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#期待を裏切らないまりぃ
movie0924 · 6 months
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映画 『そして、バトンは渡された』
石原さんとお会いできた記念と、田中さんが帰ってきた記念ということで、今回は『そして、バトンは渡された』の感想を。映画の公開から約1年半、撮影から2年半と少し時間が経ちましたが、作品と向き合いピアノの練習に励んだ撮影期間のことは鮮明に覚えています。今回も映画を見てから、ながのによるながの視点のながのの為の感想文(ネタバレ含む)を読んでいただけたらと思います。皆さまからの感想もお待ちしております。
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原作者、瀬尾まいこさんのWikipediaには「家族の物語が多いが、愛情を注ぐのに血縁は関係は無いと思い、家族に限定しない人と人が関わることに関心があり、それを書く。」とあり、まさにその通りのお話。
「この物語には《命をかけた嘘》と《知ってはいけない秘密》がある」というキャッチコピーだけど、ミステリー映画のような雰囲気はほとんど感じられない。命をかけた嘘に関しては伏線が丁寧すぎるほどに張り巡らされているから展開が読めてしまうかもしれないし、2つの家族の仕掛けは〝謎風〟なだけであって人によっては謎とすら感じないかもしれない、クライマックスの盛り上がるであろう場面が答え合わせのようで、なんだかなあと演出に少し物足りなさを感じる部分もあるかもしれない。だけど、あらすじの原作が本屋大賞受賞作ということだけあってよく練り込まれていたから、こんなに綺麗な話はそうないのかもしれないけど、こんな素敵なことが起こるかもしれないと人を信じる気持ちにさせてくれた。
石原さんが演じるのは自由奔放に生きる優子の母、梨花。とにかく容姿端麗、綺麗すぎる。非現実的なのに、中には愛情が詰まったかっこいい魔性の女。美しすぎて浮いているようにも見える部分もあるけど、お金がなくても目的の為には美しくいなくてはいけないという、なりふり構わず一生懸命で真っ直ぐな姿はどこか助けてあげたくなってしまう愛おしさがある。そのバランスが妙に複雑だけど「まあ、許そう」で終われる不思議な感覚だった。この映画でながのが演じる優子と石原さんが演じる梨花の共演シーンは卒業式の合唱のシーンだけで、2人が顔を合わせるのはこれが最後でお別れのシーンのはずなのにいつか一緒に過ごせるであろう情景が浮かんだ。 田中さんが演じるのは血の繋がりがない優子の父、森宮さん。お父さんだけどお友達のような感覚で、だけどやっぱりお父さんで。そんな絶妙な距離感の親子の関係が一番映し出される家での撮影はとても敏感で繊細で、言いたいことを言い合っているように見えて実はお互いに物凄く気を遣っていて、そのことが露わになった時の戸惑う感じ、それは森宮さんにとって家族というものがとても大切で特別なものであることの裏返しでもあり、血の繋がりとは別の特別な強い絆を感じられた。優子が見た森宮さんはいつも笑ってた。田中さんという人間から滲み出る温かさが森宮さんの中にあって、そんな森宮さんの笑顔の中の優しさと安心感のおかげで優子は優子でいられた。 そしてながの演じる森宮優子。お母さんに「実写化したら芽郁に演じて欲しい」と言われていた小説だったので出演が決まった時は嬉しくてすぐに脚本を読んで、お母さんのためにも自分のためにも絶対にやりたいと思った作品。グレてもおかしくないような破天荒な児童期を過ごしたにも関わらず、優子は素直で優しく強くしなやかに生きてきた。それは優子を囲む全ての人がその人たちならではの愛情を注いでいたから。感じたことのない愛の種類や温かさを知って、人との繋がりは強くなる。泣き虫っ子みぃたんが魅力的な女の子になっていく過程に説得力を持たせられるだけの、バリエーション豊富な笑顔と泣き顔、繊細な表情の演じ分けがながのにできていただろうか。読んだ脚本には破天荒な母に振り回されて可哀想な優子が描かれていたけど、演じてみる不思議と最初から最後まで幸せな感覚に陥った。
バトンを渡す人はもちろん重要だけど、受け取る人がどう受け取って次に繋げるかが1番重要な気がする。言葉も行動も、その行動に誰のどんな意図が隠されていてどんな意味を持たせるかは全て受け取った人に最終の決定権があるから。「笑っていれば、いろいろなラッキーが転がり込むの」どうしても辛い時は辛い顔、悲しい時は悲しい顔になるけど、それを乗り越えて辛い時も悲しい時も〝笑顔〟。その理由はただ1つ、笑顔がラッキーを呼び込むから。 お父さん達が集まる中、バージンロードを歩く役割に森宮さんが推薦される事によって繋がれたバトンの真意とそのバトンの重さ、タイトルの意味がわかった。式場で「笑っていれば幸せは転がり込むんだよ」という優子の台詞を形にしたら、泣いている暇なんてないくらい前を向けた。 ラスト、優子と早瀬くんが買い物帰りに横断歩道を渡るシーン。自ら選んだ大好きな相手と安心しきった笑顔で笑い合う優子の姿を見て、幸せになってほしいと願った。早瀬くんの手はとても大きかった。
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tanakadntt · 1 year
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三輪秀次の小説(二次創作)
【2】
ニ 五月 米屋陽介(と出水公平)
 そして、入学式が始まる前の教室である。クラス分けの発表があったばかりだ。
 期待と緊張が入り交じり、ざわめく教室の中で三輪は誰にも声をかけられずにいた。そもそも誰がボーダーかもわからない。提携校なのだから石を投げれば当たるほどいると聞いていたが、皆が皆違うように思えた。本部で会っている者もいるはずだが、人の顔を覚えるのも三輪の苦手な分野だった。
 クラスの中でボーダー隊員であるとわかっているのは、一人だけだ。
 入学式当日に、すでに友人らしき人物と楽しげに話している陽キャを見つめた。
 出水公平である。
 三輪にとって彼は、太刀川隊の天才シューターである。ボーダー隊員のなかでもずば抜けたセンスと圧倒的なトリオン量を誇る。合成弾の開発者でもある。これにより、東隊のA級一位の立場も最後のシーズンにはひっくり返された。悔しい。その後、先輩二宮が頭を下げて教えを請うた人物だ。
 それだけではない。人なつこく明るい性格で、コミュニケーション能力が高い。
 こういう人物が隊長向きではないだろうか。三輪は我が身を省みた。月見の指摘が思い返される。
 出水の横にいる友人とおぼしき人物は、入学式というのにカチューシャで長い前髪をあげていて、やはりコミュ強者という風格だった。
 米屋陽介である。
「出水、何ビビってんの?」
 米屋陽介がちらりと三輪に視線をやった。
「しぃぃっ、視線あわすと噛みつかれるぞ」
「なにそれ」
 一方の出水は三輪の強い視線を受けて、内心戦慄していた。
 彼にとっての三輪は、東隊の狂犬アタッカーである。最近は銃も使う。その鉛弾が叩き込まれると厄介だ。容赦はない。弧月でぶった切られるときの鋭い目つきに明確な殺意を感じる。格上にも平気で挑み、勝てば当然といいたげな涼しい顔、負ければギリギリと歯ぎしりしそうな様子で悔しがっている。よく太刀川に噛みついている。迅、嵐山と誰もが好感しかいだかないであろう人物にも恐ろしいほどに攻撃的だ。何、怖い、この子。
 なんでそこまでと思うが、誰も気にしていないので、出水も空気を読んでそっとしておくことにしていた。そういえば、同い年だったなという認識だ。同じクラスになったのか。
「めっちゃ、お前のこと見てんじゃん。あいつ、知ってる。解散した東隊だった奴だろ」
 米屋とはボーダー本部のブースで知り合った。目が合うなり、いきなり個人戦に挑まれたが、それからよくつるんでいる。ノリが合うのだ。入隊は最近らしいが個人戦を重ねてあっという間にB級にあがった。とはいえ、上昇志向とは無縁で単に戦うのが好きという戦闘狂だ。米屋は無理やり思い出すようにこめかみに指を当てた。
「…確か隊員を募集してたな」
 知らなかった。
「へえ、あいつも隊を作んのか」
「『も』?」
「ああ」
 三輪は狂犬だったが、優秀な猟師にしつけられた猟犬でもあった。指揮官が描いた盤面を猟犬たちが静かに展開し、敵を次々と屠っていく様は見事なものだった。彼らの追い詰める獲物とは自分たちのことであったが、毎回、テキストをすすめるように替わる戦術と戦局を楽しみにしていたのだ。
 二宮、加古に続き、三輪までも隊を立ち上げようと動いている。
「これは面白いぜ、きっと」
「あ」
 本部である。
 三輪は現在隊に所属していないので、防衛は混成チームに参加して当たっている。誰かスカウトできないか目を光らせておけと優秀オペレーターの厳命に従い、なるべく参加しているが、彼と一緒になったのは初めてであった。
「米屋」
 カチューシャの彼はニヤリと笑った。同じクラスで、出水の友達だ。クラスの中でもとてもニュートラルな人間である。というのが、人間観察術を身につけようと努力する三輪の見立てである。誰に対しても偏見がない。無愛想で距離を置かれがちな三輪にも気軽に接してくれる人物でもある。
「米屋はボーダーだったのか」
「���んだよ。知らなかったのかよ」
 みんな知ってるぜと米屋はあきれた顔をした。
 すでに五月も中旬である。クラスでのスカウト活動は進展していない。積極的でないのもある。この一ヶ月近くは、月見に戦術をスパルタでたたき込まれている。人間観察はその修行の一端だ。鉈でざくざくと自信が削りとられていくような厳しさに、すでに三輪のライフはゼロに近い。目の下には隈が出来ている。いまだに隊員の応募もない。
 米屋はネイバーの口元にある急所にスコーピオンを叩き込んだ。
「いっちょ、あがりっと」
 軽口だがやっていることはすごい。
 防衛任務を共にこなして、三輪は米屋の強さに驚いている。二人一組で哨戒に当たっているところに門が開いたのだ。
 強い。トリオン量が少ないと言っていたが、それを補う高い技量を持っている。スコーピオンの使い方も独特で彼のセンスを伺わせた。これほど強いのなら、どんどん結成されている新しい隊に声をかけられているのではないだろうか。
 その疑問を口にすると、米屋は直接答えず、逆に問うた。
「うーん、三輪はさあ、どうしてボーダーになったんだよ」
 ボーダーではよく聞かれる質問だ。
 三輪の答えによどみはない。誰にどんな場面で聞かれても、こう答えてきた。
「近界民に殺された姉さんの仇をとりたいんだ」
「へえ」
 米屋は片眉をあげて三輪を見た。珍獣に出くわした表情だ。それもそうだろう。ボーダーに志願する者で近界民侵攻の遺族は不思議なほど少ない。逆にアンチ・ボーダーに傾く者が多かった。いまやボーダーは街を守る存在として憧れの存在だ。失ったものが多い人間には眩しすぎるのかもしれなかった。
 米屋はシンプルな感想を口にした。
「しんどくね?」
「わかってる」
 三輪は何の感慨もなく、うなづいた。よくわかっている。
「近界民をこの世から抹殺する。それが俺の目標だ」
 そのために強くなりたい、こう言うと、大抵の隊員はひきつった顔をする。憧れの隊員は誰? 好きなランク戦動画は?などという話の流れを一気に破壊する迷惑な代物であることはわかっている。だから、三輪は必要以上に隊員と交わらない。現在、隊員を募集するうえでそれが裏目に出ているわけだ。
 しかし、米屋はひるまなかった。かわりに、ははっと笑った。
「おっも」
「ああ」
「三輪って真面目そうって思ってたけど、ほんと重いのな、いつも? いつもそうなの?」
「ああ。うん、いや」
 三輪は首をひねって口ごもった。改めて聞かれると少し違う。
「なんだよ」
「いつもってわけじゃない…かもしれない。それじゃ、勝てないから」
 冷徹な戦局に復讐心は不似合いだ。邪魔になる場面は何度もあった。
「普通に強くないと勝てない…かな」
「普通ってなんだよ」
「普通は普通だ。…米屋はどうなんだ? ボーダーに入った理由。お前、強いじゃないか」
「俺?」
んん、と唸って、米屋は顎をグーでこすった。
「俺は楽しければそれでいいかな。強い奴と戦えればそれで」
「近界民でもか?」
「近界民でもさ」
 これ普通ってこと?と米屋が笑った。
「そうか」
 しばらく沈黙が落ちる。
「ふざけてるって、怒んねえの」
「お前が普通だって言うなら普通だ。そうだな、お前が、俺が重いって怒ったら怒ることにする」
「まあ、俺は楽しければ何でもいいからな」
「……前を向けって言われるのが一番こたえる」
 侵攻で生き残った者に対するケアを専門にするカウンセラーには何度も言われたことだ。前をむきなさい。このままだと悲しみに殺されるよ。それがお姉さんののぞむこと? 復讐なんて考えないで。
「しんどくね?」
 米屋はもう一度言った。
 そこに、
『門が開きました』
 このタイミングで、本部オペレーターからの指示が飛ぶ。
「んじゃ、『抹殺』しに行きますか?」
「そうだな」
 応えると、唐突に米屋が話を変えた。
「俺、応募してもいいぜ」
「は?」
「お前の隊に。募集してんだろ。本部で見たぜ」
「本当か」
 どうしてこういう流れになったかわからない
「嘘言ってどうするよ」
 三輪は弧月を抜いた。ぶうんと不吉な音をたてて、白い大きな怪物が現れる。
「詳しい話はこいつらを片付けてからだ」
「マジ? 三輪んとこ入るの?」
 本部のロビーである。
 月見との顔合わせで、米屋と待っているところを出水に声をかけられた。
「お、おお、そうなんだ。米屋をよろしく頼むぜ」
 三輪を向いて、手をあげる出水は少々テンパっている。米屋はひひひと笑った。
「こいつ、三輪が怖いからビビってんだぜ」
「おま、ここでそれを言う?」
 三輪は瞠目した。知らなかった。
「あー、何度もぶった切られてるからさ」
「…それは悪かったな。でも、俺は出水のほうが怖いと思う」
「な、なんで」
「強いから」
 思わぬタイミングでやってくる圧倒的な光の束を目の前にした絶望感がどれほどのものか出水は知らないのか。
 出水はびっくりした顔をしたあと、にへへと顔を崩した。
「早くA級にあがってこいよ」
 もちろんだと請け負う。
「すぐに追いついて、太刀川隊をボコボコにするつもりだ」
「三輪、おもしれえ」
「いやいや、三輪、これ本気でしょ」
「もちろん、本気だ」
 冗談でいうことではない。東隊最後のランク戦の恨みも忘れていない。
 出水は気が抜けてため息をついた。
「やっぱ、怖いわ」
【3】に続く
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tominohouzan · 11 months
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さよなら中野サンプラザ音楽祭 2023年6月10日(土)中野サンプラザ
50年の歴史を持ってこの夏、中野サンプラザが閉館する。私が初めて中野サンプラザホールでコンサートを見たのは1994年のプライマル・スクリームRocksツアーだった。バリバリのティーンだった私にとっては全財産を叩いて買ったようなチケットだったし、何より一人で洋楽バンドのコンサートに参加するなんて、何だか背伸びをしているような悪いことをしているような不思議な感覚だった。私の前の席のお姉さんが親の仇のごとく踊り狂っていて、ウブで純粋だった私はロックって凄いなぁととにかく圧倒されっぱなしだった事もよく覚えている。 最寄り駅で電車を待っていると後ろから女性に声をかけられた。「すみません。お洋服にタグがついていますよ」恥ずかしさと有り難さで女性にペコペコとお礼する。練馬駅から「中92」のバスに乗って中野に向かう。この番号はいつの間にか暗記している。
▼OCHA NORMA & ハロプロ研修生 :★★★★(4.0) 1階4列下手中央より。凄い良席が来た。もしかしたらこれまでサンプラザに入ったなかでも一番いいカモしれない。 昇格が決まっている花ちゃん、みっぷる、下井谷さんだが、研修生として見るのはこれが最後だろう。花ちゃんの小手先に頼らない精一杯のパフォーマンスは、たくさんの演者が並ぶステージでも飛び抜けて輝いていて、見ているだけでジワジワと涙腺が緩んでしまう。 MCコーナーは中野サンプラザのエピソードというテーマで吉田、川島、後藤の3人。吉田ひのはちゃんとみっぷるはサンプラザのいい思い出をいい感じに語っていたが、花ちゃんは「研修生の楽屋が遠い」という意図的に間の抜けた話を繰り出していて流石だなと感心した。 研ユニはやはりほのほのがとても可愛い。挨拶も噛まずに流暢にこなすのでリーダー向きだなぁと思った。あと研ユニのユニゾンはカントリーのユニゾンに似ていると思った。どんな方向性でデビューするのか全く���からないが、凍結されたカントリーリブート計画もまんざら不可能ではない気がしている。 オチャノーマは久しぶりに見るような気がする。なにせCityCircuitツアーには一度も参加していない。新曲を何曲か披露していたが、一曲凄くかっこいい曲があったが、曲名は忘れてしまった。あと石栗ちゃんから指差しレスをもらった気がする(確度80%) クロージングの曲は彼女になりたい。はまちょーでみんな誰かの名前を叫んでいるが全員バラバラで聞き取れない。
▼つばきファクトリー :★★★☆(3.5) 1階6列最下手。ステージは近いがほぼ人権のない席だ。なにせ下手PAより更に下手なのだ。ちなみに知らなかったのだが、5列には0番の左にさらに00番という席があるのを確認した。このあたりのエリアは完全��メンバーの視界外だろう。とはいえステージは近いのだから、レスを求めないのであれ悪くもないかも。と思っていたが、メンバー全員がまったくこちらを向いていない状況はかなりの疎外感があり、結構シンドい。 意外にも最初に我々のエリアに人権をくれたのはあんみぃだった。下手にきたときにこちらのエリアにアピールをくれた。衣装チェンジ後の希空ちゃんの太ももがやばい。黒のロングブーツにセーラームーンばりの青いミニスカート。マジやびぃ。会場内場外エリアを活用してガン見する。 PAスピーカーの直前で聞くアドレナリンのベースラインは超楽しい。通路席なので激しくゆらゆらすると非常に具合がよろしい。どうやらアドレナリンのどこかにヤギシオリ!コールを入れれるパートがあるらしい。今度確認しよう。 50年経とうが中野サンプラザが素晴らしい会場であることには変わらない。NIRVANAが消化器をぶち撒けた伝説の会場でもある。本当につくづく勿体ない。 ちなみに服についていたタグはサンプラザの受付でトートバッグを買った際にはさみを借りて切った。
<今日のパンチライン> 米村「(花ちゃんのトークに対して)なかなかでしたね」 広本「期待を裏切られない感じの」
まおぴん「いっかいあたしたちの衣装、イオンモールとかで見たことがあるんですけど」
<OCHA NORMA & ハロプロ研修生セトリ> 01.天まで登れ![ハロプロ研修生]/OCHA NORMA、ハロプロ研修生 02.彼女になりたいっ!!![ハロプロ研修生]/OCHA NORMA、ハロプロ研修生 MC(OCHA NORMA、ハロプロ研修生) 03.きみの登場/ハロプロ研修生 04.Say! Hello!/松原、小野田、橋田、村越、植村、吉田、後藤、下井谷、上村 05.Crying/松原、小野田、橋田、村越、植村、川嶋、上村、河野、林 06.正しい青春ってなんだろう/ハロプロ研修生 MC (広本、米村、吉田、川嶋、後藤) 07.ダイスキだけど付き合えない/松原、小野田、橋田、村越、植村 08.悪いヒト/松原、小野田、橋田、村越、植村 09.女で地球は回ってる/松原、小野田、橋田、村越、植村 MC(村越、植村) 10.ちょっと情緒不安定?…夏(新曲)/OCHA NORMA 11.Hello! 生まれた意味がきっとある/OCHA NORMA 12.ヨリドリ ME DREAM/OCHA NORMA MC(OCHA NORMA) 13.ラヴィ・ダヴィ/OCHA NORMA 14.ウチらの地元は地球じゃん!/OCHA NORMA 15.素肌は熱帯夜/OCHA NORMA 16.オチャノマ マホロバ イコイノバ~昭和も令和もワッチャワチャ~(新曲)/OCHA NORMA ENCORE 17.色とりどり伸びよ!!/ハロプロ研修生 18.かっちょいい歌[ハロー!プロジェクト モベキマス]/松原、小野田、橋田、村越、植村 19.恋のクラウチングスタート/OCHA NORMA MC(OCHA NORMA、ハロプロ研修生) 20.Rainbow[ハロプロ研修生]/OCHA NORMA、ハロプロ研修生
<つばきファクトリー セットリスト> 01.七分咲きのつづき 02.スキップ・スキップ・スキップ 03.うるわしのカメリア MC 04.ふわり、恋時計 05.春恋歌 06.ハナモヨウ 07.純情cm(センチメートル) 08.三回目のデート神話 MC 09.メドレー 恋のUFOキャッチャー×アイドル天職音頭 ~ 断捨ISM ~ だからなんなんだ!×断捨ISM/岸本、小野田、秋山、河西、福田 10.約束・連絡・記念日/山岸、新沼、谷本、小野、八木、豫風 11.独り占め MC 12.マサユメ 13.間違いじゃない 泣いたりしない 14.涙のヒロイン降板劇 15.アドレナリン・ダメ 16.愛は今、愛を求めてる MC 17.ふりさけみれば… ENCORE 18.17才 MC 19.初恋サンライズ MC 20.My Darling~Do you love me?~
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elle-p · 1 year
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P3 Club Book Junpei Iori short story scan and transcription.
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夢で逢えたら
「まさか······ウソだろ?」
伊織順平は、己の眼前の光景が現実であると、いまだ信じられずにいた。先ほどまで、確かに自分はタルタロスでシャドウと戦っていたはず。それがいまは、なぜかポートアイランド駅前広場の真ん中に、ぼんやりと突っ立っているのだ。しかも、影時間のはずだった時刻は、斜め上に見える陽の傾きから考えると、おそらく午後も早いころへとシフトしている。どう考えても、これは幻覚か何かとしか思えない状況だが、肌に感じる風、オープンカフェから漂うコーヒーの香り、雑踏のざわめきの向こうから聞こえる駅の乗車アナウンス、その全てがにじませる存在感は、とても作り物や錯覚とは思えない。だが、それでも、順平は信じることができなかった。否、それが現実でないことを知っていた。
「い、いや······んなワケねえ······こ、これが現実でのワケないじゃん。だ······だってよぉ!」
なぜなら、その場所にいたのはー。
「······お久しぶり、順平」
「チドリ······チドリ?······チドリぃ!!」
一時は敵として立ち塞がりながら、最期には、ストレガの凶弾に倒れた順平に、己の命を与えて蘇生させた少女。順平にとっては自分の恩人であり、それ以前に、何者にも変えがたく全身全霊で愛した相手だ。一時は、彼女を喪ったことで、生きていく気力すら完全に消えかけて、そして逆に、彼女が自分のために犠牲になったことが、順平に生命力を呼び戻した。
その、喪われたはずのチドリが。
彼の掌から零れ落ちたはずの生命が。
いま、なぜか目の前に居る。
「ホントに······お前なのか?な、なあ、これって幻じゃねえよな?いや······幻でもいい、幻でも······また逢えたんだ!」
「幻なんかじゃないわよ」
「!��
ありえない奇跡を、あっさりと肯定する少女。だが、それに続くチドリの言葉は、順平の予想の軽く斜め上を行っていた。
「幻じゃないけれど······」
「けれど······?」
「ーこれは、夢オチです」
「······························へっ!?」
びしっと人差し指を立て、それまで能面のようだった無表情が一転、口の両端をにかっと持ち上げて宣言するチドリ。ただし、その目は相変わらずの三白眼。理解しがたい展開と、いまだかつて見たことがない彼女の表情に、順平の顔面にどっと脂汗が吹き出す。
風が、ひょう~とふたりの間を吹きぬけた。
「これは······いったいどういうことだ!」
広大なタルタロスエントランスに、桐条美鶴の苛立った声が響き渡る。そんな彼女の焦りを、やんわりと受け止めたのは真田明彦。
「落ち着け、美鶴。それをいま調べているところじゃないか。山岸······どうだ?」
話を振られた山岸風花は、自身を包み込むように召喚していたユノを解放し、ほう、と溜め息をつく。額の汗が、彼女の行っていた作業が、いかに大変だったかを示していた。
「とりあえず、命に別状はないようです。ただ、何というか······一種の象徴化のような現象が起こっているみたいで······。いまのままじゃ、順平くんに対する治療は意味がありません」
「ウソ······どうすんのよっ?象徴化って、死んでるのと同じようなもんなんしょっ!?」
「ゆかりさん、落ち着いて。いまは冷静さを保つことが肝心です。 辛いでしょうが······」
心配に顔を歪める岳羽ゆかり、冷静にと言いつつ不安を隠せない表情のアイギス。彼らの中心には、壊れた人形のように床に倒れた伊織順平と、その順平の頭部に貼り付いたまま凍ったように固まった······シャドウの黒い姿があった。
一現場にいた者の証言によると、対峙した敵は、何の変哲もないマーヤタイプのシャドウに見えた。だが、普通ならシャドウ討伐隊を見ると、あくまで好戦的に襲ってくるシャドウが、ひたすら逃げを打つ様子を見せたのだ。それを面白がった順平が深追いしたところ、突然、反転してきたシャドウに飛び掛られ、そのまま両者ともに、ピクリとも動かなくなったのだとか。
「わからんな······どういうことなんだ?」
「あの······いいでしょうか?」
ギリッと奥歯を噛み締める様子の美鶴に、風花がおそるおそると声をかけた。
「敵意が······ないんです、このシャドウ。それと順平くん······なぜか喜びの感情が······」
「はぁ?何、この馬鹿、この状況で浮かれた夢でも見てるってコト?」
やや気の抜けたような風花の言葉に、場の緊張感がやや薄まる。浮かれた夢ーそれは、ある意味正しく、ある意味、違っていた。
「正確には······夢とは違うわ」
夢オチという言葉を聞いて、顔中に?マークを貼り付けたような順平に、チドリは薄い笑顔を浮かべたままで説明を続けていた。パニックになりかけた順平を落ち着かせるため、いまはふたりで並んで、ポートアイランド駅前の道をのんびりと歩いているところ。硬質に澄んだ冬の空気が、順平の意識を徐々に覚醒させていく。
「よく······わかんねえよ。チドリは、あのとき確かにオレの目の前で······。だから、これが現実じゃねえってことはわかる。だけど、夢でも幻でもねえって、どーいうことだよ?」
折りしも、ふたりが差し掛かったのは月光館学園前の大通り。ちょうど正面に、ギリシャ建築を模したといわれる、高等部校舎の威容がそびえ立つ。そう。あのとき、この高等部校舎の前、チドリは順平の腕の中で、徐々にその体温を失い······ニ度とその目を開けなかった。
そのチドリが、いまは順平の目の前で、かつての彼女からは想像もつかないような柔らかな表情で歩き、その笑顔もくるくると変わる。まるで、普通の女子高校生のように。このチドリは、あのチドリい出し、順平の顔に再びどっと脂汗が浮かぶ。別とは違う。先ほどのイタズラ好きそうな笑顔を思いに不気味だとか恐ろしいとかという印象があるわけではないが、やはり慣れてないというのが大きい。しかしそれでいて、これはやはりチドリ本人でしかありえない。そういう感覚も拭いきれない。それは、しっかりと心と心が繋がった相手だからこそ思える、余人には計り知れない―順平だけの確信だった。
「シャドウが······時空に干渉する能力を持っているってこと、順平知ってる?」
ぽつりと、チドリが目線をそらしたまま問いかけてくる。
「ああ、少しは勉強したからな。確か······シャドウはニュクスとかってヤツを復活させるために生きていて、そのために影時間を作り出したり、タルタロスみてえなでかい塔おっ建てたりしてるんだよな?んで、時間をいじる能力で影時間が、空間をいじる能力でタルタロスができてる······ってん だっけ?」
「そうそう。凄いじゃない、順平」
「へへっ、最近ガッコの成績も上がってるんだぜ。なめんなよ?」
「そっか······頑張ってるんだ。順平、偉いな」
順平の頑張りが、自分のことのように嬉しいといった表情で、また柔らかくチドリは笑う。そこで順平は気づいた。その見たことがない笑顔は、決してあり得ないものではなく、“もしチドリが生きていれば” いずれ見せてくれたはずの表情であるということに。そして、その推測を肯定する言葉が、チドリから発された。
「ここはね、そのシャドウの時空に干渉する能力で生み出された、“もしも” の世界。私が死なずに、そのまま生きていられた世界なの。そうね······SF風に言うなら、パラレルワールドって感じかな?ただ······」
「ただ?」
「本物���ゃないの」
「!?」
ほんの少し予感していた、心の底から切望していた言葉と、それに続く期待を裏切る言葉とが、順平を混乱させ、絶句させる。
「あの変わり者のシャドウ······順平に飛び掛ったコはね、たぶん自分の存在に疑問を持っていたの。ひたすらにニュクスに尽くすためだけに生きることに。そして、幸せな未来を引き寄せたいと思った······だけど、1体だけじゃ力が足りなかった。引き寄せたのは、同じように幸せな世界の存在を望んでいた、順平が思い描く世界の、単なる影。コピーといってもいいかも」
「世界の······影?」
「時空のどこかに存在する、もしもの世界を、情報として再構成したのよ。 順平の頭の中に、ね。だから、ここは夢の世界。だけど、同時に現実を忠実に再現した世界でもある」
「ってことは······チドリも······?」
「そう、私はただの情報体。向こうの世界のチドリの人格や記憶と、順平の中にあるチドリの思い出からできている。もしかしたら、ここを作ったシャドウの知識も持っているかもね」
ふたりは既に、ポロニアンモールの近くにまで来ている。冬の街並みを眺めながら、チドリは少しだけ、空ろな表情を浮かべる。この顔を、順平は知っている。世界を拒絶し、世界から拒絶されていた。あのチドリの表情だ。
「だから······夢オチ、か」
「そう。いずれ影時間が終わって、シャドウが力を行使できなくなれば、この世界は消えてしまうわ。いまいる私も、同時に」
「そっか······」
「そうね······」
そして、無言のまま、ふたりは歩く。それが1分も続かないうちに、ほぼ同時に口を開いた。
「······順平!」
「······チドリ!あ、わ、悪い。先に言えよ」
「ううん、順平から、聞かせて」
「そ、そうか?あ、あのな······向こうの世界でさ、チドリは······幸せ、なのか?」
不安そうに聞く順平に、チドリはこれまで以上に極上の笑みを浮かべて答える。
「もちろん!もう、周りの人がやってられないってくらいにラブラブ」
「ら······ラブラブ?あ、あはは、そうか。そうなんだ······良かった。安心したぜ。 あ、んでチドリは?何、言いかけたんだ?」
「あ······うん。あのね、シャドウが時空に干渉できるって言ったよね。それは······別に特別なことじゃない、生き物にとって」
「え?」
想像していた甘いものとは違うチドリの言葉に、順平は首をひねる。
「時空に干渉する······それは、生きるということ。生きようとする強い意志があれば、避けられない運命すら、変えられる。もしもの世界は、順平、あなたにも引き寄せることができる。それだけ······覚えていて」
真剣なチドリの視線を、順平は真正面から受け止める。彼女が言いたいことが、心に染みるほど理解できた。チドリのように、未来を断ち切られる想いを、二度と誰にも抱かせることがないように、全力で生きる。それが、チドリの願い。そして、同時に順平の願い。
「って、覚えられないだろうけどね」
「はぁ!?おいおい、そりゃねえよ!」
カッコよく心の中で決めポーズをやりかけていたのに、あっさりチドリに否定され、さすがに順平がえらい勢いで反論する。
「だって、ここって一種の影時間だもの。ペルソナ使いの常識、わかってる?」
「いっ!?た、確か記憶の混乱や欠落······ってウソだろっ!?オレ、もうすっかり影時間には慣れて、もう影時間のプロだぜ、プロ!」
「ここは、いつもの影時間とは違うのよ。初めて影時間を体感したのと、条件は同じ」
「そ、そんなぁ······んじゃ、いまチドリと逢ってるって、この記憶も?」
「消えちゃうでしょうね」
「ウソだろ······」
「だから、いまのうち······」
「え?」
身構えるヒマもなかった。状況を把握する間もなく、正面に接近するチドリの顔。寸前で、彼女はふっと大きな目を閉じ。
ちゅっ。
小さく音が鳴る。
唇に残る柔らかい感触。
軽く触れるだけのキスだった。
そして、抱きしめようとしたときには、既にチドリは順平の腕をするりと抜けて、ゆっくりと遠ざかろうとしていた。
「······それでも、覚えていてね、順平。死んでしまった私も、生き延びてあなたと幸せな二年間を過ごした私も、できる限り精一杯生きたわ。だから、順平も······」
チドリの姿とともに、その声も徐々に遠ざかる。別れの時間がー来たのだ。
「ちょ!ま、待ったチドリ!せ、せめて不意打ちじゃないキスを······!!」
そこで、世界は白く白く輝き、消えた。
「って、アホかーっ!!」
「ぐぎゃはぁ!!」
突然、順平の顔面にとてつもない衝撃が走った。それが、ゆかりの靴底だと認識する間もなく、順平は盛大に吹き飛ばされる。
「な、何すんだよ、いきなりっ!!」
「そーれーはー、こっちのセリフだっつーの!この馬鹿順平!やっと目覚ましたかと思ったら、いきなり風花に襲い掛かってくるし!しかも、あの表情!唇とんがらせてチューって感じで······あー、マジキモイ」
「あ、あの、ゆかりちゃん······私は大丈夫だから。み、未だし。じゅ、順平くん大丈夫?」
「まったく······どんなエロい夢見てたのよ?」
「え、エロいって······あれ?夢······確かに見てたよーな······あれ?」
「どーせ、大した夢じゃないでしょ?」
ゆかりの言葉に、うーんとひたすら首をひねる順平。ただ、覚えているのは、ほの温かいような、幸せな感覚。
「ま、なんかいい夢だったんじゃねえかな?」
その能天気な順平の言葉に、安心半分呆れ半分で美鶴が言う。
「とにかく決戦は近い。伊織、気を抜いているヒマはないぞ」
その言葉に、気の抜けた顔をしていた順平の表情が、 傍から見てて驚くほどに引���締まる。
「任せてください!オレ、やりますから!」
それは、迷いが消えた、何か決意を感じさせる表情。順平自身、自分でもわからぬほどの激しい意思が、心の底で熱く静かに燃えている。
「だから······見ててくれるよな、チドリ」
喪失感が大半を占めていた、チドリとの思い出。それがなぜか、いまは温かく心強いものとして、順平の心に刻まれていた。そして。
《······見てるよ、順平》
どこか遠くから、柔らかな笑顔とともに返事が聞こえたような。そんな気がした。
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isakicoto2 · 2 years
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つまさきになみのおと
そういえば、自分から電話することだって滅多になかったのだった。 ディスプレイに浮かぶ名前を、そっとなぞるように見つめる。漢字三文字、向かって右手側の画数が多いそれは、普段呼んでいるものよりもなんとなく遠くに感じる。同じ、たったひとりの人を指す名前なのに。こんな場面でやけに緊張しているのは、そのせいなのだろうか。うんと昔は、もっとこれに近い名前で呼んでいたくせに。本人の前でも、居ないところでだって、なんだか誇らしいような、ただ憧れのまなざしで。 訳もなく一度ベンチを立ち上がって、ゆるゆると力なく座り込んだ。ただ電話をかけるだけなのに、なんだってこんなに落ち着かないんだろう。らしくないと叱咤する自分と、考え過ぎてナーバスになっている自分が、交互に胸の中を行き来する。何度も真っ暗になる画面に触れなおして、またひとつ詰めていた息を吐き出した。 寮の廊下はしんと静まり返っていた。巡回する寮監が消していく共同部分の照明、それ以外は規定の中だけで生きているはずの消灯時間をとうに過ぎている。水泳部員の集まるこのフロアに関して言えば、週末の夜にはもう少し笑い声も聞こえてくるはずだ。けれど、今日は夜更かしする元気もなく、すっかり寝息を立ててしまっているらしい。 午前中から半日以上かけて行われた、岩鳶高校水泳部との合同練習。夏の大きな大会が終わってからというもの緩みがちな意識を締める意味でも、そして次の世代に向けての引き継ぎの意味でも、今日の内容は濃密で、いつも以上に気合いが入っていた。 「凛先輩、今日は一段と鬼っスよぉ」 残り数本となった練習メニューのさなか、プールサイドに響き渡るくらい大きな声で、後輩の百太郎は泣き言を口にしていた。「おーい、気張れよ」「モモちゃん、ファイト!」鮫柄、岩鳶両部員から口々にそんな言葉がかけられる。けれどそんな中、同じく後輩の愛一郎が「あと一本」と飛び込む姿を見て、思うところがあったらしい。こちらが声を掛ける前に、外しかけたスイミングキャップをふたたび深く被りなおしていた。 春に部長になってからというもの、試行錯誤を繰り返しながら無我夢中で率いていたこの水泳部も、気が付けばこうやってしっかりと揺るぎのない形を成している。最近は、離れたところから眺めることも増えてきた。それは頼もしい半面、少しだけ寂しさのような気持ちを抱かせた。 たとえば、一人歩きを始めた子供を見つめるときって、こんな気持ちなのだろうか。いや、代々続くものを受け継いだだけで、一から作り上げたわけではないから、子供というのも少し違うか。けれど、決して遠くない感情ではある気がする。そんなことを考えながら、プールサイドからレーンの方に視線を移した。 四人、三人と並んでフリースタイルで泳ぐその中で、ひときわ飛沫の少ない泳ぎをしている。二人に並んで、そうして先頭に立った。ぐんぐんと前に進んでいく。ひとかきが滑らかで、やはり速い。そして綺麗だった。そのままぼんやりと目で追い続けそうになって、慌ててかぶりを振る。 「よし、終わった奴から、各自休憩を取れ。十分後目安に次のメニュー始めるぞ」 プールサイドに振り返って声を張ると、了解の意の野太い声が大きく響いた。
暗闇の中、小さく光を纏いながら目の前に佇む自動販売機が、ブウンと唸るように音を立てた。同じくらいの価格が等間隔に並んで表示されている。価格帯はおそらく公共の施設に置いてあるそれよりも少しだけ安い。その中に『売り切れ』の赤い文字がひとつ、ポツンと浮き上がるように光っている。 ふたたび、小さく吐き出すように息をついた。こんな物陰にいて、飲み物を買いに来た誰かに見られたら、きっと驚かせてしまうだろう。灯りを点けず、飲み物を選んでいるわけでも、ましてや飲んでいるわけでもない。手にしているのはダイヤル画面を表示したままの携帯電話で、ただベンチでひとり、座り込んでいるだけなのだから。 あと一歩のきっかけをどうしても掴めない。けれど同時に、画面の端に表示された時刻がそんな気持ちを追い立て、焦らせていた。もう少しで日をまたいで越えてしまう。意味もなくあまり夜更かしをしないはずの相手だから、後になればなるほどハードルが高くなってしまうのだ。 今日は遅いし、日をあらためるか。いつになく弱気な考えが頭をもたげてきたとき、不意に今日の後ろ姿が脳裏に浮かんだ。途端に息苦しさのような、胸の痛みがよみがえる。やはり、このままでいたくなかった。あのままで今日を終えてしまいたくない。 焦りと重ねて、とん、と軽く押された勢いのまま、操作ボタンを動かした。ずっと踏み出せなかったのに、そこは淡々と発信画面に切り替わり、やがて無機質な呼び出し音が小さく聞こえ始めた。 耳に当てて、あまり音を立てないように深く呼吸をしながら、じっと待つ。呼び出し音が流れ続ける。長い。手元に置いていないのだろうか。固定電話もあるくせに、何のための携帯電話なのか。そんなの、今に始まったことじゃないけれど。それに留守電設定にもしていない。そもそも設定の仕方、知ってんのかな。…やけに長い。風呂か、もしくはもう寝てしまっているとか。 よく考えたら、このまま不在着信が残ってしまうほうが、なんだか気まずいな。そんな考えが浮かんできたとき、ふっと不安ごと取り上げられたみたいに呼び出し音が途切れた。 「もしもし…凛?」 繋がった。たぶん、少しだけ心拍数が上がった。ぴんと反射的に背筋が伸びる。鼓膜に届いた遙の声色は小さいけれど、不機嫌じゃない。いつもの、凪いだ水面みたいな。 そんなことを考えて思わず詰まらせた第一声を、慌てて喉から押し出した。 「よ、よぉ、ハル。遅くにわりぃな。あー、別に急ぎじゃないんだけどさ、その…今なにしてた? もう寝てたか?」 隙間なく沈黙を埋めるように、つい矢継ぎ早に並べ立ててしまった。違う、こんな風に訊くつもりじゃなかったのに。いつも通りにつとめて、早く出ろよ、とか、悪態の一つでもついてやろうと思ってたのに。これではわざとらしいことこの上なかった。 「いや…風呂に入ってきたところだ。まだ寝ない」 ぐるぐると頭の中を渦巻くそんな思いなんて知らずに、遙はいつもの調子でのんびりと答えた。ひとまず色々と問われることはなくて、良かった。ほっと胸を撫で下ろす。 「そ。それなら、良かった」 電話の向こう側に遙の家の音が聞こえる。耳を澄ませると、何かの扉を閉じる音、続けて、小さくガラスのような音が鳴った。それから、水の音、飲み下す音。 …あ、そっか、風呂上がりっつってたな。向こう側の景色が目の前に浮かぶようだった。台所の、頭上から降る白い光。まだ濡れたまま、少しのあいだ眠っているだけの料理道具たち。水滴の残るシンクは古くて所々鈍い色をしているけれど、よく手入れがされて光っている。水回りは実家よりも祖母の家に似ていて、どこか懐かしい。ハルの家、ここのところしばらく行ってないな。あの風呂も、いいな。静かで落ち着くんだよなぁ。 「それで、どうしたんだ」 ぼんやり、ぽやぽやと考えているうちに、水かお茶か、何かを飲んで一息ついた遙がおもむろに投げかけてきた。ハッと弾かれるように顔を上げ、慌てて言葉を紡ぎ出す。 「あー、いや…今日さ、そっち行けなかっただろ。悪かったな」 「…ああ、そのことか」 なるほど、合点がいったというふうに遙が小さく声を零した。 そっち、というのは遙の家のことだ。今日の合同練習の後、岩鳶の面々に「これから集まるから一緒に行かないか」と誘われていたのだった。 「明日は日曜日なんだしさ、���しぶりに、リンちゃんも行こうよ」 ねぇ、いいでしょ。練習終わりのロッカールームで渚がそう言った。濡れた髪のままで、くりくりとした大きな目を真っすぐこちらに向けて。熱心に誘ってきたのは主に彼だったけれど、怜も真琴も、他人の家である以上あまり強くは勧めてこなかったけれど、渚と同じように返事を期待しているみたいだった。当の家主はというと、どうなんだと視線を送っても、きょとんとした顔をして目を瞬かせているだけだったけれど。きっと、別に来てもいいってことなのだろう。明確に断る理由はなかったはずだった。 けれど、内心迷っていた。夏の大きな大会が終わってやっと一息ついて、岩鳶のメンバーとも久しぶりに水入らずでゆっくり過ごしたかった。それに何より、他校で寮暮らしをしている身で、遙の家に行ける機会なんてそう多くはない。その上、一番ハードルの高い『訪問する理由』というものが、今回はあらかじめ用意されているのだ。行っても良かったのだ。けれど。 「わりぃ、渚。今日は行かれねぇ」 結局、それらしい���当な理由を並べて断わってしまったのだった。ミーティングがあるからとか、休みのうちに片付けなきゃならないことがあるとか、今思えば至極どうでもいいことを理由にしていた気がする。 始めのうちは、ええーっと大きく不満の声を上げ、頬を膨らませてごねていた渚も、真琴に宥められて、しぶしぶ飲み込んだみたいだった。 「また次にな」 まるで幼い子供に言い聞かせるようにやわらかい口調につとめてそう言うと、うん、分かったと渚は小さく頷いた。そうして、きゅっと唇を噛みしめた。 「でもでも、今度こそ、絶対、ぜーったいだからね!」 渚は声のトーンを上げてそう口にした。表向きはいつものように明るくつとめていたけれど、物分かりの良いふりをしているのはすぐに知れた。ふと垣間見えた表情はうっすらと陰り曇って、最後まで完全に晴れることはなかった。なんだかひどく悪いことをしてしまったみたいで、胸の内側が痛んだ。 ハルは、どうなんだ。ちらりとふたたび視線をやる。けれど、もうすっかり興味をなくしたのか、遙はロッカーから引き出したエナメルバッグを肩に引っ掛け、ふいっと背を向けた。 「あ、ハル」隣にいた真琴が呼びかけたけれど、遙は振り返らずに、そのまま出入り口へ歩いていってしまった。こんなとき、自分にはとっさに呼び止める言葉が出てこなくて、ただ見送ることしかできない。強く引っ掛かれたみたいに、いっそう胸がちくちくした。 「なんか、ごめんね」 帰り際、真琴はそう言って困ったように微笑んだ。何が、とは言わないけれど、渚の誘いと、多分、先ほどの遙のことも指しているのだろう。 「いーって。真琴が謝ることじゃねぇだろ」 軽い調子で答えると、真琴は肩をすくめて曖昧に笑った。 「うん、まぁ、そうなんだけどさ」 そう言って向けた視線の先には、帰り支度を終えて集まる渚、怜、江、そして遙の姿があった。ゆるく小さな輪になって、渚を中心に談笑している。この方向からでは遙の顔は見えない。顔の見える皆は楽しそうに、ときどき声を立てて笑っていた。 「言わなきゃ、分からないのにね」 目を細めて、独り言のように真琴は口にした。何か返そうと言葉を探したけれど、何も言えずにそのまま口をつぐんだ。 その後、合同練習としては一旦解散して、鮫柄水泳部のみでミーティングを行うために改めて集合をかけた。ぞろぞろと整列する部員たちの向こうで、校門の方向へ向かう岩鳶水泳部員の後ろ姿がちらちらと見え隠れした。小さな溜め息と共に足元に視線を落とし、ぐっと気を入れ直して顔を上げた。遙とは今日はそれっきりだった。 「行かなくて良かったのか?」 食堂で夕食を終えて部屋に戻る道中、宗介がおもむろに口を開いてそう言った。近くで、ロッカールームでの事の一部始終を見ていたらしかった。何が、とわざわざ訊くのも癪だったので、じっとねめつけるように顔を見上げた。 「んだよ、今さら」 「別に断る理由なんてなかったんじゃねぇか」 ぐっと喉が詰まる。まるで全部見透かしたみたいに。その表情は心なしか、成り行きを楽しんでいるようにも見えた。 「…うっせぇよ」 小さく舌打ちをして、その脚を軽く蹴とばしてやる。宗介は一歩前によろけて、いてぇなと声を上げた。けれどすぐに、くつくつと喉を鳴らして愉快そうに笑っていた。 「顔にでっかく書いてあんだよ」 ここぞとばかりに、面白がりやがって。
それから風呂に入っても、言い訳に使った課題に手を付けていても、ずっと何かがつかえたままだった。宗介にはああいう態度をとったものの、やはり気にかかって仕方がない。ちょっとどころではない、悪いことをしてしまったみたいだった。 だからなのか、電話をしようと思った。他でもなく、遙に。今日の後ろ姿から、記憶を上塗りしたかった。そうしなければ、ずっと胸が苦しいままだった。とにかくすぐに、その声が聞きたいと思った。 寮全体が寝静まった頃を見計らって、携帯電話片手にひと気のない場所を探した。いざ発信する段階になってから、きっかけが掴めなくて踏ん切りがつかずに、やけに悩んで時間がかかってしまったけれど。 それでも、やっとこうして、無事に遙と通話するに至ったのだった。 「…らしくないな、凛が自分からそんなこと言い出すなんて」 こちらの言葉を受けて、たっぷりと間を置いてから遙は言った。そんなの自分でも分かっているつもりだったけれど、改まってそう言われてしまうと、なんとなく恥ずかしい。じわじわと広がって、両頬が熱くなる。 「んだよ、いいだろ別に。そういうときもあんだよ」 「まぁ、いいけど」 遙は浅く笑ったみたいだった。きっと少しだけ肩を揺らして。風がそよぐような、さらさらとした声だった。 「でも、渚がすごく残念がってた」 「ん…それは、悪かったよ」 あのときの渚の表情を思い浮かべて、ぐっと胸が詰まる思いがした。自分のした返事一つであんなに気落ちさせてしまったことはやはり気がかりで、後悔していた。いっつもつれない、なんて、妹の江にも言われ続けていたことだったけれど。たまにはわがままを聞いてやるべきだったのかもしれない。近いうちにかならず埋め合わせをしようと心に決めている。 「次に会うときにちゃんと言ってやれ」 「そうする」 答えたのち、ふっとあることに気が付いた。 「そういえば、渚たちは?」 渚の口ぶりから、てっきり今晩は遙の家でお泊り会にでもなっているのだと思っていた。ところが電話の向こう側からは話し声どころか、遙以外のひとの気配さえないようだった。 「ああ。晩飯前には帰っていった」 「…そっか」 つい、沈んだ声色になってしまった。何でもないみたいにさらりと遙は答えたけれど、早々にお開きになったのは、やはり自分が行かなかったせいだろうか。過ぎたことをあまり考えてもどうにもならないけれど、それでも引っ掛かってしまう。 しばらく沈黙を置いて、それからおもむろに、先に口を開いたのは遙の方だった。 「言っておくが、そもそも人数分泊める用意なんてしてなかったからな」 渚のお願いは、いつも突然だよな。遙は少し困ったように笑ってそう言った。ぱちりぱちりと目を瞬かせながら、ゆっくりと状況を飲み込んだ。なんだか、こんな遙は珍しかった。やわらかくて、なにか膜のようなものがなくて、まるで触れられそうなくらいに近くて、すぐ傍にいる。 そうだな、とつられて笑みをこぼしたけれど、同時に胸の内側があまく締め付けられていた。気を抜けば、そのまま惚けてしまいそうだった。 そうして、ぽつんとふたたび沈黙が落ちた。はっとして、取り出せる言葉を慌てて探した。だんだんと降り積もるのが分かるのに、こういうとき、何から話せばいいのか分からない。そんなことをしていたら先に問われるか離れてしまうか。そう思っていたのに、遙は何も訊かずに、黙ってそこにいてくれた。 「えっと」 ようやく声が出た。小石につまづいてよろけたように、それは不格好だったけれど。 「あ、あのさ、ハル」 「ん?」 それは、やっと、でもなく、突然のこと、でもなく。遙は電話越しにそっと拾ってくれた。ただそれだけのことなのに、胸がいっぱいになる。ぐっとせり上がって、その表面が波打った。目元がじわりと熱くなるのが分かった。 「どうした、凛」 言葉に詰まっていると、そっと覗き込むように問われた。その声はひどく穏やかでやわらかい。だめだ。遙がときどき見せてくれるこの一面に、もう気付いてしまったのだった。それを心地よく感じていることも。そうして、知る前には戻れなくなってしまった。もう、どうしようもないのだった。 「…いや、わりぃ。やっぱなんでもねぇ」 切り出したものの、後には続かなかった。ゆるく首を振って、ごまかすようにつま先を揺らして、わざと軽い調子で、何でもないみたいにそう言った。 遙は「そうか」とひとつ返事をして、深く問い詰めることはしなかった。 そうしていくつか言葉を交わした後に、「じゃあまたな」と締めくくって、通話を切った。 ひとりになった瞬間、項垂れるようにして、肺の中に溜め込んでいた息を長く長く吐き出した。そうしてゆっくりと深呼吸をして、新しい空気を取り入れた。ずっと潜水していた深い場所から上がってきたみたいだった。 唇を閉じると、しんと静寂が辺りを包んでいた。ただ目の前にある自動販売機は、変わらず小さく唸り続けている。手の中にある携帯電話を見やると、自動で待ち受け状態に戻っていた。まるで何ごともなかったみたいに、日付はまだ今日のままだった。夢ではない証しのように充電だけが僅かに減っていた。 明るさがワントーン落ちて、やがて画面は真っ暗になった。そっと親指の腹で撫でながら、今のはきっと、「おやすみ」と言えば良かったんだと気が付いた。
なんだか全身が火照っているような気がして、屋外で涼んでから部屋に戻ることにした。同室の宗介は、少なくとも部屋を出てくるときには既に床に就いていたけれど、この空気を纏って戻るのは気が引けた。 寮の玄関口の扉は既に施錠されていた。こっそりと内側から錠を開けて、外に抜け出る。施錠後の玄関の出入りは、事前申請がない限り基本的には禁止されている。防犯の観点からも推奨はできない。ただ手口だけは簡単なので、施錠後もこっそり出入りする寮生が少なくないのが実情だった。 そういえば、前にこれをやって呼び出しを受けた寮生がいたと聞いた。そいつはそのまま校門から学校自体を抜け出して、挙げ句無断外泊して大目玉を食らったらしいけれど、さすがに夜風にあたる目的で表の中庭を歩くくらいなら、たとえばれたとしてもそこまでお咎めを受けることはないだろう。何なら、プールに忘れものをしたから取りに行ったとでも言えばいい。 そうして誰もいない寮の中庭を、ゆっくりと歩いた。まるで夜の中に浸かったみたいなその場所を、あてもなくただ浮かんで揺蕩うように。オレンジがかった外灯の光が点々とあちこちに広がって、影に濃淡をつくっている。空を仰ぐと、雲がかかって鈍い色をしていた。そういえば、未明から雨が降ると予報で伝えていたのを思い出した。 弱い風の吹く夜だった。時折近くの木の葉がかすかに揺れて、さわさわと音を立てた。気が付けば、ほんの半月ほど前まで残っていたはずの夏の匂いは、もうすっかりしなくなっていた。 寝巻代わりの半袖に綿のパーカーを羽織っていたので、さして寒さは感じない。けれど、ここから肌寒くなるのはあっという間だ。衣替えもして、そろそろ着るものも考えなければならない。 夏が過ぎ去って、あの熱い時間からもしばらく経って、秋を歩く今、夜はこれから一足先に冬へ向かおうとしている。まどろんでいるうちに瞼が落ちているように、きっとすぐに冬はやってくる。じきに雪が降る。そうして年を越して、降る雪が積もり始めて、何度か溶けて積もってを繰り返して、その頃にはもう目前に控えているのだ。この場所を出て、この地を離れて、はるか遠くへ行くということ。 たったひとつを除いては、別れは自分から選んできた。昔からずっとそうだった。走り出したら振り返らなかった。自分が抱く信念や想いのために、自分で何もかも決めたことなのに、後ろ髪を引かれているわけではないのに、最近はときどきこうやって考える。 誰かと離れがたいなんて、考えなかった。考えてこなかった。今だってそうかと言えばそうじゃない。半年も前のことだったらともかく、今やそれぞれ進むべき道が定まりつつある。信じて、ひたむきに、ただ前へ進めばいいだけだ。 けれど、なぜだろう。 ときどき無性に、理由もなく、どうしようもなく、遙に会いたくなる。
ふと、ポケットに入れていた携帯電話が震え出したのに気が付いた。メールにしては長い。どうやら電話着信のようだった。一旦足を止め、手早く取り出して確認する。 ディスプレイには、登録済みの名前が浮かんでいる。その発信者名を目にするなり、どきりと心臓が跳ねた。 「も、もしもし、ハル?」 逡巡する間もなく、気が付けば反射的に受話ボタンを押していた。慌てて出てしまったのは、きっと遙にも知れた。 「凛」 けれど、今はそれでも良かった。その声で名を呼ばれると、また隅々にまで血が巡っていって、じんわりと体温が上がる。 「悪い、起こしたか」 「や、まだ寝てなかったから…」 そわそわと、目にかかった前髪を指でよける。立ち止まったままの足先が落ち着かず、ゆるい振り子のように小さくかかとを揺らす。スニーカーの底で砂と地面が擦れて、ざりりっと音を立てた。 「…外に出てるのか? 風の音がする」 「あー、うん、ちょっとな。散歩してた」 まさか、お前と話して、どきどきして顔が火照ったから涼んでるんだ、なんて口が裂けても言えない。胸の下で相変わらず心臓は速く打っているけれど、ここは先に会話の主導権を握ってしまう方がいい。背筋を伸ばして、口角をゆるく上げた。 「それより、もう日も跨いじまったぜ。なんだよ、あらたまって。もしかして、うちのプールに忘れもんしたか?」 調子が戻ってきた。ようやく笑って、冗談交じりの軽口も叩けるようになってきた。 「プールには、忘れてない」 「んだよ、ホントに忘れたのかよ」 「そういうことじゃない」 「…なんかよく分かんねぇけど」 「ん…そうだな。だけど、その」 遙にし���は珍しい、はっきりとしない物言いに首を傾げる。言葉をひとつずつひっくり返して確かめるようにして、遙は言いよどみながら、ぽつぽつと告げてきた。 「…いや、さっき凛が…何か、言いかけてただろ。やっぱり、気になって。それで」 そう続けた遙の声は小さく、言葉は尻切れだった。恥ずかしそうに、すいと視線を逸らしたのが電話越しにも分かった。 どこかが震えたような気がした。身体の内側のどこか、触れられないところ。 「…はは。それで、なんだよ。それが忘れもの? おれのことが気になって仕方なくって、それでわざわざ電話してきたのかよ」 精一杯虚勢を張って、そうやってわざと冗談めかした。そうしなければ、覆い隠していたその存在を表に出してしまいそうだった。喉を鳴らして笑っているつもりなのに、唇が小さく震えそうだった。 遙はこちらの問いかけには返事をせずに、けれど無言で、そうだ、と肯定した。 「凛の考えてることが知りたい」 だから。そっとひとつ前置きをして、遙は言った。 「聞かせてほしい」 凛。それは静かに押し寄せる波みたいだった。胸に迫って、どうしようもなかった。 顔が、熱い。燃えるように熱い。視界の半分が滲んだ。泣きたいわけじゃないのに、じわりと表面が波打った。 きっと。きっと知らなかった頃には、こんなことにも、ただ冗談めかして、ごまかすだけで終わらせていた。 ハル。きゅっと強く、目を瞑った。胸が苦しい。汗ばんだ手のひらを心臓の上にそっとのせて、ゆるく掴むように握った。 今はもう知っているから。こんなに苦しいのも、こんなに嬉しいのも、理由はたったひとつだった。ひたひたといっぱいに満たされた胸の内で、何度も唱えていた。 「…凛? 聞いてるのか」 遙の声がする。黙ったままだから、きっとほんの少し眉を寄せて、怪訝そうな顔をしている。 「ん、聞いてる」 聞いてるよ。心の中で唱え続ける。 だって声、聞きたいしさ、知りたい。知りてぇもん。おれだって、ハルのこと。 「ちゃんと言うから」 開いた唇からこぼれた声はふわふわとして、なんだか自分のものではないうわ言みたいで、おかしかった。 できるだけいつも通りに、まるで重しを付けて喋るように努めた。こんなの、格好悪くて仕方がない。手の甲を頬に当ててみた。そこはじんわりと熱をもっている。きっと鏡で見たら、ほんのりと紅く色づいているのだろう。はぁ、とかすかに吐き出した息は熱くこもっていた。 「あのさ、ハル」 差し出す瞬間は、いつだってどきどきする。心臓がつぶれてしまいそうなくらい。こんなに毎日鍛えているのに、こういうとき、どうにもならないんだな。夜の中の電話越しで、良かった。面と向かえば、次の朝になれば、きっと言えなかった。 「こ、今度、行っていいか、ハルの家」 上擦った調子で、小さく勢いづいてそう言った。ひとりで、とはついに言えなかったけれど。 「行きたい」 触れた手のひらの下で、どくどく、と心臓が弾むように鳴っているのが分かる。 無言のまま、少し間が開いた。少しなのに、果てしなく長く感じられる。やがて遙は、ほころんだみたいに淡く笑みを零した。そうして静かに言葉を紡いだ。 「…うん、いつでも来い」 顔は見えないけれど、それはひらかれた声だった。すべてゆるんで、溢れ出しそうだった。頑張って、堪えたけれど。 待ってる。最後に、かすかに音として聞こえた気がしたけれど、本当に遙がそう言ったのかは分からなかった。ほとんど息ばかりのそれは風の音だったのかもしれないし、あるいは別の言葉を、自分がそう聞きたかっただけなのかもしれない。あえて訊き返さずに、この夜の中に漂わせておくことにした。 「それまでに、ちゃんと布団も干しておく」 続けてそう告げる遙の声に、今度は迷いも揺らぎも見えなかった。ただ真っすぐ伝えてくるものだから、おかしくてつい吹き出してしまった。 「…ふっ、はは、泊まる前提なのかよ」 「違うのか」 「違わねぇけどさ」 「なら、いい」 「うん」 くるくると喉を鳴らして笑った。肩を揺らしていると、耳元で、遙の控えめな笑い声も聞こえてきた。 いま、その顔が見たいな。目を細めると、睫毛越しに外灯のオレンジ色の光が煌めいて、辺りがきらきらと輝いて見えた。 それから他愛のない会話をひとつふたつと交わして、あらためて、そろそろ、とどちらともなく話を折りたたんだ。本当は名残惜しいような気持ちも抱いていることを、今夜くらいは素直に認めようと思った。口にはしないし、そんなのきっと、自分ばっかりなのだろうけど。 「遅くまでわりぃな。また連絡する」 「ああ」 そうして、さっき言えなかったことを胸の内で丁寧になぞって、そっと唇に乗せた。 「じゃあ、おやすみ」 「おやすみ」
地に足がつかないとは、こういうことなのかもしれない。中庭から、玄関口、廊下を通ってきたのに、ほとんどその意識がなかった。幸い、誰かに見つかることはなかったけれど。 終始ふわふわとした心地で、けれど音を立てないように、部屋のドアをいつもより小さく開けて身体を滑り込ませた。カーテンを閉め切った部屋の中は暗く、しんと静まっていた。宗介は見かけに反して、意外と静かに眠るのだ。あるいは、ただ寝たふりなのかもしれないけれど。息をひそめて、自分のベッドに潜り込んだ。何か言われるだろうかと思ったけれど、とうとう声は降ってこなかった。 横向きに寝転んで目を閉じるけれど、意識がなかなか寝に入らない。夜は普段言えない気持ちがするすると顔を出してきて、気が付けば口にしているんだって。あの夏にもあったことなのに。 重なったつま先を擦りつけあう。深く呼吸を繰り返す。首筋にそっと触れると、上がった体温でうっすら汗ばんでいた。 なんか、熱出たときみてぇ。こんなの自分の身体じゃないみたいだった。心臓だって、まだトクトクと高鳴ったまま静まらない。 ふっと、あのときの声が聞こえた気がした。訊き返さなかったけれど、そう思っていていいのかな。分からない。リンは奥手だから、といつだかホストファミリーにも笑われた気がする。だって、むずかしい。その正体はまだよく分からなかった。 枕に顔を埋めて、頭の先まで掛け布団を被った。目をぎゅっと瞑っても、その声が波のように、何度も何度も耳元で寄せては引いた。胸の内側がまだいっぱいに満たされていた。むずむず、そわそわ。それから、どきどき。 ああ、でも、わくわくする。たとえるなら、何だろう。そう、まるで穏やかな春の、波打ち際に立っているみたいに。
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(2018/03/18)
両片想いアンソロジーに寄稿させていただいた作品です。
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mari8log · 3 months
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2024/02/05-2024/02/11
今週はストレスフルでなんにも手につきませんでしたわ。
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2024/02/06
立て続けに色違いミニリュウ。日頃の行いの良さ。スポットライトアワーで色違いが2匹出るのは珍しいんですのよ。嬉しいですわ。
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さや香が東京進出しちゃうらしいです。関西芸人層が薄くなっちゃうよ〜。
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2024/02/07
金曜日にガンダムSEEDの劇場版を観に行くわよ。特典がフィルムらしいのでイザーク様を当てたいわね。
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これは静岡県のアスランとイザーク様。
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2024/02/08
立て続けに初めて見る料理ができてハッピー。
と思ったらアプデで料理が増えていただけのようです。
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2024/02/09
初めて見たラッキースター。人生生きてるといいこといっぱいあるね。
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劇場版ガンダムSEED観に行きました!クロスアンジュ要素もマジェプリ要素も把握した!そりゃクロアンマジェプリ 言われるわ。
以下感想です。
ちなみに私のSEED歴は2019年にテレビ放送されていたHDリマスター版のdestinyを、20話あたりから最終話まで見た程度です。無印は総集編で使われていた映像部分以外は見ていません。
第一感想は「人めっちゃ死んでるやん!!!!」です。
核撃たれた時にまず肉体が燃える描写をやるのが細かくて(しかも丁寧に何度もそれをやる)、そんなとこリアルに描かんでも…になった。怖〜。
どうでもいいのですが、敵サイドが虐殺する時は細やかに人の命が散るシーンを描く癖に、終盤キラ達が宇宙に攻めて敵を駆逐してる時には最低限、ネームドキャラの犠牲描写しか無くて、映画を観る視聴者達への印象操作を垣間見てしまいズルいな〜になってしまった。まあ主人公サイドの殺戮なんて誰も見たくはないけど…ちょっと不公平じゃない!?
操られていたとはいえキラが民間人に核を撃たせるきっかけになっていたり、要人のラクスは優先的に逃げて代わりに民衆が核の犠牲になってたり、この二人、今後地球でまともに生きられるのだろうか……と心配になってしまった。暗殺・射殺・刺殺されても仕方ないレベルで大変なことやってるんですけど…。
ロボ戦描写・平井キャラデザ作画がめちゃめちゃ良くて目のビタミンでしたわ〜!マジェプリの作画監督だった佐光さんもいらっしゃってびっくり。どこ担当されてたんだろ。1箇所挙げるなら序盤ラクス様達4人?で歩きながら話してるシーンがマジェプリの作画っぽかったな〜と思いました。
私がマジェプリのケイちゃんやファフナーの芹ちゃんが好きだった関係でイングリットちゃんに肩入れしまくってイングリットちゃん死ぬな…!死ぬな……!になってた。死んだ。
でcv.桑島法子は生きるんかい!ただでさえ忙しいのに身内内でバトるな〜!でもアグネスちゃん、今回の映画の「必要だから愛されるのではない」を体現するために必要だったんでしょうね。たぶん。アグネス機のシールド攻撃めちゃめちゃ好きでした。ステラちゃんも出てきてくれて嬉しかったな。
ロボ素人なのでオルフェ機コードギアスみたいでかっこいい〜!シュラ機針師みたいで怖〜い!みたいな幼稚な感想しか口にできませんわ。
潤沢な資金・制作期間・最高コンディションで作られた平井久司作品が浴びられて良かったですわ。そして全曲良くて劇伴CDが欲しくなりましたわ。劇伴が欲しくなる作品は良いアニメですわ。
個人的に好きだった箇所は
・地球に降下する時十字のアイテムを使って大気圏に突入していたところ(マジェプリだと薔薇3とか格納庫を使わないと単騎降下できない)(みんなG耐性強すぎん?)
・アグネス機のチェーンソーみたいな近接戦闘用盾(超かっこいい)
・ルナマリアちゃんの機体が��ネルギー切れを起こした時にシン君機体がビーーッとビーム送って補給したところ(これもマジェプリで見たやつ!になった)
・ステラちゃん
・ムウさんがレクイエムなんとかするところ
です。
ルナちゃんの「私だって!」発言やシン君機体分身はスパロボで絶対使われるな〜と思いました。
ところでわたくし、
銀河機攻隊マジェスティックプリンスも続編が欲しいですわ〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!東宝〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!平井久司〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!
いつまでも待ってるわよ。
ただ、今回でわかったのは、自分が想定していたよりも大スクリーンにデカデカと映る市民の虐殺描写が苦手だったことですわ。
プロメアの時にも「これが描きたい主軸の話ではない」とわかっていても拉致・監禁・燃料材料描写で心がやられたのを思い出しましたわ。
制作スタッフや作中内のキャラクターは一度広島の原爆展示を見て核の恐怖をしっかり学んでほしいですわ。
SEEDは核撃ち込みストーリーが頻発しているせいか、市民虐殺シーンとか、キラ君の領土侵犯が引き金になっているところとか、命は平等と謳うラクス様が要人であるおかげで市民を背に核から逃げられているところとか、市民には言及無しでキラ君の安否しか口にしないとか……で怒ってる人間があまり見当たらなくて、単純に私が「向いてない」のかもしれないですわ。
いい感じの話を流されても「でも非特権階級民は高熱で焼き殺されてるし、生存者は今も放射線の汚染の激しい地域で苦しんでるんだよな…」と思ってしまい楽しめませんでしたわ。
原爆への理解や恐怖に理解があまり無ければ他のエンタメで気持ち良くなれたとは思いますわ。
(合わなきゃ見るなですわ。)(ほんまそれですわ。)
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ポスターと特典!
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2024/02/10
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買ってきた。かわいい。
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2024/02/11
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ダブル色違い!
エレキッドの色違いは取り損ねていたので嬉しいですね…!
R-1の決勝進出者発表もありました。ウエラン井口さん、中野なかるてぃん、こたけ正義感はみんな落ちちゃってヘコみましたが、以前タイタンライブで見た街裏ぴんくさん(芸歴20年!)や 昨年のファイナリストの寺田寛明さんサツマカワRPGさん、そして激ヤバアマチュアのどくさいスイッチ企画さんとみどころ漫才メンバーがファイナリストに!うわ〜楽しみ!!!!!
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thedevilsteardrop · 4 months
Text
二次創作
真宵街 @rust1cana
兄を元気づけてやりたいすよ、と 依頼人が言った。
いわく、
兄には一人娘がいたが、最近亡くなってしまった。
娘の声で兄を元気づけてやりたい。
要点としてはこの二つだけの依頼である。
問題は…、と、声色遣いは依頼人の様子を正面からじとり、見つめた。
オドオドと掘り深い目で声色遣いを見据える男は、布の少ない安価な洋服を着ている。痩せて隈の目立つ面立ちをしていた。そして今、妓女もつけずに遊郭の一室を借りている。
「……ただそれだけの依頼にしちゃあ、随分と金をかけてくださるんですね」
声色遣いはこの依頼を受ける気でいたが、なぜかといえば金が弾むからだった。多少のリスクがあろうとも金額の大きな仕事は受ける。しかし、聞く限り今回の依頼に「多少」もリスクもなかった。
不釣り合いに金額ばかり大きい。
「何か保険をかけておくべき事情でも?」
「そりゃあ、うちは大きな家だ、親族は…よそ様に顔向けできないことなどするなと…兄を騙したと知られたらまずい、誰にもだ。こう見えて、うちは結構金がある。兄を騙すことを思えば、安いもんだ」
「ははあ。そいつは失礼。こんな生業をしてるんで、騙しに慣れ過ぎてそれ自体が危ない橋なのを忘れていたようです」
にっこりとそう返した声色遣いに、依頼人は苦笑いを返してきた。
ーーー馬鹿正直に裏事情を話されたら、断ろうと思っていたが。
どうやらちゃんと小狡い依頼人らしい、と理解して、声色遣いは「承りましょう、手付金を先払いで四割」と手を差し出した。
さて依頼自体はいともあっさりと遂行された。
自働電話から依頼人が電話をかけ、何事かボソボソと話したのち、外で待たされていた声色遣いを招き入れ。声色遣いは電話口を代わったあと、あらかじめ仕上げていた声色で、決められた通りのセリフを言い、言い終わるや依頼人が受話器を取り上げた。それで仕舞いだったのである。
「これでご満足いただけたんで?」
「ああ。兄も喜んでた…生きてると思い込んで、はぐらかすのがちと大変だったが、まぁそういう落とし所にしとかねえと…。世話んなったな。残りの金は近日中に、使いのものが持って行く」
「左様ですか。よろしいですよ、お身内も伺っておりますしね」
依頼人の兄、その一族は、実際大層な富豪だった。身元ははっきりしている。
「では、ご依頼ありがとうございました」
「…この件は、よくよく内密にな」
「…ご心配なく。ご依頼人に関することは、すべて他言無用ですから」
最後に振り返りざま、念を押してきた男に、声色遣いは笑顔で答えた。
すっと笑みを引っ込め、軽く振っていた手を下ろす。
「そんなうまい話がありますか」
先程まで纏っていた軽薄な雰囲気は消え、だるそうにため息を吐くと、声色遣いはきびすをかえした。スタスタと。向かう先に迷いはなく足をはこぶ。
「近日中に口封じされちゃたまりません…先約になっておきましょう」
さっさと目当ての店に辿り着くと、ドンドンと普段ならしないような粗野な音を立てて戸を鳴らした。
「…はぃ…て、あんたかよ。何の用?」
カラリとすぐに戸が開いて、顔を出したのは、縫術師。
在宅だったことに内心ほっと安堵しつつ、声色遣いはまた軽薄な笑みを浮かべる。
「今日もお美しいですね、紡姉さん」
「いつになく雑な軟派文句だな。さようなら」
「紡姉さんにお尋ねしたいことがありまして」
閉められかけた戸をガッ!と片手で掴んで止める声色遣いに、縫術師は露骨に舌打ちした。
「なんなのよ…」
「賛辞がそぞろになってしまったのはご容赦を、今日は暇つぶしではない用件があるんですよ」
「早くそれを言ったら?」
「…中に入れてくださらないんで?」
「ここで済まないほどの面倒ゴトなら持ち込むんじゃないわよ」
すげない返答にため息をつき、気持ちばかり小声に落として、声色遣いは言った。
ーーー依頼人に関することは、他言無用。
ーーーただしそれは「職人同士」を除いての話だ。
「伏見、というお家から私との縁切りの依頼が入ったら、お断りしてくださいな」
「…伏見?」
「本日仕事で支払いに不安のある客が来たんですよ。踏み倒そうと思ったら私との縁を切りに姉さんに縋る可能性も…」
「そいつなら、先日既に依頼を受けたわ。伏見初子という女から」
「…なんですって?」
予想外の返答に、声色遣いは目を瞬かせた。この街に出入りする者で、身分なども加味して同姓の別人という可能性は、まず無い。
「伏見初子…当主の奥方ですね」
当主は依頼人の男の兄、という話だった人物だ。
「奥方ご本人がこちらへ?」
「ええ。しかも護衛一人だけを連れて、こっそりとね。けど、あんたとの縁切りじゃないわよ」
「そりゃあ先日切れてたら今日まで続いてるのはおかしいですものね。…誰と誰を切ったんで?」
「主人と娘の縁を」
「主人と…娘」
声色遣いが指先を口元にあてて思案顔になると、縫術師も今にも閉めようと構えていた戸から手を離して向かい合った。
「勿論、忠告はした。縁切りはどのように縁が切れるかわからない、とね。…まぁ奥方はご自身の縁を操作したわけでは無いから、他人事かもしれないわ」
「…その、主人と娘がどうなったか、姉さんはご存知で?」
「知らないわ。興味ないし」
この人はそういう人だったな。と思い、声色遣いは一度頷いた。
「ありがとうございました。まぁ、私の縁をいじろうとする輩がいたらあしらっていただけるようお願いしますよ」
「それがあんたの依頼なら、依頼料を持参することね」
言って、今度こそ声色遣いの鼻先でピシャンと戸が閉められた。
はたして、金はいつまでも支払われる様子が無いものの、声色遣いが自分の身に異変を感じることもなかった。
数日、数週待って、やれやれと重い腰を上げる。久方ぶりに街の外へと出かける支度をし、行き先は一方的に時間屋に押しかけて端書きを置いた。
いざ料金の徴収である。
伏見といえば名家であるので、人力でも頼めば住所を知っている。前払い分の四割を惜しみなく使い、屋敷の前まで運ばせると、立派な開き門の前へ立った。
一歩踏み入ればすぐ、使用人らしき者を見かけた。
「ごめんください」
声を掛けるとその人物は振り返り、何か用かという旨を丁寧な言葉で台本のように述べた。声色遣いもそれに倣い、丁寧に
「このお屋敷のご主人から頼まれた仕事の、見返りをまだ半分ほど受け取れずにおります。お取次をお願いしても?」
と述べる。
すると、使用人は顔色を変えて、目を伏せた。
続けて口にされた言葉にはこうだった。
「ご主人様は、先日身罷られました」
「…なんですって?」
「ちょっと、そこの者」
と、そこでまた別の人物の声が割り込んでくる。
妙齢の女声、そちらを見れば着物姿に結い髪の奥方が佇んでいた。手に手を繋いで、幼い少女も共にいる。
「何者です、この多用な折に」
「…。お初にお目にかかります、ご当主様の弟様よりご用命を受け、先日共に勤めさせていただいた者です」
「弟…旦那様のご兄弟は随分昔に出奔し、それきりでございます。その者といかなることを為そうと、私共には由縁のないことでございますわ。お引き取りください」
「…左様でございますか。では、失礼を」
食い下がっても心象を悪くするだけであろうと察し、声色遣いは一礼を残してその場を後にした。金が入らないのは少々不服ではあるが、実のところ、予想のついていたことであった。
街に戻って早々、縫術師の元へ訪れると、彼女は店の方に出ていた。
「姉さん」
「…いらっしゃい。今日は客として来たの?」
「いいえ、少々お伺いしたいことが」
声色遣いの言葉にチッ、とあからさまに舌打ちをしたものの、期待はしていなかったようで「で、何?」と縫術師はすぐに切り返した。
「また縁切りの話?」
「ええ。あれから、伏見の家の者は依頼をしてきませんでしたか?」
「…してきたよ」
「ほう」
驚いていなさそうな声色遣いの反応に、縫術師はうんざりしたように顔を背けながら言った。
「全く、あれから後になって伏見の奥方が文句をつけてきたのよ。夫と娘の縁が切れていないって…聞けば、電話越しに二人が会話したとか。…嘘つき屋、あんたのせいね?」
「あら、それは申し訳ない。私も予定の半額もいただけなかったんで、それで痛み分けということでお願いしますよ」
「痛み分けじゃないわそんなの。あんたが自業自得で私はとばっちりじゃない」
恨み言もなんのその、ニコニコと目を細めるばかりの声色遣いを一睨みした後、縫術師は
「今度は当主がやってきたわよ」と、
「娘と拐帯犯との縁を切って欲しい と言ってきた」
娘が拐かされて大層な額の身代金を要求されたそうよ、と。
答えた。
「…それで、切ったんで?」
「できなかったんでお引き取りいただいたわ」
「え?」
今度はしっかりと、驚いた様子で声色遣いの目が見開かれた。
「そうなんですか?できないとかあるんです?姉さん���」
「だってその当主様、犯人のことを一切知らなかったもの。私は依頼人が切ってくれと差し出した縁(いと)を切るだけよ。誰ともわからない相手との縁が切れるもんですか」
「それじゃあ、ご当主はなぜ亡くなったんでしょう」
「は、死んだの?あの人」
「そのようです。先程…」
と、声色遣いは伏見の宅へ訪れた出来事のあらましを語った。
「…ふぅん。ま、縁切りして一月経たないうちはどうだかわからないしね。良家のことだから、そのうち噂が耳に入るでしょ」
と一度背を向けた後で、そういえば、と縫術師はこう付け加えた。
「伏見の家の人間からじゃないけど、当主との縁を切りたいって依頼ならもう一件あったから、そっちのせいで死んだのかもしれないわ」
「かくかくしかじか、金が半分以上入らなかったわけなんですけれど、まぁ四割でも結構な大金を頂戴しましたし、落とし所ですかねえ」
「四割っていくらだったんだ」
ちゃぶ台に肘をついて行儀悪く茶菓子を摘む声色遣いに、時間屋が訊く。円台の縁をズイと乗り出して、声色遣いが耳打ちすると、時間屋の目が見開かれた。次に眉間に皺がよる。
「きな臭いにも程がある」
「でしょう。愉快です」
「こんな書き置きをしていきやがって」
ひらひらと、時間屋が指先で小さな端切れを揺らした。今朝出かける前に声色遣いが置いていったものである。
「内容の不明瞭な書き置きをするな」
「おや、気にかけてくだすったんです?お人がよろしいこと」
「茶化してないで、とっとと茶飲んで帰れ」
…追い出しもしないあたり、本当に人がいい、と思いつつ、声色遣いは湯呑みに口をつけた。
『出かけてきます、昼過ぎまで』ーーーと、書き置いたからには戻っている旨を知らせようと、時間屋の店に寄ったのだった。
「それで?表向きの話はもういい。どんな仕事だったんだ。茶の共にでも話せ」
悪ガキを咎めるような視線を送られ、声色遣いはわざとらしく台から身をそらして両手を上げた。
依頼に関することは他言無用。
ただしそれは「職人同士」を除いてだ、…この街で、能力者たちは皆が皆、共犯者であり共同体なのである。
「私は何も聞いちゃいませんよ。事情を知ってちゃ、幇助になっちまうでしょう」
「…幇助だのと言ってる時点で察してるだろうが。もったいぶらずに話せ」
「…拐かしですよ」
「…拐かし?」
「おや、拐かしをご存知でない。随分と平和ボケした…」
「茶化すなと言っている」
睨まれ、一度肩をすくめて声色遣いはまず
「姉さんが言ってました、ご当主からのご依頼で『娘と拐帯犯との縁を切って欲しい』とね」
と言った。
「でもできなかったそうです。相手が誰なのか差し出せるものが無さすぎたと。…しかしこれで娘の所在がわかりますでしょう」
「お前の依頼人は、その拐帯犯か」
「そうです。犯人は、拐かした娘を死なせてしまったから、生きているよう偽装したかった。でないと、身代金を要求できませんからね。それで私のところへ来たんです」
「なるほどな。大金を支払う積りがあったのは事実慮のある故と…身代金が入れば余裕な額だったということか」
「ええ」
「それが支払われなかったということは、身代金は受け渡されなかったのか?」
声色遣いは首を振った。
「いいえ。まず、そもそもね。誘拐犯の計画は初のうちに破綻してたんです。伏見の家は娘を見捨てていましたから」
「見捨てて…?」
時間屋は首を傾げる。
「金を払う気がなかったことを言ってるのか。娘と犯人との縁切りを頼んだとかいう」
「まぁそれもありますが…娘を真に切り捨てたのはご当主ではありません」
ご当主は、身代金より縁切りの方が安いと考えたものの、娘を取り戻す気はあったのだろう。縁切りは要求されたであろう身代金の額よりは、まだしも安価だ、と 声色遣いは考える。
金しか勘定ができないとは、命運のついていなさそうなご当主だ。ああ死んだんだったな。
「娘を見捨てたのは母親です。母親である奥方は、あわよくば人質がそのまま帰ってこなければいいと考えた」
「根拠は」
「奥方は娘と当主との縁切りを姉さんに依頼したそうですよ」
聞いて、「縁を安く勘定するとは…」と、声色遣いと似たようなことを考えたようで、時間屋の眉間の皺が濃くなった。
「伏見の現奥方は後妻だ。…継娘を切り捨てようと目論んでも、不自然ではないな。しかし縁は切れたものの、当主が死んだと…」
「え?いいえ、そこは順序が違います」
「順序?」
今度は声色遣いは、頷いた。ここが今回の要、というようにすっと人差し指を伸ばし、空を遊ばせてから己の唇へ触れる。
「そもそも、娘が死んだのが縁切りのせいなんですよ」
拐かされた娘、要求された多額の身代金
到底用意できない金額に頭を抱える当主、それをみて気を揉む奥方
後妻である奥方には実娘がおり、誘拐された継娘をこの機に切り捨てようと考えた、…
「拐かされた娘は縁切りをされて死んだ。全部ここからが始まりです。身代金を要求していた誘拐犯は、娘が切り捨てられたとは知らず、死んでは金が入らぬと思い私に依頼してきた。娘の声を電話口で聞かせるように…」
そしてご当主も、娘が死んでいるとは知らない。「拐帯犯との縁切り」を依頼していたのがその証左だ。奥方は奥方で縁を切ったはずの娘が電話口につながって驚き、縫術師に苦情を入れた。
結局、多額の身代金は支払われることになったのだろう。誘拐犯は、それを持って逃げた。
「全く、私への支払いも踏み倒すとは。けしからん輩です」
口先ではそう言いつつ、声色遣いの表情は軽薄に笑みを浮かべている。その表情に、時間屋は「まだ何かあるな…」と思いつつ疑問を口にした。
「…本当に、逃げ仰せたのか?金を払ったのに娘が帰ってこないとなれば、そこは大きな家なのだから、近隣に触れ込んで…あ」
言っている途中で気付く。声色遣いも何の気なしに外の景色を見るふりをして、視線で応えた。
平穏な夕焼けの街。
「なんの騒ぎにもなっていませんよね。娘が帰ってこないのに」
「…そいつも、縁切りをしたのか」
「ええ。仕上げです。先程、姉さんが教えてくれました」
ーーー当主との縁を切りたいって依頼ならもう一件あったから、そっちのせいで死んだのかもしれないわ…
「詳しく訊いてみたところ、姉さんにご当主との縁切りを依頼した人物は、私が記憶している『当主の弟』を自称した依頼人と同一人物です」
逃げおおせるために、誘拐犯がご当主との縁を切った。
「そっちはできるのか。当主が依頼した際は、拐帯犯との縁は切れなかったと」
「ご当主は誘拐犯のことを知らず、娘との縁切りができなかった。しかし誘拐犯はご当主のことを知っている」
そうしてご当主の死という結果に結びつき、現状の出来上がり。
「はい、これが私の出かけてきた未払い金の案件ですよ」
「胸糞悪い案件だな。人の縁を弄ぶにも程がある」
「案外、一番人を想うことを勘定に入れてたのは誘拐犯だったかもしれませんね」
それをカタに換金せしめんとしたわけだから。
「…だとしても、せっかく結ばれた縁を切るんじゃ 泡銭だろう」
時間屋が言って、声色遣いが湯呑みを空け、その場はお開きとなった。
後日。さして高くもない小さな崖の下で、男の死体が見つかったらしい。
大金をあたりにばら撒き倒れ伏した男は、足取りを遡るとどうやら伏見の娘を拐かして殺した極悪人だと判明した。
恐ろしいことよと噂する人々の声を、通りすがりに聞き取りながら、声色遣いは関心なさげに今日も遊郭へ入り浸り、縫術師は我関せずと着物の綻びを繕い、時間屋は機会がつつがなく時を刻むよう、調整に勤しんでいる。
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※縁切りの能力は必ずしも縁を切った者同士が死ぬ能力ではありません
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azakavrc · 4 months
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「……お前はバカなのか?」
彼……ISDF代表サリハの第一声はそれだった。
別の地区の見回りをしていた彼は仲間からの連絡を受け大慌てでここ、ウェストタウンの拠点に戻ってきた。
まるで戦場のような緊張感が拠点をぐるりと取り囲んでおり、サリハは軽く頭を抱えながら拠点内の応接室に入った。そこにいる来客……アルマ正教会教皇エルの姿を認め溜息混じりに吐き出した言葉がそれだ。
「お邪魔しております。……素敵なご挨拶ですね」
「生憎とお前のような御立派な暮らしなんて経験はないのでな。気に障るのならお引き取り願おう」
「いえ、ここだけの話……わたくしとて、畏まった対応ばかり受けるのは少々辟易しているのです。これは、内緒にしておいていただきたいのですが」
「……そうかい、じゃあ好きにさせてもらう」
「恐れ入ります」
「で、要件はなんだ?お前のようなヤツが茶を飲みにきただけということはあるまい?」
「此方のお茶は独特の風味でなかなか趣深い物で御座いますけれど」
コンコンっ
不意にノックの音がエルの言葉を遮り、
『お茶のおかわりをお持ちしました』
すぐ後を男声が追いかけてくる。
「アインスか。入れ」
「失礼します。……サリハさん、帰ってたンですね……って、ちょ、失礼ですって⁈」
茶器を乗せたおぼんを器用に片手で持ちながら扉を開けて男……アインスが入室する。
ソファに脚を組んで座るサリハの姿を見て目を白黒させている。
「寛大なお心でお許しいただけるそうだぞ」
「はい、構いません。アインス様もお座りくださいませ」
「俺もですか⁈……いや、俺はちょっと、まだ仕事がー……」
「なんだアインス。教皇様の頼みを無碍に断るのか?」
「アンタ絶対楽しんでるでしょ……」
「まぁまぁ。初対面というわけでもないのですから」
「その節は……まさか教皇様があんなところにいるとはつゆ知らず……とんだ無礼を……」
「おいおい教皇サマ。うちの部下をいじめないでやってくれないか」
「誰のせいですか誰の!」
「……うふふ……♪」
「……っとぁ、すみません……」
小さくなってサリハの横に座るアインス。相対する席で口元を隠し笑っていたエルが手を下ろす。その一動作だけで、室内の空気が変わった。
「……先日お送りさせて頂きました書状は、ご確認頂けておりましょうか」
「あぁ、スラムに教会を、とかいう例の件か。確かに拝読させてもらった」
https://discord.com/channels/1020297124434419722/1068114953753608262/1157536351915343923
「手の込んだ悪戯かとも思ったが、話をしたのがコイツで、確かに支援物資も資金も届いた。ご丁寧に教会の印章つきでな。信用しないわけにはいくまい」
「恐れ入ります」
「此方としては願ったり叶ったりではあるが……どういうつもりだ」
「……どう、とは?」
静かに圧を強めるサリハの言葉にもエルの態度は変わらない。ただ横で推移を見ているアインスだけが小さくなるばかりだ。
「あの書状を帝国ではなくこちらに寄越すということは、教会直々に我々の自治を認めたと捉えられかねん。まさかわからずにやったなどということはないだろう?」
「そうした方がよろしかったでしょうか?」
「当然、そうしていたらヤツらはこれ幸いとスラムの土地を接収しようとしただろう」
「然り。そのくらいの調査洞察は、この地を知らぬ……そうですね、“御立派な暮らし”のわたくし達とて可能です。なればこそ、地を知り人を知り、仁徳に満ちた英雄様にこそ打診を行うべきであると判断した次第に御座います」
「買い被り過ぎだが、信用には応えよう。お前ら教会が我々を裏切らないのであれば、我々が教会を裏切る事はない。誓おう……お前らの言う父なる神とやらは知らないが、俺の誇りに賭けて。こいつが証人だ」
急に指されてアインスは驚いて居住いを正す。
それを見てエルは微笑んで頷く。
「我々正教会は、人間が人間として正しく生きていく事をこそ肯定するものです。人は国に属するのではなく、国が人に属するのです。なればこそ、この地はあなた方の治める地。道理を通すべき相手はあなた方で間違いはないでしょう」
「そちらの意向はわかった。ならばここからは交渉の場だ。がっかりさせてくれるなよ」
「勿論。ご期待くださいませ」
若干緩んだ空気にアインスも内心でホッと胸を撫で下ろす。
「そうですね……まず、アインス様。この周辺の地図などありましょうか?」
「え?あ……はい、ちょっと待っててくださいっ」
急に声をかけられたアインスがバタバタと退席するのを見送り。
「此方から求める事は、
ひとつ、教会建設の為の土地の借用、
ひとつ、教会員の駐屯の許可、
ひとつ、教会管理下の隊商の通行、停泊の許可
それからもうひとつ……」
「もうひとつ?」
「建築した教会の管理者、指揮者として此方……ISDFから一名、任命して頂きたく思います」
「……ほう?」
「勿論、教会から補佐役として一名派遣を行いますが、基本的に建築した教会に付随する事物に関する采配の全権は、任命して頂いたその方に委任させていただきます」
「……お前は、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「はい。要するに……
教会建てる土地貸して
教会員が暮らすのを許して
ウチの隊商が通ったり休むのを許して
ついでに一人管理人役を出してくれ
です。そして、建屋の管理から搬入物資、人員、資金、土地活用に至る全権はその管理人役がやってくれ、とそういう要求です」
「……お前は、バカなのか?」
「はて?……あぁ、土地の借用費は搬入物資や資金から供出して頂くとして、教会員の生活費や隊商の消費した資源に関しては別途請求下さればご用意させて頂きます」
「そういう話ではない。……一体何を考えている?」
「何か問題がありましょうか?」
「これのどこが取引だというんだ。全く対等ではない……これでお前らは何を得る?我々を懐柔しようという腹か?」
「そうなれば僥倖では御座いますけれど、踏み台にされるだけでも此方としては十全。それ以上は“おまけ”のようなものです」
「……馬鹿げている」
「そうでしょうか。先程申し上げました通り我々正教会は、人間が人間として正しく生きていく事をこそ肯定するものです。そのために持てるものを捧げる。それこそが教会のあるべき姿です」
「…………」
沈黙が室内を満たす。
「……仕方ありませんね。此処だけの話としてお聞きくださいませ」
先に沈黙を破ったのは、エルだった。
そしてほぼ同時に。
 コンコンっ
「失礼します。すみません、お待たせしま……し、た……」
「ご苦労。座れ」
「はぃ」
入室したアインスが机に地図を置き再びサリハの隣に座る。
(サリハさん、なんか空気重くないですか……何があったンすか)
アインスが小声でサリハに問うもサリハは顎の動きだけでエルに話を促し答えない。
「……大戦により世界が被った被害……物質的にもそうですが、何より人心が負った傷は深く、目に見えぬ存在を信じる心を保てている方はそう多くはありません。されど、傷ついた心が救済を求めるのもまた必定。教会はそのような方に手を伸ばすのがその勤め……」
言葉を紡ぐエルも、それを受けるサリハも、仮面に隠れた顔から表情を窺う事はできない。
「現在の教会が持つ本質はその教えではなく、無国籍の人的ネットワークそのものです。実際に父なる神に信仰を持っている者は、騎士団を除けばごく僅かなのでしょう。わたくしもそれを理解した上で教会を指導する立場に就いております」
「……教皇様がそれ言っちゃうんですか……」
アインスが思わず溢した言葉にエルはゆっくりと頷き。
「事実を事実として受け止めぬほど愚かではないつもりです。されど、世の中は本音と建前を使い分ける事で安定して回るもの。それで救われるものがあるのならば、わたくしは、教会は喜ん��嘯きましょう」
アインスは先日補給物資を運んできた隊商を思い出す。教会の印章を刻んだ一団ではあったが、確かにその言動は教会のものと言うよりは商人や輸送屋のそれであったように思う。
「教会の教えに一切の真もないなどと申し上げるつもりは勿論御座いません。どちらも実であり虚であり、結局のところ目指すのは人間の平和と繁栄……そこに尽きるのですから」
「ふん……なるほどな」
「ご理解頂けたようで幸いです」
「此方としてはスラムの奴らが平和に暮らせるならお前らがどんな意図であろうと変わりはないからな」
「十全です。では、話を進めましょう」
「ああ」
「まず、立地に関してですが……」
アインスが持ってきた地図を広げて眺め、
「規則としてそれなりに広めの土地が必要になりますので、相応の場を借り入れたく存じます」
「使っていない土地自体は沢山あるが……」
「有事の際に避難所や防波堤としての役割を担う務めが御座います故……」
「防波堤?」
「はい。街や避難所に賊や根源生物が侵入しないよう、この教会の土地で万全の体勢で迎撃を行えるよう配備できるようにと」
「却下だ」
「……戦力は此方から駐屯させるつもりですが」
「尚更だ。資源のみならず防衛までお前らに委ねるほど俺たちは落ちぶれちゃいない。客は客らしく安全な場所にいろ」
サリハが地図を叩いて示す場所はウェストタウンのはずれではあるものの根源生物が多く観測される砂漠側からは遠い位置だ。
「畏まりました。では此方の場所をお借り致します。近日中に現地視察に人を派遣致します」
「そうしてくれ」
その後も話は速やかに進み、とんとん拍子に取り決めがなされた。
実建築にかかる際の人手借り入れの報酬、教会の規定に伴うワークショップや隊商の巡回周期、砂漠の遭難者や非常事態に備えたビーコン設備の取り付け、有事の際の避難所や臨時病床としての開放規則などなど、話す事は多数あったがつつがなく話は進められ、
「……事前に決めておくのはこれくらいで御座いましょうか」
「先に話していた管理者の件だが」
「はい。建築が終わる頃までに決めて頂ければと思います。……既に候補を絞られていますか?」
「アインス」
「はい?」
「お前がやれ」
「……はああぁ⁈な、なんですか急に⁈」
「アインス様がちょうど席を外していた時に出た話ですね。此方からの要求として、建築した教会の管理者をISDFから一名選出して欲しいとお願いさせていただきました」
「お前なら信用できるし悪いようにはしないだろうと判断した。やってくれるな」
「いや、まぁ……やれと言われればやりますが……いいんすか?俺、信仰心とか欠片もないですよ」
「いくつか守っていただきたい事柄は御座いますが、教会施設を自由に使う為の必要経費とお考え頂きましたら幸いです。勿論、無理にやれと申し上げるつもりは御座いません」
「え、自由に……って、どういう事ですか……」
「後で説明してやる」
「なんかめちゃくちゃ重要な事をさらっと押し付けられてる気がする……」
「正式な決定に関しては、先に申し上げました通り、建築完了までにお知らせ頂ければ重畳です。説明を受けてからご決断ください」
「あー、いや。サリハさんが俺なら信用できるって任せてくれるンですよね。なら、期待には応えますよ」
「話が早いのは助かりますが……押し付けたようで、少々申し訳なくも感じますね……」
「最終的に俺が自分で決めたんで。気にしないでください」
「……畏まりました。では、補助役の選定を急ぎます。建築完了前に此方に向かわせるよう手配を致します」
「お願いします」
ちょうどその時、扉をノックする音が室内に転がり込む。
『教皇様、そろそろ……』
室外で待機をしていた侍女の恐る恐るといった声がその後を追う。
「すぐ向かいます。あなたは出立の支度を」
『畏まりました』
「……申し訳ありません。この後も予定が御座いますゆえ、これにて」
「ああ。無事に生きていたらまた会おう」
「その日を心待ちにしております。では、皆様に、父なる神の祝福のあらんことを」
エルが退室したのを見送り、アインスは大きく息を吐きソファに体を沈み込ませた。
「はあー……なんかとんでもないことになった気がする……」
「ふ。期待している。俺もまだ予定が残っているから、あとの片付けは頼むぞ」
「あ、はい。了解です」
部屋を出たサリハの指示で、拠点を囲んでいた隊員は速やかに任務に戻っていく。
慌ただしい昼下がりを抜けて、スラムの日は続く。
    幕。
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animekirbyserifu · 5 months
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デデデその4
31話 ・「ダーッハハハ!人民共への勤労感謝の印ぞい。」 ・「ご町内の皆様~デデデ大王より嬉しいお知らせぞい(カービィに向かって拡声器で叫ぶ)。」 ・「愚かな人民共に次ぐぞ~い!ホレ(エスカルゴンに拡声器を渡す)」 ・「ダーハッハッハハ!誰でも楽しいアトラクションと、グルメを楽しめるぞい!ワシは愛とボランティア精神に目覚めたぞい。カービィくんは特に大歓迎ぞい。」  ・「パーム大臣、今日は人民にたっぷりサービスぞい。」 ・「ではオープンぞい!」 ・「さぁ皆!グルメとショッピングでレッツエンジョイ!」 ・「デュハハハハハ!(テーマパーク)金をかけた甲斐があったぞい。」 ・「デュハハハハハ!(フーム達が)恐怖に喘いでいるぞい!」 ・「デュハハハハハ!諸君、よく来たぞい。デュハハハハハ!そこは健全娯楽の入口ぞい!(大嘘)つまり(『ホーンテッド・シャトー』とは)お化け屋敷ぞい。」 ・「(『デデデ大王像』に監視カメラを破壊されて)エスカルゴン!これでは肝心なところが見られんぞい!」 ・「(監視カメラが)映った?あ…大王像が大往生。クソー!こうなれば新しい魔獣ぞい!」 ・「直ちに安くて強い魔獣をサービスするぞい。ワシはお客様ぞい!神様ぞい。」 ・「ウォーキー?コイツはどんな技を使うぞい?」 ・「ダーハッハッハッハ!レッツカラオケぞい!」 ・「デーデデデッデ!デーデデデッデ!(「陽は、また昇る」の出だしのリズムに似てるが、2002年当時はこの曲はリリースされていない)喉に自身のあるものは来たれぃ!」 ・「それと1年分のスイカぞい!(パームのセリフのあとに)」 ・「フフフ…期は熟した。さぁカービィめ、歌うぞい。おい!(カスタマ)スイカを見せろ!」 ・「ダハハ!ついにカービィを追放したぞい!」 ・「(マイクカービィの歌で)こ、鼓膜が破れるぞい!」 ・「あぁ酷い目に遭ったぞい…。」
32話 ・「ほう…(ボルン署長が病院から飛び出す様子を見て)ダーッハッハッハ!歯の治療というのはかなり痛そうぞい。な、エスカルゴン?」 ・「ダーッハッハッハ!人が苦しむのを見るのは実に楽しいもんぞい!でヤブイ、コイツの歯はどうぞい?」 ・「景気よくやるぞい。(全部歯を抜くのが嫌なら)ではドリルで徹底的にほじくるぞい!」 ・「ダーッハッハッハッハ!エスカルゴンめ、散々甘いものを食べた報いぞい。」 ・「にゃははは~!ワシの歯はプラチナの如く極めて丈夫ぞい。ほれぃ~(歯を磨いてないのに何故かキレイな歯を見せる)。」 ・「キャンディーにチョコレートに、キャラメルにクッキーに、あ!シナモンロールにメロンパンも良いぞい。へへへへ…1人で全部食べるぞい。好きなものが食べられないからひがんでるぞい。ついにキレたぞい。」 ・「こんなもの使っても虫歯になるヤツはなるぞい。いたんだ…他人の不幸こそ最高の娯楽ぞーい!ハハハハハハ!」 ・「大王は~歯が命~人民共も~こ~れ~で~し~ろい歯~を~ゲットぞい~(デデデスペシャル歯磨き粉のCM)。」 ・「(エスカルゴンに歯を磨けと言われて)そーゆー貴様は何だ、説得力のない忠告ぞい!さーて寝るぞい、クッチャネか~。安眠妨害ぞい!(枕を投げつける)」 ・虫歯菌「おっかさんの為ならエイコ~ラ♪もひとつおまけにエイコ~ラ♪親父の為ならエイコ~ラ♪(繰り返し)」 ・「なに~歯医者だと~!?嫌ぞい!歯医者は嫌ぞい!嫌だったらヤダぞーい!(子供か)」 ・「貴様はあんなに痛がってたぞい!愚かな人民共ならいざ知らず、こんな見え過ぎた嘘に騙される、このデデデ大王様ではないぞい!」 ・「だー!やっぱり嫌ぞい!(装甲車から降りて逃げ出す)あー何するぞい!貴様それでもワシの部���か!?(これに対してエスカルゴンは「はい」と即答している)戻せ!返せ!バカ!バカ!」 ・「(ブンに対して)そっちこそ先に見てもらうぞい。キッズファーストぞい、子供は痛みを我慢できん故…。虫歯に大王も子供も関係ないぞい…。」 ・「ワシは帰る…もう歯は痛くないぞい(ブンが削られてる様子を見て)。は、反逆罪で逮捕ぞい!」 ・虫歯菌「ドリルだ~!退避退避~!」 ・「貴様なんぞに診てもらうのはごめんぞい!痛み止めの薬があるはずぞい!(戸棚の鍵を無意味に破壊する)瓶~あった~!お~!痛みが引いていく!こうなればワシは薬で治すぞい!(※痛み止めを一度に大量摂取すると、かえって体調不良の原因になる可能性があるので、絶対に真似しないでください)」 ・「ワハハハハ!全然平気ぞい!痛み止めのおかげで痛くもかゆくもないぞい。」 ・虫歯菌「さぁそろそろ行こうかぁ?」 ・「それよりどうすれば痛みが取れるか考えるぞい。この!薄情者!(エスカルゴンを殴る)」 ・「もう勘弁ぞ~い!日頃の恨みを晴らす気か~!(先ほどと同じく、エスカルゴンは「はい」と即答している)」 ・「本当だ!逆療法が効いたぞい!今までで一番痛いぞい…こ、こうなったらー!」 ・「前置きは良いから、腕の良い歯医者をよこすぞい!他にどんな歯医者がいるぞい!」 ・「(ハーデーを見て)麻酔なし?そんなの聞いてないぞい!(そりゃ単に「歯医者をよこせ」って言っただけだし)」 ・「デンタル魔獣『ハーデー』ぞい!麻酔なしは嫌ぞい!」 ・「(フームの真似をして)カービィ、吸いこみよ。」 ・「ハーデーに歯を全て抜かれてしまえ!」 ・「く~、歯は痛いわ魔獣は負けるわ…。」
33話 ・「(フームにゴミを不法投棄したと言われて)ドゥハハハ!ワシはこんなもの知らんぞい。ワシのサインでもあれば話は別だが…よーく見るぞい!どこにもそれらしきものはないぞい!うわぁ!(ゴミの山からタイヤを引っこ抜いて埋もれてしまう)」 ・「(エスカルゴンに風呂を覗かれて)覗くな!ゴミはどうなったぞい?」 ・「あーさっぱりした。ゴミは二度とゴミんぞい。」 ・「ワ、ワシの神聖な庭にゴミを持ち込むとは許せんぞい!このゴミは分別されておらんぞい!(環境破壊の王者が何言ってんだ)」 ・「ダハハハ!城に捨てなければ構わん。大いに困るが良いぞい。」 ・「くさいぞいくさいぞい!ワシは臭いの嫌いぞい!」 ・「話が全然違うぞい!よし、では引き続き捨てるが良いぞい!」 ・「あと10回も捨てられては、プププランドはゴミの星になってしまうぞい!(代金を払うのは)それだけは嫌ぞい!」 ・「こうなったら、ゴミを燃やす魔獣をハッキングぞい!」 ・「(ファイアーライオンに飛びつかれても、何もなかったように立ち上がり)歩く焼却炉だぞい!」 ・「ファイアーライオン!ワシがついてる!負けるでないぞい!」 ・「ワ、ワシは知らんぞい!」 ・「実は、ワシがやつらに帰るよう命令しておいたぞい!(大嘘)」
34話 ・「ついに文明の波が押し寄せたぞい!」 ・「コックオオサカ、是非ともそなたへ城に招待するぞい。何日泊まっても結構、その代わりそなたの料理の腕を見せてもらうぞい。」 ・「エスカルゴン、(カワサキの肉じゃがを)少しだけ食べてみるぞい。どれ…?う~ん、これぞ奇跡ぞい!(カワサキの料理が美味いのは)信じられんが現実ぞい!」 ・「食べるんならこいつが良いぞい!(エスカルゴンを盾にする)」 ・「SOSぞい!魔獣ダウンロード!」 ・「ワシは高い金を払って、カービィにポップコーンを買ってやったワケかぞい?」
35話 ・「おーのれー!許さんぞーい!」 ・「(自分用のレーシングカーを見て)この豪華さはワシにピッタリぞい。」 ・「走る魔獣か…これからワシの専用車にするぞい。ドゥワハハハ!(※この回以降、例の迷彩柄の装甲車は登場しなくなります)」 ・「デュワハハハ!どうぞいワシの(車の)マシンは。このマシンと勝負しようという愚か者共よ…かかってくるぞい!(ただし運転はエスカルゴン)」 ・「メンバーは既に絞られたようぞい!手を打ってある、今夜が楽しみぞい!」 ・「(メタナイトの飛び入り参加に対して)アイツめ、いつの間に…。」 ・「(メタナイトが裏切ったら)そのときは容赦なく、このマシンが威力発揮ぞい。」 ・「アデュースカービィ!(ミサイル発射)」
36話 ・「(メタナイトに対して)逆らうでないぞい!(メタナイトも味方だし)楽しいレースになりそうぞい。」 ・「(観客のブーイングに対して)ありがと~!」 ・「これでもくらうぞい!(ギロチンで木を伐採してカービィにぶつけようとする)おのれ~、次はこれぞい!(爆弾を投げつける)」 ・「トドメぞい!(まきびしを出してカービィとブンの車をパンクさせる)こうなると嫌でも優勝ぞい!」 ・「(カービィを海に突き落として)カービィめ、これでしばらくは戻ってこれまい。」 ・「よし、遠慮はいらんぞい(遠慮したことなんてねーだろ…)。ダハハ、これからぞい。さよならぞい(フーム達に煙幕とオイルで攻撃する)。」 ・「(カービィの進路を塞ぐメタナイトに対して)良いぞメタナイト。なぬ…メタナイト追うぞい!」 ・「(メタナイトと共にカービィを挟みうちして)またサンドウィッチぞい!」 ・「いくぞ!最後の大仕掛け!ぞい!(地割れトラップ)」 ・「(宇宙艇で飛ぶカービィに対して)く~そんなのアリかぞい!?」 ・「かくなる上は…手段を選ばんぞい!」 ・「ゴールはすぐそこぞい!ダハハ!やっぱりワシが優勝ぞい!」 ・「このレースは無効ぞい!ワシはこんな終わり方を絶対に認めんぞい!」 ・「マイカーイズバラバラ…。」
37話 ・「(カービィを盗撮しながら)グフフフフフ…食いたいだけ食うが良いぞい!お、動き出したぞい。追うぞい!カービィめ、逃がさんぞい!」 ・「グフフフフ…ワシはどこまでも真実を追求するぞい。」 ・「地道な取材を続ければ、今に大罪を犯すぞい。行くぞい!」 ・「(撮ったカービィの動画を見ながら)今のところ巻き戻すぞい!まぁ見るぞい。こうするとカービィがコンビニで盗み食いをしたように見えるぞい。これぞワシの発明『モンタージュ理論(モンタージュ理論とは複数の動画を繋げることで、新たな意味が生まれる理論である)』!」 ・「(ボルン署長を撮影しながら)お前は注目の的ぞい!」 ・「取材班はこれからもカービィの犯行現場を追い求め、報道していくぞい!明日も見るぞい!デュワハハハ!」 ・「(CM中ならフェイクニュースであることがバレないし)今ならいくら喋っても良いぞい。」 ・「見れば分かるぞい。(カービィのせいで)皆が迷惑しているのも確実ぞい。」 ・「まさにブラックホール!この食欲が犯罪の元ぞい!(大量の食べ物を吸いこむカービィを見て)」 ・「許せーん!ぬぬぬぬぬぬぬ…こんな新聞作りおって…!(新聞『プププタイムス』の内容を見て怒り、踏み潰す)ワシも新聞を発行するぞい!『デデデミラー』ぞい!」 ・「驚くのは早い!『デデデミラー』は朝だけじゃなく、昼も夜も届くぞい!」 ・「(夜中に)一体何ぞい!」 ・「デデ?お前(カービィ)はまだ用があるのか?」
38話 ・「エスカルゴン何をしているぞい?」 ・「(小説を読んでいると言われて)なにぃ!?面白いのかぞい?」 ・「それは2人だけの秘密ぞい!」 ・「アホかアホか~、お前はアホちゃうか~、ダンシングキングぞ~い!今日も楽しいお笑いコントショ~!(チャンネルDDDのコント)」 ・「ダハハハハハハ!傑作なツッコミぞい!ワシは喜劇の王様ぞい!(エスカルゴンがやってきて)やかましい!何事ぞい!(チャンネルDDDが視聴率0と聞いて)なにぃ~?こんな面白い番組がゼロ~?これは何かの陰謀ぞい!徹底的に真相を究明するぞい!」 ・「分かっとる。何でみんな同じ本を読むぞい?ミリオンセラー?何ぞい?(自身の番組がアホくさいと言われて)それは言える。」 ・「(愚かな人民共の会話を聞いて)うむ~、けしからん。(例のパピポテ本は)どこで売ってるぞい?」 ・「ビブリよ、ワシはデデデ大王ぞい。特別にワシに売るぞい(はたきで叩かれる)。あっそぉ…あー!空飛ぶ円盤だぞい!」 ・「これがミリオンセラーか。ワシが先ぞい!どれどれ…。なんじゃこりゃあ!こ、この本は挿絵が1枚もないぞい!(単にデデデがめくったページに挿絵がなかったのか不明だが、流石に挿絵の1枚ぐらいはあるでしょ…)見ろ、全部字だぞい!バ…バカモン!字ぐらい読める!嘘だと思うなら、ビデオで確かめるぞい(11話参照)。絵の本が好きなだけぞい!字は面倒だからお前が読めば良いぞい。」 ・「聞こえるように大声で読め!(エスカルゴンを殴る)待つぞい!待つぞい!ゲス!ゲスタポ!エスカルゴーン!どこぞーい!」 ・「何としても続きを知りたいぞい!パピー・ポッティはどうなるぞい!(不審者の如く窓を除く)あんな子供まで…しかし、聞くのは余りに恥ずかしいぞい。」 ・「あのガキ共が羨ましい…ここではよく聞こえんぞい(茂みに隠れる)。う~む魔法学校か…。(ブンの発言を聞いて)なに~大人でも読み終わったものはいない?」 ・「パピポテの本は全て村から没収するぞい!デュワハハハハ!」 ・「今日より書かず・読まず・持ち込まずの『非・書く三原則』ぞい!デュワハハハ!(書く要素1つしかないじゃん…)」 ・「この本は本日をもって、非合法図書に指定されたぞい。」 ・「このパピポテ本は反デデデ思想ゆえ、処分するぞい!お前らは永遠に物語の続きを知ることはないぞい。ワシは初めから絶対権力者ぞい!デュワハハハ!」 ・「デュワハハハ!一冊だけ残してあるぞい!これは誰にもやらんぞーい!」 ・「デュワハハ!原作者がワシの為に本を読んでくれるぞい。(ローリンに小説の内容を村の皆にも話すと言われて)何!?それはダメぞい!」 ・「デュワハハハ!ようこそデデデ魔法学校へ。ワシがデデデ校長ぞい!(話の続きを教える約束は)本当だぞい。そしてもっとすごいプレゼントもな。」 ・「では生徒諸君、我が魔法学校の先生を紹介する。『パピー・ポッティ』の原作者であるところの、ローリン先生ぞい!」 ・「ここは魔法学校ぞい!皆も空を飛ぶぞい!」 ・「本物の原作者のサインをくれぞーい!(図々しいにも程があるだろ…)ワシだってすっかり騙されておったぞい。な、エスカルゴン?」 ・「だけど必ず挿絵も入れるぞい?」 ・「このプププランドにたった1冊の原作者サイン入りぞい。これ…これでローリンと読むのかぞい?」
39話 ・「カタログナンバー02T6、来るぞい来るぞい、とてつもなく凶暴な魔獣が!何ぞい?今のは…。」 ・「寝不足ぞい…。(エスカルゴンを見て)アレは何者ぞい?お前は誰ぞい!見かけない顔だが、お前どこから来たぞい?馴れ馴れしいジジイめ…ここで何をしているぞい!知らぬジジイに世話される筋合いはないぞい!とっとと出てゆけ!(エスカルゴンが高齢であることが分かるセリフ)陛下陛下と馴れ馴れしく呼ぶな!兵士ー!(ワドルドゥ達を呼ぶ)このジジイをつまみ出せ!」 ・「誰だかさっぱり分からんぞい!」 ・「ダハハハ!ワシは何でこうカッコいいぞい?モデルの誘いに来ないのが不思議ぞい!ん?何でワシとこのジジイが一緒に写っているぞい?何でこんなにあるぞい?これはどうもおかしいぞい。」 ・「なに、(魔獣を)送った?『ボウキャック』?何でも良い、ワシが頼んだのは凶暴な魔獣ぞい!ボウキャックも何も届いてないぞい!(お前が気づかなかったんだろ…)」 ・「うるさいぞい!お前ら何しとるぞい!これエスカルゴン!こんなところで遊んでおって…けしからんぞい!(ハンマーで殴る)」 ・「エルカルゴン!あれには高い金を払ったぞい!取り戻すぞい!」 ・「待て待てー!そいつはワシのものぞい!」 ・「新しい魔獣ぞい!(ボウキャックに憑りつかれたカービィを見て)」
40話 ・「朝の風呂は良い気分ぞい。」 ・「(風呂から上がって)良い風ぞいエスカル~ん?���ぞい!(ザコ魔獣軍団がやってくる)」 ・「(何を注文したのか聞かれて)何もしとらんぞい!カ、カスタマーサービス!」 ・「ナックルジョーがナイトメア社の(社員だと)?お前なんか嫌いぞい!」 ・「ワシだけのため?まぁこの魔獣共がタダなら許すが?」 ・「…では、(ナックルジョーは)ワシの命令も聞くのかぞい?よし、ではワシら以外の連中を徹底的にイジメるぞい!」 ・「(フーム達に対して)こやつはホーリーナイトメア社のサラリーマンになったぞい!」 ・「ダハハハ!こいつは愉快ぞい!おう、頼むぞい!エスカルゴン、村の様子を高みの見物といくぞい!」 ・「こんなにたくさんの魔獣がタダとは大儲けぞい。あのピンクボールのザマを見るぞい!良い気味ぞい!ダハハハハ!」 ・「(ナックルジョーの詐欺を警戒するエスカルゴンを見て)クソォ!ナックルジョーめぇ!」 ・「(ザコ魔獣のダウンロードが)どうにも止まらんぞい!ジョー!金は払わんぞい!(最強魔獣と聞いて)さ、最強?」 ・「確か、最強魔獣と言ったぞい。(マッシャーを見て)おお!これが最強魔獣!すごいぞい!」 ・「今日こそカービィの命日ぞい!」 ・「メタナイトが(マッシャーに)やられたぞい!」 ・「(マッシャーを攻撃したジョーに対して)これはどういうことぞい!ナックルジョー!」 ・「ダーッハッハッハッハ!お前は頭が良いぞい!」 ・「ナックルジョー!これで済むと思っているのかー!マッシャー!遠慮はいらんぞい!2人とも粉砕しろー!」
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siteymnk · 6 months
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赤盤2023の感想を羅列。 ・所謂MAL音源というのはパート毎に分離できるメリットと裏腹に、音質が犠牲になるっぽい。特に最初期の音源はザラザラ感が増えて、この頃に特有の自然なエコー感というかプリミティブな音抜けの良さ、みたいなものがかなり消えてる。人工感が半端なく、特にドラムの音の作り物っぽい感じがひどい。
・曲によって印象の良し悪しにバラツキがある。From Me To Youはこれまでの印象を保ちつつクリアにワイドになってる感じで好印象。一方、She Loves Youは全然ダメ。初期シングル曲は音像もバランスも曲によってマチマチになってしまった。
・I Want To Hold Your HandはOK、This Boyはダメ。All My LovingはOK。
・初期曲のボーカルダブル・トラックは、同一ラインで重なってるからこそ太く際立つ効果を出していたのに、物理的に分離できたからってそれを左右に広げて配置したら元も子もないんじゃないか。音像は広がった、だから何なのだ?という感じ。バカなことをしてくれた。
・なぜRoll Over Beethovenが新規追加?(カバー曲だし)、と一瞬思ったが、初期ビートルズにおいてジョージが最高に輝いていた曲だったと言えるかも知れない。特にライブでは歌にギターに大活躍の曲だ。他にジョージ的な曲が無い、ってのもある。
・三声コーラスもボーカルごとにバラかして再結合させたんだろうか。三位一体の固まりでドンとぶつかってくるようなハーモニーのパワーが薄くなっている。Yor Really Got Hold On Meとか。
・やっぱドラムの音に癖があるなあ。MALで抜き出した音源に特徴的な、変に人工的な音。嫌なクセを感じる。
・You Can`t Do Thatはリズム隊を強化したつもりなんだろうけど、結果ボーカルが引っ込んでしまった。サビの三声ハーモニーのパワーダウンは犯罪的ですらある。
・A Hard Day`s Night、なんだか面白い結果になっている。ボンゴがハッキリ聞こえるようになって、よりコミカルというかバタバタ大騒ぎ感がアップしている。そもそもオリジナル音源は混然一体の極みのようなミックスだったので、整理されて丁度良くなったのかも知れない。ただし、シンバルの音はかなりダメ。
・And I Love Herは殆ど変化なし。クリアになってポールのメランコリックな感じがより明確になった。一方、ボーカルの高域成分が消えちゃってる。元々なかったのかも知れなくぃが、少なくとも欠落が目立つ。これまでは脳内補完してたんだろうか。
・ドラムの音の嫌な感じは、Revolverのリミックス版で感じたそれと同じだ(という事に気付いた)。その嫌さが目立つ曲とそうでない曲がある。バスドラムがはっきり聴こえるようになった結果、印象が変わってしまった曲も多い。ミックス変わって印象が変わった、というのは是なのか否なのか。
・I Feel Fineはコーラスの三位一体感がしっかり継承されている。うーん、何が違うんだろう。曲によってMALとの相性があるってことか?
・Help!は各トラックがバラバラになった感が凄い。取って付けたハリボテのようだ。ドラムも変な音。オリジナル音源の混沌としたミックス有りきでの疾走感だったんだなと改めて思う。もしや単にミックスが下手なのか?
・We Can Work It Outもダメだな。低音部を強調し過ぎていてボーカルの力強さがかき消されてしまっている。サビの切ないハモリが売りなのに・・・。Day Tripperはそこまで酷くないが、傾向は似ている。
・音像において、何かを強調したら何がか犠牲になる、というのはミックスで考慮すべき基本だと思うのだが、割とその辺はお構いなしというか、オリジナルの音像の印象をそこまで注視していない様子。新世代向けに新しいミックスを作るのだ!というコンセプトなのかな。
・おっと、Rubber Soul曲はかなりイイ感じ。元々、ベースが強調されてるアルバムだからリミックスとの相性が良いのか?。出来にバラツキあるなぁ。逆説的に、Rubber SoulのRemix盤が出るとしたらかなり期待できる感じ。
・Revolver曲は既出の2022Mixだが、こうやって並べて聴いてみるとPaperback Writerのリミックスの良さが際立ったりと、概ね良くまとまっているのが分かる。当初は若干の違和感があったはずなのだが、この盤の他の曲に比べたら可愛いもんだ。
てなわけで、赤盤2023を駆け足で聴いてみたが、今回の2023ミックスは「雑」というか「デコボコ感」が目立つ印象。MALで抽出された音源の質(高音ヌケの欠落、嫌な感じの人工臭さ)や、オリジナル音源の印象から大きく逸脱した曲もあり、良く言えば野心的、悪く言えばミックスが下手?な感じもした。これは賛否両論は避けられないね。 続いて、青盤も。なんか聴くの怖い。
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shukiiflog · 6 months
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ある画家の手記if.84 前編 雪村絢視点 告白
香澄と情香さんと俺で朝食作って食べて騒いで、情香さんは運転してくれた車で香澄を図書館近くにおろした。でかくてゴツい黒のベンツ。かっけー。
この人の方から接触してくるとか何も考えてなかった。 情香さんが来たときの香澄の反応からしてしょっちゅうあんな風に来るのが日常ってわけではなさそうだ。でも香澄は信頼してる人。タイミング的に直にぃがこの人を頼った、ってことなんだろうけど、じゃあ俺のことはどこまでバレちゃってんのかな、とか。 とりあえず俺はただ「雪村絢」に徹した。この段階ですでに色々バレそうだけど、もう俺は他に名乗る名前は持ってないし。 「どこまで送る?」 運転席から声かけられて、少し迷う。 「情香さんはこのあとどうするの?」 「私は食材の買い出しでも行くかな」 「え、それイヤミ?俺のクレイジーな胃袋への攻撃?」 「まぁそんなとこ。」 おかしそうにクスクス笑いながら運転を続ける、この人���笑い方には嫌な裏とか暗いニュアンスが一ミリもない。接してて、言葉や態度から真意を探ろうって気にならない。多分真意のままに行動してる、ってことかな。 真澄さんからもらったデータ見て顔は知ってたし、直にぃの近状を桜子さんに電話してきてたのもこの人だから、存在自体には一方的に馴染みがあった。 でも実際会ってみたら俺よりずっと背は低くて、美人だけど威圧感とかもなくて、てか美人って自覚なさそうだな、直にぃとなんで結婚したんだろ。…いいほうか、悪いほうか。 「まぁ買い出しはすぐじゃなくてもいいとして、私はここに来る前に直人から事前に少し話を聞いてきた。もし絢が嫌じゃないなら事情のすり合わせをしようか」 いきなり本題きた。 「…すり合わせ?聞いてきた話ってなに?」 例えばこの人がデータ通り危険人物だったら、車に乗ってる今の時点で俺はアウトだ、このまま名廊の家に護送されちゃう可能性だってある。…そうじゃない、って俺の勘が言うから敢えて乗った。 情香さんはバックミラー越しに俺に視線を送りながら言う。 「すり合わせってのは、私が一方的にお前の事情を知ってるのが据わりごこち悪りぃなってだけだ。絢が必要を感じないなら特になにも聞かないよ。ただーーー」 車が赤信号で停まったタイミングに合わせて、静かな車内に響く、優しいけどトーンの落ちた声。 「ーーーここから先は帰ってからだ。話さないならそれでいい。ただここで今はこれ以上話せない。一度直人んちに帰るぞ。それでいいか」 「……わかった」
俺の返事を聞くや否や情香さんは少し車を飛ばし気味で直にぃの家へ帰った。 着いたらソッコーで風呂場に連れてかれたと思ったら「服ぜんぶ脱いで帽子もとってアクセがあるなら外してバスタブん中にまとめて放り込んでバスタブの蓋閉めてからリビングにこい」って言われて、俺がまったく意味を理解できずにぽかんとしてたら、直にぃのパジャマを投げて渡された。慌ててキャッチして受けとる。 「下着も脱げ、身に付けるものはそれだけにしろよ。私はリビングでコーヒーでもいれて待ってるからゆっくりでいいぞ」 俺はなるべく状況を整理しようとしたけど、ダメだった、まったくなにもわからない……つまり俺の知らない予測もできない情報をもとに情香さんは動いてる。それを知るまで一旦従うしかない。 危害を加えられることは……  もしそうなっても女性だし、小柄だし、俺のこの脚でも逃げられるかも。 着替えてリビングに行ったら、「ちょっとごめんな」って言ってなぜか髪とか歯とか耳とかチェックするみたいに見られた。謎だらけだ。でも、この行動は…… 情香さんは一通り見て納得したのか、ソファにどさっと腰掛けてから俺にも座るように言った。 「筆談で会話しても良かったんだろうけど、声色や息遣いも聞かないと五感が鈍る、私の事情でふりまわして悪かったよ」 「……なんか俺、疑われてる?」 情香さんは俺にもコーヒーマグを渡しながら、落ち着いた口調で続けた。 「単刀直入にいく。暴力を振るわれてたり口止めされて喋れないことがあるか?」 「……。」 …は!? ……いや。筋は…通った。たぶん盗聴器を疑われてたんだ。それで…。…この人は、誰を危険だと睨んでる? 「…俺の…どこから、そう思ったの?」 「お前の苗字が引っかかった。場合によっちゃお前ごと疑ったほうがいいのかとも思ったけど、接してる限りお前は香澄のことをよく考えて動いてる。…まあ実際どうかはおいといて私にはそう見えたよ。直人から聞いたことも踏まえて、お前と少し話がしたかった、別居を言い出したのがお前だって直人が言うからさ。お前の考えだってんなら慧眼だ。ただ背後に私の予想する人間がついてんなら、そいつは手段を選ばない。だから警戒した。そういうこと。」 「………」 真澄さんだったのか、疑われてたのは。 確かによく知らない人からすれば、そういう印象にもなるかもしれない。俺は助けられる形で戸籍をなくしてもらったけど、それだってどんな風にでも悪用しようと思えばできるだろうし、人に好印象を与えるような言動を真澄さんは省くから。 …今の質問、真意は何だ? 俺が暴力振るわれてて口封じされてたら、この人に…情香さんにどういう影響や損害がある…? どこから聞くのが、一番近道だ? 危険かどうか、敵か味方か、なにを考えてるか、どこまで信頼できるか、直にぃや香澄への個人的な感情は、判断能力は、常識はあるか、その上で柔軟性はあるか……色々、ここまででも十分わかるような気もしたけど…本人と話せるんなら、本人に聞きたい。 「情香さんは、どうして直にぃと結婚したの」 これかな。近道。 そしたら情香さんはソファに座って足を組んだまま、ソファの背にゆったり腕をもたせかけてにこっと笑った。 「絢がどういう答えを期待してるのかをまず聞こうか」 ……敵じゃない、と思う、たぶん。でもつい考える、これは敵にしたくない人だ。試すような聞き方は試し返されて終わる。その分俺がこの人の中で信用を落としていくだけだ。本音でいくしかない。 「…情香さんが、直にぃから聞いて、俺と話したかったことって、なに?」
そこから始まって、情香さんはさっきと同じ、一方的に俺の個人情報を知ってるのは気分が悪い、って爽やかな口調で語り始めた。 俺がもとは名廊絢人だったこと。直にぃとの簡単な関係。香澄に助けられてここにいること。名前が変わってることを直にぃは知らないんじゃないか、って。直にぃの前では俺がそのへんふんわりぼかしたからな。 それから情香さんは、結婚した理由を、まず最初に「直人のことを愛してるからだ」って、はっきり言った。 そのあとに続いたのは、俺が想像してたより、ずっと暗くて根深い、俺の知らない直にぃの話だった。 情香さんは今より若い頃に荒んだ地域のバーでバーテンダーの仕事をしてた。そこにたまに来る客に直にぃがいて、情香さんは二、三度だけ直にぃと短いやりとりをした。知り合いになったともいえない程度の。 そして仕事からの帰り道に、名廊直人から襲われた。 夜の野外、全身傷だらけで情香さんは帰宅して、アフターピルを使ったけど結局中絶手術をしたらしい。それらを情香さんは誰にも口外せず、事件にもしなかった。 名廊直人は、刑務所に服役したりなにか法的な罰則を与えることでは変わらないし適切な罪の意識を持てない、情香さんいわく名廊直人本人の中にずっとそんな罪��も負い目ともつかない意識があり続けるせいではっきりした犯罪行為への意識との境界線が曖昧で、そういう公的な手段での裁きをとるとむしろそれだけで済んでしまう最もよくない危ない人間、なら愛情を育む関係を築いてその中で情香さんへの個人的な感情として名廊直人に深く反省や後悔を抱くよう促すしかない、そうできたのは自分も当時から名廊直人を愛していたのかもしれないし復讐心から始まったことだったかもしれないしそうであれば私刑ってことになる、あるいは独善的な正義感や欺瞞にまみれていたかもしれない、でも当初と今では違うし、そうやって一生自分がついてることで償わせながら何度も取り返しのつかないことを繰り返す直にぃを愛してきたんだ、と。
「ーーーざっと馴れ初めはこんなかんじか。省略しすぎて私のほうがイかれてるように聞こえたかもな」 あっさりとした顔で笑みさえ湛えて話し終えた情香さんは、「それでも」と続けた。 「私は結局直人にたいしたことはできなかった。あいつを変えたのは香澄だよ。ただ香澄は香澄でまた少し厄介な子だから家族になってよかったと思ってる」 「厄介な子?」 情香さんはここで少し難しい顔をして言った。 「私には私の生活があるから香澄ともまだそれほど深く関われてはないよ、引っかかるだけだ。どう言い表すか… 個人として尊重される気がないとでもいえばいいのか……」 ーーーすごい人だ。この人の力を借りられれば、香澄も直にぃも、どうにかなるかも。 充分信頼に足る。愛情深くて優しい、モラルもあるけど必要に応じてそれを捨てることもできる、既存の価値観に縛られずに自由に動けて身軽で、俺みたいな少し怪しい人間とも腹を割ってすぐに話せる、でも必要な警戒は怠らない、法的な手段も目的のためにうまく応用する。その上、直にぃや香澄に自分の全人生を捧げるつもりはない。…すごい人だ。 じっと情香さんの顔を見てたら「クレイジーな話の後のわりには目が輝いてんな」って笑われた。 「余計な話だったなら悪い、でも世間からすりゃ結構おかしな家庭にうつるだろうと思ってさ。結婚したまま不仲なわけでもなく別居し続けて、避妊しながら養子迎えて、夫と息子は複雑な関係だ。順当に考えたら、内心で一番よくない感情を抱いたり溜め込んだりしてそうなのはこの私に見えるんじゃないかと思ってな」 「……。」 俺も少し思った。直にぃは結婚してて、それで香澄と愛し合ってて、…なら奥さんはどういう心境なのか。……桜子さんが夫の雅人さんに最後に選ばれなかったことをずっとどこかで屈辱的に…もっと複雑な気持ちか…を、抱き続けて、心を病まないようにするので必死みたいだったから。でも情香さんははじまりからしてそうはならない、と。 …今の話は情報開示してくれただけじゃなくて俺への気遣いも含まってたんだ。 この人は、名廊家との繋がりもほぼないし、…大丈夫なんじゃないか。 味方になってくれたら  「……情香さんを、信用して 俺も話したいことがある。直にぃは知らないし、この先もなるべく知られない方が、いいようなこと」 情香さんは一度頷いて、ソファに座りなおして少し前傾姿勢になって、両腕を膝の上に立てて口元のところで両手を組んだ。大きな目が話に入り込むために眇められる。…直にぃが集中して話聞くときと同じ姿勢だけど…無意識かな。
情香さんと話し込んでたら夕方近くになった。 ほとんど全部の事情を話したら、俺の脚とかをすごく心配してくれた。それで「身辺が落ち着いたらでいいから、自分だけで判断せずにちゃんと病院にかかれ」って言ってくれた。 それで帰りも車で送ってくれて、俺が何も言わなくても安全を考えてくれたのか真澄さんちから三つくらい手前の駅のターミナルに降ろしてくれた。 俺が車から降りたら「そいつと話しがしたい。会うのはリスキーだろうけどなるべく会って話したい。一応そう伝えてくれるか」って伝言頼まれた。真澄さんに。
駅の中のカフェに入って、ドリップコーヒーだけ頼んで、今日はもう帰るか、どうするかぼんやり考える。それに ーーーー直人が杖ついてるところを見たことあるか 「………。」 なかった。直にぃの部屋に入ったときは杖は死角になってて俺の目に入らなかったのかな。 自業自得って情香さんは言ってたけど、情香さんが真澄さんを警戒してた理由もこの話でやっとわかった。ことが起きたのはちょうど今から一年前くらいらしい。真澄さんの行動は真澄さんに聞けばいい、情香さんもそのつもりなんだろう。あのエピソードでいま焦点を当てるなら、直にぃの行動だ。 感情任せで窓ガラスを、ーーー17階だから強風だってあるしそんなにヤワな作りのガラスじゃなかった、それを叩き割った。腕にガラス片を刺したまま病院にかかるより香澄のもとへ急いだ。それで後遺症が半身に残った。 知らなかった。俺が直にぃに会ったときは屋内で、いつも普通に過ごしてたし。 たった一年だけど、直にぃもかなり変わった、って見ていいんだと思う。情香さんもそんなこと言ってたか。 …ひとは、変わる。…俺のしようとしてることは……… そこでふと、カフェの一番奥の席に目がいって、思わずその人を凝視した。 座っている一人掛けのソファの背にコートをかけて、ゆるゆるして着古したみたいな少しほつれた薄手のニットを着てる。下は褪せた色のデニム。日に焼けて傷んだみたいな癖のある髪が、目元を薄く覆い隠してる。 口元は静かに笑ってて向かいの人となにか話してるけど、目元は優しく笑んでるような無表情みたいな、髪で眉が見えないから表情の変化が読みづらい。 優しそうな…印象だ、けど  「……。」 そっと手元のマグを見てコーヒーの残りを飲み始めた。今あわてて席を立ったら少し目立つ。 真澄さんのデータの中で俺が一番気になった人だ、でも その人には目を向けないでただぼんやり窓の外眺めてコーヒーを飲んでるふりをした。少し間を置いたらすぐに席を立とう。 そう思ってたのに、連れの人を置いてその人はおもむろにソファから一人立ち上がった。まさかと思ってたら俺の座ってる真ん前までゆっくり歩み寄ってきて、俺の前の小さなテーブルの横に立ったままトンと指先だけ触れた。 見下ろされて、俺は視線だけ上げる。しっかり目があった。 その人はうっすらと口元だけで笑って俺に言った。 「俺になにか話しがあるのかと思ったんだが」 「…?」 意味わかんないって少し怪訝そうな、あやしいものでも見るみたいな目つきしてみた。 「違ったなら悪かった。ーーー学、そろそろ帰るぞ」 その人は俺から視線を外して、ソファの席に置いてけぼりにしてた連れの人のほうを見て呼びかけた。 コーヒーの残りを捨ててコートを着ながら連れの人が寄ってきてその人に聞く。 「稔��ん、スカウト?」 「いや、ただの俺の勘違いだ」 その人は店を出るために自分も受け取ったコートに袖を通しながら、俺の横を通り過ぎてカフェから出ていく。通り過ぎざまに顔も見ずに言われた。 「カフェでコーヒーを飲むふりなんて目立つ挙動をした君も君だぞ」 「ーーーー。」 しばらくその場で外見てるふりして固まってた。 ………こっっっわ 何あれ どういうことだよ 心臓に悪りー たしかに凝視したけどほんの数秒だしあの人はこっち向いてすらなくて横顔だったんだけど ていうかコーヒー飲んでるのと飲んでるふりを一瞬したのとなんで見分けつくの? 俺は仕草で慌てたりしてないし、動作に何も違いなくない? 仕組みは知らないけどズバズバ言い当てる誠人さんと似たような何かとか?  ますます怖い やっぱダメだ 危なすぎる スルーでき…たのかあやしいけど、情香さんみたいに話し込まなくて正解 任意同行っていうからよっぽど考えなしか頭悪い人かと思ってたけど、さらになんかよく分かんなくなった 直にぃはあの人といて平気だったのか? ………。 任意同行 直にぃの荒んだ時期 情香さんへの暴行 …関係…あるのかな 情香さんにあの人のことも聞いてみようかな
その日は一泊した後なのもあって、だいぶ疲れが溜まってたのか、やっぱり真澄さんちに帰ってから少し熱出した。
後編に続く
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thyele · 9 months
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2023年7月21日
十三月 紅夜さん「◎ お知らせ ◎ 廻天百眼の公式通販サイト【廻天製品】のシステムが今後変わります。 今までのスタイル(一筆のお手紙付き)で商品を手に入れられる機会は残りわずかになります。 狙っているアイテムがある方は、是非お早めにご注文下さい! https://t.co/5e9mEbt7Cg #百眼」https://twitter.com/jusangatsukouya/status/1681477717861236736
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NightingeiL 零さん「Domestic†Childで出演します!」https://twitter.com/zeronoheya/status/1681592388735860737
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aieさん「サンキューギブキー、また明日・・・。 https://t.co/yGi5qSzTc4 https://t.co/COupnWjKkc」https://twitter.com/THEGOD_aie/status/1681653042800922625
gibkiy gibkiy gibkiyさん「【THANK YOU NAGOYA!!!】 tour “deepthroat”初日ありがとうございました!明日は心斎橋VARONでお会いしましょう!https://t.co/mp0xeLv4JF https://t.co/4FluVlKphe」https://twitter.com/gibkiy_official/status/1681655374997499905
西邑卓哲 | ACM::: (エーシーエム)さん「昭和精吾事務所「糸地獄抄」 本編から新CM解禁!!幻想的なようで社会性の強いテーマ、母と娘の愛憎、その裏で糸を操る××。 語りの快楽を追求した音声作品 vs 全てを裏切る映像の狂気。 渾身の自信作なので絶対見てちょ! ☞配信期間 8/6(日)20:45迄 3000円(+手数料220円) https://t.co/u8ZAvAQ5Th」https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1681657421381640192
恐さん「祖母の家の厠は 薄暗く長い廊下の先にあり 幼少期 夜一人でいくことが できなかった 厠の天井を見ると 木目が猫の顔に見えた  厠を建て替えることになり 壊すと 下に猫の死体があった それは偶然と思っているが 偶に今でも その猫が誰かに 見つけてほしかったのでは と思う時がある」https://twitter.com/bpmkyou/status/1681660243883831299
こもだまり𓃦昭和精吾事務所|ACM:::さん「7/27(木) 渋谷 道玄坂教会 島村秀男×リンリ.共催ライブ 「白夜行」 開場18:00 / 開演18:30 前売3000+1D ❑ サンドアート 18:45 伊藤花りん (リンリ.とコラボあり) ❑ ライブ 20:10 島村秀男 20:50 リンリ. 19:30 こもだまり(演奏:西邑卓哲) ☞チケットはDM・返信で承ります https://t.co/rkLMWqugZi」https://twitter.com/mari_air/status/1681660595219709952
こもだまり𓃦昭和精吾事務所|ACM:::さん「来週7/27「白夜行」、道玄坂教会にて19:30より歌います。 西邑さんとハモるレア形態、麻邑楽(もうら)の曲もやります。 ぜひこの機会に見てください。 出来たての糸地獄抄の曲もやります🧵 動画は麻邑楽の初ライブ。 #仮面劇犬神 「鬼の帰り道」もこのときに生まれました。 https://t.co/APvyar83c5」https://twitter.com/mari_air/status/1681660581927854082
ZIZ.officialさん「deepthroat名古屋公演⚡️ ありがとうございました! https://t.co/43194phBmM」https://twitter.com/ZIZofficial/status/1681659942191894528
NAOKIさん「バッキバキにファイヤーしようぜぃ🔥😊👍 渋谷Rexで待ってんぜぃ👍🍒」https://twitter.com/official_NAOKI/status/1681664596224950278
isaoさん「おぢさまの夏休み、楽しみです😊 リハも入り始めましたよ✨ 宜しくお願いします🫠 https://t.co/o5UTHXxWEq」https://twitter.com/isao_bbtech/status/1681642738524254210
猫好きYOU_THE SOUND BEE HD☠️MARY RUE☠️Lemさん「MARY RUEのリハでした✨夜になっても生ぬるくて体力なくなりますなぁ💦昨日から気管支炎でてるし。。。もう最悪💦😣薬飲んで早めに寝よう✨今から帰るよ〜」https://twitter.com/YOUsoundbee/status/1681667165143875596
Paradox Translationsさん「ParaLive: DEVIL'S PARTY #3 @ Shinjuku BLAZE An event that brought honor to its name! If anything can summon the devil, then it's the combination of the bands who participated! @parade_official @karyu_official @zerotomania @tsukasa_tmh4ns @TAKA_defspiral https://t.co/8kYzxvulbB」https://twitter.com/Paradox_Transl/status/1681620534650445824
まうりんさん「edeath 2023.7.16 八王子papa beat https://t.co/9B8syXwlff」https://twitter.com/maurin0912/status/1681601743367589888
まうりんさん「edeath 2023.7.16 八王子papa beat② 新曲! https://t.co/5WgSOFAeMK」https://twitter.com/maurin0912/status/1681603899814453250
Daoud Akira BKDNさん「Chikaco(夢コ)が八王子ツアー各日のレポート動画上げてくれてます。下記リンクからどうぞ🤲 https://t.co/kPBe11gK8D https://t.co/weX0SUjgAn」https://twitter.com/daoud_bkdn/status/1681566553622343681
まうりんさん「edeath 2023.7.16 八王子papa beat③ https://t.co/BDlLAy5ZG3」https://twitter.com/maurin0912/status/1681606459543654400
まうりんさん「edeath 2023.7.17 八王子music garage sheik https://t.co/ykfbZ1IsPl」https://twitter.com/maurin0912/status/1681602475252654082
まうりんさん「edeath 2023.7.17 八王子music garage sheik② https://t.co/7ck64Vnt3Q」https://twitter.com/maurin0912/status/1681606038599139328
カッチンさん「KISAKIフルアルバム3ヶ月連続発売 先日発売の3枚目に1曲描かせて頂いてます。 KISAKIワールドとカッチンメロディーのコラボ、これがまた中々の評判もらってますw😅 是非お聴き下され!🕊️✨✨」https://twitter.com/KK_paradox/status/1681660104515678208
lucy+peter=esolagoto / 中村真悟さん「東京ARTLAB「とりどり展」 あおいけいさんの『歪み』、やっと間近でじっくり見れました。 画像で見るのとはまた違い、美濃和紙の柔らかな質感と複雑な色彩の絡み合いがなんとも印象的で。こんな表現の仕方もあるんだ!と驚き・・・! 見るひとによって感じる解釈が変わりそうな趣深い作品でした♬👁👌 https://t.co/EEvvFdRq20」https://twitter.com/lucy_peter/status/1681673088075800576
yura 🌠Lem「Quintet」6/5 Release🌠さん「ひとつ引リツ削除しました🙏💦 自虐みたいに話すのはキャラじゃないなと思い直しまして、、 引き続き病気とは上手く付き合い戦いながらライブを目指していきます😊 応援してもらえたら嬉しいです! おやすみなさい✨」https://twitter.com/yura_voxxx/status/1681675298209955840
沙夜さん「新CMもかっこいい!⚡」https://twitter.com/DasGemeine3/status/1681304037361324033
tatsuさん「Mary Rueのリハでした。 機材トラブル勃発したけど本番までには何とかするさ〜」https://twitter.com/ver_tatsu/status/1681678442050514944
Ako Takedaさん「リハ終了ー! 断酒とか言ってスタジオ着いてすぐ缶ビール飲んでしまったw 1本だけね。 まあMARY RUE現場の自然現象です✨ 明日からまた3日間は飲みません。 当日はもちろん入りから飲みます🤩 久しぶりにあの曲歌って泣きそうになった…。」https://twitter.com/ACO_Singer/status/1681673588078784513
角田直樹 つのだなおきさん「リハでした🎸 暑すぎるぜ🍉 https://t.co/zZbRlrgeFK」https://twitter.com/naokiguitar/status/1681663571258687488
LIVE HOUSE CRESCENDOさん「もうじき! 7/23(日)【チケ好評発売中!】 17:00-① PAPILIO EFFECTUS 17:55-② MARY RUE 18:50-③ Yan x Yan 19:45-④ ユキSESSION 20:40-⑤ ARESZ ◆来場 https://t.co/ealmpesDZt ◆配信 https://t.co/mbqdBtyrQt ◆投げ銭 https://t.co/yMw46Y07iI お楽しみに! https://t.co/48YUHPLkdx」https://twitter.com/crescendo_jp/status/1680518767296610310
【Phobia】 KISUIさん「楽しみだな😊」https://twitter.com/KISUIxxx/status/1681641189521620994
Drum 篤人さん「@KISUIxxx 👍 曲は何がいいですかね?」https://twitter.com/atsuto0107/status/1681679648189739008
猫好きYOU_THE SOUND BEE HD☠️MARY RUE☠️Lemさん「【MARY RUE】は17:55からだよ✨ ◆7/23(日) 吉祥寺クレッシェンド ※配信有り(※アーカイブ2週間) ◆来場チケット:webチケット&各バンド予約 【前売】 3000円+Drink 500円=3500円 ・webチケット販売サイトURL https://t.co/hNJEm5HTrn ◆全バンドまとめて配信(2500円) https://t.co/dTbpUyONeX https://t.co/2Wiv9jfKH1」https://twitter.com/YOUsoundbee/status/1681680880165859328
舜7/29NEiN吉祥寺さん「NEiNと絶対的に違うのは、頑なに6弦(レギュラーチューニングで)でギターを構築しているところ。 ベースは5弦使ってもらってるのでローBまで鳴ってます。 Lem 1st mini album 「Quintet」 通販、会場限定にて発売中!! https://t.co/jajeCEKkHX ⭐︎各アーティストの物販にても販売中✨ https://t.co/0LudbfZpo6」https://twitter.com/shun_thefuzzbox/status/1681683574750326784
Hydeさん「202307232100 #HYDE #TAKINGTHEMDOWN #北斗無双 #ドローン撮影 #時間操作 #4moredays https://t.co/8P8pEKyQMq」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1681685278208200704
David Informationさん「【7/21 物販撮影会のお知らせ】 SUI物販にて物販対象商品を6,000円毎お買い上げの方に 2SHOT撮影券を1枚進呈します。 撮影券2枚で集合撮影も可能とさせていただきます。 ※Live Member個人物販は対象外となりますのでご注意ください。 @_David_SUI @ceroJ1D @prin_guitarist @Toshi_Bass_A @Syu_DRUMS」https://twitter.com/_david_info/status/1681650577904893952
KINGRYOさん「水曜日の歌キャス ご視聴ありがとうございました🦁💕 とっても幸せな時間でした♪ #マンゴーぷりん https://t.co/P2pGxg538r」https://twitter.com/kingryoworld/status/1681687668865007616
Hydeさん「名古屋初日 #HYDE #HYDELIVE2023 #声出し解禁 #ZeppNagoya #名古屋 https://t.co/ZScX4gAkia」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1681687845235478529
Lem OFFICIALさん「Lem、最初の撮影の日✨CDの裏ジャケやWebフライヤーになったバージョンだね✨yuraたんがお人形みたく可愛すぎて、あたしゃ挙動不審になっただわよ😆YouTube始めたばかりの頃。これ、実は動画。そのうちUPしやす❣️(YOUでした✨) https://t.co/DkJXQ8fhS0」https://twitter.com/office_lem/status/1681610893237571589
yura 🌠Lem「Quintet」6/5 Release🌠さん「@office_lem @YOUsoundbee 懐かしいですね🥰 あの日も暑くて、、、 わたしもド緊張でした💦💦 アップする前に是非見せてください😂 https://t.co/LzTn4boubc」https://twitter.com/yura_voxxx/status/1681617522121150471
猫好きYOU_THE SOUND BEE HD☠️MARY RUE☠️Lemさん「@yura_voxxx @office_lem 確かにめちゃくちゃ暑い日でしたよね、あの日も🤣」https://twitter.com/YOUsoundbee/status/1681691987312009216
Shinyaさん「手刀とぅーまんおつっ。 いつもとはまた違った色気のあるRufusだったね。 ありがとう、またいつか。」https://twitter.com/shin_ciao0520/status/1681693583651536896
中島卓偉さん「よっしゃ!今から25周年の新曲のMV撮影だ! 今から現場行って朝4時スタートだ! #中島卓偉」https://twitter.com/takuinakajima/status/1681711020300189696
中島卓偉さん「よっしゃ!今から25周年の新曲のMV撮影だ! 今から現場行って朝4時スタートだ! #中島卓偉」https://twitter.com/takuinakajima/status/1681711020300189696
Köziさん「酔い夜今夜も有難う! 明日はニャニーワ⚡️🔥⚡️ https://t.co/VlHeWaO8Fb」https://twitter.com/Kzi_official/status/1681714430365806594
ジグラット 社さん「しゃしん みかえしてる。 https://t.co/tVJpmlOqy8」https://twitter.com/yashiro_ziggrat/status/1681715457747980288
【貴族】Shinpei Mörishigeさん「さらにこの前にケビンちゃんが密造してたニシムラ・アナルスープレックス・タカアキ時代の音源もスゴい名盤ですよ!」https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1681727381009235969
HYPER JAPANさん「🎇A special message from@YoshikiOfficial will be screened on the stage🎇 #YOSHIKI https://t.co/Mrspobrl1g」https://twitter.com/HYPERJAPANevent/status/1681635429831831552
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wllhl-shv · 10 months
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2023.06.30
待ちに待った決戦の日。
オタクの見解だと思って長い文章を読んでみてください。『運命』 『決戦』を観た感想です。⚠︎ネタバレ有
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
_『運命』での名セリフ 現代のヒナと武道のドライブデート。ヒナと別行動になった武道が半間と出逢う。そこで半間がすれ違いざまに放つ言葉『あれ?車乗ってねぇじゃん。纏めてやっちまおうと思ったのに。』この言葉から魔のタイムリープが始まる。暴走する乗用車に乗っていたのは千堂敦(磯村勇斗)。千堂も稀咲に操られていて、後に自殺します。ヒナの死、あっくんの死も変えるべく、何度もリベンジを果たそうとする武道ですが、決戦を前にして誰かが死ぬ真実。
今回、運命同様、芭流覇羅サイドで作品を観ていました。運命に比べ、芭流覇羅のキャストの方のセリフや登場シーン全てにおいて前作とは比べ物にならないぐらい沢山登場してて私としては120点でした。中でも、芭流覇羅の幹部である、チョメ(田中偉登)、チョンボ(今村謙斗)、メンバーの丁次(山口大地)の戦闘シーンが盛りだくさんで好印象です。足場の悪い廃車場での戦闘で、一虎(村上虹郎)は走り回ったり、稀咲(間宮祥太朗)はぶっ飛ばされたり…。体を張って作品を作り上げてくれてここまでの超大作を観させてくれてありがとう。東京卍會、芭流覇羅…どちらについても苦しいものですね。彼等が1から積み上げてきた絆も、葛藤も、この決戦で終わってしまうのが1番辛かった。どんな結果であれ、大好きな作品を、大好きな俳優の方を、このスクリーンで見届ける機会をくれてありがとう。
芭流覇羅のNo.2 半間修二役、清水尋也。前作、運命と出番が少なくアクションシーンもなかった。この決戦を通して、彼の半間としての姿、原作をも忠実に再現されていたところに魅力を感じました。また作中の半間は、対立する東京卍會の敵である芭流覇羅に位置しています。その中で、スパイを疑われる稀咲と繋がっていることがタケミチ(北村)のタイムリープで確定しています。稀咲の元、何事にもついて行く半間の姿があの図体から想像できないぐらい謙虚で可愛らしい。総長不在の芭流覇羅のまとめ役として芭流覇羅メンバーを支える重要的な人物、面倒くさがりなのにどこか優しさがあって強いところ、ヴィランだけど半間にもいい所は沢山あります。清水尋也にしか半間はつとまらない。清水尋也の半間修二が一番しっくりくるって思えるような演技でした。現代の半間修二、髪型といい、立ち姿、全て好みです。(笑)
ああ見えて尋也は緊張しいから、セリフ沢山大変だったよねって。前作であんまりセリフなかったし、『喉のチューニングが……』とか言ってたもんね。『おっぱじめるかァ?』『楽しませろよォ〜』とか。1つ1つの煽り方、半間の威圧感と言いますか、、口角があがってしまいました。やっぱり、半間推しだからこのセリフは外せない。『ガードしててこれかよ…だりぃ。』― 半間のだりぃは世界を救う。少なくとも私はサプリ的な何か。(笑) スタイリストもそうだけど、尋也って手足のリーチがあって、表情・髪型・容姿、本人も言ってたけど歩き方とか。前世が半間でも可笑しくないぐらい半間になりきれていてとても見入ってしまった。
パーちんの後継ぎ 新参番隊隊長 稀咲鉄太役、間宮祥太朗。頭が良くて、常に人のその向こう側を見ている人。目線が合わない。マイキー(吉沢亮)の味方なのか敵なのか。裏で糸引くスパイか。半間同様、前作と運命はアクションシーンが少なかったから今回の決戦でガッツリ乱戦してて安心しました。鉄太くん。(笑) キーパーソンとなるんじゃないかってぐらい重要な立ち位置ですよね、稀咲って。原作では、稀咲の正体が明かされているけど、今期の作品ではどんな人物なのか、ヒナとの関係は示唆されていない。だからこそ、間宮祥太朗が演じる間宮祥太朗の稀咲鉄太、別物の稀咲を見れて良かったです。原作の稀咲は、黒ギャルで背丈も小さく細くて弱っちぃ。おまけに喧嘩もそれ程強くない。間宮祥太朗が演じる稀咲の姿ってのを垣間見れた気がします。―『マイキーはうちの隊が責任もって守らせてもらう』廃車場でのあのシーンですね。でも、後に一虎に場地が裏切ったこと伝えてますよね?以前に、マイキーを襲えって芭流覇羅に密告したのもあなたですよね?ほんとに謎が多い。勝敗なんてクソでもない、自分が上り詰めてマイキーを落とそうとする稀咲鉄太の黒い部分を演じるのが上手だなあって思いました(笑)
壱番隊隊長 場地圭介役、永山絢斗 / 副隊長 松野千冬役、高杉真宙。この2人の関係は回想シーンを観ればすぐ分かる。場地を心の底から慕う千冬と、裏で手を引く稀咲の行動を削いでやろうと動く場地。場地が芭流覇羅に行った時も、場地の行動を1番近くでみて支えていた千冬。回想シーンは、あの名セリフも。『ペヤング半分こな』― これを見に来たと言っても過言ではない。2人の掛け合いがとても好きでした。原作もアニメも実写も……期待を裏切らないこのシーンは何回見ても泣けます。血ハロ後、一虎に背部を刺され重症化した場地、追って自分で腹を括り腹部にナイフを刺す。このシーンは絶対涙するに違いない。誰が観ても辛いシーンで、一虎の死を避けるにはあまりにも大きい代償。死に際に、もう一度『ペヤング食いてぇな』って千冬に伝える場地。『俺は俺が殺したんだ』― 瀕死でも最後まで東京卍會、千冬を守った場地圭介はかっけぇ。
去年の夏場の撮影だと知った時、耳を疑いました。真夏、東京卍會と芭流覇羅がぶつかり合う決戦、特服着て作品のために動く俳優達。廃車場、舞い上がる粉塵と彼等の血・汗・涙 。この作品に携わってきたキャストの皆様、監督、スタッフの皆様、そして多くのエキストラ。この映画を通して、地上波での番宣、パーちん全国爆走 プロジェクト、一時はどうなる事やら延期になるかもしれない事実をこの東京リベンジャーズ2作成チームは襷を私たちに繋げてくれました。規定通り、上映日に無事公開されることを知った時は正直、涙でした。
前作、今期二部作の主題歌を担当したSUPER BEAVER。『名前を呼ぶよ』、『グラデーション』、そして『儚くない』。分かっていたけど、やっぱりイントロが流れた瞬��に涙が溢れてきました。柳沢くんがつくる音楽を、渋谷くんが歌い上げる。その声と東京リベンジャーズという作品がマッチしててとても心に響きました。最高です。また、YouTube上であがってるMVの中に、廃車場で歌ってるバージョンもあって、映画にものすごく力を入れているんだなって感じ、また涙しました。『儚くない』は、『血ハロ』の全てを示唆する曲だと思います。
パンフレットを購入して、あのシーンのこんなところ苦労した!とか楽しかった!とか実際の声が聞けて良かった。阪泉くんやガリ男も、メインキャラだけじゃなく、ギャラリーの不良たちの演技も素晴らしかった。ガリ男に関しては、食べてるだけでセリフが無いのにインパクト大で。きっとこれが最後だから実際には出ないんだろうなと、灰谷兄弟のキャスティングも灰谷蘭役で栗原類くんが抜擢されてたり、スクリーンで見るとめっちゃ似ててびっくりしました。泥だらけで血まみれだけど、何度観ても泣ける映画、大好きな作品だからこそ多くの人に見てもらいたい。彼らの有志を胸に。ありがとう東リべ2 、東リべ2完結 。
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ezoelino2 · 1 year
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迷子ノ廻 仮
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遭遇
『早く帰りたい…寝たい…』
スマホの時刻盤は午前一時を当に過ぎていた。
その日、いつも使っていた道は下水道工事で通行止めの規制がされていた。
迂回路はあるにはあるのだが、正直あまり通りたくない。
何故なら
あの通りには曰く付きの神社があるからだ。
あの神社には
『深夜に現れる狐のお面をした化け物に遭遇すると神隠しに遭う』という言い伝えが存在する。
俺はこの手の話がどうにも苦手だ。
しかし理由はそれだけじゃない。
今年の4月に来たばかりだが、昔からこの町の神社付近で行方不明事件のニュースが後を絶たなかった。
皆、あの神社に一度参拝した後に消えているという。
しかもここ最近、印刷したばかりの捜索願いの張り紙が日に日に増えてきている。
霊にしろ愉快犯にしろ、あの道だけはなるべく通りたくなかった。
こんな夜更けなんかには特に。
しかし、他に通り道がない。
ネットカフェのある隣町までは歩いて20分かかる。
残業明けの鉛のような身体でそこまで歩き続ける余力など、これっぽっちも残っていなかった。
重だるい脚を無理やりに動かし、仕方なく雨に濡れる神社の通りを進む。
すり足気味の足音と冷たい雨音だけが耳に響く。
言い伝えもあってか、この時間の神社通りには人どころか車の気配すら無い。
家の灯りもほとんど消えて、オンボロな街灯だけが、雨粒に揺れる夜道を照らし続ける。
少し頭を上げれば、モンタージュのような建物越しに、顔を覗かせる赤黒い雲が不気味に漂っていた。
不気味な世界に酷く嫌気がさして視線を逸らした途端、暖かみのない、ひどく冷え切った暗闇が視界を覆い尽くした。
終電帰りも慣れてきたはずなのに
この通りは何かが違った。
まるで自分一人が異質な静寂に閉じ込められている、そんな錯覚を嫌でも覚えてしまう。
ふと煌々と照らす光に、ぼやけた視線を凝らすと、駐車場の看板が辺りを照らしていた。
その看板の下の自販機の前で、見慣れない雰囲気の人影が佇んでいた。
(え…誰かいる………、なんでこんな時間にこの通りに居るんだ…?……。)
更に視線を凝らしながら前進すると、お面を被った浴衣のような姿の白髪の女性だと気づく。
ハエのような虫が飛んでいるように見えた。
(何か飛んでる…ハエ…?…影も…動いてるような………)
…丁度自販機前まで近寄った。
精巧に作られたお面と、それにそぐわないボロボロの容姿をした、老婆のような、若者のような、奇妙な姿のそれはじっとこちらをみていた。
威圧感で足が動かしにくい感じがした。
雨粒に濡れたお面がずり落ちた直後、九尾の尾のようなモヤが背後から出てくる。
その表情は何処かで見たことのあるような雰囲気を醸し出していた。
次の瞬間、顔の辺りにおぞましいそれが浮かび上がる。
「…!、!?ひ、…ぃあ……あ…!?!?」
(…!?…ぁあ、狐、、、??ぇ、、逃げ、にげない、と、…、)
干からびて腐りかけたような顔面に無数の瞼がメリメリと浮かび上がる。
グトリと瞼を開くとぎょろぎょろと辺りを見回し、俺の姿を見るや否やその目は、狙いを定めたかのように見開いて血走った。
心臓の裏から襲い来る酷く煮詰まった憎悪に急かされるように、すぐさま逃げ道を探す。
(他に迂回路は?こいつを撒くには?家の向こうには何かあった?全然わかんねえクソッ!!動け動け動け動け動け動け動け動け!!!)
連日の残業と寝不足で止まった頭を無理やり働かせる。
しかし、どうやっても家に逃げ帰る以外の策が思いつかない。
(クッソ!!!全然思いつかねえ…!!!)
もうすぐアパートに着く。
ここで通り過ぎたら絶対戻って来れない。
もう体力が残っていない。
半ばヤケで直帰した。
脚が重い。それでも走らなければ、あれに襲われる。そんな予感だけを頼りにひたすらに走る。
アパートの階段を1段飛ばしで駆け上がる。
足が異常に重い。
ここで速度を緩めたらあいつに追いつかれる。のに。
思うように足が上がらない。
ようやく扉の前まで着くと、震える手で鍵を探した。
(はやく、逃げなきゃ、塩、しお撒かなきゃ、)
早くしないとあいつに追いつかれる。
恐怖と焦りでなかなか見つからない。
(ぁ、あった、あった、鍵、…ックッソこういう時に限ってッ…開けよッ…!!)
ようやく探し当てて震える手で鍵を回そうとした。しかし鍵穴が古くて上手く回らない。
背後からはまだあれの気配を色濃く感じる。
殺される。早く開けないと。
ますます手は震え鍵穴に鍵が入りにくくなる。
(ッ……!開いた、)
もう片方の手で震えを強引に押さえつけ、なんとか鍵を開けることに成功する。
無理やりに引き抜くとすぐさま少し開いたドアの隙間から身を捩りすぐさま戸を閉める。
(あいつが入ってくる、見られる、閉めないと、あと、あと、)
他の窓も全て施錠を確認し、遮光カーテンをしてお清めの塩を自分と辺りに撒く。
「ッッっハァ!!ハァ!、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…けほ、けほ、は、は……は〜〜…けほっ…ケホ、……ハァ……スゥ〜〜…………。」
玄関先で崩れ落ちると、思い出したように叔父からもらった数珠とお札を手にして、昔教えてもらった念仏を早口で唱える。
『不安になったとき、これを手に持ってお祓いの念仏を唱えて、深呼吸しなさい』と、母が倒れた年に叔父から教えてもらったお祓いの行法。
もう念仏まで丸暗記していたから、早口で唱えるなんて造作もなかった。
「祓い給い清め給え神(かむ)ながら守り給い幸(さきわ)え給え、祓い給い清め給え神ながら守り給い幸え給え、祓い給い清め給え神ながら守り給い幸え給えッッ」
「はぁ〜ぁハハ…は……ぁ〜〜ー…。」
一通りの儀式を終え、髪をかきあげるように顔を覆うと、途端襲いくる疲労に崩れ落ち、そのまま膝を抱え視界を遮断した。
(あれは、なんだった、?、目、お面、しっぽ、なにあれ、まるで、あの…言い伝えの…。…なんで…、藤田さんみたいな…顔…、…して…。)
(いや……見間違えた…だけだよな…都市伝説なんか…あり得ない…。)
(でも…もし……。…あぁだめだ、また不安になってきてる…。)
(ちゃんと教わった通り塩撒いたんだ、あれに遭うことなんかない。)
そう言い聞かせて、重だるい体を引きずり、流しで手を洗う。
穢れを落とすように、入念に洗う。
今日できたばかりの指先のささくれに石鹸が染みてシクシクと痛んだ。
いつものくせで実家から持ってきた使い古しのやかんに水道水を注ぐ。
水の溜まっていく音が思考を揺する。
(あれ…やっぱり…藤田さんに似てる…なんで…?そういえば子どもいたっけ…あの子も見かけなくなったような…最後に会ったのっていつだろう…よくスーツの人が家の前にいたような……あれって…)
やかんの取っ手がいつもより重いと気付いてすぐさま思考が止まる。水を入れ過ぎた。
余分な水を捨て、やかんに火をかける。
「カチャンチチチチチチボッチチチチカチャ」
テーブルの近くで腰を下ろし、スマホに充電プラグを刺すと先程の続きを考え始める。
(…そういえば子どものはしゃぐ物音すごかったな…母さんも昔俺の暴れ方凄くて周りから虐待なんじゃないかって疑われてたとか…言ってたよな…。大変だったろうな藤田さん…。)
隣人の部屋からは昼夜問わず子供のはしゃぐ音が聞こえてくるのがいつもの日常だった。
しかしいつからかその音もなくなり、誰かの泣き声とヒステリックな声がたまに聞こえる程度になっていたのだ。
いつもならこんなこと覚えているはずがないのだが、処方された薬が合わないのか効きすぎているのか、芋蔓式に思い出してくる。
ーーー
「やめてください、うちは関係ありません!」
『近隣住民からこのような申し出がありましたので、お子さんだけでも見せていただけませんか?』
「隼人は今祖母の家に預けているって言ってるでしょう!?もう帰ってください…!」
その日から、隣人の玄関口にはスーツの人間が顔を覗かせるようになった。その度隣からはヒステリーを起こした声が夜な夜な聞こえてきた。
それからしばらくして子どもの姿は見なくなり、大家さんの催促が定期的に来るようになっていた。
あのスーツの人は児童相談所の人なのだろうか。…そういえばいつからか隣人だけが出入りしていた。
その頃から隣人は次第に雰囲気が変わっていった。チラリと見えた部屋の中は、玄関口からでもわかるくらいゴミが溢れていてハエが舞っていた。
おそらくだが、心労が祟ってまともな生活が送れなくなっていたのだろう。俺の実家もまさしく似たような時期を経ていたので、その辺りの事情は手に取るようにわかってしまう。
最後に隣人を見かけた時は、あれで良く生きていられると思うほどひどくやつれ細った身体になっていた。
(でも……どうして…あれが藤田さんと似た姿をしてたんだ…?)
頭が焼き切れそうなのに頭が勝手に回転する…空回りが続いて煮詰まった直後。
『ヒュリュゥゥヒュウゥウヒュルルルルゥウピィィィィィイイイイイイイイ』
やかんの甲高い音が鼓膜をつんざき、急に現実に戻る。
考えすぎたせいか、頭が締め付けられるように痛くなってくる。
たまらず重い身体を動かして火を止める。
麦茶のパックを菜箸でくるくると回すと、コンロ横に置いたコップに出来上がった麦茶を注ぐ。
「…ンツッ…!」
氷を入れ損ね舌を火傷した。
舌先と下唇がジンジンと痛む。
先程考え過ぎたせいか、うまく頭が働かない。
冷蔵庫の製氷室をのぞくが氷は無かった。
熱い麦茶が入ったコップをベッド近くのテーブルに置く。
ここに来て風呂に入り忘れたことに気づき、忘れていた倦怠感が一気に戻ってきた。
動けない…。鉛が全身に詰まったみたいだ…。
たまらずベッドに横になった。
(……昔婆ちゃんに教わった通り、…やったんだから、…絶対、大丈夫…。大丈夫…。)
麦茶が冷める頃には、目と鼻の先のコップを取ることも出来ないほどの倦怠感と眠気がのしかかっていた。
(……ぁ〜……さっさと寝よ。忘れよ。だいじょぶ…何も起きない…。ぁ…薬…。)
ここにきて薬も飲み忘れていたと気づく。
急いで起きてカプセル錠を口に放り込みお湯で押し流す。
(…疲れた……。)
そうして重たい瞼を無理やりに閉じる。
薬のせいだろうか。それともあの悪夢のような出来事のせいだろうか。
鼓動が早まり、瞼の裏でまた思考が暴走を始めたのは、その直後だった。
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yuupsychedelic · 2 years
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詩集『消費期限』
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詩集『消費期限』
1.感謝 2.青春の光陰 3.朝に向かって 4.指環はもう要らない 5.枝豆とビールの協奏曲 6.タバコが煙る喫茶店で 7.妄想でぃすとらくしょん 8.サヨナラは言わない 9.小歌劇「自己責任」 10.落陽の季節 11.少年よ栄光あれ
1.感謝
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恋人とは音信不通のまま 友達には地雷系女子と罵られ 将来の夢もなく TOKYOでひとり彷徨う
どっちつかずの人生じゃ どうにもならないと悟ったけど 今更何かを始める訳でもなく OSAKAでひとり涙する
同情してほしいわけじゃない 助けてほしいわけじゃない 私をダメ人間にしてくれた人へ 心からの感謝を
自虐するしか能がない 生きてるだけの人間です 人を笑うしか能がない 生きてくだけの人間です
キミに逢いたい人がいると 小学時代の友からの電話 待ち合わせ場所へ赴いた瞬間 身体目当てだと悟った
大切だった黒い靴を落とし リップもグロスも剥がれたまま なんとか飛び込んだホテルの一室で 裏切られたことにただ涙する
FUKUOKAに来てまで どうしてこんな目に遭うのか 口を開けばマルチに起業に 所詮人間は金の亡者
求められたら行ってしまう 軽薄すぎる人間です 恋に溺れて愛に飢える 軽蔑すべき人間です
死にたいけれど死にきれない 生きたいけれど生ききれない 中途半端な人生じゃ 何にも出来ぬと知ってても
何かを始める勇気もなく ここから逃げる力すらない 生きてるだけの人間です 私はただの人間です
あの夏に還れるなら あの日からすべてを変えてみたい シュプレヒコールが破れた日 私は私の理想と未来を確かに抱いてた
傷だらけの身体と 汚れた心で 新たな私を私が 創り出していこう
これまですべての裏切りに 心からの感謝を
ショートもロングもミディアムも どんな髪型だって私です ブラックもブラウンもブロンドも どんな髪色だって私です
パンツもスカートもワンピースも どんな服装だって私です 素直も小悪魔も優柔不断も どんな性格だって私です
もう一度走り出せ どんな私だって私です もう振り向かない いつだって私は私です
2.青春の光陰
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今日も透明な血が 国会前を埋め尽くしてゆく 見知らぬ若者がそれに 心を痛めている
政治家たちは善人のフリをして 口を開けば政敵のスキャンダルを 必死に暴こうとするけど 本音を言えば 被害者のことなんかどうでもいい 一千万の給料があれば 政治家ごっこをしてりゃいい
ニュースは若者たちを ピエロのように扱い 私たちは扇動されるがまま 就職できなくなる
あいつらのことを誇らしいと思ったり 時には憎んだり 時には共に怒ったり
嗚呼人は気まぐれすぎる 社会には誰も善人などいないと 気付くのは十五の夏
君たちはよくやってると 学者が若者を讃える だから君たちはもっと怒れと 溶けない飴で釣ろうとする
新聞記者や物書きは 表現の自由を振りかざし 男や女の諍いを ドヤ顔で社会に投げかける 本音を言えば 嫌いな奴の平穏を壊したいだけ 右翼も左翼も中道もどうでもいい 私がやってるのは報道ごっこだから
コメンテーターは昨夜のことを ピエロのように扱い 私たちはいつしか幻となり 大人になれなくなる
誰かのことを殺したいと思ったり 時には愛したり 時には共に声を上げたり
まっとうな言葉を信じちゃいけない すべてに裏切られ たしかに燃えていた十五の夏
総理大臣は118回も国会で嘘をついたらしい 僕らも毎日嘘をつき続けてる 本音で話せる人なんかいないさ LINEもStoryも晒されてしまうから ご飯の写真くらいしか載せられないのさ
政治家たちは若者に願う 政治に無関心であれと その結果が今の社会だ
でも僕らだって気付けなかったのさ 誰かを生贄にしてばかりで 何もやろうとしなかったのさ
あいつのことを誇らしいと思ったり 時には憎んだり 時には共に怒ったり
嗚呼人は気まぐれすぎる 嗚呼人は優しすぎる
夢は終わった 気付くのは十五の夏
僕らがどんなに声を上げようとも 何かに怒りをぶつけても 社会はこれまでと同じように歩み続ける
夢は終わった 気付くのは十五の夏
3.朝に向かって
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この素晴らしき 朝が待つ 君の姿を 探してる 約束の地に 君はいない 私はずっと 待ち続けた
星空に描く 未来予想図は なんの意味もなく 待ち人は来ず
空想少年 そう呼ばれても 信じてきたのは 君がいたから 夢に破れて 心は折れて それでも私は 生きるしかない
この愛おしい 夜が待つ 君がいた夏に 想い馳せる さよならくらい 言ってほしかった ��ットの恋の 終わりは儚い
曇り空に描く 明日の予定は なんの意味もなく 虚しくきらめく
空想少年 そう呼ばれても 生きて来たのは 君がいたから 夢のない奴は だいたい友達 それでも私は 死のうと思わない
涙が溢れて 笑顔が溶ける夜空に 私は愛を投げ捨てて 目の前の一日を乗り越えてゆく
空想少年 そう呼ばれても 目にも留めぬ季節は もう終わりだ それが「大人になる」という意味 太陽は私に 語りかけてる
空想少年は 荒野を目指す 新たな夜明けを 心に描いて さらば友よ 家族よ恋人よ 私はひとりで これから生きていく 朝に向かって  時を舞う
4.指環はもう要らない
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夏に踊る街 そして、人よ 君は誰を待つ そして、愛する
ココナッツミルクの香り 僕の心を嘲笑い ひと夏の空夢に酔いしれる
未来はどこにあるのと 君がつぶやいた アパートの一室にはもう誰もいない
最後の花火は 涙で濡れていた
夏は早すぎる そして、気まぐれ 君は誰を選ぶ そして、抱きしめる
明日はその時計の中 僕を嘲笑う言葉 ひと夏の空夢に夜を明かす
既読を待つほどに 君がつらくなり アパートのドアをそっと開けば……
最後の手紙は 笑顔で濡れていた
夏は淡すぎる そして、はっきりと 君を待てなくて そして、別れた
純情色の心は すっかり疲れ果て 淀んだ川を無理やり 昇ろうと決めたのは僕だった
スピーカーから流れるラブソング そのアパートには愛の痕跡がある
最後の一夜は ぬくもりで濡れていた
5.枝豆とビールの協奏曲
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どれだけ声を張り上げても 国民は振り向いてくれない どんなにコッカイで暴れても 誰もが冷ややかな眼
アナタの時代は終わった あの国の使いだろ 根拠なき噂は拡散され いいねマークでラベリング
一万回叫んだって 変わりはしないから 週末は枝豆とビールで 友と乾杯しよう
この国の行く末は 国民が決めるんだよ 私は私の理想を 霞ヶ関で叶えてみせる
だからアナタは私に 代表の席を譲ってください
恋愛も子育てもそこそこに 国民のために闘う 息抜きはカラオケで不協和音 アナタのための福祉
どんなにバラバラになっても 諦めきれない国がある だから残り少ない政治家人生 私はこの使命を果たす
百万回叫んだって 変わりはしなくとも 今ここにいる限りは やるべきことをやるんだ
与党も野党も関係ないでしょ? 向くべき方向が同じなら アナタはアナタなりの正義で 良い国を一緒につくりましょう
未来へのニューディール 始められるのは今だけ
霞ヶ関のビル群が 時々切なくなる 誰のために働いているのか 真夜中に光るネオン
それでも朝になれば 政治家たちのレクへ ここで生きる人たちも 幸せになる権利がある
さらば利権よ癒着よ宗教よ 私たちには要らない 綺麗事ばかりじゃ叶わない それでも綺麗事なんだ
明日は何処へ向かうのか 誰にもわからない 突然何かが起こった時 すべては変わっていくだろう
だから私は私なりに その瞬間に備えているのです 枝豆をビールの肴にして
6.タバコが煙る喫茶店で
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隣の客がふかした煙草を 灰皿に投げ捨てる どうやら商談に失敗したらしい 私にはどうでもいいこと
少し煙たい店で クリームソーダを口に運ぶ 少女の黒髪は 憂いで泣いている
この街は一体どこへ向かうのか 誰も何も知らない
踊っているだけで幸せになれた 昭和にもう一度還りたい 笑っているだけで一日が過ぎた 高校時代にもう一度還りたい
懐かしさに浸るには 旧友との会話で十分さ どんな形であれ前を向く必要がある 国会前のアジテーションを見ると
白ヘルが眩し過ぎて すべてが輝いて見えたあの夏 大学の割れたガラス窓 ふと我に返った……
この国は一体どこへ向かうのか 答えは今も見えない
怒っているだけで幸せになれた 昭和にもう一度還りたい 叫んでいるだけで思い出が出来た 大学時代にもう一度還りたい
遠い昔のことだよ 私がそこにいたのは もう何も出来ることはない このまま老いていくしかない
あいつはあいつなりに頑張ってる 無垢な気持ちでよくやっている
何もやる気がしなかったあの夏の話 私たちの青春は1969にある この夏ならもう一度やり直せるさ だけど……
かつての仲間は冷ややかだった それでも忘れられない夏が私にはある
7.妄想でぃすとらくしょん
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この夜だけは 騒いでもOK! 仮装にパーティー 何してもOK!
スクランブル交差点 仲間と繰り出そう 見知らぬ男も女も 気分はお祭り
太陽が沈みかけた頃から 始まる伝説の日 人が人を煽り倒して やったもん勝ちの夜になる
ハロウィンパーティーは 若者たちがタガを外し 街に家にどこでも 自由に騒げる瞬間(とき)
何をしたって許される そんな気がした青春
バーボンを飲み干せば 気分は超ハッピー! 仲間と踊り明かせば バイブスは超アガる!
意味のわからない 言葉をたくさん並べ立てて 今日やるべきことは とにかく暴れること
明日からはまた普通の人になる 良い人であり続けるために 今夜は一年分の 鬱憤を晴らすのだ
ハロウィンパーティーは 若者が社会への怒りをぶつけ 仮装という名の偽装して 世界に問いかける
何をしたって許される そんな気がした青春
毎年のことさ この夜が明ければ 空虚な気持ちが 脳を覆い尽くす
それでも騒がなけりゃ 人生やってけない
沈みゆく船に乗るには 正気じゃ生きていけない!
ハロウィンパーティーは 若者たちがタガを外し 街に家にどこでも 自由に騒げる瞬間(とき)
ハロウィンパーティーは 若者が社会への怒りをぶつけ 仮装という偽装を着て 世界に問いかける
何をしたって許される そんな気がした青春
大人になれない子どもたちが もう一度始める青春
8.サヨナラは言わない
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時の魔法は 川の流れに似て 君が呼吸するうちに 少女を大人に変えてゆく
手を伸ばせば 太陽に手が届きそう 何度も折れた翼を縫い合わせるうちに 君は空を飛べる鳥になった
裸足で駆け抜けた 海岸線に行く度 あどけない微笑みが美しすぎて 涙が止まらなくなる
今際の別れではなくとも 君と別れるのがつらいよ サヨナラは言わない また逢おうと伝えたい 僕は君を愛していたから
初めて逢った日は忘れられない 今日もこの先もずっと
君がここにいたこと 僕は永遠に語り継ぐから
何度も涙した Graduation 春は待たない Destination 心がつらくなる Sensation 君の時代 My Generation
愛する意味さえわからず 涙色の雨に溺れて 絶望に打ちひしがれた日々よ そんな時も君がいたから 僕は強くなれたんだ
あの舞台で歌う君に 青春を重ねた
風に吹かれて 揺れるカーテン 春の夜明け前は静寂の中
ここから君は夜明けを待ち 大いなる翼を広げて旅立つ 涙も憂いもすべて置いてゆけ どんな嵐も糧になるさ
初めて逢った日は忘れない 今日もこの先もずっと
君がここにいたこと 僕たちは永遠に忘れない
梅の花が咲く 美しい満月の夜 桜はその時を待ちながら 別れを見送る 君はもう飛べる鳥だ この坂道から……
9.小歌劇「自己責任」
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【1.家出少女】
幼馴染が髪を染めた ブロンドの君は 別人のようで 私はどう接したらいいのか わからなくなった
そいつの親は少女の髪を見ると 眉を顰めて 元に戻せと咎める
子どもは大人の心がわからず 大人も子どもの心は見えない だから互いの普通で語るしかない 家庭という社会の落日よ
君が家出したと聞いた夜 私は少女を探すフリをして こっそり匿っていたのは 普通に反抗したかったから
【2.別離】
今、あなたを抱きしめられるなら こんなに淋しくはならないでしょう
今、あなたと恋人のままなら こんなに悲しくはならないでしょう
あの日、一瞬の過ちがすべてを 変えてしまったと気付くまでは
あの日、僕はあなたを傷つけてしまいました 別の人の彼氏になったと伝えたのです
もう、幼馴染でいられない 僕はあなたを裏切って恋をしました
もう、元のふたりには戻れない 僕はあなたとの未来を捨てました
せめて、地元を出た後なら あなたを泣かせなかったのかもしれません
【3.新しい恋人に】
足元に映る影が ほんのり薄く見えるのは 僕の信念の揺らぎを ここに示す実像
出逢いはマッチングアプリでした ひと目で惚れてしまいました あっという間にリアルで逢いました そして付き合うことになりました
あれもこれも早過ぎて 心も身体もついてゆけなくなり あなたをブロックしようと決めたのは 昨日の夜でした
せめて最後に別れをちゃんと言おうと いつものホテルに誘う でも、あなたには別の男がいたのです 僕も裏切られていました
【4.愛してたのに】
あれほど愛を注いだのに なぜ行ってしまったの 愛おしくて愛おしくて 私も後を追いたいわ
あなたに恋人ができたと 聞いた日は驚いたの 哀しくて悔しくて あんなことを言ってしまったわ
空に浮かぶ雲の群れに 遠い世界を捜す もう還る場所を失くしたあなたは 誰にも頼れなかったのね
私があなたを殺したのです あなたは私に殺されたのです 首元に残る紅い傷は 死にきれない迷いの証明
あなたは生きろというけれど 頑張れと背中を叩くけれど 大切な人を殺してしまった後悔は もう消せない罪です
10.落陽の季節
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あの頃すべてが 燃えていたよね 隣の女が 嘆き悲しむ せっかくのバーボン まずくなったよ 店を出た後も 心は晴れず
仙台行きの フェリーは過ぎて 僕は僕なりに この道行くよ ほんとうの事は 誰も知らない
涙が溢れて 夢は破れて 何もしたくない 十九の秋に 君と出逢って ふたり恋して さすらう気持ちは 癒えていった
忘れてたのに 思い出したのは 君の声が 胸に響くから
かつては僕も 怒りに震えた 声を上げれば 社会は変わるはず 政治の時代は とっくに終わり 僕らはどこへ 向かえばいいのか
壊れた針は 空虚な叫び 僕は僕なりに 生きて来たけど ほんとうの事は 誰も知らない
時が流れて 夢を忘れた 誰も知らない 広島の街で 君と出逢って ふたり恋して 目前の落陽は すべて思い出さす
忘れてたのに 思い出したのは 君の声が 胸に刺さるから
すべての声が 夜の闇溶けてく 僕たちの季節 終わりを悟る 若さは怒りを 抱きしめきれない
涙が溢れて 夢は破れて 何もしたくない 十九の秋に 君と出逢って ふたり恋して さすらう気持ちは 癒えていった
忘れてたのに 思い出したのは 君の声が 胸に響くから
いつかの夏に 愛するがままに 走れたのは 怒りに恋してたから
11.少年よ栄光あれ
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何度死にたいと思ったか もう数えられないほどになる
一睡も出来ぬまま 不安に苛まれて 碧空に涙を溢した朝
生きてるだけでもいいじゃない 頑張れなくても君のせいじゃない あなたがいたからもう私は 悩むことを怖がらなくなった
頭上から落ちる水に怯えて 通気口に差し込まれる箒は痛切で 何気ない違いが不安を生み出し いつしか私は独りになった
仲良かった友人とも疎遠になり 孤独になることに極端に怯え 虐められても無視されるよりはマシだと 汚れた制服をこっそり綺麗にした
何度死にたいと思ったか もう数えられないほどになる
一睡も出来ぬまま 不安に苛まれて 碧空に涙を溢した朝
そんなのは普通じゃないよ 君のことを守ってみせる あなたがいたからもう私は 孤独を恐れなくなった
ほんとに好きだった 素直に惹かれてた あなたのような人を知らない ずっと傍にいたくて 少し上の志望校に受かった時は 思わず涙を流した
あんなに輝いていて 私にも優しかったあなたが なぜ自分を殺してしまったの?
私がいちばん傍にいたのに なぜ何も言ってくれなかったんだろう?
十五の春は涙に暮れて 新しいクラスでも塞ぎ込むばかり でも新たな友は皆が優しくて 次第に馴染んでいった
そして恋人ができて 親友もできた 今の私は満たされている
それでも私は あなたの傍にいたかった 微かな光を信じてみたかった
今はなき少年に栄光あれ 次の人生で もう一度逢えたら せめて夢で逢えたら……
【Credit】 原作・詩・デザイン:坂岡 優 共作詩:S.Horita(#2) 言語協力:M.Takahashi(#1), N.Kanazawa(#7) 写真:Takayuki Miyazaki(From Unsplash)
Thank you my family, my friends, and all my fan!!
2022.11.10 坂岡 優
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azakavrc · 4 months
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◆まだ書きかけ
彼……ISDF代表サリハの第一声はそれだった。
別の地区の見回りをしていた彼は仲間からの連絡を受け大慌てでここ、ウェストタウンの拠点に戻ってきた。
まるで戦場のような緊張感が拠点をぐるりと取り囲んでおり、サリハは軽く頭を抱えながら拠点内の応接室に入った。そこにいる来客……アルマ正教会教皇エルの姿を認め溜息混じりに吐き出した言葉がそれだ。
「お邪魔しております。……素敵なご挨拶ですね」
「生憎とお前のような御立派な暮らしなんて経験はないのでな。気に障るのならお引き取り願おう」
「いえ、ここだけの話……わたくしとて、畏まった対応ばかり受けるのは少々辟易しているのです。これは、内緒にしておいていただきたいのですが」
「……そうかい、じゃあ好きにさせてもらう」
「恐れ入ります」
「で、要件はなんだ?お前のようなヤツが茶を飲みにきただけということはあるまい?」
「此方のお茶は独特の風味でなかなか趣深い物で御座いますけれど」
コンコンっ
不意にノックの音がエルの言葉を遮り、
『お茶のおかわりをお持ちしました』
すぐ後を男声が追いかけてくる。
「アインスか。入れ」
「失礼します。……サリハさん、帰ってたンですね……って、ちょ、失礼ですって⁈」
茶器を乗せたおぼんを器用に片手で持ちながら扉を開けて男……アインスが入室する。
ソファに脚を組んで座るサリハの姿を見て目を白黒させている。
「寛大なお心でお許しいただけるそうだぞ」
「はい、構いません。アインス様もお座りくださいませ」
「俺もですか⁈……いや、俺はちょっと、まだ仕事がー……」
「なんだアインス。教皇様の頼みを無碍に断るのか?」
「アンタ絶対楽しんでるでしょ……」
「まぁまぁ。初対面というわけでもないのですから」
「その節は……まさか教皇様があんなところにいるとはつゆ知らず……とんだ無礼を……」
「おいおい教皇サマ。うちの部下をいじめないでやってくれないか」
「誰のせいですか誰の!」
「……うふふ……♪」
「……っとぁ、すみません……」
小さくなってサリハの横に座るアインス。相対する席で口元を隠し笑っていたエルが手を下ろす。その一動作だけで、室内の空気が変わった。
「……先日お送りさせて頂きました書状は、ご確認頂けておりましょうか」
「あぁ、スラムに教会を、とかいう例の件か。確かに拝読させてもらった」
https://discord.com/channels/1020297124434419722/1068114953753608262/1157536351915343923
「手の込んだ悪戯かとも思ったが、話をしたのがコイツで、確かに支援物資も資金も届いた。ご丁寧に教会の印章つきでな。信用しないわけにはいくまい」
「恐れ入ります」
「此方としては願ったり叶ったりではあるが……どういうつもりだ」
「……どう、とは?」
静かに圧を強めるサリハの言葉にもエルの態度は変わらない。ただ横で推移を見ているアインスだけが小さくなるばかりだ。
「あの書状を帝国ではなくこちらに寄越すということは、教会直々に我々の自治を認めたと捉えられかねん。まさかわからずにやったなどということはないだろう?」
「そうした方がよろしかったでしょうか?」
「当然、そうしていたらヤツらはこれ幸いとスラムの土地を接収しようとしただろう」
「然り。そのくらいの調査洞察は、この地を知らぬ……そうですね、“御立派な暮らし”のわたくし達とて可能です。なればこそ、地を知り人を知り、仁徳に満ちた英雄様にこそ打診を行うべきであると判断した次第に御座います」
「買い被り過ぎだが、信用には応えよう。お前ら教会が我々を裏切らないのであれば、我々が教会を裏切る事はない。誓おう……お前らの言う父なる神とやらは知らないが、俺の誇りに賭けて。こいつが証人だ」
急に指されてアインスは驚いて居住いを正す。
それを見てエルは微笑んで頷く。
「我々正教会は、人間が人間として正しく生きていく事をこそ肯定するものです。人は国に属するのではなく、国が人に属するのです。なればこそ、この地はあなた方の治める地。道理を通すべき相手はあなた方で間違いはないでしょう」
「そちらの意向はわかった。ならばここからは交渉の場だ。がっかりさせてくれるなよ」
「勿論。ご期待くださいませ」
若干緩んだ空気にアインスも内心でホッと胸を撫で下ろす。
「そうですね……まず、アインス様。この周辺の地図などありましょうか?」
「え?あ……はい、ちょっと待っててくださいっ」
急に声をかけられたアインスがバタバタと退席するのを見送り。
「此方から求める事は、
ひとつ、教会建設の為の土地の借用、
ひとつ、教会員の駐屯の許可、
ひとつ、教会管理下の隊商の通行、停泊の許可
それからもうひとつ……」
「もうひとつ?」
「建築した教会の管理者、指揮者として此方……ISDFから一名、任命して頂きたく思います」
「……ほう?」
「勿論、教会から補佐役として一名派遣を行いますが、基本的に建築した教会に付随する事物に関する采配の全権は、任命して頂いたその方に委任させていただきます」
「……お前は、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「はい。要するに……
教会建てる土地貸して
教会員が暮らすのを許して
ウチの隊商が通ったり休むのを許して
ついでに一人管理人役を出してくれ
です。そして、建屋の管理から搬入物資、人員、資金、土地活用に至る全権はその管理人役がやってくれ、とそういう要求です」
「……お前は、バカなのか?」
「はて?……あぁ、土地の借用費は搬入物資や資金から供出して頂くとして、教会員の生活費や隊商の消費した資源に関しては別途請求下さればご用意させて頂きます」
「そういう話ではない。……一体何を考えている?」
「何か問題がありましょうか?」
「これのどこが取引だというんだ。全く対等ではない……これでお前らは何を得る?我々を懐柔しようという腹か?」
「そうなれば僥倖では御座いますけれど、踏み台にされるだけでも此方としては十全。それ以上は“おまけ”のようなものです」
「……馬鹿げている」
「そうでしょうか。先程申し上げました通り我々正教会は、人間が人間として正しく生きていく事をこそ肯定するものです。そのために持てるものを捧げる。それこそが教会のあるべき姿です」
「…………」
沈黙が室内を満たす。
「……仕方ありませんね。此処だけの話としてお聞きくださいませ」
先に沈黙を破ったのは、エルだった。
そしてほぼ同時に。
 コンコンっ
「失礼します。すみません、お待たせしま……し、た……」
「ご苦労。座れ」
「はぃ」
入室したアインスが机に地図を置き再びサリハの隣に座る。
(サリハさん、なんか空気重くないですか……何があったンすか)
アインスが小声でサリハに問うもサリハは顎の動きだけでエルに話を促し答えない。
「……大戦により世界が被った被害……物質的にもそうですが、何より人心が負った傷は深く、目に見えぬ存在を信じる心を保てている方はそう多くはありません。されど、傷ついた心が救済を求めるのもまた必定。教会はそのような方に手を伸ばすのがその勤め……」
言葉を紡ぐエルも、それを受けるサリハも、仮面に隠れた顔から表情を窺う事はできない。
「現在の教会が持つ本質はその教えではなく、無国籍の人的ネットワークそのものです。実際に父なる神に信仰を持っている者は、騎士団を除けばごく僅かなのでしょう。わたくしもそれを理解した上で教会を指導する立場に就いております」
「……教皇様がそれ言っちゃうんですか……」
アインスが思わず溢した言葉にエルはゆっくりと頷き。
「事実を事実として受け止めぬほど愚かではないつもりです。されど、世の中は本音と建前を使い分ける事で安定して回るもの。それで救われるものがあるのならば、わたくしは、教会は喜んで嘯きましょう」
アインスは先日補給物資を運んできた隊商を思い出す。教会の印章を刻んだ一団ではあったが、確かにその言動は教会のものと言うよりは商人や輸送屋のそれであったように思う。
「教会の教えに一切の真もないなどと申し上げるつもりは勿論御座いません。どちらも実であり虚であり、結局のところ目指すのは人間の平和と繁栄……そこに尽きるのですから」
「ふん……なるほどな」
「ご理解頂けたようで幸いです」
「此方としてはスラムの奴らが平和に暮らせるならお前らがどんな意図であろうと変わりはないからな」
「十全です。では、話を進めましょう」
「ああ」
「まず、立地に関してですが……」
アインスが持ってきた地図を広げて眺め、
「規則としてそれなりに広めの土地が必要になりますので、相応の場を借り入れたく存じます」
「使っていない土地自体は沢山あるが……」
「有事の際に避難所や防波堤としての役割を担う務めが御座います故……」
「防波堤?」
「はい。街や避難所に賊や根源生物が侵入しないよう、この教会の土地で万全の体勢で迎撃を行えるよう配備できるようにと」
「却下だ」
「……戦力は此方から駐屯させるつもりですが」
「尚更だ。資源のみならず防衛までお前らに委ねるほど俺たちは落ちぶれちゃいない。客は客らしく安全な場所にいろ」
サリハが地図を叩いて示す場所はウェストタウンのはずれではあるものの根源生物が多く観測される砂漠側からは遠い位置だ。
「畏まりました。では此方の場所をお借り致します。近日中に現地視察に人を派遣致します」
「そうしてくれ」
その後も話は速やかに進み、とんとん拍子に取り決めがなされた。
実建築にかかる際の人手借り入れの報酬、教会の規定に伴うワークショップや隊商の巡回周期、砂漠の遭難者や非常事態に備えたビーコン設備の取り付け、有事の際の避難所や臨時病床としての開放規則などなど、話す事は多数あったがつつがなく話は進められ、
「……事前に決めておくのはこれくらいで御座いましょうか」
「先に話していた管理者の件だが」
「はい。建築が終わる頃までに決めて頂ければと思います。……既に候補を絞られていますか?」
「アインス」
「はい?」
「お前がやれ」
「」
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