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#衝撃の刻! 明かされた互いの正体
nakamorijuan · 1 year
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第109話 「衝撃の刻! 明かされた互いの正体」
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keredomo · 2 years
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 現実の上で、31歳を振り返っておこうと思い、こうして書き始めた。  観念的なことだけを著しておく気高さもあると理解しつつも、具体の苦しみもまた私の苦しみであるときちんと認めておかなければ、正しさに辿り着けないと考えたため。
 よって、これはいつにも増して自分のためだけの文章である。読んでいただく必要はない。
*** 
 去年は誕生日の記事を書く余裕がなかった。よく覚えている。前職の離職を告げて、後片付けに奔走していた。  転職が決まって人生が変わることになった6月は、毎日を事務的な疲弊と共に過ごした。人生を懸けて取り組むつもりだった仕事を手放す痛み、平穏な離職のために無意味な嘘をつかされる痛み、そういうものと闘っていた。
 誕生日は恵比寿のウェスティンの一室で小さいシャンパンを開けて過ごした。薄暗い日で、冷たい雨が降っていた。誕生日の祝いにとその日ホテリアーが提供してくれたチョコレートを、まだ食べ切らずにひっそりと一粒だけ残してある。赤いハートのガナッシュ。心臓のように思った。大切に、残している。
 退職し、思いがけずひと月半の夏休みを得て、毎日を言葉と共に過ごした。7月。新しい言語を習得するつもりが、持ち前の怠惰が邪魔をしてうまくいかなかった。熟達している日本語とずっと親密に遊んでいた。言葉は時間を埋めてくれる。言語ばかりでものを考える性向から、日々の日記はとんでもなく長いものになった。新たな外国語の習得は叶わなかったが、母語とのたわむれは、私に大いなる慰めを与えた。それでよかったのではないかと今は思う。
 8月に新しい仕事を始めてからは怒涛の日々だった。毎日、環境のよさに舌を巻きつつ、優しい上司と同僚に囲まれて慣れない業務をこなした。人格者ばかりに囲まれて、優しくされることに時折涙した。
 9月の終わりに父親が死んだ。12月に、人生を懸けて愛した人に決死の別れを告げた。死ぬかと思った。それら二つの衝撃にうちのめされて疲弊し、上手に人に優しくできなくなってしまった私を、家族の妻は拒絶し冷たく振る舞い、余裕のない私が彼女に優しくできないことについて大いになじった。くる日もくる日も、大泣きしながら夜通し罵倒しあった。私がわかりやすく優しくて有益でなければ私を愛さないこの自己本意でしかない者とはもう今後を共にしたくないと思い、家族から離脱した。もう愛したくなかった。私の人生に存在してほしくなかった。彼女に、傷つききった私をさらに追い詰めた自覚はあるのだろうか。お互い様だろうが、もう二度と愛せないだろう。心を傾けることはできないだろう。深く憎んでいる。それほどに、信頼していた人間に追い討ちをかけられた傷は深い。父を失い、恋人を失い、家族まで失った。友人も一人失った。失う時は、一気に失うものだ。
 失うばかりではない。得たものもあった。1、2、3月は、ふいに訪れたその衝撃を生に落とし込むことで精一杯だった。人に優しくされ、ありのまま過ごす姿を許される生活を、もしかすると送れるのかもしれない。私のような欠陥のある人間でも、誰かと生涯を共にできるのかもしれない。そう夢見た。がらにもなく期待してしまった。結局その夢は、次の誕生日に盛大に破られることになった。大いなる裏切りに遭い、再び失った。確かなものは、この世にはあまりにも少ない。安心は私の生に与えられるものではないのだと知った。思い知った。
 4月と5月は再び仕事に明け暮れた。仕事は私を求めてくれるから助かる。それと同時に、妊娠恐怖とふたたび闘い続けた。体の不調と異変を刻々と受け止めながら、子供をもつかもたざるか、真剣に考えた。一人で育てることができるのか。誰の子供にならば人生を捧げられるか。子供を持たない人生は女性として生まれたこの身の義務を果たさない罪なのではないか。子をなせば少なくとも虚無からは救われるのではないか。そんなことのために子を持っていいのか。考えた。怖かった。何を得て、何を捨てることになるのか。体の異変を覚えるたびに、想像し尽くした。うなされた。胃液がせりあがった。自分の生をやりきれていないのに、子をきちんと育てあげることができるのだろうか。私は子を殺してしまうかもしれない。きっと殺すだろう。むごいやりかたで幼児を殺してしまうだろう。睡眠不足の朦朧とした頭で、私の人生を奪うなと叫んで、殺してしまうだろう。
 春宵に、夜更けの京都の河岸で民族楽器を鳴らした。めちゃくちゃに叩いた不思議な楽器の音色が美しかった。空気は透き通っておらず、もったりと私たちを包んで、ただひたすらに綺麗な音とうっすらと聴こえる街の喧騒がそこに響いて、そこは黄泉のようだった。
 5月、随分遅れて、生理がきた。子を孕んでいなかった。心底落胆した。疲れ果てた。小説を書くことを決意した。それは今後の人生において妊娠を諦めることで生じる決意であった。
 私と親しい誰もが、その決意を喜んだ。爽やかな初夏だった。私だけが、晴れやかな顔で、人生を憎んでいた。私だけが、もはやこの生に期待できないと感じていた。何も持っていない。すべてを持っているのに、何も持っていない。
 美しい人と横浜で薔薇を見た。いちご飴を食べた。唯一の慰みであった。
 「あなたを母親にすることがためらわれる」と、その人との子を狂おしく望んだ相手に、かつて言われたことがあった。その言葉は私を縛り続けた。母親になることを諦めた今、その意味がよくわかる。育児は私の仕事ではないだろう。私の仕事は、人類という動物種を繁栄させることではない。生きることを余儀なくされている全ての人を救うための何かを残すことだ。
 子を諦めたのち、「あなたはあんなことはしなくていい」と、またその人に言われた。「子を産み育てるようなことは、しなくていい」と。私は、選択を間違えなかったのだと心底安堵しながら、同時に再び絶望した。
 こんなに苦しい思いに苛まれることが、この人生には必要なのだろうか。
 死んでいいだけの理由が、いくらでもある。私は、「死んでしまっても仕方なかったね」と人に思われるだけの理由を十分に抱えていると思う。それでも、死ねない理由のほうがもっとたくさんあるのだ。私を失った生を生きさせたくない人がいる。そう確信できるところにまで、自���の生を押し上げてしまった。そのことを誇りに思う。重荷であるとは思わない。
 ただ、ここまで傷ついてしまえば、いつ死んでもいいなとは思う。自死を免罪されるほどに、私は傷つき果てていると思う。その権利を、みずから行使することはないだろうけれど。もはや希死念慮も薄らいだ。
 白百合の派手派手しさは私を救う。眠りの横暴さも私を救う。紫煙のくゆりも私を救う。言葉も私を救う。私のためだけに連ねられた言葉たちが私を救う。私が私のために書き殴る言葉たちが私を救う。
 それさえあれば十分なのではないかと思う。本当は、これで十分なのではないか。私が求めすぎているだけで、本当は、これだけ持っていれば十分なのに、安寧を、浄土を、深呼吸を、深い眠りを、音楽を、眩さを、確かさを、求めていること自体が間違っているのではないか。
 浄土の英訳は「pure land」と言う。初めて知った時には笑ってしまったが、今はとてもよい英訳だと感じる。pure land。私の望むところはそこであるとはっきりと断言できる。pure landという訳が与えられたことで、「浄土」という言葉は(私の語彙において)仏教から離脱した。
 どこか、涅槃を超えたどこかに、私が私であるだけでよいとされる、pureな、もう二度と心を折らずに済む、もう二度と諦めずに済む、もう二度と心が張り裂けるような思いをせずに済むような土地が、もう二度と、私が私であることを妨げない土地が、あるのだろうか。あるといい。あってほしい。
 私を守る庭があってくれればいい。私の心を守る庭があってくれればいい。美しい百合に囲まれて、緑と白だけが支配する、ようやく呼吸のできる土地が、ようやく深い呼吸のできる庭が、安心して手脚をのばして横臥して、深く息を吸える土地が、誰も、私がのびのびと一人で眠って一人で目覚めて、世界の光の美しさに目を細めることを邪魔しない土地が、庭が、美しい庭が、あるといい。
 壊れてしまえばいいのにと願わずにすむような庭が、壊れてしまうかもしれないと怯えずにすむ庭が、あるといいのに。
 どうしてないのだろう。
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nattui267 · 9 months
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20XX年、世界は核の炎…ではなく大蝕の波に包まれた!
サイキックイクリプスReloadプレイ感想
〜共通話(プロローグ)編〜
さて始まりました、サイクリReload感想文。
今回は物語の序章と言ってもよいプロローグの感想
そして、主人公であるケイ・ヨルシカの紹介も踏まえながらこちらに挙げていきたいと思います。
※ちなみにこちらPC版の方ですが『先方公開』として公式から動画が公開されています。
よかったらyoutubeでググって見てね!!
【Reload起動、そして大きな衝撃】
DLできた!!それじゃあやってくぜ!!
…と、ワックワクで起動。
タイトル画面で主題歌が流れとる…!!
オプションがPC版から更に増えてる!!
セーブデータめっちゃ作れるじゃん!!
やっべえもうこの時点でテンション上がるわ!!
お、OPムービーの映像一部が違う!!
比較とか欲しいかもしんねえ!!!
とまあ、こんな感じで自分がどれだけこのゲームを楽しみにしてたのかを改めて感じていました、が…。
新鮮さが堪らないReload、初っ端からとんでもないモノがきました。
第三のサイキック能力『透明化』を身につけていたケイ君が。
…というのは言い換えであり、まさかの「立ち絵非表示バグ」でした。
でも、これに関して私は
「ゲームシステムに難点やバグなどがあろうがストーリーやキャラクターが良ければ気にならない」
というタイプなのでノープロブレム…
いや、ちょいとさすがに気になるかもしれん…。
なんせ今かなりアツい最推しゲームの移植版ですし。
初見さんからしたら「そういう演出か?」と思わせるような所もあるので一部は違和感なさげかもしれませんが、非表示バグを起こしてるのがデフォルトの立ち絵ケイ君なので正直、ちょっと悲しい…。
しかし、この件はなんと発売日翌日に公式様の元に話がいっており、発売からなんと一週間で修正アプデがきたというね!!!!
は、早い……早すぎるッ……!!
神対応かよ…!!!
公式様!!
これからもゼンリョクで応援しております…!!(五体投地)
…さて、Reloadから得た興奮と衝撃、そして感動の話はここまで。
ここからは『共通話』とされているエピソードを元にいろいろお話していきます。
【始まりは突然に】
さあ、物語が遂に始まる…!と、思っていたら
中学生のケイ君とスバルさんが必死に『あいつら』から逃げる場面からスタート。
「人の少ない方へ向かう」とケイ君を連れだすスバルさんに「自宅にはまだ家族が…!」と言うケイ君でしたが…既に遅かったようでした。
そう、最初から(世界が)クライマックス。
スバルさんの言う『あいつら』は蝕人の事であり、人々が次々と蝕人化してパニックになっていたのだ。
平穏な日常が既に崩壊した中からの始まりだったので、正直びっくりでした。
まさかそこからスタートだとは思ってはいなかったので。
どうもケイ君は「家に帰ったら突然『誰かに襲われて』それから街中が蝕人で…」だそうですが…。
…それから6年。
中学生だったケイ君は成人しており、スクラップ工場で働いてました。
まだあどけなさが残ってはいますが力仕事は慣れっこの様子。
なんせこの子、可愛い顔だがパワータイプなのだから。
というわけで、ここで主人公の紹介といきましょう。
【侮れない主人公、ケイ】
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▲ Twitter(X)に投稿したイラストより
お目目ぱっちりで眩しい笑顔が合いそうな明るく元気な子…のように見えますが、ところがどっこい無口で無愛想。
仕事場の他作業員から陰口を叩かれても何も言い返す事なく無視。
見知らぬモブから金を要求されても「急いでるんだから他をあたれ」「面倒くさい」と冷たく遇らう。
そしてそれだけじゃない。
喧嘩に強いのだ。
ここ、テストに出ます←
金をせびるモブ(男)の一人が「コイツ意外と可愛い顔してんな!」と薄い本を厚くさせようとすると、なんとモブに痛恨の一撃をブチかますというね。
ちなみにこのケイ君の力強さはいろんな所で見られます。
OPムービーにもちらっと映るので必見やで!!←
個人的に『受け』にあたる子は「守られなきゃいけない『ヒロイン』タイプ」よりも「腕っぷしが強い『男だぜ!!』タイプ」の方にグッときやすいので
ここはケイ君のナイスなポイントだと思います。
総受けキャラなんだけど…受としてかわいいだけじゃない、男としてカッコイイ所もある所。
だいすこ。
だがモブも負けていられない。
なんせこの世界は限りない物資を奪い合うような世界なのだから。
ピンチに陥ったケイ君ですが…
「【転べ】ッ!!」
ケイ君がそう叫んだ瞬間、運が悪くモブはすっ転んでしまい、その隙を突いて無事に逃げ切れました。
なんと、咄嗟に口にした言葉がまるで命令を受けたかのように本当に起きたという。
そう。これはこの世界を大きく変えたもののひとつ『サイキック能力』のひとつ。
そして、ケイ君にとっては枷でもあり物語の左右を決めるものなのです。
声に出した事がすぐに起きる能力。
まるで夢のような、というか結構チートなサイキック能力じゃね⁉︎
…と思われるが、ちゃんとデメリットもあるんだなあ、これが。
実はこの後(モブを撒いた後)に通りすがりの子供が遊んでいたボールが顔に当たるという怪我をするハメに。
いわゆる『しっぺ返し』が何らかの形で来るという。
だからつまり、大きな願い事を叶えた後には大きな不幸が必ず訪れるという。
ある意味これは「キャラクターバランス」って奴かもしれませんな。
でも、バランスがあるって事はとても重要だと思います。
誰だってメリットとデメリットはあるんだし、メリットづくめの完璧無敵マンなんて滅多に存在しないでしょう。
…さて、話が逸れてしまいましたが。
『代償』とも呼べるそれは当然、それは他のサイキック能力にも存在している。
そのお話は、また各ストーリーの中で分かってくるのでおいおい話していきます。
「あれ?ケイ君のサイキック能力って『プレコグ(予知能力)』じゃねえの?」
…ってワケですが。
実際にケイ君が『ポラリス・システム』で手に入れたのはプレコグなのは確か。
ではそのもう一つのサイキック能力はどうやって?という疑問があがりますが、これもまた今は置いときます。
その能力を得るまでの出来事はある意味ネタバレという名の『真実』なのですから。
…と、まあ可愛くて力強くて不思議な力を持った主人公・ケイ君ですが、そんな彼の本性はすぐに分かります。
それは…同居人であり、幼馴染でもあるスバルさんの前で─。
ケイ「俺の携帯直った?」
スバル「直ってるに決まってんだろ。」
ケイ「さっすが!(ニコッ)昔からこういうの得意だもんなあ。」
スバル「ま、天才スバルさんと称えてくれてもいいぜ?」←ここすき
ケイ「ばーか。でもありがと、助かった。…あとこれ。お前甘いの好きだろ?(飴をあげる)」
嗚呼なんと微笑ましきかな
この幼馴染は(満面の笑み)
そうなんですよ。
本当はすごくいい子なんですよ。
配給された食事の中にあった飴を甘い物が好きなスバルさんの為に残してるんですよ。
スバルさんの前では軽口が叩ける男の子なんですよ。彼は。
…というのも、スバルさんとはずっと昔からの縁があるからなのもあり、6年前のあの日に身内も友達も全てを失った中での大事な「お互い」でもあります。
その互いを思う気持ちの強さも、これからどんどん分かっていきます。
……と、そんな中でスバルさんはケイ君が「日に日に他の人と喋らなくなる」という事を心配してか、直してあげた携帯電話の中に育成型アイドルAIである『シリウス』を入れてくれました。
しかしケイ君は「余計なお世話」とちょっと拗ね気味。そもそも男のアイドル、というのも謎のチョイスだと気になっている様子。
その時に軽くスバルさんの事べしッとしばいてるの好きです←
すぐ手が出ちゃうタイプ、はっきりわかんだね
一方で新しいお友達…と呼べるか否かはまだ分からないこの物語内では癒しとも呼べる清涼剤系キラキラAI、シリウスさんはケイ君に興味津々である。
シリウス「ケイプロデューサーですね!一緒に頑張りましょうね!」
ケイ「プロデューサーじゃないって言ってんだろ!」
ちなみにこのシリウスさんは『アイドル育成アプリのキャラクター』ではあるのですが、様々な機能をスバルさんから授けられてるのである意味ケイ君の新たなパートナーとも呼べます。
しかし………。
シリウス「…ケイプロデューサー、何を調べているんですか?」
ケイ「お前の消し方」🐬
シリウス「や…やめてくださいぃい〜っ!!!」
完全に例のイルカじゃないですかー!やだー!
…どうやら『最高のパートナー』と呼ぶにはまだまだのようでした。
ちなみに
このサイクリの世界は『荒廃した世界』が舞台となっていますが、ずっと暗いシリアスってワケじゃないんです。
こんな感じでドタバタやわちゃわちゃがあったり、思わず笑ってしまうシーンなどもあるので面白い。
ずーっと鬱続きではないので安心でき…るのだろうか…?(いきなり不安になるな)
なので(?)シリウスさんは翌日やらかしてくれました。
【Welcome to ようこそ 第三ドーム♪】
ケイ「このバカAIッ!なんでアラームが鳴らないんだよっ!」
シリウス「すみませ〜んっ!アラームをPMの7時に設定してしまいましたぁ!!」(あるあるやね)
ケイ「ポンコツ!マヌケ!!バカバカバカッ!!!」
シリウス「ぴえん……」←ここすき
今日もどったんばったん大騒ぎ。
シリウスさんのドジっ子属性(?)のせいで仕事に遅刻しそうになってしまったケイ君。
ある意味日常の一コマみたいなノリで微笑ましくも感じられます。
いやーシリウスさんいいキャラしてるわ…。
猛ダッシュで仕事場へ向かおうとしていたそんな中…。
「道を尋ねたいのだが。」
バタバタしていたケイ君の足を『サイコキネシス』で止めてきたのは、なんとドーム管理スポンサーに携わった『バートランド一族』の嫡男であるリヒト・バートランドとその世話役を務めているミカゲという男でした。
ケイ君曰く「キラキラした見た目」(確かにめちゃくちゃ美少年よね。わかるよ←)という彼…リヒトさんは政府やお金持ち、お偉いさんの集いとも呼べる「第一ドーム」から遥々この第三ドームに来たという。
…ケイ君の事を探し求めて。
しかし、お偉いさんの一人とも呼べるリヒトさんになぜケイ君が…?
ケイ君はただ普通に生活をしていたうえに『秘密にしているサイキック能力』のせいもあり目立つ事を避けていました。
「日常は平穏が一番だってのに!おまけに仕事に遅刻しそうなのに!!」という面で焦っていたケイ君は果たしてどうするのか…?
…という��けでここまでがこの物語のプロローグ。
「自分達について来てほしい」というミカゲさん達の頼みをケイ君はどう受け止めるのか?
もしくは、誰かに頼るのか?
…さて。
ここから先が、3つの物語(ルート)への分かれ道となるのです。
早速次回からは各ルートの感想をあげていこうと思います。
【最後に。実は……】
実はこのサイキックイクリプス、自分が初めて触れた『公式元からBLがある作品』でした。
自分自身、BLという要素は二次創作…いわば腐向け類とかあたりで触れていたので抵抗は全くありませんでしたが、このような元々からBLがデフォルトという作品には全く興味を持つことがありませんでした。
そんな中、サイキックイクリプスは『初めてのBLゲーム』には持ってこいでした。
まずは…
『一応「全年齢向け」扱いの為、えちえちなシーンがない(見せてくれないと言った方が良いか?)』
という所が、初めての私にとっては「やりやすい」と思いました。
何の前置きもなくキスシーンのカットを繰り出された所でめっちゃビビったけどな!!←でも、いいぞもっとやれポイントだとは思ってる。
公式ですけべが見せられない所はある意味、我々の想像力が試されるって事だよね←
(だからといって全カプがキス以上はしないよってワケではないんですよね…←)
そして。
「友達から恋人へ」の流れの描写が丁寧だからどのカップリングにもハマるハマる。
「なるほど、攻は彼のそこに惹かれたのね」「あの場面があったからこそ、この想いはあるんだ」ってのが非常に分かりやすい。
だから、各カップリングにハマりやすい!とも思うのです。
あと、主人公であるケイ君の行動や感情も主人公として素晴らしく、好感がかなり持てます。
思わず「いいぞもっと言ってやれ!」と応援したくなる場面もあるので、お楽しみに!←
あ、ちなみに私はスバケイ推しです(聞いてない)
【次回のサイクリ話に関しまして】
ざっくりとお話させていただきましたが
次回からはネタバレが当然のごとく含まれます。
ただ、全てを丸々赤裸々にお話は敢えてしません。
自分がいつもレビュー感想をあげる際に思ってるのは
これを読んでくださってるユーザーさんに、是非ともこの作品に興味を持ってほしい。
あわよくば同じ沼にハマって共に楽しみたいという思いがあるからです。
いわばあれです。
推しに狂うor熱弁する姿を見せるのが何より一番!
って奴ですね。
それでは、また次回!
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tadaiso · 10 months
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彼の気持ちはわからなかったけど
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※画像と内容には全く関係がないです。ええ。 できることなら、もっと寄り添ってあげたかった。
しかし、それができなかったのは彼と僕との嗜好の違いであり、どこまでいってもそれは埋められないものだった。
だからそれは、僕にはどうにもできないし、彼にももうにもできなかった。
そんな彼はもういない。
21世紀を迎える前に、ここではないどこかへ旅立ってしまったわけだ。
彼のような聡明で優しい人間が、なぜそのような選択をしたのか、僕のような凡人にな想像もつかないけれど、もし彼がその選択をせずに今もまだ暮らしていたら、その当時よりは暮らしやすくはなっていたと思う。
まあ、残念な話なわけだ……。
彼との出会いは、今から40年近く前の話だ。
僕と彼は中学一年で同じクラスになった。
小学校が違ったせいで、人見知りの強かった当時の僕はあまりクラスメイトに話が出来なかったわけだが、いつのまにか彼とは仲良くなっていた。
多分、パソコンに関する話がきっかけなんだと思うんだけど、いつのまにか休み時間には僕と彼と数名が集まって、ゲームセンターのゲームやパソコンのゲームの話を飽きもせずにし続けていたような気がする。
僕が住んでいたところは毛織物で有名な地域で、彼の家は裕福な機屋(「はたや」と読む。織物を織る仕事)さんでした。
公団住宅住まいの僕とは違って上品でゆとりのある暮らしをしていて、彼の自室が広いことと、彼のお母さんがとても美味しいおやつを出してくれこともあって、僕らはよく彼の家に遊びにいった。
彼は他の連中と違って、賢く理性的で、とても優しい性格で、時々妙なところで意固地で、よくわからないきっかけから口論にもなったけど、それでもそんなにわだかまりを持つこともなく、次の日には再び馬鹿話をしていたような気がする。
あと、妙なボディータッチが多くて、やんわりとサワサワ触れてくる感じがとても奇妙であったが、強引にガシガシと体を掴んで乱暴にゆすったり、頭をパシパシ叩き合うような乱暴な連中ばかりだったから、その触り方も彼の持つ育ちの良さなんだろうなと、当時の僕は思っていたわけだ。
中学の3年間、大した勉強などしなくても学校群に普通に入れてしまうくらいに賢い彼と、馬鹿ゆえに勉強などすることなく遊び呆けていた僕とは、なぜか仲が良かった。
クラスがお互いに違ったとしても、お互いにクラスを行き来したり、休日には遊びに行ったりしていた。
お互いのクラスでできた友達も含めて、みんなでゲーセン行ったり、自作のゲーム(テーブルトークもどき。アドベンチャーゲームを模した感じ)で遊んだりと、生活レベルも頭の出来も全く違う僕と彼は何故か本当によく遊んだ。
そんな時間が、これからも続くと、その時の僕は能天気に思っていた。
ところが、中学を卒業して彼と会う機会がなくなると、僕は目の前のことだけに夢中になってしまい、薄情な話だけど彼のことをすっかり忘れてしまう。
というか、彼のような僕とは全く違���人間が今までよくしてくれたことは、恐らく彼の気まぐれによるものなのだと勝手に納得してしまい、「まあ似たもの同士仲良くしていけばいいよね」てなことを思いながら、高校でできた友人たちや、中学の頃の同じくらいの頭の出来の友人たちと、仲良く賑やかに過ごしていた。
そんなある日、再び彼に出会ってしまった。
それは、僕の交通事故がきっかけだった。
遅刻ギリギリでの通学の際に、自動車とぶつかり、僕は数メートルほど宙を舞い、自転車は再起不能になり、相手の自動車はフロントあたりがベッコリと凹んだ程度に大きな事故で、大きな怪我こそなかったものの、僕は暫くの間病院に通うことになったんだ。
その日も学校から帰って病院に通院して、そろそろ帰るかという頃合いに、不意に名前を呼ばれ肩を叩かれた。
振り向くと、僕と同じ年頃の、僕より背の高い男子がそこに立っていた。
彼だった。
彼も部活で痛めた手首の治療に来ていて、僕らは久しぶりの再会を喜び、その日はかなり長い間馬鹿話をしてた。
学校群のような賢い奴らしか通えないところに進学したにも関わらず、彼は相変わらずゲームが好きで、ゲームの話をしていたら、僕らが最後に会った時から2年ほどの時間が経っていたはずなのに、それを感じさせないというか、2年も会っていなかったのが勘違いにしか思えないくらい楽しく話をしていた。
あまりに馬鹿話が長くなり、そろそろお互いに帰りの時間を意識し始めた頃、不意に彼は、これまで抱えていた大きな想いを僕に漏らしてしまった。
「中学の頃さ、お前のことが好きだったんだ。 でもさ、お前はあいつのことが好きだったのわかってたからさ、 俺には隣で笑っていることしか出来なかった」
……その後のことは、正直よくおぼえていない。
翌日にはその話を忘れてしまい、成人式の後に彼に再会したときも思い出すことはなかったのだけど、このことを思い出したのは、更に7年ほどの時が経ち、僕の部屋に一通の手紙が届いた時だった。
それは中学時代の同級生からの手紙で、どうやら彼が亡くなったという知らせで、詳しいことは書かれておらず事情も全く分からなかった。
もう一昔近く前の話だから、どうにもならないことだけれど、一度は線香のひとつでもあげさせていただかないとと思い、当時住んでいた川崎のアパートから地元に変えることにした。
中学時代の記憶を頼りに彼の家を訪ね、お仏壇に線香をあげさせて頂いたときに、親御さんに大まかな事情を伺うことが出来たのだけれど、それはかなり衝撃的で、同時に悲劇的でもあった。
どうやら彼は、当時勤務していた職場で縊死していたそうで、その直前に「どうして俺だけこんなに苦しまなければならないのだろうか?」と周囲に漏らしていたとのことだった……。
その時、僕にはその時の、あの会話が鮮明に思い出されたのだ。
彼が亡くなって、かなりの時間が経ってしまった。
僕はもう気味の悪いくらい冴えない中年で、かろうじて結婚はしているけれど実績も資産も何もなくて、消化試合の日々を過ごしているけれど、もしあの日の会話について、もっと真剣に向き合うことが出きていたなら、どんな今を迎えることが出来ていたのだろうか。
そんな無意味な想像をしてしまうことが増えてきた。
別に結婚生活に不満があるわけではないけれど、あの夏の木漏れ日のような僕の中では綺麗な時期の、友情でもあり憧れでもあり、いろんな感情のるつぼのような僕と、そんな僕にいつも優しく笑いかけてくれた彼のことを思い出すと、
「もっとなんとかならなかったのか」
と思わずにいられない今の自分がここにいるのだ。
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shindo-hanamure · 3 years
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 ホロコーストからガザへ   パレスチナの政治経済学 サラ・ロイ著   (編訳:岡真里+小田切拓+早尾貴紀)
 第二部「イスラエルによる占領と反開発」   (・・・)ロイはパレスチナにおける「開発(development)」の問題に関して、いわゆる「低開発(underdevelopment)」と、開発を根本的に阻害する「反開発(de-development)」とを理論的に明確に区別する。「反開発とは、強大な力でもって、意図的かつ計画的に既存の経済を破壊することであり、それは、低開発が歪んだかたちであれ一定の経済発展を許容しているのとは対照的であり、質的に異なる」。(GS,p.4)   従来の代表的な理論である近代化論および従属理論が扱えるのは、せいぜい低開発問題までであり、第三世界の後進性や先進国による搾取が主たる分析となる。  だがそれでは、イスラエルによるパレスチナ占領を分析するには不適切であるとロイは言う。第一にそれは、先述のように、シオニズムによる入植政策が、一般的な植民地主義とは質的に異なることに起因する。すなわちパレスチナの被占領地は、近代化論と従属理論に特徴的な「中心-周縁」関係における「周縁」としての第三世界でもないのだ。一般の第三世界に対する植民地主義的搾取論では、その地における住民の潜在的な生産力を活用して利潤を発生させることを目的としているが、それに対してシオニズムが目指すのは純粋なユダヤ人国家であり、パレスチナの土地は欲しくともパレスチナ人は消滅してほしいと願っている。(GS,pp.123-128)
 出自/ジェダイズムについて    母の家族で戦争を生き延びたのは、母とその妹のフラニアだけでした。一九三六年にパレスチナへ移住していたショシャナおばさんを除いて、ほかの者は全員、非業の死を遂げました。母とフラニアおばさんは、パバニスとロッズのゲットーで七年を過ごしたのち、アウシュヴィッツ、そしてハルプシュタットの強制収容所へ移送されました。そのあいだ二人は、戦争が終わるまでなんとか離れ離れにならないようにしていました−−ある一度を除いては。  それはアウシュヴィッツでのことでした。二人が選別の列に並んでいたときのことです。そこには大勢のユダヤ人が並んでいました。彼らの運命はナチの医師ヨーゼフ・メンゲレに握られていました。ひとり彼だけが生きる者と死ぬ者を決定するのです。おばがメンゲレの前に立ちました。メンゲレはおばに右側、つまり労働用の列を示しました。それは束の間の死刑執行延期を意味します。母の番になったとき、メンゲレが示したのは左側、つまりガス室で殺されるグループでした。でも、母は奇跡的に選別ラインにもう一度もぐりこむと、再度メンゲレの前に立ちました。彼は母を労働の列に加えたのでした。二人は本当に仲がよかったにもかかわらず、戦争が終結を迎えると、母はおばと別れるというつらい決断をしました。フラニアおばさんはパレスチナ/イスラエルに渡ってショシャナおばさんのところに行くことに決めました。ユダヤ人にとって安全な場所は唯一そこにしかないです。母はいっしょに行くことを拒みました。私が生きるうえで母が幾度となく語ってくれたことですが、イスラエルでは暮らさないという母の決断は、戦時中の体験から母が学びとった強い信念に基づいていました。それは、人間が自分と同類の者たちのあいだでしか生きないならば、寛容と共感と正義は決して実践されることもなければ、広がりを見せることもないという信念です。母は言いました。「ユダヤ人しかいない世界でユダ��人として生きることなど、私にはできませんでした。そんなことは不可能でしたし、そもそも望んでも今せんでした。私は、多元的な社会でユダヤ人として生きたかった。ユダヤ人も自分にとって大切だけれども、ほかの人たちも自分にとって大切である、そのような社会で生きたかったのです。」    傷と倫理    イェヒエル・デ=ヌールという名前の男性についての話です。彼はトラックから降ろされると、逃走し始めるや振り返り、驚くナチス親衛隊に向かって、「私は人間だ!  悪魔ではない! 人間として生きたいんだ!」と叫んだのです。デーヌールはそうして雪に覆われた森へと逃げていきました。ガザで殺された無実の人たちは、きっと同じことを叫んでいたことでしょう。「私は人間だ! 悪魔なんかではない!」、と。    ホロコースト以降の復興における本質的な問題ですが、私たちは平常でいられるでしょうか。他の人びとを周縁に追いやることで自らの避難場所を求め、他の人びとの剥奪と破壊において自らの救済を求めているときに、普通でいることなどありうるでしょうか。家屋の破壊、障壁(隔離壁や検問所やロードブロックなど)の設置、生活維持の阻害、無実の人びとの破滅のうえで、耐え難い安楽を黙認しているときに、どうやって創造的なことができるでしょうか。ローズの言葉を借りれば、「歴史上の苦痛に対する万能の回答」を探し求めながら、どうして〔他者に〕同情を寄せることができるでしょうか。    老人とロバのはなし    友人たちと通りに立っているときに目撃した現場です。向こうから年輩のパレスチナ人がロバを引いてやってきました。老人の孫なのでしょう、三つか四つくらいの小さな男の子もいっしょでした。傍らに立っていたイスラエル兵たちが唐突に老人に歩み寄り、彼の行く手を制しました。兵士のひとりがロバに近づき、その口をこじあけて言いました。「おい、お前。ロバの歯が黄ばんでるぞ。なんで白くないんだ。ちゃんと歯を磨いてやってるのか!?」。    老人は愚弄され、幼い少年は目に見えてうろたえていました。兵士はもう一度、質問を繰り返しました。今度は大声で老人を怒鳴りつけながら。他の兵士たちはそのようすを面白がって眺めていました。子どもは泣き始め、老人はじっと黙ったまま、そこに立ちすくんでいました。辱められながら。同じ場面が何度も繰り返し演じられるうちに、群集が集まり始めました。すると兵士は老人に、ロバの後ろに立つよう命じました。そして、ロバの尻にキスしろと言ったのです。最初、老人は拒みました。けれども、兵士が老人をどやしつけ、孫がヒステリックに泣き叫ぶと、老人は身をかがめ、言われたとおりにしたのでした。兵士たちは大笑いしながら去って行きました。    私たちはおし黙り、そこに立ったままでした。恥に打たれ、互いを見合うこともできませんでした。ただ、少年がやみくもにすすりなく声だけが耳に響きました。老人は貶められ、打ち砕かれて、しばらく身動きしませんでした。それは、ずいぶん長い時間であったように思われました。私もまたその場に立ちすくんでいました。信じられない思いにただ茫然として。私がそのときただちに思い出したのは、両親が私に話してくれた逸話の数々です。一九三〇年代、ユダヤ人がまだゲットーや収容所に入れられる前、ナチスによっていかに扱われていたか。歯ブラシで歩道を磨くよう強制されたこと、公衆の面前であごひげを剃り落とされたことなど。あの老人の身に起きたことは、その原理、意図、衝撃において、それらとまったく等しいものでした。人を辱め、その人間性を剥奪すること。一九八五年の夏のあいだずっと、同じような出来事を私は繰り返し目撃しました。パレスチナ人の青年たちがイスラエル兵たちによって無理やり四つん這いにさせられ、犬のように吠えさせられたり、通りで踊らされたりする姿を。      救済について   最後に作家イレーナ・クレプフィスの言葉を引用して、この話を終えたいと思います。彼女の父親は、彼女とその母親をワルシャワ・ゲットーからこっそりと逃がすことに成功し、その後、彼自身はゲットー蜂起で亡くなりました。    私がたどり着いた答え、それは、闘い、抵抗し、そして亡くなった、私たちの愛するこれらの者たちを哀悼する一つのやり方とは、彼らの同胞の日常生活が破壊されたときに、それを眼前にした彼らの見方や彼らの怒りを私たちが決して手放さないということだった。私たちが日常生活のなかでつつがなく生き続けることを可能にするために必要なのは、この怒りなのだ。その怒りを、ユダヤ人の情況であれユダヤ人以外の者たちの情況であれ当てはめることなのだ。公共生活が崩壊する、そのどんな兆しでも目にしたならば私たちの行動と洞察を活性化するために私たちが呼びおこすべきはこの怒りなのだ。    射殺された十代の者者の死を夏く母親の狂乱。滅茶苦茶にされた家、あるいはされた家の前で茫然と立らすくむ家族。分断され追放された家族の姿。恋意的で不当な法律が商店の開閉時刻や学校の始業終業時刻を命じること。文化が自分たちとは異質であることを劣等性の証拠とみなしてその人びとを辱めること。市民権もなく、路上に放り出された人びと。軍の統制下で生きる人びと。これらの悪が平和の障碍であることを私たちは身をもって知っている。こうした情況を認めたならば、そのときこそ私たちは過去を想起し、ワルシャワ・ゲットーのユダヤ人たちを鼓舞したあの怒りと同じものを抱き、その怒りが現在の闘いへと私たちを導くようにするのだ。    したがって、私たちは亡くなった人びとを想起しなければならないのですが、その死をたんに記憶しておくためではありません。そうではなく、パレスチナ人とユダヤ人両方の日常生活を肯定することによって、彼らの生を讃えるためでもあるのです。それゆえこれが、エドワードが言ったように別の夢を見る可能性を生み出す、私なりのオルターナティヴなヴィジョンなのであり、そこでは、最後にまたT・S・エリオットを引用すると、「火と薔薇とは一つ」なのです。    サラ・ロイ Sara Roy  一九五五年アメリカ生まれ。政治経済学。ハーバード大学中東研究所上級研究員。パレスチナ、とくにイスラエルによるガザ地区の占領問題の政治経済学的研究で世界的に知られる。ホロコーストの生き残りのユダヤ人を両親にもつ。主な著書に  The Gaza Strip: The Political Economy of De-Development, Institute for Palestine Studies, 1995
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朝比奈潤(ドMおじさん)@doemojisan
今から15年ほど前、20代後半の頃に個別指導系の学習塾で数年間働いていた。担当は男子中学生ばかりだったがその中に明らかにオーラが違うイケメンがいた。今で言えば坂口健太郎によく似ていたので、ここでは彼を坂口君と呼ぶ。坂口君は身長180弱、不良っぽさと中性的な部分を併せ持ったルックスだった。
実際、彼はよくモテていた。恥ずかしい話だが、私は女性の生態についての知見をほとんど彼から得たと言っても過言ではない。30歳手前の大人が14~5歳の少年から女について教わるという屈辱は私を大いに苦しめたが、童貞だった私には坂口君が無邪気に話すモテ話が抗いがたい魅力を持っていた。
「さっき逆ナンされてカラオケでセックスしてきちゃった」私が担当してすぐの頃、彼が述べた遅刻の理由である。成績の良い子が行くような塾ではなかったから真面目に勉強しに来ている生徒は少ない。それでもこの発言は衝撃的であった。事の真偽はともかくとして、私は注意するよりも呆然としてしまった。
イケメンの中でもよりすぐりの「超イケメン中学生」には凡人には想像し得ない奇跡のような出来事が毎日起きている。逆ナンパはそれこそ日常茶飯事だ。家電量販店で暇をつぶしていたら、見知らぬ40代のマダム風女性に当時、流行っていたゲームボーイアドバンスを買ってもらったこともあるという
奇跡というのはたとえば、繁華街ですれ違った20代の女性に道を聞かれ、親身になって教えたところ連絡先を聞かれ後日、お礼がしたいと食事に誘われる…といったようなことだ。そんなことがあるのだろうかと思う。私は42年間生きて、宗教の勧誘以外で一人歩きの女性に声をかけられたことがない
こうしたエピソードの一つひとつに何とも言えない迫力を感じ、私は授業中の彼の雑談、自慢話を黙認した。そういった話に私自身が興味を持っていた。彼の携帯電話の画像フォルダには今まで関係した女性との画像が収められていた。その数の多さ、写真に収まった女性の美しさには圧倒される思いであった
そのフォルダを全部見たわけではないが、一際目を引いたのは坂口君と同世代であろう白人とのハーフの美少女だ。玉城ティナ、トリンドル玲奈に似た雰囲気の彫刻のように美しい顔だった。とても中学生には見えない。そしておっぱいも、服の上からでもそれなりの大きさになっているのがわかった
何枚かの画像には私と同世代、もしくは30代であろう女性も写っていた。私には視線すら合わせない同世代の美女が15歳の少年には心を開き体も許しているのかと思うと、やるせない思いであった。自分の私生活がとてつもなく惨めに感じ、オスとしての能力の違いを見せつけられる思いであった
当時の私生活は今よりも悲惨であった。休日ともなれば昼近くまで惰眠を貪り、起きれば近所のコンビニへ行く。道中、美少女とすれ違えばその顔や胸の膨らみを凝視して目に焼き付け、帰宅後はその美少女を想像しながら自慰をする。そしてコンビニ弁当を食べテレビを見ながら夕方になるとまた自慰にふける
坂口君が恋愛ゲームを楽しみ女性を楽しませ、そして愛されている一方で、私は道行く美人を盗み見ては服の上から伺えるおっぱいの大きさを確認して脳裏に焼き付け、その乳房を揉みしだく妄想にかられながら一人慰め、果てる。東京砂漠とはこのことだろう。私は自分の情けなさに消え入りたくなった
坂口君を教えていて気付いたことがある。それは女も男と同じように気になる異性をチラ見するという事実だ。教室で隣り合って座っていた私にはそれが手に取るようにわかった。そしてチラ見された側は視線に完全に気付く。チラ見されている事に気付かれまいとあえて見ないようにする行為すらもほぼわかる
授業時間が終わり坂口君が帰宅しようとすると、いつも奇妙な光景が繰り広げられた。女子生徒たちがみなソワソワしながら坂口君の様子を気にしているのである。女子生徒の中でもカースト上位と思われる、沢尻エリカ似のリーダー格はいつも偶然を装って坂口君の周囲をうろつき会話の機会を伺っていた
沢尻の積極性に私は驚いた。女の子は相手次第でこれほどまでに積極的になるのである。カースト下位の女の子には坂口君と話す機会は与えられない。女子リーダー格の沢尻は、その地位を生かして他の女の子を牽制していたのかもしれない。授業が終わると上位グループが坂口君を取り囲むこともあった
坂口君と沢尻はもしかしたら関係を持っていたのかもしれない。なぜなら沢尻が坂口君に夢中になっていたのは誰の目にも明らかだったからだ。坂口君に入れあげていたのは沢尻だけではない。女性社員にもまた坂口君は人気があった。中でもある20代後半の女性社員が取った行動は生々しかった
の女性社員は波瑠に少し似ていたのでここでは波瑠さんと呼ぶ。長身でスレンダー、キリッとした顔つきが近寄りがたい雰囲気を出していて仕事が速かった。その波瑠さんは、愛想が良いほうではなかったが、坂口君と話すときだけは満面の笑みになるのである
志望校などを調査する資料を坂口君が提出し忘れたことがあったが、その時の波瑠さんの動きは凄かった。坂口君の席の隣にひざまずいて「ここに名前を書いて」「学籍番号はここ」と、手取り足取り教えながら書かせているのだ。どこに名前を記入するかなどバカでもわかる。波瑠さんの魂胆は明らかだった
波瑠さんが坂口君に資料を書かせている間、二人の物理的な距離が徐々に近づいていくのがわかった。波瑠さんは時に坂口君に覆いかぶさるように資料の書き方を教えていた。私には波瑠さんのおっぱいが坂口君の背中に当たっているように見えて仕方がなかった。いや、間違いなく胸と背中が触れ合っていた
波瑠さんは長身だったが胸はそんなに大きくなかった。体の線がはっきりとわかるような服を着てくることもなかった。私はそんな波瑠さんが自らの女の部分を強調していることに衝撃を受けた。よく恋愛マニュアルに「OKサインを見逃すな」なんて書かれているが、こういうことなのかと思った
女のOKサインとはかくも露骨なものなのだ。本物のOKサインとはこのようなものなのだと思い知らされた。恋愛マニュアルに書かれた「酔っちゃった~」なんていうセリフや、普通の男が「もしや」と感じるセリフなど、このときの波瑠さんのOKサインに比べれば勘違いに近い
手取り足取り教えられながら資料を書き終えた坂口君の行動も私を驚かせた。「疲れた~」と言いながら席を立った坂口君は「波瑠さんの肩揉んであげます」といって肩のあたりを揉みはじめたのだ。波瑠さんは顔を真っ赤にしている。あのクールビューティの波瑠さんが真っ赤になって動揺している
波瑠さんにひそかに思いを寄せていた私は激しく嫉妬した。童貞ゆえの自信のなさで会話すらままならなかったが、いつも彼女を盗み見ていた。服の上から伺える乳房の形を想像しながら自慰したこともある。年上の彼氏がいるという噂にうちのめされたこともあった
そんな高嶺の花だった波瑠さんが「どうぞ私を抱いて」と言わんばかりにオンナの表情をしていたことがショックだった。一見、ツンとしているように見える女性でもイケメンに見つめられたらイチコロなのだ。しかも相手は15歳の少年である。この事実は私を苦悩させた
その日、自宅に帰った私は波瑠さんの表情を思い出していた。肩を揉まれた時の波瑠さんはなんと幸せそうな表情をしていたことか。坂口君が波瑠さんを抱いている姿を想像してみた。すると嫉妬と悔しさで不思議と興奮してくるのがわかる。寝取られ好きの気持ちがわかった。私はその夜、何度も自慰をした
この一連の出来事は童貞を捨てたいという思いを強めた。風俗でもいいから童貞を捨てれば嫉妬に苦しまなくてもすむかもしれないと思った。次の休日、ネットで入念な下調べをし風俗へ向かった。初めての記念だからと一番美人でゴージャスな容姿の女の子を指名した
指名し部屋で待つ間、胸は高まった。期待と緊張が入り交じり、武者震いが止まらなかった。女の子が部屋に入ると緊張は限界を越えた。手足が震えている。まずい。嬢に童貞であることを悟られたくない一心で、手足の震えを隠し手慣れた様子を演じようとすればするほど震えは強まり会話にも妙な間ができた
正常なコミュニケーションすら成立しない私を前に、風俗嬢は徐々に心を閉ざしていった。恐らく私は緊張と劣等感にまみれた恐ろしい表情をしていたのだろう。風俗嬢が私を不気味がり、怖がっているのがわかる。私はその雰囲気をどうすることもできず、無言で胸を揉み続けた
子泣き爺のように後ろから覆いかぶさり、ぎこちなく胸を揉みしだく私の表情をチラリと見た風俗嬢は、ほんの一瞬だが嫌悪の表情を見せ、その後は私をできるだけ見ないようにしていたと思う。私の性器に手を伸ばし、数回上下に動かしながら刺激を与え勃起を確認した彼女は無言でコンドームを装着させた
コンドームを装着されながら私は女体に感じ入っていた。初めて触る女性のおっぱい。その柔らかさ美しさに衝撃を受けた。女の乳房とはこんなにも男に幸せな感情を与えるのかと。ずっと揉み続けていたい衝動にかられた。しかしコンドームを装着させた嬢は女性器に何かを塗り込んだあと挿入を促した
正常位の体勢から、私はアダルトビデオの見よう見まねで挿入を試みた。しかし、これが意外に難しい。挿入しようとし、角度や位置の違いから押し戻される。それを数回繰り返すうちに動揺は強まった。童貞であることがバレたかもしれない。そして何より精神的動揺から勃起が弱まっていくのを感じた
萎えて柔らかくなった男性器を女性器の入り口に押し付け、どうにか挿入しようとして押し戻される滑稽きわまりないやりとりの後、私は挿入を諦めた。気まずさを誤魔化すため、私は風俗嬢のおっぱいにむしゃぶりついた。風俗嬢は事務的に私の性器を手でしごき、再び勃起を促した
胸を揉むとわずかだが、萎えた性器が復活する。ベッドの上にお互い向き合って座りながら無言のまま、私は胸を揉みしだき、風俗嬢は淡々と私の性器をこすり上げる重苦しい時間が20分くらい続いた。異様な光景だったと思う。やがてコンドームがシワシワになったところでタイマーの警告音が響いた
「時間…」とつぶやいた風俗嬢はコンドームを剥ぎ取り、激しいペースで性器をしごいた。私も胸を揉むペースを早める。すると数十秒後、精子が放出された。思わず「あっ」という声を上げてしまった。賢者モードに陥る私をよそに彼女はティッシュで精子を拭く。これが私のみじめな初体験だった
挿入に成功しなければ真の意味で童貞を脱したことにはならない。翌週も同じ店に行った。指名した娘は先週の子ほど美人ではなかったがとても愛想が良かった。武者震いしながら性行経験者を装う私のバレバレの演技にも笑顔だ。私を傷つけないよう、私が彼女をリードしている錯覚を与えながら挿入へと導く
メリメリという感覚の後、私の性器はするっと女性器の中に入った。挿入に成功した。私は激しく動くことで緊張を悟られないように努めた。しかし、このとき私は膣内での射精には成功しなかった。風俗業界ではこれを中折れと呼ぶらしい。結局、私は手と口で嬢に刺激されながらゴム内で発射させられた
恥ずかしながら私はセックスがこんなにも難しく、重圧がかかるものだとは知らなかった。機会さえあれば誰にでもできると思っていた。水を飲み、道を歩き、ベッドで寝る。そんな人間の当たり前の営みと同じく挿入と射精ができるのだと。しかし実際は違う。自転車の補助輪を外すような訓練が必要なのだ
風俗店から帰宅後、ネットで調べたところ、私のような症状は「膣内射精障害」と言うらしい。自慰ばかりしているモテない男が患う風土病のようなものだ。普通の男性が患うこともあるが、多くは加齢、飲酒、あるいは倦怠期で刺激を失ったことが原因であり、コンディション次第ですぐ回復する
自慰ばかりしている男性は、しばしば自分の性器を強く握りしめる。そして、それは膣が加える刺激を上回る。性交よりも自慰の回数が圧倒的に多い非モテ男はそれに慣れきってしまい、いざ性交するときに刺激が足りず射精に至らないのだ。オナニー病、モテない病と言える。こんなに哀しい病があるだろうか
結局、膣内での射精に成功するまで、童貞を捨てた日から3年以上の月日がかかった。風俗店へ通いつめた回数は40回を超える。30歳を超え、ようやくである。中折れし途中で萎えた性器を手でしごきあげられ、射精させられるという情けないセックスを40回以上も繰り返したのだ
童貞を捨てれば消え去るかと思われた劣等感はさらに巨大になった。3年の間、自らの性的能力の低さ、異常さを突きつけられた思いがした。15歳の少年がいとも簡単に、毎日のように行う「普通の性交」にお金を支払ってもなお達しないのである。波瑠さんら女性社員や生徒がこれを知ったら、蔑み笑うだろう
恥ずかしい話だが、今でも私は2回に1回は膣内射精に失敗する。これは異常なことだろう。しかし、異常者なりに気づきもあった。風俗嬢に「実は素人童貞で経験が少ないんです。リードしてください」と白旗を上げるのだ。すると精神的に少し楽になることがわかった。少なくとも手足の震えは軽減した
裸の女性を前にした緊張、武者震い、手足の震えは、恐らく素人童貞を恥に思い隠そうとする男のチンケなプライドと密接に関わっている。あえて白旗を上げることで、それはいくらか軽減する。しかし「途中で萎えたらどうしよう」という重圧は依然として残る。この重圧から逃れる方法を私はいまだ知らない
風俗嬢に「経験が少ないのでリードしてほしい」とカミングアウトすると、高確率で「そういうお客さんの方が好き」と言われる。これは好き嫌いというよりも、その方が業務上、楽なのだろう。世の女性が素人童貞を好きというわけではない。むしろ素人童貞で射精障害のおっさんなど視界にすら入っていない
しかし指名した子がドンピシャで好みだった場合は、経験が少ないことを明かせずにいた。もしかしたらこの娘と付き合えるかもしれないという下心からである。冷静に考えれば風俗嬢が客と付き合うことなどあるはずがない。にも関わらず、自分を偽りカッコつけてしまうのだ
なぜか。それは女性との接触が極度に少ない非モテには万に一つの可能性でさえ貴重な機会だからだ。自分でも狂っていると思う。しかし非モテの劣等感とは、これほどまでに人間の判断力を狂わせるのである。こうして性に習熟した大人の男を演じようとして射精に失敗し呆れられる。私はこれを繰り返した
風俗店通いで不快だったのは待合室の存在だ。見るからに女と縁がなさそうな醜い男たちが折り重なるように狭い部屋に押し込められ、煙草の煙にまみれながら携帯電話の画��を覗いている。そしておそらく彼らは軽く勃起している。この世の終わりみたいな場所だ。気持ちの悪さに身の毛がよだってしまう
フェミニストが憎み、罵り、滅ぼそうとしているのは風俗店の待合室にいるような男たちのことだろう。決して坂口君のような美少年ではない。この点に関して、私はフェミニストに深く同意する。彼らを消し去ることで、世界は少しだけ良くなると思わざるを得ない。私も消えてしまうけれども
おそらく坂口君は、平均的な非モテ中年の何十倍、何百倍もの女性を傷つけ、悲しませ、不安にさせてきたはずだ。しかし、世の女性はそれでも坂口君を愛する。そして彼に特別扱いされることを望む。フェミニストも坂口君を攻撃することはない。彼の存在そのものが女性を幸せにするからだ
私のような非モテ中年がフェミニストにお願いしたいのは、せめて我々が生きる権利だけは奪わないでほしいということだ。風俗店の待合室に来てしまうような種族は、自分ではどうにもできない性衝動と法律の折り合いをつけ、やむにやまれず安月給を工面して数万円を握りしめてやってきた善良な市民である
男がお金を払って快楽を得ようとすることに関して、女性の目は厳しい。それは本来なら淘汰され、消えてなくなるべき遺伝子が、お金の力で力を得ることへの本能的な嫌悪であると思う。この本能は現在の人権制度、博愛主義と完全に対立する。この点について現代社会はまだ答えを見いだせていないと思う
坂口君には女性を虜にする必殺技があった。それは笑顔で挨拶することだ。なんだ、それだけかと思うかもしれない。しかし彼は笑顔だけで女性を完全にコントロールしていた。私が見る限り、彼はいつも同じように笑顔の挨拶をしていたわけではない。人や状況に応じて、振りまく笑顔の量に濃淡をつけていた
坂口君が最大級の笑顔で挨拶をすると、女たちは皆、有頂天になった。成人女性とてそれは同じだった。みな狂ったように喜んだ。しかし、いつもそれをするわけではない。そうやって濃淡をつけることで、不安にさせたり、嫉妬させたりしながら女たちの行動をコントロールするサイコパス的な側面があった
それは幼少期から女性と濃密なコミュニケーションをすることで得られた天性の能力だろう。真似しようとしてできるものではない。「女性に優しく」と、よく恋愛マニュアルに書かれているが、大半の男が考える優しさは「弱さゆえの優しさ」であって、本質的には媚びや譲歩に近い
そしてこれは重要なことだが、女性はその「弱さゆえの優しさ」には興味がない。いや、嫌悪すらしていると思う。「弱さゆえの優しさ」でどんなに高額のプレゼントを貰おうとも、女たちはなびかない。むしろ坂口君から時に冷たくされ、時に嫉妬させられながら、ごくたまに優しくされる恋愛を選ぶ
坂口君に話しかけられた女性の反応は、若くてハンサムな白人男性に話しかけられた日本人女性のリアクションに近い。若い白人男性が日本人女性を次々といとも簡単にナンパする動画がネット上で賛否を呼んでいたことがあり、私もそれを興味深く観たが、あれはまさしく坂口君の周りで起こっていたことだ
六本木などを歩けばわかることだが、ハンサムな白人男性を連れて歩く日本人女性は不思議と欧米風の所作になる。彼女らは白人男性を連れて歩いているという状況��のものに酔っていて、「みんな見て、これが私の彼氏よ」とアッピールしたくてたまらないように私には見える
白人男性と交際すること、それを周囲に認識させることが自らの格をも上げるのだと確信していないと、ああはならないのではないか。少なくとも冴えない日本人男性を連れて歩く日本人女性は、六本木を彼女らほど我が物顔では歩かない。もっと申し訳なさそうにそそくさと歩いているように私には見える
思えば沢尻や波瑠さんは、坂口君と話しているとき、とても得意げだった。周囲に見せつけるように、「坂口君とこんなに仲が良い私」をアッピールしていた。そして我を忘れて会話を楽しんでいた。沢尻はともかく、波瑠さんまでが中学生相手にそんなになってしまったことは、私に強い衝撃を与えた
私が初めて風俗店へ行ってから数週間後、沢尻の母親からの電話が私の勤務する学習塾を大混乱に陥れた。最初に電話をとったのは私だ。母親が言うには沢尻が波瑠さんからしきりに服装について注意を受け精神的に参っていると。服装についての規則はないはずでは?何が悪いのかということだった
これは沢尻の母親に理がある。生徒の服装を職員が注意することは、基本的にはないはずだ。そんな場面を見聞きしたこともなかった。これは奇妙だ。そして母親は言いにくそうに、話を続けた。「あと…娘が波瑠さんにあなた処女じゃないでしょって言われたみたいなんですけど…」。私は耳を疑った
沢尻母が校舎へやってくると、室長室へ通し、私は退席した。約1時間後、沢尻母が帰ると、今度は波瑠さんが室長室へと呼ばれた。授業時間になっても波瑠さんは戻ってこない。私は嫌な予感がした
納得がいくようでいかない、なんとも要領を得ない説明である。「波瑠さん、沢尻に派手な下着を着るなとか、ピタっとした服を着て来るなとか言ってたらしいですよ…。で、別の教室へ行って、すぐ辞めたみたい…」。私はそのことを坂口君から聞いた。そして事の真相にある程度の察しがついた
一連の騒動はおそらく坂口君をめぐる沢尻と波瑠さんの潰し合いなのだ。そして沢尻が勝ったと。坂口君と沢尻がイチャついていたのを見た波瑠さんが嫉妬し、坂口君におっぱいを密着させて接近した。それを察知した沢尻は波瑠さんのクビを獲りにきた…。そういうことなのではないかと
坂口君はなぜ波瑠さんの「その後」を知っていたのか。私は彼に「そんなこと誰から聞いたの?」とは聞けなかった。仮に聞いたら、彼はおそらく「だって波瑠さん、俺のセフレだよ」と無邪気に答えたであろう。波瑠さんに想いを寄せていた私は、それだけはどうしても聞きたくなかった
坂口君は波瑠さんのOKサインを見逃してはいなかったのだ。そして彼は波瑠さんとセックスしていたのだと思う。室長の聞き取りで波瑠さんは、沢尻への仕打ちだけでなく余罪も白状した。そして警察沙汰を恐れた塾側は、噂になる前に波瑠さんをクビにした…。これが坂口君の口ぶりから察した私の仮説である
坂口君と波瑠さんは、いったいどんなセックスをしていたのだろう。15歳にして180cm近い長身、私より10cm以上も高い。きっと性器も立派なのだろう。少なくとも私のような仮性包茎のイカ臭い、粗末な性器ではないはずだ。場馴れした手つきで波瑠さんをリラックスさせ、「好き」と囁き合ったのではないか
坂口君は30人以上とやったと豪語していた。多少盛っていたかもしれないが、説得力はあった。セフレの女子大生からの「生理来たよ」というメールを見せてきたこともあった。当初、私はその意味がわからなかった。数日してようやく危ない日にコンドームなしでセックスしたことを意味するのだと悟った
童貞の男はそんなことも分からないくらい察しが悪い。そのくせ嫉妬深い。坂口君と波瑠さんがセックスしていたことに気付いた日、私は帰宅するなり自慰をした。波瑠さんを奪われた怒りに近い感情が、なぜか興奮を高めた。怒りと興奮で顔を紅潮させながら、あらん限りの力を込めて性器を握りしめていた
そのときの私はこの世のものではないくらい醜い顔をしていたはずだ。嫉妬に狂いながら坂口君が波瑠さんを愛撫する姿を想像し、「畜生、畜生…」と呟きながら性器を握りしめた。膣内射精障害が悪化するとも思ったが、どうにでもなれという自暴自棄の気持ちが勝っていた
そのときなぜか波瑠さんが小ぶりなおっぱいを精一杯寄せて、坂口君の性器を挟んでいる像が思い浮かんだ。パイズリだ。なぜそんなイメージが浮かんだのかはわからない。心の奥底に閉じ込めた性衝動が脳内で不可思議に暴発したのだと思う。そして、その瞬間、私の性器は精子を垂れ流した
その後、私は坂口君の立派な、私の倍くらいはあるだろう性器を波瑠さんが小さな乳房で一生懸命に包み込んで奉仕している場面を思い浮かべながらもう一度、射精した。その後、今度は波瑠さんが坂口君に攻められ、涙声で「ごめんなさい」と言いながら絶頂に至る妄想でさらにもう一度、射精した
それにしても波瑠さんはなぜ沢尻なんかに目くじらを立てたのだろう。たしかに職員にとって沢尻は苛立たしい存在ではあった。反抗的で知性に欠け、徒党を組むタイプの女だ。が、所詮中学生。美人だが波瑠さんの上品な美しさとはモノが違う。しかし沢尻にあって波瑠さんにないものが一つだけあった
大きな乳房だ。沢尻は中学生の割におっぱいが大きかった。それを見せつけるように胸の谷間も露わなキャミソールを着てくることもあった。波瑠さんは沢尻の胸の大きさに嫉妬していたのだろうか。普通ならば、そんな結論には至らない。何より女性は男が思うほど、恋敵の胸の大きさを気にしない
本当のところはわからないが、少なくとも気にしない素振りを見せる。しかし、こんな普通じゃない状況になった今、どんな可能性だってありうるように思われた。沢尻が大きな胸で坂口君を誘惑していると確信した波瑠さんが、嫉妬にかられ派手な下着や体のラインが出る服を着ないよう命じた…
そんなのはアダルトビデオの中だけの話。そうやってシンプルに考えられる人を私は羨む。いろいろな可能性を考えたとしても、それは何も生まない。真相は本人に聞いてみなければわからないのだから、考えたって仕方がないのだ。本人ですら、自分が何を考えているのかわからないのかもしれないが
波瑠さんは胸は小さく、おそらくAカップかBカップといったところだったが、170cm近い長身で顔が小さく手足が長い。他人の美貌に嫉妬するようなコンプレックスがあるようには見えなかった。沢尻は165cmくらい、Dカップくらいだろうか。大人びてはいるが品の無いヤンキーみたいだなと思うこともあった
私は波瑠さんに話しかける勇気はないくせに、チラチラと盗み見ていた。ブラウスの間からブラジャーが見えていて、凝視してしまったこともあった。もう少し角度をずらせば波瑠さんの胸の大きさが確認できるような気がした。思えばあれは気付かれていただろう。なんとも情けない話だ
真剣佑という俳優が14歳当時、37歳の子持ち既婚女性と肉体関係を持ち、その女性が真剣佑との間に生まれた子供を出産したというスキャンダルがあったはずだ。私はこの報道を聞いて真っ先に坂口君と波瑠さんのことを思い出した。この世には現実にこういうことがあるのだ。「事実は小説より奇なり」である
37歳人妻の理性はなぜぶっ壊れたのか。希少性の法則という言葉がある。人は希少なものや機会には価値があると思い込み、しばしば非合理的な行動をとる。旅先で割高な土産物を買ったり、閉店セールで安いからと絶対に使わないものを買ったりしたことはないだろうか
希少性の法則は性愛においてこそ当てはまると私は考える。目の前にいる美少年が完全に自分の好みのタイプで、彼にいま好意を伝えなければもう会えないかもしれないという状況があったとしたら、女の理性は少しづつ壊れていく。「こんな子にはもう出会えないかも」「今しかない」という感覚
それでも法に触れることを恐れて、性衝動を理性で強引に閉じ込めるのが普通の人間だ。しかし、心の奥底に折り畳まれた性衝動を侮ってはいけない。理性で閉じ込めるたびに性衝動は力を増す。性的な衝動を発散する機会が少ない、抑圧された女性の性衝動は男の数倍強い
希少性の法則を突き詰めれば、非モテ男の生存戦略は希少性を獲得することということになる。容姿に恵まれていないが幸せな性愛生活を送りたいと願うなら、希少な存在になるべきだ。この観点から、モテたくてバンドをやる、芸人を目指す、漫画家を目指すという行為はまったく正しい
希少な存在だけが女の心を揺さぶり、理性の扉を開くことができる。モテたいのに会社員になってそれなりの年収を貰おうと努力するのは完全に間違っている。そもそも非モテは会社で出世できない。会社とは非モテがせっせと努力して得たものをリア充がまるで自分の手柄のようにかっさらっていく場所だ
イケメン男子中学生に手を出した年上の女は、遊ばれた挙げ句、無残に捨てられるだけなのになぜ…?と理解ができない人もいるだろう。非常に浅はかな考えだ。性愛に賭ける女の深い情念を甘く見すぎている
女はイケメンに近づけば遊ばれ捨てられることなど百も���知なのだ。15歳の美少年に手を出せば、彼と同世代の美少女と比較され、子供と侮っていた女に男を奪われ、時に恋敵の女子中学生よりも胸が小さいというみじめな現実を突きつけられ嫉妬に狂うことだって覚悟の上なのだ
男子中学生と成人女性の間には、事実、性愛関係が成立する。たった今も地球のどこかで男子中学生と成人女性はセックスをしている。にも関わらず、それは世間的には許容されない。いや、法的、社会的、道徳的、教育的などあらゆる観点からそれは否定される
そして弱虫や嘘つき、偽善者たちは、男子中学生と成人女性の性愛関係など、この地球上にまるで存在していないかのように振る舞う。しかし、私は文学的、ないし芸術的な観点からは、それを肯定したい。少なくとも私には坂口君に肩を揉まれ至福の表情を浮かべる波瑠さんを咎める気にはなれなかった
私は数日前にTwitterでここに書いたトラウマを吐き出したことで、ようやく性愛と向き合うことができた。性愛以上に大事なものはこの世に存在しないことにようやく気付いた。そして素人童貞なりに、この世にどうにか自分の爪痕、生きた証を残したいという強い生の衝動に突き動かされてこれを書いている
私の書く文章を気持ちが悪いと思う人は多いだろう。作り話だ、決めつけだ、素人童貞に何がわかるという意見だってあるはずだ。批判したければ批判するがいい。笑いたければ笑えばいい。しかし、批判しても笑っても、すべての人間に気色の悪い性的衝動が存在する事実を消し去ることはできない
この一連のツイートを波瑠さんと、私を射精に導いたすべての女性に捧げる…って、捧げられても困るか…。まあいいや(完)
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takahashicleaning · 3 years
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TEDにて
ピーター・ワインストック: 手術の安全性を高める本物のような3Dシミュレーター
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
緊急ケア医師であるピーター・ワインストックが、危険な手術を事前にリハーサルなどの練習をするために手術チームがハリウッドの特殊エフェクトや3Dプリンティング技術を使って、まるで、本物のような患者の複製を作る様子を紹介します。
「数時間前に出力しつつ2度(模擬)手術を行い、リアルに切るのは1度だけ。」このトークで手術の未来を垣間見ましょう。 (模型ですが刺激的な映像の部分があります)
このシュミレーターが実現した後、私がボストン小児病院のICUで家族に話す説明の内容はすっかり変わりました!!
こんな会話を想像してみてください。「私たちは、ICUで頻繁にこの病気の症例を処置します。お子さんに行うような手術を数多くした。それだけでなく「あなたのお子さんの手術」に慣れているんです。2時間前に10回も手術したので、これからの本番にも万全の準備ができていますよ」と!!
これから手術を受ける皆様、いかがでしょうか?
新たな治療技術があり、それが、医師や看護師の手に渡れば、子ども、大人、あらゆる年齢の患者たちの治療アウトカムを改善し、疼痛や苦しみ。手術室で過ごす時間。そして、麻酔時間を減らし、治療は最高の効果を生み、治療をすれば、その分だけ患者は良くなる。
それに加えて副作用がなく、あらゆる場所で処置できる。そんなものがあったらどうでしょう。ボストン小児病院のICUで働く救急医にするとこれはゲームチェンジャーです。
その技術とは、まるで本番のような手術のリハーサルです。本番のようなリハーサルが。治療シミュレーションを通じて行われます。
症例を通して、この奮闘の様子をご紹介し、この技術が医療の質を高めるだけでなく、医療にとって必須だという理由をご説明しましょう。これは生まれたての女の子です。私たちは、生まれて最初の日を「生後0日目」と言いますが、この子が生まれるとすぐ全身状態が悪化しているのに気づきました。心拍が早まり血圧が下がり、赤ちゃんの呼吸はとても速く、その理由は胸部レントゲンに表れていました。
これはベビーグラムと言う新生児の全身のレントゲン撮影です。上方は、心臓と肺があるべきところです。下方には腹部が見えますが、ここには腸があるべき場所です。透明な部分が赤ちゃんの胸部、向かって右側へ侵入しているのが見えると思いますが、これらは間違った場所にある腸です。それが、肺を圧迫し、この哀れな赤ちゃんの呼吸を困難にしていました。
これを解決するためには、この子をすぐに手術室へ運び、腹部に腸を戻し肺の圧迫を解決し、再び呼吸できるようにすることが必要です。でも、彼女が手術室へ入る前に一旦私たちのICUへ連れてこられます。私は外科手術チームと働いています。その子を取り囲み、人工心肺装置につなぎ
そして、まず麻酔をかけ首にごく小さな切開を加え、そこから大血管へカテーテルを通し、この大血管はボールペンの芯ほどの太さです。そして、血液を体内からとり出し 機械を通して血液に酸素が加えられそれが体内に戻されます。この子の命を救い手術室へ安全に運びます。
でも問題があります。
こうした疾患。先天性横隔膜ヘルニアというのは横隔膜に空いた穴から内臓が胸腔内に脱出するのですが稀だということです。世界で最高の技術を持つ外科医でも完全に手技が熟練するために必要な数の手術の機会に恵まれるのは困難です。この症例は稀なのです。稀少な症例をどうやってありふれたものにできるでしょう?
もうひとつの問題は、現行の医療制度で臨床訓練を20年やってきましたが、現行のトレーニングモデルは、徒弟(技術見習い)制度といい数世紀の間使われてきたものですが、手術を一度だか数回見学した後その手術を実地で行います。
次には、次世代の医師に教えるというものです。このモデルでは言うまでもなく、私たちは治療すべき患者を練習台にしています。これは、基本人権上、問題です。もっとましなアプローチがあるはずです。医学の世界は高い危険を伴うのに、本番に備え練習をしない最後の業界と言えるかもしれません。
革新的な治療シミュレーションを使ったより良い方法をご紹介したいと思います。
まず、私たちはこのような方法を何十年も使ってきた危険を伴う業務を行う他の業界を訪ねました。
原子力発電所です。ここでは、想定外の事態が起こった際の訓練をシナリオに基づいて定期的に行います。
私たちに身近な航空業界では、私たちは安心して飛行機に乗れますが、それもパイロットやクルーがこのようなシミュレーターで訓練を積み緊急事態のシナリオで経験を重ね、万が一そんなことが起こったとしても、最悪の事態に備えているという安心感があるからです。
実際、航空業界は、飛行機の胴体丸ごとをシミュレーション環境にしてしまいました。チームの息が合うことが、重要だったからです。これは脱出ドリルシミュレーターで、もし、その「極めて稀な事態」が起こるようなことがあっても彼らは即座に対応する準備ができています。
そして、いろいろな面で衝撃的だったのが文字通り大きなお金が関わるスポーツ業界です。
野球チームの選手たちの練習風景を想像してください。これは素晴らしく進んだトレーニングモデルだと思います。彼らは、まず春季キャンプへ出かけます。春季キャンプへ行き野球におけるシミュレーターのようなものです。実際の球場ではなくシミュレーションでプレシーズンマッチの練習をします。
シーズン中にフィールドでゲーム開始の前にまず何をすると思いますか?バッティングケージで何時間もバッティング練習をして様々なボールを打ち、筋肉がほぐれるまで十分に練習して本番に備えます。
ここからが最も興味深い部分です。スポーツ観戦をする方なら見たことがあるでしょう。打者がバッターボックスに入り、ピッチャーも投球準備ができました。投球の直前には打者は何をするでしょう?ボックスから踏み出しまずスイングします。必ずその順番です。
私たちがどのようにこんな訓練の場を医学の世界で作っているのかをお話しします。
ボストン小児病院で私たちは患者を治療する前のバッティングケージを作っています。最近の例でお話しすると頭部が大きくなり続ける4歳児の症例ですが、その結果。神経系などの発達に遅れが起こります。これを引き起こしていたのは水頭症と呼ばれる疾患です。
神経外科学を簡単に説明すると、まず脳がありそれを包む頭蓋骨があります。脳と頭蓋骨の間にあるのは、脳脊髄液。あるいは、髄液と呼ばれ衝撃を吸収します。あなたの頭の中では脳脊髄液が脳を包み、脳と頭蓋の間を満たしています。脳のある部位で生産され、それが回流しそれが再吸収されます。
この見事な流れは私たち皆に起こります。しかし、不幸にも交通渋滞のようにこの流れが滞ってしまう子どもがいて滞留した髄液が、脳を圧迫し脳の成長を阻害します。その結果、子どもは神経系発達指標に後れを生じます。これは非常に厄介な小児の疾患で手術で治療します。
従来の手術法は、頭蓋骨の1部を切り取り、この液体を排出しそこに排出管を取り付けて、さらに、排出された髄液が体内に戻るようにします。大手術ですが、良いニュースは神経外科技術の向上でこの手術では侵襲の低いアプローチが可能になっています。
小さなピンホールを作ってカメラを挿入し、脳の深層部まで導いて小さな穴を被膜に開け髄液を排出します。まるでシンクが排水するように、突然、脳は圧力から解放され本来の大きさに戻ります。私たちはその子を穴1つで治療した訳です。
しかし、問題があります。水頭症は比較的珍しい疾患でこの内視鏡を正しい場所に持っていくトレーニングはありませんでした。でも、外科医たちは創造性を駆使し、彼らはトレーニングモデルを選びました。これが今のトレーニングモデルで。
本当ですよ。この赤ピーマンはハリウッドの特殊効果ではなく本物の赤ピーマンです。医師はこの中に内視鏡を差し込み「種除去手術」をするのです。
この内視鏡と小さなピンセットを使い種を取り出します。原始的な方法ですが、これが手術の技を身につけるための方法です。それから医師たちは徒弟制度に戻り、多くの手術例を見て学び、手術し、それをまた教え、患者と出会うチャンスを待つだけです。
しかし、もっと良い方法があります。
私たちは、子どもをモデルに複製を作り、外科医や手術チームがあらゆる重要な場面のリハーサルをできるようにしました。これをご覧ください。私のチーム。シミュレーター・プログラム。SIMエンジニアリング部門で素晴らしいスタッフで構成されています。
彼らは、機械工学技術者、イラストレーターたち、CTスキャンやMRIから得た1次データをデジタル情報化し、アニメーションにして子供の臓器の通りの配置に組み立て、手術の必要に応じて体表のスキャンが行われ重ねられます。そのデジタルデータを取り、この最先端の3D印刷デバイスでアウトプットし、子どもの臓器をミクロンレベルまで本物そっくりに印刷することができます。
このように、この子の頭蓋は手術の数時間前に印刷されます。
これを実現する手助けをしてくれたのは、西海岸は、カリフォルニア州。ハリウッドの友人たち。彼らは現実を再現する技術に長けている技術者たちです。私たちにとって大きな跳躍ではありませんでした。この分野に踏み込んでいくと自分たちは映画製作と同じことをやっているのだとわかりました。
映画を作っているんです。ちょっと違うのは、俳優たちではなく、本物の医者や看護師が出演することです。これらはカリフォルニア州ハリウッドのFractured FX社の友人たちによる画像です。エミー賞を受賞した特殊効果技術の会社。ジャスティン・ラレイとチームでこれは患者ではありませんよ。
彼らの優れた仕事を見て、彼らと協力し、互いの専門を融合させるため彼らをボストン小児病院へ招いたり、我々がハリウッドへ赴いたりしてシミュレーター開発のため意見を交換しました。
これからお見せするのはこの子の複製です。髪の一本一本まで再現されています。これも同じ子の複製です。気分悪くなられたら申し訳ありませんが、これは手術をする予定の子供を再現しシミュレートしたものです。これが先ほどの被膜でこの子の脳の中にあります。
今からお見せするのは、本物の患者とシミュレーションです。小さな内視鏡カメラが入っていくのがここに見えますね。この被膜に小さな穴を開け液体が出るようにします。ここでどちらが本物でしょう?なんていうクイズを出すつもりはありません。右がシミュレーターです。
外科医たちは、トレーニング環境を用意しこうした手術を何度でも練習できます。慣れて安心できるまで。そうした練習を経た後でのみ、子どもを手術室へ運びます。それだけでなく、ここでの重要なステップは技術そのものだけでなく、その技術を担当チームとの連携にうまく組み込むことです。
F1の例を見てみましょう。
テクニシャンがタイヤを交換しています。この車で何度も繰り返し作業し、それは即座にチーム・トレーニングに採り入れられ、チームが一丸となってタイヤ交換を行い車をレーストラックに送り出します。
私たちは医療にそれを取り入れました。これは手術のシミュレーションです。お話ししたシミュレーターをボストン小児病院の手術室に持ち込み、当院の手術チームが本物の手術の前にシミュレーション手術をしています。
2度の手術を行いますが切るのは1度だけ。
本当に驚きです。この次のステップが重要なのですが、チームは部屋から出るとすぐに振り返りを行います。リーンやシックスシグマと同じテクニックを使い、彼らを集め何がうまくいったか。そして、もっと大切なことですが、何がうまくいかなかったか。どうやってそれを修正するかを話します。
そして、手術室に戻り繰り返すのです。最も必要な時にバッティング練習ができるんです。
さあこの症例に戻りましょう。同じ子ですがボストン小児病院で、この子がどんなケアを受けるかをご説明しましょう。この子は午前3時に生まれました。午前2時には私たちチームは集まり、スキャンや画像からデータを得た臓器を複製し、いわゆるバーチャル・ベッドサイド環境を作り出しました。
シミュレーテッド・ベッドサイドを数時間後にはこの子を実際に手術するチームにその手順を行ってもらいます。ごらんください。複製にメスを入れているところです。赤ちゃんはまだ生まれていません。
どうですか?
私がボストン小児病院のICUで家族に話す説明の内容はすっかり変わりました。
こんな会話を想像してみてください「私たちは、ICUで頻繁にこの病気の症例を処置します。お子さんに行うような手術を数多くした。それだけでなく「あなたのお子さんの手術」に慣れているんです。2時間前に、10回も手術したので、これからの本番にも万全の準備ができていますよ」
この新しい医療技術とは、本番に備えて練習ができる極めてリアルなリハーサルです。
ありがとうございました。
しかし、日本では生物学や先端医療、iPS細胞などの再生医療以外は現状維持の方がいいかもしれません。
なお、ビックデータは教育や医療に限定してなら、多少は有効かもしれません。それ以外は、日本の場合、プライバシーの侵害です。
通信の秘匿性とプライバシーの侵害対策として、匿名化処理の強化と強力な暗号化は絶対必要です!
さらに、オープンデータは、特定のデータが、一切の著作権、特許などの制御メカニズムの制限なしで、全ての人が
望むように再利用・再配布できるような形で、商用・非商用問わず、二次利用の形で入手できるべきであるというもの。
主な種類では、地図、遺伝子、さまざまな化合物、数学の数式や自然科学の数式、医療のデータやバイオテクノロジー
サイエンスや生物などのテキスト以外の素材が考えられます。
こういう新産業でイノベーションが起きるとゲーム理論でいうところのプラスサムになるから既存の産業との
戦争に発展しないため共存関係を構築できるメリットがあります。デフレスパイラルも予防できる?人間の限界を超えてることが前提だけど
しかし、独占禁止法を軽視してるわけではありませんので、既存産業の戦争を避けるため新産業だけの限定で限界を超えてください!
(個人的なアイデア)
宇宙空間にも活用できれば、月面や宇宙空間のロボットを自宅からゲームのように操作するだけで賃金がもらえるような、一神教での労働の概念が変わるかもしれません。
日本では、医療関係は、法律で個人情報の秘匿を義務化されてますが•••
国内法人大手NTTドコモは、本人の許可なく無断でスマートフォンの通信データを警察機関に横流しをしてる!
GAFAのように対策しない違法な法人?まさか、他にも?独占禁止法や法律を強化する?デフレスパイラル予防。このような国内大企業、中堅法人も危険。傲慢。
日本国憲法に違反しているので、アメリカのカリフォルニアやヨーロッパのGDPRのようにデータ削除の権利行使。
他に、再分配するデータ配当金を構築してからでないと基本的人権侵害になるため集団訴訟を国民は起こすべきだ。
税の公平性は、よく言われるが、時代が変わり一極集中しやすく不公平が生じてるなら産業別に税率を上昇させてバランスよくすればいい?
特に、IT産業などは、独占化しやすいから別枠で高税率にして、ベーシックインカム用に再分配システム構築できないなら独占禁止法強化。
自動的にディープフェイクをリアルタイムの別レイヤーで、防犯カメラの人物に重ね録画していくことで、写る本人の許諾が無いと外せないようなアルゴリズムを強力に防犯カメラの機能を追加していく。
防犯カメラのデータを所有者の意図しない所で警察機関他に無断悪用されない抑止力にもなります。
防犯カメラのデータを所有者の意図しない所で警察機関他に無断悪用されない抑止力にもなります。
防犯カメラのデータを所有者の意図しない所で警察機関他に無断悪用されない抑止力にもなります。
マイケルサンデルは、メリトクラシー(能力主義)の陳腐さを警告しいさめています
サミット警備時、死者数が微小なのにテロ対策と称し厳戒態勢!
経済活動を制限した時に、警視庁職権濫用してたが、死者数が甚大な新型コロナに予算増やした?
警察権力悪用!
庶民弱者に圧力やめさせないの?
オリンピック前にも圧力あったから予算削除しろ傲慢警察!
さらに・・・
勝手に警察が拡大解釈してしまうと・・・
こんな恐ろしいことが・・・
日本の警察は、2020年3月から防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで本人の許可なく照合していた!
憲法に完全違反!即刻停止措置をみんなで要求せよ。
日本の警察の悪用が酷いので、EUに合わせてストーカーアルゴリズムを規制しろ!
2021年に、EU、警察への初のAI規制案!公共空間の顔認証「原則禁止」
EUのAI規制は、リスクを四段階に分類制限!
前提として、公人、有名人、俳優、著名人は知名度と言う概念での優越的地位の乱用を防止するため徹底追跡可能にしておくこと。
禁止項目は、行動や人格的特性に基づき警察や政府が弱者個人の信頼性をスコア化や法執行を目的とする公共空間での顔認識を含む生体認証。
人間の行動、意思決定、または意見を有害な方向へ操るために設計されたAIシステム(ダークパターン設計のUIなど)も禁止対象にしている。
禁止対象の根拠は「人工知能が、特別に有害な新たな操作的、中毒的、社会統制的、および、無差別な監視プラクティスを生みかねないことは、一般に認知されるべきことである」
「これらのプラクティスは、人間の尊厳、自由、民主主義、法の支配、そして、基本的人権の尊重を重視する基準と矛盾しており、禁止されるべきである」
具体的には、人とやり取りをする目的で使用されるAIシステム(ボイスAI、チャットボットなど)
さらには、画像、オーディオ、または動画コンテンツを生成または操作する目的で使用されるAIシステム(ディープフェイク)について「透明性確保のための調和的な規定」を提案している。
高リスク項目は、法人の採用活動での利用など違反は刑事罰の罰金を売上高にかける。
など。他、多数で警察の規制を強化しています。
人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジョン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神」からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
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ari0921 · 4 years
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中国に対する措置に関するトランプ大統領のコメント
2020年5月29日午後2時48分(東部夏時間)
ローズガーデン
大統領:どうもありがとうございます。こんにちは。ありがとう。本日私は中国との関係と、米国の安全と繁栄を守るためのいくつかの新しい措置について話すためにここにいます。
中国の不正行為のパターンは周知のことです。数十年間、今まで誰もやったことのないほど米国を食い物にしてきました。中国との取引で年に何千億ドルも失われましたが、特に前政権での期間が顕著でした。中国は我々の工場に襲い掛かり、雇用を海外移転させ、我々の産業を骨抜きにし、知的財産を盗み、世界貿易機関の権威下での約束に違反しました。さらに悪いことに発展途上国とみなされ、米国を含めた他国が資格を持たないあらゆる利益を享受しています。
しかし、私はこのことを決して中国だけのせいにしませんでした。彼らがこれまでに誰もやったことのないほど窃盗の罪を免れることができたのは、過去の政治家と、率直に言えば過去の大統領たちのおかげだったのです。ところがそうした過去の人たちと違い、私の政権は正しいことのために交渉し戦いました。つまり、公平で互恵的な待遇と呼ばれるものです。
また中国は太平洋で不法に領海を主張しており、航行と国際貿易の自由を脅かしています。また香港の自治権を確保することについて世界に対する約束を破りました。
米国は中国と開かれた建設的な関係を築きたいと願っていますが、そうした関係を成就するには我々の国益を精力的に守ることが必要です。中国政府は我々と他の非常に多くの国に対して約束を破り続けています。
こうした明白な事実は、看過することも一蹴することもできません。世界は今、中国政府の不正行為を受けて苦しんでいます。中国が武漢ウイルスを隠蔽したために世界中に疾病が拡散し、世界規模のパンデミックが引き起こされて10万人以上の米国人の命と世界で100万人以上の命が犠牲となりました。
中国当局は世界保健機関への報告義務を無視し、中国当局がウイルスを最初に発見した際に世界保健機関に圧力を掛けて世界を欺かせました。
無数の命が奪われ、全世界が深刻な経済的困難に見舞われました。私は中国からの早期の渡航禁止を行わないよう強く勧められましたが、とにかく実行し、それが100パーセント正しかったことが証明されました。
中国は完全に世界保健機関を支配下に置いています。米国が年間約4億5千万ドル拠出しているのに比較して、年間4千万ドルしか拠出していないというのに、です。
我々は世界保健機関が行わなければならない改革案を列挙し、直接議論しましたが、彼らは行動することを拒否しました。要求した必要性の高い改革を実行しなかっため、我々は本日、世界保健機関との関係を終結させ、それらの資金を他の世界的で資格のある、差し迫った世界の公衆衛生の必要に向け直していきます。
世界はウイルスについて中国からの答えを必要としています。我々は透明性を持たなければなりません。中国が感染者を武漢から中国の他の地域に行かないように遮断したのは一体なぜでしょうか?他のどこにも行きませんでした。北京には行かず、他のどこにも行かなかったのです。しかし、欧州と米国を含めて、世界中に自由に旅行することを許しました。
これによって引き起こされた死と破壊は計り知れません。我々は自分たちのためだけでなく世界の他の国々にとっても、答えを出さなければなりません。
このパンデミックは、米国の経済的自立を高め、重大なサプライチェーンを自国内に戻し、米国の科学的・技術的進歩を守ることの決定的な重要性を浮き彫りにしました。
長年中国政府は、我々の産業機密を盗むための違法なスパイ行為を行っており、本日私は、我が国の重要な大学の研究を一層保護し、潜在的なセキュリティリスクと認定された中国国籍の人物の入国を停止するための声明を発表します。
また私は、米国の金融システムの健全性を保護するための措置も取ります―圧倒的に世界最高の金融システムです。私は金融市場に関する大統領の作業部会に、米国金融市場に上場する中国企業の異なる慣行を研究するよう指示しています。米国の投資家を保護するのが目的です。
投資会社は顧客を、同じルールに従って行動しない中国企業に融資することに関連する隠れた過度のリスクにさらすべきではありません。米国人には公正と透明性を得る権利があります。
我々が取ろうとしている最も意義深い措置の中には、香港で展開する全く厄介な状況に関連するものもあります。
今週中国は、一方的に香港の安全に対する支配を強制しました。これは1984年の宣言における中国の英国との条約義務と、香港基本法の明示の条項に対する明白な違反でした。あと27年残っています。
中国政府の香港に対抗した動きは、香港の長年にわたる誇り高い立場を損なう一連の措置の中で最新のものです。
これは香港の人々、中国の国民、そしてまさに世界の人々にとって悲劇です。中国は国家の安全を守っていると主張しています。けれども実のところ、香港は安全で自由な社会として繁栄していました。中国政府の決定はその全てを逆転させます。かつて自由のよりどころだったところにまで、中国の侵略的な国家安全保障組織の範囲を拡大させます。
つい最近中国が侵害したことで、区域の自主・独立性を低下させた最近の出来事と合わせて、香港がもはや、譲渡以来我々がその区域に提供した特別待遇を保証するだけ十分に自立していないことは明白です。
中国は「一国二制度」という約束した常とう句を「一国一制度」に入れ替えました。
ですから私は自分の政権に、香港に異なる特別な待遇を与える政策適用例外を、取り除くプロセスを開始するよう指示しています。
本日の私の発表は、犯罪者引き渡し条約からデュアルユース・テクノロジーに関する輸出規制などに至るまで、わずかな例外はありますが、我々が香港と交わしているあらゆる種類の合意に影響を与えます。
我々は、中国の国家安全保障組織による監視と処罰の危険性が高まることを反映して、香港に対する国務省の渡航助言を改訂するつもりです。
中国の他の地域とは別個の関税・渡航区域としての香港の優遇措置を無効にするための措置を取ります。
また米国は、香港の自治を損ない―見ればわかることですが、抑圧すること―香港の自由を完全に抑圧することに直接、または間接的に関与した中国と香港の当局者に制裁を課すために必要な措置を講じます。我々の措置は強力なものとなります。我々の措置は有意義なものとなります。
20年以上前、1997年の雨の降る夜、香港で英国の兵士は英国国旗を下げ、中国の兵士は中国国旗を揚げました。香港の人々は、中国の伝統と自分たち特有の香港のアイデンティティを同時に誇りに感じました。香港の人々は今後何年か何十年かで、中国が次第にその最も輝きを放つ生き生きとした都市に似てくることを希望しました。世界の他の国々は、―香港が中国の過去を反映したものとなるのではなく―香港が中国の未来を垣間見させてくれているのだという楽観的な感覚に衝撃を受けました
あらゆる判断において、私はアメリカ合衆国の労働者、家族、そして市民を誇りを持って守り、保護し続けます。
どうもありがとうございました。ありがとう。
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recordsthing · 3 years
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鎖を花に 縄を糸に
 何もしてないのに、全部が解決してハッピーエンドで永遠に。そんな日が来ないことは重々承知していた。だからこそ、緩慢で怠惰で堕落した生活を受け入れようとしていたんだ。
 いつものように同じベッドの上、二人で寝ようとしていたある日、晴ちゃんが少し悲しそうに、でも何かを決心したような強い瞳でこちらを見てきた。
「頼みがあるんだ」
「……なーに?」
 一瞬だけ返事をためらってしまう。晴ちゃんはこの生活の中でずっと怯えているのか、話しかけてくるときはあたしの名前を呼んでから話すようにしていた。それなのに、どうして今日は呼んでくれないのだろう。こちらの様子を窺う余裕もないくらい、いや、窺う必要がないくらいに決めたことがあるのだろうか。
 ある程度ついている予測と嫌な予感を交えながら、晴ちゃんの口が動くのを待った。
「もう、こんな生活、やめたい……」
「…………そう」
「でも、わかんないんだ……どうしてこんなことになってしまったのか……プロデューサーも……家族も怖くて、ファンの人たちのあたたかった言葉が全部感じ取れなくなって……オレになにがあったのか……オレだけがわからなくて……このままじゃいけないって……わかってるのに……ごめん、ごめん……」
 せぐりあげる声で紡がれる謝罪の言葉が、あたしの心も心臓も切り刻んでいくようだ。あんなこと、その場凌ぎでなんの糧にもならないってわかってた。それでも、晴ちゃんにいつものように笑ってほしかった。何もかもが上手くいって、また日常に戻れるはずだという淡い期待が、今あたしも晴ちゃんも傷つけている。
「しきぃ……おしえて……オレ……どうすれば……」
 きっと、誤魔化すことだってできる。なんともないよ、あたしがなんとかするからって言ってもいい。でも、その先は?ずっとこのまま一生嘘をついて、地獄の釜で煮られるような苦痛を二人で共にしてていいのだろうか。自分は耐えられる。だって全部自業自得だから。でも、目の前の愛しい恋人は一体なにをしたというのだろうか。酷い目に遭わされて、記憶を無理やり封じてしまってまた苦しんで、今もこうして震えてる。
 ……大丈夫、細心の注意を払おう。できることさえちゃんとしてれば、きっとなんとかなるはずだ。
「あのね、晴ちゃん。前に交通事故にあったって言ったじゃん?」
「うん……?」
「あれはね、全部嘘。晴ちゃんが傷つかないように、またいつもの日常に戻れるようについたんだ。ごめんね」
「……そっか」
 初めて話したはずなのに、さほど驚いた様子がない。きっと薄々察してはいたのだろう。
「だから、これから本当のことを話すね?ずっとずっと残酷で、悲しい話をするけどいい?」
 言葉の代わりに、ゆっくり頷いてくれた。
 落ち着いて、できるだけマイルドに。変な表現を使いすぎないように。そのせいか、思考のために酸素を使ってしまって、声が上手く出ない。話をする度に晴ちゃんの顔がどんどん青ざめる。あたしに向けられたものじゃないってわかってるのに、胸が締めつけられるように痛い。
「あたしが助けられたら良かったんだよね……ごめんね……」
 そんな言葉で強引に話を打ち切った。話が終わって様子を見ると、両腕で自分を抱きしめるようにして震えている。
 特になにかを考えたわけじゃないけど、その震えを包み込むようにして抱きしめる。
「……思いだした……」
 ぽつりと零れたその言葉に少しだけ解放された気になる。
「ウソだろ……なんで、アイツが…………アイツがぁっ!!?」
「っ!!!」
 想像したくはなかった。晴ちゃんがこんなに傷ついてる理由。
 晴ちゃんを襲ってナイフで傷つけた犯人は、晴ちゃんが知ってる人だったということ。
 晴ちゃんが机の上に立っている。危ないよ、と駆け出そうとした足が動かない。天井から長いものがぶら下がっている。太くて長いソレは、人がぶら下がったとしても切れることはないだろう。
 嘘だよね?声を出そうとしているのに、口が開いたり閉まったりするだけで音が出ない。目の前の恋人の身長が少し伸びる。そして、少しだけ宙に浮かんだままになって空中で重力を失ったかのようにぶらん、と横に上下に揺れる。ぎし、ぎしと言う音が痛々しすぎる。まだ間に合う。まだ応急処置をすれば間に合うはずだから、動いてよ、ねえ。
「晴ちゃん!」
 はっ、となって目が覚める。今まで見た夢の中で間違いなく最悪の夢だ。背中も手も冷や汗が伝って、びしょびしょだ。両腕で包んでいたぬくもりはまだ確かにそこにあって、大きな息とともに安堵を覚える。ただし、その顔には涙の跡がしっかり残っていて、悲しい気持ちに襲われる。
 あの後、ひたすら晴ちゃんを落ち着けさせようと背中を一定のリズムで叩いてかけられる慰めの言葉をずっとかけていた。夜が明けてもずっとそうやって必死に声を出したせいか、喉が少し痛い。アイドル失格だな、なんてもう辞めてしまった世界のことに少しだけ思いを馳せる。
 でも、起きた晴ちゃんになんて声をかければいいんだろう。結局二度晴ちゃんを傷つけただけで、これからのことなんて何も考えられない。すぅ、すぅという寝息がなんとも愛おしくて今はこれだけでもいい。
 今のあたしにできることは、夢が現実にならないように、強く抱きしめて離さないことだった。
 不意の感触で目が覚めると、晴ちゃんの顔が目の前にあった。柔らかい感触があたしの唇に当たっている。
「起きたか?」
 口が放され、少し寂しそうな声でそう聞かれる。
「王子さまはお姫さまのキスで目覚めるのでした、あれ?逆だったっけ?どっちでもいいか♪」
 わざとらしく明るい口調でそう言うと、少しだけ微笑んでくれた。晴ちゃんの笑顔が見れたことで、��しだけ安心する。
「……どうすればいいんだろう、オレ」
 顔見知りの相手、程度だったらこんな風には思わないだろう。きっと晴ちゃんにとって身近な人間が関係しているのかもしれない。あまりこういう時に名案が閃くタイプじゃないから、とりあえず常識的な返答をすることにした。
「とりあえず……警察に行こうか?」
 旅館でチェックアウトを済ませて、タクシーを呼んで駅へと向かう。荷物は場所を転々としているのもあるけど、必要な時に必要なものだけ買っているので小さなリュック一つに収まる程度だ。できるだけ現場に近い警察署の方がいいだろう、ということで新幹線で晴ちゃんが元々住んでいたあたりまで戻ることにした。切符の買い方……というか乗り方は正直覚えてはいないけど、晴ちゃんがいればなんとかなるだろう、と思った。
 なんだかんだベッドの上で時間を使ってしまったせいか、駅に着いたころには日が落ちてしまっていた。ただ、そのおかげか人が少なくて晴ちゃんが怯えずに済みそうで良かった。もちろん、夜というより土地柄のせいもあるのだろうけど。
 券売機の前でフリーズしてると、晴ちゃんがさっさと操作してくれて支払い画面になった。金額が表示されて、少しだけ申し訳なさそうにする姿が少し愛らしい。カードを入れて支払いを済ませると、切符が四枚出てくる。晴ちゃんが取って、あたしに二枚渡してくれる。
「これ、ここに二枚同時に入れればいいから」
 改札に入れて晴ちゃんがホームの方に向かって行く。同じようにしてついていこうとすると、振り向いた晴ちゃんが目を見開いて驚いた。
「志希!切符取り忘れてるぞ!」
「あれ?持っとかなきゃいかないの?」
「ったく、しっかりしてくれよな……」
 なんだか慌てたり焦ったりしてるものの、少しずつ晴ちゃんが元々の話し方とか喋り方に戻ってる気がする。あたしといることでそうなってるなら、たまらなく嬉しいことだ。とっとと戻って改札から出てたそれをポケットにしまって、晴ちゃんの元へと向かう。
「なんか不安だから、オレが持っておくよ……」
「わーお、一蓮托生だねっ!」
 ポケットから切符を差し出して、晴ちゃんについていく。全然人がいない構内を進んで、エスカレーターに乗ると目当てのホームにたどり着いた。なんとなく贅沢、というか移動で不満を抱えたくなくてグリーン車の席をとった。夜の新幹線を待つ人はまばらにいるが、わざわざグリーン車に乗るような人はいなさそうだ。待ってる時間にも人が傍にいると、晴ちゃんが不安がってしまいそうなのでありがたい。
 十分ほどして、アナウンスが流れる。晴ちゃんが前に出すぎてたあたしを引っ張ってくれて、黄色い線の内側まで戻される。新幹線が目の前を高速で通って行って、髪型と服がたなびく。速度を落ちていって、静止したかと思うと扉が開いた。
「ねえ、本当に大丈夫?乗ったらもう引き返せないよ?」
 別にそんなことはない。途中下車したっていいのだから。これは、ただの確認だ。
「大丈夫、だって今度は志希がいるから」
 手を繋いで新幹線へと乗り込む。廊下側だと通る人が近いことがあるため窓側の席に座ってもらう。景色を見るのにも丁度いいし、気晴らしになってくれたらいいな、程度のものだ。しかし、晴ちゃんは席について早々眠ってしまった。そりゃそうか、気疲れもあるだろうしいっぱい泣いてたから。
 手を繋いであたしは起きておくことにした。しっかり寝ていて眠くないのもあったが、この二人だけの時間を少しでも長く感じていたかったから。
 数時間して、目当ての駅まで来た。晴ちゃんの家まではまだ大分距離があるが、眠そうにしていたため近くのビジネスホテルで一夜を過ごすことにした。さすがに都心に近いせいか、夜中に近い時間だというのに、人がそれなりにいる。人が降りて進んでいくのを見ながら、人ごみにぶつからないように待つ。少しすると、ホームに人っ気が少なくなって進みやすくなった。晴ちゃんの近くに人が来ないように警戒しながら、切符をうけとって改札から出る。
 こういう駅の近くには、格安のホテルが複数並んでいることが多い。別にわざわざ安いところを選ぶ理由もなかったが、晴ちゃんを早く寝かせてあげたかったため、とりあえず近場のホテルに駆け込んだ。未成年だからなにかうるさいこと言われないかな、と心配だったが向こうも慣れているのか問題なくチェックインできた。エレベーターに乗って、部屋へと向かう。明日はどうしようかな、シャワーは……明日でいいや。
 あたし自身も疲れていたのかもしれない。晴ちゃんを連れて部屋に入った途端に、二人共々ダブルベッドに倒れて意識を失ってしまった。
 目が覚めると、全く同時に起きたのか寝ぼけまなこの晴ちゃんと目が合った。
「おはよ、シャワー浴びよっか」
「うん……」
 二人で寝ぼけながら、服を脱いでシャワー室へと向かう。ユニットバスなのが少し嫌だけど、今更そんなことを気にしてもしょうがない。服を脱いで、狭い浴槽で二人重なるようにしてシャワーを浴びる。
「なんか……恥ずかしいんだけど」
 晴ちゃんとはずっとこうやって一緒にお風呂に入って、身体を洗ってあげたりしたけど、そんなことを祝てたのは久々だ。恥じらい、という感情が生まれたことが嬉しくもあり寂しくもある。
「まぁまぁ、疲れてるだろうしあたしが洗ってあげるから~♪」
「んぅ……」
 体に触れると、確かな体温と反応が伝わってくる。恥ずかしいところを手で隠そうとするのがなんともいじらしくて意地悪したくなっちゃうけど、今はまだ抑えておくことにした。一通りボディーソープで身体を包んで、シャワーで一気に洗い流す。身体から滴り落ちる水と泡が、垢を巻き込んで流してくれる。
「次はオレがやるから」
「そう?じゃあお願い♪」
 浴槽に座り込んで、目を閉じて待つ。晴ちゃんの指があたしの髪を掻き分けて、ごしごしと洗ってくれる。髪が長いせいで大変だろうに、しっかり洗ってくれる。こうしているときのあたしの背中は無防備だろうけど、後ろにいる恋人はきっと信頼に応えてくれるって思えるこの時間が心地いい。
 そんな時間に浸っていると、シャワーが頭の上から降り注ぐ。しゃあー、という水の音と共に頭が軽くなってスッキリしていくのがわかる。頭を振って目を開けると、晴ちゃんは自分の頭にシャワーを当てていた。
 シャワーを元にあった場所に戻して、一緒に浴槽から出る。ホテル特有の大きめのバスタオルが身体を包んでくれる。しっかり拭き残しがないようにして、着替える。朝食をとるには既に時間は過ぎている。今日のやるべきことは決まっているが、さてどうしようか。
「早く行こうぜ、こういうの後に残しとくと気持ち悪いしな」
「そうだねー」
 身支度をして、ホテルをチェックアウトする。向かうべきは、とりあえず警察署だろう。
 途中のハンバーガー屋さんで遅い朝食を取ってから、警察署で事情聴取を受けた。本当はあたしが付き添って上げたかったけど、守秘義務とかなんとかで同席させてもらえなかった。対応してくれたのは優しそうな婦警さんで、ちゃんと話を聞いてくれたらしい。どうやら騒動も知っていたらしく、ずっと心配していたとのことだった。正直そこまでいくと口だけじゃないのかな、って疑ってしまうのはあたしの悪い癖だ。
「それで、どうだったの?」
「うん、心当たりがある人がいるなら捜査しやすいから助かるって……でもやっぱり証拠がないと大変だって……」
「……そうだよね」
 あたしが余計なことをしなければもっと捜査が早くなって、意外にあっさりと事件が解決したのかもしれない。自分の身勝手さに嫌になる。
「あのさ、志希」
「なーに?」
 あたしの名前をわざわざ呼んだ。なんとなく嫌な予感がする。
「オレ、そいつの家に行きたいんだ。誤解ならいいんだけど、どうしてそんなことをしたのかって……聞かなくちゃ」
 その一軒家はオレの家の近くにある。アニキの友達で、家が近いこともあってかよく遊んでもらっていたんだ。これならプロデューサーの名刺を持っていたことも説明がつく。オレの家に遊びにも来ていたし、名刺を盗んだりこっそりコピーするのもそんなに難しくないだろう。オレが狙われたのも……わからなくもない。ただ、もちろん他人の空似だって可能性がある。その微かな可能性を信じて、呼び鈴を押した。少しして、インターホンがつながる。
「どなたですか?」
「結城……晴です」
「晴ちゃん!?ちょっと待ってね!」
 どたどたと音がして、玄関を開けて出てきたのは昔からのアニキの友達で、オレもよく遊んでもらった相手だ。アニキの一つ上だから、大学に入ったばかりだったっけ。髪は茶髪になってるしどことなく遊んでいる雰囲気がある。
「急にどうしたの?まぁいいや、上がって上がって!」
「……っす」
 前の印象通り、どちらかというと気のいい兄ちゃんって感じで、とてもオレを襲うようには見えない。家に上がらせてもらおうとすると、靴の様子から一人しかいないことがわかる。
「……一人なんすか?」
「ああ、両親は仕事でね。お茶とお菓子をもってくから先に部屋に行っててよ」
 少し古い木材でできた階段を昇って、部屋へと向かう。8畳の狭すぎず広すぎない部屋には、本棚と机とベッドがある。ただ、本当になんとなく机の上の写真立てに目線をやると、そこに映っていたものに驚いて思わず駆け寄ってしまう。
「オレだ……」
 そこに入っていた写真は、アイドルをやっているときのオレだ。よく机の上を見てみると、プラスチックの敷台の下にオレが載っている週刊誌の記事や写真が所狭しと敷き詰められている。疑念が確信に変わって、身体に力が入らなくなる。腰が抜けて膝から下の感覚がなくなって、その場に崩れ落ちる。
「あー、見ちゃったか」
 振り返ると、そいつは部屋の入口にお茶とお菓子を盆に乗っけてやってきていた。
「せっかくお茶に色々仕込んだのに……無������になっちゃたな」
 盆をその場に落として、派手に食器が割れる。お茶とお菓子が飛び散って辺りを汚した。
「なんで……こんなことするんだよ……」
 その言葉に口端を歪める。汚い大人のような笑みを浮かべてこちらを見る。
「君と会ったのは、三年くらい前だったね。あの頃は小さい子供……弟みたいな子だと思ったんだよ。失礼かもしれないけど、見分けがつかなくてね。でも、そんな君がアイドルになったっていうじゃないか!驚いたね!サッカー仲間だった君が可愛らしい衣装を着てステージの上に立っていたんだから!その時の興奮といったら……もう言葉じゃ言い表せないほどだった。会って話をするために家にも行ったんだけど、忙しそうな君とは中々会えなかったんだ。そんなときにたまたまあいつの部屋で名刺を見つけてね。もう僕にはそれが天国へのチケットに見えたよ!あとはそういうことに詳しい友達に頼んで君を襲ったってわけさ!」
 あまりにも衝撃的な言葉が流れてきて、理解が追いつかない。
「そんな……理由で……オレを……」
「君はもっと自分が魅力的だということと、無防備であることを自覚した方がいいよ。あの時の続き……ここでさせてもらおうか!」
 そいつがオレに近づこうとした瞬間、声も出さずにその場に前向きに倒れた。立っていた場所に代わりに立っている人物がいる。
「正義のヒーロー志希ちゃん、ここに参上!……こういうのはキャラじゃないけどね」
「……ありがとな」
 こっそり家に入ってくれていた志希はぎりぎりのところで助けてくれた。後少し早かったら証拠が掴めなかったし、遅かったとしたらまた酷い目に遭わされていただろう。もっとも、志希がいるってわかっていたから、後者の状況になることは初めから頭になかったのだけれども。
「ナイスタイミングだったね~♪」
 志希がこちらに近づいて、オレのポケットからボイスレコーダーを取り出す。
「これがあれば警察もちゃんと動いてくれるでしょ~♪ささ、通報通報」
 確かにボイスレコーダーがあれば、さっきの発言で捕まえることができるだろう。しかし、よくよく考えるとなぜオレのポケットにそんなものが入っているのだろう。録音するなら別に志希が持っててもよくないか?確かにオレが持っていた方がちゃんと録音できるだろうけど、壊されでもしたらどうするつもりだったんだろうか。
「大丈夫、予備のボイスレコーダーを晴ちゃんに仕込んでるから♪」
「……なあ、それ聞いてねーんだけど」
 気まずい沈黙が流れる。そのうち、どちらからともなく笑ってしまって、全てが解決したことをお互いに喜び合った。
 あれからアニキの友達は逮捕されて、押収されたパソコンからもう一人の共犯者も逮捕された。何日も事情聴取に付き合った後、オレは家族の元へと帰った。両親もアニキ達も一日中泣いて、片っ端から出前をとったり、オレの好きなものばっかりの料理で祝ってくれた。ひたすらに喜んで騒いで、戻ってきたものをひたすらに喜んだ。いや、まだ取り戻してないものがある。それを埋めるため、今オレは志希と共に事務所の前にいる。ある資料を持って。
「晴ちゃんとアタシのアイドル復帰から二人の新ユニット結成と新楽曲!これは沸き立つよね!」
 今例の二人逮捕されて、またオレの名前が悪い方向に広まってしまっている。それを全部吹き飛ばすために、二人であれこれ作戦を練った結果これしかない!となった。
「でも上手くいくかな……オレら結構サボってたし」
「ん~?事前に連絡したけど別にいいって!アタシこう見えて優秀だからね~♪」
 ちゃっかりしている。でもそのおかげで、緊張とか色々そういうのが抜け落ちてしまった。
「……晴ちゃん、本当にいいの?」
「何がだよ」
「アイドル活動してたら、またああいうことになるかもしれないよ?」
「その時は、志希が守ってくれるんだろ」
 返事の代わりに、ウィンクで返される。
「せっかくならさー、付き合ってることも公表しちゃおうよ♪そっちのがやりやすいし」
「……好きにしろよ」
「あれ?否定しないんだ」
 当たり前だ。というか二人で失踪して復帰してって時点で、なにかあると勘繰られるのは普通だろう。
 だけど、本当の理由はそうじゃない。偶然降り注いだ不幸で鳥籠の中に一緒に縛られるよりか、お互いがお互いを愛し合って思いあって縛りあうように生きていくほうが何倍も何十倍も何百倍もいいから。
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nakamorijuan · 1 year
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第109話 「衝撃の刻! 明かされた互いの正体」
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keredomo · 2 years
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真下君の十時
 真下君が私のベッドで眠ってしまうと、夜にひとり取り残されるのだった。
 からだの火照りも疼きも疲れもベッドの傍の床に放り投げて、そろそろと起きあがり、這い出る。  常夜灯がわずかに家具の気配を知らせて、私は机上にPCを見つける。開く。薄い寝息を聞きながら、ディスプレイの光をみつめる。
 こうして夜に取り残されると、私はひとり、PCを開いてコンピューター相手にチェスをやるか、とりとめもない文章を打ち込むことしかできなくなるのだった。
 私の暮らすこの部屋は、一般的な単身用よりはやや広い、けれどやはり単身者にあわせた仕切りのないワンルームで、真下君が寝息を立てている以上、煌々と灯りをつけて読書に耽るわけにはいかない。
 真っ暗の寝室で早い時間から眠りたい真下君と、夜を起き続けていたい私。互いの譲歩が常夜灯をゆるし、部屋をうすぼんやり照らしている。
 そうして書かれるこの文章は、真下君のめがねを拝借して書かれるものである。  われわれは同程度に視力が低い。ひとの視力の低さは、私を安心させる。
 孤独を求めてひとり書く。自由な五指が、なめらかに動く。
 *
 真下君が最初に私の部屋にやって来たのは、いく月か前になるだろう。
 ある日の夕方に突然、「今日、何時に行きます」と連絡が来て、散らかった部屋をおろおろ片付けているうちに真下君は到着した。  こんばんはと会釈して、靴を脱ぎ、部屋の空いているスペースにかばんを広げる。  客人がきたからと、私はめったに点けないエアコンをオンにする。
 泊まっていくのだろうが、ベッドは一つで、客用布団もない。  夜をどうしようかと思っていたら、真下君はセミダブルのベッドの手前側にするりと滑り込んだ。  余ったスペースに背を向けて、体を丸めたと思えば即座に寝息を立て始めたので、安心して私も残り半分のねどこに自分の体を横たえる。その晩は、めずらしくすぐに眠りに落ちた。
 眠っていると、あたたかい方へ転ぶらしい。目覚めるときには真下君の腕の中にいた。  その体温が心地よくて、私はつい、彼の顎の下に頭をうずめる。  吐息がひたいにかかる。あたたかい。
 *
 ①、真下君はいつも、気がつくといなくなっている。
 最近で言うと、月初に突如消えてしまって、二週間、いなかった。
 ふわりと笑ってふわりと消えていくのが真下君なのだった。気がついた時には不在を噛み締めることしかできなくなっている。
 現れるときは「何時に到着します」と言って確かに時刻通りに現れるくせに、去るときにはふわりふわりと去っていくのだった。  そのたび、真下君がいない生活を送る覚悟をもてないまま、私は置き去りにされる。
 君が来るまでは、たった一人でも、生活していられたのに。
 その悠々自適な一人の生活がなぜだかどうしようもなく苦しくなるのは、明らかに真下君のせいだった。  真下君のいる生活と、比べてしまうせいだった。
 ②、真下君は寝るのが早い。
 仕事終わり、明日の朝食のために駅前のパン屋の会計の列に並んでいると、ふたたび、「今夜、何時に到着します」と急な連絡が入った。
 二週間、真下君の不在でほとんど気が触れたようになっていた私は、この予告に飛び上がって喜んで、くるみパンをもう一つトレーに足した。
 真下君は予告通り、その日の夜九時前に現れ、荷物をほどき、換気扇の下でアロマティックな匂いのする短い煙草をさっと吸い、水を飲み、きっかり十時に眠りについた。
 私の常時の入眠はいつも零時を超えているので、早寝をし、早起きをする真下君の体にはついていけない。  朝にのっそりと起き出す真下君をほとんど潰れた目で見送って、私は再び惰眠を貪るのが常だった。
 真下君を見送ってから再び寝入って見る夢はいつも同じ、真下君がいなくなる夢だった。
 ③、真下君は嘘がうまい。
 この世にはばれてもいい嘘とばれてはいけない嘘があることを、真下君はよくよく理解していて、しょっちゅう私に「ばれてもいい嘘」を吐くのだった。
 それらの嘘はいつだってとりとめもないもので、たとえば「鯉は小さいメスだと勘違いしてそこらの金魚と交尾しようとするが、金魚はその恐ろしい求愛の衝撃によって100%死んでしまうんだよ」とか、「グリニッジ天文台のそばには国際政府に秘密裏に雇われた番人が住んでいて、地球が公転軸をはずれて太陽に近づいたり遠ざかったりするたびに標準時が変わるのを彼だけが察知するので、そのたびにわずかずつ天文台を動かしているんだ」とか。
 嘘でもいいし、本当でもいい、そんなことをぽつりと語るのだった。
 私はいつもそれを楽しんでいた。本当と嘘の境に翻弄されながら。  こんないいかげんな物語りをする人を、私は真下君以外に知らない。
 なんでもない顔をして、真下君の好物のグラタンを食卓に出しながら、今日はどんな嘘を聞かせてくれるだろうかとそわそわする。  そういう日に限って、真下君はほほえむばかりで無口だった。
 
 *
 真下君が眠ると、私は部屋の灯りを常夜灯に切り替えて、蛍光灯で照らした狭い台所に毛布とPCを引きずって行き、床に座り込む。
 私がのっそり起き出したあとも、真下君は律儀にベッドの右半分をあけてすやすや眠っていた。  この人の眠りに私は必要ないのだということに、少し落胆する。
 冬の台所の床は氷のように冷たい。背骨の芯に冷水が染み渡るようだ。
 最初はワインをちびちび飲みながら文章を書き始めるが、やがて凍えてお湯に切り替える。それだって数分ももたずに冷えてしまう。冬の夜。
 冷め切ったお湯を飲みながら、眠れるまでかちかちとPCに文章を打ち込み続けるのが、真下君との生活で私が過ごす夜の一、二時間の習わしだった。  規則的な寝息を聞きながらとろとろと文章を打ち込む。  それだけが、真下君との生活で溶けてしまいそうな自分の輪郭を取り戻す作業だった。
 床の冷たさは、私の皮膚が誰からも独立していることを思い出させる。  眠気に抗えずベッドに吸い込まれてしまえば再び輪郭は溶けてしまうから、それが始まるまでの凍てついた孤独をどうにか形にするのが、私が私であるための義務だった。
 私は書いた。真下君が触れない部分の私について、書いて書いて、書いた。
 書いて、孤独に戻った。真下君のいない孤独を正気で引き受けられないくせに、真下君のいる安心からは逃れようと躍起になるのだった。
 真下君の寝息は、規則的だった。私がいてもいなくても変わらない、静かな寝息だった。
 * 
 そういう夜を重ね、ある一つの文章を書き上げて悠々と真下君の左側に滑り込んだ。  私は満足していた。ようやく真下君の寝息に自分の呼吸を重ねていいのだと思えた。
 滑り込んで、背中に額を寄せた。真下君の背中は熱を帯びていて、長くは寄り添えなかった。  彼に背中を向けて、じんわりと伝わるあたたかさを首の後ろに感じながら、眠り込んだ。
 翌朝、真下君はまたふわりといなくなってしまっていた。  替えの服も歯ブラシもすべてきれいに消え去っていて、まるで初めからいなかったかのように、真下君はこの部屋から姿を消していた。
 夢かうつつかわからないまま部屋を彷徨い、なにか彼の痕跡がないかと抽斗をかたっぱしから開けてみたりなどしたが、唯一見つかったのは、冷凍庫に保管してあるコーヒー豆が三分の一まで減っていることだけだった。
 真下君がいない部屋に一人取り残されても、私はもう大丈夫だったはずだ。  私がいてもいなくても変わらない寝息から逃れた孤独な私によって書かれたものがあるから、大丈夫だったはずだ。
 眠ろうと横たわった。シーツが冷たくて、何度寝返りを打ってもだめだった。
 
 *
 真下君がいなくなってからも、夜が来ると、常夜灯の下でPCを開いては真下君が触れない私の深部についてひたすらに書いた。
 書いても書いても、真下君は現れなかった。「何時に行きます」という連絡は、待てども待てどもこなかった。
 私が書くものを真下君は読まないので、どんなに書いたって無駄だとは知っていた。知っていたけれど、私は書いた。ベッドのすべてが空いていた。真下君がいたときには右側が埋まっていたベッドは、どんなに書き綴っても、がらんどうのままだった。
 *
 早い桜がもう散り始めているころ、真下君がふたたび連絡をよこした。
 「今日、夕方の六時に、行きます」
 待っていた、なんて言わない。真下君がいなくて寒かったなんて、絶対に言わない。それでも、美しい曲線をもつ革製の靴を脱ぎながら、真下君は「会えなくて寂しかったよ」とあっけらかんと言う。  私は真下君のコートをハンガーにかけながら、「どうかなあ」と半笑いで応答する。
 食事と荷物の整理を終えた真下君は、今日もきっかり十時にベッドの右側に横たわる。  おやすみ、と見送ろうとしたら、こちらを見て、「おいで」と優しく微笑んだ。
 うろたえながら、私はおずおずとベッドの左側に滑り込む。呼ばれたのは初めてのことだった。  真下君はめずらしく、こちらに顔を向けている。居心地の悪さを振りきって、私も真下君のほうに向き直った。
 「きてくれてありがとう」と真下君は言う。「君が望むなら」と苦笑してみせると、真下君も苦笑した。
 「おやすみ」と小さな声で言うと、「おやすみ」と返ってきた。それきり、真下君は何も言わず、やがて寝息を立て始めた。  消しそびれた常夜灯の下で、ほんの少しだけ開かれた口もとと、閉じた両目にならぶ睫毛をしばらく眺めているうちに、規則的な寝息に誘われて、ゆっくりと眠りに落ちる。
 明日の朝、目が覚めても、きっと真下君はそこにいるだろう。  あたたかさに輪郭を溶かしたまま、私は目覚めるだろう。  真下君も、輪郭を溶かしたまま、きっと私より早く目覚めて、私の眠る顔を見ているだろう。  「きてくれてありがとう」とはそういう意味だと思った。思いながら、うとうとと眠りにつく。
 その晩は、おそろしく深く、めずらしく夢も見ずに眠った。  目が覚めると、思ったとおり、真下君は私の腕のなかにいた。
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yurislifeasartjp · 3 years
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綺麗に終わってしまった物語
2人の人間の間にはいつも物語があって、それには終わりがある。
私にも1つ、「実質的に終わってしまった物語」がある。「実質的に」と言っていることからわかるように、私たちは2人とも生きている。ただ、今後いつ連絡をとるのか、あるいは、いつ人生が交差するのか、予定がない。
私とその人は習い事の先生と教え子だった。向こうが先生で、私が教え子だ。
習い事をするとき、習い事をする場所からどの程度近くに住んでいるのかは大切な要素だ。家族の事情か、仕事の都合か、何かしらの理由で引っ越さなければいけなくなり、習い事をやめなければいけなかったり、中断しなければいけないことはままある。
先生は大体住むところや、活動の拠点が固定していたが、私は数年おきになんらかの理由で引っ越さなければいけなくなり、習い事を中断したことが何度なくある。とはいえ、なんだかんだで引っ越しても、また習い事の圏内に戻るようなサイクルだった。習い事を中断した時には、���もなく手紙を書いたり、中身のないメールを送った。用があったり、中身のある話をしたこともあるけれど。
師弟関係というと、日本語では何かドラマティックな響きがある。「先生と教え子」という表現は、「師弟関係」を表すこともできるけれど、「師弟関係」の方がより重いというか、人生に関わるような深刻な響きがある。
とはいえ、習い事の先生と教え子という関係は、何かしらの技術・ノウハウを金銭によって媒介される関係だ。つまり、「お金あってこその関係」である。もちろん、お金だけではない関係、お金以上の関係を持つ師弟もいると思う。でも、基本的には師弟関係は「教える者と教わる者」の関係であり、「お金を払う者とお金を受け取る者」の関係だ。
なので、習い事を中断した時に私が先生に手紙やメールを送るというのは、ちょっと関係性から逸脱するというか、私たちの物語の本来的なテーマを外れた行為だ。
とはいえ、私たちは物語の本筋と逸脱を行ったり来たりしながら、長らく師弟関係を続けた。ところが、ある所で物語が予想外の方向に進んでいった。
当時、私は例の如く習い事を続けられないところに住んでいた。当時私は進路というか、仕事と人生、両方の面で進むべき方向に迷っており、さまざまな可能性を探っていた。
そこで先生に色々と相談したところ、序盤では応援していただいていたが、より相談内容が具体化していくにつれ、コミュニケーションのすれ違いが目立つようになった。私はお互いにズレを修正しながら話せるビデオ電話のような顔の見えるコミュニケーションをとればそこまでのズレを正せると思ったものの、「そんなものは絶対にやらない」と断られた。
例えばこれが、明らかな意見の相違、衝突であれば、2人の物語は一旦ここで双方から停止することになっただろう。しかし、私にとってはきちんとした意見の相違、衝突ではなく、コミュニケーションのズレだったので、そこをどうにかすればどうにかできるとも言えた。
しかし、である。私は私としてズレを正そうと努力はできる。しかし、最終的には、私たち2人が「これでズレは無くなった」と同意しなければいけない。2人の物語は2人で進めるからだ。つまり、ズレをただして物語を書き進められるどうかは、私1人の問題ではないのだ。自分でコントロールしきれない「ズレをただして前に進む」という行程が、あまりにも長く、あまりにも不確かに見えた。
ここで問いが出てくる。「それでも私はこの物語を書き続けたいだろうか?」
書き続けられれば書き続けたかった。しかし、私にそのエネルギーはもうなかった。
そこで考えたのだ。「それなら、どうやってこの物語を終わらせようか?」
私は先生が嫌いになったわけではないし、恨んでいるわけでもなかった。先生を攻撃したかったわけでもないし、先生が間違っていると言いたいわけでもなかった。というか、そもそもこれは誰かが正解で、誰かが間違っている話でもなかった。
私が言いたかったことは、長年の指導への感謝だけだった。
私は先生に長年の指導を感謝する長いメールを送った。私は晴々しい気持ちで、心から先生に感謝した。先生からは「夢を諦めてはいけない」というようなお言葉をいただいたが、私は再度「ありがとうございました」とだけお返事した。
それからしばらくして、私は再度引っ越した。先生に連絡しようかとも考えたが、先生との物語があまりにも自分の中で綺麗に完結してしまったため、ここから先の物語の書き方がわからないし、綺麗すぎてより良い物語が書けるとも思わない。
現状、先生との物語は「実質的に終わっている」状態だ。これから先、何かの拍子に再開する可能性もなくはないが、今のところ、私の人生の中でもとても大切な「終わってしまった物語」だ。
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ken1ymd · 4 years
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記事翻訳
中国に対する措置に関するトランプ大統領のコメント 投稿日:2020年6月1日
<引用元:ホワイトハウス 2020.5.30>
2020年5月29日午後2時48分(東部夏時間)
ローズガーデン
大統領:どうもありがとうございます。こんにちは。ありがとう。本日私は中国との関係と、米国の安全と繁栄を守るためのいくつかの新しい措置について話すためにここにいます。
中国の不正行為のパターンは周知のことです。数十年間、今まで誰もやったことのないほど米国を食い物にしてきました。中国との取引で年に何千億ドルも失われましたが、特に前政権での期間が顕著でした。中国は我々の工場に襲い掛かり、雇用を海外移転させ、我々の産業を骨抜きにし、知的財産を盗み、世界貿易機関の権威下での約束に違反しました。さらに悪いことに発展途上国とみなされ、米国を含めた他国が資格を持たないあらゆる利益を享受しています。
しかし、私はこのことを決して中国だけのせいにしませんでした。彼らがこれまでに誰もやったことのないほど窃盗の罪を免れることができたのは、過去の政治家と、率直に言えば過去の大統領たちのおかげだったのです。ところがそうした過去の人たちと違い、私の政権は正しいことのために交渉し戦いました。つまり、公平で互恵的な待遇と呼ばれるものです。
また中国は太平洋で不法に領海を主張しており、航行と国際貿易の自由を脅かしています。また香港の自治権を確保することについて世界に対する約束を破りました。
米国は中国と開かれた建設的な関係を築きたいと願っていますが、そうした関係を成就するには我々の国益を精力的に守ることが必要です。中国政府は我々と他の非常に多くの国に対して約束を破り続けています。
こうした明白な事実は、看過することも一蹴することもできません。世界は今、中国政府の不正行為を受けて苦しんでいます。中国が武漢ウイルスを隠蔽したために世界中に疾病が拡散し、世界規模のパンデミックが引き起こされて10万人以上の米国人の命と世界で100万人以上の命が犠牲となりました。
中国当局は世界保健機関への報告義務を無視し、中国当局がウイルスを最初に発見した際に世界保健機関に圧力を掛けて世界を欺かせました。
無数の命が奪われ、全世界が深刻な経済的困難に見舞われました。私は中国からの早期の渡航禁止を行わないよう強く勧められましたが、とにかく実行し、それが100パーセント正しかったことが証明されました。
中国は完全に世界保健機関を支配下に置いています。米国が年間約4億5千万ドル拠出しているのに比較して、年間4千万ドルしか拠出していないというのに、です。
我々は世界保健機関が行わなければならない改革案を列挙し、直接議論しましたが、彼らは行動することを拒否しました。要求した必要性の高い改革を実行しなかっため、我々は本日、世界保健機関との関係を終結させ、それらの資金を他の世界的で資格のある、差し迫った世界の公衆衛生の必要に向け直していきます。
世界はウイルスについて中国からの答えを必要としています。我々は透明性を持たなければなりません。中国が感染者を武漢から中国の他の地域に行かないように遮断したのは一体なぜでしょうか?他のどこにも行きませんでした。北京には行かず、他のどこにも行かなかったのです。しかし、欧州と米国を含めて、世界中に自由に旅行することを許しました。
これによって引き起こされた死と破壊は計り知れません。我々は自分たちのためだけでなく世界の他の国々にとっても、答えを出さなければなりません。
このパンデミックは、米国の経済的自立を高め、重大なサプライチェーンを自国内に戻し、米国の科学的・技術的進歩を守ることの決定的な重要性を浮き彫りにしました。
長年中国政府は、我々の産業機密を盗むための違法なスパイ行為を行っており、本日私は、我が国の重要な大学の研究を一層保護し、潜在的なセキュリティリスクと認定された中国国籍の人物の入国を停止するための声明を発表します。
また私は、米国の金融システムの健全性を保護するための措置も取ります―圧倒的に世界最高の金融システムです。私は金融市場に関する大統領の作業部会に、米国金融市場に上場する中国企業の異なる慣行を研究するよう指示しています。米国の投資家を保護するのが目的です。
投資会社は顧客を、同じルールに従って行動しない中国企業に融資することに関連する隠れた過度のリスクにさらすべきではありません。米国人には公正と透明性を得る権利があります。
我々が取ろうとしている最も意義深い措置の中には、香港で展開する全く厄介な状況に関連するものもあります。
今週中国は、一方的に香港の安全に対する支配を強制しました。これは1984年の宣言における中国の英国との条約義務と、香港基本法の明示の条項に対する明白な違反でした。あと27年残っています。
中国政府の香港に対抗した動きは、香港の長年にわたる誇り高い立場を損なう一連の措置の中で最新のものです。
これは香港の人々、中国の国民、そしてまさに世界の人々にとって悲劇です。中国は国家の安全を守っていると主張しています。けれども実のところ、香港は安全で自由な社会として繁栄していました。中国政府の決定はその全てを逆転させます。かつて自由のよりどころだったところにまで、中国の侵略的な国家安全保障組織の範囲を拡大させます。
つい最近中国が侵害したことで、区域の自主・独立性を低下させた最近の出来事と合わせて、香港がもはや、譲渡以��我々がその区域に提供した特別待遇を保証するだけ十分に自立していないことは明白です。
中国は「一国二制度」という約束した常とう句を「一国一制度」に入れ替えました。
ですから私は自分の政権に、香港に異なる特別な待遇を与える政策適用例外を、取り除くプロセスを開始するよう指示しています。
本日の私の発表は、犯罪者引き渡し条約からデュアルユース・テクノロジーに関する輸出規制などに至るまで、わずかな例外はありますが、我々が香港と交わしているあらゆる種類の合意に影響を与えます。
我々は、中国の国家安全保障組織による監視と処罰の危険性が高まることを反映して、香港に対する国務省の渡航助言を改訂するつもりです。
中国の他の地域とは別個の関税・渡航区域としての香港の優遇措置を無効にするための措置を取ります。
また米国は、香港の自治を損ない―見ればわかることですが、抑圧すること―香港の自由を完全に抑圧することに直接、または間接的に関与した中国と香港の当局者に制裁を課すために必要な措置を講じます。我々の措置は強力なものとなります。我々の措置は有意義なものとなります。
20年以上前、1997年の雨の降る夜、香港で英国の兵士は英国国旗を下げ、中国の兵士は中国国旗を揚げました。香港の人々は、中国の伝統と自分たち特有の香港のアイデンティティを同時に誇りに感じました。香港の人々は今後何年か何十年かで、中国が次第にその最も輝きを放つ生き生きとした都市に似てくることを希望しました。世界の他の国々は、―香港が中国の過去を反映したものとなるのではなく―香港が中国の未来を垣間見させてくれているのだという楽観的な感覚に衝撃を受けました
あらゆる判断において、私はアメリカ合衆国の労働者、家族、そして市民を誇りを持って守り、保護し続けます。
どうもありがとうございました。ありがとう。
午後2時58分(東部夏時間)
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cuttercourier · 3 years
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[翻訳] ナガランド州の犬肉禁止問題: 動物の権利、部族民差別
ナガランドにおける犬肉禁止をめぐるポリティクス
ドリー・キコン(メルボルン大学社会政治科学学術院)
2020年8月14日
先日、ナガランド州政府が犬肉の販売を禁止したことは、何が食べ物で何が食べ物でないかについての議論を二極化させただけでなく、私たちがいかに動物の体を私たちの政治や偏見のための戦場にしてきたかを示している。
7月3日、ナガランド州のテムジェン・トイ官房長は、犬の商業的な輸入および取引を禁止し、犬市場と犬肉の販売を禁ずるという州政府の決定をツイッター上で発表した。当該ツイートの最後に、彼はネイフィウ・リオ同州首相と、国会議員でありピープル・フォー・アニマルズ(PFA)創設者であるメーンカー・ガーンディーをタグ付けした。7月4日付ナガランド州政府告示によれば、この禁止事項に違反した者は、1860年インド刑法典第428条および第429条、ならびに1960年動物虐待防止法第11条に基づいて処罰される。これらの2つの法律に加えて、政府はまた、2011年インド食品安全基準委員会(FSSAI)規則、特に、人間が安全に消費できる動物を定義している2.5.1(a)節も援用している。今や犬肉はインドの食品安全基準外の食品に分類されているのだ。〔※同規則で食用動物とされているのはヒツジ・ヤギ・ブタ・ウシ・家禽・魚類〕
州政府の決定後の議論は、禁止を非難する犬肉支持消費者とそれを祝福する反犬肉の声の二項対立にエスカレートしている。論争についてはっきりしているのは、犬肉を消費する文化的権利について話す者と、動物の権利についての倫理的問題を提起する者が持ち出す極端な話法である。牛論争とは異なり、犬肉に関する論争は宗教を中心としたものではなく、文明の論理に基づいている。すべての動物の中で、現代インドにおける野犬は倫理、ケア、権利の代表である。また、路上の犬の経験と存在こそが家庭内空間と屋外の境界線を曖昧にしてもいる。
日常の食べ物の選択は、私たちにインドにおけるカースト暴力やウルトラ・ナショナリズムというより大きな問題に対処することを強いる。例えば、牛は最も崇拝されている動物であり、牛を保護せよと叫ぶ人々は牛を武器として用いるまでになっている。牛保護活動家たちは軍国主義的ヒンドゥトヴァ・ナショナリズムを推進してきた。犬はこのリストに加わり、インドにおける文明、純粋性、愛についての既に山ほどある論争を一つ増やすことになる。犬は道具化された存在となり、その擁護者は禁止令に違反した者を追い詰めるかもしれないが、犬肉を珍味として宣伝するグループは反撃するかもしれない。悲劇は、権利についての政治が応報的正義についての政治になってしまったことだ。
論争の中心にあるのは、犬の肉を消費する、あるいはそれに近づかないための「権利」の問題である。動物愛護活動家、ナショナリスト、雑食主義者、反カースト活動家、伝統文化継承者と、さまざまに自認する人々が声を上げている。犬肉禁止は、何が食べ物で何が食べ物でないかについての価値観、虐待、嫌悪感、禁忌、人種差別等々をめぐる議論を二極化させた。
COVID時代における食肉
とりわけCOVID-19パンデミックの時期にあって、インドにおけるウイルス拡散のもっともらしい要因として食肉への注目が高まっている。ナガランド州を含むインド北東部では、豚の輸入を禁止する告示が出されている。犬肉禁止の場合、動物福祉(犬を苦痛から救う)の主張と、犬は不潔で、病気にかかる可能性があり、したがって消費には適さないという記述が同時になされていた。COVID以前の時代でさえ、FSSAIの勧告の下、犬肉を含むさまざまな食品は、消費しても安全とされる食品の定義の外に置かれていた。目下は清潔で安全な動物という論理が、禁止を正当化するために用いられている。しかし、犬肉の禁止はインドのアニマルライツ活動家が始めたキャンペーンの成果として祝われようとしている。
州政府はまだ禁止措置の詳細を示していないが、犬肉は禁止リストに入った2番目の食品である。1989年、ナガランド州酒類全面禁止(NLTP)法により、州内での酒類の販売と消費が禁止された。今日では、ブラックマーケットが活況を呈しており、アルコールは州内で広く入手可能である。皮肉なことに、ナガランド州の犬肉取引についても同様の未来を目にすることになるかもしれない。
とはいえ、アニマルライツ活動家にとってこれはまさに法的勝利の瞬間である。ナガランドで犬肉を禁止しようとするキャンペーンは継続的なプロジェクトだった。ローカル市場からの数多くの文書や動画は、犬がいかに悲惨な目に遭い、恐ろしい残虐行為の犠牲になっているかを見せつけた。禁止直後の期間、犬肉消費賛成派・反対派双方の口調は非難がましいものであった。道徳的に唯一正しい選択としての菜食主義と雑食主義についての発言は声高になっている。
人種差別の道具
そもそも犬肉はナガ人の食生活の中心ではない。犬肉は珍しく、多くのナガ人世帯では消費されていない。しかし、犬肉の語りは、インド北東部の部族民コミュニティに対する暴力、憎悪、人種差別を扇動するための道具となっている。ナガ人コミュニティ全体を、野蛮と未開についての本質主義的な人種差別的イメージである犬肉食いとして描写する例がインドでは横行している。それほどまでに、ナガ人の集団的アイデンティティと犬肉は、半人半獣的な住民像、ナガ人臣民は道徳的に劣っており、教化されなければならないという〔英領期の〕語りを構築するうえで著しく影響を与えてきた。この説明は、犬を消費する文化的権利や犬を保護する道徳的権利といった権利の主張が、肉や植物に実際に齧りつくことによってなされるというナショナリスト的なアジェンダを生み出してきた。この二項対立は、権利についてと、どのような行為が非正統化されるべきかについての私たちの理解が、いかに禁止という観念によって動かされているかを示している。このような倫理観の形成とモラル・ポリティクスは、動物と人間の区別をさらに先鋭化し、アニマルライツ団体と人権擁護活動家の間に深い溝をもたらしている。
ナガランドでは、何十年にもわたる武力紛争と人権侵害が、深刻な不安と恐怖をもたらしてきた。犬肉の禁止が国軍特別権限法(AFSPA)の延長直後になされたという事実は「我々は犬を守るがナガ人は守らない」というメッセージを送っているように思える。犬肉禁止への抵抗の中で、食品選択の問題が伝統と文化の一部として用いられている。
ナガランド州における犬肉取引が禁止されたことで、アニマルライツ団体は州内での犬の悲惨な扱いに終止符が打たれると感じているかもしれない。それが実現しないことを私は危惧している。禁止がもたらした怒りや憤慨は、別の現実が展開される可能性を警告している。すなわち、自分の文化を証明するため、無理強いされた道徳的勝利を打ち破るため、覇権的秩序に抵抗し、粉砕するために犬を食べたいという衝動である。道徳的勝利と反撃の政治が、犬の身体の上に組み上げられている。
州政府の降伏
庶民の間には怒りが渦巻いている。ある特定の種類の活動家が、24時間にも満たないような目覚ましい速さで州政府に犬肉を合法的に禁止させることができるのはどうしてなのだろう。保健や教育のような基本的な権利を得ることができないナガランドの普通の市民にとって、犬肉の禁止は、ナガランドから遠く離れていながらナガの人々の文化実践を支配することができるアニマルライツ団体の要求に州政府が屈するという屈辱的な動きの集大成である。この禁止令は、いかに犬とナガの人々の生命がこのナショナリスト的な文明化プロジェクトの中心的主題であるかを浮き彫りにしている。ここにおいて右翼ヒンドゥー・ナショナリズムをめぐる政治は特に重要である。牛の屠畜禁止が宗教的少��派の迫害を正統化する動きになったとすれば、犬肉禁止が表しているのは野蛮人を文明化する運動であり、その中で動物的人間/部族民は清潔で安全な食べ物について教えられることになるだろう。
私たちは、ア���マルライツ運動と他の形態のアクティヴィズムを互いに対立するものとして設定すべきなのだろうか。それとも、包摂的政治について考え、二項対立をなくすことに重点を置くべきなのだろうか。動物の世界、人間の世界、霊の世界(祖先の価値観)が、ケア、責任、答責性についての観念を共有できるような環境を考えるべきなのだろうか。犯罪性を強調する法的手段に完全に頼ることなく、地球のための共通目標をもつことができるだろうか。
新たな議論の必要性
犬肉に関する論争が曖昧にしているのは、右翼ヒンドゥー・ナショナリズムの意見とアニマルライツ運動の意見との間の線引きである。これは熟考に値する。なぜなら、いやしくも私たちが連帯を求め、価値観や倫理観についての新たな対話を始めるとしたら、それは後者のグループとのものになるだろうからだ。カースト、社会階層、ヒンドゥトヴァ・プロジェクトが絡み合っているように見えるアニマルライツについての政治の中で、私たちはどのような方法で自身の道を切り開くことができるだろうか。アニマルライツを支持する人々と、食習慣についての民族的・人種的価値観を擁護する人々のカーストや社会階層のヒエラルキーは、殺生、屠畜、肉食についての対話を結ぶ方法を見つけることができるだろうか。私たちの皿は、ある政治的主張を証明するために、すべて植物か、すべて肉かのどちらかでなければならないのだろうか。
犬肉の禁止から学べることがあるとすれば、それはオープンマーケットで売られている動物たちがどこでも経験している苦しみと残酷さである。動物の肉を食べるということは厄介なことであり、殺す行為がこのプロセスの中心にある。私はノンヴェジタリアンである。ナガランドで育つあいだに、私は動物を殺す方法を学び、食べようとする肉をきれいにする方法を学んだ。このような瞬間はめったになかったが、私は自分の存在が責任と犠牲という形で絡み合っていることを学んだ。これらは私が実践しようとしている価値観、つまり、自分が食べられるぶんだけをいただき、無駄にしないということだ。私が示唆したいのは、殺して肉を食べるという行為が可視化され、野蛮で非人間的なものとして隠されたり、排除されたりしない世界である。同じ精神で、植物や作物を栽培するプランテーション(オーガニックブランドを含む)で貧困や構造的暴力に苦しんでいる労働者の状況も解明する。このことは、私たちが日々の食事をめぐる社会的・政治的な現実と向き合うのに役立つだろう。
ナガランドの市場ができなかったのは、犬を隠し、消費のために処理されようとする他の動物から引き離すことだった。犬は鶏やアヒル、鳩の隣で縛られていた。また、彼らの肉は派手な袋に詰められていたり、「オーガニック」や「放し飼い」製品としてブランド化されたりしていたわけでもなかった。しかし、全国の市民の憤慨は、インド全土のオープンマーケットで販売されているすべての生きた動物が同様の状況に苦しんでいるという事実とは無関係に、犬だけに向けられていた。ナガランドの市場から犬を救出することは比較的容易であった。しかし、これは犬にとっては脱出したことにならない。これは利益と苦痛の論理が支配しつづける闇市場の活況の始まりとなるだろう。それは、人間が〔動物の〕権利を確立し、思いやりを示し、秩序を創出しようとする一方で、市場、屠畜場、動物保護施設、リハビリテーションセンターにおいて動物がどのように深く道具化され、動員されつづけるかについての現実に私たちを連れて行くだけだ。犬肉禁止に発する論争は、私たちがいかに動物の身体を自分たちの政治と偏見のための戦場に変えてしまったのかの内省を迫るべきである。インドにおいてこの論争は権利をめぐる政治の二極化を推し進めたにすぎない。
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sorairono-neko · 4 years
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一回寝たくらいで彼氏面するような男だけどね
「よくあることだよ」  勇利はしばしばそんな言葉を知り合いから聞いた。いくらか失敗したというような、しかしそれ以上に楽しそうな、はしゃいでさえいる様子で、彼らはそう語ったのだった。男だけではない。女だって笑っていた。 「ちょっと予想外だったわね。でもよくあることよ。悪くなかったわ」  一気に仲が進展したもの。深く彼を知ることができたもの。彼女たちはそう感想を述べた。すべてが上手くいったというわけにはいかないこともあるのだろうけれど、少なくとも勇利は、男からも女からも、大失態だというふうにそれを打ち明けられたことはなかった。特別に親しいわけでもない勇利に気軽に話すのだから、みんなにとって、深刻なことではなかったのだろう。日常的な、まさに「よくあること」だったのだ。  しかし、いざ自分の身に起こってみると、勇利はそんなふうには思えなかった。だって初めての経験なのだ。ぜんぜん──ちっとも「よくあること」なんかじゃない!  まぶたをひらいた瞬間は、状況がつかめず、まだ勇利はのんきだった。ふとんがいつもより気持ちいいなとか、いつもよりあたたかいなとか、いつもよりいい匂いがするなとか、いつもより、なんていうか……何かがちがうな、とか思ったのだ。けれど気のせいだと判断した。変わった夢を見ていたのかもしれない。だから自分のベッドではないと感じるのだ。そう考えた。  だが、ちがった。その証拠に、勇利の目にはヴィクトルの顔が映った。隣に寝ているはずのない彼がそこにいる。ヴィクトルは眠りこんでいて、どこか幸福そうで、口元は笑っていた。勇利はあれっと思った。ヴィクトル、とうとうぼくのベッドへ来ちゃったの、と瞬間的にあきれた。勇利がロシアへ来てからも「一緒に寝ようよ」と冗談のように誘ってきたけれど、あれは本気だったのか。まったく、人と寝ることの何がおもしろいんだか。ヴィクトルって子どもみたい。勇利は、ヴィクトルが目ざめたら文句を言ってやろうとこころぎめをした。  とりあえず、起こすのはかわいそうなので、静かに活動することにした。マッカチンに朝ごはんをあげて、自分たちの朝食をつくって、それでもまだ寝ていたら起こそう。勇利はそうきめて腕をつき、ベッドから抜け出そうとして──再びふとんに沈みこんでしまった。  なに? なに? 何なの? 身体が痛い! あちこち痛いけど、おもに下半身が! 勇利は低くうめき、おかしなこともあるものだと考えた。きつい練習をしたときだってこんなことにはならない。これは、そう──普段しつけない運動をした翌日に起こるようなだるさだ。それに加えて、脚のあいだの違和感。腰の奥にある理解できない鈍痛。  昨日なにしたっけ? 勇利は必死に思い出そうとした。すこし頭痛もあるようだ。これはお酒を飲んだ翌朝の痛み……。それだけは正確に判断をくだすことができた。ということはゆうべぼくは飲んだ……。そのことを思い出すと、それをいとぐちとして、いろいろな記憶がよみがえってきた。  そうだ。昨夜勇利はヴィクトルに食事に連れていってもらったのだ。そのあと、酒を飲むところへも案内された。アルコールの種類はあまり知らないという勇利に、ヴィクトルはいろいろ教えてくれた。 「あんまり飲んじゃいけないよ。勇利は限界値をわきまえてないんだから」  そう注意された気がする。勇利はわかってるよと答えた。わかってるよ、ヴィクトル。ところでこれ美味しいね。 「勇利、だから……」 「そんなに飲んでないよ」 「飲んでるよ。もうやめたほうがいい」 「なんで? ヴィクトルが連れてきたんじゃん」 「酔っぱらわせるために連れてきたんじゃないんだよ」 「ほら、ヴィクトルももっと飲んで」 「あのね」 「これ美味しいよ」 「やめなさい。それ、残りは俺が飲む」 「じゃあぼくは新しいの頼もうっと」 「勇利!」 「──ああ」  勇利は溜息をついた。なぜヴィクトルにやめろと言われたときにやめなかったのか。あそこで従っていたら、こんなことには……。  こんなことってなんだ。  勇利は状況を把握しようと努めた。知らないほうがよいような気がしたが、まったくわからないというのもこわい。記憶は、すべてではないけれど、断片的に浮かび上がってくる。ヴィクトルと飲んで……ふたりで酔って帰ってきて……それで……。  どんなふうにベッドに入ったのかはおぼえていない。しかしあのとき、ヴィクトルもそれなりに陽気になっていた。少なくとも、いつもよりは冷静な判断ができなくなっていた。だから……きっと……。  勇利はおそるおそるふとんをはぐってみた。全裸だった。あ、そうですよね、と思った。ヴィクトルの様子も確かめてみた。彼も服を着ていなかった。もっとも、ヴィクトルの場合、いつも寝るときは何も身に着けていないので、これは普段通りということである。だが勇利と一緒に裸で寝ているのだし、言い訳はできない感じだ。  いや、でもほら……勘違いっていうこともあるじゃない? ああ、これ絶対やっちゃった、と思いこんでそのつもりでいたら、実際はなにごともなくて、いやいや、そんなことあるわけないじゃん、みたいな結末。そう……。勇利に「よくあること」と語った知人たちの中にもいた。 「記憶もないし裸だし、あー、これはまたやっちゃったかー、と思ったんだけど、相手は私よりしっかりしてたみたいで、ちゃんとおぼえてたの。する寸前まではいったけど、お互い眠くてそこまでは至らなかったんですって。惜しいことしたわ。酔っぱらっちゃったのもそうだし、最後までしてないのもそうだし。次のデートでは節度ある行動を取って、きちんと彼のことを知るつもり」  そんなふうに言って明るく笑っていた。自分もそうではないだろうかと勇利は思った。なにしろ相手はヴィクトルなのだ。勇利のように泥酔したりするひとではないし、判断力もしっかりしている。酔った勢いでこんなこと、ちょっと考えられない。  そうそう、ヴィクトルだし……ヴィクトルだし……ヴィクトルだし……。  勇利は、たぶんまた自分だけが何かをしてしまって、ヴィクトルはそれを止めたのだと思った。ダンスをしたとかそういうところだろう。踊り狂ったあげく勇利が正体を失ってしまったので、とりあえず一緒に寝ることにしたのだ。そうにきまっている。ヴィクトルがぼくとえっちなことするなんてあり得ないし、とまた起き上がろうとした勇利は、ずきっとした痛みを感じて言葉もなく身もだえた。お、おしりが痛い……! 「うう……」  いや、痛いというか……だるいというか……動きたくない。ダンスでこんなところに被害があるだろうか? いくら激しく踊ったとしても……。勇利はだらだらと汗をかいた。でも……そんなこと……まさか……。 「ないない……」  勇利はベッドのすみまで転がっていき、とにかく頭をすっきりさせるためにシャワーを浴びようときめた。ふと下を見ると、くずかごが近くにある。な���げなく中をのぞきこんだ勇利はぎょっとした。あれは……。  く、口を縛ったゴム?  勇利はいくつかあるものから急いで目をそらした。毛布にくるまって考えこむ。見まちがいかもしれない。そもそも勇利はコンドームの実物を見たことがないし、だから正確に判断をくだせない。何かもっと別のゴミかもしれない。  勇利はそろそろと視線を動かした。まくらべにちいさな箱があった。口が開いている。そこから何かのつづりが出ていた。まるいものがおさまっているかのような袋が連なっている。そばには、封を切ったばかりである証拠の透明の包み紙。それと、液体の入った瓶。中身はずいぶん減っている。そういえば、臀部のあたりに、何かが乾いたみたいな引きつれた感じがあるような……。 「…………」  やっちゃってんじゃん! やっちゃってんじゃん! どう考えてもこれしちゃってるじゃん! 勇利はふとんにつっぷし、頭を抱えた。信じられない! ヴィクトルとえっちしちゃった! そのつもりで思い出してみると、彼に抱きしめられたり、あちこちさわられたり、くちびるで愛撫されたり、恥ずかしい姿勢をさせられたりした記憶がうっすらあるような……。  ああーもう!  勇利は両手でおもてを覆ってふるふるとふるえた。よくあることじゃないよ! よくはないよ! ひんぱんにはないよ! 初めてだよ! なんでみんなにこにこして「やっちゃったーてへ!」みたいな感じだったの!? 大事件なんですけど!  勇利は気を失いそうになった。いっそのこと失ってしまいたかった。しかしそれはかなわなかった。ヴィクトルとしてしまった。酔った勢いで。よく注意されていたのに。 「いいかい勇利。きみはお酒に関しては危険なところが多々ある。いつか何か大きな事件が起こるからね。自分でもわかってるようだけど、わかっているわりには自制心も防御力もよわい。俺は心配なんだ。何か起こる前に、自分を操縦するすべを身につけなければならないよ」  ヴィクトルに丁寧に言い聞かせられた。勇利は、うん、わかったよ、大丈夫だよ、と返事をしたものだ。なのに、そのヴィクトルを相手に「大きな事件」を起こしてしまった。信じられない! こんなの困る! 「…………」  赤くなったり青くなったりしてひとしきり混乱し、それが済むと、勇利は静かに息をついた。ヴィクトルはまだ幸福そうに眠っている。彼は勇利のほうを向いてほほえんでいた。鼻でもつまんでやりたい、と勇利は思った。  ヴィクトルもさあ……ぼくがあぶないってわかってるなら、もうちょっと気をつけてくれるとかさ……。勇利は理不尽な思いをヴィクトルにぶつけ始めた。ヴィクトルは大人なのに、ヴィクトルはちゃんとぼくの性質をわきまえてたのに、ヴィクトルは酔っぱらいになることなんてそうそうないのに、といろいろとヴィクトルのせいにした。もちろん自分が悪いことはわかっている。高ぶった神経を落ち着かせる手段のようなものだ。逃避である。  しかし、ヴィクトルのせいにしているうちに、勇利は不思議な気持ちになってきた。この完璧な、いままでこういったことで失敗などしたことがなさそうな男でも、こんなしくじりをするのだと思った。ヴィクトルでもお酒の勢いでえっちしちゃったりするんだぁ……。  ヴィクトルの長いまつげがゆっくりと上がり、湖のようにうつくしく澄んだ瞳と、ぱちりと視線があった。勇利はどきっとし、急に赤くなった。 「……おはよう」  いつもよりすこし低い声でヴィクトルがささやいた。勇利はどぎまぎし、さらに赤くなりながら、「お、おはよう」と挨拶した。 「あ、あの、ヴィクトル……」 「身体は大丈夫?」  こんな失態を犯して、さぞ慌てることだろうと思ったのに、ヴィクトルは落ち着き払ってそんなことを尋ねた。勇利はしどろもどろになった。 「だ、大丈夫……ちょっとだるいけど」 「そうか。ごめんね。無理させちゃったかな」 「べつに……」 「寝てていいよ」  ヴィクトルはふっと笑って言った。 「食事は俺が支度するし、ここへ運んできてあげる」 「えっ、いいよ。そこまでつらくないよ」  あちこち痛いしだるいしで、動くことにうんざりしていたのだが、そんなことより羞恥のほうがまさりつつあった。ヴィクトルとしたんだ、と思うと、こうして話していることが気恥ずかしくてたまらない。 「そうかい? じゃあシャワーは?」 「あ、浴びるけど……」 「連れていってあげようか? 身体を洗ってあげるよ」 「け、けっこうです!」  勇利は赤くなって起き上がった。いたたまれなくて、これ以上ここにはいられないような気がした。 「ぼくさきにお風呂使うから……」 「それはいいけど……」  きょろきょろとあたりを見まわすと、ベッドの端にシャツが一枚引っかかっていた。とりあえずそれを羽織ってみたが、すこし大きいようだ。ヴィクトルのものだ。しかしどうせ洗濯するのだし、この際、着るものはなんでもよかった。 「ヴィクトル、これ貸して……」 「勇利」  ベッドから降りようとした勇利の手首を、ヴィクトルが静かにつかんだ。勇利はどきっとして振り向いた。 「後悔してるの?」 「…………」  自分でも何をしているのだと思うし、ヴィクトルが止めてくれないからだと彼のせいにもしたし、こんなことになるなんて、とあきれてもいるけれど、勇利はそうは口にしなかった。 「……してないよ」  うつむき、かぼそい声で答えると、ふらつきながら寝室を出、着替えを抱えて浴室へ行った。 「真剣な顔でそんなこと訊かないでよ。���臓に悪い……」  勇利は、シャワーを浴びながら、はあ、と息をついた。 「ヴィクトルとえっちしちゃった……」  これから彼とどんなふうに接すればよいだろう? 悩むところである。いろいろ思案してみたが、考えてもどうにもならない。そういえば、ヴィクトルこそ後悔していないのだろうか。あんなふうに尋ねたのは、彼こそが自分の行動にがっかりしているからかもしれない。だとしたら……。  とりあえず、恋人面をするのだけはやめよう。  勇利はそうこころをきめ、うん、と大きくうなずいた。一度寝たくらいで親しそうにされたら、ヴィクトルも迷惑するだろう。まさかこんなことになるとは思っていなかったけれど、勇利も大人なのだし、それらしくふるまうべきだ。かなり衝撃を受けてはいるが、たぶんこういうことは、誰が悪いというものでもない。お互い、平等な立場である。だから後悔していたとしてもヴィクトルは何も言わなかったのだろうし、勇利も、節度ある行動を取らなければならない。 「ああ、もう、何なんだよ……」  ヴィクトルと。あのヴィクトルとえっちをしてしまうなんて……。勇利は違和感のある箇所を洗いながら、ここにどんなふうにされたんだろう、と考えてみた。あまりおぼえていない。なんかいろいろさわられたことはおぼえてるんだけどな……。  おぼえているほうがよかったのか、おぼえていなくて幸運だったのか、悩むところだ。 「おはよう勇利」 「お、おはよう」  あれからヴィクトルとはまったく変わらぬ間柄を維持している。変にぎくしゃくしたり、そっけなくされたりといったことにならなかったのは助かったけれど、これまで通りなのもなんか恥ずかしいなと勇利は困っていた。なにしろヴィクトルは、普段から平気で勇利にキスをするし、「かわいい」「俺の勇利」とささやいたりもするのだ。これまではいつものヴィクトルだと思って「はいはい」と気楽にしていられたが、一度親密なことをしたとなると妙に意識してしまう。しかも、気のせいか、前よりも熱烈になっているようだ。いや──そう、まさに「気のせい」だと思うのだけれど、リンクでもヴィクトルはすぐに勇利の腰を引き寄せたり髪にふれたりするので、勇利としてはどぎまぎしてしまうのだ。 「なぁんか最近、これまでに増していちゃついてるわねえ」  気のせいだと思っているのにミラにまでそんなふうに言われ、焦ってしまった。 「そ、そんなことないよ」 「そうかしら。何かあったんじゃないの?」 「な、何かって……?」 「そりゃあまあ、ねえ」  ミラがにやにやしているところへヴィクトルがやってきて、「なになに?」と興味深そうに尋ねた。余計なことを言われてはたまらない。勇利は急いで「なんでもないよ!」とかぶりを振り、「ぼく、行くところあるからさきに帰る!」と荷物をまとめた。 「一緒に行こうか?」 「い、いい。ひとりで行ける」 「ひとりで行けるかもしれないけど一緒のほうがよくない?」 「べつに!」 「なんでそんなにつめたい? デートしようよ」  ヴィクトルがにっこり笑った。ミラが冷やかすように勇利を見、「デートねえ……」と意味がありそうにつぶやいた。勇利は腹が立った。 「一緒じゃないほうがいい!」 「ワオ、勇利、意地っ張りだねえ」 「意地なんかじゃない! 変なこと言わないでよ!」 「変なこと? 何が?」 「帰る!」  勇利はふたりに背を向けると、足音も荒く更衣室へ向かった。背後から笑い声が聞こえた。 「なに、彼、照れちゃってるの?」 「恥ずかしがり屋なんだ。かわいいだろ? 俺の勇利」 「のろけるわねえ」  何なんだ。何なんだ。勇利はひとりで憤慨した。あんなことがあったのだから、すこしはヴィクトルも気を遣ってくれればいいのにと思った。こっちは経験がないんだから、いろいろ考えてるってわかりそうなものじゃないか。それとも、経験がないからこそそれをからかってるんだろうか。勇利は溜息をついた。それはありそうなことだった。ヴィクトルとしては、そんなふうに日常会話に出してしまえるくらい、たいしたことではなかったのだろう。あの夜の出来事は……。ヴィクトルとの仲がおかしくなったらいやだなと心配していた勇利なので、そこまで自然にふるまってもらえるのなら助かったという気がしないでもないけれど、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいし、やめてもらいたいと思った。だがそれはきっと勇利のわがままなのだろう。そうだ。「よくあること」だと何度も聞かされたではないか。ヴィクトルにとっても「よくあること」なのかもしれない。ヴィクトルが酒の勢いで誰かとひんぱんにベッドをともにするなんて想像できないけれど、考え方としては、勇利よりもあの知人たちのほうに近いはずだ。まあ一般的なことだし気にすることもない、という心境なのだろう。  そりゃそうだけどさ! よくあることなんだろうけどさ! ぼくも大人だからそう思わなきゃいけないんだけどさ! でもぼくが未経験だってヴィクトル知ってるじゃん! ちょっとは気遣ってくれたっていいんじゃないの! わがままかもしれないけど! 甘えかもしれないけど! こっちは初めてえっちしたのにそのことあんまりおぼえてないし、予想外のことだったし、いろいろ混乱するんだけど!  ぷりぷり怒りながら買い物を済ませ、帰宅すると、ヴィクトルが笑顔で勇利を出迎えた。 「おかえり、勇利。次は一緒に行こうね」  そう言いながら頬にキスされた。勇利はますます腹が立った。だからそういうところだよ! そういうとこ! ヴィクトル!  相変わらずリンクでは親しそうに身体にふれるし、買い物に行けばぴったりと寄り添って勇利から離れないし、ヴィクトルの態度があまりにも変だという気持ちになってきた。最初は戸惑いながらも、ヴィクトルがあの夜のせいでそっけなくならなかったのはさいわいだ、それだけはよかった、と思っていた勇利も、だんだん心配になった。 「ヴィクトル、あの……」 「なんだい?」  しかし、どう言えばよいのかわからなかった。あまりくっつかないでくれと頼むのは自意識過剰ではないか。ヴィクトルにまったくそんなつもりがなかったら恥をかくことになる。一度寝たからといっていい気になっていると思われたら……。そんなふうに考えると何も言えない。ミラはしばしば「仲のよろしいことで」とふたりを冷やかすので、勇利のひとりよがりとも思えないのだが、彼女は恋愛事件が大好きだから、勇利たちのこともおおげさにとらえているだけかもしれない。  そんな考えもあり、気のせいだ、気のせいだ、と自分に言い聞かせ続けていた勇利だが、しかし、ある夜、とうとう決定的なことが起こった。 「勇利、俺の部屋で一緒に寝ないか?」 「え……」 「俺のベッドで……」  ね? とささやきながらヴィクトルは勇利を背後から抱きしめ、何か意味のこもった、ひそやかな手つきで勇利の腰のあたりを撫でた。勇利は仰天した。これはまさか、まさか、──「夜のお誘い」なのだろうか。つまり──、セックスをしようという……。 「あっ、ご、ごめん!」  頭の中がまっしろになった勇利は、とっさにヴィクトルの手を逃れ、よくわからない言い訳をしてしまった。 「今日はぼく、新しいぬいぐるみと一緒に寝るの楽しみにしてて!」 「ぬ……いぐるみ……?」 「朝からそのことで頭がいっぱいだったんだ! ごめんね!」  部屋へ逃げ帰った勇利は、ぬいぐるみってなんだ、と自分でも頭を抱えた。ほかに言いようがあるだろう。しかし混乱していたのだ。どうしようもなかった。  だが、これはいったいどういうことなのだろう? ヴィクトルはどういうつもりなのだ? 勇利とまたセックスをしようというのだろうか。今日は酔っぱらっていたわけでもないのに、なぜそんなことを。それとも勇利の勘違いなのだろうか。ヴィクトルはただ一緒に寝たかっただけなのだろうか。だとしたら勝手に意識して、体裁が悪いとしか言いようがないけれど、しかし、あの手つきはあきらかに……。いや、どうだろう?  ああ、もう、わかんないよ! こういうこと経験ないから、相手の心積もりなんてくみとれない! どうすればいいの!? 勇利はひとりで苦しんだ。思いちがいならただ勇利が恥ずかしいだけだが……、もしヴィクトルがそのつもりだったら……。  もしかして、ヴィクトル……。  勇利ははっとした。ヴィクトルは責任を取ろうとしているのではないだろうか。経験のない勇利と寝てしまったものだから、勇利のこのところの様子もおかしいし、それなら一生めんどうを見てやろうというつもりであんなことを……。  ヴィクトル、いいんだよ! そんなのいいの! 勇利はベッドにうつぶせ、まくらをこぶしで叩いた。そんなの気にしないでいいの! ぼくだっていい大人なんだから、一夜のあやまちでどうこう言ったりしないから! まあ確かにあれからずっとぐずぐず悩んでるけど! ヴィクトルを責めようとかそういうつもりじゃないし! 責任とか! ヴィクトルお人好しなんだよ! あんなの「よくあること」でしょ! いやないけど! ぼくはないですけど! 大人の世界なら……。 「……はあ」  勇利はごろりとあおのいて溜息をついた。ヴィクトルに申し訳なかった。自分が子どもであるばっかりに気を遣わせてしまった。あんな、なりゆきに流されたみたいな一夜のために彼の将来がきめられてしまうのはあまりにひどい。 「もう……」  勇利はふとんにもぐりこみ、なんでこんなことに、とぶつぶつ言った。酒に酔うとセックスなんてしてしまうし、セックスをするとこういうことが起こってしまう。大人とは大変だ。  翌日のヴィクトルは、勇利の断り文句を気にした様子もなく、いつも通り明るかったが、勇利は気が重かった。ヴィクトルが責任を取ろうとしているならどうすればよいのだろうと、そのことばかり考えた。相変わらずヴィクトルは親密で、勇利を引き寄せては優しくほほえんでいる。これももしかして責任のつもりだったんじゃ、という気がしてきた。  だめだ! ヴィクトルを縛ることはできない! ヴィクトルはヴィクトルでいて欲しい! 自由でいてもらいたい!  帰宅し、食事を済ませた勇利は、洗い物の最中、ヴィクトルが後ろからそっと抱きしめ、「勇利……」とささやいてきたので、その瞬間緊張した。 「今日もぬいぐるみと一緒に寝る……?」 「…………」  ヴィクトルが溜息をついた。 「俺、おもしろくないなあ。そういうの好きじゃないなあ」 「…………」 「勇利は俺よりぬいぐるみのほうがいいの? ぬいぐるみと寝るのは楽しみにするのに、俺と寝るのは楽しみじゃないのかい?」 「ぼ、ぼくは、」  勇利は手を洗い流し、ぱっと振り返って流しにもたれかかった。頬が熱くなってくる。あまりものを考えられない。でも言わなければ。ヴィクトルのために。 「ヴィクトルと寝るつもりなんて、もう、ないよ」  ヴィクトルが瞬いた。 「……なぜ?」 「なぜって、理由なんてないよ。そんな気ないからだよ」  ヴィクトルはすこし考えこみ、口元に手を当ててつぶやいた。 「……もしかして前のとき、俺が勇利に無理をさせたから」 「わああ」  あの夜のことを思い出させる発言は慎んでもらいたい。気恥ずかしい。 「そ、そんなこと、どうでもいいよ!」  勇利はまっかな頬をしてヴィクトルをにらみつけた。 「あ、あ、あ、あんなの、よくあることじゃない!」 「よくあること?」  ヴィクトルが鋭い目をして勇利を射竦めた。勇利はどきっとしたが口は止まらなかった。 「い、い、い、いい、一回、一回寝たくらいで、か、かか、彼氏面、しないでよ!」  ヴィクトルが瞳を大きくしてぱちりと瞬いた。勇利は、うわあ、と思った。ぼくなに言ってるの!? ヴィクトルが恋人面をするなと言うならともかく、ぼくが、こんな、えらそうな……。 「あ、あんなの、勢いとお酒に酔ったあげくのことで、大人なら、誰でもある、ご、ごく、ごく、ごくごく、ごく一般的なことなんだからね!」 「…………」 「な、なに勘違いしてるのか知らないけど、こ、これ以上べたべたするようなら……」 「……するようなら?」 「す、するようなら、するようなら……、ぼくにも、か、かか、考えが……」 「どんな考え?」 「…………」 「勇利。どんな考えなんだい?」  そ、それは……。勝手に口がしゃべっているだけだったので、考えなどもともとないのだった。勇利はしどろもどろになった。 「……ねえ勇利」  ヴィクトルがにっこり笑った。 「よくあることとか大人なら誰でもあるとか言うけど、勇利、あのとき初めてだったよね?」 「そっ、そそっ、それは、」 「本当にそう思ってるのかい?」 「だ、だ、だって……」 「無理してない?」 「む、無理はしてない!」 「そうか」  ヴィクトルは可笑しそうにうなずいた。 「じゃあ、俺のためだと思ってるのかな?」 「そ、そんなの……べつに……ただぼくは……ヴィクトルが彼氏面してさわってくるし……寝ようとか言うから……」 「ねえ勇利」  ヴィクトルがぐいと勇利の腰を引き寄せた。勇利は、ひえっと声を上げてしまった。ひえって、とヴィクトルが笑った。 「きみが好きだよ」 「えっ」 「勇利のこと、愛してる」 「えっ、えっ」 「まあちょっと、酔ってるときだったし、どうかなと思わないでもなかったけど、『大人』だしね。お酒を飲んでいい感じになって、ということもあっておかしくないんじゃないかな」 「あの……?」 「だけど、酔った勢いでセックスだけしておしまい、失敗したね、と笑い飛ばすほど俺は『子ども』ではないつもりだよ」 「なんのこと……?」  ヴィクトルは勇利に優しく接吻した。勇利は目をまるくした。 「ヴィクトル……?」 「勇利、俺にしときなよ」  ヴィクトルはにっこり笑った。 「一回寝たくらいで彼氏面するような男だけどね。でも俺ほど勇利を愛している男はこの世にいないよ」 「…………」 「勇利」  ヴィクトルは額をこつんと合わせた。いたずらっぽい青い瞳と視線が合う。 「俺のこと、嫌い?」 「き……嫌いじゃない……けど……」 「勇利の素直な気持ちを聞かせてくれ」 「あの……」 「後悔してないって言ってくれたよね?」 「ぼく……」 「勇利……」  ヴィクトルの顔が近づいた。勇利はぼうっと彼に見蕩れ、夢見るような気持ちでまぶたを閉ざした。ヴィクトルの首筋に腕を投げかけてくちづけを受けたら、「寝室へ行こうか」とつやっぽい声でささやかれた。 「やっぱりきみは忘れたね……」 「え?」 「いえーい! ただいまー!」 「ただいま!」  ふたりは酔っぱらって陽気になりながら、自分たちの家の扉を勢いよく開けた。 「楽しかったねえ!」 「楽しかったね」 「ロシアのお酒って美味しいね!」 「そうかい?」 「うん!」 「おそるおそる味見をして飲んでる勇利、かわいかったよ」 「ロシアの人って優しいね!」 「勇利、聞いてる?」 「リンクでもみんな親切にしてくれるし……」  勇利はヴィクトルにもたれかかり、とろんとした目で彼を見上げた。 「……でも、ぼくはこのロシアのひとがいいな!」  甘えるように言った勇利はヴィクトルの両頬をてのひらで挟み、白い歯を見せてぱっと花が咲くように笑った。 「このロシアのひとがいいなー!」 「ゆうりー!」  ヴィクトルは夢中だというように勇利を抱きしめると、「俺も勇利がいい! 勇利が好きだー!」と叫んだ。 「そっかあ」 「そうだよ!」 「じゃあ、両想いだね!」 「だねー!」  ヴィクトルは勇利をじっとみつめ、真剣な顔になり、くちびるにちゅっと接吻した。 「わあ!」 「なに?」 「わあ、わあ、わあ!」 「どうしたの?」 「ちゅーされた!」  勇利は自分の頬にてのひらを当ててはしゃいだ。 「ヴィクトルにちゅーされたー!」 「勇利にちゅーしちゃった!」  ヴィクトルも騒ぎながら勇利をエスコートし、寝室へと導いた。 「もっと仲よくしよう」 「えー?」 「もっといっぱいいろんなことしよう」 「いろんなことって?」 「えっちなこと」 「えー……」  ベッドの上でヴィクトルと向かいあった勇利は、頬を赤くし、さっきまでのはしゃぎようはどこへやら、困惑したように口元を片手で隠した。 「どうしたの? いや?」 「いやじゃないけど……」  勇利はぽつんと言った。 「何の約束もないひととそんなことできない……」  ヴィクトルはほうっと息をつき、かわいくてたまらないというように勇利を見た。 「約束ならあるだろう? 俺たち、結婚するんだから」 「あんなの冗談でしょ? みんなの前でかるく言われたことなんてぼく……」  ヴィクトルは考え深そうな目をして瞬いた。彼の熟考があまりにも長いからか、勇利はおそるおそる顔を上げた。 「……じゃあ、勇利。ちゃんと言うから、聞いてくれる?」 「ちゃんとって?」 「忘れちゃだめだよ。勇利はすぐ忘れるからね」 「待って。なんか、まじめなこと……?」 「そうだよ」 「えっと、でもぼく、こんなだし……」 「こんなって?」 「冴えないし、とくに取り柄もないし、どこにでもいるフィギュアスケート選手だし、何の経験もないし……」  しょんぼりしたように勇利の声がちいさくなっていった。ヴィクトルは勇利のおもてをのぞきこみ、「勇利?」と呼んだ。 「……でも!」  急に勇利がぱっと首をもたげた。 「でも、でもねヴィクトル!」 「うん……?」 「ぼくと結婚しなよ!」  ヴィクトルが目をまるくした。 「うんって言うなら、えっちしてもいいよ」  ヴィクトルが笑い出した。 「本当かい?」 「うん!」  さっきまで落ちこんでいる様子だったのに、勇利は酔っぱらい特有の気持ちの切り替えを済ませ、頬をまっかにし、瞳をきらきらさせてヴィクトルに言った。 「ヴィクトル、ぼくで我慢しなよ!」 「え?」 「ぼく冴えないし、とくに取り柄もないし、どこにでもいるフィギュアスケート選手だし、何の経験もないし、ぜんぜん綺麗じゃないけど……」  勇利は子どものように舌足らずに叫んだ。 「ぼくほどヴィクトルを愛してる人は、この世にいないよ!」  ヴィクトルが目のふちを赤くし、ゆっくりと瞬いた。 「だからぼくと結婚しなよ、ヴィクトル!」  勇利がヴィクトルに抱きついた。ヴィクトルは深呼吸をし、大切なものを包むようにそっと勇利を抱きしめた。 「ばかだな、勇利。俺はずっと……」  勇利が大きな瞳でヴィクトルを見た。ヴィクトルはにっこり笑ってうれしそうに誘った。 「勇利、俺とえっちしなよ!」 「うん、する!」
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