川沿いのホームレス
1707545生交尾好きポジ変態っす。
乳首コリコリにして独り家で楽しんでいたが、そんなのでガッツリ変態に仕上がった身体が満足するわけねえ。
俺はあちこち破れたボロボロのスパッツと何年も着て肌の透ける白Tシャツを着ると、隅田川沿いの遊歩道へと向かった。
そこには4〜5つほどのブルーシートのテントがある。
ホームレスの住処だ。
ちょっと近づいただけでションベンの臭いが漂って来て、俺をたまらない気持ちにさせる。
寝苦しい気温と湿度に耐えかねブルーシートの一部はめくられ、くたびれたシャツとトランクス姿のホームレスがどこかで拾ってきたであろう雑誌を読んでいた。
俺はホームレスから見える位置に着くとTシャツとスパッツを脱ぎ捨てマッパになる。
そして、ションベン臭い匂いに反応したコリ乳首をいじりながらホームレス達に向けセンズリショーを始める。
抑えきれない快楽に自然と喘ぎ声が漏れる。
ホームレス達は俺に気がつくと雑誌を置き、俺の痴態にネットリとした視線を絡める。
俺は両方の乳首をいじりながら腰を振り、情けなく縮みあがったチンポをホームレスに晒す。
「たまんねー、変態センズリたまんねー」
俺はアホ面で一人のホームレスに近づくとその場で土下座する。
「ホームレス様の性処理をこの変態にさせて下さい」
俺の言葉に最初ホームレスは面食らっていたが、全裸で土下座する俺を見て大体の状況を察する。
「何だ変態。
俺達のザーメン処理したいのか」
この中でのリーダー格であろう髭面のガタイの良い男が俺のそばにしゃがみ込む。
「はい。
ホームレス様の洗ってないチンポから出る臭いザーメンを、全部俺の身体の中に恵んでください」
俺は土下座をしたまま、その男に懇願する。
四人のホームレスは俺を取り囲むと口々に言う。
「変態が俺達のザーメンを欲しいってよ」
「馬鹿にしてんのか?」
「気持ち悪いヤツだな」
ホームレス達はそう言いつつも股間を盛り上がらせている。
「まあ、皆んな待てよ。
おい! ニイチャン。
そんなに俺達のザーメン処理したいのか?」
髭面の男は俺の顎を掴むと頭を上げさせる。
「ホームレス様の好きなようにこの身体を使って下さい」
俺はゴクリと唾を飲み込む。
髭面の男は俺に顔を近づけるとヤニ臭い口を開く。
「お前が使ってくれっつったんだからな。
逆らう事は許さねぇぞ、いいな」
カタギでは出せないドスの効いた重い声に、俺は一瞬躊躇してしまった。
と、同時に左頬に痛みが走る。
髭面の男は俺の態度が気に入らなかったのだろう、ペットの躾のように即座にビンタをかます。
俺は怯えた目でホームレス達を見上げると、自分の考えの甘さに後悔する。
ただ快楽を貪るだけの奉仕になるわけがない。
痩せこけてアバラが浮かぶホームレスは自分のテントに戻ると、何かを手に帰ってきた。
「俺の使い回しだが、変態には十分だろう?」
男はそう言うと赤い液体が入った道具を俺にチラつかせる。
シャレにならない。
男が手にした物を理解した俺はここから逃げようとしたが、ホームレスの二人にあっという間に地面に押し倒された。
「下手に動いたら危ねぇぞ。
そいつの血で溶いた極上品だ。
検査なんかしてねぇからな。
お前がいつも使っているヤツよりキクぜぇ」
髭面の男は嬉しそうに俺の首筋をひと舐めする。
「動くなよ」
アバラの浮き出た男は、俺の首に道具をあてがう。
「ピクピクしてイキがいいじゃねぇか。
コレなら外しようがねぇな」
慣れた手つきでプスリと突き刺す。
途端、スッと頭に冷たい感覚が走る。
「コレで何倍も楽しめるな。
また後でやってやるよ。
次は誰の血がいい?」
手際良く作業を終えた男の手に握られた道具の中身は綺麗に無くなっている。
濃い……!
俺はいつもより何倍もガツンとくる感覚に頭がブッ飛ぶ。
同時にチンポから熱い液体を漏らした。
ションベンを漏らしたかと思ったが、チンポからは白い粘り気のある粘液が糸を引いて地に落ちる。
俺はショックでザーメンを漏らしてしまっていた。
射精にも似た感覚だが、それはなかなか終わる事なくボタボタとだらし無く噴き上げ地に落ちる。
そのひと噴き毎に快感で意識が飛びそうになる。
「たまんねぇだろ。
お前がいつも使ってるオママゴトみたいなモンとは違うからな。
まあ、性処理便所には勿体ねえがな」
ヨダレを垂らし白目を剥く俺に、髭面の男はネットリとキスをしてくる。
「こんなんで飛んでんなよ。
これからもっと凄え事があるんだからよ」
キスをしながら言われた言葉は脳に直接響いていく。
俺はホームレス達のションベン臭い体に抱き抱えられ、一つの大きめなテントに連れて行かれる。
いつから敷いてあるかわからないションベン臭い煎餅布団に寝かされると、ホームレス達はチンポを引っ張り出し、扱き出す。
テントの中はチンポの臭いで充満しクラクラする。
「ニイチャン、お前素質あるぜ」
髭面の男はニヤリと口元を歪ませると俺のチンポを踏みつける。
俺のチンポが痛いほどに勃起しているのに、その時初めて気づく。
「次は俺ので頭おかしくしてやるよ」
髭面の男は手にした道具を自分の腕に押し当て、赤い液体で満たす。
「他の仲間にも声かけておくからな。
ホームレスと俺の舎弟の相手をたっぷりさせてやる」
髭面の男は俺の首に道具を押し当て、もう逃げる事の出来ない契約を結ぶ。
再びザーメンを漏らしながら、興味本位でホームレス達に手を出した自分の迂闊さを呪うと同時に、未だ終わる事無く噴き上げるザーメンの快感に身を委ね、もう自分の確定したこの先の人生を思い浮かべる。
ホームレス達は俺の口とマンコにカスマラをあてがうと、味合わせるようにゆっくりと沈めていく。
俺のチンポは嬉しそうに跳ね上がったー。
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Escape Mansion Prologue Translation
エスケープマンション
プロローグ
秋
Escape Mansion
Prologue
Fall
〈脱出ゲームバラエティ【エスケープマンション】ーーー 最後局面〉
(Escape Room Game Variety Show “Escape the Mansion” — Final Round)
Tsukasa: ついに辿り着きましたね。【エスケープマンション】の『101号室』ーーー
Tsukasa: We have finally arrived. “Room 101” of the “Escape Mansion.” —
Tsukasa: 脱出まであと一歩です!『Team V』で一致団結して乗り切りましょう!
Tsukasa: We’re one more step away from escaping! Let’s band together as “Team V” and get through this as one!
Midori: うん。。。。。。正直自信はないけど、最善は尽くしてみる。。。。。。
Midori: Yep…… To tell you the truth, I don’t have a lot of confidence but I’ll try my very best……
Hajime: 光くん、ぼくたちもがんばりましょう
Hajime: Mitsuru-kun, let’s do our best as well.
Hajime: 『仔ウサギチーム』の強さはチームワークです。最後まで協力して乗り越えていきますよ♪
Hajime: The “Baby Rabbit Team’s” strength is teamwork. We will support each other to the very end and get through this! ♪
Mitsuru: もっちろん! 最後までダッシュダッシュだぜ~!
Mitsuru: Of course! Dash dash to the end!~
Koga: (クソッ、まさか最後まで勝負がもつれることになるなんてな)
Koga: (Shit! I never expected that this game would be such a mess all the way through).
Koga: (三つ巴の勝負になるなんて予想もしてなかったぜ。これが "TV的に美味しい" っつ~やつか?)
Koga: (I also never expected it to be a three-way match. Does this really “make for good TV?”)
Koga: (だからバラエティは苦手なんだよ! 変な横槍が入らなけりゃ、未だに俺様たちが独走状態だったのによう!)
Koga: (That’s why I suck at variety shows! We would still be far ahead of everyone else we if didn’t get that weird interruption!)
Keito: どうした、大神? さっきから狼狽えているようだが。。。。。。
Keito: What’s wrong, Oogami? You’ve been flustered for some time……
Keito: もし 【エスケープマンション】のルールに疑問を覚えたいるようなら、それは間違いだ
Keito: If you are in doubt about the rules of the “Escape Mansion,” that’s a blunder on your part.
Keito: 俺たちの目的はひとつ。一着でゴールして優勝することだろう?
Keito: We have but one goal. We must finish in first place and emerge victorious, correct?
Keito: だったら、脇目も振らずに目指せばいい。俺たちは最初から独走状態だった。その経験を遺憾なく発揮するまでだ
Keito: All you have to do is aim for that without putting on airs for the viewers. We were far ahead of everyone else from the start. We should put that experience on full display.
Koga: ったりめ~だ! 俺様たちが最後までぶっちぎって優勝だ!
Koga: OFC!! We’re fighting to the bitter end to win!
Tsukasa: いえ。大神先輩には悪いですが、私たちこそが勝者です!
Tsukasa: No. I feel bad for Oogami-Senpai, but we are the winners!
Tsukasa: あんたには絶対、負けませんからね。。。。。。!
Tsukasa: We will absolutely not lose to you……!
Koga: それはこっちの台詞だ! テメ~にだけな負けね~!
Koga: That’s my line! You’re the only ones who're gonna lose~!
Koga: 俺様たち 『チーム月光』の相性はバッチリだ! 吠え面かかせてやんよ!
Koga: We of “Team Moonlight” have perfect chemistry! I’ll make you howl like a dog!*
Kaoru: ふふ。いよいよ最終局面。状況は横並びーーーいい感じに番組が盛り上がってきたね
Kaoru: Fufu. We’re at the final phase at last. We’re equally matched—- This program’s keeping the good vibes going!
Kaoru: 勝利の女神はどのチームに微笑むんだろう? 最後まで目が離せないよ♪
Kaoru: Which team will the Goddess of Victory smile upon? Don’t take your eyes off us until the very end! ♪
〈時は遡って、十一月上旬のある日。リズリンの事務所にて〉
(Back in time: a day in early November - at the Rhythm Link office)
Rei: 晃牙や~。晃牙はおらんかえ~?
Rei: Oh Koga~. Is Koga not here~?
Rei: 。。。。。。う〜む。晃牙は一向に姿を現さんのう。昨日『ホールハンズ』で運絡したときも既読無視じゃったし。反抗期かのう?
Rei: …… Hmm~. Koga never shows up. Even when I tried touching base with him via “Hold Hands” yesterday, he left me on read. Is he going through a rebellious phase?
Rei: 薫くんもアドニスくんも、晃牙の姿は見ておらんかや?
Rei: Kaoru-kun and Adonis-kun: have you seen Koga?
Adonis: 。。。。。。そのことだが、朔間先輩。文面が良くなかったのではと、俺は思っている
Adonis: …… That’s the thing, Sakuma-Senpai. I was thinking that, maybe, the contents of your text weren’t great.
Kaoru: あはは、俺もそう思う。バラエティ嫌いの晃牙くんに "バラエティ番組の出演依頼が来ておる" はないよね~
Kaoru: Ahaha. I think so too. Koga-kun hates variety shows. I don’t think he’s ever been asked to appear in one.~
Kaoru: 最近はドラマの出演もあったし、晃牙くんもさすがに運チャンでライブ以外の仕事をするのは嫌なんじゃない?
Kaoru: Koga-kun had recently appeared in a TV drama… but, just as you'd expect from him, he’s a hack** who is unwilling to do any work besides Lives, right?
Kaoru: もしかすると、最近の『UNDEAD』の方向性に性に抗議したいのかもしれないね。そのためのサボリ~、みたいな♪
Kaoru: Perhaps he wants to object to the direction “UNDEAD” has been going in lately. That could be why he’s slacking off.~♪
Koga: おいコラ、誰がサボリだって? 羽風先輩にだけは言われたくね~ っつの
Koga: Oi, who’s slacking off? I don’t want to hear anything about that from the likes of Hakaze-senpai.
Rei: おぉ晃牙。来てくれたのかや
Rei: Oh, Koga. You have arrived.
Koga: 待たせちまったな。ライブハウスに顔出ししてたら、後輩たちに囲まれちまってよ
Koga: Sorry to have kept ya waiting. I was surrounded by kouhai as soon as I showed my face at the music club.
Koga: ギリギリ間に合うと思って走ってきたんだが、すこし遅れちまった
Koga: I was thinking I could just barely make it in time if I ran but I’m still a little late…
Rei: くくく。晃牙もちゃんと『先輩』しておるのう。良いことじゃ
Rei: Kukuku. Koga is also properly a “senpai.” That’s a good thing.
Rei: それに、今回の件は打ち合わせというより雑談のようなものじゃ。気にするほどのことでもないわい
Rei: Besides, the matter at hand is more like idle chit-chat than a briefing session. It’s not a big deal.
Rei: 実は、最近話題の脱出ゲームバライティ【エスケープマンション】が、若手アイドルを出演させる大会を行うようなんじゃ
Rei: As a matter of fact, “Escape Mansion,” the escape room variety show that’s hot these days, is holding something like a tournament for young idols.
Rei: それで、老舗事務所であるリズリンの若手アイドルから数名ーーー 『UNDEAD』からもひとりは出演してほしいと依頼が来ておる。誰か興味はあるかのう?
Rei: So, considering that the long-established Rhythm Link agency has several young idols —- a request has arrived through “UNDEAD” to have one of us appear on the show. Is anyone interested?
Koga: 脱出ゲームバラエティ。。。。。。? 何だそれ?
Koga: Escape room variety show……? What’s that?
Kaoru: 最近はみんなで恊力して謎解きをするイベントが流行ってるんだよ
Kaoru: Events where everyone cooperates to solve puzzles are now in vogue.
Kaoru: 『脱出ゲーム』とか、『謎解きゲーム』とか呼びかたは様々だけど
Kaoru: They are called various things such as “Escape Room” or “Puzzle Solving Game.”
Kaoru: そんな脱出ゲームをバラエティ番組でお茶の間に放送したのが【エスケープマンション】だね
Kaoru: “Escape Mansion” is a living room variety show that broadcasts escape rooms like that.
Rei: うむ。そして、収録当日は我輩は別の仕事が入っておるので、『UNDEAD』から別のメンバーを推薦しようと思ったんじゃよ
Rei: Mmhmm. And I was thinking of recommending another member from “UNDEAD” since I have another job on the day of the recording.
Koga: はぁ、またそういう感じの仕事かよ。俺様はライブがしたいってのに。。。。。。
Koga: Haaa. That kind of job again? I want to perform lives though……
Rei: では、晃牙は辞退するんじゃな?
Rei: Then Koga will decline. Correct?
Koga: 当然だ。俺様が手を挙げるとでも思ったのかよ
Koga: Naturally. Did you think I would raise my hand?!
Rei: では、薫くんとアドニスくんが候補かのう。二人の予定はどうじゃろうか?
Rei: Then Kaoru-kun and Adonis-kun are the candidates. What plans do the two of you have?
Kaoru: 俺のその日の予定はーーーちょうど空いてるっぽいね。大丈夫そう
Kaoru: My plans for that day—- are fortunately empty-ish at the moment. Okay for me.
Adonis: 俺は。。。。。。残念だが、スケジュールが被っているようだ
Adonis: Looks like…. I have a schedule conflict regrettably.
Adonis: 『ラブ・アンド・ビースト』の反響のおかげで、TV雑誌のインタビューが入っている。俺のために用意された取材だから、どうしてもずらせない
Adonis: I have a TV magazine interview thanks to the response to “Love and Beast.” I can’t shift it because the interview was arranged just for me.
Rei: ふむ。では『UNDEAD』からは薫くんに出演してもらうかのう
Rei: Mmhm. Then I guess we’ll have Kaoru-kun appear for “UNDEAD.”
Rei: 返事は数日ほど保留しておくゆえ、晃牙も気が変わったら言うが良い♪
Rei: I’ll hold off on replying for a few days. Also, Koga, if you change your mind, feel free to tell me! ♪
Koga: 誰がやるかっつの。俺様は謎を解いたり脱出したり、そんなことで喜んだりはしね~ぞ?
Koga: Who’s going to do what now? I wouldn’t be happy about solving puzzles or escaping, would I?!
Koga: この間のドラマみたいに、主題歌を歌わせてもらえるとかなら考えてやらなくもないけどな。さすがに、そう都合の良いことが何度もあるわけね~だろ
Koga: If I could sing the theme song or something like in that last TV drama, then I wouldn’t mind considering it. All the same, how many times do you have a convenient good excuse!?
Translation Notes:
*Idiom. Lit: make a barking face. Insult meaning to make someone cry.
**運チャン (Un-chan). Casual and relatively pejorative term for a cab driver.
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【かいわいの時】天保八年(1837)二月十九日:大坂町奉行所元与力大塩平八郎決起(大阪市史編纂所「今日は何の日」)
難波橋を渡った大塩軍は、二手に分かれて今橋筋と高麗橋筋に進みます。森鴎外の『大塩平八郎』には次のように描写されています。
方略の第二段に襲撃を加へることにしてある大阪富豪の家々は、北船場に簇(むら)がつてゐるので、もう悉く指顧の間にある。平八郎は倅格之助、瀬田以下の重立つた人々を呼んで、手筈の通に取り掛かれと命じた。北側の今橋筋には鴻池屋善右衛門、同く庄兵衛、同善五郎、天王寺屋五兵衛、平野屋五兵衛等の大商人がゐる。南側の高麗橋筋には三井、岩城桝屋等の大店がある。誰がどこに向ふと云ふこと、どう脅喝してどう談判すると云ふこと、取り出した金銭米穀はどう取り扱ふと云ふこと抔(など)は、一々方略に取り極きめてあつたので、ここでも為事(しごと)は自然に発展した。只銭穀の取扱だけは全く予定した所と相違して、雑人共は身に着つけられる限の金銀を身に着けて、思ひ/\に立ち退いてしまつた。鴻池本家の外は、大抵金庫を破壊せられたので、今橋筋には二分金が道にばら蒔まいてあつた。(七、船場)
この時の模様は、被害に遭った商人側でも詳細な記録が残されており、たとえば、三井文庫所蔵の史料「天保七年 浪速持丸長者鑑」(写真=コメント欄)には、焼き打ちされた商家に赤線が引かれています。ランク順に並べてみると
鴻池善右衛門(総後見)、三井呉服店(行事)、岩城呉服店(行事)、米屋平右衛門(東小結)、鴻池他治郎(西小結)、鴻池正兵衛(西前頭)、米屋喜兵衛(西前頭)、日野屋久右エ門、炭屋彦五郎、米屋長兵衛、甥屋七右衛門、和泉屋甚治郎、鴻池徳兵衛、長崎屋与兵衛、米屋与兵衛、泉屋新右衛門、紙屋源兵衛、小西佐兵衛、越後屋新十郎、よしの屋久右衛門、大庭屋甚九郎、昆布屋七兵衛、さくらいや八兵衛、平野屋喜兵衛、某
など、25商(店)の名前があがっています。今橋筋、高麗橋筋の商家は軒並み焼き打ちに遇っています。肥後橋の加島屋久右衛門(西大関)はコースから外れていたため難を逃れたようです。
(写真)「天保七年 浪速持丸長者鑑」1837(公益財団法人 三井文庫蔵)
相撲の番付表のように商人をランキングした表で、大塩の乱で被害を受けた商家に赤線が引かれている。三井、鴻池などが被害にあっていることがわかる(三井広報委員会)。
また、諸家の記録から、事件当日の様子や対応策、その後の復旧策を見てみると
(鴻池家)加島屋某筆とされる『天保日記』(大阪市立中央図書館所蔵)では天保八年(一八三七)二月十九日、火見台から望見して「鴻池本宅黒焰大盛二立登、其恐懼シキ事不可云」、幸町別邸めざして落ちのび、そこで加島屋某らが「鴻池於隆君・勝治・和五郎」らと無事出あうところが生々しくえがかれている。和泉町の鴻池新十郎家の記録 『北辺火事一件留』(大阪商業大学商業史資料館所蔵)でも、鴻池本家当主の善右衛門が土佐藩邸、長音は泰済寺、そのほか瓦屋町別荘などへ逃げ、鴻池深野新田農民をガードマンとして急遽上坂させるなど、その被害状況や防衛対策が丹念に記録されている。
(三井呉服店)三井では、同日三郎助高益(小石川家六代)が上町台地の西方寺に避難し、「誠に絶言語、前代未聞之大変にて」と、 ただちにレポを京都に送り、木材・釘・屋根板・縄莚などをすぐ仕入れ、はやくも三月八日に越後屋呉服店大坂店の仮普請完成=開店している様子が詳細に記録されている。(コメント欄参照)
(住友家)住友家史『垂裕明鑑』には、大塩事件のまっただなかで、泉屋住友が鰻谷(銅吹所その他)から大坂城にむけて鉛八千斤(弾丸)を三度にわけて必死で上納運搬したこと、事件による住友の被害として、「豊後町分家、別家久右衛門・喜三郎掛屋敷の内、備後町・錦町・太郎左衛門町三ケ所延焼」に及んだこと、そして住友の親類の豪商としては、「鴻池屋善右衛門、同善之助、平野屋五兵衛、同郁三郎」家などが軒並み“大塩焼け”で大きな被害をこうむったこと等々が、 生々しく記されている。
三井家では、享保の大飢饉の後に起きた江戸における打ち毀し(1733年)に衝撃を受け、以後、食料の価格が暴騰すると近隣に米や金銭を配って援助したり、また飢えた人々に炊き出しをしたりするなど、三都(江戸・京都・大坂)において施行を継続しています。それが、大塩平八郎の乱では標的にされ、襲撃された大坂本店は全焼、銃撃による負傷者まで出るほどであったと伝えています(三井広報委員会)。
儒学者の山田三川が見聞きした飢饉の様子や世間の窮状を日記風に書き留めた『三川雑記』には、乱の前に大塩は鴻池・加島屋・三井の主人らと談じ、富商十二家から五千両ずつ借りれば六万両となり、これで何とか八月半ばまでの「飢渇」をしのげると、「しばらくの処御取替」を依頼していたとあります。同意した加島屋久右衛門は襲われず、三井と鴻池は反対したため焼き打ちに遭ったとも言われています(山内昌之)。
ただし、『浮世の有様』の天保八年雑記(熊見六竹の筆記)には、この話は「或説」として取り上げられており、それによると、「十人両替へ被仰付候処、町人共御断申上候筋有之」とあります。三井はもちろん、鴻池や加島屋にも記録はなく、風評の域を出ないものと思われます。
(参考文献)
中瀬寿一「鷹藁源兵衛による泉屋住友の “家政改革”-大塩事件の衝撃と天保改革期を中心に-」『経営史学/17 巻』1982
三井広報委員会「三井の苦難(中編)」三井グループ・コミュニケーション誌『MITSUI Field』vol.39|2018 Summer
山内昌之「将軍の世紀」「本当の幕末――徳川幕府の終わりの始まり(5)大塩平八郎の乱」文芸春秋2020
山田三川『三川雑記』吉川弘文館1972
矢野太郎編『国史叢書 浮世の有様』1917
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