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#エネルギー生命体
deepspeed · 1 month
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人が食事を口から取れなくなって回復の見込みがなくなった時、点滴を希望する家族は多い。
でも、点滴って本来は「回復し得る人のため」のもの。
例えば、ちょっとお腹壊したり、肺炎になって食事が取れなくなった時に一時的にこれ使い回復までの時間を稼ぎ体力維持するには、最高の道具。
一方で、「戻ってくる見込みがない人」に、点滴を続けると悲惨。
水を入れ過ぎれば、入れた水を消費し切れずブクブクに浮腫み、痰が喉元に溢れてゼイゼイ言いながら死んでいく。
逆に、点滴を少なめにしても「生き延びられてしまう」
500mlの点滴だけで1-2ヶ月くらいは生きられる。水で、体の脂肪や蛋白質(筋肉)を分解してエネルギーをつくることができるから。
しかし、やがて消費する脂肪、そして筋肉が無くなり命脈は尽きる。
最期は骨と皮だけの変わり果てた姿を見る。
「婆ちゃん痩せちゃったなあ」と看取る家族も辛い。
人生の最期の時間において、本人も周囲も一番穏やかなのは、食べられるだけ飲めるだけのもので過ごす事。
徐々に脱水が進むことで意識がぼんやりし、やがて静かに眠り始め、微熱を発し、程なく静かに息を引き取る。
人類の歴史は700万年あると言われるが、そうして自然死を迎えた私たちの祖先の今際の際が、そんなに壮絶で苛烈なはずがない。
自然は過酷にはできていない。
医療の名のもとで、この自然の過程に抗おうと余計な手出しをするようになって、この穏やかな死を邪魔するようになった。
死に際がこんなに苦しくなったのは、現代だけ。
https://x.com/teteatete2021/status/1781616765111591150?s=46&t=3uBU4NAcX1YMMVPF4niZ4w
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shoji · 4 months
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武術の神と言われる亀仙人より強い天津飯でも歯が立たないドラムを瞬殺した悟空が8年修行して、 同じ位の強さのピッコロさんと二人がかりでやっと倒した軽い気弾で山脈を消すラディッツと匹敵する戦闘力を持つ栽培マンを あっさり倒した天津飯・ピッコロ等が束になっても敵わないナッパを悠々倒した悟空の 2倍以上強いベジータがかなりパワーアップしても全く相手にならない強さのリクームを一撃で倒した悟空が 更にパワーアップしても、それを半分の力で殺せるフリーザをあっという間にバラバラにして消した未来のトランクスでさえ 仲間と束になっても敵わない人造人間17・18号に匹敵する強さを持った神コロ様でも敵わない程に 生体エネルギーを吸って強くなったセルと互角の16号を大きく越える17号吸収態セルを子供扱い出来る 精神と時の部屋パワーアップ後のベジータと随分差がある悟空でも勝てない完全体セルを 一方的に痛めつけることが出来るブチ切れ悟飯をも越えたベジータが命を賭けても倒せなかった魔人ブウが 更に凶悪になったブウと互角以上の戦いをしたゴテンクスよりも強くなった悟飯でも全く歯が立たない ゴテンクス&ピッコロ吸収ブウが更に悟飯を吸収して強化しても全く歯が立たないベジット。
(87) キャラクターが増え過ぎてあまり面白く感じられなくなった漫画はありますか? - Quora
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ari0921 · 1 month
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)4月25日(木曜日)
   通巻第8227号
 ウクライナなどへの追加軍事支援予算可決、このうち80億ドルは台湾
   グリーンベレーは金門、大使館警備は米海兵隊
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 4月23日に米議会が可決したイスラエル、ウクライナ、台湾への追加支援予算950億ドルのうち、80億ドルが台湾支援である。
このパケッジには外国支援はあっても米国の境界線、不法移民への対応予算は含まれていない。議会上院の賛成は78,反対19だった。
その四日前に米議会報告書が発表され、2023年末時点で台湾には41人の米軍人が駐留していたとした。
これは米議会調査局が『議会のための台湾防衛問題』報告書としてまとめたもので、「少数の米軍関係者が台湾で任務を遂行していることは『公然の秘密』だった。事実上の駐台北米大使館は海兵隊が警備しており、施設は要塞化している。台湾における米軍人の任務内容に関しては「特定の作戦、交戦、訓練」は非公開になっている。
 ウォール・ストリート・ジャーナルは「今後数カ月以内に100人から200人の軍事訓練要員を台湾に派遣する」と報じたが、国防総省は、この報道を否定した。
 米軍関連のサイト「SOFREP」では「グリーンベレーが台湾軍を訓練するために金門県に常駐している。ところが、台湾国内に矛盾があり、政治指導者と国民党と連携してきた台湾軍との間には明らかな信頼の欠如がある」と分析した。
 また同媒体は「台湾のエネルギー、食料、水、インターネットの供給に脆弱性があり、人材の採用、訓練、維持に苦戦している。また中国の武力侵略に直面して、台湾国民が経済的安全、身体的安全と安全、生命の観点からどのようなコストに耐える意思があるのか、あるいは耐えられるのかは明らかではない」と報じた。
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elle-p · 6 months
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Scan and transcription of the Persona 3 part of Newtype Magazine March 2016
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PERSONA3 THE MOVIE
#4 Winter of Rebirth
●新宿バルト9ほか全国にて公開中
●第3章Blu-ray&DVD好評発売中
WEB▶http://www.p3m.jp/
Twitter▶@P3movie
illustrated by YUKO YAMADA, painted by MARIKO SHINOHARA(TROYCA)
finished by JUNPEI TAKATSU, background by BIHOU, text by HITOMI WADA
©ATLUS ©SEGA/劇場版「ペルソナ3」製作委員会
アイギス
自分は感情のない機械だと言うが、使命から離れても「理のそばにいたい」という想いがその身にあふれていることに気づく
結城理
「春になったらいっしょに桜を見よう」――そうアイギスと約束し、世界の終わりに対峙する戦いのなかで、「命の答え」にたどり着く
まるで当たり前に訪れるあすのように静かに近づく死の運命のなかでかわした約束はともに生きるという喜びに満ちていた。 すべての想いは空に上がり、いつか花びらようにゆらめき舞う。全4章からなる劇場版「ペルソナ3」を「主人公・結城理として、また、世界の滅びを告げる宣告者として2つの側面から表現した石田彰に聞く――。
Birth to Rebirth
人間らしくなったね
人間らしくなれたね
結城理/望月綾時役 石田彰
理の成長と仲間とのきずなを感じて
春、夏、秋、冬と季節を重ねて彼らが迎えたのは、一年の終わりではなく――世界の終わり。仲間たちのなかで心の扉を少しずつ開いていった理は、その先の春を想って、真っすぐに約束をした。
ついに封切られた 「PERSONA3 THE MOVIE」最終章。このフィナーレを主演声優・石田彰はどのように見つめたのか。
「台本を読んで、まず思ったのは、そうか、この結末が確定してしまうのか⋯⋯ということでした。いや、厳密に言うと台本の時点では、でも、映像ではもしかしたら何とかなるのかも、なんて淡い想いも抱いたんですけど(笑)、その後リハーサル用ビデオと合わせて確認して、ああ、やっぱり逃げようはないのか、と覚悟を決めました」
そう言って石田はほほ笑んだ。彼が今作で演じた役柄は、主人公の結城理と、理が仲を深めてきた友人であり、世界の滅びの宣告者《デス》という正体も明かされていく望月綾時。まず、今作の理の印象を尋ねると、「しっかりしたというか、人間らしくなったね、人間らしくなれたね、という感慨がいちばん大きいですね」という答えが返ってきた。
「第1章のときには、周りに言われたことを『わかった』と何でも受け入れていた理ですが、今では自分の意志をもち、さらに、その意志を周りに伝えて、ともにあるひとつの決断に至ることもできた。そんな理の成長、仲間たちとのかかわり方の強化は、ぜひ感じていただきたいポイントです」
演じる立場から見ても、理は季節を経るごとに、より刺激的なキャラクターになっていったのだという。
「もともとの理のような淡々としたキャラクターは、考えがブレないので演じやすいんですけど、でも、そういう芝居っておもしろいかおもしろくないかで言ったら・・・・・・あまりおもしろくはない(笑)。なので、彼のなかに心の揺れが生まれて、どんどん人間味が出てきたことがうれしかったですね。そのぶん、彼がどう感じているのか、どう考えているのかを解析していくハードルもどんどん上がっていくんですが、それがおもしろいんです」
クライマックスに向かう物語のうねりと、理が人間としておもしろくなっていく輝きとがシンクロして、それが石田本人にとってのエネルギーにもなっていく。
「何て言ったらいいんだろうな、演じていくごとに作品が『もっと来いよ!』って言ってくれる気がしたんです」
一方、綾時の印象を問うと「理と違って、社交的で行動力があって⋯⋯とタイプの違うキャラクターなんですよね」とつぶやいた。
「理みたいに周りから一歩引いたところにいつもいるようなタイプの人間にとって綾時は、ある種、こういうふうに生きられたら俺にも違った人生があったのかもしれない、と感じさせるような存在で。こういう人間が自分にかかわってきたら、どう接したらいいんだろう? とか、いろいろ考えさせられたりするんじゃないかな。演じるうえでは、理でやらないことを綾時としてやればいい、というふうに考えていました。理の裏面をやる、みたいな気持ちで向かっていましたね」
背中合わせの存在をそれぞれに表現していった石田。第4章のアフレコは、先に綾時にまつわるパートを録り、後日、理として、ほかのキャストといっしょにそこに向き合っていく、という順で進められた。
「自分が言ったセリフに対して、自分で返していく作業ですよね。もし綾時を別の役者さんが担当されていたら、相手はどんな想いを込めて、こういう言い方をしているんだろう? と、その都度受け取りながら返していくわけですけど、今作の場合は、スタジオに入って、その声を聞いた瞬間にその声の主の気持ちもわかっている、という状況なわけです。あらかじめでき上がっているパズルのようなものなので、理と綾時のやりとりに関しては、通常の作品にはないハマリ方になっているのではないでしょうか」
避けられない滅びが迫り、急速にせつなさを帯びていく物語。そのなかで最も印象深かったと石田が語るのは、理と仲間たちがひとつの決断に至るまでを描いたそれぞれの時間だ。
「かなわぬ相手だとしても正面からニュクスに立ち向かって、ガチで殴り合おうぜ、とみんなが決断する前です。この世はもうすぐ終わるよって、理不尽に自分の人生を止められてしまう事態に直面したときの、特別課外活動部のみんなの立ち居振る舞いが、それぞれ本当に生々しくって、ね。たとえば、順平が『何でこんなことになっちゃうんだよ』みたいな叫びを理にぶつけちゃったり。僕らの世界に影時間はないですから、あったとしても気づいてないですから、こんな事態が迫ってくることはないと思い込んでいますけど、でも、もしも彼らと同じ局面に立たされたら、誰と近い反応をするんだろう? なんて考えてしまいます」
第4章の監督は、第2章でも監督を務めた田口智久。監督について聞くと、石田は楽しそうに語る。
「田口監督は第2章の舞台あいさつで盛り上がった、ラブホにロケハンに行った話の印象が強くて(笑)。俺のアイデンティティはそこじゃない! と監督は叫びたいと思うのですが、でも、そんなこともあったおかげで、監督と役者の間にある垣根がすごく低くなったような気がかってにしていたので、第4章でもごいっしょできてうれしかったです」
そして、石田は、劇場版全4章を走り切った今の想いを語った。
「起承転結の起に当たる第1章で映画としての『ペルソナ3』の土台をつくって、その上に章を積み重ねてきたのですが、章を追うごとにファンの皆さんの賛同の声も大きくなっていった印象で⋯⋯。毎回熱気で劇場をいっぱいにしていただけたことが、演じる側、制作側にとっての自信につながっていました。そのパワーをいただけたからこそ最後まで走り切れたのだ、という感覚が強くあります。ありがとうございます」
●いしだ・あきら/ 11月2日生まれ、愛知県出身。主な出演作品は、「昭和元禄落語心中」八代目 有楽亭八雲/菊比古役、 「Dimension W」アルベルト・シューマン役、「銀魂」桂小太郎役ほか
10年前、理はアイギスに出会っていた。アイギスはデスと死闘を繰り広げ、最後の力で理のなかにデスを封じ込めたのだ。忘れていた10年前の記憶を取り戻したアイギスは理とみんなが苦しみながら滅びを迎えることを望まなかったが、理のことばに、アイギスも滅びから目をそらさず、立ち向かう決意をする
滅びの時が迫ることを知り、特別課外活動部のメンバーは “滅び” の運命にうろたえ、それぞれに考え、向き合っていく。順平は理に辛く当たってしまったこともあったが「俺、サイテーにかっこ悪かった」と謝り、理がどんな選択をしても自分もみんなも恨まないと伝えた
綾時の正体は10年間理のなかに封じられ、大型シャドウを倒すごとに理のなかで育った宣告者・デスだった。来たる滅びの時を前に、綾時は自分を殺してすべてを忘れて迎えるか、このまま恐怖におびえながら迎えるかの選択を理にゆだねた。綾時を殺せるのは理だけ――綾時と理のつながりが生んだ最後の選択を前に、理は決意を固める
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patsatshit · 6 months
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ようやく寒くなり冬らしい空になってきた。先週までは上着もいらないくらい暖かかったので天気大ジョーブかい?って気にしていたのに…。そろそろダウンの登場か。今年も経たねぇ……。というわけで今日は一日クローゼットの整理をしていた。ここ数年は滅多に服を買わなくなった。
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大学生の頃は今よりファッションに対するアンテナがビンビンに張っていて、特に古着に興味津々だった。自分のイメージを映画や書物から写真を撮りpinterestに保存しては似た服を探し歩いていた。例えば画家のデュギー・フィールズが被っていた歪曲なベレー帽とカウボーイワッペンが付いたブルゾンの着こなし、ダン・アンド・カンパニーのボウラー帽子の合わせ方など、主にアンティークな雑誌やポスターから頭に仕入れて、古着屋でそれっぽいものを探してはバイト代を注ぎ込んでいた。下北、原宿、高円寺へ行けば大体の理想が叶う。
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でも年齢を重ねる内に服がほしいというよりも着こなしがしたいと思うようになった。自分なりの服装哲学がないままにお金やエネルギーを注ぐのは馬鹿らしい。自分の肌に合った布を選び、着心地の良い服装をする。それっぽいものを探して着ることよりも自分の生き方に合った服装をすることの方が大事な気がした。仕事着もできれば私服にしたいが、スウェットで他企業に乗り込むわけにはいかない。893じゃないんだから。ビジネス着とはいえ、できるだけ自分の雰囲気、感触に合ったものにしたい。
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クローゼットの中はほとんど学生時代に買った服ばかり。どうにか組み替えて着続けている。30越えたら服装もグレードアップさせたいな、とか思ってた時期はあるけど、趣味嗜好があの頃と変わらないから一生これやな…というモード。いいものはいい、ということは分かっているから手放す必要がない。学生時代、一生懸命アルバイトをして手に入れた91年製のAIR MAX90、バブアーのブルゾンはもちろん、傷み知らずのスティーブンアランのワークコートなど…。それぞれに思い出がいっこ乗っかってるから手放しづらいというのもある。だからアウターやトップスに関しては出来るだけ今あるもので、着こなしを変えていきたいと思う。春夏秋冬と自分の体質(冷え性とか)、行き先などに合わせて組み合わせを考える。この時間が結構楽しい。もうあかんかなぁって思ってた「NISHIMOTO IS THE MOUTH」のえぐ重たいスウェットの使い途とかサーマルが大好きなこととか何通りもの発見があった。
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↑昨年ご縁があって購入したkitai condiment さんのコーデュロイパンツ。また履ける時期がきた。嬉しい。後ろっ側バックルで絞るという発想、天才。こなれ感がかわいい。
ブランドはあまり分からないけど、季節や肌に合った布選びがしたいなと思う。
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最近またまたフラカンがキテる。Creepy Nutsのラジオ聴き直していて、2020年のどっかの回で、Rさんが「深夜高速」の歌詞にグサっときたって言ってた話にめちゃめちゃ共感した。私もふとラジオから流れてきた「生きててよかった」にジワッときた一人。同じ番組聴いとったんちゃうか…。
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最近James Herseyというアーティストを知ってずっと聴いてる。私の映画アカウントに頻繁に「いいね!」をつけてくれた縁(一方的な)でCD買いました。
最新アルバム『Let It Shine』は全体的に明るい曲調で、正直聴いたことあるメロディやなぁと思っていたのけど、陰のある歌詞にグッときた。この感じでダークな世界なんだ…!という驚き。作家性に惹かれました。James HerseyからMaël & Jonas、JEREMIASなどのジャーマン系インディーバンドを知りました。嬉しい発見。
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ここ数日、誠光社の堀部さんに借りっぱなしさせてもらってる『ガロ』をまたまたまたまた読み直してる。
やっぱり「昔は良かったなぁ」じゃないけどもこの思いつきと情熱だけで独自路線を貫いてる感じ、懐古モードに入ってアァーいいなぁってなる。矛盾を孕んだ世界を自ら選択して抑制されてんだから、やりたいことやったもん勝ちなんだと目の当たりにさせられると普通にショックを受けるわけです。いろいろばかばかしくなってくる。ハイ!放棄!ができればいいけど。人間は人間らしく生きるべきだなぁと実感。数ヶ月間のすさんだ気持ちを昇華できたのは沼田元気さんの「憩」の被写体とヒップvsスクエアの文、しりあがり寿せんせーの漫画のおかげかな。
沼田さんのヒップとスクエアの概念、そうなんだよなぁと共感得られすぎて辛くなりつつもあり、ほんのわずかに希望を持たせてくれた。常にもやもやしてること、考えてるけど吐き出せないことをハッキリ言葉にしてくれてありがとうございます。
あと個人的に面白かったのは『男の座談会』。松井良彦、中原昌也、根本敬という特殊なアーティスツによるクレイジー(猥雑)な映画談義。想像力たくましく一気に読みました。事細かに書くのは控えたいが、舞台挨拶の後に上裸の女性が自分のオートバイに股がって悩み相談、から「ブス」までのエピソードの破壊力…完全に危ない人なんだけど、それがもう治安の悪さを物語ってる。『豚鶏心中』観てファン層のヤバさ(いい意味で)に共感してみたい、とか謎の好奇心に冒される。
とにかく早く返さなきゃ。
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jaguarmen99 · 6 months
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宇宙から陽子などの微粒子が高エネルギーで降り注ぐ「宇宙線」の観測に取り組む大阪公立大などの国際研究グループが、過去最大規模のエネルギーを持つ宇宙線の検出に成功した。 到来した方向には発生源となりうる天体が見当たらず、未知の天体現象に由来した可能性がある。グループは「アマテラス粒子」と名付けて粒子の種類や発生源を調べる。成果をまとめた論文は24日(日本時間)、米科学誌「サイエンス」に掲載された。 宇宙線は宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線で、大規模な爆発やブラックホールなどが発生源と考えられている。宇宙における数々の現象を解き明かすカギになるとされている。研究グループは米・ユタ州の砂漠で、琵琶湖の面積に近い700平方キロメートルのエリアに507台の検出器を等間隔に設置。2021年5月27日早朝に244エクサ(エクサは10の18乗)電子ボルトのエネルギーを持つ宇宙線が観測されたという。1991年に観測された「オーマイゴッド粒子」(320エクサ電子ボルト)に次ぐ高エネルギーで、雷2・4兆回分にあたるエネルギーが込められている計算になる。アマテラス粒子の第1発見者となった大阪公立大の藤井俊博准教授は「最初は間違いではないかと思った。さらに研究を進めることで、未知の宇宙現象を解明できる可能性がある」と話した。
雷2.4兆回分か、高エネルギーの宇宙線検出 「アマテラス粒子」と命名 ���阪公立大など - ライブドアニュース
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20240520
Red Hot Chili Peppers @東京ドーム
もう何度も観ているのにどうして毎回毎回こんなにも心躍るんだろう!と大興奮するのと同じ位に、この勇姿をいつまで見ることができるんだろうなと思ってどことなく悲しくもなる。好きなバンドを好きなまま一緒に歳をとることってこういうことなんだろうと思った。もちろんそれ故にさらに感動、ということでもあるわけです。昨年2月に続くRed Hot Chili Peppers来日公演。もちろん最高でしたー!
去年は大阪城ホールまで観にいって、そのついでに太陽の塔の中に入ったんだけど、内部にある太陽の間という場所に
"太陽は人間生命の根源だ
惜しみなく光と熱をふりそそぐ
この神聖な核
われわれは猛烈な祭りによって
太陽と交歓し
その燃えるエネルギーにこたえる"
という岡本太郎の言葉が掲示してあった。これ、レッチリというバンドが放つものと全く同じだなと感動したんだけど、今日もまさにこんな体験だった。しかも、ごくシンプルなセットをバックにバンドだけでそれをやるんだよ!そんな嬉しいことってないよね。
去年よりスクリーンとステージやぐらが大きかったような気がしたのは気のせいかな。あとアンソニーは去年より声がよく出ていたと思う。あとは"Parallel Universe"聴けたのは嬉しかったなあ。
世界最強ロック・バンドと呼ばれるけど、実は全く強くなくて、いつもギリギリのところで活動をかろうじて続けてきたこのバンド、それが40年続いたというのが奇跡のようなものだし、この次とかこの先を考えるにはあまりに危うさみたいなものを感じてしまうけど、これからも1曲でも多く彼らが作る音楽を聴いていたいなと祈るばかり。高校生の時から好きなバンドだもんなあ。
当たり前だけどバンドが歳を取るのと同じく僕たちファンも歳をとる。多分感性も体力も先に鈍るのは僕たちのはず。そして、もちろんバンドも鈍ってくる。僕にもいくつかそんな風に一緒に歳をとってきたバンドがいるので、そういう人たちはちゃんと観れる時に観ておかなきゃと改めて思う。というわけで、来週はビッグウィークです✌️
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nyantria · 5 months
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“You’ll Burn and we’ll be happy”
https://grrrgraphics.com/the-burning-times-maui-wildfires/
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漫画掲載:2023年8月15日
ジョー・バイデンはマウイ島ラハイナで発生した壊滅的な火災についてコメントしないかもしれないが... 私はコメントする。
ティナと私は何年も前にマウイ島を訪れたが、私にとってマウイ島は本当にパラダイスだった。ラハイナは島の北西海岸にある趣のある町で、魅力的だった。それが突然、700マイルも離れたハリケーンが煽った火事で消滅してしまったのを見て、私は心を痛めた。愛する人を失ったすべての家族に哀悼の意を表します。
この火事で100人近くが亡くなり、その数は増え続けている。この火災は、数年前にカリフォルニア州パラダイスで起きた火災を思い出させた。
あの火事は非常に珍しいものだった。エンジンブロックを溶かしながら、近くの木々を免れたケースもあった。あれは指向性エネルギーの実験だったのか?ある種の指向性エネルギービーム、レーザー、マイクロ波が使われたのでしょうか?私が『陰謀論者』であることは承知している。9月11日にビル7が崩壊したのを見た後、そしてゲイツ、ファウチ、ビッグファーマが世界に押し付けた計画的な疫病の後では、私には疑う権利がある。
政府軍が長い間、気象実験を行ってきたことは誰もが知っている。権力に狂ったコントロールフリークのやることだ。しかし、我々はそれを知っている。ラハイナでの突然の大火災は、不吉なグローバリストの仕業なのだろうか?彼らは意図的に住民を一掃しようとしたのだろうか?確かなことは言えないが、現地の市民は "爆弾を落とされたようだった "と言っている。
確かにある種の指向性エネルギービームが使われたように見えた。水中のボートも燃えた。警報システムはどうなったのか?サイレンもなかったし、政府からの警告もなかった。ハワイ州知事は安易な方法で『気候変動』のせいにした。
本当か?1、2週間前、彼らは赤道付近の海が沸騰しているという嘘をついた。今度は気候が暑すぎて島で自然発火が起きたとでも言うのだろうか?
意図的に火を放った可能性が高い。あるいは、送電線が風で吹き飛ばされ、非常に乾燥した外来種の草に火が燃え移ったのかもしれない。それにしても、なぜある建物は助かったのに、ある建物は焼け焦げてしまったのだろうか?またしてもカリフォルニアの火事に似ている。グローバリストたちは、貧しい人々だけでなく、中産階級とそのビジネスを焼き尽くそうとしているのだろうか?封鎖の間、彼らはそうした。中小企業は閉鎖された。すべては国連のアジェンダ21と30の計画の一部なのだ。WEFのクラウス・シュワブ会長は、私たちは何も所有せず、幸せになると言った。彼は私たちに肉ではなく虫を食べさせようとしている。実際には、彼は私たちが死ぬことを望んでいる。致命的なワクチンや町全体を焼き払うことがその手始めだ。
ラハイナで実際に何が起こったのか、未来に答えが出るかもしれない。住民の多くは再建に十分な保険に加入していないだろうし、長年にわたって追加されてきた複雑な建築基準法や規制のために、再建にははるかに高額な費用がかかるだろう。超富裕層が急襲して土地を買い占めるようなことがあれば、私たちの疑念は確信に変わるだろう。マウイ島のスペースは非常に限られており、オプラやベゾスのようなグローバリストの億万長者たちは、この土地に鉤爪をかけたいのだろう。
しかし、レガシーなメディアは、この火災の原因を調査するどころか、すぐに完全に無視してしまうに違いない。その代わりに、この火災を「気候変動」の証拠として、お決まりの「専門家」の大声で引き合いに出されることになるだろう。それはでたらめだ。
私たちの多くは、科学者を買収し、その科学者が自分たちの主張を通すためにデータを選別し、それを企業メディア(これも買収された)が後押ししていることを知っている。気候変動に関する彼らのシナリオはすぐには消えない。彼らはそれを「証明」するために、喜んで町全体を焼き尽くすだろう。
- Ben Garrison
The Burning Times, Maui Wildfires – GrrrGraphics
日本もあちこち燃えてるよね〜 今年は日本が標的かも〜(これまでもそうだったけどあからさまに始まった感)
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kennak · 20 days
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①勇気 探査報道は、知られたくない秘密を掘り起こすので危険に晒される。当局からの圧力、上司からの検閲、場合によっては死の脅威に直面する。それらを押し退けるには勇気と勇敢さが必要だ。 ②好奇心 日常生活で5つの「W」と1つの「H」を尋ねる能力が探査報道の始まりだ。 ③情熱 ジャーナリズムはあなたを金持ちにする可能性は低く、あなたから多くの時間とエネルギーを吸い上げる。また、探査報道ジャーナリストであることは、権力者の虎の尾を踏む可能性が高い。場合によってはあなたの生命に危険を及ぼす。この仕事に挑戦しようとするのは、真実、正義、あるいは声なき声の代弁者になるというような、より高潔な大義を信じているからこそだ。 ④自主性 多くのニューズルームは限られた資源で運営されている上、厳しい締め切りに追われている。探査報道ジャーナリストは、自主的にリサーチし、アイデアをしっかりとした記事計画に形作る必要がある。取材のための助成金を自分で見つける努力も必要だ。 ⑤思慮分別 口が軽いと関係者の命を危険にさらすことがある。情報をライバルに密告され、スクープをすっぱ抜かれる場合もある。口が軽いだけで計画が台無しになる。 ⑥公正さと倫理 探査報道は、情報源の仕事の安全や生命さえも危険にさらす可能性がある。無謀な告発者も同様に危険だ。優れた探査報道ジャーナリストは、情報源にも取材対象にも丁寧に対応する。可能な限り危害から保護されるよう、行動規範をしっかり身につけている。 ⑦論理的思考、自己規律 探査報道は時間がかかる。多くの場合、法的リスクがあるため詳細な検証が行われるからだ。事実を何回もしつこく確認するため、時間の使い方を工夫して慎重な計画を立てる必要がある。 ⑧幅広い一般知識と優れた調査スキル 取材していて不得意な分野が出てきた場合、探査報道ジ���ーナリストはその分野の背景、慣習、用語、登場人物、問題点をすばやく習熟する必要がある。専門家とのコミュニケーション能力、検索エンジンを活用する能力、有用な本を見つけて拾い読みする能力などすべてが不可欠だ。幅広い読書も重要だ。 ⑨柔軟性 取材が予想に反し、当初よりも遥かに興味深い方向に行く場合がある。最初から行き詰まることもある。探査報道ジャーナリストは、こういう場合には最初のアイデアに縛られず、取材計画を練り直す柔軟さが大切だ。 ⑩チームスピリットとコミュニケーション能力 秘密厳守が非常に重要なため、場合によっては、特定の安全保護手段を講じるまで記事を他の人と共有できないことがある。しかしほとんどの場合、最良の記事は、ニューズルーム内外のスキルを結集した協力的な取り組みから生まれる。カトリックの司祭による児童への性的虐待事件を暴いた『スポットライト』のチームがいい例だ。
探査報道の記事を書くためには、科学や健康、経済学から社会学に至るまで、あらゆる知識が要求される。一人のジャーナリストでは、いかにその人が博学でも、すべての分野の専門家になることはできない。優れた人脈が、チームの一部となり貢献する。良好なコミュニケーションも、チームワークにとって大切だ。チーム全体が記事の目的を確実に共有し、正確性、誠実さ、機密性に対する高い意識を持てるようになる。
探査報道ジャーナリスト10要件(107) | Tansa
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Dainichi Nyorai (the sun) also dies - Esoteric Buddhism 2 (essay)
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In 1995, Shoko Asahara, the founder of Aum Shinrikyo, who caused the subway sarin gas attack in Japan that killed and injured thousands of people, said that Esoteric Buddhism was a superior sect within Buddhism. In Japan, there is a tendency to praise Kuukai, who introduced esoteric Buddhism, as an exceptional religious figure. Is that so? The supreme deity of Esoteric Buddhism is Dainichi Nyorai, the incarnation of the sun. Kuukai has been certified as Dainichi Nyorai through rituals, so he is a hardcore figure.
The blazing sun is a being that never rests for a moment, emitting energy of light and heat and giving blessings to all things. However, science teaches: ``The sun also has a lifespan, and someday it will burn out and die.''Currently, the sun is in its prime, but the teaching of Buddhism is that everything that exists is subject to ``birth, old age, illness, and death.'' This is the fundamental point, and the Buddha made his argument from there. It would be foolish to think that only the sun can escape birth, old age, disease, and death. It is irrational to think that the sun will live forever by capturing only a fleeting moment of life.In that sense, the teachings of Esoteric Buddhism go against the entire teachings of Buddhism and are laughable.
By the way, as proof of the worship of light and heat, there is a strange practice in Esoteric Buddhism called ``burning goma,'' in which a pedestal is made of wood and a fire is lit inside. It seems like they want to imitate the energy of the sun's light and heat, but even if they repeat this childish behavior, certain death will come to them. It would be a wasted effort. You could say that Kuukai was an idiot.
Rei Morishita
大日如来(太陽)も死ぬー密教2(エッセイ)
1995年、日本で地下鉄サリン事件を起こし、数千人を死傷させたオウム真理教の教祖:麻原彰晃は、密教が仏教のなかで優れた宗派であるとしていた。確かに日本では密教を伝えた空海を格別な宗教人として称える風潮がある。そうなのだろうか?密教の最高神は大日如来であり、太陽の化身である。空海自身、儀式で大日如来であると認定されているから、筋金入りである。
燃え盛る太陽、一瞬たりとも休まず光や熱のエネルギーを発散し、万物に恵みを与える存在。だが、科学は教える:「太陽にも寿命があり、いつかかならず燃え尽き、死ぬ。」今現在太陽は壮年期であるが、存在するものには必ず「生老病死」があるというのが、仏教の教えの根本であり、仏陀はそこから論を立てた。太陽だけが「生老病死」から逃れられると考えるのは、愚かだと言えよう。生の一瞬のみとらえて太陽が永遠に生きると考えるのは不合理だ。
その意味で、密教の教えは仏教の教え全体に背くものであり、笑止である。
ちなみに、光と熱を崇めるという証拠に、密教では「護摩を焚く」といって、木を組んで台座を作り、その中で火を燃やすという奇習がある。よほど太陽の光と熱のエネルギーにあやかりたいのだと思われるが、こんな児戯に類する行為を繰り返しても、確実な死が、その者たちにやってくるのだ。無駄な努力であろう。空海は、馬鹿だと言ってよいだろう。
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ari0921 · 7 months
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【詳報】日印国際シンポジウム「激動する世界の中の日米印関係」
国家基本問題研究所はインドから国際戦略研究の第一人者であるブラーマ・チェラニー名誉教授を招き、藤崎一郎元駐米大使、近藤正規ICU上級准教授と共に「激動する世界の中の日米印関係」をテーマに議論しました。チェラニー氏の講演をご紹介します。
中国の侵略はロシア型ではない
ブラーマ・チェラニー(Brahma Chellaney)
安倍首相のレガシー
今、世界は交差路にあります。将来どちらの方向に向かうのか不確実性があります。グローバル化は進みましたけれども世界の分断も進んでいます。例えば気候変動のような国際問題でも協力が難しい状況です。世界が機能しなくなる可能性があると国連事務総長が警告を発しています。これは現実のものになりそうです。
ウクライナでの戦争で今、国際的なフォーカスはヨーロッパに移ったわけですけれども、実際は一番大きな安全保障の課題はインド太平洋地域にあるのです。
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というコンセプトはみなさんご存じだと思います。これは、誰が作ったか。故・安倍晋三首相です。四日前に一周忌を迎えました。安倍さんの暗殺は分水嶺でした。日本の歴史の中でもです。ケネディ大統領はアメリカで一九六三年に暗殺されましたけれども、それがアメリカの歴史にとって分水嶺であったのと同様に、です。
ケネディ暗殺と同様に、安倍総理の暗殺によってまだ答えが見つかっていない問いが残っています。例えば、国の安全保障はどうなっているのか。彼はどうして守られることがなかったのか。彼は亡くなったにも拘わらず、安倍さんは生き続けています。つまり、彼はレガシーを残したのです。
この「自由で開かれたインド太平洋」という概念は、より重要になってきました。今日により関連性を持つようになってきたのです。アメリカの二つの政権が次々とこの「自由で開かれたインド太平洋」という概念を受け入れ、アメリカの戦略の中心に据えているのです。アメリカが、外国で作られた概念を受け入れるのは、これが唯一の例ではないでしょうか。それを自分たちの戦略の中心に据えるのは、過去に一度もありません。ですから、これは大変ユニークな安倍総理のレガシーと言えるでしょう。「自由で開かれたインド太平洋」という概念が今日もアメリカの政策の指針となり続けているわけです。
弱い国は守られない
インド太平洋にどういう課題があるのか。大事なのは、この世界では競争と対立は必ずあるものだということです。なぜならば、世界政府が存在しないからです。国際法を執行する世界政府はなく、より弱い国を守ってくれる組織が存在しないわけです。
例えば、ここ二十五年間の歴史を見てみましょう。大国が侵略を繰り返しています。より小さい国の侵略を続けている。同じパターンです。
一九九九年にはNATO(北大西洋条約機構)のユーゴスラビアでの空爆がありました。主権国家が大国によって侵攻を受けるということが繰り返されてきています。これから先の二十五年間も過去二十五年とそんなに大きくは違ってこないのではないでしょうか。
なぜならば一つ理由があります。国際法の厳しい現実です。国際法は力強いものです。しかし、国際法は弱いものに対しては力を持つけれども、強いものに対しては力を持たない。だから主権国家が侵攻され続けるという同じパターンが繰り返されているのです。今日もそうです。主権国家がロシアによって侵攻を受けました。今、国(ウクライナ)の中で戦争が続いているわけです。
ただ特筆したいのは、この侵攻が侵略者の計画通りに進むことはほとんどないということです。過去二十五年、侵略者の計画通りに進んだものは一度もなかったのではないでしょうか。もっと遡っても、非常に上手くいった侵略、侵攻などはないわけです。
イラクのサダム・フセインはクウェートに侵攻したときに力を失った。そして自分の命さえ失うことになってしまいました。
アメリカはアフガニスタンやイラクを侵攻しました。どうなったか。長く、コストの高い軍事の泥沼に入ってしまったわけです。アメリカは二十年間も戦争に足を突っ込むことになり、最終的にはアフガニスタンをタリバンに渡さなければなりませんでした。言い換えれば、アフガニスタンをテロリストの手に渡してしまったということです。アフガニスタンにはそもそもそれを止めるために介入したのにも拘わらず、です。
リビアで西側が介入した時にはどうだったでしょうか。リビアは依然として破綻国家で、全く機能不全に陥ってしまっています。イスラエルは南レバノンを侵攻した結果、十八年間にわたる占領時代に入りましたがそれは終わりを迎えました。イスラエルは全く戦略的な目的を達成しないうちに、撤退しなければならなかったということです。
ロシアがウクライナを侵略した結果がどうなるかは別として、一つ確実に言えることは、非常にその代償は高くつくということです。これは間違いない。そして、ロシアは自らの力を削がれてしまうことになるということです。
ウクライナは過去の侵略と同じように、その悲惨な状況が続いて不安定化してしまう。国内が分断されてしまうかもしれません。ウクライナの領土の二〇パーセントをロシアが占領しており、そこからロシアが引き上げることは考えにくいからです。
ウクライナ戦争の勝者
こういった背景の中で我々が自問自答しなければならないのは、「ウクライナの戦争から勝者は出てくるのか」ということです。ウクライナの戦争は、我々すべての人の生活に影響を及ぼしています。経済的、エネルギー的、政治的、地政学的にも、様々な影響を世界中に及ぼしています。ですからそれはロシアが勝つか、ウクライナが勝つかという意味での勝者ではありません。他にも当事者はいます。欧米が全体としてこの戦争に関わってしまっているからです。ですから「ウクライナ戦争から勝者は出てくるのか」とは、間接・直接を問わず「あらゆる当事者の中から勝者が出てくるのか」ということです。
色々な当事者が関わり、様々な影響を受けています。
ウクライナは最も大きな破壊に苦しんでいます。そして、控えめに見積もってもウクライナの将来は非常に暗いと言えるわけです。
ロシアはどうか。今回の侵略で最も重い制裁を受ける国になってしまいました。今の段階で終戦の見通しは少ないですが、仮に停戦になり、朝鮮戦争のように休戦協定が結ばれたとします。朝鮮戦争は終戦を見ておらず停戦状態がずっと続いています。今、朝鮮半島は紛争が凍結状態にありますが、それはウクライナでも起こりうるわけです。しかし、停戦というシナリオでも欧米の対ロシア制裁はなくならないでしょう。ロシアは予見可能な未来において非常に厳しい制裁を受け続けることになります。その結果、ロシアは経済的な出血が止まらない。また、ロシアは国際的な立場、ステータスも弱まっています。欧米がロシアの首を絞め、孤立化させているからです。
ヨーロッパは大きな影響を受けています。経済的にも、地政学的にも、ウクライナ戦争の影響を受けてしまっています。
アメリカはどうか。もちろん地理的には、戦地から遠い。しかし、アメリカはあまりにもこの戦争に間接的に深く関わっています。例えば、アメリカはウクライナに兵器を供給しています。バイデン大統領は三日前、日曜日にCNNのインタビューで、アメリカは砲弾などがなくなってきていると述べています。アメリカはロシアと直接戦ってるわけではなく、兵器や弾薬をウクライナに提供しています。それが段々と枯渇してきていると述べているわけです。
だからこそバイデン大統領は、他に選択肢がないからクラスター弾をウクライナに提供すると言っているわけです。過去に他の国、シリアやスーダンがクラスター弾を使ったとき、アメリカはそれを戦争犯罪だと非難しましたが、そのアメリカがウクライナにクラスター弾を提供すると言っているわけです。つまりこの紛争は非常に醜い紛争になってしまっているということが分かります。
二匹の猫と猿
アメリカの生産能力、つまり重要な兵器や弾薬の在庫を積み増す製造能力は、ロシアより劣っていることがこれによって詳らかになったわけです。今回の戦争が行われるまで、そんなことは誰も知りませんでした。ロシアの生産能力がアメリカを越えているなんて誰が考えたでしょうか。でもそれが現実になっているのです。
そして中国が力をつけてきているという背景があります。アメリカはウクライナを支えるために戦争のための重要な在庫が減ってきている。そのときに中国の影響力がどんどん大きくなってきている、という状況にあるわけです。ですからアメリカを勝者と言うこともできない。アメリカが今回の戦争の勝者になりうるとは考えられないわけです。
インドには二匹の猫と一匹の猿の児童向けの物語があります。二匹の猫がお菓子を奪い合っている。そこに猿がやってきてお菓子を横取りしてしまう。こんな話です。インドではこの物語で何を子供に教えようとしているのか。それは二匹の当事者が論争したり、戦ったりしていると、全く関係ない第三者が勝者として全部持っていってしまうことがありますよ、というメッセージです。
では現在、誰が二匹の猫なのか。ロシアと欧米です。ケーキを巡って争っているわけです。ケーキとは将来のウクライナです。では、そこに出てくる猿は誰なのか。猿は中国なのです。
今回の戦争は中国にとっては終わってほしくない戦争です。この戦争が長引けば長引くほど中国は力をつけ、アメリカは弱体化する。だから中国はこの戦争の終結を望んではいないわけです。
ではなぜ中国が勝者となるのか。これは日本の安全保障にもインドの安全保障にも直接的な影響があり、アジア、インド太平洋地域の全ての国にも影響があるため述べます。
欧米が科している対ロ制裁は、アメリカの政策当局が中国に差し出したこれまでで最大の贈り物なのです。世界で最も天然資源を豊富に持っているロシアを中国に差し上げてしまったということです。そして中国がロシアとの二国間関係を支配できるようになったのです。ロシアの機微な軍事技術も使えるようになった。中国はロシアのバンカー、銀行になったということなのです。欧米が制裁を科したがゆえにロシアはドルを使えません。ロシアは今、人民元で貿易決済を行っているという状況です。
インドとロシア原油
そして今回の戦争でエネルギーが大変なことになりました。
ヨーロッパは今回、ロシアのエネルギーからスイッチしました。安くてもロシアのエネルギーを買わず、より高いコストをかけてロシア以外からヨーロッパはエネルギーを調達しているわけです。そこで恩恵を受けているのは誰か。
それは中国なのです。中国にとっては二つの棚ぼたと言っても良いでしょう。
もちろんインドは恩恵を受けています。インドは主要なロシアの原油の買い手になってます。なぜならロシアの原油はアメリカ、欧米の制裁の対象となっておらず、石油の決裁にも制裁がかかっていないからです。
一方、イランからの原油はアメリカの制裁の対象となっています。トランプ大統領が色々な制裁をイランにかけ、石油の輸出にも制裁がかかりました。そのアメリカの制裁に応じてインドのイランからの石油輸入はゼロになりました。インドにとってイランは緊密な国だったので、割り引きもありイランが石油のナンバーワン供給国だったのですが、その石油は買えなくなりました。今インドは同じような状況に晒されたくないと考えています。
ですからインドはロシアの石油を買って取引をどんどん増やしています。イランの石油にアクセスできないことを埋め合わせているわけです。
もし、インドがロシアの石油を買わず、イラクやナイジェリアなどから買っていたとしましょう。そうすると世界の市場におけるエネルギーの価格変動はさらに大きくなったでしょう。なぜなら日本や欧米は今、中東からの石油への依存を高めているからです。インドがもしロシアから買わず中東に依存したら価格は高騰します。世界の景気後退を生んでしまうことになるでしょう。
実際、インドは石油の輸入国では三番目に大きく、石油化学製品の輸出では四番目です。ロシアから石油を輸入して生成したものをヨーロッパや他の市場に輸出をしているわけです。もちろんインドが自国の利益のために安い石油を買っているのは間違いありませんが、ある意味、間接的に世界経済の役に立っているのです。
中国の棚ぼた
では、中国にとっての二つの棚ぼたとは何か。
中国がどんどんロシアの石油とガスの輸入を増やしています。陸上輸送です。例えば、液化天然ガスを海上輸送で輸入する場合、封鎖にあう可能性があります。中東から中国に海上輸送する場合には、もし中国が台湾を攻撃した時にはアメリカ海軍が封鎖をすることができます。中国はそのような封鎖にあう可能性があります。
けれども今、中国は中核的なエネルギーをロシアから陸上ルートで輸入しているのです。そうするともう安全です。もし台湾を侵攻してもエネルギーの供給を途中で止めることはできない。封鎖はできません。中国を混乱させ、途絶させることはできないわけです。
中国はい���ゆる「エネルギーのセーフティーネット」を作っているのだと言っています。エネルギーセーフティーネットを作れるのは西側のロシアに対する制裁があるおかげです。ヨーロッパが安いロシアのエネルギーに背を向けたから、それが可能になったわけです。中国がロシアの銀行家になり、ロシアの石油とガスの主要な買い手となったのです。
これが中国の大きな棚ぼたです。
中国にとって二つ目の棚ぼたはイランの石油です。他の国々はアメリカのイランに対する制裁を遵守しましたが中国は決して守らず、イランの石油を買い続けています。でもアメリカの制裁はかかっています。アメリカは中国には制裁をかけるのは怖いと思っているからです。その結果、中国が独占的にイランの石油を買ってる状態なのです。このシナリオの中では、中国に売る時にはイランはさらに価格を安くしなければなりません。中国の市場でイランはロシアと競争しているわけです。
これは、ウクライナでの戦争のおかげなのです。ですから中国は、明らかにより意を強くして大胆になってきています。この戦争は中国にとっては贈り物のようなものなのです。
中国の三戦略
そこで問題です。果たして台湾は次のウクライナになるのでしょうか。
もし、台湾が次のウクライナになるのであれば、直接的に影響を受けるのは日本の安全保障です。日本が軍事的に台湾紛争に巻き込まれる可能性があります。台湾は日本の安全保障の領域に入っているからです。これは日本、もしくはインドから遠くで行われる戦争ではなく、アジア諸国とその権益に大きな影響を与える紛争となるでしょう。
そして台湾が次の紛争地域になる可能性があります。習近平は今、良い時を見計らっている。台湾に攻撃をかけて、アメリカなどを不意打ちにしようとしています。
ロシアはウクライナに対して全面的に侵攻をかけています。でも中国の戦略は全く違うのです。一九七九年、中国はベトナムに対して、ロシアがウクライナに今日やっていることを行いました。つまり中国は全面的に仕掛けてベトナムに入っていきました。そこで中国は痛い目にあったのです。
中国があの一九七九年の失敗からどういう教訓を学んだかと言えば、全面的にやるのではなく、もっと高度な戦略を実行しなければいけないということです。あの失敗の結果、中国の侵略の戦略に大きな転換がありました。
七〇年代に中国は西沙諸島の占拠を行い、拡張主義をとって、南シナ海の地政学的な地図を書き換えました。太平洋とインド洋を繋ぐ重要な回廊ですけれども、中国は一発も銃弾を撃たずにそれを成し遂げたのです。これはものすごい拡張主義です。中国は国際的な対価を支払わず、それを達成しました。
どうやって行ったか。この戦略は少しずつ攻撃を高めるというものです。一つの攻撃を百に分けて行う。ちょっとずつやるわけです。
中国の戦略には一九七〇年代中盤から見られる三つの要素があります。これは中国が今まで行ってきた侵略行為の中で全て使われてます。
まず一つ目は「ステルス(隠密)」、二つ目が「デセプション(欺瞞)」、三つ目が「サプライズ(不意打ち)」です。ステルス、デセプション、サプライズ。中国はひっそり、騙しながら、サプライズをかけるのです。
インドへの侵略
この三要素は、日本に対する中国の戦略でも行われています。これで中国は尖閣問題を国際紛争に持ち込み、日本の空域、海域への侵入を増やしているわけです。
同じく三要素はヒマラヤでの中国の戦略にもあります。この三年以上、中印は軍事紛争を抱えています。十万人以上のインド人、そして十万人以上の中国の兵士が、ヒマラヤの最前線で睨み合っています。この睨み合いがなぜ始まったのか。インドの北部、ラダックにおいて、中国がひそかにインドの領土を少しずつ取っていたからなのです。
ヒマラヤの最前線地帯は、冬は物理的に兵士がそこにいるのさえ厳しい寒さです。その氷や雪のある厳冬に、中国がインドの重要な国境地帯を手中に収めてしまったのです。インドは、それに対して強く対応しました。中国軍に匹敵する軍隊、あるいはそれ以上の軍隊を送りました。そしてインドは絶対に折れないという姿勢を強く示したわけです。
この対立は国際的にはあまり注目されず話題になりませんでした。なぜなら皆ウクライナばかりに目がいっているからです。でも中印のこの対立は今後、最悪の場合は全面戦争になりかねない。少なくともさらに激しい衝突になり得るリスクを孕んでいます。中国の戦略の三要素はここでも揃っているわけです。
万が一、習近平が台湾に対して何か行動を起こすとすれば、間違いなく言えることが一つあります。それは、ロシア型の台湾攻撃にはならないということです。軍隊をフルに使った台湾への侵攻にはなりません。やるとしたら中国は真綿で首を絞めるよう��戦略を取るでしょう。これを「スロースクイーズ」と言いますが、徐々に、徐々に、台湾の息の根を止めていく。それが中国の戦略です。
茹でガエル戦略
中国はそれをどうやってやるのか。台湾海域での中国の実弾演習がそのやり方を示しています。つまり中国が台湾を侵略する場合には、まず台湾の海域と上空を封鎖する方法を取ることが実弾演習から見えます。
中国の侵略は先述のように複数の段階に分かれ、小刻みに行ってきます。
まず、最初の段階は完全な封鎖ではないかもしれません。海警や漁船などを使って台湾海峡を封鎖する。その封鎖の規模を少しずつ広げていく。そして台湾を三六〇度封鎖する。どこからも台湾にアクセスできないように、台湾がどこにもアクセスできないようにするのです。例えば台湾と他の国が繋がっているインターネットのケーブルを切断する。あるいは台湾へのエネルギー供給を止める。台湾は原油の備蓄が七日間分しかないと公式に述べています。中国がこのスロースクイーズ戦略を取ったとすれば台湾は屈服するしかない状況に追い込まれるわけです。
中国は誰の目にも明らかな侵略という形はとりません。まず文民、武装した漁民を使ったりして侵略をしていく。これは我々にとって大きなジレンマになり得るわけです。
ホワイトハウスはこの中国の戦略を「茹でガエル戦略」と呼んでいます。熱いお湯の中にカエルを入れるとすぐに飛び出てカエルは逃げます。でもカエルをお鍋の水の中に入れて少しずつその水の温度を上げていくと、カエルは水が熱くなってきていることに気が付かないのです。水温は少しずつ上がっていくけれどカエルはそれに慣れていく。最終的には沸騰して熱湯で命を奪われるまでカエルは気がつかないのです。中国の侵略もそれと同じです。「茹でガエル戦略」なんです。
インド太平洋地域が鍵
中国の拡張主義はすごくスピードが遅くて、少しずつ欧米や日本、インドのエリートなどを慣らせていくということです。そして、もうどうしようもない、中国の拡張を止めることはできないという状況を生み出していく。そして西側が一致団結するのを防ぐ。一致団結する前に「遅すぎる」という状況を生み出すのです。
バイデン大統領は記者会見で、中国が台湾を攻撃した場合にアメリカは台湾を防衛するのかと聞かれ、こう述べたと言われています。「イエス、過去にない攻撃があったら防衛する」と。でも台湾に対しては「過去にない攻撃」はないでしょう。「明らかな台湾に対する攻撃」も起こらないでしょう。
ではアメリカは、中国が台湾に行っていることが侵略だとどのタイミングで、どの段階で判断するのか。中国がスロースクイーズ戦略を取る場合、どのタイミングで、それが戦争行為であり台湾を守らなければならないとアメリカは腹をくくるのか。
これは台湾の今後の運命、アメリカの将来を左右することになります。もし台湾が中国の手中に落ちてしまったら、それはアメリカのグローバルな優位性の終わりを意味します。
インド太平洋地域は、経済的にも、地政学的にも非常に大きな世界の中心地、ハブとなりました。でもインド太平洋地域は大きな安全保障上の課題に直面しています。インド太平洋地域は広い海を抱えているため、海洋の課題にどう対処するのかが地域の秩序にとって非常に重要な意味を持っているのです。台湾の自治をどう保全していくのかがインド太平洋地域における最も喫緊の課題で、おそらく世界の最も喫緊の課題だと言えるでしょう。
欧米の批評家はよくロシアがウクライナに侵攻したことによって、世界秩序の根幹が揺らいだと言っています。でももし、中国が台湾を取ってしまったなら、それは単に世界秩序の根幹が揺らぐだけではなく、全くこれまでにない秩序が始まってしまうということです。これまでにない秩序が導入されると、この新秩序の下でアメリカの同盟国からなるシステムが破壊されてしまうということです。もし台湾が中国の手中に落ちてしまうことになったとき、日本は日米安保条約の下での安全保障を信頼することができるでしょうか。
インド太平洋地域の大きな課題とは「自由で開かれたインド太平洋」を維持することです。それは安倍さんが望んだことです。そのために必要なのは、地域の秩序を作ることです。
ルールベースの、威圧のない、自由が損なわれない、つまり航行の自由、上空飛行の自由を守るということです。世界の中心が今、インド太平洋に移ってきています。国際安全保障の鍵を握っているのはこの地域です。
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nsmn2s · 9 months
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とあるUAC基地での出来事1
注意 : 落書きレベルの書きなぐりです。
怒りで握られた拳が力任せにデスクを叩く。デスク上の「サミュエル・ハイデン博士」と書かれたネームプレートが衝撃で飛び跳ね、床へ落ちた。
「机の弁償代を給料から天引きするからな」
「そんな事はどうでもいい!」
怒りを向けられている当の本人は呆れたようにため息を吐く。この光景はもう恒例となっていた。
アポもなく上司である彼のオフィスに無礼も承知でズカズカと入れるのは彼女だけだ。
「何度も言ったはずだ、我々の理念を忘れたのかね。入社時の契約にも書かれていただろう。君たちは同意してここに居るのだろう」
「それが私の部下の命を使い捨てにして良いという理由になるとでも言うのか!」
白いアーマーに身を包んだ女性は臆することなく自分より背の高いサイボーグの上司に食ってかかる。
「これで何回目だ、ジェームズにライナスにアヴドゥル……みんな私より若い。昨日お前達研究者とやらが殺したルカは子供が生まれたばかりだったんだぞ!」
彼女が今まで殉職した部下の名前を忘れた事は無い。
「遺族には相応の見舞金が支払われるから問題は無い。それに何度も言うが先進的な研究にはアクシデントは付き物だ。何年も務めている君も知っているだろう、Y/N警備隊長」
二人の間にデスクが無ければ今にでも殴りかかってきそうな彼女に彼は淡々と話す。
「未来のために犠牲はつきものだ」
「何が未来だ。未来ある若者を遊び半分で殺して何が研究だ。私が遺族に死亡通知を書くときどんな気持ちか分かっているのか!?」
彼は淡々と事実を述べていたつもりだが、それは彼女の怒りに油を注ぐばかりだった。
Y/NはUAC火星基地でハイデン直属の警備部隊を束ねる役職で、部下に殉職者が出る度毎回こうして衝突するのが今や施設内で恒例となっていた。
彼女は熱血で義理堅い性格の人物であるため部下からとても信頼されてはいるが、上司のハイデンとはとにかく馬が合わないことで職員の間で有名である。
だがお互い嫌悪し合っている訳では無い。ハイデンは彼女の能力と自分の意見をハッキリと言う物怖じしない態度を評価しており、彼女もまた兵役帰りで就職場所もなく彷徨っていたところを拾い上げてくれた彼に大きな恩義を感じていた。
彼の弟子であるオリビアが彼女をエリートガード部隊に欲しがったことがあった。勿論そのときハイデンは断固として拒否し、Y/Nはハイデンへの恩を選んだ。本人たちは表こそ出さないがそれくらい信頼し合っていた。
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「これで全員か」
「はい。遺体が見つからない者も含めてです」
ハイデンは静かに就任したての警備隊長からの報告を聞いていた。
エネルギーの研究も佳境に入り、研究費も嵩むにつれて人件費や人手不足が拍車をかける。取り扱うものの重要性や規模が大きいほど研究中の死傷者が増えていた。
いつものように電子脳に送られたデータを見直すと、いつもは気に停めない数字に彼は一瞬だけ目を止めてしまった。
「博士、1つ質問しても?」
「良いだろう」
視線を彼へ向ける。
「なぜ対面でも報告を? データでも報告するので二度手間で非効率では?」
「確かにそうだったな」
ハイデンは毎回デスクを拳で殴るあのやかましい女性を思い出す。そういえば彼女は機械を仲介して会話することを嫌う昔気質なところがあった。機械で変換された数値には1番大事な情報が欠落していると言い、対面での会話を好み、医療班よりも先に部下の不調を見抜いたことがあった。ハイデンの腰のジョイントの不具合も見抜いた事もある。
「次回からデータのみの報告で構わない」
そう言って新任を退出させた後、静かなオフィスに残された彼は何となしに自身のデスクの表面を金属の指で撫でる。彼女が叩いて出来た傷は残ってなかった。
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オリビアは処分手前の引き受け先のない遺体を引き取った。
実験中の事故で死亡した遺体は科学的な汚染や情報漏洩の危険が認められなければ遺族の元へと送られる。だがその遺体は損傷が激しく誰の遺体なのかさえも分からなかったため、廃棄処分寸前だった。
これが誰なのか、彼女と彼女に囁きかける悪魔は知っている。
「ついに私の所に来てくれたのね、Y/N」
来るべき時のために、彼女は赤黒い地獄の血肉で満たされた水槽に浮かぶY/Nだった肉片に静かに微笑んだ。
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tanoshiiuchuujin · 2 months
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 💗私の宝もの
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🛸虹の彼方から         
     地球🌏へ
✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
ぼく🌠
お星さまから来たよ
✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
     
🛸🐬🐳🛸🐬🐳🛸🐬🐳🛸
25年前、自宅のお風呂で出産した体験記です。
まずは、生まれてから一年後(2000年)に書いた文章にそのままタイムスリップします。
🛸🎶💫🛸🎶💫🛸🎶💫🛸
 
 🐬🎶🐳
 
1999年3月22日、予定日より少し早く3690㌘の元気な男の子、蒼(あおい)が生まれました🎉🎊
自宅のお風呂でパートナーと二人だけの水中出産です。
おしるしがあってから約三時間後父親の手で無事とりあげられました。
ヘソの緒がつながったままの蒼を胸に抱きかかえ
✨「よく来たねー」✨
 ✨「よく来たねー」✨
とこみあげてくる愛おしさで一杯でした。
覆っていた薄い透明感のある羊膜をはがすと、蒼は母親の顔を確認するように一瞬目を開け
✨「ふんにゃ〜」✨
      と、ひと声
穏やかに優しい産声で挨拶してくれました。
「ぼく来たよ🐬 約束どおり・・・🎵」
そんな風に聞こえました。
それから、オッパイに吸い付いて スヤ…スヤ…スヤ…
そのまましばらく抱きしめていました🍀
ヘソの緒のカットも父親の手によってその辺りのハサミと糸で簡単に終了。
我が子が生まれたというより、再び仲間に会えたような不思議な感じでもありました🛸💫🛸
何となくベビーベッドもベビー布団も用意せずにいたので、私の布団に寝かせることにし、それからずっと一緒の布団に寝ています💕
ベビー用品などほとんどないことが、とてもたくさんのスキンシップにつながりました💞
忘れていた自然な出産は、病院での産後と違って母と子がひとときも離れることなく、蒼と二人でゆりかごの中にいたようでした🍀🍃
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今までの出産は2回とも帝王切開で、医学上は普通分娩が不可能です。
2回となると傷口が裂けるというリスクが高いのがその理由です。
私の地球人生プログラムの中では、数年前からの様々な体験を通して女性性の解放と癒やしと同時に、この医学の倫理観を覆して命の本質へと戻していくメッセージを感じていました。
出産当日までは、たまーに不安が顔を覗かせたりしながらも導かれる流れにまかせて、深いところでは大丈夫!という確信がありました✨
陣痛が進行する中、ほんの一瞬だけ恐れが頭をよぎりましたが、全てを委ねきったとき内なるパワーは全開になりました✨
夫と二人で向かい合って両手を握り、蒼と三人の呼吸はぴったり合って、ベストなリズムで進行していきました✨
ただただ、
✨「ありがとう」✨
  ✨「ありがとう」✨
と湧き上がってくる想いが声に・・・
✨知識はほとんど必要なく、お互いに内なる叡智が全てを知っていたことを実感しました💖
🛸お風呂ごと宇宙船の中にいたような気もします🐬🐳
予定の出張助産婦さんが、出産予定日より遅れると言って先に他の出産へ立ち会っている間、同時にあおいは生まれてきました。
夫婦二人だけの水中出産になりそうなことは予定日が近づく頃から何となく感じていました。
出産のリスクを手放し、医学上のリスクを越えて自然出産が実現するには、夫婦二人の統合エネルギー☯️が必要不可欠でした。
(最も必要だったんです)
✨そこは、焦りや不安、恐怖の無い世界✨
✨(魂の)繫がっている安心と喜びのの世界だからです✨
✨ ✨ ✨ ✨ ✨ ✨
そこには、医学の危険なんて全くどこにも無いのです     
✨ ✨ ✨ ✨ ✨ ✨
命がけの出産とか言いますが、そんな危険と隣合わせみたいなものではなく、
本来、いのちは
✨愛と光と叡智✨に満たされています💖
そまた、解放と癒やしの原点でもありました🌈
存在そのものへの祝福でした💝
🛸🐬🐳🛸🐬🐳🛸🐬🐳🛸
🎠体験から  
 想うこと🎠
究極の喜びであるはずの出産は、西洋医学の統計上でしかない危険性をつくりあげられている為、本来の母性が不自然になって妨げられているのを感じます。
(万が一の為に…とか、最悪の場合…等、恐れの思考です。)
母性が本当の意味で大切にされていない現実を、産婦人科の医療という制度で最も強く感じました。
男性社会に潜んでいる女性性への支配や抑圧(恐れ)を、私は産婦人科の現場に垣間見たような気がします。
本来、出産は病院の「ヤマイ」という字のつくところでおこなわれること自体が不自然だと思います。 
💧多くの女性自らが、そのようなことにはほとんど気がつかず、疑問に思っていないことは残念な悲しいことです。
不自然になってしまった出産が、アンバランスな子育てにつながり、親子の問題はここから始まっているような気がします。
出産は、女性だけが主人公ではなく、男性と女性が平等に参加することによって、その後の子育ての同じスタートラインに立つことができるのではないでしょうか🎵💫🎶
🛸🐬🐳🛸🐬🐳🛸🐬🐳🛸
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🛸🎶💫🛸🎶💫🛸🎶💫🛸
✨このままでいい✨
🛸🐬🎶🛸🐬🎶🛸🐬🎶🛸
💐自宅のお風呂で出産したことは、あふれ出てくる愛と感謝を喜びいっぱい自由に表現できて、命の原点のようなところを実感した体験でした。
💕「イブの出産 アダムの誕生」という本には、水中出産について色々書かれています。
出産は女性性の解放だから
思いっきり声を出して解放しなさい、ということや、
母性は野生性だ、というような内容がありました。
🍃また、生まれてくる赤ちゃんは、激しく泣かないのが、本来の自然体です。
オギヤーと泣き叫ぶのは、元気なしるしなんかではありません。
不安や恐怖で叫んでいるみたいなのです。
本当の命の自然体で生まれると、安心感に包まれているので自然にちょっと声を出すくらいです✨
掌はぎゅっとにぎしめないで、ふわ~と開いてリラックスしています✨
このことは、自然出産した知人たちも同じように語っています。
この出産の2年後、沖縄県宮古島のある助産婦さんのエッセイにも同様の内容が書かれていました。
私のようにしゃがんで産むスタイルは、宮古島の伝統的な出産だということです。
このスタイルは、赤ちゃんが真っ直ぐ真下に降りてくるので、産む側の親にとっても、生まれる側の子にとっても、最も楽な姿勢になります。
🐬🎶🐳
🍀その時、夫は こう語っていました。
✨ものすごい感動だった🎊
✨『自分が産んだ』✨
   
 という実感だ!💫
そして、母子手帳の父親記入欄には蒼に対するメッセージ…💝
感動だった
✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
✨このままで
  いい!✨
✨✨✨✨✨���✨✨✨✨✨
この一言に、人生のありったけの愛を込めて、全身全霊の喜びを表したと思います。
そのまま、ここに全てがあり、完璧、という意味だったと思います✨✨✨
 
🛸🐳🎵🛸🐳🎵🛸🐳🎵🛸
    
 
 🐬💫🐳
ようこそ🍃🌱     
 母なる大地へ
 
 🎉生まれてきてくれて🎊
     
       💐ありがとう
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strabin · 2 months
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 初めてちゃんとした漫画を描いた……疲れた……。
 ちょっと長いので折りたたみます。
 無常とホセのお話は生産者様が少ないのです。更に、私の見たいものや解釈に反しない関係性の話は本当に希少価値が高く、感謝しながらそれを鑑賞する私なのですが……私は強欲なので供給が追い付かないために飢餓感が抑えきれなかったのです。「最近この二人?三人?の話を全く描いてないし!!!あと情報まとめでフォロワー増えたけど正直怖いから自分好みのものを投稿して嫌だと思った人がフォローを外してくれるといいな!(やっぱり好みが違って接点もほぼ無い人に自分のツイートが常にみられていると考えると怖い)」ってわけですな。蛇足だけど、私が現時点で好む両者の関係性はこんな感じです↓
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 「でも話のネタが無いしなぁ」と思っていたら幸いにも、過去の私が妄想を書き留めていたので「これだ!」と描きたいところを描いた。ネタはコレ↓。
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 【話の説明】――漫画だけじゃ伝わらないかもなので書く。
 ホセが乗ろうと言い出して舟に乗った無常とホセ。しかしここは湿度が高く、傘の生命エネルギーが上昇し、ホセが催眠によって深海に沈んだ人が水底へ誘う幻覚を見る。「あぁ、そうだった、海に帰らなければ。」
 唐突に「海へ帰る」と言い出すホセに謝必安は「何事……?」と茶化しながら返答するもホセが片足を水に突っ込んで本当に沈もうとしているのが見えた。引き留めるの赤い光を瞳から放ちながら、左手でホセの魂を吸い取り、右手で水面へと傾いていたホセの体を勢いよく船側へ引き上げる。
 ホセは船へ倒れた。徐々に吸魂の緑の光と目の赤みは消えていき、船は静寂に包まれた。「だから私といたらどんな怪異が起こるか分からないと言ったのに。」ホセの手から転がり落ちていた懐中時計を拾い上げた。ホセの時計には加護があるという噂は耳にしたことがあるが、「海神の加護とはやらはどこへ行ったのですか。」
 ……海神の加護って何なんだろうね。良い方向に向かうとは限らないって言ってるけど、こういう本人的には「海の底に行けば幸せだ!!」みたいなメリバ系の幸せでも加護の一環なのかなぁとかいろいろ思った末のセリフでした。はい。実は最初は無咎で描くつもりだったんだけど、吸魂(意識を失わせるとか?)ができるのは謝必安だなぁと思い無咎ではなく謝必安になりました。別に無咎が嫌いとかではない。
 ……でもな、技術不足を痛感したんだ。コマ割りが分からない・背景と人物がなじまない・トーンでの色塗りができない(だからフルカラーにした)・効果音のつけ方が分からない……漫画を描く人って本当にすごいなぁと思った。描いて下さる方々は尊敬しますね。
 漫画を描いた時のこだわりとかはまた今度追記するよ!!達成感に満ち溢れてウハウハしてる
追記:こだわりと感想です。
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 今思ったけど、3ページ目のうにょうにょしてる感じがさよ教で御幸ちゃんを瓶に詰めている時の画像みたいだなって思った。
 あと書き忘れてたんだけど、月があるのいいよね。背景推理の最後で月が昇るホセさん、悪夢を見続ける謝必安。宝石の国に夜に閉じ込めるという表現があったけど、今回の二人もそんなイメージ。エモくて大好き。……逆に、以前書いていたむじょほせ(ほせむじょ)はこんな感じに背景をふんだんに盛り込んだ話を書いてなかったよなぁ…。解釈違いが多いではあるけど、ああいった可愛さ全振りのはもうかけないのかもしれないと思うと少しだけ残念かも。
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masayuki-hirahara · 3 months
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2024.3.1
今日から新しい作曲に取り掛かっています。
ピアノ協奏曲「宿命」(仮題)
なんのために生まれて、何をして生きるのか。
答えられない日々を沢山過ごしてきたように感じます。
紆余曲折。迷いも沢山ありました。生まれる前から幾ばくかは決まっていたかもしれない今の人生。震災が運んできた音楽家の道。沢山の出逢いがあって今の自分は生かされています。
様々な想いを爆発させて、今日から、ピアノ協奏曲「宿命」(仮題)を、丸3ヶ月間掛けて作曲していきます。
今日は1日、「無」から音を生み出すためのイメージトレーニング。音楽用語もイメージのために色々と書き出し、変則的ソナタ形式にするか、全3楽章にするか、楽器編成はこれでよいか、など、身体中のエネルギーを高める作業。そしてピアノに向かい、がむしゃらにインプロヴィゼーションをおこないました。
明日はさらにエネルギーを高めて、先祖代々繋がってきた魂をも意識しながら、想いを爆発させて取り組んでいきます。
完成披露コンサートについては、追々ご案内させて頂きます。
いつも皆さま温かな応援を心からありがとうございます。
平原誠之
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okdsgr · 5 months
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パイロットの話
https://goo.gl/jbcg4v https://goo.gl/JVEbYM  ------------------------ 三菱重工MHI名古屋航空宇宙システム製作所のテストパイロットの読み物です。 圧倒的な非日常の世界を仕事場にする選ばれた男たちの世界の話です。 マッハの世界なので、大戦期のレシプロ機のエースたちの手記とはまた違った凄み、つまり怖さがあります。 MHIのサイトで閲覧できなくなっていて一部のみのログが残っているのみなので、消えてしまう前に原文まま転載します。 おそらく今後読むのことが難しい作品を、このような形ではあれ広く読めるようにしていくことは、ささやかではありますが意味のあることではないかと思っています。ですから「関係各位」も大目にみてくださったら、ありがたいなあ(敬具)と思っています。
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コックピットから その1 「超音速飛行 GO GATE」 「BINGO」
【超音速飛行 GO GATE】
高度40000フィート速度0.95マッハこれが音速への入り口です。 この付近は遷音速域と言われ、機体の一部分ではすでに音速を超える部分も出てきています。このため飛行機によってはやや不安定な動きをする場合があります。当然パイロットにはそれに対応するために、特別な操舵が必要となります。
例えば、F-4では縦の静安定が逆転します。
飛行機は通常、加速をすれ��機首が上がってきます。逆に減速すれば機首が下がってきます。これを縦の静安定が有ると言います。
F-4も音速以下もしくは音速以上では同じ特性があります。しかし遷音速域ではこれが逆転します。加速すれば、機首が下がろうとして、減速すれば、機首が上がろうとします。
具体的イメージが湧かないと思いますが、例えば、超音速飛行で右の5G旋回をします。旋回をすると抵抗が増えますので飛行機は徐々に減速します。減速してくると普通は、機首が下がろうとしますので、パイロットはさらに操縦桿を引きます。しかし、音速を切った瞬間、その特性が逆転します。
同じ力で操縦桿を引いているとパイロットの入力+飛行機の機首上げ特性で飛行機には、突然、パイロットが予想もしていない大きなGがかかってしまいます。G制限ぎりぎりで運動しているような場合はこれだけで飛行機が壊れてしまいます。ですから、超音速状態で敵に遭遇して空中戦に入った場合は、自分の速度に注意しながらの操縦をしなくてはいけないのです。
お話を音速飛行に戻しましょう。
左手のところにあるレバー(スロットル)を最大パワー位置にします。
戦闘機の場合、最大パワーは2種類あります。(謎笑)
1つは、エンジンの最大回転数を得られる位置です。民間機などでは離陸の時などに使われます。戦闘機乗りは、「BUSTER」と呼びます。技術屋さんは、MIL(ミリタリー)位置と呼びます。
しかし、戦闘機のエンジンにはさらにその上があります。(笑)
この位置は、エンジンの回転数はそのままで、エンジン排気口にさらに燃料を流し込みます。これによって、燃料流量は2倍になり推力が1.5倍ほどになります。これを「GATE」と呼びます。もしくは、MAX(マックス)と言います。
スロットルをこの位置にします。エンジンの排気口には、大量の燃料が再投入され、エンジンノズルが段階的に開いて、アフターバーナーが正常に着火したことを知らせます。
これに伴い、飛行機は急激に加速を始めパイロットを座席に押し付けます。燃料流量計が読み取れない速さで増加していきます。昇降計が小刻みに上下に震え始め、高度計も何を示そうか迷い始めます。
次の瞬間、突然高度計が激しく回り始めて大気の状態をモニターしている、エアーデーターコンピューターが計算が追いつきませんと警報を出します。しかし、目を速度計に移すと機体が音速を超えたことを何も無かったかのごとく平然と示しています。
これが超音速への第1歩です。
50年ほど前まではここまでが人間に許された最大速度でした。多くの勇敢なパイロットたちは壁の向こうを覗いても帰らぬ人になっています。そして、チャック・イエガー氏が最初にこの壁の向こうから帰ってきた男なのです。
しかし、現在はスロットルさえ前に出せば誰でも簡単に訪問できる世界になりました。知識も経験も勇気も必要ありません。玄関ドアを開ける程度の力があれば、音速を超えられるのです。これが、技術者の努力の結果なのでしょう。
音速を超えた飛行機は益々元気になって加速を続けます。後ろを振り返ると、濃紺の空に自分が引いてきた飛行機雲が白い1本の線としてくっきりと見えます。コックピット内もちょっと静かな気がします。何しろ、音より速く飛んでいるのですから!(笑)
機体近傍に目を向けると、自分の横に衝撃波が立っているのが観察できます。それでも、飛行機はさらに加速します。
1.2マッハ付近では飛行機はとても安定しています。あたかも硬い氷の上を滑っている感じです。振動も騒音もありません。対象物が無いので、速度感もありません。ただ青い空が広がるだけです。 多くの飛行機は1.5マッハ付近から、機体を守るために各種リミッターが作動し始めます。
これによってペダルや操縦桿が重くなったりエンジン回転数が変化したり機体全体の特性が著しく変化します。
また、この付近で機首を30度ぐらい引き上げれば、減速しながらも80000フィートぐらいまでは簡単に上昇してしまいます。そこはもう濃紺の宇宙空間です。
高高度のお話は別の機会にまわして今回は、そのまま加速します。
1.8マッハ付近になると、機体が「ギシギシ」ときしみはじめます。機体の色々な場所から短い金属音が出始めます。
この辺の燃料流量は、F-15などでは80000lbsPPH。消防車で、水を撒く程度の燃料を燃やします。
さらに加速していくと金属の焼ける臭いがしてきます。
「いやーこれはやっぱ限界だねーこれ以上行ったら分解?」
こんな思いが脳裏をかすめます。その頃には、すでに音速の2倍以上で飛んでいます。
特別な戦闘機を除き速度限界は2.2マッハです。時速2600キロメートルぐらいでしょうか。
この速度は名古屋~東京間を約8分で通過しますが、これ以上に加速するとアルミ合金が熱によって強度を失います。言い換えれば熱によって機体が融けてしまうのです。ちなみに、飛行機は車と違って最大パワーのままにしておくと、機体が分解するまで加速してしまいます。
【BINGO】
加速開始から、約3分飛行機は「BINGO」と叫びます。「燃料がありましぇーん!」と言っているのです。
そこで、スロットルをアフターバーナーレンジから通常レンジへ引き戻します。しかし、飛行機はこれを無視するかのように超音速飛行を続けます。エンジン回転数もスロットルをIDLEにしているにもかかわらず最大回転数を維持しています。燃料計はみるみる下がっていきます。
「このままでは飛行場まで帰れなくなる!なんとかしなくてはー」
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コックピットから その2 「BINGO」 「ZOOM UP」 「BLACK OUT」 【BINGO】
さて、今回は超音速からの帰還のお話です。 超音速飛行でスロットルをIDLEにしてもエンジン回転数は100パーセントです。車で言えばアクセルから足を離してもフルスロットルでエンジンが回り続けているようなものです。飛行機は「BINGO」を叫んでいます。
【ZOOM UP】
しかし、このままでは本当に燃料が尽きてしまいます。そこでなんとか機体を減速させなくてはいけません。 まず、頭に浮かぶのはスピードブレーキです。F-15の場合は機体上面に畳1畳ほどの板を立ち上げて空気ブレーキを使います。しかし時速2,000キロメートル以上の向かい風で畳を立てるのには、かなりの力と強度が必要��す。 そこでF-15の場合は高速では僅かしか開きません。このため効果はそれなりです。次に別の方法を考えます。飛行機は3次元を運動しています。そこで今度は速度のエネルギーを高度に変更します。坂道を自転車で登るときに坂道の手前で加速してからかけ上がるのと同じです。飛行機の場合は操縦桿を手前に引いて自分の前に上り坂を作って減速させるのです。
ここで、高度のお話をしてみましょう。 このあたりの高度では水分はすでにありません。ですから雲もありません。生命活動もありません。ただ無限に広がる濃紺の孤独で静寂な空間です。頭上を見ると単にギラギラ輝く太陽、眼下を見ると水色の丸い地球とそれを包む薄い大気と白い雲が見えるだけです。一言で4万フィートと言いますが、約12キロメートルです。この高度はもうどんなに頑張っても人間が生活できる環境ではありません。-56℃1/7気圧、すでに飛行機はこんな中を飛んでいます。 ここで機外に放り出されると「ちょっと寒いじゃん」って思っているうちに血液が沸騰して体の中は泡だらけになっています。これはかなりきついかもしれませんね!でもご安心を!酸素も無いので有効意識時間は5秒程度ですから「あれー?なんか変」と感じる時にはすでに黄泉の国に旅立っています。ですからパイロットにとってこの場所で一番怖いのはキャビン圧の漏れなのです。急激に減圧されればだれでも気がつきますがちょろちょろ漏れると知らず知らずのうちに意識がなくなっています。世界的には、今でも減圧もしくは酸素欠乏に起因するであろう高高度事故が時々報告されています。 半宇宙旅行を楽しんでいると、飛行機は音速を切ってくれます。そこで降下に移ります。飛行機は上昇するより、降下するほうが何倍も大変なのです。スピードブレーキを開いて、パワーを最少にして降下を始めます。ここで降下角を大きく取るとまた音速を超えてしまうので速度計を見ながらの降下になります。先ほど実施したズームアップは弾道飛行で、空気のほとんど無い所を飛んでいますから操縦は思うようにはできません。操縦桿はスカスカ状態です。だましだまし降下を続け、3万フィートを切ると、飛行機は俄然元気になります。エンジンパワーも操縦感覚もグライダーから戦闘機に劇的に変わります。
ついでに衝撃波のお話もしてみましょう。空気は音速よりも速く圧力変動を伝えることが出来ません。このため音速よりも速い物体が空気中にいるとエネルギーが溜まった壁が出来あがります。これが衝撃波です。何らかの原因でこの衝撃波が減衰前に地上に伝わるとドカーンドカーンと2回音がして窓ガラスが割れるような現象を発生させかねません。ですから超音速飛行試験は小松から北へ200キロメートルも沖合に出て細心の注意を払いながら実施されています。
【BLACK OUT】
さて、ここで元気になった飛行機の操縦特性を見てみようかとGをかけてみます。90度バンクに入れてスティックを手前に引いて、2G、3G、4G「うん、すごっく調子いいじゃん」さらに5じー6じー…ん? 「あれー?目が、目が見えなーぃ!まっくらだー!」
さて、今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その3 「BLACK OUT」 「VERTIGO」 【BLACK OUT】
戦闘機の命は機動性です。 いかに相手よりも素早く動くかで勝負が決まります。この機動性を決定するための大きな要素の1つがG(ジー)です。Gとは地球の重力加速度をあらわす単位です。それではG変化はどのように感じるのでしょうか。私の体験からご説明しましょう。 皆様が日常体験できるG変化ではエレベーターがありますが、多分これで0.1G程度の変化だと思います。もし興味があるならば、体重計をエレベーターに持ち込んで測定してみてください。0.1Gの変化でも体重が1割増減する筈です。 飛行機に話を戻しましょう。民間の飛行機に乗って旋回時に感じるGは最大でも1.2G程度です。しかし戦闘機ではちょっと操縦桿に触るだけで1.5Gぐらい簡単にかかってしまいます。2GになるとGスーツが膨らんできてGがかかり始めたかなという感じでなかなか心地よい雰囲気です。ジェットコースターなどでは最大2~3G程度かかるようですので普通の人でもこれぐらいまでは許容されるのだと思います。3Gは戦闘機が上空で動くときの基本Gです。
2Gから膨らむGスーツはパイロットの下半身を圧搾空気によって締め付けるためのものです。Gがかかると血液は下に下がって脳に血が行かなくなります。これを物理的に防止するために下半身をしめつけて血液の降下を防止しています。Gスーツは1.5グラム程度の耐G能力を上げると言われています。
さて次は4Gです。これ以上はやはり戦闘機でなくては体験できません。通常の飛行機はこの辺で翼が折れてしまいます。 4Gは簡単なアクロバットなどをする場合にかかります。下腹にぐっと力を入れていれば特に問題はありません。さらに5G宙返りなどのアクロバットにはこの程度のGを使います。体全身に力を込めて頑張ればそれなりに耐える事ができます。そして6Gこの辺からやはり人間の構造的限界が自覚できます。ちょっと気を抜くと視野が狭くなって景色が白黒になってきます。これは目に十分な血液が供給されなくなっていることを示しています。「グレイアウト」と呼びます。
そして7G。ここからは根性との勝負です。 Gスーツはギリギリ下半身を締め付けます。体の力を抜くとブラックアウトと言って目が全く見えなくなります。そこを根性で頑張ります。操縦桿を持つ右手の二の腕でピシピシと音がして毛細血管が切れるのが分かります。何しろ自分の体重の7倍が体中にかかっているのです。 さらに8G。この辺の1Gの変化は劇的です。まず息が出来ません。まぶたも重くてあけているのがやっとです。 そして9Gもう本当に限界です。生きているのがやっとです。あと0.5G増やしたら心臓もお休みしてしまいそうです。9Gはすでに拷問です。「なんでもするから許してー」と叫びたくなります。まあ息はしていないので唸り声しか出ませんがね!(笑)
現在ここが戦闘機の限界です。 いや戦闘機の限界ではなく人間の限界です。戦闘訓練を終えて降りてくると腰は痛いし首は動かないし肩にはくっきりとハーネス痕が残り、足の裏・ふくらはぎ・二の腕など軟らかい部分は内出血しています。いやーまともな商売ではないなーと感じる時です。
しかしここで一番危険なのは意識喪失です。急激にGが立ち上がると人間の体はついてきません。こうなると脳に血液が突然行かなくなるので意識を失う感覚も無く、瞬時に意識を失います。戦闘機乗りが一番恐れている現象です。
マイナスGはさらに愉快です。 この状況を作るにはスティックをちょっと前に押します。普通の人は+0.5G程度で降参します。0Gで目の前で鉛筆が浮かんでいます。体の中身も浮き上がるので食後には気分のいいものではありません。 スティックをもうちょっと押します-1Gです。逆立ちをしているのと同じですごみなどの固定していないものはすべて頭上のキャノピーに張り付きます。そして-2G。これはもう限界です。頭に血が集まるためにひどい頭痛がしてきます。さらに-3G。飛行機はここが限界です。人間は限界を過ぎています。数十秒間この状態が続くとレッドアウトといって景色が真っ赤になって目から血が噴出します。ですからパイロットはこの状態をあまり好みません。 多くの飛行機の戦闘ゲームがありますが、これで実機と一番違うところは押し舵を操縦者が多用することです。もしこの種のゲームを愛されておられる方がおられましたら一度押し舵を使わないで戦闘してみてください。そうすればより実戦的なゲームが楽しめると思います。
【VERTIGO】
さーって、飛行機の調子も良いし帰ろうかなーん?なんかいつもと景色が違う?なんで姿勢指示器が裏返しなの?飛行機壊れた?いーえ、あなたが壊れています。
さて、今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その4 「VERTIGO」 「Fingertip」 【VERTIGO】
バーティゴは空間識失調と言われています。 パイロットはこの現象から逃れることはできません。どんなベテランでも必ず陥ります。上と下が分からなくなるのです。いや分からなくなるというより間違って認識してしまうのです。 今あなたにとって下はどっちですか?足元が下ですよね!なぜかと言えば地球があなたを引っ張っているからそう思っているのです。この感覚が飛行機を操縦する上では大きな障害となってきます。飛行機は3次元を自由に運動します。運動するとそれと反対側に遠心力が働きます。人間はこの力と重力との合成を重力として感じてしまいます。そこで運動の外側が下だと勘違いするのです。 大型民間機の中央の座席に座って離陸時に「すっごーい急上昇!」と思ったことはありませんか?これも一種の勘違いです。前進する加速度をお客様は背中で感じます。するとその加速度と重力の合成が腰の付近に感じるのであたかも急角度で上昇しているように思ってしまうのです。ここで窓の外をちらっと見ると自分が思っているほど急角度で上がっていないのがすぐに分かります。
私の実体験では雲がポツポツある日、空中戦訓練を終了して帰る時に何か景色が記憶と違うのです。確か雲は下だったのに今は自分の頭の上にあります。お天気が変わったのかなーと思いながら姿勢指示器を見ると背面姿勢です。「そうかぼくは上と下を間違えてたのねーぇ!」この場合、飛行機は地上に向かって背面で2G降下をしていたのです。 これだとちゃんと床方向に1Gかかっていますので感覚的に全く違和感はないのです。水平飛行と2Gの背面との区別がつかないのです。このとき私は海と空をも見間違えているのです。地上では海の方が空よりも青いのですが上空では空の方がはるかに青いのです。人間一旦信じ込むとなんでもそれが真実だと感じてしまうのです。
ちなみにこの写真を見て違和感を感じますか?背面飛行しながらOKサインを出しているように見えませんか?もしそう見えたらあなたはすでにバーティゴです。 ではこの勘違いを防止するためにはどうしたら良いのでしょう。それは常に計器を信じる事です。しかし計器も機械ですので壊れているときもあります。「そんじゃーどうするのー?」それでも計器を信じます。
飛行中、自分の姿勢を知るためには姿勢指示器が一番簡単です。外界が見えようと見えまいとこの計器は常に飛行姿勢を示しています。しかしパイロットはすぐには信じません。次に高度計を見て高度変化を確認して次に高度計を確かめるために昇降計をチェックします。そこで何か疑いがあれば次に速度計エンジン計器などもチェックします。 飛行機には沢山の計器がついています。そして各々は別々の情報を指示しますが何らかの関連をもっています。速度計と高度計は別物ですがパワーをいじらずに上昇姿勢にして高度を上げれば必ず速度は減ります。それなのに速度に変化がなければ必ず何かがおかしいのです。 このようにして飛行中は常に多くの計器から1つの真実をいつも探り出そうとしています。そしてその結果が自分の感覚と違っていても計器を信じて自分を否定しなくてはならないのです。
命がかかっている時に自分の感覚や信念を曲げて機械を信じて行動することは至難の業です。それも数秒のうちに判断しなくてはいけません。10秒も悩んでいたら飛行機はすでに取り返しのつかない領域に入っています。飛行機に許されている余裕時間は2秒です。何かが発生して2秒以内に正しい手順を実施すれば故障で飛行機が落ちないようには設計されています。
車で、ここでは感じとしては右に曲がらなくてはいけないんだけどカーナビは左に行けと言っています。この場合あなたはどちらに曲がりますか?まあ、車ならどちらを選んでも「なーんだやっぱ違うじゃん!」って思った時に止まってやり直せますが、飛行機ではそうはいきません。「なーんだ、やっぱ違うじゃん!」って思った時には全てが終わっています。 空間識失調は訓練では克服できません。どんな訓練をいくらやっても結局上下は分かりません。そこでパイロットはいかなるときにも計器を信じるように訓練します。先ずは机上で教育を受け次にシミュレーターで訓練しそして実機で外界の景色を遮断して徹底的に訓練します。だからこそ計器の誤差や故障は許されないのです。 フライトを終わって「この飛行機ここが変だったよ!」と報告しているときに「あーそれは単に計器の故障ですよ!」ってなことを言われるとパイロットが血相を変えて怒るのはこのためなのです。(笑)
【Fingertip】
Fingertipは戦闘機の基本隊形です。手の指をくっつけた時の親指以外のつめの位置が各機の位置です。この隊形で離陸をしてアクロバットもこなし雲の中も飛んで着陸までします。この間ウイングマン(2番機)はリーダー機しか見ません。特に若いパイロットは他を見る余裕などは全くありません。 「このリーダー超へったくっそーいつまで旋回するの?疲れちゃうよー!」こんな思いが頭に浮かびます。 しっかーっし!これもあなたがまたまたバーティゴです。
さて今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その5 「IN Popeye」 「HOME BINGO」 【IN Popeye】
ポップアイ?出目金のお話ではありません。セーラーマンのお話です。 雲の中を飛行していることを「インポパイ」と言います。雲の中では何も見えません、多分牛乳のプールの中に潜ってる感じだと思います。(私はそんなプールに潜ったことないので正確に比較はできませんが…笑)
ここで雲のお話をしましょう。 雲は雲があるのではなくて空気の乱れがあるから雲に見えると言ったほうが良いかもしれません。川でいえば瀬に白波が立ちます。これは白波があるのではなくて、流れが乱されて白波に見えるのです。空気の場合も同じで、流れが乱されると雲ができます。 このため雲の中は気流が乱れているので回りとは性質が全く異なります。それでは頑張って雲の中を飛んでみましょう!
目の前に雲が迫ってきます。キムタクはドラマの中で「雲の頂点が左に流れているから風上側の右に迂回する」と言っていましたが、超正解です。 しかし状況によって避けられない場合もあります。そこで仕方なく雲に突入することになります。先ず前方に山とか障害物が無いことが第一条件です。「あったりまえでしょうー」と、思われる方も多いと思いますが、雲に入ってそのまま山に激突する事故は毎月のように発生しているのが現実です。 次に準備することはシートベルトをしっかり締め直すことです。そして計器飛行に移る準備をします。雲の中では景色が全く見えませんから計器飛行以外に無事に飛ぶ方法はありません。
そして覚悟を決めてズボッ!と雲に入ります。 案の定、回りは真っ白です。そして揺れが始まります。揺れは心地よい軽い揺れから飛行機が分解するような揺れまで様々です。この揺れを正確に前もって予想することはできません。 まぁ90パーセントはそれなりに安全ですので適当に心配しておけば問題ありません。
揺れが始まって数十秒たつと風防が白くなってきます。これはアイシングといわれる現象で、雲の中にある過冷却の水が機体にぶつかって瞬時に凍り、どんどん成長していくために発生します。外が見えない程度なら、それほど大きな問題ではないのですが、氷は機体全体に付着します。翼についた氷は翼の形状を変化させ飛行機の特性を変えてしまいます。エンジン付近についた氷は、大きくなってはがれ落ち、エンジンに吸い込まれて大きなダメージを与えます。そして何よりも機体自体が、氷でだんだん重くなります。 こうなってくるともう飛ぶことはできません。このため飛行機には、いろいろな防氷装置があります。あるものは氷をヒーターで融かし、あるものは風船を膨らませて氷を壊します。 機体へのアイシングは外気温が-3~-10度程度で発生します。また気温は高度を1000フィート上げる毎に2度下がります。ですからこの高度帯を避ければアイシングは発生しません。しかしアイシングを避けようとして、安易に高度を上下すると、もっとひどい目にあうこともありますので、注意が必要です。
雲にはいろいろな種類がありますが、パイロットにとって一番怖いのが入道雲です。入道雲に入ってしまったことはすぐに分かります。先ず、上下左右に大きく振られます。飛行機が木の葉のように舞い踊ります。その次に来るのは、激しい音です。最初は「大粒の雨かな?」なんて思っていますが、実際は氷の塊です。 地上に落ちてくるとヒョウとかアラレと呼ばれるものです。時によっては拳大の氷も浮かんでいます。「ひょえーひどい所にきちゃったなー」なんて思っていると、回りがだんだん暗くなって、雲が緑色に見えてきます。「あれーなんかいる!」「長い蛍?」「光るミミズ?」。そうこうしていると、前方の風防が青白く光り始めます。その中を細長い光が飛び交います。良く見ると機体全体が青く光り始めています。これが「セントエルモの火」と呼ばれるものです。 帆船時代の船乗りは、この光は嵐を知らせる兆候としていたようです。飛行機でも同じです。この光を楽しんでいると「ピシッパシッ」というラップ音が聞こえてきます。そして腕や足の毛が逆立ってきます。こうなってくると、もう近いです!「こりゃーくるぞー!」テレビなどではここでVTRが終わって、結局「霊」は出てこないのですが(笑)、現実は違います。来ちゃうんですねートラのパンツをはいた鬼が! 目の前でそれまで見た事もないような閃光が走ったかと思った瞬間ドッカーンと、大きな音がして自分の体から電気が抜けていくのがわかります。飛行機は比較的雷には強く設計されています。上空で飛行機に雷が落ちても通常この程度です。ただし、着陸後機体を点検すると何か部品がなくなっています。ですから、何があっても入道雲に入るのは避けたほうが良いと思いますよーっ!
【HOME BINGO】
本当に燃料がなくなっていることを飛行機が叫び始めました。燃料の余裕はもうありません。直ちに帰るように言っています。 「でもまだやることあるんだけどなー」
さて今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その6 「Cockpit」 「Control」 【Cockpit】
今回は我々の職場紹介です。 戦闘機の操縦席はコックピットと呼ばれています。日本語で言えば鳥小屋です。中に鶏のようなやつがいるからではなくて、多分極端に狭いのでこのように呼ばれているのだと思います。ほとんどのスイッチやレバーには、そのままの姿勢で届くようになっています。座ったままでなんでも出来る!横着者にはピッタリの職場です(笑)。
コックピット中央にはいざという時に機外に脱出するための射出座席が鎮座しています。正面下には多くの計器、操縦席左右のパネルには無数のスイッチがつ���ています。そして右手用にスティック(操縦桿)、左手用にスロットル(加減速器)、足用にはラダ-ペダルがついています。 またスティックとスロットルにも、やたらとスイッチがついています。これら全てを迷い無く使っていかなくては、戦闘機は動かせません。��能ならパイロットに手がもう1本あって、かつ親指が2本づつあれば理想的です。
このコックピットへは、車などとは違ってキャノピーを開けて、上から乗り込みます。 まず座席に足を置いて、スイッチなどを蹴飛ばさないように注意しながらゆっくり座り込みます。座ったら座席下にあるサバイバルキットと自分を左右つなぎます。そして今度は自分をシートベルトで固定します。この際同時にGスーツを機体ともつなげます。最後にパラシュートと自分を連結させます。飛行機によっては足にも固定装置を付ける場合もあります。もう、がんじがらめ状態です。これにヘルメットをかぶって無線コード1本と2本の酸素ホースをつなげれば、やっと準備完了です。 夏場などはこれだけでダイエット効果が望めます。
座って正面を見ると、HUD(Head Up Display)があります。これは飛行中、パイロットが必要であろう情報を常に表示しています。その上焦点は無限遠点になっているので、あたかも文字や絵が空中に描かれているように見えます。これによって、発見した目標から目を離さずに、自分や相手の状況を知ることができます。 最近のゲームでは、HUD表示がほとんどですから、見慣れている方も多いと思いますが、本物とはかなり違います。
コックピットは冷暖房完備です。フルオートエアコンがついています。夏場地上では35度、そこでキャノピーを閉めれば灼熱地獄、上空にあがれば外気温はマイナス52度、この環境範囲をカバーするように設計されています。また皆様が戦闘機で一番気になるのが騒音だと思います。 エンジンはものすごい音を出しています。しかしコックピット内で聞こえる音は、エンジン音ではなくて意外にもエアコンの噴出音なのです。それも、かなりの音圧です。まあ、パイロットは完全閉鎖型のヘルメットを常時装着しているのでその騒音もほとんど聞こえません。しかし、コックピットには、超おしゃべりなお姉さんが1人住んでいます。エンジンスタートからしゃべり始めます。やれエンジンが調子悪いだとか、はたまた、敵にロックオンされたとか、もう燃料が無いから帰れとか。分かってるって言うのに、しゃべリ続けます。昔は男性の声でしたが、最近はどの飛行機も女性になっています。この方が、パイロットが素直に従ってくれるからでしょうか(笑)。 他に、いろいろな音色の音が出ます。それも連続音であったり、断続音であったり、それらの混合であったりします。「ピッ」と音がしただけで、パイロットは飛行機が何を言いたいのか直ぐに分からなくてはいけません。ですから、我々はやたらと単音の電子音には敏感になっています。
さて話は変わって、コックピットからの景色のお話です。 一言、「それは最高でーす!」何しろ自分の腰より上は全部透明なのですから、民間機に乗って小さな窓から覗くのとは大違いです。景色360度見放題です。そのままでは、さすがに床があるので真下は見られませんが、飛行機を裏返しにすれば下も丸見えになります。昼間は大パノラマ、夕方には燃えるような夕焼け、夜間には全天溢れんばかりの星空が楽しめます。
しかし、この職場の最大の欠点は、孤独なことです。常に1人の世界です。喜びも、感動も、驚きも、恐怖も、すべて1人で受け止めなくてはいけません。何があっても、1人で判断して1人で対処します。地上には存在しないこんな職場が、そこにはあるのです。
【Control】
それでは次回は、飛行機の操縦についてのお話です。お楽しみにーぃ。
------------------------ コックピットから その7 「Control」「Instrument」「Flying Quality」 【Control】
今回は、操縦のお話です。あまり詳しくお話すると、だれでも飛行機の操縦が出来てしまって我々の仕事が奪われる可能性があるので、今回はほどほどに!(笑)
さて飛行機の操縦は、車とさほど変わりません。行きたい方向に操縦桿を傾ければ良いのです。右に行きたければ操縦桿を右に、上に行きたければ操縦桿を手前に!加速したければスロットルを前に進めます。しかし、車と決定的に違うのは、三次元的に変化してしまうことでしょうか。例えば、旋回すると高度は自然に落ちて、速度も変わってしまいます。ひとつを変えると、全部が変わってしまうのです。この現象を防ぐために具体的には、旋回に入るときには、操縦桿を適量倒すと同時に、機首を僅かに上げて、パワーを少々変更しておくことが必要です。すでにお気付きの方もおられると思いますが、今の文章でのキーポイントは、適量、僅かに、少々、ここにあります。この量が会得できればあなたはもうパイロットです。ちなみに 車の免許は18歳からですが、飛行機の免許は16歳から取得可能です。私自身も、車の免許よりも飛行機の免許の方が先でした。
ご自分が、ケッタ(名古屋弁で自転車)に乗れるようになったときを思い出してください。理由は分からないのですが、ある日突然乗れるようになりませんでしたか?飛行機も同じ感覚です。ある日突然着陸が出来るのです。とても不思議な感覚です。それまでは、悩んで勉強して練習して、試行錯誤を繰り返すのですが、いくらやっても着陸はできません。しかし、ある時突然着陸が見えるのです!
ご存知の方は少ないと思いますが、80年代の映画でスピルバーグ監督の「オールウェイズ」というのがあります。この映画で、若いパイロットが、ある日突然操縦が出来るようになります。私は「あー!ぼくもそうだったのかー」と感動したのを覚えています。しかし、友人に話すと「ん?あれってただのラブストーリーじゃん」全く観点がちがいましたー(汗)。いずれにせよ、飛行機の操縦は、ある日突然出来るようになるのです。
1つの飛行機を完全に手に入れると、後はどんな飛行機でも同じです。慣れるまでは上手な操縦はできませんが、安全に飛ぶ程度でしたら機種が変わってもさほど影響はありません。車で言えば、ミニカの運転が完璧にできれば、プラウディアの運転も出来るのと同じです。まあ飛行機は基本的には、機種毎に免許がありますから、法的にはちょっと問題はありますが…。
【Instrument】
飛行機には、無数の計器があります。「あんなに沢山の計器を見るのは大変でしょう?」と質問を受けます。しかし実際は、全部は見ないのでそれほど大変でもないのです(笑)。全ての計器を常にチェックしていたら操縦など出来ません。計器はあくまでも、飛行の参考とするものです。むしろ自分のやった操舵の結果を見るための物です。必要なときに 必要なものだけを見る。これも操縦の極意です。車でも同じですよね!いつもメーターを見ているのではなくて、パトカーを見つけたら、速度計!灰皿が一杯になったら燃料計!おなかがすいたら時計!この程度ですよね?
それでは、飛行機の計器の中で、何が一番大事だと思いますか?高度計?速度計?姿勢指示器?エンジン計器?航法計器? 私は昔から、それは速度計だと思っています。速度だけは、人間にはわからないのです。特に上空には、対象物がありませんから、速度は全くわかりません。お天気が良ければ、高度は、地上の物の大きさで分かります。例えば人間の形が見えれば1,000フィート、車の形が分かれば2,000フィート、家の形が分かれば5,000フィート…。また、速度計がなければ、着陸はできません。飛行機には失速があります。失速とは飛行機がただの金属の塊になることを意味しています。色々な理由で着陸は、出来るだけ低速でしなくてはいけません。そして何があっても 失速速度以下にしてはいけません。このために 速度計は不可欠な計器なのです。
【Flying Quality】
失速の話が出てきたので、次回はちょっと知的に飛行機の特性のお話をしてみたいと思います。簡単に言えば、飛行機の癖?特徴?性質?みたいなものです。皆様が「へー」とうなるような、トリビアを!お楽しみにぃ!
------------------------ コックピットから その8 「Air Speed」「ALTITUDE」「STALL」 【Air Speed】
「飛行機の速度計は…速度を示していない!」「へーへーへぇーっ…!」(笑)
飛行機の速度計と車の速度計には、大きな違いがあるのをご存知でしょうか?まあ機構的にも全く違いますが、それよりも大きな違いは、示している速度が違うことなのです。車の場合は、地面に対する速さを示していますよね!時速100キロメートルで走っている場合、目的地まで100キロメートルなら、到着は1時間後となります。飛行機はピトー管(写真○印)という機械で速度を感じます。自転車に乗って、ゆっくり走る時と、全速で走る時では、体で感じる空気の抵抗は違いますよね?この圧力変化を飛行機は速度に換算しています。また高原では、空気密度が低くなるのは経験上ご存知だと思います。これらの組み合わせで飛行機の速度計は、その高度の空気の密度に対する速度を示しています。
うーん、ちょっと難しいかな?それでは、超具体的にお話しましょう。車で速度計が時速100キロメートルを示しています。この場合走っている場所が、海沿いの道路であっても、山の上のスカイラインであっても、時速100キロメートルですよね!しかし飛行機の場合は違うのです。同じ速度を示していても、高度が違うと、実際の速度も違ってくるのです。飛行機が地上付近で200キロメートルを指示して飛んでいるときは、時速200キロメートルですが、高度が約10キロメートルだと、同じ200キロメートルの指示でも実際の速度は時速350キロメートルぐらいなのです。
ですから目的地までの飛行時間を計算する場合は、先ず計器を見て速度を読んで、計器の誤差補正をして、それに高度補正のために温度補正と密度補正をして、対地速度を求めてから、飛行時間を算出しなくてはいけません。風がある場合はさらにその補正もしなくてはいけません。「それなら今はコンピューターが発達してるんだから、最初から対地速度計にして表示すればいいじゃん!」っと思われる方も多いと思います。でもこれも大きな間違いなのです。
パイロットが最も必要な速度は、コックピット内にある計器の速度で、対地速度ではありません。その理由は飛行機の特性が、この計器に表示される速度で決まるからです。地上付近で、計器時速200キロメートルで失速する飛行機は、高度10キロメートルでも計器時速200キロメートルで失速します。ですから操縦する上においては、対地速度はあまり必要ではなくて、あくまでも計器が示す、空気の密度に対する速度が必要なのです。
一般の乗客の方は飛行機の速度は車と同じだと思って話を聞いているし、パイロットは、特性を示す計器速度だと思っているし、技術者は性能計算用の等価対気速度だと思って話をします。ですから、この3者で話が全く通じないのは当然です(笑)。
「速度計、ガッテンしていただけました?」「ガッテン ガッテン ガッテン!」おっといつのまにか番組が違っていますぅ。
【ALTITUDE】
今度は、高度計のお話です。飛行機は、毎日同じ高度を飛んでいるのではありません。それは、飛行機の高度計が気圧高度を使っているため、気圧の高い日は、同じ高度計指示でも高い高度を、そして低い気圧の日は、低い高度を飛んでしまいます。この結果、飛行機の飛行高度は実際の高度とは違うのです。「ん?なんか危険な香りがしますよねー」。富士山の高さが3,776メートルだからといって、高度計で3,800メートルだから絶対ぶつからない!と思うのは危険です。地球上の気圧変化を考えれば、最低でも500メートルぐらいの違いはあると思って飛んだほうが無難です。しかし飛行機同士の場合は、同じ理論の高度計を使っている筈なので、同じ場所で、違う高度指示ならば衝突することはまずないでしょう。将来、実高度や対地高度で飛行する機体が出てきたときには、高度計も考え直さなくてはいけないかも知れません。
【STALL】
次回は、飛行機で避けて通れない失速のお話です。本格的飛行機の特性のお話です。かなり専門的用語の多発が予想されます(笑)。事前に是非とも航空工学書の1冊でも読破しておいてくださいねー!それではー。
------------------------ コックピットから その9 「STALL」 【STALL】
今回は、お約束どおり失速のお話です。通常の会話で「失速しちゃったよー」というのは、それまでのペースが急に落ちた時や、なんかやる気が無くなった時などに使いますが、飛行機の失速はそんなに甘いものではありません。イメージと��ては、高速道路を車で快適に走っていて、ある速度を切ると、突然道路がぬかるみになってしまうような感じです。
飛行機は、皆さんが想像されているよりも、空気にしっかりと支えられています。普通に飛んでいる限り、飛行機を支えている空気と、車が走っている道路と感覚的違いはありません。むしろ空気の方が安定していて揺れもありません。あたかも 平らな氷の上を滑っているような感じです。しかし一旦ある速度を切ると、それまでしっかりと飛行機を支えていた空気が、突然普通の空気になってしまうのです。こうなると飛行機はただの金属の塊です。地球に向けて一直線に落ちていきます。
それでは実際に、飛行機を失速させてみましょう。基本的には速度を減らしていけば良いのですが、失速後のことを考えると、飛行機の形態、エンジンの推力、補助翼などの中立位置、失速した瞬間の姿勢、残燃料量など、多くの条件を我々に有利にしておかなくてはいけません。これを間違えると取り返しがつかなくなる可能性があります。それと当然十分な高度が必要です。
予想失速速度の1.3倍ぐらいの速度からスタートします。通常はエンジンを絞っていけば徐々に減速していきます。先ず現れる現象は、バフェットと呼ばれる現象です。主翼で剥がれた空気が、胴体や水平尾翼に当たって、機体全体を振動させます。この大きさは、飛行機によって異なっていて、心地よい振動から、飛行機の構造物を壊してしまうような振動まで様々です。一般的には失速速度の1割程度前から発生して失速まで継続します。
「おーこれがバフェットね!おもしろいじゃん!」ってなことを考えていると、失速は突然やってきます。失速そのものの現象は、単に機首が真っ直ぐ下に落ちるものから、機首が横に流れて激しい回転運動を始めるものまで、千差万別です。いずれにせよ一番の問題点は、突然来ることです。「ありゃー」などと思っている時間的余裕はありません、直ぐに定められた手順で回復操舵をしないといけません。5秒も迷っていれば東京タワーの高さぐらいは簡単に落ちてしまいます。
もし、ここで高度に余裕があって、さらに探究心があるならば、さらに操縦桿を引き続けます。おまけで操縦桿を左右どちらかに最大操舵して、反対側のラダ-を踏み込みます。すると「ゴー」という音と共に激しく揺られて、上下左右何がなんだかわからないような運動に入ります。そこで手足を緩めても、同じ激しい運動が続くようなら、スピンモードに入っています。通常スピンは、自然現象として安定しています。木の葉がゆらゆらと揺れながら落ちて行くのと同じです。違いは木の葉が数グラムなのに対して、飛行機は数十トンなだけです(笑)。スピンは、何も対応しなければそのまま継続します。このとき計器類を見ると、姿勢指示器はぐるぐる回り、高度計は読み取れない速度で減少し、速度計だけは極めて低い速度で安定しています。運動が激しい場合は飛行機の構造を破壊しまので適当な所で止めるのが得策です。
スピンモードからの回復操舵は、飛行機によって全く異なります。そのため十分な予習が必要です。スピンを抜け出すと、自動回転運動というのに入ります。これもスピンだと思って、さらに回復操舵をしてしまうと、好ましくないモードに入りますので、正確な状況判定が必要です。自動回転運動に入ると、速度が増加してきて、失速領域から自然に抜け出すことができます。
失速自体は、それほど危険なモードではありませんが、離陸直後や着陸前などは、失速速度の2~3割程度の余裕速度しかありません。ここで何らかの原因で、ちょっとでも減速してしまうと失速してしまいます。ですから、パイロットは離陸後3分、着陸前5分は最高に緊張しています。うーん 今回はちょっと難しかったかな?先月号の予告どおり予習していました?(笑)
次回は、その離着陸の緊張をお伝えしたいと思っています。ご期待ください。
------------------------ コックピットから その10 「Take Off」 【Take Off】
今回は大空への第1歩である離陸についてのお話です。
離陸は飛行機を操縦する上では、比較的やさしいい操舵になります。しかし、その代わりにパイロットには多くの即断が要求されます。それでは実際に、戦闘機を使って離陸してみましょう。
滑走路進入許可をもらって、ゆっくり滑走路に進入します。この時には着陸しようとしている飛行機がいないか、そして滑走路上に障害物などはないかを、自分の目で確認します。またここで大切なのは、出来るだけ滑走路を長く使えるように、無意味に前進しないことです。通常軽装備の戦闘機は4~500メートルで離陸してしまいます。大型民間機でも2,000メートルもあれば離陸します。しかし普通滑走路は3,000メートルもあります。それなのに何故、滑走路は長く使える様に、進入するのでしょう?それは、離陸を断念して、停止するための滑走路長を確保するためで、飛行機は離陸するのに必要な長さの倍以上の距離が停止するためには必要になるからです。
滑走路に進入して停止したら、しっかりブレーキを踏んで、針路計や磁気コンパスを確認します。次に、エンジンチェックを実施します。先ずは、手順書に示されているパワーまでスロットルを進めます。エンジンの計器を素早く読み取って、正常に動いているかどうか確認します。エンジンチェック中に、電気系統、エアコン系統なども確認します。さーって 飛行機はOKなようです。そして管制塔から離陸許可が来ました。離陸です。
再度前方に障害物などがないか確認します。指定されたパワーにして、ブレーキを離します。ゆっくり飛行機は動き始めます。動き始めたのを確認したら、100パーセントパワーにします。このときにも、エンジン計器を確認するのを忘れてはいけません。100パーセントパワーにすると、急に飛行機は加速し始めます。そして必要ならば、スロットルをアフターバーナ領域へ進めます。急激な加速感と、エンジンノズル計器の開きが、アフターバーナへの正常点火を教えてくれます。ブレーキを離してから約5秒後、すでに飛行機は、時速100キロメートルを軽く超えています。空中まであと数秒。
しかしこの付近で飛行機は一番不安定なのです。滑走中は3輪車、そして空中へ飛び出せば飛行機、その変化点なのです。ここで最も影響するのが、風です。特に横風は地上を離れようとしている飛行機にとっては、「嫌がらせ」以外の何ものでもありません。僅か数メートルの横風でも、この場所ではパイロットを真剣にさせるのに十分です。
また、戦闘機にとってはこの地点が大きな決心ポイントです。これまでに機体に異常があれば、離陸を中止して、残滑走路上で止まることを決心し、この点を過ぎてしまえば、何があっても飛び上がらなくてはいけません。(厳密には、もうちょっと複雑な計算が必要ですが…)
さて 離陸速度が近づきました。ゆっくりと機首を引き上げて、離陸姿勢にします。この操作を急激にしたり、過度にすると、思いもかけない事態が発生しますので、細心の注意が必要です。離陸姿勢を維持していると、自然に飛行機は浮きあがります。浮揚を確認して、脚とフラップを格納します。その間も、飛行機はどんどん加速していきます。そのままの姿勢では、滑走路エンド上空で、音速を超えてしまいます。(笑)そこで、決められた上昇速度になるように、機首をさらに上げて速度を維持するようにします。しかしながら今の戦闘機は、膨大な推力があります。速度を維持しようとすると、機首がどんどん上がって、最終的には垂直になってしまいます。搭載物の無いF-2などは真上を向いても加速していきます。そこで適当なところで、アフターバーナをキャンセルして 音速の0.9倍ぐらいの速度で上昇するのが良いでしょう。
これが一連の離陸になりますが、ブレーキを離してから15秒程で、全ての離陸操作が終わります。この間に、パイロットは環境の変化を素早く感じ取って、状況に応じた操舵をしなくてはいけません。そして、この間一瞬も気を緩めることができないのです。ある程度高度が取れれば、やっと、ちょっとひと安心です。
次回は、さらに難しい着陸についてです。飛び上がってしまった飛行機は、何が何でも降ろさなくてはいけません。さて、どのような事態が発生するのでしょう。お楽しみに!
------------------------ コックピットから その11 「Landing」「Final」 【Landing】
着陸は飛行の最終段階です。そして、飛行中��番天候の影響を受け、また飛行機の速度が極めて低く且つ地上に近いために、瞬時の判断の遅れなどが航空事故を引き起こす可能性が最も高い部分でもあるのです。これらの理由から、着陸はパイロットに瞬時の正確な判断が要求されます。
実は、パイロットは離陸する時から、着陸のことは考えています。なぜなら、一度飛び上がってしまえば、何があっても必ず着陸はセットになっているからです。他のミッションは飛行機の状況などで中止が可能ですが、着陸だけはパスできませんからー(笑)。
滑走路の手前約2キロメートル程度からが勝負になります。ここまでは、飛行機の種類や、飛行方法によって様々ですが、この先は、どんな飛行機でもほとんど同じです。それでは実際に着陸してみましょう。接地まで30秒前の地点からです。
ここまでに、自分の飛行機が、着陸できる形態になっているかを確認します。次に飛行場の状況を確認します。特に、気象状況、他機の状況は大切な事項です。これら全てを確認し終えて、着陸操作に専念します。
着陸のための滑走路への接近でやるべきことは、滑走路延長線上を、決められた降下角度で、決められた速度で飛行することです。ですから、この3つの条件さえ満足できれば、着陸は簡単です。しかし「そうは問屋が許しません」(かなり古い表現?)。それは、これら全てが関連しているからです。1つがズレたので直そうとすると、必ず他の2つが乱れるのです。その上、地上付近の風は複雑なので、常に飛行を邪魔しようと狙っています。
1例を見てみましょう。正面に滑走路が見えます、風が右前方から吹いています。飛行機はだんだん左に流されます。そこで右に飛行機を戻すために、浅い右傾斜で飛行機を右に持っていきます。しかしそれと同時に飛行機の向きも右を向いてしまいます。この修正に今度は左ラダーを踏んで飛行機を滑走路方向に向けます。すると今度は揚力の減少と向かい風成分のために、思っていたよりも多くの高度低下を招きます。それを修正しようとして、機首を上げると今度は速度が減ってしまいます。そこでパワーを足します。このように着陸は、修正操舵の繰り返しになります。修正が遅れると、修正量が多くなって、失速ぎりぎりの速度で飛んでいる飛行機にとっては、より危険な状況に近づく可能性があります。
そうこうしていると、滑走路は目の前に迫ってきます、このままでは、かなり激しく滑走路に接地してしまうので、徐々に降下率を小さくして、できるだけソフトに接地させるように操舵します。この辺の操舵は、ほとんどパイロットの経験と勘です。自分のタイヤと滑走路の距離があとどれぐらい残っているかを肌で感じるのが大切で、その許される誤差は数センチメートル程度だと思います。10センチメートルも勘違いしていると、「ドシャン」と接地してしまいます。まあこれでも特に問題はないのですが、プロ意識が許しません(笑)。
接地したからといって安心してはいけません、飛行機はまだ時速300キロメートルぐらいありますので、不意に横風を受けたり、ちょっと操縦桿を引いたりするとまた飛び上がってしまいます。時速150キロメートル以下になるまでは飛行機です。そこで、早急に減速する必要があります。減速方法は色々ありますが、一番簡単なのが、車と同じブレーキです、しかし20トンの重さで時速300キロメートルの機体を止めるのはかなりのテクニックが必要です。残りの滑走路の長さを確認しながら、自分の飛行機の速度を徐々に減らしていきます。時速100キロメートルを切ればひと安心です。ちなみにブレーキは、左右別々です。右ペダルは右ブレーキ、左ペダルは左ブレーキです。このためパイロットは、飛行機を滑走路上で直進させるために、左右のブレーキをちょうどいい具合に加減しています。すごいでしょ?(笑)。
着陸で、着陸操舵よりも大事なことがあります。それは着陸復行です。着陸をやめて、再度着陸進入するための操作です。この決心は早ければ早いほど安全です。着陸に何らかの疑問や不安を感じたら、直ちに着陸復行して着陸をやり直すべきです。ここで迷うのが一番危険です、着陸しようかどうしようか迷ったら着陸中止!こうパイロットは決めています。これが、安全への第一歩で��。
【Final】
すでにこの連載も、あと1回を残すだけとなりました。次回は最終回!さーって、何をお伝えしましょうか?ご期待下さーい。
------------------------ コックピットから その12 「EMERGENCY」「Knock It Off」 【EMERGENCY】
緊急状態は、通常状態でないときです。あたりまえの話ですが…。飛行機にとっては、日常茶飯事です。機体の故障ばかりではありません。天候の悪化や、パイロットの体調不良、地上支援施設の故障など様々な状況が考えられます。
緊急事態が、発生したときの原則は、 (1)飛行機の操縦を続けなさい (2)状況を正確に判断して、適切な手段をとりなさい (3)出来るだけ早く、着陸しなさい 先ずはこの3つがあります。
あなたは、今空を飛んでいます。突然、何らかの警報灯が点灯します。同時に警報音や、機体に変化が生じます。これはかなりラッキーです。なぜならば、警報灯が点灯するということは、設計段階から予想されていた故障だからです。このため妥当であろう手順が、すでに作られています。しかし一番厄介なのは、警報等などが点灯しないけど、「なんか変だなー」と、感じるときです。機体後方から「コツン」と音がしました。車ならその場に止まって、後方を確認しに行けばいいのですが、飛行機では不可能です。ここからは、パイロットの知識量と経験に基づく判断が、その後を左右します。
原則(1)は、極めてあたりまえのように感じますが、原因追求に頭がいってしまうと、つい忘れがちになります。実際に脚の警報灯の球切れで、それに全員が集中して落ちてしまった機体もあります。ですから、何が起こっても、先ずは飛行機の操縦に意識を向けていることが大切になります。
原則(2)は、簡単に書いてありますが、かなり難しい原則です。「コツン」と音がしたのを考えても、その原因は、山ほど考えられます。そしてその状況判断を間違えると、間違った対処手順を実施してしまいます。私の恥ずかしい経験では、射撃終了で目標から離脱したときに、発電機の警報灯が点灯しました。「ありゃー 電源故障だー」「発電機リセット!」「あれー?リセットできない」「完全に発電機壊れちゃった?」「もーやっぱ○○製品はだめだね!」なんて思っていると。「ん?なんでエンジン温度が低いの?」「あれぇーエンジン止まってるジャン!」「エンジン止まった警報等をつけて欲しいよねー」。
原則(3)は、状況はその後どうなるかわからないので、出来るだけ早く降りるのが得策です。このためパイロットは常に、ここで何か起こったら、どこに降りようかを考えています。言い換えれば自分がその日に飛ぶコース近くにある飛行場については事前に調べてあるのです。そして、何かあれば直ぐにそちらに機首を向けながら、状況の判断を始めます。
飛行機を操縦する上で大切なのは、あらゆる面で余裕を持つことです。知識・技量はもちろん、心も体も、そして時間にも余裕を持つことが、安全への第1歩です。ぎりぎりでやっていると、何か発生したときに直ぐに限界がきてしまいます。そして、状況を判断するときには、1つの原因に限定せずに可能性があるものは、全て念頭に置くべきです。
【Knock It Off】
さて、今回で私の連載も終了になります。1年間、中年パイロットのたわごとに、お付き合いしていただきましたことを心から感謝いたします。
自由に大空を飛びまわる、この憧れは人類の永遠のテーマです。ライト兄弟が初めて飛んでから約100年、そして今、私たちはその一部分を手に入れました。しかし、まだまだ大空は限られた人々だけの特別な世界です。飛ぶためには、特殊な機械と、それを操る特別な技術が必要です。このために、多くの人々がこれを支えています。そしてあなたもその大事な1人なのです。
それでは、またの日まで…「R.T.B.」(Return To Base)
------------------------ コックピットから その13 「ENGINE START」 以前の連載から約10年、思うところあって連載を続けることになりました。よろしくお願いいたします。今回は開始ということで、スタートから!
【ENGINE START】
一世代前の戦闘機のエンジンスタートには、それなりの装置と知識と技量が必要でした。たとえば、F-4とかF-1にはスターターが搭載されていません。ですから、何らかの理由で、その飛行機を運用していない飛行場に着陸してしまうと、エンジン始動ができないので、飛び上がるには、かなりの時間と努力が必要となります。また、それ以前の戦闘機では、エンジンスタート中、常にエンジン温度をモニターして燃料量をパイロットがコントロールしなくてはいけないので、素人さんにはちょっと無理でした。
しかし、最近の機体のエンジンスタートには、特別な装置や技量・知識は全く必要ありません。だれにでも簡単に、エンジンスタートが楽しめます。それでは実際に、エンジンを始動してみましょう。でも、キーを入れて回すだけでは動きませんけどね!
その前に、確認すべきことがあります。まずは自分の機体内の状況です。戦闘機は、エンジンが動くまでは単なる高価な金属の塊です。操縦桿を動かしても、引き金を引いても、脚ハンドルを上げても、何も起こりません。動いているのはゼンマイ仕掛けの時計ぐらいです。特にF-15などは、バッテリーも搭載していないので、どこのスイッチを操作しても、電気的には何も起こりません。
しかし、エンジンが回ると、電気と油圧が供給されて、戦闘機は生き返ります。この瞬間が結構やばいんです。仮に、何かのスイッチが入ってたりすると、即座に作動して好ましくない状況が発生する可能性があります。もしかすると、皆様も時々やってしまっている、車のエンジンキーを回したらワイパーが動いてしまったとか・・・・ウインカーがカチカチ作動してしまったとか・・・この手の事象です。
まあ、設計者も操縦者を信じていないので、簡単には作動しないようには作ってあります。しかし、その安全装置がもし壊れていたりすると、とんでもないことが起こってしまいます。エンジンをかけたら、脚をたたんでしまったとか、ミサイルが出てしまったとか・・・・車のような笑い話では済まなくなってしまいます。これを防ぐには、やはり真面目なスタート前点検が必要となります。
次に確認すべきことは、飛行機の周りに固定されていない物が無いかどうかです。仮に、空気取り入れ口付近に、小石や工具などがあれば、必ず吸い込みますし、機体後方に車や人がいれば、必ず吹き飛ばします。このようにして、まずは、飛行機の内側と外側の安全を確認してからのスタートになります。それでは、待ちに待ったエンジン始動です。
どんな戦闘機でも同じですが、前方に「START」と書いてあるスイッチがあると思います。その形状は色々あって、倒す場合もあれば、押す場合もあれば、ハンドルを引く場合もあります。いずれにしても「START」と書かれていると思います。これをそれなりに操作します。
すると、「ぷしゅ~っ」と音がして、圧縮空気が流れて、軽く振動が伝わってきます。これは、エンジンを動かすための小型ジェットエンジン(JFSと呼ばれます)が作動したことを意味しています。JFSがスタートして数秒で、電気が流れ始めます。これでやっと、飛行機は目覚めて、計器や警報等が使える状態になります。
言い換えれば、ここまでは機体のどこかが壊れていても、油が漏れていても、火災になっても、何の警報も出てくれないのです。
その上この瞬間に、全ての電子機器に電気が流れるので、各機材が自己診断を始め、多種の警報や音が無意味に発生するのです。まあ慣れてしまえば、心地よいBGMに聞こえてきますがね!「ぴ~~うおーにんぐ!ヒャラヒャラこ~しょんぴろぴろふぁいや~ぽろんぽろんぴんぽ~んロック!びんご~・・・・etc」これに対しては適当に「は~い」と答えておけば良いでしょう(笑)。
JFSが安定したら、この力をエンジンに送る操作をします。すると、エンジン回転計が動き始め、ゴトゴト音がして、エンジンが動き始めたのが分かります。ジェットエンジンの回転数は、車などのレシプロエンジンと違って、最低回転数でも毎分数万回転です。安定するまで1分ほどかかります。
IDLEで、エンジンが安定してしまえば、もう心配はいりません。戦闘機のエンジンは、燃料がある限り、何があっても回り続けます。最近の機械では少しでもなにか変だと、自分自身を守るために勝手に止まってしまう機材がありますが、戦闘機のエンジンは違います。、自分がぼろぼろになるまで最高出力を出し続ける努力をします。
ですから、戦闘機でエンジンが止まってしまったら、それはもう何をしても動かないと思えば良いでしょう。それなのに、空中再始動手順ってあるんですよね~(笑)。まあ、何らかの理由でパイロットが故意に止めてしまった場合は、この手順に従って、再始動しなくてはいけません。
また、車のような、押しがけも可能です。皆で力をあわせて時速400kmぐらいまで加速して、上記の再始動手順をすれば、問題なくエンジンは始動するはずです。
これでエンジンスタートは完了です。エンジンをかけるだけならほんの数分ですが、飛ぶまでには機能チェックや各種点検など、やるべき事がたくさんあります。通常戦闘機は、乗り込んでから離陸開始までに30分~40分かかります。ですから、近所のコンビニにお菓子を買いに行くには、ちょっと不向きかもしれませんね。
こんなに時間がかかるのに、5分以内に離陸するスクランブルにはどうしているのでしょう? この疑問には次回お答えしましょう。
------------------------ コックピットから その14 「SCRAMBLE」 【SCRAMBLE】
それは、「じゃ~~~ん」という、けたたましい非常ベルの音から始まります。 とりあえず、パイロット、整備員、武器員の全員が、飛行機に向かって全力で走り出します。 「何をやっていても、ベルが鳴ったら、向こう側の扉に向かって走る!」これだけを体に覚えこませています。
皆、走りながら、次にやることを考えています。 パイロットは、装具をつける順番、エンジンスタート手順などを思い出しています。 整備員は、発進手順や武器のアーミング方法などを思い出しています。
10秒後には全ての人間が決められた位置に到着して、息を整えながら、エンジンスタートのために動き始めます。この辺からやっと、脳みそが動きはじめます。ここまでは単なる条件反射です。ワンちゃんが、ピンポンが鳴ると、とりあえず吠えながら、玄関に走っていくのと同じです。
アラート勤務についていた頃は、大きな音がするだけで、体が反応して、いつもビクンビクンしていました。普通の日でも、飛行隊の中で金属製のお盆でも落とそうものなら、パイロット全員が瞬時にその場に立ち上がります。しかし、その後、そいつは先輩の方々からボコボコにされてしまいますがね!
さて、スクランブルに話を戻しましょう。エンジンスタートは通常手順とほとんど同じです。但し、F-4だけは両エンジンほぼ同時にスタートできるので、時間は通常の半分になります。エンジンを始動しながら、ハーネスなどの装具を着けていきます。この順番を間違えると、全部外して、最初からやり直しになります。ヘルメット、股帯、胸帯、シートベルト、脚帯、Gホースなど、これらを全てつなぎます。つなぎ終えた頃、エンジンはIDLEで安定します。ここまでで約2分、残された時間は3分です。
ほとんどの電子機器は、最初からONにしてありますが、ある種の電子機器は、色々な理由で、エンジンスタート後に電源を入れなくてはいけません。その代表がINS(慣性航法装置)です。ここで少し、INSについてご説明いたします。この装置は常に飛行機にかかる加速度を感じています。それを積分して、速度にして、さらにそれを積分して、距離にしています。まあ理論的にはわかるような気もしますが・・・・(笑)。
このINSの自立が一番時間がかかります。普通にINSを立ち上げると、7~8分かかります。それはジャイロの回転が安定して、地球の自転を感知して真北を探し出すのに、これぐらい時間が必要だからです。これでは5分以内の発進には間に合いませんので、事前に北の方向だけは、INSに覚えこませておきます。これだと2分程で、立ち上げることができます。その上、現在はジャイロも機械的なものから光学的なものに変わっているので、さらに立ち上がりは早くなっています。
このように、スクランブル用に準備された機体は、すでに全てのチェックが終���している状態でスタンバイしているので、エンジンをかけさえすれば、飛行可能状態になります。
エンジンも安定し、アビオニクス関係の自動チェックが終了すれば、発進可能です。飛行機OKのサインを整備員に送ります。すると今度は、武器員の出番になります。アラートは実任務です。本物の武器を搭載しています。ミサイル、ガンなどを発射可能な状態にします。これをパイロットが確認をして、発進準備完了となります。
発進は通常最優先で許可されます。アラートハンガーを出て滑走路に入って、スロットを最大位置にします。そしてエアボーン。1番機が地上を離れた瞬間が、5分以内でなければいけません。
飛行機が飛び上がっても、アラートハンガーに静寂は戻りません。すぐに、次に発進させるべき飛行機の準備にとりかかります。10分ほどで次の飛行機の待機が完了して、全く同じ待機が始まります。このため、アラートハンガーには常に4機の戦闘機が準備されています。
スクランブルは訓練ではありません。実任務です。世界的には、戦闘時間に計算されます。私の飛行履歴書には戦闘時間92時間と記載されています。このため、米国へ行ったときなど「どこで戦ったの?」とか聞かれて、答えに困ったことがあります。
また、実任務のゆえに、天候が極めて悪くても決行されます。通常飛行機は、着陸時の天候を判断して飛行します。しかし、スクランブルは着陸可能な飛行場がなくても、離陸命令が出ます。民間機の場合、いくら日本が小さくても、国内の全ての空港が天候などのために閉鎖になっている事は考えられません。福岡に降りようとしたけど、お天気が悪いから、羽田にしようとか、千歳にもどろうかな~とか変更可能です。しかし、戦闘機は足が短いので、名古屋に降りようと思っていたのにお天気が悪いと言っても、変更できる飛行場は、浜松か岐阜ぐらいに限られてしまいます。こうなると、降りられる飛行場が全く無いのと同じになります。それでもスクランブルは命令されます。
離陸上昇フェーズが終わって、通常の管制機関から離れて防空管制に移行すると、任務開始です。飛行機を最短会合点まで進めます。離陸から十数分で、自分のレーダーに相手が映ります。徐々に距離を縮めて接近します。そして最終的に、相手機の真横の日本領土側に位置します。2番機は相手機の後方で、かつ、やや上方に位置して、いつでもミサイルを発射できる位置に占位します。もしかすると、第3次世界大戦の始まりが、今なのかもしれません。かなりの緊張です。
ここで大事なのは本気であることです。向こうも本気です。冗談とか遊びではないことです。2番機は、1番機が落とされたら、必ず相手機を落とさなくてはいけません。
幸いなことに、わが国にはスクランブルから戦闘行為が始まった歴史はありませんが、世界的には戦争の始まりが、スクランブルからの場合も多いのです。
(今回の写真は、デュラム氏のご協力を頂きました。)
次回は、戦闘機に搭載されている機銃は当たるのか? この永遠のテーマに挑戦です。
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コックピットから その15 「AIR to AIR GUN」 【AIR to AIR GUN】
今回は、GUNによる空中戦についてお話しましょう。
第2次世界大戦までは、飛行機同士の戦いは鉄砲だけでしたが、それ以降はミサイルが加わり、今ではミサイル戦が主流になりました。このように、搭載武器は時代とともに変化しています。さて、30年ほど前のお話ですが、私が米国でF-4に搭乗したときの出来事です。
写真:GUN 1対1の空中戦訓練でした。相手とヘッドオン(正面同士)で交戦に入りました。相手が私から見て、右に急旋回したのが見えました(相手としては左急旋回)。そこで私も、右に上昇急旋回。上昇すると速度が減り、 旋回半径が小さくなって、 相手の後ろに入りやすくなります。180度回ると、 また相手とヘッドオンですれ違います。この瞬間に旋回を切り返して、お互いに逆の旋回に入ります。これを繰り返して、S字を描きながら絡み合うのがシザースです。
この結果、僅かでも相手の後ろに入れれば、GUNを撃つことができます。運よく私は、相手の後ろ2000フィートに位置できました。「そこでGUNを選択!FOX-III!」とCALLしようと��ると、後席の米軍のパイロットが大笑いするのです。「ちみは何をするの?」
私が日頃乗っていたのはF-4EJ、米国で乗ったのはF-4D、ほとんど同機体ですが、決定的に違ったのは、F-4DにはGUNが装備されていないのです…(大汗)。ですから、近接戦で使う武器を持っていないのです。
飛行後のブリーフィングで、飛行隊内は大爆笑!「さすが日本人はすごい!空中で飛行機から出てナイフで戦うのかと思った」と…。
写真:GUN ベトナム戦争での教訓から、F-4E以降の戦闘機には、20ミリメートルの機関砲を搭載するようになりました。その多くは、油圧もしくは電動モーターで作動する回転式機関砲です。砲身は6門あり、これが回転しながら弾を発射します。
発射速度は毎分6000発程度となっています。弾自体は、マッハ3~4ぐらいで飛んでいきます。毎分6000発ですから、1秒間に100発撃ちます。射撃感覚は「バン・バン・バン」という感じではなく、「ブーン」という振動と音になります。また、1回の射撃は1秒間ほどになります。
戦闘機のGUNの照準は、先ずは相手をレーダーでロックオンして距離を測ります。 次に自分の機体にかかっている荷重から、相手の運動を推測します(相手を追い続けていると仮定して計算)。その状態で、着弾時間を計算して、その時間で移動するであろう相手の予想位置に重力落下分を加えて、HUD(ヘッドアップディスプレー)に 照準点として表示します。パイロットはその照準点を、実際の目標の飛行機の上に乗せることで、銃の方向は相手の将来位置に着弾するようになります。
戦闘用計算機は正確なデータさえ与えれば、確実に正解を出します。第2次大戦中に戦った戦闘機はレーダも積んでないので、曳光弾を見ながらの射撃でしたが、通常弾と曳光弾では、その重さも空力特性も違っているので、弾道が違ってきます。実際は参考程度にしかなりませんでした。結局、空中での射撃は100パーセントパイロットの勘で撃っていましたので、まさに神業です。
このように考えて行くと、計算機制御の機関砲って、なんか当たりそうですが、そうは問屋が許してくれないのです。
音速の3倍で飛んでいる弾は、1秒間で100発撃っても、その弾の間隔は約1000メートルに100発ですから、10メートルおきに1発存在している計算になります。これは直線飛行をしているときの計算ですが、実際は急旋回して戦闘するので、角速度がこれに入ります。戦闘加重時は50メートルに1発程度の密度になります。戦闘機の大きさはせいぜい20メートルほどですから、戦闘機から見れば、弾はかなりまばらな感じで撃たれている感覚になります。
写真:GUN その上、計算機で行う照準は、その計算と表示に4秒ほどかかります。相手が4秒間安定した機動をしてくれた時は正確ですが、そうでない場合は、最初から照準点は 不正確となります。ですから、4秒に1回何らかの回避機動をすれば、 照準は定まりませんので、 弾の当たる確率はほとんど0パーセントとなります。強いて言えば、もし運悪く相手の弾に当たってしまった時は、日頃の行いのせいかもしれません。
これらをまとめて考えると、ほぼ同性能の戦闘機同士の戦いで、相手をGUNで落とすことは、ほとんど不可能になります。ですから、対空武器としては、GUNはお守り程度の効果があると思えば良いでしょう。
但し、相手が動かないものとなると話は違ってきて、GUNは極めて有効です。相手がトラックならば、100発撃てば50発は当たるでしょうし、全速で走っている戦車でも 30発は当たると思います。相手が駆逐艦程度の船ならば、90発は命中するでしょう。その上、20ミリメートル弾は鉛の塊ではなく、中に火薬が装填されていて、命中後、爆発するので、その威力はかなりなものです。
このように対戦闘機戦闘では、GUNはそれほど有効な装置ではありません。最も有効なのは、ご存知のようにミサイルになります。
(今回の写真はMasato氏のご協力を頂きました。)
次回は、このミサイルについてお話しましょう。
------------------------ コックピットから その16 「MISSILE」 【MISSILE】
今回はミサイルのお話をしましょう。
まずはイメージを作りましょう。
あなたは学校の校庭の真ん中に立っています。 校庭の端には野良犬が1匹います。 何故か、あなたは野良犬と目が合ってしまいます。すると、野良犬が突然うなりながら、あなたに向かって走りだしました。 あなたなら、どうします? これがミサイル戦の始まりです。
対戦闘機戦で、最も有効であろう武器がAAM(空対空ミサイル)です。 F-15世代の戦闘機のほとんどは、8本のAAMを搭載することができます。4本のMRM(中距離ミサイル)と4本のSRM(短距離ミサイル)です。
また目標1つに対して、2本のミサイルを発射するのが基本ですから、1機の戦闘機は4回のミサイル射撃が可能となります。何故2本撃つかと言うと、1本のミサイルの撃墜確立が80パーセントだとすると、2本目は1本目で外した20パーセントの80パーセントを落とせるので16パーセントとなります。こうなると、2本で96パーセントの確立で相手を撃墜することができるので、かなり有効な手段となります。仮にもう1本撃ったとしても、残りの4パーセントの80パーセントが落とせるので、さらに3.2パーセント増となりますが、1本目と2本目に比べて大変少ない数字になるので、あまり意味を持たなくなります。そこで通常は、1目標に2発撃つのが妥当とされています。これは撃つほうの理論です。
ここで、先ほどの野良犬に話を戻しましょう。あなたは犬に追われています。さてどうします?先ずは反対側に走り出します。時間稼ぎです。走りながら考えます。どうしたらいいか…。 ポケットを探ると、お菓子が入っていました。犬に向かって投げてみます。ラッキーだと、犬はお菓子を食べ始めて、あなたを追うのをやめるでしょう。これがフレアー(火の玉)でしょう。ミサイルが赤外線追尾式だったら、これで逃れられます。 しかし運悪く、この犬が満腹だったら…。 次にあなたは上着を脱いで、それを放り投げます。犬がそれに向かって走ってくれれば、またまたラッキーです。これがチャフ(銀紙)です。これで電波誘導式ミサイルは向かってこないでしょう。
このような方法でミサイルをだますのが、撃たれるほうの理論になります。それともう一つ、ミサイルの最大の欠点は惰性で飛んでいることです。ミサイルは数秒しか燃料がありません。長くても5秒程度です。このため通常は、慣性力だけで飛んでいます。 その結果、何回も飛行方向を大きく変えての飛行はできません。もしミサイルを1度、自分からそらすことができれば大成功です。なぜなら、そのミサイルが180度方向転換して追ってくるのは、映画の世界だけの話ですから。
しかし、これで安心してはいけません。ミサイルには近接信管というものがついていて、相手に直接当たって爆発するのではなく、近くに来たなとミサイルが感じた時に、勝手に爆発するのです。この爆発で小さな金属の破片が四方八方に飛び散って、その1つでも飛行機に当たれば、あなたはまともには飛べなくなります。
今回は空対空ミサイルの話でしたが、実際は地対空、水対空ミサイル等の多種のミサイルが、戦闘機に向かって飛んできます。パイロットはこれらに対して、有効であろう多種の方法を使って回避しなくてはいけません。
また、その回避行動は技術的に立証されているわけでもなく、パイロット間で伝説のように言い伝えられているものです。たとえば、「SA-3(地対空ミサイルの一種)が撃たれたら、白煙が見えてその先にミサイルがたぶん見えるから、その大きさがタバコの大きさになったらキャノピーの右端に置くようにして、最大Gで右降下旋回しなさい。」と言うような手順です。この手順で回避できたパイロットがいるのも事実ですが、帰って来れなかったパイロットもいるでしょう…。しかし、後者は証言できませんので、この手順が正解となってしまいます。
あんなこんなで、色々な攻撃から無事回避して任務を終了し、基地に帰ってきます。しかし、ここで安心してはいけません。それは味方の基地防空用のミサイルです。1人で操作可能で、肩に担いで発射するタイプの携行対空ミサイルです。これらの発射の最終責任者は携行者自身です。特に戦時となれば、情報も���乱するでしょう。目の前に突然戦闘機が現れたら、あなたならどうします?翼に日の丸が無いのを確認してから撃ってくれますか?
古来より矛盾という単語があります。現代に言い換えると、誘導弾と戦闘機になるのでしょうか。お互いの技術者は常に自分たちの技術の方が優秀だと思っています。でも現実はやってみないとわかりません。
パイロットの私としては、常に戦闘機のほうが優秀だと信じていますがね!(笑)。
次回は「そこまでしてダイエットするの?」 戦闘機の重さについてお話しましょう。
------------------------ コックピットから その17 「DIET」 飛行機は空中に浮かばなくては意味がありません。このため、1グラムでも軽く作らなくてはいけないのです。特に戦闘機にとっては、この1グラムで勝敗が決するといっても過言ではありません。
今回は軽量化への努力の中でも、超オタッキーな話題である脚のダイエットについてお話したいと思います。
飛行機にとって、飛んでいるときに全く必要の無いものは脚なのです。飛行中の脚は単なる無駄な重量物なのです。ですから、いかに脚を軽く作るかが飛行機の大きな課題の1つとなります。
軽量化の究極の答えは、離陸と同時に脚を捨ててしまう手段です。持って飛ばないのですから、めちゃ合理的です。ライト兄弟の「ライトフライヤー号」や第2次大戦中の「秋水」などが、この方法を取り入れました。脚は離陸と同時に、機体から外れて地上に捨てられます。これで身軽になり飛行を続けます。すごいアイデアです。着陸は、胴体下に取り付けられているソリによってなされます。かなり革新的な方法ですが問題が1つ…。
次の離陸に際しては何らかの方法で、再度脚を取り付けなくてはいけません。また、その装置と脚が準備された飛行場にしか降りることができません。ですから、極めて特殊な使い方の飛行機だけに許される手段となります。
そこで次に思いついたのが、脚をできるだけキャシャにして軽量化することです。通常の運航では、脚にかかる最大の荷重は着陸の時です。この際には、自分の重さの1.5倍程度の荷重が接地と同時にかかります。ですから、基本的にはかなり頑丈に作らなくてはいけません。
ここで技術者は考えました。 「そうだ!かなり軽くなってからじゃないと、着陸はしちゃいけないことにしよう!」
これなら、そこそこの強度があればOKです。たとえば、自重が10トンの戦闘機で、残燃料量が3トンの場合、重さは13トンです。この機体が着陸するときには、約20トンぐらいの荷重が脚にかかります。この重さに耐えれれば、飛行機としては着陸できるので、設計者はこの数字を目標に設計すればいいのです。
皆様も経験したことはあると思いますが、民間機などで離陸直後に何か問題が起こって、着陸しなくてはいけない状況でも、着陸するまでにかなりの時間がかかったという記憶がおありと思います。これは、離陸した直後の重量では重過ぎるので着陸できません。そのため、燃料をある程度使ってからの着陸になりますので、時間が必要となります。これほどまでにして、脚は軽く作ってあります。
さて、戦闘機の一般論を…。通常、自重10トンの戦闘機には、8トンぐらいの燃料が積めます。これとは別に、ミサイルとか爆弾とかも8トンぐらい搭載できます。全部合計すると26トンになります。
ここで 「それって、おかしくない?」 「さっき、10トンの飛行機が耐えれる重さは、着陸時の最大20トンだって説明したジャン!」 「それなのに全備重量が26トンって、すごい矛盾!」…っと思われた方は、このコーナーを熟読していて、かなりの戦闘機通と言えます。(笑)
これまではプロローグです。ここからが本日のメインテーマとなります。
20トンまでしか耐えられない脚を持った戦闘機に、合計26トンのものを乗せる。これが技術者に与えられた命題です。このままだと、地上で燃料と武器を搭載しただけで、脚が折れてしまいますので、絶対何らかの方法が必要となります。
簡単な答えは、「脚を強くしよう!」ですが、これでは今までの努力が無駄になりますし、だれにも「すごーいい!」って、言われません。飛行機を軽く作ろうという目標からもずれてしまいます。そこで技術者が次に考えるのは、最大離陸重量を脚の強度限界の20トンにすることです。
「燃料とか武器とかの合計を10トンにしちゃおう!」 「そうだそうだ。それがいいよ!」 「それじゃ、どうやって積む?」 「燃料を乗せるのやめちゃおう!」 「そうなると、搭載物を8トンにして残りの2トンを燃料に割り当てるようにしよう。」 「これで、みんな丸く収まるねー!」
ここで初めて、パイロット君登場。
「あのね。君らは知らないと思うけど、飛行機は燃料がないと飛べないんだよ!」 「えー そうなんですか?知らなかった…。」 「そんじゃ、武器とか下ろします?」 「それだと、何のために飛んでるか、わからないじゃん。」
まあ、この会話は100パーセント嘘ですが。(笑)このような矛盾が生まれてきます。
(撮影:謎の黄色さん)
そして、答えは…。
すでに上の写真でお気づきと思いますが、本当に武装関係は全部積んで、燃料はちょっとしか搭載しないで離陸します。離陸後は、脚の強度制限は関係なくなります。その状態で、空中で燃料を満載にします。この方法だと、機体の重量の最大設計限界の26トンまで重くすることができます。空中給油は、単に戦闘機などの行動半径を伸ばすためのものではなくて、燃料満載で且つ完全武装をした戦闘機を任務へ向かわせるために、絶対的に必要な装備なのです。
蛇足ながら、わが国ではフォーメーション飛行ができない人は戦闘機乗りには不適ですが、米軍では空中給油ができない人が、先ずエリミネートされます。だって、戦闘機が飛び上がって最初の仕事が、空中給油なのですから!
【EPILOGUE】
急ではございますが、長い間、老パイロットのたわごとにお付き合いいただきありがとうございました。 今回をもちまして、このシリーズを終了いたします。いままでお付き合いいただいた方々に深く感謝するとともに、さらなる航空技術の発展と飛行の安全を祈りつつ、ペンを置きたいと思います。
それでは Knock It Off! 、 RTB 、 Pigeon to Mama? (作戦は終了!、帰ろう、ところでおうちはどっち?)
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