魍魎の匣
「何故だ?そんなんじゃあ警察も世間も納得はしない」
「そう。動機とは世間を納得させるためにあるだけのものに過ぎない。(中略)世間の人間は、犯罪者は特殊な環境の中でこそ、特殊な精神状態でこそ、その非道な行いをなし得たのだと、何としても思いたいのだ。つまり犯罪を自分達の日常から切り離して、犯罪者を非日常の世界へと追い遣ってしまいたいのだ。そうすることで自分達は犯罪とは無縁であることを遠回しに証明しているだけだ。だからこそ、その理由は解り易ければ解り易い程良く、且つ、日常生活と無縁であればある程良い。曰く遺産相続、曰く怨恨、復讐、痴情の縺れ、嫉妬、保身、名誉名声の保持、正当防衛ーーーどれも解り易く、それでいて身の回りにはざらにないことばかりじゃないか。しかし、それが何故解り易いかと云えば、ありそうもない癖に実は頻繁に彼等の中でも起きている感情と、それは同質のものだからだ。若干規模が違うだけなんだ」
京極夏彦
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魍魎の匣
「犯罪と云うのはね、社会が作るものなんだ。ひと昔前まで合法的殺人だった仇討ちは、今や報復殺人事件だ。どちらが正しい世の中なのか、そんなことは判らないが、同じ行為に対する法的な扱いが百八十度違っていることは間違いない」
京極夏彦
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Agnus Dei (The Lamb of God), c. 1640, Francisco de Zurbarán.
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みんなの図書室
しかし、わからないからこそ、 私たちは心を打たれるのです。 理屈でわかる範囲などほんのわずかです。 わからないことの前で 頭を垂れるような喜びこそが、 世界の偉大さを教えてくれます。
小川洋子
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