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#盛岡工業高校
uchisawablog · 3 months
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令和6年度 盛岡工業高校企業説明会
2/20(火)に盛岡グランドホテルにて、建設業の魅力などをPRを行う企業説明会が行われました。
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岩手県建設業協会盛岡支部が主催として開催され、盛岡工業高校の土木科・建築デザイン科を対象とした説明会では生徒数凡そ80人、建設業者30社が参加しました。
今回内澤建設からは若手社員2名で参加してきました。
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1回目の説明会では生徒・社員どちらも緊張していましたが、2回目以降は緊張もほぐれてきてスムーズに進めることができました。
質疑応答タイムやフリートークができるようになり、盛工の生徒さんと楽しくお話しすることができました。
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資格についての質問や1年働いてみて辛かったこと、楽しかったことなどの質問が飛び交いました。それに対しての回答を出すと「やっぱりか」「マジか」みたいな反応が返ってきて年齢が近い分話しやすかったり、リアクションとかも取りやすいのかと感じました。
今現在就職するか進学するか迷っている方、建設業に少しでも興味がある方ぜひ弊社で行われているインターンシップにご参加してもらえるとありがたいです(>_<)
インターンシップ申し込みは弊社の下記ホームページよりお気軽にお問い合わせください!
内澤建設:UCHISAWA|岩手県盛岡市の建設・土木
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jujirou · 3 months
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おはようございます。
秋田県湯沢市川連は、曇り空からパラパラと雪が降って来ました。
昨日は朝から平熱で、身体のダルさも無い感じで、息子が春休みとの事で盛岡のアパートへ行き、掃除やらアレコレを済ませて帰宅。
帰宅後、晩ご飯までは未だ少し時間が有るので、少し休んでから、一合片口縄文の口先箇所の木地拵えと、角丸めを何個か行いました。
そして昨夜のオラ家の晩ご飯は、次女が高校の授業で作った⁉︎ハンバーグ。
今日は午前中自宅で仕事をし、お昼過ぎからは漆器組合のお手伝いの予定です。
今日も無理せず、コツコツ頑張ります。
皆様にとって今日も、良い一日と成ります様に。
https://jujiro.base.ec
#秋田県 #湯沢市 #川連漆器 #川連塗 #川連 #国指定伝統的工芸品 #伝統的工芸品 #伝統工芸 #秋田工芸 #秋田の物作り #秋田の物つくり #漆 #うるし #ウルシ #髹漆 #寿次郎 #365日川連漆器 #一合片口縄文 #木地拵え #木地微調整 #オラ飯 #オラ家の晩ご飯 #個人の未来と産地の未来 #漆器のある暮らし #kawatsura #japanlaquer #JapanTraditionalCrafts #KawatsuraLacquerwareTraditionalCrafts #jujiro
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shintani24 · 29 days
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2024年4月19日
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コロナワクチン用冷凍庫、どこへ 全国約2万台 処分に動く自治体(朝日新聞)2024年4月19日
埼玉県白岡市が新型コロナウイルスのワクチン保管用に国から無償譲渡されていた冷凍庫。すぐに引き取り先が見つかった=2024年4月10日、埼玉県白岡市保健福祉総合センター「はぴすしらおか」、佐藤純撮影
新型コロナウイルスのワクチン接種を全額公費でまかなう「特例臨時接種」が3月末で終わり、国から自治体へワクチン保管用に無償譲渡された冷凍庫も役目を終えた。マイナス60~85度の超低温を保てる特殊な機種が含まれており、家庭用には向かない。自治体は譲り先や売却先を探すなど、一斉に処分に動き出した。
埼玉県白岡市保健福祉総合センター「はぴすしらおか」の廊下に9日、4台の冷凍庫がズラリと並んだ。接種を担う市内の医療機関に置かれていたが、この日、市の担当者が回収してきた。
センター内の別の場所などにある3台と合わせ、計7台が2021年度に国から譲渡された。健康増進課によると、3月までに接種を受けた市民は延べ約19万5千人。市外で接種を受けた人が一部含まれているが、ほとんどの人たちはこれらの冷凍庫で保管されていたワクチンを接種された。
特例臨時接種の終了を前にした昨年12月、厚生労働省は全国の自治体に事務連絡を出した。冷凍庫の譲渡や売却などでの有効活用を求めつつ、廃棄も認める内容だった。
市はこれを受けて、医療機関に打診したり、4月初めからホームページで引き取り先を募ったりした。その結果、冷凍庫を置いていた医療機関が1台をそのまま引き取るほか、市の農産物販売施設「しらおか味彩センター」の指定管理者や県外の動物病院などに5台を譲ることに。残り1台は、災害時の医薬品保管を念頭に市が引き続き保有する。
大瀧明志・市健康増進課長は「無事に有効活用してくれる先が見つかり、ほっとした」と胸をなで下ろした。
厚労省によると、ファイザー社のワクチン向けの超低温冷凍庫9900台、モデルナ社のワクチン向けの低温冷凍庫1万2千台を計90億円余りで調達した。全国の自治体の希望に応じて計約1万4700台を無償譲渡したほか、国が7千台余りを保有して職域接種をする企業などに貸した。耐用年数は6~10年程度。同省も国保有分の処分方法を検討している。
県のまとめでは、県内63市町村のうち、横瀬町を除く62市町村と県に、計788台が無償譲渡された。最も多かったのはさいたま市の108台。川越市45台、川口市39台と続いた。
さいたま市は、ワクチンの配送を委託した業者の倉庫に108台をまとめて置かせてもらっていた。2月に業者から見積もりを取り、川口市の中古機器業者に約58万円で売却することを決めた。4月早々に引き渡した。
県は譲渡された13台のうち1台を県衛生研究所で活用するが、12台は引き取り先が見つからず、すでに14万円余りかけて廃棄したという。8台使っていた八潮市は、市内外の研究機関や医療機関に無償譲渡する。4月中に引き渡す予定。
蓮田市は3月、ホームページで譲渡された6台の引き取り先を募った。21件の応募があり、市内の医療機関2施設に1台ずつ、県内の大学2校に2台ずつ譲ることにした。
市によると、6台中2台は一度も使わなかった。当初4台で対応していたが、故障した場合に備えて、追加で確保したのだという。担当者は「無事に接種をするために必要だったと考えている」と説明する。
さいたま市でも108台のうち数台を使わなかったという。
厚労省予防接種課は「当初、冷凍庫が壊れてワクチンが使えなくなり問題になった例があったので、貴重なワクチンを大事に使うため、自治体の工夫で予備を確保したとしても、否定的にとらえていない」としている。(佐藤純)
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744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減(共同通信)2024年4月19日
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「人口戦略会議」がまとめた報告書概要のポイント
人口減少問題への関心を高めるため、民間組織「人口戦略会議」がまとめた報告書の概要が19日判明した。2020~50年の30年間で、子どもを産む中心の年代となる20~39歳の女性が半数以下となる自治体は「消滅可能性」があるとした上で、全体の40%超の744自治体が該当すると分析している。24日に公表予定で、自治体に地域の実情に応じた対策の充実を呼びかける。
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【一覧】全国市区町村別の人口増減率
人口減少を巡っては、別の民間組織「日本創成会議」が14年に報告書を公表した。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の地域別将来推計人口を基に独自にデータ処理した結果、896自治体は10~40年に20~39歳の女性が半数以下となり、消滅の可能性があるとした。896自治体のリストも公表した。
10年ぶりの今回は、独自のデータ処理をせず最新の社人研推計をそのまま当てはめた。見かけ上は、該当自治体数は10年で150程度の減少となった格好だ。人口戦略会議は外国人住民の増加が要因で、少子化自体には歯止めがかかっていないとみている。
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湖の底に武田信玄の墓? 子どもの頃に聞いた昭和の謎「捜索」、社長が追う歴史ロマン かつて騒がれたひし形の巨大構造物は…(信濃毎日新聞)
長野県の諏訪湖、ダイバーや水中ドローンで「解明」試みる
諏訪湖底の構造物を調査
湖底に眠るは「武田菱(びし)」か否か―。長野県の諏訪湖で、1980年代に国土地理院の調査で存在するとされた湖底の構造物に迫ろうとする調査が行われた。諏訪湖に戦国武将・武田信玄の「水中墓」がある―と聞いて育ち、謎に憧れ続けた京都市の出版社社長宮下玄覇(はるまさ)さん(50)が、信州大諏訪臨湖実験所(長野県諏訪市)の元所長で調査経験のある信州大名誉教授の沖野外輝夫さん(87)=諏訪市=に協力を依頼。ダイバーや水中ドローンによって「解明」を試みた。
【動画】水中ドローンも駆使して湖底に眠る「信玄の墓」を捜索
信玄の遺骸を納めた石棺が沈んでいる―との言い伝え
87年、旧建設省国土地理院の地形調査で水中音波探知機が湖底を調べたところ、一辺25メートルのひし形の構造物があることが判明。地元ではコイの網いけすの残骸と考えられた一方、信玄の遺骸を納めた石棺が沈んでいる―との言い伝えがあり、構造物の形が武田家の家紋「武田菱」に似ていたことなども人々の想像力を刺激、信玄の水中墓では―といった見方も出た。
88年、諏訪臨湖実験所が調査し、その後もテレビ局が大規模調査を行ったが構造物は見つからず、近年は調査は絶えていた。
「諏訪湖には信玄の遺骸が眠っている」。宮下社長は幼いころから諏訪市出身の母からそう聞いて育ち、調査を特集するテレビ番組なども見た。ロマンを長年温め、数年前から沖野さんに接触しようやく実現にこぎつけた。
沖合約500メートルの地点付近を約2時間調査
14日の調査は宮下さんや出版社の社員、沖野さん以外に、関心を持った県内外のダイバー6人がボランティアで協力。諏訪市豊田からボートを出し、下諏訪町の諏訪湖博物館の沖合約500メートルの地点付近を約2時間調査した。
ロープに沿って並んで潜るなどしたものの、水の濁り��どに阻まれて視界が悪い。水中ドローンも駆使したが、かつての調査で目印とされたドラム缶も発見できなかった。
宮下社長は「このままでは終われない。次は金属探知機を使って調べたい」と再挑戦を誓った。ダイバーとして参加した塩尻市のダイビングショップ代表の清沢康成さん(50)は「何か見つかれば地域も盛り上がるし、わくわくする」。調査地点の案内などに助言した沖野さんは「また(調査の)光景が見られるとは思わなかった」と感慨深げだった。宮下さんは調査の経緯などを本にまとめ、今後出版を予定しているという。
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yotchan-blog · 1 month
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2024/4/16 7:59:42現在のニュース
偽ウルトラマンに賠償命令 中国で生成AI著作権侵害 円谷プロ「公正な判断」([B!]産経新聞, 2024/4/16 7:58:13) 青空に映える青の丘 ひたち海浜公園でネモフィラ見ごろ(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:55:22) 常陸大宮市長選 鈴木氏が再選(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:55:22) 意見集約ソフトで熊本復興支援 横浜の企業開発 横瀬で実験、導入広がる(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:55:22) 加須に子ども食堂 共同活動拠点 「居場所」拡大へ11団体連携 埼玉県内初、市が運営費補助(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:55:22) 坂戸市長に石川さん4選 「まず財政基盤しっかりと」(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:55:22) コモンエイジ:「絶対音感があります」子どもの遺伝子検査に一喜一憂 親の本音は | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/4/16 7:52:02) 南シナ海「死者出れば米の防衛発動」 フィリピン大統領 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/4/16 7:52:02) トラック運転手、残業規制でも「荷待ち時間変わらない」…「荷主の立場強い」改善申し出困難([B!]読売新聞, 2024/4/16 7:51:31) 衆院3補選きょう告示、自民は東京15区と長崎3区で「不戦敗」見通し…島根1区は与野党対決の公算([B!]読売新聞, 2024/4/16 7:51:31) 三番瀬埋める計画「ナンセンス」 市川の市民団体 人工干潟予定地を見学(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:47:31) 「おいしいし、ステージも楽しい」 流山で子どもレストランイベント盛況(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:47:31) 茂原市長選告示 現新一騎打ちに(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:47:31) 箱根の春 彩るスイーツ 31店シェフやパティシエがホテル、美術館などで一斉提供 22日まで(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:47:31) 「他の子供たちが遊んでいる間に勉強に励む」米ユダヤ系、少数派でありながら政財界に絶大な影響力([B!]読売新聞, 2024/4/16 7:45:18) 100年後、栄えるのは東京と福岡だけ 経済学者の衝撃的予測の意図(朝日新聞, 2024/4/16 7:40:36) 「自分で考え 戦争防いで」 体験者の梅津さんが講話で訴え 延命寺で慰霊の会(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:39:41) 神奈川県庁12階の飲食店募集 賃料半額も入札ゼロ 3度目(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:39:41) 目黒区長選告示 多選の是非問う 最多5人が立候補(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:39:41) 甦った校歌、高らかに 芸大 学生が「発掘」、ホールで披露 コロナ禍越え「芸術に生きる」誇り(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:39:41) 広島県の山本製作所「永久に使える洗濯機」 世界が信頼する修理保証 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/4/16 7:39:28) 機能性食品の18製品117件で健康被害報告 死亡例なし、商品公表せず 消費者庁調査([B!]産経新聞, 2024/4/16 7:39:26) 「世界のタンゲ」知る漫画完成 設計の思い、“ある1日”も丹念に(毎日新聞, 2024/4/16 7:38:03) 〈2024年度業績展望(1)〉半導体装置、V字回復へ AIやスマホ向け後押し、対中規制に懸念残る - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/4/16 7:34:07) 豊島区が若年女性支援 区内21カ所で生理用品配布 新生活の不安に寄り添う(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:32:08) 「新図書館のあり方」住民投票で 狛江の市民団体が条例制定を請求 署名4060筆を提出(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:32:08) 春の高尾山 歩いて巡ろう 100回目のスタンプハイク 20日から開催(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/4/16 7:32:08)
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kachoushi · 5 months
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虚子自選揮毫『虚子百句』を読む Ⅰ
花鳥誌2024年1月号より転載
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日本文学研究者
井上 泰至
 「恋の季題」は材料も尽きてお開きとしたが、書き物は続けてほしいとのお話だったので、『虚子百句』を私なりに読んでいくことにしたい。
 まず、本書の成り立ちや、おおよその性格を説いて、なぜこの書物を丁寧に読んでいくことにしたのか、その理由をあらあら述べておきたい。
 本書は昭和三三年、すなわち虚子の亡くなる前年の自選句集である。京都の便利堂からの依頼を受けたもので、短時日の間に選んだものであるから、本書の価値は、ある程度割り引いて考える必要はある。が、ともかくも虚子が、自分の代表作と認めた百句だったことは間違いない。
 選句の基準については、追々検討を加えていくが、まず揮毫しやすく、たびたび揮毫してきた句であったことは、序で虚子自身が明らかにしている。本書は、虚子の揮毫を写真で掲載し、五十句ずつを高濱年尾と星野立子が分担して、簡単な句の評釈をつけるという趣向のものだった。年尾の跋文によれば、虚子も事前に二人の文章を検したという。
 本書の企画を持ち込んだ便利堂は、明治二十年創業の書店兼出版社である。コロタイプ印刷機を早くに導入し、美術書の出版で信頼を得た。岡倉天心が創始し、今日でも美術史学の権威的雑誌の位置を保っている「國華」は、便利堂の図版印刷の高度な技術が遺憾なく発揮されたものである。
 四代目店主中村竹四郎は、国宝級の貴重書の複製印刷をも数々手がけ、『虚子百句』刊行の翌年には文化功労者として表彰されている。虚子の字は、それ自体が俳句文化の遺産としての価値を持つ、と認識されていたわけである。
 つまり、主役は百句のみならず、その揮毫でもあったわけで、この点には留意しなければならない。書は、運筆から句の呼吸や中心点を確認できる。同じ字であっても、楷書か行書かといった書き分けがあれば、それは句の眼目ともなる。
 一例を挙げよう。小諸市立虚子記念館に残る十二ヶ月十二句の揮毫を屏風に仕立てたものは、展示の目玉だが、「心」を詠んだ句が三句ある。
  鶯や文字も知らずに歌心 虚子
  二三子や時雨るる心親しめり 同
  我が心ある時軽し罌粟の花 同
 このうち三句目のみ「心」はきちんと楷書で書かれ、他の二句はややリラックスした崩し字となっている。三句目は愛児六を失った悲嘆の中で詠まれた句だからである。書道家に聞くと、「心」の字のバランスは、筆をとる者の「心」を反映するのだと言う。
 こうした鑑賞の醍醐味も『虚子百句』にはあることが、当然予想される。年尾の跋文によれば、この頃の虚子は眼が弱って、それが字に出てしまっている、という。確かに、青年期・壮年期のそれから比べ、運筆の力や字配りを焦点化する眼の力の衰えは隠せない。それでも、修練とは凄いもので、序文の虚子自身の言によれば、百句の大方は一、二時間で揮毫してしまったというから驚きである。字の味わいも、私の能力の範囲で解説を試みたい。
 本書の構成は、春夏秋冬・新年の部に分かれ、各部の句の配列は、成立順となっている。従って明治・大正・昭和と万遍なく句が拾われている。『百人一首』が古典和歌そのものの粋であり、歴史でもあるように、『虚子百句』も虚子の句業の入門書にして到達点でもある。これが本書を読む何よりの理由である。
 本書の装幀を担当した福田平八郎(一八九二〜一九七四)についても、簡単に触れておこう。虚子との縁は、『虚子京遊録』(昭和二三年)『喜寿艶』(昭和二五年)に続き、これが三度目である。  大分出身で、上村松園や竹内栖鳳も出た京都市立絵画専門学校を卒業。京都日本画画壇で重きをなす。トリミングやデザイン感覚に秀で、書物の装幀も得意とした。『虚子句集』の竹の絵は、自家薬籠中の画題であったと考えられる。
 本書は二〇一〇年、岩波書店から復刊された。解説は東京大学教授であった、日本近代文学専攻の野山嘉正が担当した。
 最後に一言。平成期、伝統派で、虚子句の解説つき選集といえば、稲畑汀子氏の『虚子百句』が定番だった。虚子自身の選句とは違ったところに新味を出した素晴らしい本だが、時に稲畑氏らしからぬ、非常に硬い内容と文章の評釈があるのは惜しい。この連載は、あくまで虚子の自選に立ち戻り、虚子句の成立事情と、選句の背景を平易に語ることに徹したい。ただし、この自選句集の性格上、私の虚子観・俳句観が問われることは言うまでもない。
1 美しき人や蚕飼の玉襷
 初出は明治三十四年四月三十日の新聞『日本』。季語は「蚕飼」。蚕はふつう四月に孵化して繭籠る。
 初出では「蚕」の題で内藤鳴雪・坂本四方太・河東碧梧��・佐藤紅録らの各三句も載る、題詠句である。虚子の他二句は〈蝋燭の灯影に白き蚕かな〉〈蚕飼ふや年々ふやす桑畠〉。『新歳時記』にはこの句を採用せず、写生句らしい〈逡巡として繭ごもらざる蚕かな〉を載せたか。
 蚕は食欲旺盛だ。食べ残した桑やフンは蚕網(さんもう)を使って取り除く。蚕は眠る。睡眠と脱皮を四回ほど繰り返して成長すると、絲を吐き始める。ここで蔟(まぶし)という仕切りのある箱に移す。繭籠らせるのである。絹糸を吐き、繭を成す様は、実に神秘的だ。春の陽が漏れてくる中、吐き出されたばかりの絹糸は光そのものである。この過程に、ひと月ほどはかかる。
 蚕網をかけ、桑を与えると、蚕は網目を通り上にあがる。蚕網の下は蚕のフンと桑の食べ残しが残る。網を上げると、蚕とフン、食べ残した桑の分離ができる。蚕の成長に合わせて網目の大きなものへ変えながら使用する、といった具合である。丁寧さと経験が要求される女性の仕事である。
 養蚕は、明治期日本の主要産業だった。欧州では産地の南仏で病害が発生し、需要が高まったのである。巨利を成した者も多い。出荷は横浜が多かった。
 女性は襷掛けで、髪も縛る。明治期の浮世絵等を見ると、襷の色は赤が代表的である。かの富岡製糸工場では、技術のある女工は赤襷をして周囲から尊敬されたという。
 国を挙げての養蚕業振興を宮中も率先して奨励し、皇后美子が手ずから養蚕を行い、浮世絵などで宮中養蚕が喧伝された。皆赤襷で、髪はおすべらかし、すなわち、後ろでまとめた髪に「長かもじ」を継ぎ、水引や絵元結などを掛けて、長く垂らしたのである。
 結髪の問題にこだわったのも、襷掛けの女性は、皆髪を結ったり、挙げたりして、うなじがあらわになる点が一句の焦点だと考えるからである。つまり、「美しき人」の美しさの拠って立つところは、「襷」に暗示される、黒髪と白いうなじだったのだ。
 「玉襷」という言葉は、『万葉集』以来ある言葉で、これ自体一種の神々しさを醸し出す。『虚子百句』の評釈で、年尾が宮中養蚕を詠んだと解したのも一理ある。しかし、もっと重要なのは、「玉襷」は「うなじ」の連想から、大和の畝傍山を呼び出す決まり文句だったことの方である。謡曲の「恋重荷」に用例がある。虚子がこれを知らないはずはない。
 蚕と繭の「白」と、後れ毛を残したうなじの「白」の連想が、この女性の「美し」さを支えるものだったと考えたい。虚子は、和装の女性の髪にはかなり執心した。
 「まあ旦那でいらしつたんですか。どなたかと思ひましてね。お断り申しましたですけれど何だか気になりまして、一寸御挨拶だけに。どうも姉さん有難う。姉さん有難う」と二人に挨拶して末座に坐つたまゝ一寸こぼれた鬢を掻き上げる。
 小光は総髪の銀杏返しに結つてゐるのが仇つぽくて、薄つすらと白いものゝついてゐる額の広々としてゐるのも美しい。 (『俳諧師』)  小光のモデルは、女義太夫の竹本小土佐で、虚子は彼女の語りがかかる東京中の演芸場へ出かけ、追い回したのであった。虚子の眼裏に焼きつけられた美しさは、挙げた髪やこぼれた鬢にあった。
 谷崎潤一郎も言っている。女性美の焦点は首だと(『陰翳礼賛』)。和服で身体が露出するのは、首・手先・襟足だ。首は細く長くなければいけない。「猪首」という言葉を想起すればよい。肌は白くなければいけない。そこにうなじの後れ毛が色気を呼ぶ。
 「玉襷」はその呼び出しであり、それは説明しないことが肝要だから、「美しき」とだけ冒頭に置いて謎を掛けた。だから、『喜寿艶』でも、この句については、木で鼻をくくったような説明しかしていない。
 完全な主観句で、実際にそういう女を見たのか、絵の中の女か、記憶の中の女か、そんなことはどうでもいい。小説家志望で主観派が本質だった虚子らしい、冒頭の一句なのである。『虚子百句』は『新歳時記』のような教育的意義を取り払った、「作家」虚子の選集だった。
___________________________
井上 泰至(いのうえ・やすし)   1961年京都市生まれ 日本伝統俳句協会常務理事・防衛大学校教授。 専攻、江戸文学・近代俳句
著書に 『子規の内なる江戸』(角川学芸出版) 『近代俳句の誕生』 (日本伝統俳句協会) 『改訂雨月物語』 (角川ソフィア文庫) 『恋愛小説の誕生』 (笠間書院)など 多数
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milehighdad · 11 months
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Daiju Nomura (#55 Softbank Hawks 2019-). Softbank Hawks 6-10 Yomiuri Giants. 6/10/2023. Pay Pay Dome. Fukuoka Attendance 40062.
野村 大樹(#55 ソフトバンクホークス 2019~)。 代打。1打数0安打。 早稲田実業高校。2018年ドラフト3位。 2023年成績:41試合出場、打率.216,1本塁打,4打点。 ソフトバンク・ホークス6−10読売ジャイアンツ。 福岡、ペイペイドーム。観客40062人。大盛り上がり。 30年以上ぶりの日本のプロ野球観戦。
福岡ソフトバンク・ホークス。 2023年成績、71勝69敗。リーグ3位。ファーストステージで千葉ロッテマリーンズと対戦、敗退。オリックスがリーグ優勝。阪神タイガースが38年ぶりの日本一。2024年から小久保裕紀監督。
優勝:2011,2014,2015,2016,2017,2018,2019,2020。 ダイエーホークス。日本一1999,2003。リーグ優勝2000。 2021−2023はオリックスが3年連続リーグ優勝(日本一一回)。 監督:藤本博(2021−2023)、 歴代監督:王貞治(1995−2008)、秋山幸二(2009−2014)、工藤公康(2015−2021)。小久保裕紀(2024~)。 2016年は大谷翔平のいる日本ハムに敗退(2012年以来の日本シリーズ。25年ぶりにリーグ優勝した広島カープに勝ち、2006年以来、10年ぶり3回目の日本一)。
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6bfok · 9 months
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2023年08月30日(水)笠原裕介はこんなことをしていました。
◯04:35〜:46 居室で使用した珈琲ビーカーマグバスケットと取っ手付きマグカップとステンレスティースプーンを調理場ステンレス槽流し台で、
ザ ·ノースオイングランド P&I アソシエーションリミテッド ソフトスポンジにヤシノミ(R)プレミアムパワー(R)台所用洗剤 u.s0.0139oz(0.411ml液量)
吹いたスポンジを泡立て洗い、自在水栓蛇口上水道水600ml液量の点滴開き桶ありですすぎする手洗いスポンジ洗浄すすぎ。
◯上水道水400ml液量、挽いた珈琲豆5Gram、珈琲ドリップ。
◯04:48 浴室で浴槽ユニットの浴室排水穴に向けて、浴槽の残り湯115Littreから900mlを排水口に流して排水。
◯05:02〜07:06 満充電した。XIAOMI(R)Redmi(R)Note 10 JEを機器を電源オフし、バッテリーの残り13%から始めた。
◯05:28 浴槽に花王(R)ふろ水ワンダーを1包入れて、清浄した残り湯を���日は、手洗いと灰皿洗いに使います。
◯05:29〜:32 可燃ごみ専用大型ポリ袋に入れた分別可燃ごみの排出物を、今日が指定日です、鉄かご集合集荷ボックスへ。
◯05:33〜:34 トイレ掃除に使う、マツキヨトンボさん7.5Littreポリバケツを、浴槽清浄済残り湯を手桶で流してすすぎ、汲んだバケツ
6.95Littreの洗浄水をポリバケツに汲み、汲んだポリバケツの水を脱衣所にオカザキミニタオルを敷き、その上、
その中に5分間清浄漂白水汲んだバケツの水で、CeFiONtect(R)洗面台花王(R)ホワイト石鹸とふろ水ワンダー清浄水残り湯
850ml液量で手洗いスポンジ洗浄すすぎした。
◯06:04〜:14 枕元にライテックHiHi携帯吸い殻入の吸い殻をデスクトップテーブルの上でトイレットペーパー2切1枚2組を敷いて並べ、
灰皿の吸い殻や灰を並べたトイレットペーパー上に逆さ向きにこぼしてトイレットペーパーで包み、灰とトイレットペーパーで包みした
包みカスをセロハンテープで留めて渡辺金属工業HiHi吸い殻入に捨てた。
ライテックHiHi携帯吸い殻入と調理場からピュアベーキングソーダの袋とポリバケツのふろ水のワンダー清浄水をバケツに持ち、
庭の流し台に持ち出して、使い捨てハブラシ1本で、重曹5Gram、ライテックHiHi携帯吸い殻入1コに3度に分けて都合1.26Littreの
清浄水を点滴入れつつ、バケツを汚さないように姿勢して、HiHi吸い殻入洗い、のち僕は100ml液量上水道水手洗い。
ポリバケツには、4.24Littreのふろ水ワンダー清浄水残り湯を残し、その残り湯を手桶で600ml液量と
花王ホワイト石鹸で、CeFiONtect(R)洗面台で手洗いした。
洗いましたライテックHiHi吸い殻入は、居室保管2切1枚2組のトイレットペーパーで拭き上げ、水アカ拭った。
◯06:58 Amazonデジタルミュージックで配信曲 DEAMS COME TRUE - LAT43°N 250円をPayPay銀行visaデビットで1曲の購買
◯06:59〜07:02 北側トイレ室でお尻拭き紙トイレットペーパー3切1枚2組で排せつ大便の用をした。
◯07:03〜:04 ポリバケツから手桶で4.24Littre残りのふろ水ワンダー清浄残り湯から590ml液量を汲み、花王ホワイト石鹸手洗い。
◯08:17〜:27 食事飲食した(白御飯一杯盛膳、じゃがいも玉ねぎみそ汁スープ、極小粒納豆)
キッチンステンレス槽流し台で茶碗食器と汁椀食器と箸をザ ·ノースオイングランド P&I アソシエーションリミテッド ソフトスポンジに
ヤシノミ(R)プレミアムパワー(R)台所用洗剤 u.s0.0139oz(0.411ml液量)吹いてスポンジを泡立て洗い、
自在水栓蛇口上水道730ml液量の桶点開きで手洗いスポンジ洗浄すすぎしました。
飲食後にサワイ製薬リスペリドンOD錠3mgを飲んだ服薬をした。
◯昨日、僕は、バスタイム入浴8Littreの桶都度水で、下着やソックス洗いやスプレーの藤洗い、入浴体のアカを取りました。昨日は、母上ひとりが浴槽半身浴した。
使って残り湯清浄済み107.2Littreの水に入浴剤足し、バスタイム準備をします。今夜の父上の気前で湯を捨て払うことあり。
([email protected] Au by KDDI XIAOMI(R) Redmi (R)Note 10 JEで送信 2023年08月30日(水)10:08:45)
2023年08月29日(火)14時 から 2023年08月30日(水)10時までの我が家の使用上水道料は、0.505立方メートルでした。
2023年08月30日(水)10時時点の我が家の水道メーター計測器を僕である豊岡高等学校普通科卒業者の誠実数値読みは、775.905 です。
2023年08月24日(木)18:49 ベルーナ(楽天市場) ベルーナ 50代メンズ紳士大人  40代 メンズファッション メンズライフ ラフスーツ カジュアル スーツ あったか 春<ビバリーヒルズ・ポロクラブ> 購買のサイズ 股下65cm,LL, グレー 2点 8,778円 送料209円 計8,987円(楽天銀行JCBデビット) 購入の用途 ”内祝い”
2023年08月30日(水)11:27 ベルーナから配送荷物を佐川今井急便より、妹あいが子煩悩手勝手サイン受け取り代理した。同時刻笠原裕介決済購買者本人が受け取りした。
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momokomatsu · 1 year
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2019
12/19 Thu 午後クラ!~木曜日午後のクラシックコンサート~ @パレット柏 オープンスペース 共演:東山桃子
12/17 Tue 第158回港北童謡の会 @横浜市港北公会堂 共演:柴山秀明
11/28 Thu 午後クラ!~木曜日午後のクラシックコンサート~ @パレット柏 オープンスペース 共演:松原千紘
11/20 Wed 佐野成宏先生門下発表会 @めぐろパーシモンホール 小ホール
11/16 Sat 野田ヒロ子先生門下勉強会 ※closed
11/11 Mon ベルカントオペラフェスティバル イン ジャパン2019 ベルカント・コンサート~“オペラ・ストゥーディオ”受講生による~ @昭和音楽大学南校舎ユリホール 共演:マスタークラス受講生
10/14 Mon 秋と冬のあいだのコンサート vol.2 @岩手銀行赤レンガ館 共演:藤田英璃奈、菊池未来
9/14 Sat グレースメイト目白敬老会 ※closed 共演:加藤美帆、佐藤慈雨
8/25 Sun 第6回駒ヶ根高原音楽祭オペラマスタークラスコンサート @駒ヶ根市文化会館 共演:マスタークラス受講生
8/20 Tue 第154回港北童謡の会 @横浜市港北公会堂 共演:柴山秀明
7/16 Tue 第153回港北童謡の会 @横浜市港北公会堂 共演:柴山秀明
6/26 Wed 板橋区立防衛協会定期総会懇親会 ※closed 共演:広沢孝美
5/23 Thu 午後クラ!~木曜日午後のクラシックコンサート~ @パレット柏 オープンスペース 共演:tottoki
5/21 Tue 第11回国際シニア合唱祭 ゴールデンウェーブin横浜 @横浜みなとみらいホール 大ホール 共演:港北合唱倶楽部「華の会」
5/14 Tue 第151回港北童謡の会 @横浜市港北公会堂 共演:柴山秀明
3/4 Mon 第1回森林美妃と仲間たちによる「ときめき音楽会」in仙北町 @暮らしの保健室もりおか 共演:森林美妃(五日市田鶴子)
2/22 Fri 盛岡市立河南中学校卒業生ミニ・コンサート ※closed @盛岡劇場メインホール 共演:竹内菜緒
2/17 Sun ざ・CLASSIC2019 @岩手県民会館 中ホール 共演:松井亜希、関口直仁、工藤和真
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johncoffeepodcast · 1 year
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ティエリの結婚
 晴れた日に洗濯物を自転車のカゴに入れて、公営の洗濯場に行った事がある。その日、その青年は家で洗濯物を干す時間が勿体ないと感じた。だから洗いざらしになった洗濯物を隣の家のご婦人に預けに行ったのだった。この青年の場合は一枚一枚手で、丁寧に洗って物干し竿に干していると、日が暮れてしまう。太陽が山の向こうに沈み込むまで、昼のうちは一生懸命働いているので、3度の炊事に加えて自分の洗濯物を洗うとそれ以外の事には手を付けられなくなってしまうのだった。だから膝をついて土埃を含んだズボンが去年の冬に編んだカゴの中に随時3本は溜まっている。この青年の日常は馬の世話で忙しく、陽が高いうちは厩戸にこもりきりなので、夕方、隣と軒を連ねる長家に帰ると、あとは眠るだけだった。1週間ぶりの休日に洗濯場で汚れた衣類を洗うと、掌出来たきり一向に治る気配のない切り傷の存在に気づくのだ。この青年の家で大量の洗濯物を干すには、ベランダの物干し竿が短すぎるし、長さも足りない。全て洋服をかけるには、隣人の家に持ち込む他に方法がなかった。それに、この青年が隣の家に洗濯物を預けに行く本当の理由は、単に2階のベランダが狭すぎるというだけでは無い。隣に住む、美しい娘に会えるからだった。この青年は自分の洋服を洗う。という行為に幸福を感じているし、労働後に疲労感を携えて家を清潔に保っておくのも好きだった。この一見素晴らしい青年の肌は浅黒く。この地域では珍しい彫りの深い顔をしている。青年は、都市で起きた弾圧を受けて片田舎にやってきていた。
 情勢は常に不安定だった。この土地には古典派と新鋭派の教会があって、それまで優勢だった古典的の教会は、武力を使って新しく出来た新鋭派の繁栄を抑えようとしはじめていた。戦火が日に日に増してきて、命の危険を感じた新鋭派の人々は、都市から離れ、田舎に租界をする様になった。このティエリという青年は、元々都市で馬を育ていて、父親は馬の鞍を作ったり、荷役の馬を移動手段として誰かの手に引き渡す仕事をしていた。大都市では新鋭派の人々は迫害され、新たに流れついた土地では元々暮らしていた人々と新たに流入してきた人々の間では新しく軋轢が生まれた。流入者は酒場の暗がりに連れ込まれると、秘密裏に粛清が下される事もあった。この青年が流れついた先でも、先例に違わず新たに流入してきた人は差別的な略称で呼ばれる様になった。流浪の民は様々な呼び名で呼ばれ、通常最も多い呼び名だとボニシェリだとか、ケラントマなどという俗称で呼ばれた。しかし、その様な流浪の民も、田舎がまだそれほど強く教化されていない事に気が付くと、融和を求める先住民族に対して、自分達の誤解を晴らす為に元々住んでいた場所の料理を振る舞った。新鋭派の言い分は、水辺で採れた鴨肉のローストや、戸棚にずっと置いてあったワインと共に、人々の体の中に流し込まれた。都市から離れた田舎では、新鋭派と古典派の間で徐々に融和が進んだ。新たに流入してきた人々は、経済的に貧しく依然として蔑まれていた存在だったのだが、辺鄙な土地に行けば行くほど徐々に土地は平和になっていった。それからと言うものの、融和が進んだ田舎の人々は、実権を握る教会に対抗する様に首領都市に伝道師を送り込む様になった。それでも新たな土地に受け入れられなかった人々は、流れついた土地の外で森を切り開いて新たに文明を作って暮らした。ティエリという青年は、都市で家族を失い、一度叔母さんのいる地方都市へ預けられた後、最近16歳になった。この青年は最近、酒場で人々を家まで送っていく馬の世話をする仕事を見つけたのだ。
 隣のアパートに暮らす美しい少女の名は、ウディーネといった。彼女はまだ学生だった。この時、中等教育を受けられる16歳ぐらいの少女は限られた家に産まれるか、とても裕福な家業を起こしている者だけだった。それも大地主か、医者の娘か、鉄道を建設する会社に勤めている人に限られた。畑を耕す傍らで小売や製粉業を営んでいる零細農夫たちは、教育を受ける機会を得られない。この地方にはガラスの天井のような物が存在した。その狭き門を通り抜けたウディーネは、あと一年で中等教育を納めようとしている。ウーディーネはとても優秀で有名だった。ウディーネの父親は坑夫で、母親はワインの製造に携わる家庭の娘だ。ウディーネは庭の手入れや家の手伝いの合間で机に向かい、初頭教育を受けた時、学力テストで全県で一番になった。それからは地域の人々からも初の女性医師になるのでは無いかとロレーヌ県全体から噂される事になったのだ。普通ウディーネぐらいの歳の少女は、初頭教育の学校を卒業すると、地元のブドウ畑に送られて、寒空の下枯れた蔓を素手で折り、収穫して干され、萎んだ葡萄を荒れ果てた桶の中で詰ま��くてはならなかった。それからぶどうは、踏んで果汁を搾り取らなくてはならない。なので葡萄畑で働く少女達はスカートの裾から染めあげられて真紅色の素足になってしまう事が多くなってしまうのだ。だから娘達は、自然と編み上げのロングブーツを履いている事が多くなった。この地方の人々は一年を通じて生きる為にワインを作らなければならない。それはロレーヌ県では当たり前で、同級生が畑で働いている間、学校に通えているウディーネはみんなが憧れる存在だった。実際、ウーディーネが暮らす家も、この青年と居を隣合わす貧しい長屋だ。しかしそんなウディーネが何故、労働者階級に生まれついたのに中等学校に通えていたのかと言うと、ウディーネは去年、初等教育学校を卒業する間際に母の働くブドウ畑で、葡萄を潰してワインに瓶詰めにする最適な方法を見つけ出していたからだった。ウディーネは自分が発見した方法を、大人に臆する事なく畑で働いている全員に教唆した。ウーディーネはその功績を県の農務局から認められ、助成金で学校に通う事が出来ていたのだ。
 ロレーヌ県はフランスとドイツの間にある山岳地帯だった。山に沿って傾斜のある丘陵は、陽がかげると寒く、氷柱が垂れ下がる程街中が冷え込み、山陰から太陽が高く昇る12時ぐらいになればやっと暖かい日差しが街の上に降り注ぐ。それは荒涼とした空気の中、葡萄の幹を冷たく霜がつく程に厳しい風が撫で下ろした。岡から見下ろすロレーヌの街は、緑やオレンジ色で彩られていた。家屋の屋根は主に淡いオレンジ色の煉瓦で出来ていて、灰色の石畳で出来た道路と調和して、うまい具合に植え込みの草花と混じり合っている。2人が隣り合わせに暮らす長家は、農耕地の多い街の端っこにあった。その辺りは扇状地になっていて、ティエリが働く酒場や、ウディーネが通う学校は、街の中心部にあった。中心部の商工会議所の前には馬車が泊まる停泊所があって、その隣にウディーネの通う中等学校が建っている。学校の近くには、税務署や警察署、酒場や市場、それに市役所などが全て同じ一角に集っていた。ロレーヌの街は古典的な教会を中心に広がりを見せ、人々が各々得意な事業を営む事で何とか豊かさを育む事が出来ている。ティエリが来る前のロレーヌは、農業が中心の山岳地帯だった。この土地は新しい人々の流入によって最近産業が盛んになってきたのだ。新しく流入して来た人が来る前は、畑から採った作物を自分たちでロバを操って運び、移動手段として誰かが馬を携えて馬車を引かなくてはならなかった。しかし新たに流入者が来た事で、大規模な商業者達は大量に彼らの様な金銭を得る機会を得たい人々をすぐさま雇い入れた。代替的な産業の効率化はどんどん進んだ。新しく来た人々はそのような事情を加味する事なく、日々をこなし、地主や鉄道の経営者はその利潤を自分や社会の為に使った。新しく来た人々はそんな事よりも、飯を買う為のお金を懐に入れなければならなかったし、新しく生活を初める初期設備を揃えなればならなかった。そのような事が繰り返されて、街は徐々に栄えていった。ティエリの酒場が開くのは午後5時だ。ティエリは畑の側の厩戸から、数頭の馬を率いると、自分の馬を酒場に向かって走らせた。この青年の馬は毛並みに艶があって品が良く、筋肉が力強く張り詰めている。馬の蹄鉄が石畳を踏み締めると、長い立髪が風の様に頭上で靡くように震えている。この青年は毎日、酒場への道の途中にウディーネの学校に寄った。門の外でウディーネの帰りを待つ青年は、中等学校が終わったウディーネを見つけると、青年は手を振った。『ウディーネ。』青年は門の外から呼びかけら様にして言った。ウディーネは革の鞄を前後に揺らしながら、校門の外にいる一頭の馬に近づいてくる。ウディーネは、青年から馬の手綱を預かった。『今から酒場へ行くの?』とウディーネは青年に尋ねた。青年は頷いた。『今日はいつもより多くチップを貰えると良いわね。次に会えるのはいつ?明日?』『明日もこの時間なら会えるかな。』と青年は半ばそっけない感じに言った。『じゃあ今度うちに来た時には私の家族と一緒に食事でもとりましょう。良いわね?私が聞いたのは、洗濯物が溜まって、家に尋ねに来てくれた時。いつもの様にそそっかしく帰らないで。』ウディーネはティエリに言った。ウディーネは、ティエリが何か見当違いをしていると勘ぐった。ティエリは2本の手綱を持って、馬の鼓動を確かめる様に下腹に手を当てている。馬の鼻から息を吐かれると、ウディーネも黒い目の馬の胴体をさすった。それからウディーネは、編み込んだ長髪を揺らしながら、黒い馬の背中によじ登る様にして跨った。ウディーネはスカートをたくし上げ、鎧の鞍に足を掛けると、脚の内側で馬の胴体を締め上げる。馬は息を吐きながら唇を震わせて、ゆっくりと前に歩き出した。ウディーネは編み上げのブーツを馬の尻に当て、その合図で馬が走り出すと、馬は土埃を跳ねあげて石畳を走り出した。街の人々は、そんなウディーネの姿を見かけると男勝りな変わり者。だとか、学校に通い勉学に励む変人。など様々な噂話を街角で繰り広げたりしたが、ウディーネ当人はその様な風評を全く気に留めていない様だった。
 ティエリは厩戸から2頭の馬を率いて、馬を酒場の外にある停泊場に繋いだ。停泊場にはウエスで黒い塗料がかけられており、過敏な馬にとってはそれがどの様に作用するのか気掛かりだった。ティエリは酒場の両側に開く跳ね扉を開けると、すぐに酒場の主人が配達されて置いてある酒瓶のケースを貯蔵庫へ運ぶように言いつけた。ティエリは夕方の5時から夜の11時まで働いている。現在は週に5日、酒場に届けられた物を食物庫に運び入れ、数時間後に酔っ払いが帰路に着くため丸テーブルの椅子から立ちあがりだしたら、馬車を運転して送り届ける運転手として主人の酒場で働いている。酒場の主人はティエリが亡命してきたときにロレーヌの地で最初に出会った人物だった。まだこの街に来たばかりのティエリが、まだ何処へも行く当てが無く、3週間ぐらい続けて寝床の酒場のカートンケースに隠れて路肩でうずくまって北風を凌いでいると、主人が鍵をベルトから下げてティエリの元へやってきた。主人は店を開ける素振りを見せると、カートンケースの横で蹲るティエリの様子を眺めた。店主は店の中から戻ってくると、片手に鍋から掬い上げられた牛のスープを持っていた。ティエリはそれが実に2日ぶりの食事だった。『美味いか?』と主人は聞いた。そのスープが再び立ち上がる気力を繋いだのだった。『明日からもっと良いものが食べれるぞ。』と主人は煤だらけで寝そべるティエリに言った。『その為には、ここで働く事だ。』その瞬間の青年の目の輝きを店主は決して忘れたりはしない。スープを貰った次の日、その青年は何処かから3匹の馬を連れて店主の酒場にやってきた。店主は馬を持っている青年の姿に驚きを隠せない様だった。携えていた3匹の馬は、都市の戦果を切り抜けて青年共々傷だらけ。青年は酒場の主人に黒毛の馬と茶色い馬、茶色と黒の混血の馬の存在を告げた。馬はブルブルと頭を前後に震わせて、汗で濡れた立て髪から湯気を上げている。酒場の主人は傷だらけだが、この様に立派な馬を見るのは初めてだと目を丸くして呆気にとられた。それから流浪の民の青年は、『この馬と共に、私に何かできる事はありませんか?』と主人に対して請願をしたのだった。
 元々この青年は、都市で馬の鞍を作っていた。青年は、争いが激化すると自分が世話をする馬の中から最大限の無理をして8頭のうちの3頭だけを引き連れて都市から逃げてきていた。それからは酒場の前で寝ていた時も、長屋に落ち着いてからも、毎晩、夢の中で残こして来てた馬の事を考える様になった。酒場を営む主人は青年に話しかけてくれた命の恩人というだけでなく、親切な事に、ティエリの住居が決まるまで身の廻りの世話を焼いてくれた人物だった。ティエリが店を手伝出してからは、次の住居をどうするのかよく店主に相談をしていた。青年が働きだしてからしばらく���ったある晩。酒場の主人の親友、ウディーネの父が酒場に南で取れた椰子酒を飲みに来た。その時、主人は青年が馬車に乗っている間、ウディーネの父親に流れ者を匿っている事を相談したのだ。ウディーネの父親は周囲を見回して、自分は違う事を考えていると言う振りをした。ウディーネの父親は、椰子酒をもう一杯飲み干した時、口が緩んだのか自分の住む長屋の隣が空いている。という話を酒場の主人に報告した。酒場の主人は、すぐさまティエリにウディーネの父親を紹介した。食料の貯蔵庫から出て来たティエリは、住める家があるかもしれない。と言う事を主人に伝えられると『屋根があるなら何処でも良いです。本当にありがたいです。』と食い気味に言った。その時、ウディーネの父親は眼を丸くして、青年の事をつま先から舐める様に見渡した。ウディーネの父親も酒場の主人と同じく、3頭の馬を携える褐色の肌の青年を初めてだった。『有り難いです。』とティエリはもう一度念を押すように言った。ウディーネの父親もティエリが食い気味に来るので、若干圧倒された様だったが、戦乱を免れてきた深刻な事態を飲み込み、快い返事で承諾をした。その様な流れで青年はウディーネの住む長屋の隣に引越して来たのだ。だから青年は酒場の主人に温情を感じている。青年は毎日、届いた酒を酒場の貯蔵庫に持って行く際、自分が此処に寝泊まりしていた時から感じていた先行きの見えない不安について思案した。酒場に客が入り始めてからは、店の外に立って酔っ払っいが出てくるまで辛抱強く吹き下ろされる北風の寒さに耐え忍ばなければならなかった。青年は最初の給料を馬にかけるキルティングの衣装と、ブランケットに変えた。それからは馬も、馬車の後ろに乗せた酔っ払いの臭気を一見気にしていない素振りを見せた。馬も青年も、今出来る唯一の事は馬の健康を守る事と、スープを恵んでくれた恩人の施しに報いたいと言う事だった。青年は送り届ける街の人々の家を覚えた頃、この土地にすっかりと溶け込み始めた。
 酒場にはティエリと店主以外にもう一人ティエリによく話かけてくれる人が居た。それは眼鏡をかけたシンディという女だった。酒場に来る役人はすぐに分かった。特に若い役人は綺麗な衣類を身につけていて、ウェイトレスの娘をからかうからだ。しかし彼女はウディーネと同様にそんな事など気にしない。ロレーヌの男達は、大概そういうものだし、シンディというウェイトレスの女は客が全員帰った後、店のカウンターの片付けをしながら、その場でエプロンの前ポケットに挟んだ自分の取り分のチップを数えるのが日課だった。『自分の強さを誇張する為に、誰かを貶めなければ役人の試験には受からないのよ。』とシンディは言った。シンディは度々手をタオルで拭いては、冗談を交えては、樽につけられた皿洗いながら、その時居合わせた従業員と共に笑っていた。ティエリはシンディの事を尊敬している。シンディの様な芯の通った女性が何故ロレーヌには産まれるのだろうと青年は考えた。酒場のテーブルに椅子をひっくり返しながらその胸の内をシンディに打ち明けた所、シンディは『知らないわよ。』と言った。シンディは『そんな事をいちいち気にしていると、人生が悲観的になるわよ。』とティエリに言った。シンディは誰からも頼られる人物だった。実は昨日、ティエリが酒場の看板を閉まっている時にシンディに『実はウディーネは、中等学校に通っている。』と勇気を振り絞って告げてみた。するとシンディは、その時もウディーネに対して卑屈な意見を述べなかった。代わりに『良いんじゃない。』と言って、シンディはエプロンの腰紐をキツく結んだ。シャツの袖を仕事で出来た力瘤がせっせと食器を運び、戸棚の中に仕舞われている。シンディは今、炊事場で水道から冷水を客がミートローフを食べ終えた鍋に当てている。泡立てた束子で皿を洗いながら、シンディはティエリに聞いた。『あなたはそのウディーネという人の事をどう思ってるの?』『どうもこうも。』と青年は答えた。『私に何か言って欲しいんでしょ?』ティエリは一瞬、返事をするのを躊躇った。『それがこの先、きっと結果いい結果をもたらすかも知れない、とかきっと貴方は考えているのよ。』『そうだ。』『だからもう、その子の事が気になっているんでしょ?あなたは違うって言いたいのかも知れないけど、何故か貴方の耳が赤くなっているのが顔を見れば分かるわよ。』揶揄われた事で恥ずかしくなったティエリは、いそいそとシンディのいる台所に入り、わざとらしく脅かした。皿を洗う事に夢中になってワッと驚いた。シンディはティエリに対して『馬鹿ね。』と嘲るように言った。
 月曜は朝から馬の世話をした後、畑で育てた作物を酒場に届けた。その日は朝からから馬具を取り付けて、鎧の位置を調節してそれぞれ合った馬具をあつらえたりした。3頭の馬はどれも肉の付き方が三様に異なる。黒い馬と茶色い馬と、混血の馬には其々にトラウマがあり、馬車に乗客を乗せて、ゆっくり馬車を引いていく事に慣れるまでには随分と時間がかかった。それから3頭の馬には、鞍とあぶみが背中からずれない位置に設置した。青年は普段から馬にストレスをかけないような世話をする事にしたのだ。昼にウディーネの住むアパートに出向いて、昨日貸した馬はどうだったのか乗り心地を尋ねたところ、『跨って、走っても大人しくて静かな馬ね。』と馬達の歩行を褒めた。今日のウディーネは、まるで何処かに行くのかとでも言う様に、着飾っていた。赤いチェックのスカートに緑のブラウスと、ブロンズの長い髪が澄んだ青い目を際立たせている。青い目はティエリと馬を見つめた。『今日は学校は?』と青年が尋ねると、『今日は休み。』と言った。ウディーネは今から何処か行かない?と言いたげな感じだった。それはまるで予期されていた事の様に、玄関のすぐ外では茶色い馬と、昨日ウディーネが乗ってきた黒い馬が立っている。ウディーネはティエリが厩舎から乗ってきた茶色い馬の様子を眺めた後、『疲れてそうだから休ませてあげたら?』と馬の様子を観察して述べた後、青年の返事を待った。青年はウディーネの背後に見える家の廊下の若草色の壁紙や、雉の絵柄が書かれている鍵置きのテーブルを眺めている様だった。『これ?気になるの?』ウディーネは鍵置きのテーブルの上に載ったブリキの剥製を指し示す。ティエリは、そうだ、何処か出かけようか、と機転を気掛けせて言いかけたが、ウディーネはティエリがインテリアに眼をとられている事を察すると、紅潮した表情を浮かべて家の中に入る様に誘った。ティエリは玄関の外でブーツを叩いて土埃を落とし、二階へ登る階段を上がった。狭いウディーネの部屋には、絨毯の上に読みかけの本が置かれていた。ウディーネは何処でも自由に座る様に言った。ティエリはこの日、初めてウディーネの家に呼ばれることになった。
 ウディーネの部屋は落ち着いた黄色い壁にクリーム色のカーテンが掛かっている。ウディーネは何処から出してきた小さな折り畳みのテーブルを絨毯の真ん中に広げた。テーブルを広げる前には、市場で売られている花柄のクロスが物を隠す様にかけられていた。ティエリは絨毯の上に座ったはいいものの、何処かそわそわと落ち着かない感じだった。ウディーネの部屋の辺りの見て、馬を操っている時とは対照的な様子だ。ティエリが絨毯の上座っていると、ウディーネが茶器から紅茶を注いで、スプーンでかけ混ぜながらティーカップを目の前に運んだ。『黒い馬は突然跳ねたりしなかった?』とティエリはウディーネに尋ねた。『全然。とても大人しかったわ。』ウディーネはティーカップの紅茶を一口飲むと、『私には懐いているのね。』と言った。『夜、馬車を引いていた時には結構焦っている感じだったんだ。』『本当?』『うん。だから帰り道に何かあったのかと思った。』ウディーネは首を左右に振った。『全然。そんな事無かったわ。』『ならいいけど。』しばらくしてウディーネは尋ねた。『黒い馬は、突然跳ねたりするの?』『いや通常ではそんな事は無いんだけど、たまに厩戸から連れて、貸したりするときに落ち着きが無くなって帰ってくる事があったたんだ。』とティエリは言った。それからティエリはロレーヌに来る前の事を話した。それから話を変えて、馬車を引く時に縛られたロープが体を強く締め付けるんだけど、その時馬が、瓦礫の中で、厩舎を抜け出してきた時の事を考えているような気がする。とウディーネに告げた。ウディーネは『何故、馬は厩舎を抜け出してきたの?』とティエリに尋ねた。『何故?』その理由をティエリがウディーネに告げかけたその時、ずっと前から居たように、工事現場から帰ってきたウディーネの父がウディーネの部屋の戸口に立っていた。ティエリが入って来た時から、ウディーネの部屋のドアは開け放たれていたのだった。『何だティエリ、来てたのか。』昼食を取りに帰ってきたウディーネの父親は自分の部屋に戻る途中で青年に向かって言った。ティエリは、ウディーネの部屋の絨毯から立ち上がり、頭に載せた茶色いフェルトの帽子を取った。それからティエリは、ウディーネの父に向き直って言った。『昨日はどうも。』『昨日の御者は君だったっけ?』ウディーネの父親は言った。『飲みすぎるのも程々にしないとな。外にいるのは君の馬かい?』『ええ。昨日引いていたのと同じ馬です。茶色い馬がユージーン。黒い馬がハビットと言います。』『馬に名前を付けているのか。』『ええ。』『そうか。それで、さっき、洗濯物が乾くからもうそろそろ取りに来いと、私の妻が言っていたぞ。頃合いを見て、ベランダに取りに行くといい。』『そうします。』と青年は言った。『外の馬も長い時間、貴方の家の灌木に繋いでいるのは悪いですから。』突然、ウディーネは、座りながらティエリと父親を交互に行き来するように仰ぎ見た。ティエリはウディーネに何?と表情で訴え��ける素振りを見せた。するとウディーネはもう一度、2人の様子を見比べた。ウディーネの父親はウディーネを不思議そうに見つめた。ウディーネは父親が単に事実を述べただけの事である事を悟ると、『ティエリもお昼はまだよね?』と言った。それから、『折角ならお父様と一緒に食べて行ったら?』と付け加えた。父親はけったいそうに客間の入り口の木枠に肩肘を付いているが、特段、嫌な素ぶりを見せる事は無かった。それからウディーネの父親は申し出に悩む間もなく返答をした。『そうだな。ウディーネ。母さんを呼んでこい。ティエリの洗濯物を持って来て、ランドリーバックに入れて下の階に降りてきなさい。ウディーネ。ワインセラーの隣にハムの塩漬けが置いてあるから。戸棚から出して君が好きな様に皿に盛り付けると良い。』とウディーネの父親は言った。父親は一度ゆっくり話してみたいと思ってたんだよ。と言わんばかりにティエリの肩を揉んだ。ウディーネの父親はダイニングの椅子をティエリの為に引いて昼食に招いた。ティエリはウディーネの家族と和やかな昼食に同席する。食卓には質素だが、高タンパクの食事がティエリの皿の上にも並んでいた。『いっぱい食べろよ。』とナイフとフォークを持ったウディーネの父親はティエリに言った。『豆は良いから、肉を食え。』その席では塩漬けの肉は特別な時の為に取っておく物だとウディーネの父親から聞かされた。終いには、ウディーネの父親はその肉を、自分の皿からティエリの皿へ移した。ティエリはその時、ロレーヌ地方の男は父親から娘と同席してランチを摂る時、誰もがその様にされて来たのだと悟ったのだった。
 食事の席では、馬を操れるなら、工事現場によって1週間も働けば五ペンスにはなるぞ。とウディーネの父親に言われた。食事を終えてティエリを玄関へ見送りに来たウディーネの父は、ブーツを履いているティエリに忍び寄ると、『また来るといい。』と大袈裟にティエリに言った。ティエリは振り返ってウディーネの父親に『また来ます。』と精悍に言った。それからティエリは羊の毛で出来たコートを羽織ると、フェルトの帽子を被り直して黒毛の馬に跨った。内股であぶみに足をかける姿を見たウディーネは、父親の目線に気がついた。ウディーネは馬に跨るティエリから視線を外すと、ティエリが馬に走る様に合図を出すまで、馬の蹄を眺めていた。ガス燈が灯る街は静かで、夕闇が街を染めようとしている。ウディーネの父親は、日中は鶴嘴を握り、指の皮が厚くなった手の平をウディーネの肩に置き、『ティエリ、気をつけて帰るんだぞ。』と言い放った。ウディーネはティエリが馬に跨り、走り出すのを見守っている。母親も加わって、ウディーネの親子はティエリが走り出すのを見守っていた。母親は静けさに摘まれたような様子だった。馬に乗れる若者はみんなこの地域からは離れてしまった。都市で起きている戦争にこの地域の若者はすべて駆り出されてしまっている。戦争は長引いて、思想の中枢を司る都市では古典派の攻撃を受けて、もう壊れる物は壊し尽くしたという壊滅的な状況に落ち着いている事いう事をウディーネの母親は最近父親と話して知った。更に最近、主要都市では衝突が新たな動きを見せ始めた。古典派の人々と新鋭派���人々が自分たちがどちらの派閥に属しているのかを見かけで区別しようと思い始めたのだった。都市の人々は自らがどちらに属するのか知らしめる様になった都市では最近、外出時に古典派の人々が自発的に白い包帯を腕に巻くようになった。その慣習は、もうロレーヌの目と鼻の先の都市まで辿り着いているそうだ。隣町から酒を飲みにやって来た男から、その話を聞いたロレーヌの古典派の枢機卿は、その前触れを大いに心配していた。ロレーヌに暮らす古典派の人々や新鋭派の人々にとっても、それは争いが始まる前兆なのではないかと日に日に噂が広がっていった。
 ある日、酒場から住処に帰ったティエリは、街の中央部に警報が上がっているのを聞き付けた。ウディーネは翌日、学校に行く事になっていたのだが、今は中心街に行くのは危険だという父親の言いつけが下された。だからこの日、ウディーネは朝、ティエリの家を訪れると、2人で自転車を漕いでティエリの厩戸に来ていた。ウディーネが肩から斜めに下げている狩猟用のバックは、頑丈な革製で、ティエリが馬具を加工する技術を応用して仕立てた物だった。厩戸では干し草を馬の周りに敷き詰めてあり、水道から水を汲んだ陶器がすぐそばに置いてある。その陶器の水は茶色く、何回かブラシをボウルにつけては、ブラシを陶器に戻して馬の毛を綺麗に解かしていた。解かされた毛並みは太陽に当たると輝いていた。ウディーネは、ティエリが馬を磨く様子を観察しながら、茶毛馬が気持ちよさそうに目を細めていくの様子に心を奪われた。その時ウディーネの頭の中にあったのは、その気持ちよさそうな馬の表情に反して、ティエリが昼食の前に語った馬達が過去に都市を逃れてきた出来事だった。黒毛の馬は茶色い毛の馬の横で、脚を折り畳み積み上げられた干し草の上に座っている。黒い馬はまつ毛が長く、時々瞳を瞬かせては、厩戸の奥を見つめている。いま黒い馬の見つめているのは、厩戸に掛けられている振り子の時計だった。ウディーネは次第に、脚を折りたたんで干し草に寝そべっている黒い馬から目が離せなくなった。意思のある強い眼差しが瞬くたびに、潤みを帯びた眼差しが交互に織り交ぜられる。ウディーネは馬を見つめながら、その側に佇むティエリを見た。『どうした?』ティエリはブラシで馬の体を解かしながら言った。『都市で暮らしていた時に、結婚していた人はいる?』『まだ結婚はしてないよ。』ティエリは笑いながら言った。『じゃあ、あなたの家族で結婚した人はいる?』『いるとも。兄は都市で幼馴染と結婚して、今はこの国の何処かで暮らしているよ。』ウディーネは木箱に座って長い脚をぶらつかせている。黒い馬はウディーネを見ているようだった。『この街に来る前は、もっと馬を飼っていたんでしょ?』『そうだよ。全部で30頭ぐらいいた。』『それ以外の馬はどうなったの?』『戦争が酷くなる前に逃した。』ウディーネは今度は黒い馬に視線を移した。『父親が5頭馬を乗って行き、兄が4頭持って行った。それ以外は全て僕が都市の何処かへ行ってくれと願いながら厩舎にロープで繋がれた留め具を切った。』『その後逃げた馬はどうなったの?』『そうだな。』ティエリは少し黙り込んだ後に言った。『知らない。それ以来僕の馬以外には会えてないから。』『この3頭は幸せそう?』『争いから逃れてからは、段々幸せに近づいていると思う。』『仕事は大変?』『馬はよく頑張ってくれているよ。』『貴方は幸せ?』『本来はもっと馬を早く走らせたい。今は人の役に立つ事だけしかやらせてあげないし、多分この子達は息苦しさを感じているだろうね。』黒い馬は干し草の上に寝そべって白い息を吐いている。磨き上げられた筋張った脚は、綺麗に折り畳まれたままだ。厩戸の天井の隙間から迷い込んできた木漏れみが、馬の艶のある毛並みを照らし出している。馬は立ち上がって、少し辺りを歩くと、厩戸の干し草をはみ始めた。
 その後ウディーネとティエリは、一日中厩戸の中で今後の自分達の事を話した。夕方、ティエリが酒場へ働きに行く時間になると、自分達の結婚の話になって、ウディーネはティエリに『もし、君の父親が了承してくれたのなら、僕たちは結婚しよう。』と言った。ウディーネは勿論承諾した。そして厩戸の中で勢いよくティエリの胸元に抱きついた。しがみつくように抱きついたウディーネは、ティエリの汗や、干し草にまみれたオーバーシャツの汚れなど気にしていないようだった。ティエリは捲られた綿のシャツから腕をウディーネの腰に回した。汚れた自分の身体から少しだけ距離を作るとウディーネは『結婚しましょう。』とティエリに確認する様に言った。ティエリは誰かに請願する様に天を仰ぎ見ると、そのままウディーネの瞳を覗いて頷いた。『さっきの警報は何なんだろう。君は、街で何があったのか知っているの?』ウディーネはロレーヌの近くの街で何があったのか知っていたのだが、彼女は首を横に振った。警報が鳴った理由は、今朝、朝食の時に母親から聞かされた。それは中央都市の武装勢力がロレーヌの街にも流れ着くかもしれないという事だった。その時、ロレーヌの古典派の教会は、ロレーヌに安住する新鋭派の伝統師にも呼び掛けて、人々は動員して無駄な武力衝突を避けようとしたのだった。枢機卿の呼びかけに賛同した古典派と新鋭派のロレーヌに住む民衆は、共に協力をして、ロレーヌへわたる為の大河へかかる吊り橋を切り落としたのだった。ウディーネの父親は、酒場の店主と信者と共に、その戦乱を遅らせる行動に加わった。それが、父親がウディーネに学校に行くなと告げた1番の理由だった。今は一旦は都市からやって来た新鋭派の武装勢力が、これ以上ロレーヌの街に侵攻する事が出来ない様になっている。しかし、3日もすれば遠征をして裏の山を伝って数百人の兵士達がやって来てしまう事など誰に相談せずとも図り知れてしまう事だと分かっていた。ウディーネは、ティエリに『行かないで。』と言った。今度は、ティエリが腰に回した手を、自分の目の前に持ってきてウディーネは、土まみれの青年の手を握りしめた。この時、ティエリはウディーネの手を突き放したりはしなかった。しかし、ティエリは言った。『僕は酒場を見に行くよ。』ウディーネの目には、眼に一杯の涙が溜まっていた。街ではその暴動の時に続いて、2度目の警報のベルが鳴った。『絶対に帰って来てね。』とウディーネは言い放った。ティエリは帽子を目深に被り、黒い馬に乗って、酒場のある中心街へ民衆が働く葡萄畑の中を颯爽と駆け抜けて行った。
 中心街へ着いた時、まず立ち寄ったのは酒場だった。店主はティエリに中に入る様に言った。決起集会が市役所にある中央広場で催されていたのだ。『お前はここに居なさい。』酒場の店主は息を潜めてそう言った。『どうしてこんな時に来たんだ。』『警報が鳴って、胸騒ぎがしたんです。』とティエリは言った。『迂闊に外に出てはダメだよ。』酒場に居たシンディーの腕には白い紐が巻かれていた。それはシンディーが古典派である事を示すサインだった。『これからどうするんだ。』主人の問いかけにティエリが言い淀んだのは、脳裏に燃え盛る都市の残像がよぎったからだった。そしてティエリは言った。『僕はウディーネと暮らす事になるでしょう。』『何?』『結婚するんです。ウディーネにプロポーズをしてきました。』『本当か?』酒場の店主は尋ねた。ティエリは転々として来たが、この青年が本当に心を通わす事が出来たのは、ウディーネただ1人だった。ウディーネは、厩戸の中で自分の家族が古典派であるという事も聞かされていた。だが、それでもティエリはウディーネの事を愛している。ウディーネもその気持ちは一緒だった。シンディーは眼鏡の曇りをナプキンで拭きとりながらティエリに感心を注いでいた。『それでウディーネからは?』シンディーは聞いた。『何て返事をされたんだ?』と酒場の主人も聞いた。『ウディーネは了承してくれました。三月に葡萄畑で結婚式を挙げる予定です。』『じゃあ君も婚約するまでに改宗するんだね。』ティエリは一度、言い淀んで頷いた。茶色い毛の馬と真鱈模様馬は白い息を吐き、蹄鉄が石畳の上をを強く踏みしめている。馬が繋がれた停泊場の馬車は出払っていた。帷から見切れる人々は急いで家に帰っているようだった。店の中はがらんとしている。酒場には店主とシンディー以外は誰も居なかった。布で拭いた眼鏡を掛け直したシンディーは、泣いている。2度目の警報が鳴った理由は、中央広場で、元々ロレーヌの街で暮らしていた新鋭派の男が古典派の人間をナイフで刺し殺してしまったからだった。シンディは、ティエリに状況を説明する店主の説明を聞いているうちに、こんな時に幸せを掴みかけているティエリの事が不憫でテーブルに突っ伏して咽び泣いてしまった。帰った客の飲みかけのビールの瓶は、テーブルの上に置かれたままだ。ティエリは寂しげな目を向けた。その情景を生き写した鏡の様に酒場の壁や掛けられた時計、それに雉の剥製などに得体の知れない物が忍び寄っている気がした。
 中央広場で配られていたビラが、北風に飛ばされて屋根の上を舞っていた。その上には暗い雲が薄暗くなった夜空を隠してしまう様に覆い被さっている。ティエリは人々の流れに寄り沿うようにして中央広場まで走っていくと、教会の鐘付き堂の上に1人の男が立っていた。男は鐘の中にぶら下がる太い縄を引いて、鐘の音を街中に響かせていたのだ。音を聴いた人々が中央広場の集会場に集まってきていた。ティエリは中央広場に併設された証言台に向かって、押し寄せる人々の中から、後から遅れてやって来たウディーネを見つけた。ウディーネはティエリより後方の15m程離れた所に押し潰されそうになりながら何とか立っている。ウディーネも手を挙げた。ティエリの存在に気が付いた様だ。ティエリは、人々の流れを掻き分けてウディーネの元に歩み寄った。するとウディーネに近づく途中で、集会場の証言台に向かって罵っている男にぶつかってしまった。ティエリは少しよろめいたが、大事には至らなかった。男の腕には既に白いリボンが巻かれている。少しして、枢機卿らしき白い装束を纏った人物が証言台の前に立った。袂が長く、長い帽子を頭に被るロレーヌの枢機卿は、人々が静粛になるまで2分ほど黙って証言台の上で待った。枢機卿が佇んで、宣誓書を読み上げようとすると、人々の視線が枢機卿の袖の長い装束の袂に集まった。人々は襟元を保つように徐々に口数が途切れ、段々と自分達の周りが静まり返ると、枢機卿に注目が集まった。完全に静まり返ると枢機卿は幾つも折り畳まれ手に持っていた宣誓書を開いた。それから自分で、一度咳払いをして、更に群衆の視線を自分に集めた。枢機卿は荘厳に、一言一言、祈りの言葉を人々に授ける様に宣誓書を読みあげ始めた。『良いですか、皆さん。私たちはこれから逃れられない事態に突入するかもしれません。隣の街では既に戦闘が始まってしまいました。ロレーヌの街は山間部の田舎町でずっと平和が続いています。今回の殺傷事件を大事にしてはいけません。これ以上、私達の街では住民が誰1人としてかける事が許されないのです。私はこの街で無駄な死人を1人も出したくはありません。』何処からか枢機卿に反対意見をを述べる叫び声がした。その声の主は、ティエリにぶつかった白いリボンを腕に巻いた男だった。枢機卿は窪んだ目で、声がした辺りを探る様に睨んだ。そして再び咳払いをした枢機卿は、その男がいる辺りに曖昧な視線を送った。『これからは私たちは団結し、再び道を塞ぐ形で交戦します。相手に対する猜疑心を駆使して山を越えてくる新鋭派の義勇軍とは闘わなくても済むようにです。』その宣誓書が読まれた事で、ロレーヌの人々は外出する時には同じ色のリボンをつける事になった。しかしやり方に賛同できない者や、教義の再現性を重んずる者の中には枢機卿の宣誓の内容を破る者もいた。それらの人々は白いリボンをする様になった。そして次第にロレーヌの人々は新鋭派や古典派の無駄な争いを避けるべく、腕にリボンを巻いて外出する様になった。ティエリも腕にリボンを巻いて出掛けた。地方にもティエリの様な人々が逃げ仰せて来たのだが、ロレーヌの街でティエリの様なボニシェリの異邦人が、腕にリボンを巻くという事は、まるで地面が割れて、新たな芽吹きが起こる新たな地殻変動だった。
 翌日、ティエリは洗濯物を預けにウディーネの家にやってきた。ウディーネは二階で寝て居るふりをしていて、代わりにウディーネの父親がティエリの前に現れた。母親は葡萄畑に出掛けている様だった。『ティエリか。』『先日は昼食をご馳走様でした。』『ウディーネは部屋にいるよ。』ウディーネの父は言った。『今日も物干し場を借りに来ました。この洗濯物を奥さんに頼んで欲しいのです。』『すまんティエリ。妻は今朝、出て行ってしまったんだよ。』ウディーネの父親の腕には白い包帯が巻かれている。『昨日、あいつに家の中で、白い包帯を撒こうとしたら、拒絶されてしまった。俺はもっと彼女の言動に注意を払って接してあげるべきだった。ウディーネの母親は、平和の為に外出時の見せ物としたリボンを腕に巻く事には耐えられたのだが、それを家庭内に父親を軽蔑した。それから暫くして、ウディーネの父親は言った。『君は構わず、君はうちへ寄って是非とも中へ入ってくれ。』ウディーネの父親は言った。『ウディーネだけ幸せになってほしいんだ。』『奥さんは何処へ行ってしまったんですか?』『分からない。私の妻はより辺もないしロレーヌからは出ていないと思う。』ティエリの馬はウディーネ家の木に繋がれて静かに帰ってくるのを待っている。『戦争が近づいてきて、俺は尊厳を失ってしまった。』それからウディーネの父親は語った。ウディーネの父親は母親に拒絶され、妻の頬に強烈に手を挙げてしまったという事だった。ウディーネの父親はその事を悔いて、2匹の馬と、ティエリに見つめられながら玄関に膝から崩れ落ちた。父親は静かに泣いた。ウディーネも自分の部屋から出てこない。『ウディーネには幸せになって欲しい。ティエリ、あの子を幸せにしてやってくれ。』ティエリはウディーネの家から少し離れて、玄関から馬の繋がれた外に出た。ティエリはウディーネの部屋がある2階の窓を眺めた。風に吹かれた人影がカーテンの奥にウディーネが佇んでいる。ウディーネは物書き机に座っている様だった。カーテンの隙間から見てとれるのは、ウディーネ長い髪が一つに後ろで結ばれている様子だった。ウディーネは机の上で何かを記録している様だった。『ウディーネ。ウディーネ。ティエリが来たぞ。』ウディーネの父親は家の中からウディーネに向かって呼びかける。するとウディーネは憂鬱そうに立ち上がりながら、二階の窓枠の近くにある書き物机から自分の部屋のドアへ歩いた。ウディーネは誰にも悟られない様に自分の部屋の扉を締めた。ウディーネが部屋の戸口から書き物机に戻ってきた時、ウディーネは外の冷たい木陰に立ちすくむティエリの姿を捉えた。ウディーネの灰色のブラウスの腕には白いリボンが巻かれていた。
 
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uchisawablog · 7 months
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インターンシップ 最終日
今日はインターンシップ最終日です。
最終日は午前中に重機体験を行いました。
雨が降ったり晴れたりと不安定な天候の中でしたが、重機体験を行うときには晴れてくれてよかったです✨
学校の授業の一環でバックホウの操作方法を学習するようですが、慣れている子と慣れていない子で分かれていました。
操作方法を覚えて、出された課題に挑戦してみると全員習ってきたのでは?と思うほど上手に操作ができていました。
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バーに一回引っかかったら5回追加というペナルティが追加されると、全員三日間の中で一番やる気に満ちていました笑
一人が引っかかると「できてないんじゃないの?」と笑いながら煽ったり、逆にバーに引っかかるのが怖くて高めにすると「もう少し下!ペナルティ怖いの?」と声をかけていたりしました。
一人がバックホウの操作をしているときは全員遠くに離れて、バックホウの旋回範囲内に入らないところで各自操作しているところを見たり、社員さんのお手本を見たりしました。
終了間際に雨が降ってきましたが、あまり雨に当たらずに重機体験を終えることができました。
午後は北上川右岸の工事現場の見学に行きました。
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一日目と二日目に見学した現場では作業中の様子を少し離れたところで作業員さんや監督さんたちと沢山話したり、聞いたりしながら見学していましたが今回見学した現場では二日間見学した現場よりも作業員さんが叫んでいたりしてあまり話したり質問できる感じではなかったので少し緊張していたように見えました。
落ちたりしないよう気を付けながら近くでボックスが繋がる様子や、リフトがボックスを運ぶ様子などを見学しました。
三日間のインターンシップお疲れ様でした。
慣れないことを体験したり、大人が多いところに3人だけで行くというのはかなり緊張したと思います。
これから製図や、重機操作・測量など学ぶことが多いと多いと思いますので今回インターンシップで体験してみたことや、作業員さんと監督さん達から学んだことを学校の授業や実習などで活かしてもらえたら嬉しいです。
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yotchan-blog · 2 months
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2024/3/29 20:00:38現在のニュース
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milehighdad · 11 months
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Ryoya Kurihara (#24 3B UT Softbank Hawks 2015-). Softbank Hawks 6-10 Yomiuri Giants. 6/10/2023. Pay Pay Dome. Fukuoka Attendance 40062.
栗原 陵矢(#24 ユーティリティ ソフトバンクホークス 2015~)。 6番打者。三塁手。4打数0安打。 春江工業高校。2014年ドラフト2位。捕手、一塁、三塁、外野を守る。日本シリーズMVP(2021)。オールスター2回(2021,2023)。東京オリンピック金メダル。 2023年成績:96試合出場、打率.239、13本塁打、49打点。靭帯断裂(2022年3月)からの復帰。 ソフトバンク・ホークス6−10読売ジャイアンツ。 福岡、ペイペイドーム。観客40062人。大盛り上がり。 30年以上ぶりの日本のプロ野球観戦。
福岡ソフトバンク・ホークス。 2023年成績、71勝69敗。リーグ3位。ファーストステージで千葉ロッテマリーンズと対戦、敗退。オリックスがリーグ優勝。阪神タイガースが38年ぶりの日本一。2024年から小久保裕紀監督。
優勝:2011,2014,2015,2016,2017,2018,2019,2020。 ダイエーホークス。日本一1999,2003。リーグ優勝2000。 2021−2023はオリックスが3年連続リーグ優勝(日本一一回)。 監督:藤本博(2021−2023)、 歴代監督:王貞治(1995−2008)、秋山幸二(2009−2014)、工藤公康(2015−2021)。小久保裕紀(2024~)。 2016年は大谷翔平のいる日本ハムに敗退(2012年以来の日本シリーズ。25年ぶりにリーグ優勝した広島カープに勝ち、2006年以来、10年ぶり3回目の日本一)。
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uchisawablog · 7 months
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インターンシップ二日目
インターンシップ二日目が開催されました。
昨日よりも緊張がほぐれたのか社員さんと楽しく話している様子が多く見られました。
二日目は二ヶ所の現場に行きました。
午前中は道明地区の現場で杭ナビを使用した測量とレベルを使用した測量を行いました。
杭ナビを初めて使用するということで、監督さんから使い方を教わりながら、ピンのある場所が正しいか確認しました。
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初めて使う杭ナビに「学校にもあったらいいのに」という声や、「教科書で見たことない機械出てきた」という声が上がりました。
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次にレベルを使用した測量を行いました。
昨日もレベルを使用した測量を行ったので、昨日再確認したので自信満々に計算や測量をしていました。
学校の実習で行うよりも、本物の現場で測量を行う方が緊張感あってもっと学校でレベルの練習を頑張りたいと話していました。 午前中の最後は道路舗装中の様子を見学しました。
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「教科書や授業で見た動画で見るよりも自分達の目で見て聞いた時の方が学ぶことが多いと思うので、とても貴重な体験だった」と話してくれました。
監督さんから舗装の話を聞いた後、集中して舗装の様子を見ていました。
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午後からは、赤袰の現場でデジタルレベルとバーコードスタッフを使用した測量を行いました。使い方を教わりながら三人で回しながら測量を行いました。終盤のところでちょっとしたハプニングがありながらも無事に全部終わらせることができました。
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現場事務所二階で先程測った数値を用いてプロットを行いました。
製図の授業でまだプロットを学習していないようで、完成するまで少し時間がかかりましたが完成すると「綺麗にできた!」「少し細かいけれど楽しい!」と言っていました。
二日目は昨日よりも測量を行ったり、製図したりと慣れないことばかりで大変だったかもしれません。お疲れ様でした。
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