った。 「勇利はあんなにかわいくて、果たして大丈夫なんだろうか……!?」  クリストフは静かに目を閉じた。落ち着かなければ……。 「……それは誰かにさらわれるかもしれないとか、ファンが過激になるのではとか、そういうこと?」 「それもある」  ヴィクトルはきまじめにうなずいた。 「でもそういう俗っぽいことだけじゃなくて……なんというか……」  彼は言葉を探しながら視線を上に向け、しかし上手く思いつけなかったようで、クリストフをみつめ直して深刻そうに言った。 「大丈夫だろうか?」  つまり、勇利を愛していて、勇利がかわいいから、勇利に関して正体不明の不安に襲われる、ということらしい。とうとうヴィクトルもこんなふうになってしまった。 「大丈夫だと思うよ」  こうして骨抜きになっている手合いに理を解いても仕方がないので、クリストフは適当に、しかし態度だけは誠実に、きちんと請け合った。 「そうだろうか」 「ああ」 「大丈夫かな」 「大丈夫さ」 「あんなにかわいいのに?」 「君がついていれば大丈夫」  それでヴィクトルは納得したらしかった。しかし、この手の病気は、安心したそばからまた「大丈夫だろうか」と発症するので、クリストフは早々に退散した。すっかりどうしようもない男になってしまったが、まあなんだかんだいって、試合に入るころには完璧に仕上げてくるだろう。ヴィクトルはそういう男だ。その点に関しては、クリストフは安心していた。  ふと思い立って、サンクトペテルブルクにも立ち寄ってみた。ヴィクトルの様子があれほどおかしかったので、勇利も変になっているのではないかと心配したのだが、彼のほうはいつもの勇利だった。髪がすこし伸びていた。 「ヴィクトルの好み?」 「何が?」 「髪」 「ああ、いや、ちがうよ。行く時間がなくてね。それに、どこで切ればいいのかわからないし、言葉もまだ不自由だし」 「ヴィクトルについてきてもらえばいいじゃない」 「そうなんだけど、ヴィクトルも忙しいんだよね。あ、ヴィクトルとは会った? いまモスクワなんだけど」 「会ったよ。勇利の話ばっかりされた」 「ほんと? ごめん。やめろって言ってるんだけど……」 「まあいいさ」  クリストフは寛大なところを示した。 「基本的にぼくの言い分を聞かないんだよね」 「自由だからね、彼」 「困ったひとだよね。そこがヴィクトルのいいところなんだけど」  勇利は頬に手を当て、ふう、と吐息をついた。クリストフはなんとなく、「エロス」で表現していたのとはちがう、これまでになかった微妙な色気というものがある気がして、なるほど、と思った。これもヴィクトルが与えたものだろう。 「もう『知っている側の人間』というわけだ」 「え?」  勇利は不思議そうに首をかしげた。一転して無邪気でおさなげなそのそぶりを見て、クリストフはヴィクトルの発言を思い出した。 『勇利が、なあに? という感じで首をこう傾けるのがまたかわいらしいんだ。最高にチャーミングなんだ。俺の勇利はすばらしいんだ』 「はいはい」 「え?」 「いや」  クリストフは別れ際、勇利にほほえみかけ、「ねえ勇利」と呼んだ。 「ん?」 「いま、しあわせかい?」  勇利は目をみひらき、それから頬をほんのりとりんご色に染め、こっくりうなずいて「うん……」と言った。 「それはよかった」  クリストフはにっこりした。 「あ、そうそう、もうひとつ」 「なに?」 「ヴィクトルと初めて寝たとき、あの男、ぐずぐずして、手違いを起こしたり、慌てふためいたりしなかった?」  勇利は口をぽかんと開けた。彼は視線をそらし、あっちを向いたり、こっちを向いたりと落ち着かない態度を示した。そしてまっかになった。クリストフは笑いながら返事を待っていた。勇利はうつむき、気恥ずかしそうにはにかんでつぶやいた。 「そんなことない。ずっと、かっこよかったよ……」  勇利が金メダルを獲ったとき、ふたりは結婚することになった。クリストフは彼らのインタビューをすぐそばで見ていた。 「ずっと仲はよろしかったですが、いよいよご結婚ですね。いつから交際なさっていたのですか?」 「え? 交際……?」  勇利は戸惑ったようにかたわらのヴィクトルを見上げた。ヴィクトルがほほえんだ。勇利は話者に視線を戻し、率直な口ぶりで返事をした。 「交際というのは、えっと、していません。ただ、金メダルを獲ったから結婚だってヴィクトルが……」  ヴィクトルが勇利の肩を抱き寄せ、陽気に片目を閉じて言い添えた。 「交際0日で結婚だよ! ね、勇利!」  クリストフはしあわせそうな彼らを眺め、まあこのふたりだから……という奇妙に悟りきった気持ちを持ちながらも、一応はつぶやいた。 「え? そうだったの?」
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buriedbornes · 4 years
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第35話 『旧き世に禍いあれ (3) - “猟犬の追尾"』 Catastrophe in the past chapter 3 - “Tracking hounds”
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 その黒い犬は、長い舌を口からだらしなく垂らしていた。太く曲がりくねったそれは、舌というよりも針のように尖っている。
 褐色の闘犬に似た四肢を持っているが、頭の部分は妙にぼやけて見える。形がなく、いくつかの鋭い触手のようなシルエットのひとつが、長い舌のように見えてうねっていた。
 その全体的に鋭利なシルエットは、狩猟犬を連想させた。
「何だこいつは……」
 ゴットフリートの声だったのか、自分の声だったのか、それともふたりの声か。臭気と混乱で、フィリップには判断が出来なかった。
 猟犬、なのだろうか。4つ足の黒い影はその太い四肢で地面にしっかりと立ち、周囲の様子を探っているように見えた。その異様な姿は生理的な嫌悪感が込み上げてくるものだったが、目を逸らすことができずにいた。こいつは一体何者なのか? どこから来た? 何故ここに? 仮にこいつが猟犬なのだとしたら、一体何を狩るためのものなのか。 何一つわからないにも関わらず、なぜか「こいつの狙いは自分だ」という説明不能な確信が強まっていく。
 猟犬はゴットフリートには見向きもせず、フィリップの位置を見定めると、迷わず飛び掛かって来た。
 やはりこちらに来たか、と心中で考える間もなく猟犬の舌先は首元まで迫っていた。先程受けたゴットフリートの攻撃より速い。
 フィリップは即座に短距離のテレポートを行う。吐き気が込み上げるが、避ける方法は、フィリップの持つ術ではこれしかない。連続して転移を行って、魔力を使い過ぎた。
 空間のブレが収まり視界が明瞭になった瞬間、フィリップは激しい痛みに苦痛の声を上げる。
「なっ!?」
 確かに転移は成功したはずだった。
 痛む左腕を見れば、注射針のような舌が刺さっている。
 猟犬が傍らに突き立った最初とは別の盾から這い出てきている。長い舌は盾から半身だけを乗り出した猟犬の胴体から繋がっている。
 フィリップはそれを引き抜こうと腕を振り回すが、抜けない。
 攻撃をかわすために数歩距離を取って転移したのに、転移先の足元ですでに待ち構えていたかのような……。
 猟犬は両足で地面をしっかりと捉え、頭部を振るってフィリップを引っ張る。
 ゴットフリートは離れたところから、目と口を開けて呆然とその様子を見ている。
(まさか……こいつも短距離転移したのか?)
 猟犬の下肢は傍の盾の影から伸びているように見えた。斜めに地面に突き刺さった盾の影から、隠れていた下肢の先が這い出してくる。
 テレポートしたため、ゴットフリートとフィリップの間にはかなりの距離がある。
 この距離をただ跳躍してきたとは思えない。この一瞬でそんな動きをしていたら、正確に左腕を狙う事もできそうにないし、その勢いでそのままフィリップに体当たりした方が早いだろう。人型ではない魔物で、転移術を使えるものはほとんどいないはずだ。覇王の軍勢の中でも、そんなやつは見たことがなかった。
 転移でなければ説明がつかない。
(追尾するように転移して、土の地面と盾の間の空間から這い出てきた……? そんな、まさか……)
 フィリップが振りほどけず、まごついている間に、舌を突き刺された左腕の変化がはじまった。
 舌が刺さった周囲から、どんどんと左腕がしなびはじめたのだ。
「く、クソ……ッ!」
 信じられないことの連続でパニックになりかけたが、フィリップはぐっと奥歯を噛みしめて正気を保つ。
 ベルトのホルダーからナイフを取り出し、その舌を思い切り切り払った。舌は容易に切れ落ち、断面から暗い青灰色の液体がぼたぼたと垂れ落ちた。
 すかさず後ずさって距離を取る。舌を切り落とされて喘いでいるように見えた猟犬は、今度は距離を保ったまま、すぐにこちらに飛んでくる様子はない。刺された左腕は、もう原型をとどめていなかった。
(腕が……なくなった……!?)
 舌が抜けた後も左腕は、ミイラのように乾燥しながらどんどん細くなっていく。
 ミイラというには、元の骨を無視した縮み方だった。水気を失いカラカラに乾いた野菜カスのようになっているが、内側の骨まで同様に萎縮したとしか説明がつかない。
 痛みはない。すでに左腕の感覚は全くなくなっていた。かえってそれが異様に恐ろしく、フィリップは額に噴き出した冷や汗を袖で拭った。
 あの舌はなんだ? 一体、何が起きた? 何かを吸われたのか? あの猟犬はどうやって足元に移動してきた? 左腕は諦めるしかないか? ぐるぐると脳をたくさんの言葉が駆け巡る。
(逃げろ……)
 本能が叫ぶ。その通りだ。
 逃げるしかない。ゴットフリートでさえ手に負えないのに、突然現れた襲撃者は、それ以上に危険な存在だった。この場に留まって状況を解決する術など、自分は何も持ってはいない。
 じり、とフィリップがさらに後じさると、猟犬がそれを見て体を低くした。
 再び、先ほど感じた刺激臭が強くなる。
 ぼうっと青黒い煙が、あちこちに落ちている遺品の盾や剣、鎧といった角のあるものから幾筋も立ち上る。それぞれが凝って、どれもが同じように猟犬と同じ形状を取り始めた。左腕を奪ったはじめの一頭よりはいずれも小さいものの、やはり姿はそっくりで、姿を成すや、すべてがフィリップに敵意を向けて周囲を取り囲み始める。
(何だこれは……)
 フィリップは頭の中で今まで読んだすべての文献や図録の記憶をひっくり返す。こんな怪物は、見たことも聞いたこともない。神話の類にもこのような存在が示唆された試しもなかった。
 とにかく、とにかく逃げなければ。だが、どうやって?
 すっかりと左腕は、押さえた右手で隠せるほど小さくなってしまった。
 フィリップが駆け出す。同時に猟犬たちが地を蹴る軽い足音が響く。
「――……どうやら、てめえの飼い猟犬じゃなさそうだな」
 低く太い声。
 絶体絶命か。これほどの生物を前にして、さらにゴットフリートまで相手にする事など、不可能だ。
 だが、ゴットフリートは、フィリップを追撃しようとする猟犬たちのいる方に剣の切っ先を突きつけて、がははと無遠慮に笑った。非常に愉快そうにその瞳の奥に紅蓮の炎が立ち上る。
「魔術師なんかよりも、数段面白そうじゃねえか! 猟犬!」
 咆哮に近い怒号を上げ、剣を振りかざした。
 その剣圧は風を切り裂く音を伴い、猟犬に襲い掛かる。離れたところにいたフィリップまで風圧が迫るほどの力強さ。
 ゴットフリートの剣先は猟犬の一頭を切り裂く。それをはじまりにいくつもの猟犬を切り飛ばして、はじめに現れた個体に向かって行く。
 猟犬たちはフィリップを追う邪魔をされて、すぐさま別方向に跳ねた。
 ゴットフリートはその動きを読んでいたように、振り下ろした剣を真横に一閃する。
 切っ先がかかりそうになるも、猟犬が避ける方が紙一重で早い。
 大股に踏み込み、ゴットフリート��今度は大きく剣を突き出す。
 小型の猟犬が何体も切り裂かれ、���のように消える。逃げ惑う猟犬たちは、最大の個体を守るようにゴットフリートを取り巻く。群れの鼻先は、すでにその全てがフィリップから逸れてゴットフリートに向けられていた。
 一閃、二閃、迫る取り巻きの小型を次々なぎ倒し、首を落とされた小型の胴を蹴り飛ばして、大型の猟犬の腹部に強かに打ち込む。大型はその衝撃によろめき、間髪入れずゴットフリートは蹴り抜いた足を踏み込み、大剣の先が轟音を立てて唸る。
「おらぁ!!」
 怒号。
 最後に残った猟犬は、すんでのところで体勢を整え、身を翻してゴットフリートに飛び掛かる。ゴットフリートは構わず迫る猟犬の頭部目掛けて大剣を振り抜いた。
 一瞬の、そして突然の静寂。猟犬がいない。すっかり気配までなくなった。息遣いすらも。
 歴戦の猛者であるゴットフリートでさえ、大剣が命中する直前に突然姿を消した猟犬を目で追うことはできなかった。
「ああ? 犬っころめ! どこに行きやがったぁ!」
 夜の雪山に、野太い声が響く。
 ゴットフリートは消えた猟犬たちを探すために、見開いた眼で周囲を見渡す。そこには、膝をついたフィリップとゴットフリートの姿しかない。
 けれど、ゴットフリートは警戒を解かない。手応えがなかった。これで退く相手ではないと彼は理解していたし、フィリップも同様に理解していた。
「ふんっ」
 気合を入れなおし、ゴットフリートは柄を握る手に力を込めた。どこから飛び出してきても、一振りで仕留める。その巨躯と同じほどの丈の剣を、それだけの速さで振るえる者は、トラエに彼を置いて他にはいない。
 辺りを窺っているゴットフリートの背後から、突然現れた大型が飛びかかる。ゴットフリートは殺気のみからその出現を察知し、反転して剣を振り抜く。
 反応されることを予期してか、猟犬は剣先の手前で空を蹴って退き、振り抜かれた剣先をやり過ごしてから再び地を蹴ってゴットフリートに向かって飛ぶ。
 それに応じ、振り抜いた剣の勢いに任せて回転、跳躍し、飛来する猟犬に自ら飛び込んで二撃目を狙う。
 満月の空に、飛び掛かる猟犬と剣を構えた英雄の影が浮かび上がる。
「これで決まりだ!」
 猟犬の尖った舌と、ゴットフリートの剣先が交差する。
 猟犬は何も貫くことなく着地した。
 さきほどまでゴットフリートが立っていた場所に、そっくりと足の跡があるだけだった。
 突然、目の前から獲物がいなくなり、墓石の影から小型の仲間たちもそろそろと出てきた。全頭が戸惑ったかのように辺りを見渡し歩き回る。
 本来の獲物であった筈のフィリップも、邪魔をしてきたゴットフリートの姿もなかった。
 今度は雪の上に、奇妙な猟犬たちだけが取り残されていた。
 周囲をしばらくうろついたあと、鼻をクンクンを動かす。
 静かに、一頭が墓石の影に消えていく。
 また一頭、また一頭とその後に続き、やがて全ての猟犬が、戦場から姿を消した。
 残されたのは、戦死者たちを覆う雪だけだった。
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 猟犬の頭をたたき割るために剣を振るったその刹那、世界が光に包まれた。
 直後に、体の重心がブレた感覚に襲われ、ゴットフリートは反射的に目をつぶった。
 1秒と経たずに体の重心が元の位置に戻り、目を開ける。
 猟犬はいなかった。
 まるで夢だったかのように、自分ひとり、小汚い部屋の中心に立っていた。
 肩当てには、剣圧で舞い上げて浴びた雪が、まだ薄く積もっていた。剣先にも、あの薄気味悪い生き物の返り血がこびりついたままだ。
「……ったく、興が冷めるぜ」
 満月の照らす雪の斜面ではなく、見慣れた兵舎の中だ。誰かが置き忘れたであろうシャツで剣の血を軽く拭い、鞘に戻す。兵舎は狭すぎる。抜身の剣を手に歩けるほどの幅もない。
 久々に、心の底の方から沸き立つような敵と相対した興奮は、まだ体の底にくすぶっていた。
「やってらんねえな!」
 ゴットフリートは、転がっていた誰かの飲み残しの木製ジョッキを蹴り飛ばした。ジョッキは棚に当たり、耳障りな音を立てる。何もかもが苛立たしく、やり場のないフラストレーションがゴットフリートの内に燻っていた。
「助けたつもりかよ、あの野郎め……俺は勝ってたッ」
 兜を小脇に抱えてバリバリと頭を掻いて、フンと大きな鼻息を吐いた。
 また酒保にでも行くか、今日の分はもう飲んだけど若ぇ奴の分をふんだくるか、などと考えながら歩きはじめたゴットフリートは、異変に気が付いた。
「んだぁ? うるせえなぁ」
 遠くから音がする。建物の外か。すぐにそれが何か、感づき、目を見開く。
 この音を、ゴットフリートは知っている。身近でずっと聞き続け、その中を走り抜けてきた。
 戦の気配。命を奪い合う者たちが放つ、独特の気配。ゴットフリートが生きる場所だ。魔術師、猟犬。次々降って湧いた獲物を前におあずけを食らって行き場をなくした”飢え”が、再び首をもたげた。
 にやりと口角を上げて、ゴットフリートは胸を張った。
「仕事の時間か」
 扉を蹴破り開けて飛び出す足取りは、子供のように無邪気だった。
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(自分がしたことは、本当に許されることなのだろうか……)
 スヴェンは何度も何度も繰り返した疑問に、自ら押しつぶされそうになっていた。
 とんでもない過ちを犯したのではないだろうか。
 真実は追い求めてきた。時空を遡行するという研究の真相に魅せられた心はまだ輝きを失っていない。
 だが、それはあくまで自分の手で引き寄せたかった奇跡のはずだ。自らが完成してこそ意味を持った奇跡だったのではないか。
 それでも、自分の人生で成し遂げられないというのなら、せめて知りたいと願ってしまった。
 スヴェンは泣きたいような叫びたいような、複雑な心を噛みしめた。
 ぶんぶんと首を振る。
「これでいいのだ……吾輩が自分で決めたことだ……」
 そう思いながらも、机の上の本を開くことは出来なかった。
 フィリップから、警備の情報と引き換えに得た本。
 真実を目にしてしまえば、知る前には戻れない。
(未来からもたらされた知識……)
 本来は今、ここには存在しないはずの知識を、自分が詳らかにしてしまってもよいのか。自分のためだけに使うのであれば、問題はないと言えるのか。意図せず自身のものとして世界に放り出されてしまわないか。自問する言葉はいくらでも心の底から浮かび上がってくる。
「……しばらく何か違う本でも読もう……」
 再び窓の外を見ると、兵士たちが駆け出し、叫び合う声がした。敵襲……? 今、敵襲と言っていなかったか? 背中を汗が伝う。
 窓の外に身を乗り出して、メガネを押し上げる。目を細め必死で夜闇を見た。
 斜面を敵がやってくる。しかし、何か妙だ。あの集団はどうしたことか、どいつもこいつも大きく頭を左右に振り、各々が方方によろめき歩いて、統率が取れていないように見える。雪に足を取られ倒れる、しかしその横から、また別の兵士が立ち上がる。そうして、起き上がった者が列に加わり、数が見る間に増えていっている。ラウニやソルデの進軍にしては、不自然過ぎる集団だ。
「あれは……?」
 深いため息を漏らし、背後の物音にスヴェンは振り向いた。
 室内に、フィリップが立ち尽くしていた。昼間に姿を消した時とは打って変わってげっそりと痩せこけた印象で、左肩を押さえている。
「おお……」
「ここはもう危険だ」
 フィリップは微かに震えた声でスヴェンに告げた。
「何が起きてるんだ?」
「襲われた。ゴットフリートに出くわして、その後どこからか猟犬のようなものが現れた」
「ゴットフリートと?!」
 スヴェンは思い出した。ゴットフリートは酒を飲んでは城外を機嫌よく散歩することがある。そんなに頻繁ではないので失念していが、まさか、今日に当たるとは……。伝えなかった事に対する罪悪感がほんの一瞬だけ芽生えたが、すぐにそれは顔を隠した。
 スヴェンを見つめて、フィリップは右手を離した。その下には、あるべきものがない。
「腕、が……」
 切断されているわけでもない。ただ、不自然なほど委縮し、形を変えていた。
 恐ろしくて息を飲む。
「分からない。猟犬に刺されたあとで、こうなった」
 スヴェンは目を白黒させて、カチャカチャとメガネを直した。
「刺されたんだ。あの長い舌で……肘の上の辺りをやられたと思ったら、腕がこうなった」
「し、知らない!そんなおかしな犬がこの雪山に出るなんて聞いた事がない!私は知らなかった事だぞ!? ご、ゴットフリートの事だって…!」
 スヴェンは必死に、大げさな身振り手振りで弁明した。
 フィリップは探るようにスヴェンを見ていたが、やがて息を吐いて項垂れた。
「……ゴットフリートの方に猟犬の注意が向いて、その隙に長距離転移の準備が出来た。今頃、ゴットフリートも城塞のどこかに移せたと思う」
「なんてことだ……今、外が大変なことになっているようだ。君が何かしたわけではないのか?」
 スヴェンのどこか切羽詰まった様子に、フィリップは首を傾げた。それを見て、スヴェンは腕を突き出して、研究室の窓の外を指差した。
 フィリップは、山の斜面から兵士たちの屍体が起き上がる光景を目にした。
 そして、慄いた。
 遠くから音がする。うめき声が重なり合い、波のように城塞に押し寄せている。
「これ、は……」
「信じられないだろうが、ここから見る限りでは、斜面の戦死者が起き上がっているように見える。そうとしか思えん。雪の下から出てきて、城塞に向かってくる……お前がやったんじゃなかろうな?」
「……屍体が、起き上がった……? それは…」
 スヴェンは不服そうにメガネを押し上げた。
「死体が起き上がって、この城を攻めてきている」
 スヴェンの言葉を聞きながら、フィリップも窓の外に身を乗り出した。
 信じられない。
 さきほどまでフィリップは、ゴットフリートとあの猟犬と共に斜面にいた。猟犬に襲われ、命からがら城塞まで転移してきた。
 しかし……、斜面からやってきているものは、猟犬ではない。先程雪の下から掘り出した兵士の屍体と同じ防具を着込んでいることが、月明かりに照らされて垣間見える。
「外で何があった? 一体何が起きている!? 未来から来たのなら、この城塞の歴史は知っているのだろう? 何があったのだ、あれはなんなんだ、このあと何が起きる!?」
「そんな…… 知らない、こんな事、僕は…」
 城内では悲鳴まで上がり始めている。
 フィリップは真っ直ぐと城塞に向かう屍者の群れを見る。ひとつひとつ小さな点に見えるが、それが幾千も動き始める。
 ありえない。
 だが、フィリップは屍者がひとりでに動くことがある前例を知っている。
 世界の秩序が崩壊した日から、覇王の呪いを受けた屍者たちが立ち上がり、人々を襲い始めた。フィリップとグレーテルは、その屍体たちとこれまで戦ってきたのだ。
 全てが始まったあの日の情景によく似ている。
 ただ、ありえない。フィリップが知っている歴史では、この時期は人間同士の小競り合いこそあったが、まだ覇王は目覚めていなかったはずだ。屍者たちも、まだ起き上がってきてはいなかったはずだ。
 だから、今こうして屍者がひとりでに動くなんてことは起こりえない。
「どうして……」
 フィリップは言葉を飲み込んだ。
 間違いない――あれは覇王の呪いを受けた者達だ。始めこそふらつきながら斜面を這い上がってきてた屍者たちの動きは見る間に活性化されていき、兵士たちの数倍も速く、そして生身の人間では考えられない力強さで兵士たちを易易となぎ倒す。兵士たちは木の葉のように簡単に弾き飛ばされていく。ただの屍者操作、ゾンビの類でできる芸当ではない。Buriedbornesの術を受けた者だけに見られる、人間を超えた動き。
 屍者には感情がない、痛覚もない。限界を超えて動き、破壊され動けなくなるまで何度でも立ち上がる。
 人間は疲弊する。今までの戦場とはかけ離れている事態に混乱している。倒れても何度でも起き上がる怪物に対して抱かれる感情は、恐怖でしかない。訳も分からず、城の者達は圧倒的な力を持った屍者たちに蹂躙されていく。悲鳴がブラストフォート城塞を支配している。
 これは、あの日と同じではないか。
 忘れることのできないあの日に。
「フィリップ、何が起きているんだ!」
「僕には分からない、何も知らない」
 狼狽し、迫るスヴェンを突き放した。よろめき驚いて目を見開いたスヴェンに、フィリップは胸が痛んだ。まだ何も確信はないが、他に理由が考えられない。これは覇王の呪いだ。フィリップたちが立ち向かっている困難とあまりにも酷似している。
 まさか、自分がここに来たことで、自分が受けている呪いをこの時代に広めてしまったのではないか?
 それをどう伝えれば良い?また伝えたところで、何ができる?
「……ん? 何か臭わないか?」
 スヴェンが怪訝そうに声を上げた。
 フィリップは、心臓の鼓動が跳ねるのを感じた。
 この臭いを、フィリップは一度嗅いでいる。
 咄嗟に周囲を見渡して、机の角から青黒い煙が細く漏れ始めたのを見つける。
(いけない……! あの猟犬がくる!)
 フィリップは確信した。これ以上、この時代にいることはできない。
 全ての謎に、この場で答えを出す時���はもうない。閉鎖時空間を開く呪文の詠唱を始める。
「フィリップ!」
 発生させた時空の”扉”に、自ら飛び込んだ。
「これから何が起こるかだけでも…!」
 スヴェンの悲痛な叫び声がこだましたが、最後まで耳にする事はできなかった。
 ――何かを考えている暇もなかった。
 フィリップには、スヴェンを置き去りにし、現在へ逃げ帰る以外の選択肢はなかった。
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~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
旧き世に禍いあれ(4) - “悔恨”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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kkagneta2 · 5 years
Text
逆の関係
長身女性もの。14k文字。
妻の美雪と出会ったのは高校の入学式だったろうか、出会ったというよりも姿を見た程度ではあったが、今でもあの時の衝撃を忘れることはない。スクールバスから降り立って、上級生に案内されて、体育館にずらりと並んだ生徒たちの中でひときわ突き抜けた、――周りは高校一年生の女子なのだから、遠目からでも胸から上が丸ごと見えてしまっているほどに背の高い女生徒、――もう心臓が張り裂けそうでならなかった。あまりにも現実離れしている。見間違い? それとも台に乗っている? いやいや、何度目を擦っても一人だけ浮いたように胸から上が出てしまっている。他の女子がちょっと大きめの160センチだとしても、明らかに190センチは超えている。……
残念なことに美雪とは違うクラスであったから、心配されるほどに落胆してしまったのだが、嬉しいことに彼女と声を交わしたのはそれから2、3日もしなかった。
ちょっとここで、話を分かりやすくするために説明しておきたいことがあるので、回り道を許していただきたい。私たちの高校では、クラスは分かれるけれども、実のところ授業はそれとは関係なく、選んだ先生の元に生徒が行って、そこで授業を受けると云う、要は大学みたいな授業の受け方なのである。だから毎時間、本来の教室に教科書やらを取りに戻りはするけれど、だいたいあっちへ移動して、こっちへ移動して、それが終わればここへ移動して、……と云うように、学生からすると面倒くさいだけのシステムを、私はこなしていた。
で、私は最初の週の木曜日、うっかり教室を間違えてしまって、微妙に食い違った席順に違和感を覚えながら座っていたのであるが、チャイムが鳴る少し前、目の前に黒い人の気配を感じて目を上げると、――彼女が居た。
「あ、あの、……」
と鈴のような綺麗な声が私にかかる。
「は、はい?」
ときっと変な声を出してしまっていただろう。何せ目線よりもずっと上に彼女のスカートと裾の切れ目が見えるのである。それに、天井を見るように顔を上げると、「美雪」と云ふ名にふさわしい綺麗で大人びた顔つきが見え、私は必死で歯が震えるのを抑えていた。
「もしかして、間違えてませんか? そこ私の席だと思うんですけど、……」
「あれ? えっと、もしかして、次は化学ではない?」
「そうですね。次はここ古典になってます」
ペロリと彼女が席順等々を記している紙を見せてくれる。
「えっ、あっ、ほんとうだ。……ご、ごめん。通りで変だと思った。……」
と、私は立ち上がった。――のだが、立ち上がった感覚がまるでしなかった。私の眼の前には彼女の豊かな胸元があったし、ぐいと見上げないと彼女と目が合わせられないし、私の腰と彼女の太ももの腹がだいたい同じ位置に来ているし、……要は座った状態で人を見上げる時の景色が、そこには広がっていた。――
「いや、ごめんね。どうぞ」
と足早に過ぎようとしたのであるが、焦りが顔に出てしまっていたのか、
「くすくす、……次からは気をつけてね」
と、柔らかな笑みを浮かべられた彼女に、私は手を振られながら教室を後にした。
ただただ恥ずかしかった。一目惚れをした相手に笑われて、第一印象が肝心なのにこれでは、……と思って、次の授業中泣きそうになっていた。
ところが話はこれだけではないのである。明くる日、教室を移動していると廊下に彼女の姿が見えたので、自然私は隠れるように次の授業の教室に入ったのであるが、なんとそこに彼女が、扉の上に頭をぶつけないよう身をかがめて入って来た。しかも私の横の席に座ってくるのである。私は窮屈そうに横へ放り出されている彼女の足の筋と肉の織りなす芸術に見とれつつも、教科書と、ノートと、筆記用具を取り出す彼女を眺めていた。――と、その時、ひらひらと、扇のように大きな手が右へ、左へ。
「こんにちは。今日は間違えてませんよね?」
とくすくすと笑ってくる。
「たぶんね。誰もここに来なかったら、大丈夫だろう」
この時の私はなぜか冷静だった。それでも彼女のくすぐったい笑いに顔を赤くしてはいたが、……
「ふふ、そうなってからは遅いんじゃありません?」
「ま、でも、同じ教科書を出しているあたり、間違ってはいないんだろうな」
「ですね、――」
とチラリと時計を見た。
「自己紹介、……しましょうか」
「だな。でも、その前に、俺に敬語なんて必要ないんだけど?」
いえ、これは癖なので、……と云ってから彼女は自分の名前を云い出した。旧姓は笹川と云う。私はどこそこの中学校から来た者で、地元はあそこで、今はスクールバスで通っている身で、家で飼っている兎がたいへん可愛くて、……などなど意外にも自身のことをたくさん喋る。
「へえ、笹川さんはあの辺りから来たんだ。俺もお爺ちゃんがあそこらへんに住んでるから、よく行くよ」
「それなら、すれ違ってるかもしれませんね。――ところで、笹川〝さん〟はやめてください」
「笹川さんが敬語をやめたらね」
「うぅ、……橘さんのいぢわる。ひどいです。……」
とわざとらしく手を目元にやるので、私はその見た目とは反対のお茶目っぷりに声を出して笑った。
  この日が契機となって、私たちは週に一度だけ、それも10分だけある休み時間のみではあるが、よく話をしたものだった。私の緊張も次第に溶けていって、一ヶ月もすれば、ごく自然に美雪の前で振る舞えるようになっていた。が、彼女の長身ぶりは半端なものではなく、毎回教室をかがんで入ってくるし、普通のボールペンやらシャーペンがミニチュアサイズに見えてしまうし、相変わらず私の頭は彼女の胸元にしか辿り着いてないし、何より足を前に伸ばせば前の席からかかとが出てしまうのには、驚きで目を見開いてしまった。すると美雪はハッとなって足を引っ込めるのであるが、その仕草がまたいじらしくて、辛抱するのも限界であったかもしれない。
当然、彼女の身長については様々な憶測が飛び交っていた。180センチだの190センチだの、はたまた2メートルは超えているだの、何度聞いたことか。一応男子で180センチはある同級生が居たから、わざと並ぶように立ってもらい、それを色々な角度から見て目算で美雪の身長を見積もると云う方法をやったことがある。が、彼女は話している時には下を向くのと、体を使って話そうとするから上手くはいかなかった。それでもなんとか見てみると、182センチの男子生徒の頭の天辺が、彼女の顎程度にしか辿り着いてないのである。ということは、彼女が小顔であることを考慮すると190センチと、もう少しあるぐらい、とにかく190センチは超えている、――という結論に至った。
私はこの話を馬鹿らしいと思いながら聞いて、その実どれほど心を踊らせていたか。たった一ヶ月前には中学生であった女子高生が、男よりも遥かに高い、190センチを超える身長を持っている。……これだけ分かれば、もう夜のおかずには困らない。しかもめちゃくちゃかわいい、奥ゆかしい、麗しい、……
より私の心を踊らせたのは、中学生時代から美雪の友達だと云う女子の話であった。聞くと彼女は小学生の時にすでに180センチ以上あり、ランドセルが背負えないからトートバッグか何かを持って通学していたと云う。それで中学に入ると、身長の伸びは鈍くはなったが、身体測定のたびに先生を驚かせていたから190センチ以上と云うのは確かだと思う。色々あるけど、すごいのはプールの授業の時で、水深1メートル10センチだったから、みんな胸元に水面が来ていたんだけど、彼女だけ股のあたり、――腰にも水面が届いてなかった。笹川は背が高いけど、本当に恐ろしいのは足の長さなんだよ。君も座ってると別にあの子があんなに背が高いとは思わないでしょ? と云うのである。
たしかにその通りである。私は当時、美雪と基本的に話をすると云えば、互いに座ったまま声を交わすことだったから、しばしば目が合ってしまって顔が赤くなるのを感じたものだった。彼女の上半身は普通の、……少し大柄かな? と思う程度、……恐らく原因は豊かな乳房にある、……裸を見ることの出来る今だから云えるが、背が高いとは云っても、少なくとも私よりは細い。……いや、やっぱり胸はちょっと大きすぎるかもしれない。……
それで、だいたい彼女の身長は190センチ台だということが分かったのであるが、あまりにもはっきりしないものだから、なぜか私に白羽の矢が立ったのであった。恐らく私があまりにも楽しげに美雪と話していたからであらう。
「あー、わかんね。たちばなー、お前聞いて来てくれよ」
「えっ、何で俺なんだよ」
「だって俺たちっていうか、1年の男子の中で、笹川と一番仲が良いのってお前じゃん?」
「それは、まあ、自負してるけど、……だけどこういうのはコンプレックスになってるかもしれないから、良くはないだろ」
「けどお前も、もっと仲を縮めたいだろう? ならいつかは聞かなくちゃいけないから、ほら、ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと、まっ、………」
と、俺は昼休みの時間、まだ食べ終えていない弁当を尻目に連れ出されてしまった。
とは云っても、他人のコンプレックスになってるかもしれない事柄に口を出すのはご法度であるから、もぐもぐと色鮮やかな弁当を食べている美雪の前に立たされた私は、頭が真っ白になっていた。ニヤニヤと笑いながら見てくる友人には、今思い出しても腹が立つ。
「あ、……」
「うん? どうしました?」
「あ、いや、なんでもない。あー、……こ、今度の日曜にユニバでも行かないか?」
なぜ、デートの誘いになったのかは、私自身も分からない。ニヤニヤと笑っていた友人は口を開けて止まっているし、彼女の周りに居た女子数名もパントマイムのように動きが止まっているし、そもそもの話として教室中がしいんと静まりかえってしまった。なんでこんなことを云ったんだ、今すぐにでも教室から出て行きたい、……そんな思いがあって、誤魔化すように頬を爪でかいていたけれども、美雪だけは、あの柔らかい笑みを浮かべていた。嫌味も嫌悪も全くない、今でも私だけに見せるあの、純粋に好意に満ちた笑みを。
そんな美雪だったから、当然デートには行くことになったのであるが、私としては出来るだけその時の事は思い出したくない。それまで恋愛の「れ」の字も味わったことのない小僧が、いきなり女性とデートだなんて、――しかもほとんど自分の理想と云っても良いほどの体と性格を持っているのだから、それはそれはひどい有様だった。
まず、会話が上手く続かない。彼女が頑張って話題を振ってくれるのを感ずる度に、逃げ出したくなった。実は友人数名がこっそりとついてきていたらしく、あの後かなり揶揄されたのもきつい。それに、歩幅が違いすぎて、始終小走りでなくては彼女についていけなかったのが、何よりも情けなくてつらい。
それほどまでに、彼女の足は長いのである。具体的に云えば、彼女の膝下と私の股下がおおよそ同じなのである。裸足であれば言い過ぎなのであるが、あの日美雪は底のあるブーツを履いており、並んでいる時にこっそりと比べてみたところ、足の長さが倍くらい違う。目線を落とすとすぐそこに彼女の豊満なお尻、……が見えるのはいつものことなのであるが、あの日はタイツかストッキングで包まれた彼女の膝が、ほんとうに私の足の付け根と同じ位置にあった。
デート後半になると、私が息をきらしながら遅れてついてくるので、美雪はとうとう手を繋ごうと提案した。承知した私の手を包む彼女の手の暖かさは、初夏であってもやさしく、一生忘れられない。……が、却って大変であった。彼女は意外と力が強く、疲れて足取り重くなった私の手をしっかりと握って引っ張るものだから、感覚としては無理やりマラソンをさせられているのに似る。グイグイと他の客をかき分けて行く彼女に、けれども手の心地よさを味わいたい私は、無理でもついていくしかなかった。
その様子がどんなものであったかを知ったのは次の日であった。勝手についてきた連中が写真を撮っていたと云うので、見せてもらったところ、――いや、もう忘れたい。お姉ちゃんに無理やり連れてこられた小学生の弟が、手を繋がれてやっとのことで歩いている様子が、……あゝ、今でも時折その写真は見ることがあるのだが、まさに大人と子ども、……周りの人々にそういう風に見られていたと云うだけでも、私はもう我慢できなくなる。違う写真には、私が疲れて下を向いていた時の様子が映し出されていたのであるが、それもむくれてしまった子どものように見える。……私は美雪に嫌われたと思った。せっかくデートに誘ったのに、こんな情けない男と出歩くなんてと、思っていた。
が、彼女は彼女でかなり楽しんだらしい。明くる日のお昼休みにわざわざこちらの教室にまで出向いて、昨日は楽しかったです、お誘いありがとうございました、ところで次はどこに行きましょう? 金曜日に言い合いっこしましょうか。では、ほんとうに昨日はありがとうございました。と云って、呆気にとられているうちに出ていってしまった。
  美雪とはそれからどんどん心を寄せ合って行った。とは云っても、私も彼女も非常な奥手で、弁当を一緒に食べることすら一年はかかった。キスをするのには丸ごと二年はかかった。お互い奥手過ぎて告白というものをせず、自然の成り行きにまかせていたせいなのだが、だからこそ初キスの耽美さは際立っていた。それは私たちが高校3年生に上がる頃だっただろうか、すっかり寒さが和らいで、桜もほとんど散っていたから4月ももう後半と云った頃合いだらう。どうしてキスなどと云うものをしようと思ったのかは分からない、それすらも成り行きに任せていたから。だが、確かに憶えているのはどんどん近づいてくる彼女の唇である。
確か、キスをしたのは階段の踊り場であった。ベタな場所ではあるが、学校の中であそこほど気分を高めてくれる所はなかろう。奥手な私たちにはぴったりな場所である。階段を二段か、三段上がったところで美雪は私を呼び止めた。
「優斗さん、……あ、そのままで。……」
相変わらず「さん」付けはしていたが、その頃にはすっかり、私たちは下の名で互いを呼び合っていた。
「どうした?」
と云っているうちにも美雪は近づいてくる。――不思議だった。いつもは下から見上げる美雪の顔が今では、――それでも彼女は私を見下ろしてはいたが、まっすぐ目の前に見える。
「……目を閉じてください」
いつの間にか頬を、顔を、頭を彼女の大きな手で包まれていた。薄目を開けてみると、もう目の前まで彼女の顔が近づいてきている。あっ、と思った時には唇と唇が触れ合っている。……
頬から暖かい手の感触が無くなったので、目を開くと、顔を赤くしてはにかむ美雪と目が合った。きっと私も同じような顔をしていたに違いないが、その時はもう目の前に居る女性が愛おしくて愛おしくて、このまま授業をサボって駆け出したい気持ちに駆られた。
「さ、早く行きましょう。もう予鈴が鳴りましたよ」
と一息で私の居た段を飛び越すと、こっちの手を取ってくる。
「ああ、そうだな。……」
私はそれくらいしか言葉を発せられやしなかった。
それからの一年間は、美雪との勉強に費やした。もっとも私は教えられるばかりではあったが、そのおかげで、受験はお互い無事に突破できて、お互い無事に同じ大学へ通うことになった。残念ながら大学時代は一つの事を除いて特筆すべき事がまるでない。全くもって平々凡々としたキャンパスライフだった。
さて、その「一つの事」なのであるが、それは何かと云うと、ついに彼女の身長が判明したのである。大学二回生の時の健康診断の時だったのはよく憶えている。私は長い行列に並ぶのが面倒で飛ばそうかと思っていたのだが、朝方下宿先へとやってきた美雪に、それこそ姉弟のように引っ張られる形で、保健センターへと向かった。レントゲンこそ男女別だったものの、血圧身長体重を測る列に並ぶ頃には、私はまた美雪の後ろにひっついて歩いていた。
彼女は相変わらず女神のような存在だった。後ろに居る私は云うまでもないとして、列に並ぶ誰よりも頭二つ三つは突き抜けている。みんな、彼女からすれば子どもである。誰も彼女には敵わない、誰しもが彼女の弟妹でしかない。ただ私だけが彼女の恋人であった。
事が起こったのは私が身長を測り終えた時である。美雪は私を待っていてくれたのだが、ちょうど私たちの間には微妙な段差があって、胸元にあった彼女の診断結果が見えてしまっていたのである。苦い顔をしながら眺めていたから、横から来た私に気が付いていなかったのかもしれない。だが普段は気が付かなかったところで何も見えない。彼女の胸元と云えばちょうど私の頭の天辺なのだから、背伸びをしなければ、何があるのかも分からない。――が、とにかく、その時の私には、小さいカードに刻まれた下から二つ目の数字がなぜかはっきりと見えた。そこには198.8と云う数字が刻まれていた。余裕があったから私のカードを見てみると、167.4と云う数字が刻まれているからきっとそれは身長で、なら彼女の身長は198.8センチ、……もうあと2センチも大きくなれば2メートル、……2メートル、2メートル、………
胸の高鳴りは、しかし保健センターの職員に邪魔をされてしまって、その後教科書を買いに行くと云う美雪に引っ張られているうちに消えてしまった。が、その日私の頭の中にはずっと198.8と云う数字がめぐりにめぐっていた。あの時の、高校生の時の、190センチ以上は確実にあるという話は確かであった。美雪の身長は198.8センチ、多少の違いはあるとしても、成長期を終えようとしている女の子の身長が、そう違うことは無いはずである。ならば、少なくとも高校に入学した時の美雪の身長は195センチはあったはずである。なるほどそれなら182センチの男子が並んだところで、顎までしか届かなかったのも頷ける。扉という扉を〝くぐる〟のも頷ける。自販機よりも背が高いことも頷けるし、電車の荷物棚で体を支えるのも頷けるし、私の下宿先の天井で頭を打ったのも頷ける。私はとんでもない女子高校生と、あの日出会い、あの日お互いを語り合い、そして、あの日恋に落ちたようである。
結婚をしたのは私たちが特に留年することもなく、大学を卒業したその年であった。恥ずかしながら美雪と初めてしたのは初夜だった。服を脱いで、下着一枚となり、私の前であの大きな乳房を隠そうと腕をもじもじさせる彼女の姿は、いつもと打って変わって、まだ年端のいかない少女のものであった。私はゆっくりとブラジャーを取って眺めた。カップの左下にあるタグには65P と云う英数字が並んでいた。天は美雪に何もかもを与えていた。体も頭脳も美貌も境遇も、何もかもを彼女は持っていた。P カップのブラジャーは途方もなくいい匂いがした。私は実際に彼女の乳房に包まれたくなった。美雪は私を受け入れてくれた。乳房のあいだに辛うじて見える私の頭を撫でてくれた。力の入らない私の背を撫でてくれた。私は彼女の恋人でも弟でもなかった。ただの赤ん坊であった。私はいつしか彼女をこう呼んでいた。
「まま、……」
と。――
一度やってしまえば美雪も私も枷が外れたのか、週に一度とか、月に一度のペースではあるけれども、性行為に勤しんだ。殊に嬉しかったのは彼女が私の様々な要望を答えてくれることであった。もうすでにお分かりの通り、長身女性そのものを性癖として持つ私はずっと昔からそういうプレイをしたくしてしたくてたまらなかった。時には男が床でするように、彼女の太ももにモノをこすり付けたり、時には壁際で圧迫されながら素股、――と云ってもほとんど膝のあたりにしか届かなかったが、彼女の乳房の匂いを嗅ぎながら情けなく太ももで扱かれたり、時には上から押さえつけられるようなキスと手コキだけで射精に至ったり、様々な長身プレイを楽しんだ。
特に、私が気に入ったのは美雪の腕力に任せたプレイだった。先にチラリと出てきたのであるが、彼女の力は強い、……いや、強すぎる。もう何度、ひょんなことで体を浮かされたか。朝眠気にかまけて眠っていたら、ふわり。電車で倒れそうになったら、ふわり。性行為の時に「だっこ」と云ったら、ふわり。重くはないのか? と聞くと、優斗さん軽いんだもん、全然重くないよと云う。私も身長こそ167センチで止まっているが、体重は55キロあるから決して軽くは無いはずである。それを軽いと云って、ふわりと持ち上げられるのは驚異的であるとしか言いようがない。
一度、遊びだからと云って、握力計を握らせたことがあった。3000円ほどの玩具のような握力計ではあったが、100キロまで測れると云うので、さすがにそのくらいあれば良いかと思って買ってきたのである。案の定、美雪は全力を全く出してくれなかった。デジタル表示を見ながら、ちょうど25キロか30キロほどで測定を止めて、手渡してくる。ちゃんとして、と云っても笑ってごまかされる。結局その日は諦めて、また機会があればと思って、それっきりになっていたのであるが、数カ月後のある日、部屋の片付けをしている時に件の握力計が出てきたので、そう云えばあの時自分が測ってなかったなと思って握ってみると、なぜかスカスカする。握力計だから、握ると手応えがあるはずだが、……? と思いながらもう一度握ると、やはりスカスカする。不思議に思って適当にボタンを押していると、100、28、31、27、……と云った数字が出てくる。2つ目以降の数字はまさにあの日美雪が出した結果であった。と、云うことは最初の100と云う数字は一体、……? あの日以来、自分はこの握力計には触っていない。それにこの壊れた取手の部分も気になる。……そこで私はある結論に至り、背筋を寒くした。美雪を怒らせてしまったら、一体どうなる。……? 本気で手を握られでもしたら、……? 私の股間は熱くなる一方であった。
だが、彼女の力の強さを実感するに従って、漠然とした物足らなさが私を襲っていた。美雪にその力を存分に発揮させて、己の無力さを味わいたい。行為に到る時、彼女はどこか一歩引いたような風采(とりなり)で私を痛めつけるのである。それは本来美雪の性癖がそっちでは無いからでもあるし、まさか夫にそういうことをするわけにはいかないと云う思いもあるのであらう。赤ちゃんごっこはそこを上手くついてはいるが、やはり彼女にはその力でもって、私を嬲ってほしい。もっともっと、私を蔑んでほしい。……
とは云っても、美雪は完璧な良妻賢母である。何時に家に帰ろうとも起きていてくれて、しかも笑顔で迎えてくれるし、ご飯は物凄く美味しいし、家事は何一つ抜かり無く行うし、夫への気遣いはやりすぎなほどである。私はとんでもない女性を嫁にもらったようであった。毎日が幸せで、毎日が楽しく、充実している。――
  だが、そんな私と美雪のしあわせな結婚生活は終わりを迎えようとしていた。なぜなら、……
「パパ! パパ! 居るよね、聞いて聞いて!」
と娘の詩穂里が、〝腰を折り曲げながら〟書斎に入ってくる。全てはこの娘とのいびつな関係が原因なのである。――
詩穂里が生まれたのは結婚してすぐのことであった。まさかこんなに大きな女性から生まれたとは思えない、小さな可愛らしい存在に、私たち夫婦は胸を打たれた。授乳のためにさらに大きくなった美雪の乳房から母乳を飲む姿は、天使のようにも思える。
詩穂里はすくすくと成長した。それこそ退院時にはすでに同年代の子よりも一回りほど大きかったのだが、美雪が痛がっても母乳を求め続けた結果、離乳期はもとより幼稚園に入る頃には、一人だけ小学生が紛れたかと思うほど、娘は大きくなっていた。妻は、私もそんな感じだったから、別にいじめられていなければ気にするでもない、と云うので見守っていたのであるが、詩穂里とその組の集合写真を見てあろうことか、私は明らかに娘に、――それもまだ小学生にも至っていない女の子に向けるべきでない欲望が芽生えるのを感じた。美雪が撮って見せてくれる写真や動画もまた、かわいいかわいいとは口で云いながらも、その実私はその、他の子と比べて倍はあろうかと云う体格をした娘に股間を固くしていた。
小学生に上がった娘は相変わらず大きかった。他の子と比べるのは云うまでもないが、小学三年生になる頃には男の先生と比べても遜色なくなっていた。その時にはもうすでに身長160センチ近かったであろうか、気がついた時には私も詩穂里に背の高さで追いつかれつつあった。小学生のまだあどけない顔つきが日を追う毎に高くなって行く。……私はこの年になって久しぶりに、負けて悔しいという感情を抱いていた。
結局負けたのは詩穂里が小学四年生のときであっただろうか、立った時にやたら目線が合うかと思いきや、次の週には少し上から、次の月には娘ははっきりと私を見下ろしていた。そしてあろうことか、
「あれ? パパなんか小さくない?」
と云って、自身の頭から手をすっと横へずらしてくる。その手は明らかに数センチは私の上をかすめていった。
「ふふん。パパに勝っちゃった。ほめてほめて!」
「あ、あぁ、……よくやった。……」
私の声はかすれ声となっていた。
「ダメよ。そういうことしちゃ。パパだって意外と気にしてるんだから。ほら、ごめんなさいは?」
「あ、……えと、ごめんなさい」
詩穂里は美雪の云うことは聞くと云った風で、そこには妻の背の高さに対する尊敬の念が含まれているらしかった。
次の年、つまり詩穂里が小学5年生となった時、娘の身体測定の結果を見た私は愕然とした。そこには182.3センチという数字が並んでいた。180センチオーバーの小学5年生、……それが我が娘だなんて信じられやしなかった。
もうその頃には詩穂里は私よりも頭一つ以上は大きく、親子三人で出かけると決まって間に挟まることになる私のみすぼらしさは計り知れなかったことであろう。方や2メートルまであと一歩の美女、方や小学5年生にして180センチを超えた美少女。しかもヒールのあるブーツを履くので、外では二人の身長差はなくなる。……私は小人になった気分で、両者に手を引かれてついていくしかなかった。いや、小人と云うよりは囚われた宇宙人と云った方が正しいか。ある時、公衆の面前で、いきなり詩穂里が手を上げて、
「ほら、お母さんも」
と云うので、美雪も手を挙げる。私はあっさりバンザイの格好になったのであるが、肩に痛みを感じるや、次第に地から足が浮く感覚がする。――
そういう時がもう何度もあった。それに、二人とも、私の耳が自分たちの口の30センチは下にあることを利用して、コソコソとこちらをチラリと見つつ話をするのである。そして大概の場合、私は二人に挟まって、前からは美雪が、後ろからは詩穂里がという風にどんどん圧迫してくるのである。二人の長身美女に挟まれて身動きの取れない男、……想像したくもないが、一体どのように傍からは映っているのであろう。
そんな娘との関係が歪になり初めたのは、このペースで身長が伸び続ければ190センチも軽いと思っていた矢先のことであった。これは私たち夫婦の落ち度なのであるが、どうも夜の営みと云うものを見られたらしい。とは云っても、そんなに重いものではなくて、ただ妻に持ち上げられて背中をぽんぽんと、……要は赤ちゃんをあやすように抱っこされていた光景を見られたらしかった。
だが、小学5年生の女の子にとっては衝撃だったのであろう。明くる日、ちょうど折り悪く土曜日だったから、昨晩の余韻に浸りつつ、ソファに寝転がって本を呼んでいたところ、突然、
「パパ」
「ん? どうした?」
「ちょっと立って」
とニヤニヤと笑いながら云ってくる。手を伸ばして来ていたので、掴んで立ち上がると、
「そのまま立っててね」
と云われる。相変わらず小学生らしからぬ圧倒的な体つきであった。私の背は娘の肩までしか届いていなかった。目線は彼女の胸元であった。神々しさを感じていると、詩穂里は唐突に脇の下に手を入れてきた。そして、気がついた時には、――私は彼女と目が合っていた。
「え、……うわ! しほ、下ろしてくれ!!」
とジタバタと、地につかぬ足を動かすが、娘には何の抵抗もなっていないようである。そもそも私を持ち上げるのに全然力を使っていないようであった。無邪気な声で、
「あははは、パパかるーい」
と私を上下させながら云う。
「や、やめてくれ!!」
「ふふふ、わたし昨日見ちゃったよ。たかいたかいしてあげよっか」
「やめろ、たのむ、詩穂里!!」
「えー? やだ」
私の叫び声を他所に、詩穂里はさらに手を上へ。
「ほーら、たかいたかーい」
「うわああああああ!!!」
脇腹に感じる激しい痛みもあったが、それ以上に、天井に頭をぶつける恐怖の方が強かった。私はとにかく手も使って暴れたが、妻譲りの怪力を持つ娘には全くもって通じていない。
「ふふん、どう? もう一回?」
「や、やめて、……やめてくれ」
「やだ。それ、たかいたかーい!」
それが幾度となく繰り返された。小学生の娘にたかいたかいをされる恐怖と屈辱に私は涙を流しそうにもなっていた。――と、その時、折良く野暮用から美雪が帰ってきたらしく、部屋に入ってくる。
「あら? 二人とも何やってるの?」
「パパにたかいたかいしてあげてるの!」
「そう、ならもっとしてあげてね」
「美雪、……助けてくれ。……」
「優斗さん、実は楽しんでるでしょう? 私はまだやらないといけないことがあるから、もうちょっとしほの相手をしてあげて。大丈夫、怪我しないように手加減はしてくれるから、ね? しほちゃん?」
「うん! じゃあパパ、もう一回行くよー?」
――全く、私はとんでもない女の子を娘に持ってしまったようである。小学生なのに、背は私よりもう30センチ近くは高い、顔は可愛い、力は怪力、……それに生まれつきのサディスティックな性質。……この時、詩穂里にたかいたかいをされながら、私は美雪では満たされ得なかった何かが自分のなかに満ちていくのを感じた。
そして、その感覚は以来、続くことになった。と、云うのも、詩穂里はこの日以来、しばしば私を相手にたかいたかいやら、美雪のように抱っこをして背中をぽんぽんと叩いてくれたりするのである。彼女からするとごっこ遊びの一種なのであろう。体つきこそ大人顔負けなのに、心は小学生のままである。
そう云えば、家族三人で海に出かけた時は特にひどかった。私は沖に出る二人について行ったのであるが、あっという間に足が底につかなくなってしまった。見かねた美雪に引っ張られて抱きかかえられたものの、それに嫉妬した詩穂里に、
「ほら、パパおいでおいで」
と無理やり妻の柔らかい体から引き剥がされる。そして、
「もう、小さいのに無理して出てきて、溺れたら困るでしょ?」
と云う。もはや子供扱いだったが、さらに、
「なら、溺れないように詩穂里お姉さんと一緒に特訓しよう! ほら、まさとくん、手は離さないからゆっくりと浮いてごらん?」
と、本当に泳ぎの練習が始まってしまった。極めつけには、妻と娘よりも私が先にバテてしまって、注目を浴びる中、詩穂里の胸に抱きかかえて海から上がったのである。
公衆の面前で、小学生の娘に抱きかかえられる父親、……もうたまらなかった。私は妻よりも娘の方にすっかり好意が移ってしまった。まだ未発達な詩穂里の乳房を感じながら、その力強さと、その優しさに酔いしれていた。この時はまだ、あんなことになるとは思ってはいなかっ���。
あんなこと、と云うのはそれから実に一年が経った頃合いの出来事である。詩穂里は小学6年生、春の身体測定では身長はほとんど妻と変わらない193.4センチだと云う。顔つきもどこか妻に似て、おしとやかである。もう私では背伸びをしても娘の肩に届かない。寝る時は湯たんぽにしかなっていない。普段はほとんど子供をあやすような甘い声しかかけられない。
そんな中、私はある日曜日、大学の同級生とちょっとした遊びに出かける予定があって、支度をしていたのであるが、いざ出かけようと自室の扉を開こうとした時、向こう側から勢いよく詩穂里が入ってきた。当然、屈んで扉をくぐる。
「パパ、どこへ行こうとしてるの?」
いつもとは違うトゲトゲしい調子に、私は相手が娘だと云うのに怖かった。
「いや、ちょっと友達とな。……」
「へえ、そう」
「あ、遊びに行くから、……」
「ふぅん? そうなんだ。わたしとの約束よりもパパは友達との遊びを優先させちゃうんだ」
約束、……たしか先週か先々週に詩穂里と一緒に、――思い出した時には遅かった。私は壁際に追い詰められていた。
「ま、まって、それはまた来週、来週に行こう、な?」
「パパ」
「だ、だから今日は、家でおるすば、……」
「パパ?」
「は、はい」
私を追い詰めた詩穂里はどんどんと近寄って来て、一人の小さな男をその体でもって潰そうと云わんばかりに密着してくる。彼女の胸と壁に挟まれた頭に激痛が走り、私は呻き声をあげる。
「やっぱいいや、行ってもいいよ。許してあげる。でもそのかわり、わたしはずっとこうしてるから」
「うがああああ!!」
「あ、思いついた。じゃあ、こうしよう。このままパパがわたしから逃げられたら、約束のこと無しにしてあげる。でも、出来なかったら。……」
「あ、ひっ、うああ!!!」
と私は詩穂里の体を跳ね除けようとしているのであるが、それは約束云々と云うよりも、この激痛から逃れられたい一心からであった。
「ふふふ、よわいよわいパパ。小学生の娘にも勝てないなんて、……ほら、頑張って、頑張って」
と詩穂里は馬鹿にしたように云う。そのうちにもどんどん彼女の力は強くなっていく。
「ね、パパ、今日はさ、わたしと一緒にいけないことしようよ。お母さんには内緒で。あと10分で逃げられなかったら、そうしようね」
と、その「いけないこと」を暗示するように、太ももを私の股間にこすりつける。
もうどうしようもなかった。気がついた時には私は手を取られてバンザイの格好をしていたし、娘の太ももに座るようにして足は宙に浮いていた。抵抗する気なぞ、とうに消えていた。
結局、その日は本当に美雪には適当を云って、大学の友人には子どもが熱を出したと云って、詩穂里とホテルへ向かった。……この先は云うまでもなかろう。彼女の初めてとは思えない手付きや言葉遣いで、私の娘に対する長年の欲望は全て搾り取られてしまった。行為の最中、私に主導権はなかった。ただひたすら、歳の離れた実の娘のなすがまま、存分に嬲られ、痛めつけられ、挙句の果てにはその余りの神々しさに彼女をこう呼んだ。
「まま、……」
と。――
  「パパー? 聞いてるー? 今日ねー、――」
と詩穂里は私の眼の前に腰掛けた。つい数週間前に中学生になったばかりの彼女はもう妻よりも大きい。私からすると二人とも巨人のように見えるのであるが、明らかに詩穂里の頭の方が、美雪よりも高い位置にある。少し前に、とうとうお母さんよりも大きくなっちゃった! と、はしゃいでいたのは記憶に新しい。
――その時、嬉しいことを思い出した。娘は今日、身体測定だと云って家を出ていっていた。
「久しぶりに身長測ったんだよ! 聞きたい?」
「あ、ああ。……」
グイと近づいてくる、詩穂里は、誰にも聞こえぬと云うのに、私だけに伝わるよう耳打ちをする。
「2メートルと、7センチ、……だよ!」
「2メートル、2メートル、7センチ、……2メートル、2メートル。……」
「そんな何度も云わなくていいじゃん。もう、パパはお馬鹿さんだねぇ」
と、云いながら詩穂里は私の体を抱きしめる。
「ね、約束、覚えてる?」
「も、もちろん」
「良かった。ほら、おいでまさとくん」
と私の顔を豊かになりつつある胸元に抱き寄せる。私は彼女に体をすっかり預けて、その甘い匂いに頭をとろけさせた。
「まま、……」
「んふふ、また今夜しようね、まさとくん」
だらりと垂れた私の体を愛おしく抱きしめながら、詩穂里は子守唄を歌った。それは鈴のように美しく、よく通る音色だった。
 (おわり)
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