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#学校前には車やバイクが溢れて
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こちらでは、子ども達が通学途中の危険から守られるように、公立でも私立でも送迎する方々が多く、特に新学期スタートということもあり学校前には車🚗🚙やバイク🏍🛵が溢れています。 昨日は、駐車スペースが近くになく、少し離れたところで待つ事になりましたが。。。 まだ授業がなかった6年生のPL(写真右から2人目)が一緒に来てくれたので助かりました🤗 (写真:右からPT、PL、AN、HN、YN) #子ども達 #公立でも私立でも #通学途中の危険から守られるように送迎する #新学期スタート #学校前には車やバイクが溢れて #駐車スペースが近くになく #少し離れたところで待つ事に #まだ授業がなかった6年生 #一緒に来てくれた #助かりました #カンボジア #孤児院 https://www.instagram.com/p/Cm8i1x8pz1l/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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kozuemori · 10 months
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今日から7月、今年も折り返し地点となりました。今週のオールレベルクラスでは夏の星座をテーマにした誘導瞑想の中で自然が教えてくれる神秘的な折り返し現象に触れ、今年前半の学びと経験を後半に活かすヒントを与えてくれる指導霊と出会っていただきました。また、今日のマントラ入門でも熱心な方々と楽しい時間を過ごすことができました。光の時間を共有していただき、どうもありがとうございます。夏学期も残りわずかとなりましたが、最後までどうぞよろしくお願いします。
6月25日には久しぶりにサンデーサービスを担当いたしました。ご一緒した惠子ミディアム、マスタークラスの生徒さんも、素晴らしい司会、デモやサーモンを披露してくださいました。お忙しい中、光の交歓会に参加してくださった方々に心より感謝いたします。今回のサンデーサービスの中で行ったデモンストレーションの中から、お二人分をダイジェストで紹介いたします。読みやすいように編集を加えています。
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森:そんなにお年を召した方ではなくて、男性で、ご親戚だと思うんですけれど、高校生かな…大学生かな。割と若い感じで車の運転ができる年代ですね。事故なのかな…急に亡くなっている感じがします。ここに来ている方よりも年下で、血が繋がっている方です。ここまでで思い当たる方、いらっしゃいます?(男性と女性の二人が手を挙げる)あ、そうですか。で、なんていうか、車というよりもバイク、なのかな。
男性:自転車に乗ってて。
森:その方は、車の運転とかできる年頃ですか?
男性:そうです。
森:そちらの方は、いかがですか?
女性:私も、自転車で��た。
森:絵を描いている姿を見せてくださっているんですが…。
(どちらも絵を描いていると答える)
森:そうなんですね、どっちかなぁ…あと、桃を見せてくださっているんですが、最近、桃は食べました?
男性:はい。
女性:私は食べていません。
森:じゃあ、男性の方かな?このご親戚は、お若くして亡くなっているので、命の大切さをもっと伝えたいみたいなんですね。ご自身は何かライフワークとして、命の大切さを後進に伝えたいとか、そういったことを考えていらっしゃいます?
男性:はい。
森:実際にやっていらっしゃいます?講話、談話みたいな感じで、ご自身がお話しされているのを見せてくださっているんです。
男性:あの、子どもに教えるのが仕事ですから。
森:それは、勉強とか、なのかしら?
男性:はい。
森:もうちょっと、人生観とか、直接勉強科目に関係ないようなことを教えるのを考えていらっしゃいます?道徳心とか…ちょっとお坊さんみたいなことですよね。
男性:僕は、授業中にそういうことを言うのが多い教師です。(笑)
森:そうなんですね。(笑)だから、人気があるのかもしれないですね。もうちょっとそれを、実際に教えていらっしゃるお子さん以外にも広げていいかもしれないです。お坊さんみたいに…在家でもいいんで。(笑)ちなみに、仏教関係とかはお好きですか?
男性:はい。
森:ちょっと仏教寄りな感じがするので…日常に溢れている仏教用語とか、あるじゃないですか、日常にもそういった信仰、神様が宿っているということを言葉を通じて広げていただきたいと、この方はおっしゃっています。
男性:はい、ありがとうございます。
森:次は、指導霊のサイキックアートをしたいと思います。まだ今日当たっていない方、私のサイキックアートを受けていない方は、手を挙げていただけますか。(一人の女性を選ぶ)ご自身の指導霊で、修道女の姿をした方が見えます。キリスト教に興味はあります?
女性:小学校の時に信仰はしていなかったんですけど、お菓子をもらうためだけに教会に行っていました。(笑)
森:日曜学校ですかね。
女性:そうです。
森:その時から、神様はいるのかなぁ、とか…。
女性:それは思っていました。
森:割とクリスマスとか、好きです?(笑)
女性:あ、めっちゃ大好きです。(笑)
森:で、十字架とかは持っていないですよね?
女性:あ、ロザリオを小学生の時にもらったんですけど、引っ越し先で失くしてしまいました。
森:この方がおっしゃっているのは、お祈りをすること。気持ちも整うし、体も浄化するし、あなた自身のリセットになるんですって。ちゃんとした言葉をお祈りに使わなくちゃいけないとかじゃなくって…ご自身は絵を描くのは好きです?
女性:あ、めっちゃ大好きです。仕事にしてます。
森;絵を描くことで繋がる、と指導霊が言っています。それを感じていらっしゃいます?絵を描くことが祈り、って(指導霊)がおっしゃっています。
女性:あ、ホントですか。
森:ご自身が描くものって、宗教性が高いですか?
女性:いえ、グラフィックデザインなので、ポスターとかです。
森:(指導霊が勧めているのは)仕事以外の、ライフワークとしての宗教的な主題の作品です。どど〜んとマリア様を描くとか教会を描くとかじゃなくって、あなたの世界観で宗教観を表していいんですって。従来の宗教画だけではなく、その絵を見た人が心を救われるような、癒されるような、導きを感じるような、そういう作品は全て宗教画だって言っています。
女性:おお〜。
森:ぜひ、描いていただくといいと思いますよ。
女性:自分のデザインで描いていいってことですか?
森:そうです。で、デザインというよりも、もうちょっと有機的な感じがします。グラフィックデザインというよりは、絵画に近い。具象画に近い感じです。(出来上がった写真上のサイキックアートを見せながら)こんな感じの指導霊です。あっ、ちょっとご自身に似てるかもしれない。(笑)
女性:似てる!(笑)ありがとうございました。
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秋学期クラスへのお申し込みは、7月15日より私のサイトにて受付を開始いたしますので、今しばらくお待ちください。
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ragtimema · 2 years
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【第6回 黄庭天年倶楽部道場】 黄庭天年倶楽部道場では、梁蔭全先生をお招きして、『気功術&仏像鑑賞会』と題し、120歳まで心身共に健康で幸福な人生を送っていく方法を学びます。 また、唯一無二の太陽光から得る宇宙エネルギーを活用し、5,000億個の太陽を想像しながら喜びや苦しみを浄化し、体内臓器をクリーニングするかのようにDNAに刻まれた邪気を取り除き、幸福に満ち溢れた黄金の道へと導いてもらいます。 お忙しいこととは存じますが、万障お繰り合わせの上、御出席ください。また、知人友人をお誘い合わせの上、お越しいただければ幸いです。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 日 時: 10/17(月) 13:00~15:00         ウェルカム・ミュージック13:00~13:30 道 場: 『気功術&仏像鑑賞会』by 梁 蔭全 先生     &世界最大の仏像コレクションを鑑賞 ======================================= 梁 蔭全 (リャン インゼン) : 《略歴》1963年中国広東省生まれ。7歳より道教羅浮派の宗主だった祖父について 気功を学ぶ。15歳より今日まで優れた気功法の数々を自らの手で選び抜き、 気功の神髄と奥義を探求。1988年に初来日。梁気功事務所を設立し、 日本国内で気功の普及に尽力。2001〜、日中間遠隔施術で、日本の患者らに 念力気功を施す。2010年、更なる気功普及の為に再来日、不老不死科学研究所、 全日本気功療術師養成学院を東京古禅博物館に開校、以降も精力的に活動している。 ======================================== 会 場: 東京古禅博物館 @東京都足立区島根2-32-21 《バイク屋: ハーレー・ダヴィッドソンの2F》 アクセス: 西新井駅から徒歩15分、 北千住駅、または竹ノ塚駅からバス (北47) ⇒ 島根町下車 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 参加費: 三万円のところ→三千円 + 仏様の花供養料《任意の金額》      事前振込、申込完了後、別途案内 申 込: 御氏名+携帯番号を添えて、SNS 若しくは     [email protected]へご連絡ください。 主 催: 黄庭天年倶楽部 窓口担当: ルミィヤンツェヴァ裕美 問080-1047-5127 *申込完了後のキャンセル時には、会費を全額頂戴致しますので、 万が一の際は代理の方にご出席いただいて下さい。 *自然科学現象の研究に基づいた訓練であり、怪しい宗教では御座いません。 https://www.instagram.com/p/CjZ_UODrDAa/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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usickyou · 2 years
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たくさんかわいがってね
 扉を閉じると、足で踏んでスイッチを入れる。数十のブルーライトが点灯して、水槽を照らし出す。水槽は、壁という壁を埋め尽くしていてあたしを取り囲む。ここに来ると、どちらが飼われているのかその認識はひどく曖昧になる。  部屋の真ん中には小さな水槽があって、ただ一つ白い明かりの中を金魚が泳いでいる。赤や黒、時々は金色。そろそろサイズを上げるか買い足すかしないといけないと思うけど、水面を覗くと二匹がおなかを見せて浮かんでいるのでその決断には決め手がない。あたしは両手でくるんだ、新しく生まれた赤い金魚を水槽に放る。金魚はしばらくとまどって、だけど状況を理解するとすぐに泳ぎはじめた。ものの数秒で、他の子との見分けはつかなくなった。  それから死んだ二匹をタオルでくるんで、ビニール袋に放ると次のゴミの日のことを考えた。
 羽衣小町のツアーは成功に終わった。仙台から福岡を巡る六都市ツアーは失敗もあり得る初めての大きな試みだったけど、心配はぜんぶ杞憂で終わって蓋を開ければ会場はどこも大入り、同行の演出さんは会場読みを間違えたねなんて笑っていた。もっともあたしたちに失敗はあり得なくて、細かく見ればダンスがコンマずれたとか一番と二番の歌詞を間違えた(それだってプロンプの出し間違いが原因)とかのミスはあっても、お客さんを満足させることに関してあたしたちはプロフェッショナルだった。紗枝ちゃんは芸事に対する真摯な姿勢を持っていて、人に見られることのおそれも喜びも深く知っている。あたしはあたしで芸能に対する適正があって、そんなことより人がどうすれば楽しい気分になるのか嬉しく思うのかをはかる才能があった。あたしたちがそういう力をちゃんと使えばステージはいつも桜吹雪みたいな歓声で溢れたし、場所とか大きさが変わっても、それは変わらない。変わらないと、そう思っていたけど紗枝ちゃんが十八歳になると思いもしなかったかたちで全ては変わりはじめた。  その告白をされたのは半年前、アンコール直前に衣装替えをしているタイミングで、彼女がどうしてそんな時を選んだのかは未だに訊けていない。ばたばたとせわしなくスタッフさんたちがあたしたちを着替えさせている最中に、先にツアーTシャツになったあたしに耳を寄せて、「うちな、あと一年したら帰ってこいて言われとるんどす」そう彼女は言った。そうして完璧なタイミングで着替えを終えて、またステージへ飛び出した。  あたしたちは、プロフェッショナルだった。  ライブを終えると、同じ社用車に乗り込んだ。あたしはもう寮を出ていたけれど、会場からマンションまでの方向はだいたい同じだったからそれは自然だった。道の途中で紗枝ちゃんは「気持ちわるい」と突然言いはじめて、もう近くまできていたからうちに転がりこむとソファで横になった。そこで、はじめて金魚を吐いた。 「あかん、えずきそ」 「肩貸すよ。トイレ行こ」 「無理やわ、かんにんな」 「ええよ、ちょっとだけ我慢して」 「かんにんな、周子はん、ほんまに」  あたしが慌ててアルミボウルを紗枝ちゃんの口もとに添えて「すぐ楽になるよ、大丈夫」と言うと、彼女は、こう、背中をぶるっと震わせて全身を弓みたいにしならせて赤い金魚を吐きだした。血だ、はじめはそう思ってよく見るとそれが金魚で、しかも生きていて体をびくびくさせているのであたしはひどく混乱した。銀色のボウルの中で赤い光が動くたび反射して、フラッシュライトみたいにあたしを照らした。  めまいを抑えながらキッチンで水を入れると、金魚は元気に泳ぎはじめた。あたしは、良かったと思った。  ソファの軋みが聞こえて顔を上げると、紗枝ちゃんが起き上がっていた。あたしをじっと見て、彼女はつやつやした唇をひとさし指で拭うと「生まれてもうた」とだけ言った。  あたしは待機してもらってた社用車のスタッフさんを言いくるめて帰すと、紗枝ちゃんと金魚を眺めた。「金魚鉢、買おうか」とあたしが言うと、紗枝ちゃんは「せやなあ」と答えてすごく喜んだ、みたいに見えた。  結局、その一匹は朝を待たずに死んだ。  あたしは金魚の育て方を調べて、次に備えることにした。その時はすぐにやってきて、黒い出目金はなんだか働くことをやめた内臓みたいに見えた。
 紗枝ちゃんの進路がなかなか決まらなかったのにはいくつか理由がある。一つは小早川家とプロダクションの意向の衝突。家は彼女を高校卒業の時点で京都へ戻して後継者としてまた育てたがった。事務所はもちろん、アイドルを続けてほしかった。互いのゴールは、それはもう明らかに真逆で、なんとか折衷案をというレベルでもないのにそういう優しい決着をどちらも、彼女のために望んだ。次は、まわりの後押し。噂というのはどうしても、それこそ空気みたいにどこからでも入り込んでどこにだって出て行くもので、彼女が京都に帰るかもしれないという話はあたりを駆け回るとみんなを固く団結させた。別に直接お願いしたりこれ見よがしにこっちのお水は甘いよと主張したりはしないけど、みんながより彼女を愛でるようになった。息苦しくならないくらいの自然さで大切にされて、もちろん気付かないはずはないのだけど、彼女が嬉しそうに笑う時間はめっきり増えたみたいだった。  そして何より、紗枝ちゃんの考えがわからなかった。彼女は家にも事務所にも、友達にも、当然あたしにも何の意見も言うことなく、はんなりと日々を過ごしていた。そんな中でツアーが決定して、行き先もわからないまま成功に終わって、世間は新しい年を迎える。その喧噪のただ中で、あたしたちはひときわ賑やかな年越しパーティーを終えると初詣に出かけることにした。  場所は別にどこでも良かったから、ただ近くの神社を選んだ。スマホのナビにしたがって歩く道には着物姿の人なんかもちらほらいて、あたしたちはうまく人混みにとけ込むことができる。そもそもが夜で、みんな浮かれていて周りなんか気にしていない。それであたしたちは、緩やかに二人きりになる。 「なんの御利益があるんやろか」 「いや、それがよう知らないんだよね」 「あかんて、そない態度やったら叶うもんも叶われへん」 「そう? あたしが神様だったら、一日でも会いにきてくれたら嬉しくなって大サービスしちゃうけど」 「周子はんらしいなあ」 「さえはんは?」 「うち?」 「そ、叶えてくれる?」 「せやなあ。うちも叶えてしまうかもしれん」 「でしょー」 「したら、また会いにきてくれるやろから」 「あたしら向いてるかもね」  参道の人混みで、そんなふうに話した。紗枝ちゃんはたぶん「せやろか」と最後に言ったけど、うまく聞こえなかったからあたしは露店の甘酒を買って一緒に飲もうよと言った。  二礼二拍手一礼、特別な作法もなかったので当たり前の作法で、あたしたちはお願いをする。こういうのは話すべきじゃないという理解も共通しているので、特別なやり取りもなく来た道を辿る。おみくじも引くし、なんなら破魔矢も授かろうとする。  その夜、紗枝ちゃんはまた金魚を吐いた。縁日でするみたいにビニール袋を下げて帰ろうとするあたしへ、「いつもいつも、おおきに」と言った。 「おかげで寂しくないよ」と答えて、あたしは家に帰ると金魚を口に入れてみた。すぐに吐きだしたのに、生ぐささやこわいくらいの柔らかさはしばらく残った。
 初雪が降った日、あたしたちは隣にいた。
 紗枝ちゃんの卒業式が終わる頃、あたしは高校を少し離れた喫茶店で甘いシナモンティーを飲んでいる。そこはこのご時世にまだぜんぜん分煙がされていなくて、とても居心地が良いとは言えなかった。だから紗枝ちゃんがお店に入ってくるとすぐに席を立ったし、もう二度と来ないだろうなとすんなり思うことができた。 「せっかくの式なのに、ほんとにいいの?」 「ええんどす。仲ええ子らとはまた会えるさかい」 「ちゃんと約束した?」 「約束」 「そう。なんもかんも、ぼんやりしてるとすぐなくなっちゃうよ」 「らいん、あとで送ったほうがええんやろか」 「今にしとこ、ね」とあたしは言う。それから紗枝ちゃんの頼りない連絡を待って、彼女をタンデムシートに乗せた。「ちゃんと掴まってね」と言っても、「もっとちゃんと」と言ってもその手触りがぜんぜん頼りないから、「抱きしめてくれていいから」と続けた。 「うち、これでいっぱいやのに」と紗枝ちゃんは小さく笑って、それからその通りにした。  ヤマハドラッグスターの白いボディに(卒業したとはいえ)女子高生のタイツをさらすわけにもいかないので、スカートの下にはジャージを履いてもらう。それと上には冬物のコート。地元にいた頃の友達を思い出して、彼女の声を忘れていることに気付く。そんなものだとも思うし、やっぱり悲しい。中学から付き合ってた彼氏のことがとても好きで、眉の作り方がじつにへたくそで、そういうところが可愛い子だった。  道のりはこの日の天気と同じように平坦で、日が暮れはじめた頃あたしたちは海へたどり着く。  たぶん、夏だったらもっと良かった。  バイクを停めると、あたしたちは人目を避けるみたいに浜辺へ降りる。うすく傾きかけた日の下で、そこにいる人たちはみんな亡霊みたいに見えた。 「きれいやなあ」と紗枝ちゃんは言った。風になびく髪を耳にかけると、「こんなにきれいやったら、もっとはよから来とけば良かったのに」と寂しそうに続けた。 「また来ればいいよ」とあたしは言う。何度も。そう言いかけてから、もう何もかも取り返しがつかないことに気付く。  紗枝ちゃんは、「せやなあ」と笑った。それで口もとをおさえると、すぐに金魚がこぼれる。砂の上に落ちて、すぐに動かなくなる。ぜんぶ赤い。またたきの間に、何匹もの金魚の死体があたしたちの間に積もっていく。紗枝ちゃんはもう我慢できないというふうに屈んで、「どうして心は、たった一つしかあらへんのやろか」と言った。  しばらくそうして、紗枝ちゃんが落ち着くと二人でお墓を作った。あたしは彼女を寮に送って「またね」と手を振ると、その日の夜に金魚をぜんぶトイレに流した。それからの彼女は吐くこともなくなったし、うちに来ることもなくなって、半年が過ぎると京都へ帰った。別れ際、「ようさんかわいがってな」と渡された赤い金魚は数年のあいだ生きた。
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ari0921 · 7 years
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TOJIRO__夢と青春の痕跡、浮谷東次郎と船橋サーキットの伝説 あなたは浮谷東次郎をご存知ですか? 覚えているとおっしゃる方は、ほとんど60歳を超えた方たちでしょう。しかし、一瞬、一瞬を真剣に生きた浮谷東次郎には若い頃からの自伝があり、それは文庫にもなっているので、世代を超えて東次郎のことを知っている人も少なくはないと思います。 彼は江戸時代から続く裕福な旧家の一族に生まれましたが、そんな境遇に育った子供にありがちな、無気力で嬾惰な人間ではありませんでした。好奇心に溢れ、興味を抱いた対象には我を忘れるほど夢中になり、何事にも全力投球で打ち込みました。克己心が強く、常に自分の現状に甘んじる事はなかったのですが、人にはとても優しい少年でした。 今しがた少年と言いましたが、1942年7月16日に千葉県市川で生まれて、1965年8月21日に鈴鹿サーキットでアクシデントに見舞われた彼は、23歳で亡くなりました。彼はそのあまりにも早い晩年に至るまで、素朴な少年の風貌のままでした。 浮谷東次郎が物心ついた頃に、父親の洸次郎は、ガソリン・スタンドや自動車の販売店、自動車教習所の経営に携わっておりました。洸次郎は熱心な自動車愛好家で、若い頃には、1936年に完成した多摩川サーキットで開催された自動車レースに足を運んでおりました。 そんな裕福で自動車好きの父親の息子であったゆえの恩恵も受け、小学生の頃から一族の敷地で自動車やオートバイを運転しておりました。1957年、中学3年生の夏休みには、買ってもらったドイツ製の50ccのバイクで、千葉の市川から大阪でホテル暮らしをしていた母の祖父のもとまで走るという、往復1500kmのツーリングを敢行しました。国道といえども、ほとんどが無舗装の砂利道だった時代です。それはたいそうな冒険でした。 高校3年生の時にはアメリカへ留学しました。現地ではアルバイトをして生活費や学費を稼ぎ、オートバイで一人旅をし、またレースでも活躍しました。3年近い滞在の後、1963年6月末に帰国すると、友人たちからつい2ヶ月ほどに開催された日本グランプリの話を聞かされました。すぐにトヨタに自分を売り込んで、レーサーとしての契約を結びます。それから彼の鈴鹿通いが始まります。誰よりも研究熱心でした。 1965年5月には鈴鹿サーキットで1日にふたつのレースで優勝を遂げました。しかし、何より日本のレース界で彼の名前を不朽のものとしたのは、この年に鈴鹿サーキットに続く、戦後の日本でふたつ目のサーキットとして千葉に開設された船橋サーキット最初のビッグ・レースでの活躍でした。レイン・レースとなりましたが、ひとつ目のレースではロータス・エランに乗り横綱相撲のような堂々とした優勝を遂げました。そして、もうひとつのレースでは、当時から注目されていた生沢 徹とトップ争いの最中に、スピンを喫した生沢のホンダS600と接触。傷を負ったトヨタ・スポーツ800の車体の修理にピットに入り、応急処置を施すとレースに復帰して、最後尾から鬼神が乗り移ったかのような追い上げをして、生沢を捉えて逆転優勝を遂げました。この日から、彼の活躍は大いに期待され、彼自身も世界という舞台に羽ばたく意志を持っていましたが、それから1ヶ月後の鈴鹿サーキットで、事もあろうにコース上に入り込んだ人をよけるために照明灯に衝突し、短い生涯を終えました。
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chaukachawan · 5 years
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橋本環奈の膝で寝たい
片割れを追いかけ回しては無視され続けているのちぇです。でぃあが振り向いてくれなくて悲しみに暮れてたらツイッターをフォロバしてくれたので、やっぱり彼女は私のことが大好きなんだと思います。こうやってでぃあを追いかけていたら、最近他の同期にもドン引かれてきているような気がします。
まあそんなことはさておき、役者紹介のお時間でございます。私の紹介が果たして有益な情報か否かはわかりませんが、一先ず目を通していただければ幸いです。
敬称略でお送りしますね。
でぃあ(31期)
名前の由来的に私の片割れ。最近振り向いてくれた(錯覚)話のテンポが独特で妙に鋭利な物言いをするが、そこがまた良い。私は私に厳しい女の子が好きだよ。機嫌の悪い演技がめっちゃ上手い。
津島ヨモツ(31期)
わたし。芸名はノリとテンションで古事記やらなんやらからもってきて3分ぐらいでつけました。なんかアレなんで多分もう二度とつかわない……
西岡克起(31期)
カッコイイ、というかクールな役なのになぜか可愛さが滲み出ている。彼もまた独特のオーラを持っているが、それをうまく武器にしていると思う。ええぞ〜。1人でずっと喋るシーンが多いけど、雰囲気がうまく出ててすごい。
Anna(31期)
諸事情あって時空が歪みまくってるお姉さん。年相応な振る舞いをする時もあれば、あどけない一面を見せることもしばしば。私が落ち込んでたらよしよししてくれる。パフォーマンスでの気合の入った掛け声に注目。私も気合い入れるぞ!!
カーメン(31期)
滅茶苦茶かわいくて日本語がうま��。劇中でも自然に喋ってる。そしてかわいい〜!!!!ちょっとお茶目さんで、悪戯とかを仕掛けて去っていくのがマジでかわいい。ほんと可愛いのでみんな見て。
岸田月穂(30期)
私の高校の先輩。名前聞いたことがあっただけなんだけどすごく親近感。稽古中もお話に付き合ってくださったり、相談に乗ってくださったりもする。感謝でしかない。大阪弁が、とても、すこ。
町民I(29期)
「さすがトムしゃんのコーナー」という、割と小さな事でひたすらこの方を褒め称えるコーナーがよく開かれる。でも実際めちゃくちゃお母さん。面倒見の良さと絶妙なギャグセンスがすこです。
あみ(30期)
演止め班の演出補佐でありながら数々の兼役をこなすスーパーマンのようなひと。一度話せばその世界観に吸い込まれ、その声が脳裏から離れなくなること間違いなしです。そしてしゅごく心が広い。すこ。
佐々田悠斗(29期)
バイトがどうやら忙しいらしいっていうのと、舞台美術の天才だというお噂はかねがねお聞きしております。あんまり面と向かってお話ししたことがない気がします。お喋りしたいです。(ただの願望)(最早紹介じゃねえ)
久保伊織(29期)
筋肉の人。とってもイケボで筋肉なのでオスの頂点に君臨する人物かなにかになるつもりでいらっしゃるんだと思います。というか私自身が筋肉は全てに優越すると思ってるので、結論この人は強い。(当社調べ)
音川(29期)
懐の広い優しいお姉さん。セリフの読み方から立ち居振る舞いまで、細やかな演技指導をしてくださるので本当にありがたいです……。そしてキュート。じつは私、ダンスしてるところを盗み見してはニヤついています。
サミュエル・ツヤン(29期)
サムさんの奇想天外な言動にトムさんがツッコミを入れているのを見るのが私の趣味です。日本語のレベルが高め。「日本語の授業の単位は落としたくても落とせない」と言い切っていた。かっけぇ……。
木下梨実(30期)
まいすうぃーとえんじぇる。ほんとはもっとうざ絡みしたいけど頑張ってるのを邪魔したくないので私はおとなしくしてます。私は待てが出来るいい子です。トムさんの気配を察知する機能が搭載されている。
小林秋人(30期)
結構体格はゴツいのにダンスを踊るとめちゃめちゃ可愛くなるひと。電車の中で隣に居るだけでちょっと肩身が狭く感じるレベルの発声の良さの持ち主。きりみさんと夫婦漫才をする。羨ましい。そのポジションください。
三葛麻衣(30期)
きららさんの考えるキャスパ、ほんと可愛くてかっこよくてすごい。そしてきららさんが踊ると鳥は囀り大地は謳い、私は歓びのあまり涙をこぼす。遠くから笑いかけられるたびに心臓発作で死にそうになるぐらい可愛い。
髙木悠(30期)
頼れるメイクチーフ。たくさん喋った記憶があるんですが、あれは多分メイク講習会とうちいりの記憶ですね。練習ではあまりお会いすることがないんですが、のんびりした雰囲気には安心感を覚えます。
GEO(30期)
我らが演出。才能に満ち溢れすぎていてもはや恐ろしいまである。バイクがクソかっこよくて私もバイク通学したくなった。畏怖の念すら感じているせいでウザ絡みできていないので今後どんどんダル絡みしていきたいと思っています。
なんだか人を巻き込んだ自己紹介みたいになってしまった気がしますが、きっと気にしたら負けですよね!文面から分かると思いますが私、滅茶苦茶メンバーのこと好きです。愛すべき役者が揃った『演技を止めるな!』……面白いこと間違いなしですよね!と言って自分でハードルを上げておきます。まあそんなわけで、最後まで全力で駆け抜ける所存でございますので、6/22(土)よろしくです!
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besidethebag · 7 years
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hEaLtHibOyZ 健康優良新鮮少年
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ヘルシーボーイズ
健康優良新鮮少年
筆者 ネオンポテト
20XX 荒廃した元首都東京
かつて渋谷と呼ばれたB4区エリア。
チップアウト(非人体改造人間)キッズと
攻殻迷彩を纏った警察がイタチゴッコの毎日。
2000年初頭に導入されたマイナンバー制度から世の中は空前の電脳ブームが起こり、
富裕層はこぞって手のひらにICチップを埋め込み始めた。
レイシックなる視力向上の為の電子手術に始まり
人はより豊かな未来を夢見て日々人体改造に走り、政府によるメディアコントロールによりなにも考えず暮してる。
アメリカの大統領が変わるや否や
日本はおもてなし島国として極東のレジャーアイランド、
ジパングとも呼ばれ始めた。
さて、ピラミッドの最下層、低取得層の都民は
地方に疎開する富裕層を尻目に
日々荒廃した元首都東京で
廃品回収に勤しみ、見えない先の未来に
怯えて暮らしている。
首の裏のICチップがやけに痒いと
中高年の初期型電子人はブツと不満を漏した。
反政府側のテロリスト選民による電脳ウイルスによって
硬直人間(アイスマン)にされる事件が多発。
公衆スピーカーから発する怪電波から
耳鳴りの様な音が聞こえた。
その後、至る所で悲痛な叫び
が聞こえる、20XX年 12月 首都荒廃感染。
開催予定だったオリンピック中止。
電脳ウイルスによって
電子人はアイスマンにされ、残された子供達は
攻殻迷彩に追われながら荒廃したマンションに隠れ住む。
朝になると、またB4区にわらわらと戻り
かってに渋谷と呼ばれた街の残骸を拾い集める。
携帯電話のメモリーは細分化され、他人の思い出やたわいもないメールのやりとりは現代においては幸せの象徴。
メール内容によっては高額で取り引きされる。
それだけ過去の情報が価値があるのである。
図書館など政府が管理している為、一般公開はされていない現状。
なぜならつい先日、タイムスリップ可能な装置の開発に成功したからである。
時空警察の誕生。
人が人を管理し人間が時間を制御しはじめると
一気に歴史が変わるもんだから、政府は急遽、歴史や過去を管理し始めた。
さて、話はB4区に戻そうか、
この冷めかけた猫印のコーヒーが呑み終えるまえに。
#00
健康優良新鮮少年
『しってるか?昨日b4区の元ステーションエリアあるだろ?あそこの廃ビル入れるらしいぜ!なあ、今夜出掛けてないか?』
年は16.17位の若者は
ヘルメットを被り、エアーサイクルのエンジンを吹かし始めた。
ナンバーの付いていない盗品車輪にはキーポイントが付いていない。
彼の名は狂四郎。
両親共に電子ウイルス感染によりアイスマン化し児童施設に預けられ、
15歳で施設を出た後はその日暮らしの人生を送り続けていた。
同じ境遇の仲間、達郎と大滝も、感染により両親を失った児童施設出身。
現在この元首都東京は
過去に23区あったが現在は
ここB4区(渋谷) B3(新宿) B2(港区) B1(中央区)しかまだわかっていない。
真っ暗に閉ざされた空間に
政府によって
情報管理され同じエリアに押し込まれ生きていくしかないからだ。
「大滝、お前鈍いからさ、俺のケツ乗ってた方がいいだろ?」
クスクス笑いながら達郎は
キャットピス(ネコのオシッコの様な色のビタミン興奮剤)を放り込んだ。
ムキになった様子で大滝は言い返す
「なんだと~、お前こそ過去の思い出にひたってんじゃーないよ
またそんな幻想歌謡曲なんて聞いてさ、戻れないんだよ、過去には
俺達ビンボー人は金持ち様の為に血や肉となるだけさ、はあ~あ
死ぬなら金持ちのお嬢さんの為に俺の綺麗な血液を使って欲しいぜー。」
手首をポンポンと叩きながら大滝は辺りを見渡す。
さっきまで居たはずの狂四郎の姿が見当たらない。
外をみてもバイクは置き去りのままだ。
「おーい、狂四郎?どこいったあー?そろそろ夜の準備しよーぜ?」
呼び声が反響して雑居ビルに響きわたる。
割られたガラスの破片を踏み歩きながら
暮れる夕暮れを見つめ
窓際にそっと座り込む狂四郎の姿を発見した。
達郎と大滝は
狂四郎に近づき
同じ夕暮れを見つめ
たわいもない会話と
今夜の目的についてプランを練り始めた。
『いいか?あのビルは入り口が一つだ。正面は封鎖され入ることができないが
ステーションビルからビルへ飛び移れば屋上から中に潜入可能だ。』
大滝は自信満々に二人に伝える。まるで一度下見したかの様に。
あくび顔の狂四郎は全くと話には食いつかず
バイクのモーターコイルチェックに余念がない。
あきれた大滝は話を続ける、
『有力な筋からの情報だ、間違いない、何かお宝が眠ってるはずだぜ!ひひひ、やっとおれ達にも健康が訪れるな!最高だろ?達郎』
興奮気味の大滝は達郎の肩を抱きよせ、頭を叩きよろこびはしゃぎはじめた。
話にしっくりこない、達郎は
「オマエの話はなんだかまゆつばものだ、まあいい、お暇チャンネルな夜だ、いってみっか」
3人は深夜植松画材店の隣のビルから飛び移り最上階のドアを蹴破り
中に潜入した。
大滝は
二人を誘導し2階のレジ前に急ぐ。
至る所に飛び散ったインクなどの画材が
ジャクソンポロックのアクションペイントの様な光景が広がる。
そそくさに
忘れ物BOXを引き出す、大滝。
手にはアイホン3GSがしっかりと握りしめられていた。
狂四郎は
レジ裏のシルクスクリーンに興味深々
達郎は
薄っすら光る蓄光インクに目を奪われた。
「なんだよ、これ?光ってるじゃねーか、おい、狂四郎!オマエさっきからなにみてんだよwそんな板っぺら使いモンなんねーだろw」
狂四郎の好奇心は
さらに加速し、紙に包まれたシルクスクリーン版を一枚一枚確認し始め、数分後歓声をあげ二人を呼び寄せた。
『おい、これやべーぞ。
昨日ニュースで破綻したとかやってた
ヒューマンパッカードのパチモンじゃねーかw
ロゴの下には健康優良新鮮少年て描いてある!
これもしかして
プリントできたりするんじゃないのー?
大滝!オマエさっきからコソコソなにやってんだ、いいからオマエのジャケット貸せよ』
狂四郎は無理矢理大滝のジャケットを剥ぎ
シルクスクリーンの板を載せ
達郎の持ったインクを塗りたくる、
棚に陳列されたシルク用のスキージを取り
手慣れた様にプリントを始めた。
『すげー、やばいじゃん!健康優良新鮮少年、ヘルシーだな!よしみんなジャケットにプリントしよーぜ、そうだ俺達、今からB4区代表ヘルシーボーイズだぜ。』
興奮気味の狂四郎につられて
達郎、狂四郎、大滝は揃いのプリントジャケットを着て屋上に向かった。
すると、3人を照らすサーチライトの閃光が3人を包み込んだ。
ヘリだ、間違いなく政府の野郎共が3人を取り囲み始めた。
白い煙が噴出され
意識朦朧とし、屋上で倒れこむ3人。
気づいたらそこは
豆電球だけの暗いコンクリ張りの会議室にいた。
恰幅のいいメガネの軍曹らしき
中年男性が口を開く
「オマエ達、昨夜、なにをやっていたんだ?あそこは政府管理エリアだぞ?知ってて忍び込んだわけじゃあるまいな?」
無言を貫く3人。
呆れた軍曹は
部下に溢れんばかりのバケツをいくつか用意させる。
拷問の開始だ。
矢継ぎ早に3人はバケツの水をぶっかけられた。
バシャ‼︎
「うわー!さみぃー!、てめえこの親父!何しやがる!」
すぐさま狂四郎は低めのタックルで軍曹に飛び込んだが、ビクともせず、
つかみ投げとばされてしまう。
達郎は続けとばかりに、座っていたパイプ椅子で軍曹の頭を殴りつけるも
なんとも無い様子。
「あんた、人間か?w 」
怯む2人に、軍曹はゆっくりと話しかける。
「なかなか、威勢がいいな、2人。鍛えれば使えそうじゃないか、おい、お前、お前だよ、仲間裏切ったお前だよ、こっちにこい!」
大滝は動揺しながら近づいてきた。
「すまない、オンナに騙されたんだ、好きになっちまって、つい、約束を交わしたんだ」
大滝はポケットにしまったiPhone3GSを取り出し軍曹に渡すと、土下座して2人に謝るが
事態をまだ把握出来ない2人は 裏切り者に言葉がない。
投げ飛ばされた狂四郎は怒りが沸点に達したのか
土下座の大滝の腹を罵声と共に蹴り飛ばした。
「大滝てめー裏切ったな!ナオンくれーで仲間売ってんじゃねーぞ、ゴラ!」
周りの警備に止められ事態は終結。
大滝は別の部屋に連れていかれてしまう。
「まあ、人間誰しも欲深き生き物だ、弱肉強食のこの時代、お前らだってアイツの立場になったらわかんないだろ?
それより、取り引きしないか? 
お前らに選択件は無いようなもんだが、ふふふ」
軍曹は
部屋の電気を消してフォログラムを起動し始めた。
青白い光にヘルメット姿の美女の等身大が浮かぶ。
2人は前のめりになり
その美女に釘付け、軍曹は話を始める。
「いいか?タイムワープて、聞いたことあるかもしれないが、お前達2人にこの子を探し出してほしいんだ。時代は1960年代の東京。学生運動家のジンて子だ、詳細は不明だが、あったらこいつを渡せ。」
軍曹は手紙を渡す。
「なにも余計な事は話すな、渡して任務完了だ、そしたら直ぐに戻れ、お前らの行動はこちらでも監視しているから、下手な事したら
ワープゾーンを閉じるぞ。
わかるか?
二度とここには戻る事は出来ないってことだ。」
「わけわかんねーよ、おっさん、俺らをテストした?ってわけか?」
シラけ顔した狂四郎は���気が乗らないし、
ふてくされた様子でさらに
「んなことやるわけねーだろ、だり~な、投げられて首がイデーよ!おい医者いないのかよ、これ立派な暴力だぜ、役人が一般市民にこんな事していいのか?あーん?なめんなよ~!」
狂四郎は怒りが収まりつかずイラつきがなり飛ばす。
しかし軍曹は、なだめる事なく
、狂四郎の頬を殴りつけた。
「いいか?これは教育だ、こっちは暴力だ!」
更に何度も殴られる狂四郎。
後ろから止めに入る達郎も
抑えるのがやっとで、2人はまとめて投げ飛ばされてしまう。
「こいつ不死身か、ターミネーターじゃねーのw」
鼻血を出しながらもヘラヘラし出す2人。
恐怖の余りあたまがいかれてきてしまっている。
堪忍したら2人は
取り引きに応じる。
不法進入の罪をもみ消すというのが一つ。
あとは、新しいバイクや家と仕事の提供も頼んだ。
「おまえらほんと図々しいやつらだなあ~ハハハ!気にいったぞ!約束しようじゃないか!しかし期限は24h!
明日、総理が米国から帰還するまでの間に任務完了させる、
それにこれは表向きには軍は関与しない。
つまり、超極秘任務なわけだ、知られた場合、おまえらを生かしては置けないから覚悟はできてるか?」
2人は、日常よりもよりスリリングなこの作戦に徐々にのめり込んで行く。
「それよりおっさん、大滝は?アイツをシメねーとなんねーから、行く前に合わせてくれない?」
怒りのホコ先は裏切り者大滝に集中するのは言わずもがな。
しかし大滝に会うこともなく2人はタイムワープの準備に取り掛かる。
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#02 タイムワープ
狂四郎と達郎はチップアウトしている為首筋に電脳チップがない。
その為
軍曹は2人をまず電脳化手術を受けさせることに。
痛がる2人、取り押さえられながらも
大きなドリル型マシーンが2人の首に電脳チップを埋め込む。
「いで~なんだよ、麻酔もないのか?
なんかハイになるやつくれよ~、いてよー!うわ~、気持ち悪り~」
達郎と狂四郎は
首にチップを埋め込まれ、その直後激しく嘔吐した。
「なーんだ、さっきの威勢はどーした?w
こんなんじゃ60年代にいってもお前らゲバ棒で叩かれてのされちまうぞw」
軍曹は、呆れた様子で2人に話続ける。
「ジンを見つけるんだ、いいな?
お前達はこれから眠りに着くと思う、起きたら60年代の早稲田大学付近の学生アパートの浴室にいるだろう。その目立つ服はやめろ,なんだ健康優良新鮮少年?馬鹿かw不健康の塊みたいなお前ら、笑わせるwさあ、これに着替えろ」
軍曹は2人に当時の物と思われる、ロングコートと学ランを渡す。
「やだよ、こんなん、だせーじゃん、なあ、達郎?」
嫌がる狂四郎とは逆に、今の時代には珍しい
服に興味心身。
「かっけーじゃん、今の服よりいいぜ、なあ、狂四郎、新品の清潔な服なんて何年ぶりだろ~な」
「おまえさーあ」
狂四郎もしぶしぶ着替え、準備完了。
タイムワープマシーンの椅子に腰掛けもたれかかると電脳チップが光だした。
「さあ、そろそろ出発だ、いいか?ジンに手紙を渡したら、すぐにアパートに戻るんだ、バスタブの中にはいれば、またこの世界に戻る事ができる、いいか?」
2人は軍曹の話を聞いている内に瞼が重くなり眠り始めた。
タイムワープが作動する、まばゆい青い光が2人を包み込み、あっというまに過去へ旅立って行った。
「軍曹、彼ら大丈夫なのでしょうか?何処の馬の骨かもわからないやつら捕まえて、本当に上手くいきますでしょうか?」
研究者は重々しい雰囲気で軍曹に伝えるも
「ふん、まあ、やってみるしかなかろう、代わりにおまえが行くか?それより、2人の動向を見せてくれ」
研究者は
2人のチップにアクセスする。
「こちらです、左モニターは狂四郎の視点、右が達郎になります、電脳化により2人の目の前に広がるビジョンがモニターに浮かび上がります、また、右にあるヒューマンバロメータは彼らの体力や、心臓の鼓動を表します。」
まるでゲームのように2人の視点がモニターに映りこみ始める。
2人はバスタブに無事転送されたようだ。
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#03 学生運動
2人は気がつくと大きなバスタブの中に倒れこんでいた。外は明るく騒がしい様子。
それもそのはず、この時代の週末は学生集会が至る所で行われているからだ。
のっそりと起き上がる2人。
ポケットの中の手紙と渡された地図を確認し
ジンを探しにアパートを出る。
目の前に広がる光景に驚きを隠せない2人。
それもそのはず、未来にはない、生き生きとした人々が革命に向けて声をあげている。
「おい、狂四郎、なんか腹減んないか?なんか食いたいぜ、ミッション前に」
大滝は空腹にたいかねて辺りになにかないかキョロキョロ見渡しているが周りには何もない。
多くの学生運動家がプラカードや、横断幕を掲げ、ヘルメットを着用し、長い角材(ゲバ棒)を持った行列がキャンパスに向かっている。
その行列の流れに2人も潜り込んだ。
学ラン姿の2人は
同じ志の者と思われたのか、話しかけられる
「押忍、君達も今日の集会に参加するのか?学ランじゃ目立つぞ、内ゲバにあわないようにコートで隠しなさい、ああ、ヘルメットもしてないじゃないか?」
1人の運動家が狂四郎に尋ねると狂四郎は
「押忍、俺達遠くから来たばかりで何もわかってないんだ、ヘルメット?ああ、忘れてきてしまったよw 悪いが余分に余ってないかな?あと、こいつの名前は達郎。昨日から何も食べてなくてこれから向かうってのに空腹で力が出ないw食べ物もあれば少し分けていただけないでしょうか?」
流石、狂四郎だ、図々しいおねだりも
流暢な言葉で相手を引き込み始める。
達郎も飯にありつけると思ったのか?
前のめりになり
「押忍、なんでもいいんで食べ物をください、なんでもしますから、ていうか、その長い棒切れはなんですか?」
ゲバ棒に興味心身な達郎に
「腹が減っては戦はできないよな、ほれ、これを食べたまえ」
運動家はポケットから竹皮で包んだ白むすびを2人に分ける
「うひゃー!ありがたやありがたや!旨い、おいひー」
むさぼり食べる2人。
運動家は
仲間から予備のヘルメットとゲバ棒を2人に渡す。
「今日は新しいリーダーが来るはずだから機動隊のやつらも沢山やってくるだろう、君達も準備して起きたまえ、ちなみに君達はどこの班だ?」
「え、俺達?B4区代表!健康優良新鮮少年だぜ、いぇーい!ヨタヨタ野郎には負ける気しねーよ!」
思わず口が滑る狂四郎。
運動家達は未来のB4地区なんて知るよしもなく、首を傾げている。
「良く分からんが、まあいい、人数が多いに事に越した事はないからな,さあそろそろ集会場に着くぞ」
校門をくぐり抜け、バリケードの間を通り抜け沢山の人で溢れかえる校舎前に着くと
拡声器から女性の声が聞こえてきた。
「良くぞ集まってくれた同志!!今夜は決戦の金曜日だ! 一歩足りとも奴らをこのバリケードの中に入れてはならない、私達は革命の為に日々血を流し奮闘しているが、それも今日で終わりだ!! 最後の力を振り絞り共に行こう!」
歓声が響き渡り、ゲバ棒を掲げ声を上げる運動家達。 それを横目に狂四郎と達郎は
ジンが誰なのか?探り始めるが物凄い人の数に検討もつかず、ステージにやっと現れた声の主をみて驚く。
リーダーと言われていた者こそが、ジンであったからだ。
「うわーまじかよ、ジンて学生運動のリーダーだったのかよ,やばいなあー、達郎。どう渡したらいいかんだ、俺達.....」
ステージから遠く離れた行列の中でジンとどう接触するか狂四郎は達郎作戦を練り始めた。
すると、ざわめきが聞こえる、
バリケードの外側から機動隊が煙幕を投げ込んできたのだ。
辺りは白い煙に包まれて、ステージに立つジンらしき女性もそそくさとその場所から離れて行ってしまった。
2人は急いで群衆をかき分けてジンの後を追いかける。
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#04 ジン
2人はジンの後を追いかけ校舎の中へ3階まで上がり
人の声が聞こえる会議室に向かう。
割れたガラス窓から外を見ると機動隊はバリケードを突破、
運動家達は火炎瓶などで応戦、
黒い煙が立ち込めるキャンバス、2人はジンを急いで探しはじめた。
会議室を覗くとジンと2人の男性がなにやら揉めている様子。
「ジン、あんたの考えについてきた俺達はどうなる?
何人もの仲間が捕まり投獄され、いよいよこのキャンパスも奴らの手中の中だ
俺達の身柄も時間の問題だな、あんたどうするつもりだ?」
詰め寄る男、
その隣の男性はマスクを被り様子がおかしくそわそわしながらジンに
「俺は捕まりたくないし、下手したら死んでしまうかもしれない、あんたについてきて運動ばかりで楽しみもろくに知らない、なあ良いだろ?一回くらい?楽しませてくれよ、へへへ」
さっきまでまともに思えた隣の男も眼つきが変わり
「そうだ、あんたを抱いて奴らに渡せば俺達は助かる、さあおとなしくしろ!」2人はジンを取り押さて襲いかかる。
「やめろー!おまえ達、キャー、なにしてる!」服を剥がされ無防備なジン
「ひゃひゃ、いただきまっ、うわ!ぐへぇ」
ゲバ棒で頭をかち割られ倒れこむ男。
その瞬間に逃げるジン。
何事かと男が振り返ると狂四郎と達郎はニコニコしながらもう一方の男の頭をゲバ棒で殴りつける。
タイミングばっちりの2人、男達をさらに殴りつけ
「オンナを男2人で襲ってんじゃないよ、このキンタマのカスが!
達郎お仕置きしてやんな」
達郎は2人を窓際に引きずり持ち上げて窓から突き落とした
「重いんだよ、ニーさん達、ナンパは別の場所でやりやがれ」
動揺するジンは震えた声で
「誰?あなた達?でも、ありがとう、たすけてくれて」
涙ぐむジン。
狂四郎は着ていたコートをジンにかける。
「大丈夫かい?お嬢さん?俺達はあんたの王子様だよ、安心してくれ、これを渡しに来たんだ」
手紙を渡す、中身を確認するジン。
「じゃあ、脱出しよーぜ!あんたも来るかい?」
狂四郎はジンを誘うが
「私にはやることがあるんだ、でもこの手紙どうしたんだ?あんた達何処から来たんだ?」
ジンはさらに混乱し事態を把握できない様子。
「それは.......」口ごもる達郎。
狂四郎は堪忍したのか、それとも、美しいジンを目の前に隠し通せなかったのか?首のチップをジンに見せる
「わかったよ、ほらこれみて、わかる?俺達未来から来たんだ、あんたにその手紙を渡す為にね、つーかさ、なにが書いてあるの?それ?」
内容を尋ねる狂四郎
「これか、これには住所と部屋番号が書いてあるだけだ、ここに行けば分かりはず、そんなに遠くではないはずだからいってみるよ、ありがとう」
ジンは、寂しそうに外の紛争を見つめる。
焦げ付いた臭いと夕暮れの光がおり重なり、紛争も徐々に終焉に近づきつつある様子。
「俺達も行くぜ、なあ狂四郎!お嬢様をお連れしよーぜ」
達郎も狂四郎と同じなくジンの美貌にのめり込み、
寂しそうな様子にほっとけないようだ。
「おし!いくぞ!」
3人は非常階段から校舎を出る。
群衆をかき分け、やっとのおもいでキャンパスを脱出した。
途中何人も殴り飛ばしたゲバ棒は外をでてみると血まみれなので投げ捨てる2人。
「すごい!やったわ!脱出成功よ!ありがとう!」
喜ぶジン(ぐう~ジンのおなかのなる音)
「やだー、ごめんなんだかお腹がすいたみたい、ねえ、途中に美味しい屋台のうどん屋さんいかない?アタシが奢ってあげるから」
2人はもちろんと頷き3人はうどん屋に向かった。
途中雨が降ってきて、急ぎ足の3人、店につくなりジンが
「アタシに注文まかせて!おじさ~ん、天玉うどん屋大盛り3つ!卵は中入れで!」
慣れた様子でオーダーを済ます。
「はい、お待ちどうさん、お嬢ちゃん、今日は珍しいトモダチつれてきたね、みない顔だけど」
上がってきたうどんは半熟になった卵が中に入った天玉うどん、見るからに旨そうである。
「うひょー、いただきまーす、アチチ、口の中がやけどしたぜ、でもこれめっちゃおいひー」
興奮気味の狂四郎とあまりの旨さに無言でうどんを夢中で食べる達郎。ジンは2人をみて満足の笑みを浮かべる。
食べ終わる頃には雨はすっかり止み、目的地へ急ぐ3人。
街灯に照らされた60年代の東京はとてもロマンチック。3人はこれから待ち受ける手紙の住所に向かうにつれて胸躍らせていた。
モダンなビルが立ち並ぶエリアに一軒だけ異様な雰囲気のこの建物、ここが目的の場所だ。ゆっくりと忍び込む3人。
軋む階段をゆっくりと上がり、部屋の前につきドアを開けると.....そこには未来の研究室にいるはずの軍曹の姿が。
「おっさん!なんでここにいるんだよ!」
驚いた狂四郎、すぐにジンの前に立ち、守る様に軍曹に話じめる。
「ははは、プリンセスをお連れしたんだぜ!
さあ、俺達のミッションは終了のはずだ!約束を果たしてもらうよ」
しかし、軍曹はなにも喋ろうとはしない。
「この人、誰なの?」
ジンは2人に問いかける。
するとゆっくりと軍曹が喋り始めた
「ご苦労であった、お前達がくるのはわかっていたよ、ジンを救出してくれて本当にありがとう、感謝する。これで未来に戻れば、ウイルスのない平和な世界に変わっているだろう、さあ時間もないんだ、すぐ出発するぞ」
「ちょっとまって!あたしにはまだやるべきことあるのよ、あなた達の世界には行けないわ!」
戸惑うジンに軍曹は
手にもったライトをジンの瞳に当てる。赤く光る先行。すると彼女は意識を失ってしまう。
倒れそうなジンを支える狂四郎は怒り叫びだす。
「おっさん!なにを彼女にやったんだ!死んじまったらどうするつもりだ!おい達郎!なんとかしろ?ってあれ?」
達郎はすでに倒れ込み眠りに入っていた。
タイムワープがセットされたのだ。
狂四郎はジンを抱きかかえながらも、タイムワープによる眠気に勝てず膝を着き、最後の力でジンをそっと抱きかかえながら眠りに入る。
「未来でゆっくり説明してやる」
タイムワープの眩い青い光が部屋全体を覆い尽くす。
未来から過去に転送さされたあの時の様に。
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#05 新しい世界
小鳥の囀りに目を覚ます狂四郎。
気がつくと病院のベッドの上にいた。
さっきまで過去にいたはずなのに今は未来にいる。
狂四郎はベッドから降りて窓の
カーテンを開け外を眺めるとそこには
緑にあふれた新しいネオ東京が広がっていた。
自分達が生きていた荒廃した未来はもうない。歴史が変わったのだ。
ドアが開く音がする。
そこには軍曹が優しい顔つきで狂四郎を手招きしている。
「やっと起きたか!これからは、俺の元で働いてもらうぞ、ほら約束のバイクのキーだうけとれ」
軍曹はキーを狂四郎に投げ渡す。
軍曹は手に持った新聞を広げ狂四郎に見せる。
そこには大きな見出しでオリンピック大成功と記されていた。
狂四郎の両親がアイスマンになったあの日と同じ日付けが記されている。
本来ならオリンピックはウイルス問題により開催されていない。
つまり、電脳ウイルスは存在しなかったと言う事になる。
ジンを助けた事で未来が変わったのだ。
「まーつまりだな、あの時お前達がジンを助けなければ未来は変わらなかった。そうだ、襲った2人こそが未来のテロリストの祖先になるわけであって
奴らを始末したことでその後のテロもなくなったわけだ。
ただし、ジンはここにいるだろ?
過去の記録には失踪となっている。
もともとジンはあの時お前達が行かなければ殺されてしまうはずだった
わけだからな。
それと
あの部屋で彼女の瞳に当てたライトの赤い光をおぼえているか?
あれは彼女の記憶を書き換えたのさ、
だから彼女の記憶では事故に遭い長らく入院していたことになっている。
お前、余計なことを言うんじゃないぞ!
もしお前が口を滑らしたら生かしちゃおけない。
それはお前を過去に転送した時の条件、おぼえているな、余計な事をジンに喋るな。
人は誰しも秘密をもっている。
だから
お前も今回の事は心��中にしまっておけ。
ちなみに彼女はお前と交通事故にあったと思っている。
身寄りはないが、わしが面倒みている事になっている。
しかし、いつも側にいることができない、わかるだろ、軍人は忙しいのだ。
そこでお前さんの登場てわけだ、
これからは仲間としてジンを見守ってほしい。」
「まじかよ、俺たち未来を変えたんだな、でもなんで彼女を未来に連れてきたんだ?」
疑問を問う狂四郎に
「まあ最後まで話しを聞け、彼女は実は超能力者の素質を持っているんだ。そうだよ、ジンこそが本物の選民だ。
これからは徐々にその力が発揮されていくだろうが、時間も掛かるからな。だから支えてやってくれ。
あとな、お前の連れの大食いの記憶も消したぞ。過去の記録は私とお前だけの秘密て事だ、ハハハハハ、そろそろジンが起き出すからな、よろしく頼むぞ」
軍曹は手短に内容を狂四郎に伝えた。
するとジンがゆっくり目を覚まし
「ふあ~、あれ?アタシどうしたの?ここは?病院?あれ?叔父様?どうしてここに?
あ、思い出したわ、狂四郎!あんた、アタシをむりやりバイクに乗せて旧市街で事故ったわよね!どーしてくれるのよ!」
ジンの声に起きた達郎は空腹のなのか
「あーれーここ何処だ?うわーなんか、ハラヘッタなあー、あれ?でもなんで俺はここに?昨夜はレースしてた筈なのに、まあいいや、それより狂四郎、なんか食べにいこーぜ!なあ、ジンも行くだろ?うどん食いたいなあーへへへ」
呑気な達郎の一言。
彼は過去も未来も言う事は変わらない。
狂四郎「じゃあ行くか?」
ジン「いこー!」
達郎「いこーぜ!」
ベッドを飛び出した3人は
外の駐輪場へ向かう。
新車の赤いエアーバイクが二台停車しているのが見えた。
ゆっくりとキーを差し込む、スピードメーターが点灯する。
狂四郎の後ろに乗ったジンは耳元で囁く
「今度は事故らないでね!」
「ああ、しっかりつかまっとけ!」
ジンに優しく問いかける狂四郎。
2人のやりとりを眺める達郎は
「お二人さんお熱いねー、さきいくぜ!」
茶化された狂四郎はアクセルをふかす
「うるせーな、後についた方がおごりだぜ!いくぞ!」
激しい排気音と共に二台のバイクは空の彼方に消えていった。
新しい世界と健康を手にした若者達。
彼らは自らをこう呼んだ
俺達は健康優良新鮮少年(ヘルシーボーイズ)と。
この先の未来、何が待ち受けているか誰にもわからない。
しかし自らの人生は己の力でどうにでも描くことができる事を体現し
健康を手にした3人に恐れる物はなにもない。
そう、彼らはもう新鮮なのだから。
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あとがき
Besidethebagがお送りする
ショートノベルシリーズ第2弾
ヘルシーボーイズ如何でしたでしょうか?
ストリートウェアーから生まれた
SFストーリー。
裏原宿の残響音をベースに"アキラ"の影響を そのままデザインにオマージュしたアイテムなど.....
サンプリングだけでは収まらない新しいストリートノベルの世界。
物語の主人公達は目の前の現実世界を歴史ごと覆し自らを手で未来を変え、健康と新しい世界を手に入れる事が出来た様に、
ヘルシーボーイズを知ったみなさんも
新しい東京の感覚を感じ、新鮮な気分でいてくれたら嬉しいと
願っております。
thank you guys! peace love!!
beside the bag
ネオンポテト
2016 01/19
4 notes · View notes
kkagtate2 · 5 years
Text
偽善者の涙[二]
[二]
「それぢや、行つて来るよ」
「行つてらつしやい。沙霧ちゃんによろしく言つておいてね」
里也の実家へ金沢旅行のお土産を持つて行つたのは翌週の事であつた。尤もかう云ふのはいつも佳奈枝がささつと済ませてしまふのだけど、先週散々沙霧の事を思ひ出して顔が見たくなつてゐた里也は、いいよいいよ、二人で行くと絶対に何だかんだ云つて帰りが遅くなるから、実家へは俺がお土産持つて行く。お前はゆつくりしておいで。昼過ぎには戻つて来れるとは思ふけど、もしかしたら昼食はあつちで食べるかもしれないから、その時はまた連絡する。と、妻に少々云ひ聞かせるやうな感じで言つて、朝から嬉々としてゐたのであるが、一人阪急に乗つて眺める景色は余りにものどかである。雲ひとつ見つからない空の下には、線路に沿つて所狭しと家々が立ち並んでゐるのだが、そこには冬に特有のどんよりとした空気が流れてゐない。どことなく沿線を歩く人々の顔もなごやかである。いつもかう云ふ時は下を向くか佳奈枝とお喋りをする里也は、しかしそんなのどかな風景を嫌悪感を持つて、――とまではいかないまでも、どこか恨めしい目で見てゐた。彼にもその理由は分からなかつた。実のことを云ふとかう云つた感情は、今のやうに時がゆるやかに経つてゐさうな晴天時には、必ずと云つていいほど感じてはゐるのであるが、それが何時頃から始まつたのかも分からぬ。気がついた時には陽の光の下でのう〳〵と歩いてゐる老人すら恨めしく、時には隣で呑気な声を出してゐる妻にすらさう云つた感情を向けてゐた。が、やはり理由は分からない。彼自身、さう云ふのどかな天気が嫌いな訳ではない、むしろ自分もそのゆつたりとした時に身を任せて日向ぼつこをしたいとすら感じる。道行く人達がのんびりと歩いてゐたと云つても、今の生活に何ら不満も不便も感じてゐないのだから、別に恨めしく思ふ必要も無い。里也はいくらか気を紛らわしてくれる佳奈枝の存在が恋ひしくなりがらも、さつきから電車が揺れる度にガサガサと音のしてゐるお土産の袋を握り直して、一人暗い部屋に閉じこもつてゐるであらう少女、――と云つても彼女ももう二十台後半に差し掛かつてはゐるけれども、彼からすると今も昔も変はらない一人の少女の姿を思ひ浮かべた。沙霧のことを思ふと不思議なことにいつも恨めしい気持ちが消えて行くのである。もちろん彼にはその理由も分からないのだけれど、そもそも原因すら掴めてゐないのだから、さうする他無い。実家の最寄り駅に降り立つた頃には、すつかり気持ち悪い感情もどこかへ消えてしまつて、里也は再び嬉々とした足取りで歩いてゐたのであるが、相変はらずゆつたりと体を通り過ぎて行く空気に、何か心の中で燻るものを感じずにはゐられなかつた。
「ただいま、――」
と里也は玄関をくぐりながら言つたが、この家は殊に玄関からリビングまでが遠く、声を張り上げないと聞こえないため、靴を揃えて床に上がつた。
「ただいま、母さん」
「呼び鈴を鳴らせといっつも言ふとるやろ」
老境に差し掛かつてひどく寒気を訴えるやうになつた母親は、室内ですら何枚も重ね着をした上で、暖房を点けて、一人テーブルの上で雑誌を読んでゐた。呼び鈴を鳴らせ、とはほんたうに毎回言はれてゐることではあるけれども、あの間延びしたやうな無機質な音に沙霧がひどく怖がつてしまふので、もうかれこれ十年近くボタンを押したことが無かつた。
「親父は?」
「今日はバイクで有馬の方まで行くつて言つて、さつき出てつた」
「元気だなあ、……あ、これこないだ金沢に行つた時のお土産。麸の味噌汁と加賀棒茶」
「……と、これは何や?」
と母親が手に取つたのは、達磨のやうな可愛い人形が描かれた一つの箱である(――「起き上がりもなか」と云ふ名前がついてゐる)。
「それは沙霧へのお土産。さう云へば沙霧は? 上に居る?」
「あいつが外に出るとでも思ふか? 静かだから寝てんのと違ふ?」
と母親は「沙霧」と云ふ名前を聞いた途端、あからさまに不機嫌になつて、投げるやうに言つた。沙霧に対するこの態度は昔からで、毎度の事ながら里也はムツとしながらも、グツと自分を抑えて口を開く。
「そりやさうか。相変はらず滅茶苦茶な生活してんだな」
「ほんま、佳奈枝ちゃんがあんたの嫁に来てくれて良かつたわ。あたしはあんな――、」
とそこまで聞いて我慢ならず、話の途中で起き上がりもなかを引つたくつた。
「さう云ふなよ、沙霧だつて、……まあええわ、ちやつと渡して来る」
「はいはい」
里也は云ひ知れぬ気持ち悪さを感じながらリビングを後にして、階段を登つて行つた。一段一段踏みしめる���に鳴るその音は、今も昔も変はらずトン〳〵、……と軽やかである。階段を登り終えるとすぐ左手にかつての自室があるのであるが、こちらは昔とは違つて、もう物置と化してしまつて、開け放たれた扉から段々に重なつたダンボールが見える。里也はそんな自室だつた部屋を通り過ぎて、廊下の袋小路にある窓に照らされた、しいんと佇む扉の前に辿り着いた。沙霧の部屋は今も昔も変はらず、鍵なんて無いのに鍵がかかつたかのやうに固く閉ざされてゐる。その木の模様を背景に、先に云つた窓から差す陽の光で、空を漂ふ埃がキラ〳〵と輝いてゐるのが見えたのであるが、少し首を伸ばすと楽しさうに歩く女生徒の組が目に飛び込んできてしまつた。彼は魔が差してドアノブを掴みかけた手を引つ込めると、チラとお土産に目をやつて、鼻で深く息をついて、それからそつと中指でノックをした。――が、それでも扉は依然しいんとしてゐた。
「沙霧、入るぞ」
先程、まだ寝てゐるかもしれないと云ふ話があつたが、もし起きてゐたところで反応してくれないのは分かつてゐたので、できる限り音を立てないように扉を開ける。今日はほんたうに快晴で、雲ひとつ見当たらない綺羅びやかな日であるのに、部屋の中は薄暗く、一歩間違へれば夕方だと錯覚してしまふ。敷居をまたいで見渡したところ、つい先月訪れた時と様子は変はり無いやうであるが、ゴミの散らかり具合は増したやうな気がする。里也は充満してゐる女の匂ひにムツとしながら、床に落ちてゐたお菓子の袋を拾つて、そのまま電灯のスイッチに手を伸ばすフリをした。
「あっ、だ、だめ、点けないで。……」
「やつぱり起きてたんか。――まつたく、こんなもの食べて無いでちやんとご飯食べなさい」
と摘み上げたゴミをゴミ箱に入れて、ベッドに近づく。沙霧は布団に頭まですつぽりと包まつて、バラバラと無造作に伸びた髪の毛を散らばらせながら、屹度した目でこちらを見てきてゐたのであるが、里也がベッドの側まで寄つて、膝を着く頃には上半身を起こして目を擦つてゐた。恐らく昨日も、――と云ふよりは今朝も日が昇る頃まで起きてゐたのであらう、聞くところに寄ると最近では夕方頃になつて初めて目を覚ますと云ふ。しばらく待つてゐると、ベッドに腰掛けるやうに座り、目を細めただけの中途半端な笑みをこちらに向けて来た。
「――ただいま、沙霧」
「おかえりなさい、兄さん」
彼女は今度こそ自然な笑みを顔に浮かべた。
今年二十六歳となる沙霧は俗に云ふ引きこもりであつた。毎日を陽の光も入らぬ暗い部屋で過ごし、たまの外出と云へば深夜にコンビニへ行くのみ、数年前の金沢旅行なぞは実に半年間は説得に費やして実現した奇跡である。手は色白なんてものではなく、遠目からでも静脈の青い筋が分かつてしまふ。彼女を抱く時に見える薄い胸元は余り白すぎるので色気も感じられない。もう十年以上伸ばし続けてゐる真黒な髪の毛は、未だ艶やかさを保つてはゐるけれども、理容室に行くことも怖がつて出来ないので、ボサ〳〵と彼方此方(あちらこちら)に散らばつてしまつてゐる。着てゐるものと云へば、袖が広がつてしまつたボロ〳〵のパーカーに何年も昔から履いてゐるジャージだけで、そこに「おしやれ」などと云ふ単語は見受けられない。薄暗い部屋の中で見えるその姿は、人間と云ふよりも人形であり、今にも闇に溶け込んで消えて行きさうである。二人は立ち上がつて、里也はくるりと反対側を向き、沙霧はその背中側から肩に手をかけて、馬鹿丁寧に外套を脱がしてやる。
「して、今日は何用で来なすつたの。私、兄さんが来るとは聞いてませんでしたよ」
「母さんには云つたんだけどなあ、……前来た時、金沢に佳奈枝と行くつて言つてたろ?」
「楽しかつた?」
「――まあまあな。佳奈枝だと落ち着かつた、とだけ云つておかうか」
「ふ、ふ、――この浮気者。……」
「ほつとけ。それはそれとして、お土産が、……」
とちやうど外套をそつとラックにかけ終わつた沙霧にもなかの化粧箱を差し出す。
「あら、起き上がりもなかぢやないですか。わざ〳〵買つて来てくださつたんで?」
「色々悩んだけど、前おいしいつて言つてたからな。満足した?」
「いえ〳〵、兄さんからいたゞいた物に不満はありません」
沙霧は受け取つたもなかの箱を眺めながら心底嬉しさうに笑つてゐた。いくら不摂生な食事と不健康な生活を送つてゐるとは云つても、その顔は非常に可愛らしい瓜実顔で、きちんと髪を整えて着る物もちやんと用意してあげれば、男の一人や二人は簡単に釣り上げられさうではあるのだが、少々可愛らしすぎるかもしれない。もうあと二三年経てば三十路だのなんだの言はれる年齢ではあるのだけれど、かれこれ十年以上引きこもつてきたせいで、年齢の割にはずいぶん若く見える、――と云ふよりは幼さが抜けきつてゐない。時が止まつてゐるやうにも感ずる。実際里也は、里帰りをする度にさう云ふ印象を抱いてゐた。今彼の目に映つてゐるのは、今も昔も変はらない一人の愛ほしい少女であつて、決して佳奈枝のやうな一人の妙齢の女性ではなかつた。
二人はそれから部屋の真ん中にある卓袱台に並んで座つて、早速お土産の包みを開け始めた。依然として部屋の電気は点けさせてくれなかつたが、机の上にある豆電球のやうな白熱灯の明かりを頼りに、沙霧は丁寧に包み紙を取り除いてゐた。聞けば蛍光灯の光は非常にうるさいらしく、浴び続けてゐると疲れ切つてしまふのだと云ふ。可愛い包み紙を取つ払つて箱を開けると、中にはこれまた可愛い人形たちがじー、……とこちらを見つめて来て、里也には少々不気味に感じるものゝ、沙霧にはこの瞬間がたまらないらしい。
「こんにちは、可愛い〳〵お人形さん。今からここに居る心無いをぢさんに食べられちやうけど、覚悟の方はいかが?」
「あ、俺? 沙霧が食べるんやないの」
「ふゝ、せつかくだから一緒に食べませうよ。どうせ私にはもつたいないですもの。……」
沙霧はその可愛い人形を一体摘み上げて、ピリ〳〵と包装を剥がして、手の上で達磨のやうにコロ〳〵と転がした。白熱球の柔らかい光に照らされた顔には無邪気な笑みが溢れてはゐるけれども、その目はどこか焦点が合つてゐないやうだと、里也はそれとなく心付いたが黙つてその様子を眺めてゐた。
「あら、どうしませう?」
「なにが?」
「どうやつて二つに分ければ良いのでせう。……」
「適当でええんちやうの。真ん中から、かう、……ズバツと、一思ひに」
「お人形さん、やつぱりこのをぢさん心が無いやうです。せめて美味しく食べてあげますから、許して、ね?」
沙霧の口調と表情が余りにも様になつてゐたせいか、里也はいつの間にかくつ〳〵と笑いだしてゐた。
「もう一つ開けようや。一番それが手つ取り早いやろ」
「それもさうですね。――お人形さん、良かつたねえ。半分に切られずに済みさうですよ」
とうつとり言ふのを眺めてから、里也は「お人形さん」を取らうとしたのであるが、真白い指が横からさらりと伸びて来る。
「あゝ、兄さんはこちらを、……」
ひんやりとした柔らかい指であつた。くるりと手の平を上に向けられて、今しがた話しかけてゐた「お人形さん」をちよこんと乗せられる。
「お先に召し上がつてくださいな」
と沙霧はお人形さんをもう一体摘んで、またもやピリ〳〵と包装を剥がし始めた。里也は器用に動くその指と自分の手に乗つた「お人形さん」を、今ごろ暇さうに音楽でもかけて過ごしてゐるであらう佳奈枝を頭に描きながら、互ひ違ひにぼんやりと眺めてゐた。
「もう、……私に遠慮なさらなくても。……」
「せつかく一緒に食べるんやし、たまには一緒のタイミングで食べようや。ほら、お土産を買つて来たお礼だと思つて、さ」
「でも、……」
「まあまあ、さう言ふなよ。俺は沙霧と一緒に食べたい」
沙霧はまだ文句を言つてゐたが、それでも渋々もなかを口の前に持つて行つたので、里也はいただきますと言つて人形の頭にかぶりついた。アイスのもなかはさうでもないのだが、やはり和菓子のもなかは皮の部分が歯の裏側に張り付いて気持ち悪さを感じる。が、あんこの絶妙な甘さとサク〳〵とした食感の前ではそんな気持ち悪さなどどうでもよからう、非常に美味で、沙霧が気に入つたと云ふのも頷ける。――と、そんなことを思ひながら横を見ると、話題の沙霧は「お人形さん」を持った手はそのままに、里也がもぐ〳〵と口を動かすのを、嬉しさうな笑みを浮かべながら見てゐた。
もし身なりを整えて、食べてゐる物がもなかなどでは無く彼女の手料理であれば、その姿は時代遅れで甲斐〳〵しい妻のやうに見えたかもしれない。毎度のことながら彼女がボロ〳〵のぼろを着てさう云ふ、謂はば「夫婦ごつこ」をするので佳奈枝にはいつも笑はれるのであるが、二人は至つて真剣で、里也などは外套をわざわざ沙霧に脱がせるために、しばらく着たまま家中を歩き回るのはすでに見た通りである。一体いつからかう云ふことをし始めたのかと云ふと、沙霧の口調がやたら謙り初めた頃に遡るのだが、そのためにはなぜ彼女が引きこもりになつたのか語らねばならぬ、全ての原因は彼女が味はつたいぢめの苦痛にあるのだから。
事の始まりは沙霧が小学六年生の時だつたはずである。「はず」と云ふのは本人がはつきりと言つてくれないからなのであるが、ある日ただでさへ少食な沙霧が夕食を全く食べずに残して、母親にこつぴどく怒られてゐたことがあつた。実を云ふとその前の日も、前の前の日も、前の前の前の日も、食欲が無いと訴へて料理を残してをり、たうとう堪忍袋の緒が切れた、とさう云ふ次第である。とは云へ沙霧が食事を残すことなんて別段珍しく無いし、残したところで里也が食べるだけであつたし、それに母親はどこかカラツとしたところがあつて、叱り終えれば普段通りに戻るので、里也はただその様子を見てゐたのであるが、沙霧はその後もずつと縮こまつた体をさらに縮こまらせて力なく俯いてゐた。それが里也が沙霧の異変に気がついた最初の日であつた。彼女はいつもなら無理をしてでも笑つて、里也に励まされてゐるうちに元通りになるのである。が、その日はいくら励まされやうとも小さく縮こまつた体は小さく縮こまつたままで、何かを言はうと口を開きかけるものゝすぐにしよんぼりとしてしまふのであつた。
一日だけなら、彼もさう云ふ日も時にはあるだらうとあまり気を留めなかつたかもしれない。しかしそれからと云ふもの、沙霧は家に居てもひどくしよんぼりとして、全く喋らうともしなくなつて、何を聞かれても「うん」としか返さなくなつてゐたのである。何より彼を心配させたのは、朝学校へ登校するのを渋りだしてゐたことで、一ヶ月が経たうとする頃には遅刻寸前までもた〳〵して、親に尻を叩かれなければ家を出られなくなつてゐた。彼はもう気が気でなかつた。異変を感じた日に沙霧が何を言はうとしてゐたのか、この行動だけで大方予想がついてしまつた。助けを求めたくても言ひ出せない、誰かに頼りたくても頼れない、それはかつていぢめられた経験のある彼だからこそ理解できた。だから彼はまず話だけでも聞かうとしたのであるが、それが実現したのは実に三ヶ月後であつた。なぜかと云つて、そもそもいぢめと云ふのは誰かに話しづらいのである。放つて置いたらそれこそ取り返しのつかない事態になるまで黙つてゐることもあるであらう。それに、よくいぢめは恥ずかしいことだと云ふが、傍観者または加害者には感覚が分からないだけで、いぢめられてゐる側の方がよつぽど恥ずかしいと感じてゐるのである。だから里也は、元来恥ずかしがり屋な沙霧がさう〳〵自分の事を打ち明けることなんて無いと分かりきつてゐたから、何度も何度も根気よく接した。するとある日、決して自分から話しかけることの無くなつてゐた沙霧が、お兄ちやんと言つて、部屋から出て行かうとする彼を呼び止めたのである。
いぢめの内容としてはいはゆるハブられであるから、詳しくここに書く必要はあるまい、しかしその原因が里也にもあつたことは述べねばならないであらう。彼は異変を感じる少し前に、沙霧に面白がつて中学で習ふ内容を教へたことがあつた。彼自身何を教へたのかも忘れてしまつてゐたのであるが、話を聞いてゐるとどうやらそれを宿題か何かで使つたのだと云ふ。教へた方が忘れてゐると云ふのに、ちやんと覚えてて、しかも使つたのだから、その記憶力と応用力に本来は鼻高々となるところではある。が、担任の先生からの反応は微妙であつた。どうしてかう云ふのを使つたの? どこで知つたの? 今はまだ習つてゐないのだからまだ使つてはいけないよ、――など、それを語る彼女の声はひどい涙声で聞き取りづらかつたけれども、そんなことを云はれたと彼女は言つた。これがもし職員室かどこかで相対して云はれたなら問題は無かつたかもしれない、繊細な彼女の心は一時は傷つきはするがすぐに立ち直つたかもしれない、しかしクラス全員の前で云はれたとなれば話は別である。たつたそれだけでも、恥の感情に敏感な沙霧は極度に恐怖を感じて、回復までしばらく内にこもらねばならぬと云ふのに、もつと悪いことにきつかけとなつてしまつたのである、いぢめの。
里也が後から聞いた話では、元々沙霧と云ふ女の子は非常に物静かで意見をあまり言ひ出さず休み時間も一人で過ごしてゐるやうな子で、嫌なことを嫌とはつきりと言へないからちよく〳〵使ひ走りにされてゐたらしく、先述の一件で完全に火がついてしまつた、と云ふあらましではあるのだが、彼が感じた責任感は如何ほどであつたか。俺のせいで沙霧を追ひ込ませてしまつた、俺のせいで沙霧にいぢめの苦しみを味ははせてしまつた、俺があの時少なくとも学校では使ふなと云つておけば、――今でも沙霧の姿を見るとさう云ふ後悔が胸の奥底から湧き上がつて息が詰まるほどである。彼は沙霧が一息ついた後、しばらくたつても何も言へずにゐた。一応いぢめだとそれとなく気がついてゐたから取りあへずの言葉は用意してゐたが、まさか自分にも非があるなどとは全く考えてゐなかつた。咄嗟に出てきた言葉は、あと数ヶ月もしないうちに小学校を卒業するのだから、もう少しの辛抱だ、中学校に入れば環境が変はつて、ハブられるのも無視されるのも無くなるはず、それまではかうして話を聞いてあげるから、そもそもさう云ふことをする人は沙霧が羨ましいだけなんだから、気にする必要なし、――のやうな適当で無責任な言葉であつた。今思へばたゞ泣き寝入りしろと、さう云ふ事を言つたゞけにすぎなかつた。
扠、中学校に入つて状況が変はつたかと問はれると全くさうでは無かつた、むしろ悪化したやうにさえ感じる。里也は彼女の部屋から夜な〳〵泣き声がするのを聞いた。それは彼がカウンセリングもどきをした後彼女が寝静まるまでのほんの十分ぐらいではあつたけれども、余り毎日続くので両親にいぢめのことが知られてしまふのでは無いのかと、ヒヤ〳〵しながら眠りについてゐたものであつた。と云ふのも沙霧はいぢめられてゐる事をひた隠しにしたかつたからなのであるが、どうしてそこまで秘密にしておきたかつたのか、里也には頭で分かつてゐたものゝ、感覚的にはさつぱり理解出来なかつた。今でこそぽつ〳〵と当時の事を語つてくれるので、それが彼女の恥に対する恐怖心と、純粋な人への疑心と、打ち明けた際に訪れる状況への不安から来たものだと、何となく分かりかけてはゐるがしつくり来てはゐない。兎に角当時の彼には、ただでさへ環境の変化に弱い彼女がさう云ふ状況で友達を作れてをらず、一人ぼつちを恥じてゐること、何か悩んでるなら話してごらん? ほら、話すだけでも気が楽になるから、などと教師に云はれて逆に途方も無いストレスを感じてゐること、そして知られてしまつたら最後、必ず学校まで行つて、散々文句を言つて、加害者に対して過激な事を言つて、いぢめを加熱するであらう両親、……いや、蓋しそもそもさう云ふ両親の反応自体、彼女には耐えられないであらうこと、――それくらゐしか分かつてゐなかつた。殊に両親に知られてしまふ事に対しては、沙霧ははつきりと恐れを抱いてゐた。お願ひ兄さん、お母さんとお父さんだけには、お願ひ、ほんたうにお願ひ、……とほとんど土下座に近い体勢で里也に言つたこともあつた。それほどまでに彼女にとつて自分の胸の内を知られるのは耐へ難い苦痛であつた。
結局その願ひは彼女が中学二年の冬頃までしか叶はなかつた訳であるが、しかし実際の両親の反応は彼女をどれだけ傷つけたのであらう。彼らはまず沙霧にかう言つた。あんた昔からなよ〳〵してるからそんなことになつたんや、里也みたいにやられたらやり返せばえゝんや、なんで黙つたまゝをるんや、……顔をあげなさい、さう云ふのがあかんのやで、まずその自信なさげな格好をやめなさい、友達がをらんのだつたら誰でも良いからさつさと話しかけて作りなさい、一人でうぢ〳〵してゐてもなんも変はらん、ええか? どうせいぢめてる奴なんてしようもないんやから見返してやつたらえゝんや、分かつたなら返事くらゐせえ、とりあへずあたしは明日学校に行つて担任の先生と話して来ます、……里也、上に連れて上がつてくれ。――と一方的に言つて、次の日ほんたうに学校へ向かつた。何をしたのかは里也には分からないが、噂を聞く限りではその日の夕方、クラス一同を集めた教師は一枚の紙を配つて、どうしていぢめなんてしたのか、彼女を無視したりした人はその訳を、見てゐた人はどうするべきだつたかを、匿名で良いから書いてくださいと、さう云ふ、恐らくは親に云はれて思ひついた策を実行したのであつた。――が、彼女はそんなことされたくなかつた。彼女はただ穏やかに過ごしたかつたゞけだつた。静かに、誰にも見つからずに、幽霊のやうに、ただ一人でゐたかつた。いぢめられることよりも、それを大事にして恥をかく方がよつぽど彼女にとつては辛かつた。次の日から学校へは通へなくなつた。
里也にとつてはそれからがほんたうに大変であつた。激高して無理やり引きずり出さうとする両親をなんとか宥めつけ、沙霧の世話役を名乗り出たのは良いものゝ、部屋から全く出てきてくれないので、扉の前で一言二言話しかけた後ずつと佇んでゐたのであるが、その気配すら鬱陶しいらしく何度も何度も、ごめん兄さん、今は兄さんの声も聞いてられないからそつとしておいてください、お願ひします、……と云はれ追ひ払はれた。彼が上手かつたのはそこで単に食ひ下がつたり、無理やり食ひついたりしなかつたことで、よく〳〵沙霧の気持ちが落ち着いてゐるタイミングを見計らつてノックをし続けた。「し続けた」と云つても、彼の感が今では無いと云ふ日が続けば数日間放つて置くこともあつた。次に顔を見たのはほとんど年度末に近い頃合ひだつただらうか、関西圏にしては珍しく細かな雪がはら〳〵と降つてゐたから、まだ三月にはなつてゐなかつたはずである。扉の前へやつて来た彼はいつものやうに、――それはひどく冷え込んだ日の朝であつたから、沙霧、寒くないか、お兄ちやんは今まさに凍えて死にさうです、さう云へば来月にセンチュリーがサン=サーンスの交響曲をやるんだが、一緒に来る気は無いか、と世間話を、――今でこそ当たり前となつた音楽の話題を切り出したところ、思ひがけないことに少しだけ、ほんたうに少しだけ扉が開いたのであつた。兄さん、えつと、……すみません、それにはご一緒出来さうに無いです、すみません〳〵。と云ふ彼女の目は先程まで泣いてゐたせいであらうか、やたら腫れぼつたく、他人行儀に敬語を使つて謝罪されたことなんて些細なことのやうに思へた。里也は伸ばしかけた手をグツと引いて、まあまあ、ちやつとあの曲の良さを語り合ひたい奴が欲しかつただけだから、――あ、なんなら聞いてみるか? CD なら二つ三つはあるから貸してやるよ、個人的にはモントリオール響が一番綺羅びやかで厳かな雰囲気を同時に実現できてゝ好きなんだが、沙霧はどうだらう、もう少し落ち着いた方がお好き? それともシカゴフィルみたいに爆音がお好き? まあ、無理にとは云はないけど減るもんぢやないから取つて来るわ。――音楽の話題になると止まらないのは彼の癖で、それにその日は再び顔を見せてくれたのが嬉しくて仕方なく、少々舌が回りすぎたかもしれないと思つたが、彼女は扉を閉めることなく待つてくれてゐた。が、部屋の中はちやうど今日のやうに真暗であつた。里也が件のCD を手渡すと、沙霧はしばし眺めた後、ほんたうに私なんかゞ兄さんの物を借りてもよろしいのですか、とおず〳〵と聞いた。えゝで〳〵、ま、いらんって云つても仲間を増やしたいから勝手に置いてくけどな、と笑ひながら云ふと、でもやつぱり兄さんに悪いですし、それに私なんかゞこんな、……と云ふ。里也はこの時、先程感じてゐた喜びがどこかへ去つて行くのを感じた。そして、昔ならありがたうと言つて嬉しさうな顔を浮かべる場面であるのに、身を縮めて申し訳なささうな顔を浮かべる沙霧の変はりやうに、たうとう胸の中にこみ上げるものを抑えきれなくなつてゐた。涙声で遠慮なんてしなくていゝ、俺よりも沙霧の方がかう云ふのは似合うから、俺だけはこれからもずつと沙霧の味方だから、だから、すまん沙霧、すまん、……と途中でいぢめの原因を作つてしまつたことを思ひ出して、自身の言葉の薄つぺらさを嘲笑ひながら云つた。沙霧もそれを受けて泣きながら、ありが���うございます兄さん、ありがたうございます、……と返したが、彼女の場合それが本心から出たのであらうと思ふと、一層自分の浅はかさに不快感が募つた。
沙霧はその日里也から三つもCD を受け取つて実際に全部を聞いたらしく、一週間もすればあゝだかうだと里也と感想を言ひ合ふやうになつたのであるが、不登校引きこもりと云ふ現実は変はつてをらず、家の外へは全く出られなくなつてゐた。たまに会話にさう云ふことを促すやうなことをそれとなく入れてみたこともあつたけれども、そも〳〵学校へ行くなどと云ふ選択肢が無いやうな口ぶりで返された。折しも年度末であつたから、時間はたつぷりあると思つて四月からの新学期までには復活するよう、里也はゆつくりと沙霧を説得してゐた。それを邪魔したのは学校の先生方で、彼らはしばしば家に訪れては固く閉ざされた扉の前まで行つて沙霧に呼びかけたり、電話をかけてきては嫌だ〳〵と言つてゐるのにしつこく話をさせろと言つてきたり、余りにも頻繁なので里也は学校への復帰どころか、怯えた彼女を宥めるので精一杯であつた。先に呼び鈴を十年近く鳴らしたことが無いと云つたのはこの時が原因である。ピンポーンと無機質な音が鳴る度に沙霧はビクツと体を縮こまらせて、里也の胸に顔を埋めて震へてゐた。
しかしそれでも里也の努力があつたおかげか、無理のない程度ではあつたけれども翌年度から学校へ通ひだして関係者一同ほつとしてゐたのであるが、こじれた親子関係と歪んだ性格だけは里也には直せなかつた。結局卒業まで両親は一人静かに居たかつた彼女を理解できなかつたし、先生方は相変はらずヤケになつて彼女を目立たせる行為をし続けたし、沙霧は沙霧で里也への依存を強めて他の誰にも心を打ち明けなかつたし、それに彼女の口調は謙る一方であつた。二人はあの日、――扉を開けてくれた日から顔を突き合はせれば決まつて音楽、特に里也の趣味であるロマン派の楽曲の話題で盛り上がるのであるが、どれだけ楽しさうに話が進んでゐても、沙霧は決してあの変に謙つた敬語を崩すことは無い。沙霧は変はりに変はつてしまつた、俺にすらもう気楽に口調を崩してはくれないのか、もうあの頃に戻ることは出来ないのであらうか。……里也はしかし、さうは思ひながらも口角が上がるのを抑えきれなかつた。(何故かと云つて)彼にとつて理想の女性とは、男の云ふことを何でも聞き、男の思ひを何でも叶へ、自分は決して出しやばらずどんなに理不尽でも文句の言はない、さう云ふ傀儡のやうな人間であつた。その点からすれば、いつも敬語を使つて自分を一段も二段も下げる沙霧の存在はまさに彼の理想とするところであり、むしろいぢめた者たちに感謝しさうにさへなつてゐた。彼が今日に到るまで沙霧に尽くして来たのは、いぢめの原因を作ってしまつた責任感があつたからかもしれない、大切な家族であつたからかもしれない、同情心もあつたからかもしれない。しかしある時からは、普通の女性では満たされない何かを満たしてくれるから、などと云ふ不純な理由になつてゐた。そしていつしか、その何かを満たしたいが故に彼女のしたいことは何でも受け入れて、より申し訳無さゝうな顔をさせるやうになつてゐた。――つまり彼は沙霧と云ふ哀れな少女の心を弄んで自分の欲望を満たすやうになつてゐた。「夫婦ごつこ」はさうやつて始まつた。そして「夫婦ごつこ」はそのために今でも続いてゐる。彼は対外的には沙霧に社会復帰してほしいと望みながら、心のうちではこのまま自分の理想の傀儡であつてほしいと思つてゐるのであつた。
だが経緯が経緯なので、さう云ふ自分に嫌気が差してゐるのも事実である。いくら自分の理想とするところでも、今もなお無力で、復讐したくても出来ず泣き寝入りすることしか出来ない沙霧を見てゐると、やはり愛欲やら情欲よりも先に、いぢめの種を撒いてしまつた後悔が先行してしまふ。その復讐と云へば、今は何も出来なくても将来楽しそうに生活するだけで十分復讐になると、人はよく云ふし、里也の両親もよく云つてゐたのであるが、果たしてそれが復讐になるとほんたうに云へるのであらうか。いぢめと云ふのはいつだつて加害者は忘れ、被害者はいつまでも覚えてゐるのである。そして加害者はそんな過去のことなんて忘れて良い人生を生き、被害者はまずいぢめで受けた痛みを克服しなければならないのである。沙霧にはそれができなかつた。彼女は人生のレールに戻る苦痛を味はふ前に、里也に甘えきつてしまつた。だが甘えさせたのは里也であるのだから、――自分の欲望を満たすために彼女の望みを叶へたのだから、いくら人の心が無いやうな彼でも、心の痛みを感じない訳はなかつた。しかし今更どうやつて動いたら良いのであらう。時として沙霧は愚痴をオブラートに包んで吐き出すことがあるのであるが、出てくるのはいぢめてきた者に対する羨望の念と、自分に対する強烈な否定の念であり、一体彼女がどれほど自分を蔑んでゐるのか、少しでも間違えれば霧のやうに消えて行きさうな気がして、里也は彼女を突��ぱねることが出来ないでゐるのであつた。
「美味しいですか?」
沙霧は相変はらず微笑みながら言つた。
「……うん、美味い。それにしてもあれやな、この粒あんがそも〳〵美味いんやな」
「でせう? その粒あんと、もなかのかはの香ばしい風味が合はさつて、しごく上品な味はひになる、……そこが私は好きなんですよ。まさに和菓子だと思ひませんか?」
「せやな。それはそれとして、沙霧もそろ〳〵食へよ。眺めんのも飽きてきたやろ」
「さうですね、兄さんを眺めるのには飽きてませんけど、私もいたゞくことにしませう。さ、お人形さん、お仲間が食べられて怖いでせうけどゝうぞこちらへ。――」
「ふっ、……」
と里也が小さく笑ふのを見てから、沙霧は両の手で持つたもなかを啄み初めた。一口〳〵が小さいのでしばらく時間がかゝると見た里也は、目を閉じてゆつくりと口を動かすその姿を見ながら、カーテンからぼんやり漏れ出てゐる陽の光に意識を集中させてゐた。家を出る時間が時間であつたから、たぶん今は正午を回つたくらゐだと思うのだがどうかしらん。さう云へば佳奈枝に昼食をどうするかそろ〳〵云はねば、また後でむくれて面倒なことになつてしまふ。里也はそんなことを思つてゐたものゝ、実は昼食に関してはもう決まつてゐるやうなものであつた。食事に関しては元々無頓着だつた沙霧の最近の食べ物と云へば、母親がお情けで買つてくれる弁当や、たまに行くコンビニで買つたお菓子くらゐなのであるが、あまりにも不摂生なので見かねた里也がかうして実家へ赴いた時には必ず、一緒に飯でも食はうと提案してゐるのである。そんな、何も私にお気遣ひなさらなくてもと、彼女に毎回遠慮されるものゝ、たまにはお前の料理が食ひたくなるんだよと言つて、無理やりキッチンへと向かはせてゐた。外で食べないのは沙霧が極端な内向型で、人の気配がするだけでも疲弊してしまふからではあるのだが、さうやつて料理を作らせるのは、食事もまた彼にとつては「夫婦ごつこ」の一環にすぎないからであつた。普段まともなものを食べない彼女がそんな美味しい料理を作れるはずがなく、毎回、兄さんごめんなさい、美味しくないでせう、無理してお食べにならなくてもいいですから。やつぱり私には料理なんて無理なんですよ、……と泣きさうになりながら云ふ沙霧を見て、それでも彼の命令に忠実になつて作つた料理は、佳奈枝では満たされない何かを十分満たしてくれた。最近では中々上達してきてゐて、まともなものを食べて欲しいと云ふ願ひも果たされつゝあるのであるが、当の本人は元々少食な上に体を動かさないから、全くと云つて良いほど食べてくれないのである。……
「さう〳〵、さう云へば、六月のシンフォニーにドレスデンフィルが来るんやけど、どう? 行かへん?」
沙霧がもなかを食べ終はつて、しやり〳〵と包み紙を弄び初めた頃合ひに、里也はわざと思ひ出したやうに聞いた。
「どの曲を演奏なさるのか、聞いてからでも?」
「あゝ、すまん。たしか、シューベルト、ベートーヴェン、ドヴォルザークで、後ろ二人は五番と九番。シューベルトは忘れた」
「まあ、〝新世界〟つて、兄さん来週お聞きになるのでは?」
「さうなんだよ。だから行くかどうか決めかねてゝ、沙霧が行くつて云ふんだつたら、俺も行かうと思つてゝ、……」
沙霧は相変はらずしやり〳〵と包み紙を弄んでゐたのであるが、突然丁寧に折りたゝみ始めた。
「でもお高いんでせう? 私そんなにお金持つてませんよ」
「いゝから〳〵。お金のこと抜きで、沙霧はどうしたい?」
「それなら、とつても行きたいのですけど、……」
と、折りたたんだ包み紙をキユツと手の内に握り込んで、
「お越しになるのは兄さんだけですか? それとも、……」
と言つた。その言葉の先には、お姉さんもお越しになるのですか? と、さう云ふ問ひかけがあるに違ひなく、里也も絶対聞いてくるだらうとは思つてゐた。別に彼女は佳奈枝を嫌つてゐる訳ではない、むしろ好いてすらゐる。が、やはりあゝ云ふ順風満帆な人生を送つてきた人物にはどこか引け目を感じるらしく、話すのに気を使ひすぎてぐつたりとしてしまふから、あまり会ひたくは無いと昔遠回しに云はれた事があつた。里也にもその傾向はあるので気持ちは分かるのであるが、今回は恐らくそれよりも、三人で居るのに一人になつてしまふ状況が起きやすいことに、彼女は恐怖を感じてゐるのであらう。たゞでさへ人が近くに居ると頭の中が真白になつて言葉が出てこぬ沙霧のことである、最初は元気があるから良いものゝ、少しでもすると上手く受け答へが出来ず、金魚のフンのやうに夫妻について回る様子が目に浮かんでゐるに違ひない。里也はだから佳奈枝も来るとは伝へずにコンサートに誘つたのであるが、結局彼女が来ないことは分かりきつてゐた。
「云ひ出しつぺはあいつだから、それは、……ね」
「さう、……ですか。すみません、せつかくお誘ひ頂いたのに、えつと、その、……」
沙霧は最後まで言葉が言へずに俯いてゐた。
「あゝ、いや、俺の方こそすまん。佳奈枝の事を云はずに誘つてしまつて」
「いいえ、兄さんは何も悪くないんです、悪いのは私なんですから、私だけなんですから、……」
「いや今のは完全に俺が悪い。……あゝ、こら泣くな。沙霧には沙霧の、人との付き合ひ方があるんやから、佳奈枝もそのことは分かつてくれてるんやから、ゆつくりと慣れてけばえゝんや。まだ心を打ち明けられないんだつたら、それでえゝから、な? 沙霧は沙霧のペースでやつてくれ給へ」
……でもあと何年かゝるのであらう。もうすでに沙霧と佳奈枝が対面してから三年も経つと云ふのに、彼女はまだ妻を信用できてゐない。里也は普段は二人の仲人を買つて出てはゐるものゝ、たまに面倒に思ふこともあつて、いゝ加減さつさと仲良くなつてくれよと愚痴をこぼしたくなる折もあるにはあつた。
「さう云へば兄さん、バラキレフのイスラメイと云ふ曲をご存知ですか?」
沙霧が落ち着いた後、二人はいつものやうに音楽の話題で盛り上がつてゐた。彼女はそれ意外はからつきしなのに、音楽となると途端に饒舌になるから、慰める時はいつもかうである。
「あの気狂ひみたいに難しいやつか?」
「さうです〳〵。久しぶりに聞いたら、やつぱり一つ〳〵の音が踊つてるのが気持ちよくて、こゝ二週間ほどはずつと繰り返してるんですよ」
バラキレフのイスラメイはその昔、里也もずいぶん聞き込んで、実際に弾かうとしてすぐに断念したことがある。冒頭からして音が跳ね回つて愉快ではあるけれども、それがオクターヴの跳躍やら素早いパッセージにまで発展して手に負へないのである。よく聞いた割にはあまり知らないのであるが、あの曲が人間の世界を描いたとは思へない。かと云つて神の世界を描いたとも思へない。何なのかと強いて云へば、踊り狂ふ東洋の美男美女を音で表現したと云へばよからうか、沙霧の云ふ通り例へスラーがかかつてゐたとしても、激しく足を踏み鳴らしながら音が踊つてゐる。……
「あー、あー、あー、ダメだ。一度思ひだすともう止まらん。どうしてくれるんだ」
と里也は少々わざとらしく言つた。
「ふゝゝ、私なんて今日兄さんに起こされてからずつとですよ。ほんたうに麻薬ですよ、麻薬。ある意味幻想交響曲みたい」
「もう何年と聞いてないんだけど、未だに頭にこびり付いてるからよつぽどやでえ。……ちなみに誰の演奏を聞いたの」
「あゝ、それは、――���
と沙霧は体をビクツと震はせて、扉の方を向いた。明らかに怯えてゐるやうであるが、階段を上る足音が聞こえてくるに従つて、里也はなんとなく原因が分かつてしまつた。
「沙霧、そんな怯えなさんな。今日はお兄ちやんがついてゐるから、無理して声を出さうとしなくていゝ。ほら、落ち着いて」
と手を握つてやるが相変はらず表情は固いまゝである。なんとかしてやりたかつたけれども、足音の主はぱつぱと部屋まで近づいて、案の定無遠慮に扉を開いた。
「里也、もう昼やけどご飯どうすんな。食べて帰るんな」
母親は小さく縮こまつた沙霧には目もくれずに里也に問うた。
「飯なら沙霧に作つてもらふから、えゝわ。ま、食べて帰るつてことで」
「さよか。ぢやあ、あたしはこれから出かけて来るから、後は勝手にやつてくれ」
「へい〳〵」
と母親が去つてから沙霧を見ると、いくらか和らいではゐたけれども不満げな顔でこちらを見つめてきてゐた。
「まあ〳〵、母さんこれから出かけるんだから、ちやうどいゝぢやないか。今日も美味しいご飯を作つてくれ」
「兄さんのいぢわる。美味しいと思つてないくせに、……」
「いや〳〵、最初はさうだつたかもしれんけど、最近は腕を上げたよ。ほんたうに。沙霧のご飯は美味しい」
と、そこまでおだてゝやうやく沙霧の顔は晴れ上がりだす。嘘を付くことは、しかし最近はほんたうに料理の腕を上げて来てゐるので、気が悪くなることは無くなりつゝあつた。
「もう、仕方ありませんね。そこまでおつしやつて頂けるなら、作らざるを得ません。けど、――」
と彼女は恥ずかしさうに笑つて、
「――その前にシャワーを浴びてもよろしいですか?……」
と、さう言つてゆつくりと立ち上がつた。
「あゝ、行つておいで。――」
と里也は沙霧が部屋から出るのを見届けてから電話を取り出して、今日もやつぱり食べて帰ることになつたと、たいそう不機嫌さうな声を出す佳奈枝に伝へた。
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shodoshimacho · 6 years
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第46回壺井栄賞授賞式
第46回壺井栄賞授賞式が行われました。
壺井栄賞は、讃岐が生んだ作家 壺井栄先生を顕彰するとともに、郷土の児童、生徒の文芸資質の向上と発展を図るため創設されたもので、毎年、香川県下の小・中・高校生・高等専門学校から作文を募集し、最優秀作品に壺井栄賞を贈呈しています。
梅雨の最中、あいにくの雨。
壺井栄さんの生まれ育った坂手地区を見渡すことができる壺井栄記念碑のある向いが丘で行われる予定だった授賞式は、場所を移し坂手公民館で行われました。
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(毎年、壺井栄さんの命日に壺井栄文学碑前で授賞式が行われます)
6月23日は壺井栄さんの52回忌にあたります。
映画「二十四の瞳」の中で歌われていた「浜辺の唄」のメロディの流れる中、しめやかな献花で授賞式が始まりました。
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全88点の応募の中から見事、第46回壺井栄賞に選ばれたのは、
パワフルな祖母との温かなやりとりを描いた
土庄中1年(応募当時土庄町立土庄小学校6年)
木場由衣さんの「わたしのパワフルばあちゃん」
です。
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木場さんは第41回の壺井栄賞でも優秀賞に選ばれており、何よりも読書が大好きだといいます。
「今回の受賞を祖母は大変喜んでくれました。
祖母は今年で79歳になり、手術をしたため、バイクも自転車も乗れなくなりました。
だから今は歩いて素麺の仕事の手伝いに来てくれています。
人はどんどん年をとります。
今までできていたことが病気や年のためにできなくなることも増えていきます。
みんなが通る道ですが、祖母の生きざまを見つつ、私も今からどう頑張るかを考えていきたいです。
そして、私も祖母のように自分にできることを自然にできる人間になりたいです。」
と喜びを語った木場さん。
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(大好きなおばあちゃんと)
おばあちゃんは、なんどもなんども頷きながら、受賞作品を読み、「よく書けている」と褒めてくれたそうです。
ユーモアに溢れたおきゅうの場面も楽しんで読んでくれ、近所の人も次々に読みに来てくれたそうです。
木場さん、そして優秀賞5名の作品はいずれも、家族や友達、先生など周りの人々との触れ合いの中で描かれた個性豊かな作品です。
そして、普段の生活の中で生まれる何気ない愛情を上手に描いています。
子どもたちが描く愛情は素直でまっすぐですね。
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(授賞式後の座談会で保護者や先生が語る言葉も愛情がいっぱいでした)
壺井栄さんのお孫さんの加藤公市さんは、
「いつの時代のものなのか、皆目わからない作品が多かった。現代の日本でこういう幸福が可能なのか、といささか羨望を感じた。」
と語られました。
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(皆で「七つの子」を歌いました)
以下に受賞作品を最終選考委員の作家:芦原すなおさんの選評とともに、掲載いたしますので、ぜひご一読ください。(学校名・学年は応募当時のものです。)
◎ 壺井栄賞「わたしのパワフルばあちゃん」 
  木場 由衣(土庄町立土庄小学校6年)
選評|「筆者のおばあちゃんは78歳。たいへんにパワフル。家業のそうめん製造の厳しい仕事を毎日ばりばりこなします。そして雨の日も、カッパも着ずにバイクをとばして仕事に通う。さすがに筆者がそれを見かねて、ネックウォーマーをプレゼントすると、風呂に入るとき以外は、寝るときだってつけるよ、と言って大喜び。そして、おばあちゃんにおきゅうをすえるときの情景が楽しい。だいたい1度に10個ぐらいすえますが、あるとき筆者は調子に乗って50個もいっぺんにすえたりして、背中が「まるで山のふん火状態」になりました。でもおばあちゃんは「えらい気持ちがえいなあ」。とまた、アイスが大好きで、あると全部食べちゃうから、一個ずつ買うのだとか。ほんとに素敵なおばあちゃんの姿と、おばあちゃんのことが大好きな筆者の気持ちが、とてもいきいきと描かれていて、読みながら嬉しくなる。素晴らしい文章の力です。」
▼木場さんの作品はこちらから
http://www.town.shodoshima.lg.jp/kakuka/shakai_kyouiku/pdf/1806231.pdf
以下、優秀賞受賞の5作品です。
◎ 優秀賞「ぼくはむしはかせ」
  小野 誠司(小豆島町立池田小学校1年)
選評|「大の虫好きの筆者のために、お兄ちゃんがタマムシを掴まえてくれました。この虫の美しさを、筆者は夢中で語ります。学校ではカマキリの世話係。カマキリがエサのバッタを食べるところや、自分のカマをなめる仕草も一心に観察する。夏にはセミもいっぱい捕まえる。この興味の深まりと広がりこそが、成長の証。立派なむしはかせになりますように。」
▼小野くんの作品はこちらから
http://www.town.shodoshima.lg.jp/kakuka/shakai_kyouiku/pdf/1806232.pdf
◎ 優秀賞「ぼくの大すきなつり」
  湊 昊仁(小豆島町立星城小学校1年)
選評|「筆者はつりに夢中です。お父さんとの船づりでは、リール付きのサオでみごとハマチのこどものツバスをつり上げました。つったさかなをみんなが、おいしい、おいしいと言って食べてくれるのもたまらなくうれしい。そしてお父さんが赤いすてきなつりざおを買ってくれました。そんな筆者のわくわくする心の動きが、見事に描かれています。」
▼湊くんの作品はこちらから
http://www.town.shodoshima.lg.jp/kakuka/shakai_kyouiku/pdf/1806233.pdf
◎ 優秀賞「ぼくはタカになりたい」 
  山本 崇太(小豆島町立池田小学校4年)
選評|「勉強嫌いだったお父さんは自分みたいになったらあかん、と言い、お母さんは筆者のいい成績を指して、トンビがタカを産んだ、などと言う。その言葉、最初嬉しくなかったけど、二人のお医者さんとの出会いを通して、努力して自分を乗り越えることがタカになることだと思うようになります。暖かい家庭の中で少年はしっかり成長していきます」
▼山本くんの作品はこちらから
http://www.town.shodoshima.lg.jp/kakuka/shakai_kyouiku/pdf/1806234.pdf
◎ 優秀賞「わが家の『インドの日』」
  川野 颯也(小豆島町立安田小学校5年)
選評|「箸を使わないで手で食べる筆者の癖を、お父さんとお姉ちゃんが二人がかりで注意します。かわいそうに思ったお母さんは、お父さんがいないとき、今日はインドの日だから手で食べる、という遊びを始めます。これが楽しい。今度はお父さんも入れてインドの日をやってみたいとぼくは思います。お母さんの優しい機転が、暖かい家庭を見守っています。」
▼川野くんの作品はこちらから
http://www.town.shodoshima.lg.jp/kakuka/shakai_kyouiku/pdf/1806235.pdf
◎ 優秀賞「ぼくの成長」
  岡田 真弥(小豆島町立苗羽小学校6年)
選評|「6年生の筆者は音楽部長で、バイオリンパートのリーダー。音楽コンクールの課題曲がたいへんな難曲で、自分でもうまく弾けないのに、下級生の指導もしなければならない重圧にめげそうになりますが、懸命の練習でついにトンネルを抜け出し、年末の本選では優秀賞を獲得します。誠実な筆者が重圧と向かい合って乗り越える様が胸を打ちます。」
▼岡田くんの作品はこちらから
http://www.town.shodoshima.lg.jp/kakuka/shakai_kyouiku/pdf/1806236.pdf
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inomiyu · 7 years
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_trip 恒春/古城西・北・東門めぐり('16年4月台湾旅)
2016年4月21日(四) バイクで墾丁ぐるんとまわる旅に出かける前に 実は恒春の東西南北にそれぞれある門を、 それらを繋ぐ城壁をたどりながら ぐるんと歩く旅(すなわち散歩)もしていたのだった。 恒春は、恒春古城と呼ばれる城壁に囲まれた古い町。 気候は年中通して20度〜30度と温暖で 「恒に春」だから「恒春」というのよと 宿の李媽が教えてくれた。 地図を見た感じ、東西南北の門は歩いても回れそう。 調べたら、一周だいたい3キロぐらいとのこと。 恒春古城についてはこちらを。
国家二級古蹟に指定されている恒春古城は、台湾で最も保存状態の良い城門古蹟です。外敵の侵入を防ぐことが建造当初の目的で、清朝大臣沈葆禎の許可を受け、劉璈の風水でもってこの場所が選ばれ、1875年(清光緒元年)から5年の歳月をかけて竣工されました。今日まで130年余りの歴史があります。 恒春古城の城壁は全長約3,208m、厚さは約6.6m、東、西、南、北、4つの城門を併せ持っています。全ての城門の最上部に砲台が備え付けられ、城楼、城台、銃眼付き胸壁など、部分的にではありますが現存しており、外観は完璧であると言えます。城楼はすで��面影を残していませんが、登ってみれば当時の様子を偲ぶことができます。 
古城の東門は、恒春から満州へと向かう道路上にあり、城門の上に屋根が作られています。修復の際に、古城の原型を元に新しく城壁を作ったので、砲台や銃眼も見てとることができます。東門から、城壁があった当時の城門の様子を想像できることでしょう。 扉跡と城門上の低い壁のみを残す西門は、活気溢れる中山路にあり、四方が住宅に囲まれているため、意外と小さいという印象を受けるかもしれません。 
西門一帯は以前は商業区で、交通の要に位置しており、地元住民も他県からの来訪者も、必ずこの門を通過したものでした。現在は人口が更に密集し、商業も盛んになり、西門周辺はますます狭くなりました。 
南門はアーチ状の城門とレンガの城壁、反り上がった軒の城楼を有し、4つある城門のうちで最も保存状態が良いと言えますが、修復を何度も繰り返したため、本来の面影から最も遠い城門でもあります。墾丁方面から恒春鎮へは必ずこの南門を通るのですぐにわかります。現在は恒春鎮のロータリーの中心となっています。 
北門は恒春県城の正門でもありました。主幹道路上にあり、唯一城門の上へと登ることができます。登るには城門右側の坂道から登ります。北門には、清光緒2年から現存する恒春古城唯一の石碑があります。もともとあった軒付き単檐歇山式の城楼は、いまはもうありません。〜〜 
ーi屏東より
私が泊まっていた宿は南門からほど近いため 前夜のうちに見ていたから その次にあるであろう西門に向かった。 西門は、映画《海角七號(海角七号/君想う、国境の南)》で、 ヒロインが乗っていたロケバスが「狭すぎて通れない」門として登場する。 西門へは宿から恒春老街を真っ直ぐ北に歩いて5分ぐらい。 急に開けたところに出たと思ったらそこが西門だった。 近くに大きな廟があって、廟と言えばの、大木の木陰に赤い椅子を広げて 楽しそうにおしゃべりに興じるおっちゃんおばちゃんの風景もあった。 西門。近づいてみると確かに低い。 車高の高い車は通れないね、確かに。 さらに、幅も結構狭い。 門の反対側に回ると、ああ、きっとここだ。 映画に出てくるところ。 しかし、保存状態がめちゃくちゃいいなあ。 130年前に作られたものがこれだけきれいに残っているのだものな。 もちろん、すべての城壁がこの状態で残っているわけではないけれど。 城壁の上は残っている部分だけ歩けるようになっている。 いい眺め、とまではいかないけど、 ちょびっとだけ高い目線で恒春老街を見られる。 次はこのまま北門、行ってみよう。 城壁がずっと続いているわけではないけれど この延長線上に並行して伸びている道を進んでみる。 歩くこと10分ほど。北門、着いた。 門の周辺は西門も北門もちょっとした広場のようになっている。 西門からは老街が伸びていて廟もあったから人の往来があったけど ここは、人の姿もまばらだった。 では次、東門。 北門から東門へと続く道は、さきほどまで来た道とは雰囲気が変わり 沿道に木が植えられていて、なぜかちょっと不穏感あり。 不穏っていうか、なんかちょっと怖いねんな、感覚として。 人家はあれども人にはほとんど出会わない。 さくさく歩いていると目の前に大きな犬小屋、 そこにまたそこそこでっかい犬が繋がれていて こっちを睨んでいるのが見える。 いや、睨んでいるんじゃなくて見てるだけよね、 怖がったら逆にだめよね、だめよだめよと なるべく平常心を保ちながら、笑顔さえ浮かべながら 犬の前を通り過ぎようとしたら思いっきり吠えられた。 だいぶん離れるまでずっと吠えられ続けた。 (吠えられながらも一応写真は撮る私。) 私、動物まともに飼ったことないから接し方が全然わからんのだ。 吠えられながらも「コワクナイヨ」というオーラは全力で出し続けた。 幸い飼い犬で小屋に繋がれていたので助かった。 …と思ったら。 おるやん! 犬! 繋がれてない犬!!!!!! さっきの犬よりやや小さいとは言え、 繋がれてない犬はあかんやろ。 近づいてくるでもなく適度な距離感を保ったまま じっと私のことを見ている。 私も立ち止まってじっと見ている。 だめだ、ここは進められない。 噛まれたらシャレにならない。 ここは迂回するしかない。 幸い右に迂回できる道があるので方向転換。 したら。 ] おるやん!!!!! ここにも繋がれてない犬おるやん!!!!!!!!!! (写真では見づらいけど)バイクの前におるやん!!!!!! こいつも私の方見てるやん。 適度な距離感保ってじっと見てるやん。 私もじっと見てるやん。 飽きてどっか行ってくれんかなと思って見続けたけど 全然その気配ないやん。 うーわ、どうしよう。 助けてくれそうな人も通らない。 来た道を戻ったら さっきの犬にまた吠えられる、それも怖い。 後戻りしたのはいいけど目の前にいる2頭の犬が両方追っかけくる というパターンがあったら一番怖い。 極めて平常心を保ちながらも頭の中はパニック。 どうしよどうしよどうしよどうしよ。 と、考えながら、ふと元々進もうとしていた道の方をみると 犬の姿がもうなくなっていた。 右の道にはまだ繋がれていない犬がいる。 後ろの道には繋がれた犬がいる。 目の前の道にはもう犬がいない。 もう前進一択。 進んでいるうちにまた出くわすかとおもったけど この一本道のどこに消えたのか、 もうあいつに会うことはなかった。
街路樹の向こうには城壁が延々と続く。 ここらへんはまだきちんと残っているんだな。 10分もかからずにまた拓けた場所に出た。 ここは東西南北で一番しっかり整えられている。 (ちなみに南門は幹線道路の中に門だけが残っている状態。) ここが古城の「観光スポット」的ポジションのようで 観光バスもたくさんとまっていて 学校の遠足で来ている子たちなのか 中学生ぐらいの子たちが団体で何組もいた。 この謎の建築物をバックに、クラス単位(たぶん)で 次々と集合写真を撮影していく様子をじっと見ていた。 これがとても面白い光景で、 カメラマンのおっちゃんの合図で どんどんポーズをチェンジしていく。 ただのピースじゃなくてちょっとだけ変わった感じの。 (どんなのかは忘れたけど。) ああこれが台湾の「ピース」的なやつなんかなと思った。 しかもクラスごとにポーズが違う。 1クラス3ポーズぐらいとるのだけど クラスごとにポーズの内容が違う。面白い。めっちゃ面白い。 動画撮っときたかったといまだ激しく後悔しているほど。 こういう日常的なシーンにも文化の違いが垣間見えて面白い。 ちなみにこの背後にある建物、あとから調べたら 「恒春豎孤棚(シューグーポン)」という祭りに使われるものだった。
100年以上もの歴史を誇る恒春豎孤棚(シューグーポン)の祭りイベントは、毎年旧暦7月15日の中元節の夜に開催されます。競技会場には、表面に牛の脂を塗った高さ約3.6丈(約11m)の原木が何本も立っており、その上方に「孤棚」が取り付けられます。参加チームは、自分たちで自由に結成できます。そして孤棚上にある錦旗を一早く奪ったチームが優勝です。人々を飢餓から救うために考え出されたというこのイベントには、先人の思いやりが伝わってきます。以前は、4本の原木を立てて行われていました。これは、恒春地区の4つの古城を表していましたが、参加チームが増えて激戦が展開されるようになったことと、将来的にイベントの拡大が見込まれるなどの理由により、4本の原木は、現在36本まで増加されました。上に昇って旗を取るには、相当の体力とテクニックとチームワークが必要です。このほか、搶孤(チャングー)、芸陣カーニバル、バンド音楽コンテストも開催され、周辺地域の文化や特産、面白いおもちゃや各地美食など、各種イベントが目白押しです。どうぞお見逃しなく! 
ー臺灣觀光年曆より
なるほど!! だから見にくる人も結構多いのだね。 東門は道路的役割はなく 完全に「観光地」としてそこにある。 東西南北、それぞれ趣が全く異なるのだね。面白い。 東門から再び南門へと回って宿に帰り着いた。 (写真は前夜に撮影したもの) 早起きすると、 時間がゆっくり感じられて得した感じがしていいね。 これがなぜ日本ではできんのか。私よ。 つづく (1つ前の記事はこちら)
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