Tumgik
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】 2017年8月12日放送 TBSラジオ『久米宏ラジオなんですけど』オープニングトークより
ラジオ書き起こし 2017年8月12日放送 TBSラジオ『久米宏ラジオなんですけど』より、オープニングトーク全編書き起こし
(オープニングトーク全編 書き起こし)
【久米】 8月12日土曜日、午後1時の時報をお伝えしました。こんにちは、久米宏です。
【堀井】 堀井美香です。
【久米】 お盆ですね、世間は。 もう東京はかなり人口が減りまして。スカスカしてしておりまして。
【堀井】 電話も――あっ、電話じゃなくて。電車も(笑)。人が居ませんでした。はい。
【久米】 電話と電車を間違える人って……。
【堀井】 (笑)。
【久米】 やっぱり、お盆ですよね……。普通、電話と電車はね、間違えようがないと思うんですけれど。
【堀井】 電車もスカスカでした(笑)。
【久米】 私事ですが。 ここ2週ほど、番組、お休みいただきましてね。
【堀井】 ええ。
【久米】 2週休んでいると、やっぱりあれですね。「ひょっとしてこの番組、ジェーン・スーに乗っ取られるんじゃないか?」って、いろんな不安を……。
【堀井】 恐怖でしたか(笑)。 すいませんでした。お騒がせしました(笑)。
【久米】 こないだも話しましたけれど、TBSには、新人アナウンサーが3人入ってきて。 やっぱり若い人が出てくると、年寄りはトコロテン式に押し出されるっていうんですか……。 『老兵は消え去るのみ』って知ってます? 『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』って、誰が言ったか知っています?
【堀井】 えー……。 孔子、あたりでしょうか。
【久米】 いや、ダグラス・マックカーサーです。 (笑)。
【堀井】 (笑)。 お盆だなあ……。
【久米】 お盆でね、ここのところ、あちこちで花火大会があって。 秋田の竿燈(さんとう)も、もう終わったかな?
【堀井】 はい。終わりました。
【久米】 よさこいソーランなんか始まってますね、四国でね。
【堀井】 ああ、そうですか。 はい。
【久米】 それからあの、盆踊りがあちこちで始まって。まあ盆踊りというのは、お盆だからやるわけで。 盂蘭盆会(うらぼんえ)というのが――これは、サンスクリット語ですけれど――あって、祖先が帰ってきて、帰ってきた祖先と一緒に夜通し踊って、またお盆が終わったらお送りする、っていう。 この、お盆の季節なんで、花火があったり、お祭りがあったり。花火ってあれ、祖先の霊のために打ち上げるっていうような主旨……。
【堀井】 へえー。
【久米】 ……ええっ?
【堀井】 はい……そうですか……ええ(笑)。
【久米】 あれは、祖先の霊と会話をするとかね。祖先の霊の御霊のために、バアーっと花火を打ち上げている。 ええっ? 鍵屋とか玉屋のためだと思ったの?
【堀井】 (笑)。
【久米】 そういうことで。
あの、この季節が来るたびに、本当に不思議だと思うんですけれど。 そういう祖先と繋がりを持つ季節にね、祖先が帰って来るなり、「まあよく、このときに終戦記念日があるな」と思うんですよ。正確にいうと、敗戦記念日ですけれど。 これって、仕組んで8月15日が敗戦記念日になったわけじゃなくて、たまたまそうなったかと思うんですけれど。今日、12日ですから、あと3日後なんですけれど。
実は、歴史を紐解くと。8月14日の深夜にね、「ポツダム宣言を受諾する」という連絡を、日本が連合軍側に送ったんですよ。 で、「翌日の8月15日を記念日にしよう」っていう。名前を変えて、終戦記念日という言葉が人口に流布するようになったわけですけれど。
「どうして、この夏祭りの最盛期のど真ん中に、終戦記念日・敗戦記念日があるのか?」って、よく考えるととっても不思議なことで。「これは誰かが仕組んだんじゃないか?」と思うくらい、不思議だと思いません?
【堀井】 うん、はい。
【久米】 これ、電車と電話を間違える人にとっては、あんまり不思議では――ないんでしょうか? 
【堀井】 (笑)。わかります。「��うして同じ日なんだろうかな?」というのは、はい。
【久米】 これ、たまたま、偶然なんですけれどもね。
で、わたくし、生まれは昭和19年。1944年生まれで。 生まれた年からいうと、いわゆる「戦中派」なんです。ただ戦中派と戦後派って、そういうので分けるんじゃなくて。「いつ教育を受けたか?」なんですよ。 戦中の教育を受けた人を戦中派、戦後の教育は戦後派って呼ばれるんですけれども。僕は、戦後の教育を受けたんで戦後派っていわれて。よく「アプレゲイルの典型だ」っていわれたんですけれど(笑)。アプレゲイルは知らないでしょうね……。
【堀井】 はい、はい。
【久米】 アキレカエルと、意味が、ほとんど似ています。
【堀井】 ええっ(笑)。 アプレゲイル?
【久米】 (笑)。 アプレゲイルとアキレカエルはほとんどね、言葉の意味は同じですけれど。 まあ、アプレゲイルは、暇だったら調べて下さい。
【堀井】 はい。
【久米】 ただ、どうも最近ね、「終戦の日の前に生まれた人を戦中派だ」っていう人も増えてきたんです。 その意味では、僕は、戦中派なんですよ。戦争が終わる1年前ですから。
【堀井】 はい。
【久米】 で。ちょっと最近の話をしますとね。 今週の8月9日って覚えています? 水曜日。東京の最高気温が37度1分だったとき。 暑かったでしょう? 8月9日。
【堀井】 ……はい。
【久米】 「またその話だ、久米は」ってね。ラジオを聞いている人がスイッチ切るようなことは、止めてくださいね。 8月9日。東京は37度1分だったんですけど、3年後の8月9日は、オリンピックの閉会式なんです。
【堀井】 そうですか!
【久米】 オリンピックの閉会式っていうことは、イコール、男子マラソンがある日なんです。
【堀井】 はあー! 37度8分!
【久米】 ……37度1分です。
【堀井】 1分(笑)。 はい。
【久米】 東京、思い出すのも嫌なくらい、ものすごい暑かったんです。 あの日が3年後のオリンピックの、閉会式なんですね。
【堀井】 はい。
【久米】 僕、2020年の東京オリンピック開催に関しては、ずーっと、もうずーっと前から「反対だ」って言い続けて。 反対の理由は一杯あるんですけれど。
【堀井】 ええ。
【久米】 こないだ日刊ゲンダイにその話が……。 日刊ゲンダイの編集部が来たんで話してあげたら、思ったよりも大きく載りましてね(笑)。
【堀井】 そうでした……。 私も、びっくりしました。
【久米】 僕もびっくりしました。
【堀井】 『五輪、延期!』みたいになっていましたので、駅で見て「おおっ!」って(笑)。
【久米】 僕は、オリンピックに反対な理由はいくつもあるんですけれども。 今、日本の置かれた状況は、オリンピック以外に解決しなきゃいけない問題が、もっとたくさんあるんですよ。年金の問題にしても、保険の問題にしても、東日本大震災の後始末の問題にしても。
【堀井】 はい。
【久米】 それから、もうひとつ。「これ以上東京に一極集中してどうするんだ?」。 東京は間違いなく、間もなく直下型地震がありますから。そのときのダメージを少なくするために、これ以上、東京に集中させてはいけないんです。 だから「もしオリンピックを日本でやるんだったら、東京以外でやるべきだ」っていうのが、僕の考え方なんです。 「東京でオリンピックやって、もっと東京一極して、日本にとって良いことない」っていうような話を日刊ゲンダイに載せたんですけど。
そうしたら。……公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会広報局広報部、から。 手紙が来ました。
【堀井】 えっ。久米さんに!
【久米】 そうです。
【堀井】 (笑)。
【久米】 調べたら、同じ手紙が、日刊ゲンダイの編集部にも来ておりました。 つまり、お叱りです。
【堀井】 はい! ああ、そうですかあ!
【久米】 「僕の言っていることがいかに間違っているか?」という。
【堀井】 日刊ゲンダイを読まれていたんでしょうか。
【久米】 もちろん。読んで。慌てて。
【堀井】 そうですか! (笑)。
【久米】 この反論の中で。 例えばね……。
【堀井】 うわあ、すごい(笑)。 はい。
【久米】 「東京の一極集中を進めるから反対だ」と僕は言っているんですけれど、そういうことに関しては、全く触れていないです。 主に、最重点は、開催時期についての反論です。
【堀井】 わかりました。
【久米】 で、この、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の広報局広報部が言っている「開催時期についての主張」というのを、皆さんにここで、じっくりとご紹介したいと思います。
【堀井】 はい。
【久米】 僕は「夏は反対だ」と言っているんです。
【堀井】 はい。 8月9日は38.1度……。
【久米】 あれが閉会式ですからね。7月24日から始まるんですけれど。 「酷暑の東京でオリンピックをやるっていうことは間違いだ」と僕は言っているんですけれど、それに関する反論です。
【堀井】 了解しました。
【久米】 『第32回(久米さん注:3年後のオリンピックです)オリンピック競技大会においては、招致の段階で開催時期は、2020年7月15日から8月31日の期間から選択するものと定められていました。この期間外の開催日程を提案した招致都市はIOC理事会で、正式立候補都市としてすら認められていませんでした』。
【堀井】 ふーうーん。
【久米】 分かります?
【堀井】 「もう最初から決まっていた」と。
【久米】 これは「IOCの理事会で、この時期の開催だと決めていたんで、これ以外のことは考えられない」という反論なんです。
【堀井】 分かりました。
【久米】 こういう反論を何というか知っていますか?
【堀井】 分かりません……。
【久米】 こういうのを、「語るに落ちる」っていうんです(笑)。 こういう反論を、「語るに落ちる」っていうんです。
【堀井】 (笑)。
【久米】 日本のオリンピック委員会は、『IOCの理事会は、夏の開催以外は認めない』『夏以外の開催期日を申し込んだ都市は立候補すら認められなかった』『やむを得ず夏の開催を認めてオリンピックを招致した』と言っているんです。 「いかに馬鹿か」というのが分かるでしょう?
つまり、日本にオリンピックを招致した人たちは、夏の開催だっていうようなことを承知して引き受けたんですよ。
【堀井】 ええ。
【久米】 つまり。 東京オリンピックに世界中から集まるアスリートたちのコンディションのことを考えたんじゃないんです。 「オリンピックを招致することがいかに大切か」を考えた。
【堀井】 なるほど!
【久米】 つまり、「アスリート・ファースト」というのは、嘘八百なんですよ。
【堀井】 はい。招致ファースト。
【久米】 「オリンピックを招致することが目的だ」ということを言っているんです。
【堀井】 ええー……。
【久米】 「期間は、オリンピックの、IOCの理事会が決めていて、これ以外の開催時期は選べなかったんでしょうがないじゃないか」って言っているんです。
【堀井】 ……語るに落ちました……。
【久米】 すべての責任をIOCの理事会に押しつけているんです。 ですから、「オリンピックを招致すること」が日本の人たちの目的で。スポーツを愛するんじゃないんですね。 僕が前から言っているのは、「日本にオリンピックを招致した人たちは、スポーツを愛していない」「オリンピックだけを愛しているんだ」って。「だから馬鹿なんだ」と言っているわけだ。
僕は、「開催時期はなんとしても、53年前の東京オリンピックが開催した、日本にとってレガシーである、10月10日の開催日にしてくれ」「IOCの理事会に頼め」って言っているんですよ。 IOCの理事会はなぜ夏の開催じゃないと駄目かと言っているかというと。これは、「アメリカの3大ネットワークが出すカネ」です。
【堀井】 はい。
【久米】 ここだけの話ですけど、基本的にIOCもFIFAも、ほとんど金で動いているんです(笑)。 ほとんどはカネなんですよ。
【堀井】 はい。
【久米】 オリンピックも、ゼネコンに行く、カネなんです。
【堀井】 はい……。
【久米】 基本的にはオリンピックというのは、お金の巣窟なんです。 これは、ここだけの話で。聞かなかったことにしておいてください。
【堀井】 はい。聞かなかったことにします。
【久米】 だから、「IOCの理事会は夏じゃなきゃ駄目だ」と言っているのは、お金なんです。アメリカの3大ネットワークから出る。
【堀井】 はい。
【久米】 だからその、「夏じゃなきゃ駄目だ」と言っているんだったら。 東京は、招致に立候補するのをやめるべきだったんですよ。
【堀井】 うーん……。
【久米】 それを招致しておいて、「夏だけどやるんだ」って言っているのは、スポーツマンを愛しているんじゃないんですね。 スポーツを、ちっとも愛していないんです。オリンピックだけを愛している。
で、8月9日が閉会式だってことは。僕、勘ぐる方ですから。 8月9日って、長崎に原爆に落ちた日なんですよ。当然、広島に落ちた8月6日も、3年後は、オリンピックの真っ最中なんです。 広島の原爆慰霊の日も、長崎の原爆慰霊の日も、3年後は東京でオリンピックの馬鹿騒ぎをしているんです。 そうすると。 東京に、夏にオリンピックを招致した人たちは、原爆が落ちた日――長崎に落ちた日も、広島に落ちた日も――やがては無かったことにしたい。僕は、「そのために東京で、真夏にオリンピックをやるんじゃないか?」と、ゲスの勘ぐりをしてる。 これは、勘ぐりしすぎでしょうかね。
公益財団法人オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の広報の方は、今日の放送をどうお聞きになったか。 また、ご感想があったら、送って下さい。 また、ラジオの方で、ご紹介たいと思います。よろしくお願いします。
【堀井】 恐い……。
(オープニングトーク全編 書き起こしここまで)
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、radikoなど、ぜひ他の機会に放送音声でご確認ください。また、間違いのない作業を出来るだけ心がけていますが、その上での誤字や、編者不見識による間違いについては、どうか温かくご容赦いただけましたら幸いです。
1 note · View note
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】石破茂✕長野祐也[後編]『長野祐也の政界キーパーソンに聞く』(2017年7月2日放送 ラジオ日本)より
石破茂✕長野祐也(『長野祐也の政界キーパーソンに聞く』 2017年7月2日放送・6月19日収録)ラジオ日本 より書き起こし
【長野】 政治評論家の長野祐也(ながのすけなり)です。 ラジオ日本をキーステーションにお送りしています『長野裕也の政界キーパーソンに聞く】。
本日のゲストは、先週に引き続き、「ポスト安倍」の有力候補、前・地方創生担当大臣、石破茂(いしばしげる)自民党衆議院議員です。 6月19日、議員会館での収録です。
今週も、よろしくお願いいたします。
【石破】 はい、よろしくお願いいたします。
【長野】 安倍総理が「2020年の改正憲法を施行する年にしたい」と発言したことについて、「来年秋の自民党総裁選で連続3選を果たし、2021年までの長期政権を目指す考えの表明にほかならない」という見方もあります。
「(総理が)今の時点で憲法改正を目指す発言をした」のは、適切なタイミングと見ておられるか、拙速(せっそく)と見ておられるか?
このへん、いかがですか?
【石破】 私は、もうずっと前から、「憲法改正ははやいほうが良い」そして「9条は絶対改正しなければならない」という立場です。
【長野】 うん。
【石破】 やっぱり、「戦争の体験のないものばっかりで改正して良い」とは思われないし、「9条というのは国の根幹」なので。 「変えなければいけない」と、(ずっと)思っています。
ですからタイミングは、別に、オリンピックと関係ないんですけれど。 「はやければはやいほど良いだろう」と思います。
ただ、政治が注げるエネルギーには限界があるので、憲法改正にエネルギーの大半を注ぎ込んじゃうというのは、「優先順位としてどうかな?」っていう気はしないわけではありません。 今の日本の課題を考えた時に、「財政の持続可能性」や「社会保障の持続可能性」等々、本当に大変な事がいっぱいあります。
【長野】 安倍総理は、「国会の憲法審査会が議論を前に進めないので、自民党が先に立って、議論を急ぐべきだ」っていう考えだと聞きます。
自民党の中でも、「衆参両院で、改憲の発議に必要な3分の2以上の勢力があるうちにチャレンジすべき」という意見は、強まっているのでしょうか?
【石破】 どうでしょうか。 確かに3分の2なんですけどね。
(しかし今、それにチャレンジするほどに)「自民党はこれなんだ」っていうのは、定まっているのか? (それとも)定まっていないのか?
私が憲法審査会の委員だった時、自民党の改憲草案はまだまとまっていなかった。 (しかし)今はまとまっているわけですよね。 「自民党はこれで行くんだ」って、決めたはずなんです。
だけども、国会で総理が――まあ、そういう答弁が良いかどうかは別として、「自民党総裁として」ですよ?――「我が党は改憲草案を持っているが民進党は持っていないじゃないか」と言ったかと思うと、「内容はまだこれから変わり得る」とか言われちゃう そうすると、「自民党の審査会委員はどうしたら良いんだ?」っていうことになっちゃいますよね。
ですから、私はこの議論を、「自民党として党議決定をした憲法改正草案をどうするのか? という話を飛ばして、出来るのかしら?」と思いますけれどね。
【長野】 今のことと関連しますが、自民党は野党だった時代に、ご指摘のように、憲法改正草案をまとめておられますね。
「これが改正の内容だ」としてきたわけですが、今回の総理の発言は、この見直しを求めたものです。 そこが非常に「違っている」のと、「唐突な感じが否めない」という印象があるんですが。
このへん、どう思われます?
【石破】 うーん、これは非常にシンプルな話で。
非常に簡単に言っちゃえば、「皆さん、9条の1項2項は(現行の条文を)そのまま残すんですよ」「(多くの国民は)自衛隊は合憲だと思うでしょう?」「だから(憲法に、自衛隊は)合憲っていうのを付け加えるんですよ、問題ないでしょう?」という感じですよね。
それは、国民の多くの考えに沿ったものかも知れません。 でも、圧倒的多数の国民は、「9条が何なのか?」ということを、そんなに理解しているものじゃありませんもの。
私だって、本当に安全保障の仕事をやり始めてから突き詰めて考えて、今の結論に到達しているのでしてね。法学部法律学科を出た人間でも、「9条をきちんと解説してみよ」と言われたら、出来ない人が多いはずですよ。
大勢の国民の方々(が持つ感想)は、「9条1項2項を残す、うん、良いんじゃない?」「自衛隊、合憲だよね。書くの、良いじゃない?」っていう(ふうなのでしょう)。 だから私は、(総理が「9条2項を維持」と言ったことに関しては、大勢の国民の感じ方に)「合致したものだから(言っても)良いでしょう?」というのが本音だと思いますよ。
【長野】 ご指摘のように総理は、「憲法9条の1項と2項を維持」して「それ以降に自衛隊の存在を明記する」という考えを示したわけですが、(自民党憲法改正草案と)安倍総理の発言とのこのズレは、どういうふうに捉えておられるんですか?
現在の「自民党改正草案」では、2項には『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』とあって、『2項は削除』となっています。
【石破】 あの、総理がおっしゃること(からだけで)は、3項にどういう文章を付け加えるんだか、全然分かりませんので。仮に、『第2項の規定にかかわらず、日本国の独立のため、並びに国際社会の平和に寄与するため、陸海空3自衛隊を保持する』と書くと想像することにしましょう。
そうすると、「(既存の)2項と(追加される)3項って、どう繋がるか?」と、なるわけですよね。
「前項の規定にかかわらず」とひっくり返しちゃうと、「3項を付け加えることで、2項の意味がなくなる」わけですよね。 だったら、「(整合性のために2項は)削除すれば良い」っていうことになるはずなんです。
今まで「1項2項をそのままで、3項を付け加える」という議論が出てこなかったのは、「そんなことをやっちゃいけないから」っていうコンセンサスだったはずですよ。
それを乗り越えようというんですから、なかなかアンビシャスな試みではありますが、「論理整合性」という点では、私は、まず賛成できないですね。
【長野】 まあ問題は、自民党内が収まるかどうか? っていう点で。 今お話しされたように石破さんは、首相提案を、「党の改憲草案を捨て、無原則な妥協に流れた敗北主義」と批判しています。
これは、非常に興味深い論点で、選択は、「世界と時代をどう見るか?」という、根幹に関わることです。
「自衛隊は21世紀においても自衛隊であり続けるのか?」「国際標準の軍隊に変わるべきなのか?」 この問題は是非、「21世紀の国際社会に、どう日本が関わっていくのか?」という、大局論で討論してもらいたいなあと思います。
【長野】 少し重複するきらいもありますけど、あらためて。
石破議員自身は、どういう憲法9条の考え方を持っておられるんですか?
【石破】 うーん。 私はかつて、(自民党改憲草案の)起草委員だった頃に、「1項もなおさなきゃいけないんじゃいけないの?」って、言いました。
9条1項の規定(『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』)は、不戦条約をそのまま書き写しているので、日本だけのユニークな規定ではありません。 つまり、同じ規定がいろんな国にあります。
そこに『国際紛争を解決する手段としては』っていう文言が出てきて、「侵略戦争は駄目だけど、自衛戦争は良いっていう意味だ」という解釈がされています。 (ここでの)「国際紛争」の、担い手(/主体/登場人物)は、「国家」なんですよね。 「国家と国家の争い」を「国際紛争」と(いっています)。
(ところが)北朝鮮みたいに国家も脅威だけど、今は、ISみたいに国家じゃない、そういうテロ組織みたいなものが、人類の脅威になっています。
ですから、「国際紛争っていう言葉にこだわって良いのかしら?」っていう思いから、『日本国民は、侵略の手段としての武力の行使、並びに、武力による威嚇は、これを行わないことをここに厳粛に宣言する』って書いたら良いのじゃないか? ってことを、7~8年前に言いました。
だけど、「2項を変えるためには、1項は今のままで良いじゃないか」「2項は削除するんだから、1項まで変えたら大変だよ?」っていう議論がありまして、(自民党改正草案では)「1項はそのまま」となりました。
(ここで石破氏が2項として挙げた条文は次の通り。これの出典は不明のまま書きおこします:)
「日本国の独立と平和、並びに、国際社会の安定に寄与するため、国防軍を有する」 「その最高指揮官は内閣総理大臣とする。その行動は、国際法、並びに、確立した国際慣習によるものとする」
(一方で、自民党憲法草案の9条2項は以下です:) 『国防軍 第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。 2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。 3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に強調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。 4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。 5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実地に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所に上訴する権利は、保障されなければならない』
これが、本来(の草案)ですよ。 ですから、「そこをなぜ(安倍首相が)変えるのか?」「なぜこの議論をすると危険(だといって避けるのか)」というのが私には分からなくて。
でもやっぱり、「やっちゃいけないこと」というのははっきりしていて、私は、あんまりそういう、「今だけが良ければ良い」という考え方には、くみしない立場なんです。
「ことの本質から目をそらすやり方」は、その時には良いように見えても、自分はその時この世にいないかも知れないけれど、必ず後世に禍根(かこん)を残します。
【長野】 今のお話を聞いてやっぱり、多くの国民がなにか「今の憲法・9条があったから平和があるんだ、という錯覚」に陥っていて、(その錯覚が)身に付いた人が相当多いんだろうな、という感じがしますよね。
【石破】 多いですね。
【長野】 石破さんは「日本の出来る事と出来ないことを基本法の条文に明確に書き込んだ『安全保障基本法』を制定し内外に表明すべきだ」と、この番組でも(過去に)主張されました。
その考えに変わりはないのか? (もしそうなら)それは、「9条の2項は削除する」ことが前提になるんでしょうか?
【石破】 いや全く、(9条2項の削除が前提とは)なりません。
【長野】 ならない。はい。
【石破】 「9条は今のままで、『安全保障基本法』は作れるはずだ」という考え方でございます。 ですから、それには「現行政府の解釈」をそのまま使わざるを得ないところもありますが。
『安全保障基本法』のポイントは、「集団的自衛権」だったんですね。
つまり「集団的自衛権は駄目で、個別的自衛権は良い」っていうのは、「政策判断」なのであって。 ですから論理的には、「憲法上は集団的自衛権をフルに認める」けれども、「その行使はきちんと『安全保障基本法』で制限する」(ことを明文化する)というのが正しいやり方だと思います。
(「集団的自衛権は駄目で、個別的自衛権は良い」という考え方は)「憲法9条の条文(:現行の憲法上の規定)」からも出てこないし、国の生存権っていうか、国民ひとりひとりの「平和的生存権(:人権)」からも、ロジカルには出てこないものだからです。
(しかし)まず、このご理解が、いただけない。
【長野】 石破議員、(今後)自民党内の議論を加速させて、安倍総理の考えに沿った結論を出したとしても、与党の公明党の同意を得なければ、「改正の発議」にこぎ着けることは容易ではありません。
自公のすり合わせの可能性、どういうふうに見ておられますか?
【石破】 どうでしょうね。
安全保障法制の時に、自民党では、高村正彦(こうむらまさひこ・衆議院議員・麻生派)副総裁、公明党では北側一雄(きたがわかずお・衆議院議員)副代表がいろいろ話をされて、ああいうことになったわけですね。
で、「今回もそのスタイルで行こう」と、思っていらっしゃるんじゃないんですかね。
【石破】 その公明党の北側さんは、インタビューで、「9条1項『戦争放棄』と2項『戦力不保持』を堅持した上で、自衛隊を明記する案は受け容れらるのか?」という質問に対して、(次のような)答弁をしているんですが。
「公明党内にもある意見だ」 「安全保障法制で突き詰めた『自衛の範囲の限界』を維持するなら検討の余地はあるが、この枠を越える改憲案には賛成できない」 「9条1項と2項の堅持を明確に示すため、3項ではなく、9条の2という別条項を新設する考えもあるだろう」 「国民の大多数が自衛隊を合憲だと思うのに、多くの憲法学者が違憲性を主張する現状では、安倍総裁の考えも理解出来ないわけではない」 「自民党が具体的にどう条文にするか? 大事な点は、書き方だ」
これ、どんなふうに見られます?
【石破】 それは北川副代表が、「間違っても集団的自衛権なんて、これ以上認めないよ」っておっしゃっているんだと思いますね。
それ以上でもそれ以下でもないと思います。
私には、「集団的自衛権なんて認めない」というのは、「集団的自衛権とはアメリカと組んで世界中で戦争する権利だ」っていう思い込み、あるいは誤解、あるいは、ためにする考えだというふうに見えるんですけどね。
きちんと、「集団的自衛権を中核概念とする集団安全保障」と、「それが機能しない時の集団的自衛権」を核とする国連って何なんだい? っていう議論をする必要があるんでしょうけどね。
【長野】 ズバリ。 来年9月の自民党総裁選で、「憲法改正をめぐって、石破議員と安倍総裁が競い合う」という展開も、ありそうですか?
【石破】 まあ、来年のことは分かりません。
ただ、「憲法改正なるものを、総裁選のテーマにする」というのは、私はあんまり、気が進まないんですね。
つまり、はっきり言っちゃえば、「9条の3項」だろうが「9条の2項」だろうが、「(法律で)現状を追認する」っていう話でしょう? 「学者が違憲だって言っているから、そう言わせないようにする」っていうことでしょう?
(しかし)私はそれよりも、「財政」「少子化」「社会保障」ということの方が、本来、総裁選のテーマになるべきものだと思いますね。
【長野】 『憲法改正のための国民投票法』を制定したときに、これを主導していた憲法調査会座長の中山太郎・元外務大臣は「より多くの政党の賛同を得て改正するのが望ましい」って言っておられましたが、石破議員は、これはどういうふうにお考えですか?
【石破】 それは、丁寧に、より多くの党の賛同を得るべきでしょう。
でも、「3分の2」って、けっこう(大変な)な数字ですからね。 「3分の2カツカツで、国民投票でようやっと2分の1でした」っていうのは、あんまり良いことだと思わないですけどね。
【長野】 確かに、国民投票っていうのは、難しい様相があると思いますが。 ただ、憲法改正には、なんと言っても国民的議論が欠かせない。
石破さんは、「どういう角度からの憲法論議が重要だ」というふうにお考えですか?
【石破】 (日本国憲法は)占領下で出来た憲法(ですが)、一応、大日本帝国憲法の改正手続の形式に乗っていますので、私は、無効論に立ってはいません。
ただ、占領下で、日本に主権はありませんでした。
ですから、前文(イントロダクション)がそうであるように、「日本は、世界各国の善意にすがって生きていくんだよ」っていうのが、(日本国憲法を通して)ずーっと流れているわけですよ。 前文には、『日本国民は~平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。』と書いてあるんだから。
つまり、流れる精神は、「独立していないときの憲法」ということですよね。 だから、独立のために必要な「軍隊の規定」もなければ、独立のために必要な「非常事態の規定」もなければ、っていうことなのであって。
それ(:憲法改正議論のことを指す?)は本来、右とか左とかっていうイデオロギーと関係なく、「独立国にふさわしい憲法を作りましょうね」っていうもののはずだったんですけどね。
どうしてこんな事になっちゃったんですかね。
【長野】 昨年は「国・地方を合わせたプライマリーバランスについて、2020年度までに黒字化、”その後の”債務残高(対GDP比)の安定的な引き下げを目指す」という事だったんですが、6月9日に閣議決定された『骨太方針2017』で、財政健全化目標の、事実上の変更がありました。
「プライマリーバランスを2020年度までに黒字化し、”同時に”債務残高(対GDP比)の安定的な引き下げを目指す」っていうことになりましたけど。
これは、どういうふうに評価されますか?
【石破】 これは、「プライマリーバランスの黒字化を放棄した」といわれることがあるんですけれど、決してそうではないと思っています。 ただ、「GDPってそんな伸びるんですかね?」っていう思いもありまして。
「プライマリーバランスの黒字化を放棄した」って世の中で言われないように、「これから先も努力はしていかなきゃいけないなあ」というふうに思っています。
で、この「少子化」で「医療費がどんどん増えていく」っていう問題は、大変なことなんですよね。 そういう「少子化」とか「医療」とか、「国民ひとりひとりが生きていくのに本当に必要なもの」を、上げるんだか上げないんだか分からないようなものに任せて良いのか? というと、私は「そうではない」と思うんです。
それを(安倍政権はずっと)「(対策するのは)消費税が上がったらね」っていうお話をしてきた。 ですからむしろ、自己目的は「財政の健全化」ではなくて。 「財政を何に使いますか?」「何を削ってでも維持しなければいけないものがあるんじゃないですか?」っていう議論を進めていくべきだと思います。
【長野】 「プライマリーバランスの黒字化が達成されないままで、債務残高(GDP比)が本当に低下するのか?」っていうことについては、いくつも疑問がありますね。
【石破】 (笑)。そうですね。
ですから、「GDPが増えて、その中の比率が下がりさえすれ��良いんだよ」「だから、黒字化できなくても勘弁ね」というお話には、してもらいたくないですね。
【長野】 そうなった場合には、財政規律はますます低下していくことになりますから、ここは大事なポイントだと思います。
【長野】 アベノミクスは、「2万円台に回復した日経平均株価」や「堅調な有効求人倍率」の成果が際立つものの、経済の体温を示す「潜在成長率」は、上向いていません。 「規制改革などを武器とした成長力のエンジンは不完全燃焼のまま」と言えます。
政権が掲げる「経済最優先」の看板がかすんで見えのですが、石破議員はアベノミクスの5年を、どういうふうに評価されますか?
【石破】 うん、大胆な金融緩和があって、それに原油安も加わっ(たので、それで)「企業が海外での儲けを円に転換すれば、すごく儲かったように見えます」ということですね。 確かにそれによって、「有効求人倍率」も改善し、「個人の所得」も増えた。 ですからこれは、「それはそれでめでたいことだ」、で。
けれど(課題は)、「じゃあ、なんで個人消費が上がんないんだろうね?」ということだと思います。 (同じく課題である)企業の「設備投資」は、「原価償却の範囲内」となっているのでね(:まずは個人消費の伸びに期待をするべきという意味?)。
だから、「どうやったら個人の消費が上がりますか?」「どうやったら設備投資が上がりますか?」っていうことにフォーカスを当ててやっていかないといけない。 そういう時代の流れだと思います。
だから、「アベノミクス酷い」とか、そんなことを言ってんじゃなくて、「今後は何が必要なのかね?」っていう議論だと思いますね。
【長野】 政権発足から半年後、2013年6月の骨太の方針で「長期的な安定成長には、成長戦略による労働生産性の向上、潜在成長力の強化が不可欠だ」と言っているけれど、あれから4年たって、日銀の推計は、日本経済の姿というのを冷徹に映していて。
足もとの潜在成長率は「0.69パーセント」。 経済の実力は、上がるどころか、2014年度の「0.8パーセント」から、むしろ(アベノミクス実施期間を通して)下がってきているんですね。
だから、「財政」とか「社会保障」というのは、ある意味「落第」なのかな? っていう感じで見ていますが。
まあ、なんていうのかな。 「選挙優先」での取り組みで、「社会保障の充実」などを約束しながら、それが進められていないという点も、大きな問題点なんだろうなと思います。
【長野】 今日のゲストは、「ポスト安倍」の有力候補、前・地方創生担当大臣、石破茂自民党衆議院でした。
石破さん、ありがとうございました。
【石破】 ありがとうございました。
【長野】 来年秋の自民党総裁選は、石破議員と安倍総理の対立軸が明確なだけに、見応えのあるものになると思います。
自民党の「幅の広さ」「懐の深さ」を国民に見てもらうためにも、石破さんの健闘を、期待をしたいところであります。
来週(2017年7月9日放送)のゲストは、馬場伸幸(ばばのぶゆき)、日本維新の会幹事長です。 お相手は、長野祐也でした。
(書き起こしここまで)
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひ他の機会に放送音声でご確認ください。また、間違いのない作業を出来るだけ心がけていますが、その上での誤字や、編者不見識による間違いについては、どうか温かくご容赦いただけましたら幸いです。
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】石破茂✕長野祐也[前編]『長野祐也の政界キーパーソンに聞く』(2017年6月25日放送 ラジオ日本)より
石破茂✕長野祐也(『長野祐也の政界キーパーソンに聞く』2017年6月25日放送・6月19日収録)ラジオ日本 より書き起こし
【長野】 政治評論家の長野祐也(ながのすけなり)です。
ラジオ日本をキーステーションにお送りしています『長野祐也の政界キーパーソンに聞く』、本日のゲストは、ポスト安倍の有力法保、前地方創生大臣、石破茂(いしばしげる)自民党衆議院議員です。 6月19日、議員会館での収録です。
石破さん、よろしくお願いいたします。
【石破】 はい、どうぞよろしくお願いします。
【長野】 石破議員が、春先に出版した『日本列島創生論―地方は国家の希望なり―(新潮新書)』は、「地方から革命を起こさなければ日本が変わる事はない」という考え方をまとめたものです。
これは、「石破議員が考える政権構想の骨格」と理解してよろしいんでしょうか?
【石破】 そんな大それたものじゃありませんが――
【長野】 (笑)。
【石破】 ――私は、今までいくつか大臣をやって来ましたけれど、「大臣を終わったあとに本を出す」というのをならわしとしておりまして。
大臣を2年・1年とやったあと、「自分は何をやろうとしたか?」「何が出来て、何が出来なかったのか?」「これからの課題はなにか?」というのをまとめて世に問うことを、やはり私は「大臣のたしなみだ」と思っておりまして。 大臣が終わるごとに毎回々々、そう努めております。
地方創生担当大臣になって――多くの気づきがありましたし、多くの出会いもありました――「ああ自分はこんなに日本を知らなかったんだ」っていうことに気がついて、正直言って、私はがく然としてですね。 地方創生大臣は、今までの、防衛(大臣)とか、農林(大臣)とかとは違った取り組みのしかたでした。
ですから、世の中の人はすぐ「政権構想?」って言うんですけれど、そういうものよりも、世に「自分が大臣としてどうだったか?」ということを問いたかったということです。
【長野】 ちょっと私の、『日本列島創生論』の感想を言わしていただけると。
冒頭から、石破さんらしい噛んで含めるようなアプローチで、狙いが丁寧に記せられていると思いました。 石破さんは自他共に認める「国防族」のひとりだけど――「狭い意味」での安全保障だけでなくて、国家の安全とか国民の将来という、「広い意味」での――安全保障に真摯に取り組んでいるって事が、この本から良く伝わってきます。
従来は、『ふるさと創生(竹下内閣・1988年から1989年頃)』とか『田園都市国家構想(大平内閣・1979年頃)』とか『日本列島改造論(田中内閣・書籍は1972年上梓)』などの構想がありましたけど。 それなりに卓見ではあったけど、今の『地方創生(第2次安倍内閣・2014年から現在)』と何が違うか?
石破さんは「この政策を実行しなければ、日本国そのものが維持できないという危機感が、決定的に違う」と強調されていますね。 著作の冒頭で「人口減少は日本の有事だ」と危機感を表明されておられます。
『地方創生』は、単に「地方が元気だった時代への夢をもう一度」といった地方再生ではなくて、「農業や漁業や林業または観光業のサービス業、介護や医療といった業種」の「潜在力をいかに発揮させていくか?」が柱になっている。 「地方から国の形を変える必要性」を指摘をされていますが、全国をまわってみて直面するのが、まさにこの「人口減少が有事だと言わざるを得ない現実」と言うことなのか?
地方が活性してこその、安倍内閣が掲げる『一億総括役』だと思います。 初代地方創生大臣の「腰かけ的な知見」ではなくて、退任後も、「政治家の責任」として、問題解決・処方箋を推敲されている姿には、敬意を表したいと思います。
(石破さんは)現状は「大都市偏重、大企業偏重が続いている」というご認識なんでしょうか?
【石破】 うん、端的に言って、そう思いますね。
今のまま行ったら、西暦2100年に日本人は、今の1億2700万人から5200万人(に減少する)。 半分ですよ、半分。 200年経ったら10分の1になり、300年経ったら、30分の1になる。 日本そのものが溶けて無くなりつつあります。
それは多分、人類の歴史上、例のないことだと思います。 ですから、「今もう、手を打たないでどうするの?」ということです。
国家というのは「領土」と「国民」と「統治の仕組み」、この3つで成り立っているのであって、どんなに統治の仕組みを守り、どんなに領土を守っても、国民がいなくなっちゃうわけですから、「これを有事と言わないで何というのよ?」と思います。
私が高校生の頃、田中先生の『列島改造』。私が勤め人の頃、大平先生の『田園都市構想』。私が議員になったばかりの頃、竹下先生の『ふるさと創生』。 みんな立派な取り組みだったが、「経済は伸びてるよね」「人口増えているよね」という時の政策なので、「これに失敗したら国が亡くなるぞ」という危機感はどこにもなかった。
これから先は人口が激変するので、経済はそんなに伸びっこないのであって、前提が違うわけです。 おぼろげながら「政策の立て方も変えていかなきゃいけない」っていうことは分かってはいたんだけど、この大臣をやって、(それを)本当に実感しましたね。
「今までの政策のやり方では駄目だ」ということです。
【長野】 かつて、産経新聞の論説委員や、大学の教授を務めていた河合雅司(かわいまさし/人口政策・社会保障政策)さんが、『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること(講談社現代新書)』という著書で、(石破さんが)「有事」だと言われた「人口減少の未来」を、具体的に示していまして。
「2020年に女性の半数が50歳を超え」「2024年に全国民の3人に1人が65歳以上になり」「2027年には、輸血用の血液が不足し」「2033年には3戸に1戸が空き家になり」「2040年には、自治体の半数が消滅」「2042年には高齢者人口がピークを迎える」と、こういう年表です。
『地方創生』が、長期戦略を見据えて、待ったなしで緊急に手を打つべき課題である事は分かりました。 これは(現在のような)「政府等のかけ声」だけでなく、「与野党を超えた国家プロジェクト」と位置づけるべき内容だと思います。
石破さんの『日本列島創生論』では、それを防ぐためのいろんな具体的な案を出しておられます。 これを実現するため、「政治、特に国会で、どう働きかけて行かれるのか?」 その前に、「どう自民党でコンセンサスを得ていくか?」が鍵となる思うんですが、このへんはいかがですか?
【石破】 私が3年前に大臣になって最初にやったことは『地方創生法(第2次安倍内閣・2014年成立施行「まち・ひと・しごと創生法」と「改正地域再生法」の関連2法)』という法律を作ることだった。
今までは、どの市だってどの町だって、「第何次何カ年計画」を作っているよ、っていうことだったんでしょうけれど、それって、ほんの一握りの人しか知らない、ほんの一握りの人しか作ることに参画してない、出来たか出来ないかもあんまり問われたことがない。 国が「こういう政策だ」(と示した内容に沿って)都道府県が受け、市町村が受け、それを受けて各集落が受けて、それでひとりひとりに行く、という流れだったわけです。
新しいやり方というのは――高知なんかが一番の典型ですけど――「まず、集落の話し合いだ」と。 それに、市町村が乗り、県が乗り、最後に、国が乗っていくっていうやり方です。 「全国1718市町村全てが、これから先5年間に、我が市、我が町、我が村をどうするか? というプランを作ってください」というものでした。 今までと全く、流れが違うわけです。
例えば鹿児島県でいえば、「川内(せんだい)市のことが霞ヶ関で分かりますか?」「霧島(きりしま)市のことが霞ヶ関で分かりますか?」「奄美(あまみ)市のことが分かりますか?」っていうことなんですね。 「その地域にしか分からない、その地域においてのベストの政策を作ってください」っていうところから始めようというのが、あの法律の意味でした。 要は、「その地域のことは、その地域でなければ分かりませんよ」っていう。
その主旨・意義を理解してくださった市町村は、本当にそういうふうにやっています。 していないところは、あい変わらず――どっかのシンクタンクに出して、綺麗なものを作って、誰も知らないまま――「補助金ちょうだい」っていうことですよね。
でも、少しずつ少しずつ変わって、点が面になっていくっていうことは、必要なことだと思っておりましてね。 だから、「地方創生法」という法律は、端緒(たんちょ)だったと思います。
この(取り組みの)本質は、「おまかせ民主主義からの脱却」っていうことだと思います。
【長野】 国会では「加計学園が愛媛県の今治市に獣医学部を新設する計画」について、「当時の石破大臣が定めた特区認定の条件とか基準を満たしているかどうか?」が議論になりました。
石破議員自身は(このことに関して)どういう評価をされているんですか?
【石破】 よく「石破4条件」なんて言われますけれど、私が勝手に作ったものじゃありません。内閣全体として閣議決定をしたものです。
4つの条件は、つまり。
(1)「感染症対策とか、生物化学兵器対策とか、新しいニーズがありますよね」「それに対応するためには今の獣医学部獣医学科では能力がありませんよね」。 (しかし)それは専門の人でなければ分かりません。
(2)「今までどこの大学もできなかった教授陣を揃え、どこの大学もできなかったいろんな施設を揃えていますね」というのも、当事者やそのことに通暁(つうぎょう)した人々でなければ分からない。
(3)そして、産業用動物(牛とか豚とか)の獣医さんが足りないということなのであり、獣医さん(全体)の数が足りないわけじゃない。
(4)それに「悪影響を与えないかどうか?」は、これも農林水産省じゃなきゃ分からないことなんです。
だから、「ニーズがありますね」「今の大学じゃ駄目ですね」「そういう(新しい課題を解決する)ものをきちんと準備していますね」、そして「獣医全体の需給バランスに悪影響を与えませんね」、この4つが証明されれば、やれば良いんです。 されなきゃ、やっちゃいけない。
非常に単純なことだと思いますが。
【長野】 加計学園をめぐる問題は、理事長が総理と親しい友人である事から、周囲の忖度(そんたく)が働いたのではないか? という疑問が浮上しました。
長期政権になると、総理が指示しなくても周辺が気を回すということはありがちなことです。 これに対して安倍総理の対処を、どういうふうに見ておられますか?
【石破】 うーん。 だから、「自分と仲の良い人なんだけど、この加計がやろうとしていることは東大獣医学科でも北海道大学獣医学科でも対応出来ない、こんな素晴らしいことなんだよ」と言えば良いことです。
別に、総理が(自身で)そんなことを言わなくても良いんです。
そういうことの担当である農林水産省、文部科学省、あるいはニーズという点からいえば厚生労働省かも知れませんね。 そこがもう、総理と親しかろうが親しくなかろうが、「こんなに素晴らしいものだからやります」、あるいは「総理と親しいんだけど、これが欠けていますのでやりません」と、それさえ言えば良いことですよ。
何も難しいことでもありません。
【長野】 日経の直近の世論調査では、「加計学園の説明答弁は納得できない」という人が75%、共同通信でも73%。
【石破】 はい。
【長野】 その結果が、内閣の支持率の急落に繋がっていますね。 「自民党の中でも、対応に反発が強い」と聞いています。
(私は)「東京都議選で大きく負け」「ポスト安倍の動きが活発化すれば」、「党総裁3選を果たして改憲を目指す総理のシナリオも少し揺らいでくるのかな」という感じで見ています。
追加調査の結果文部科学省は、「(加計問題に関する)安倍総理周辺の忖度をうかがわせる文章」について、しぶしぶ、存在を確認しました。 こういう「対応の遅さ」が、国民の不信を招いたんではないでしょうか?
【石破】 あの。「どの文書が保存しなければいけない文書なのか?」「どんな文書だったら(保存を)しなくて良いのか?」っていうルールは、どうなっているんですかね?
「文科省は文科省」「内閣府は内閣府」「農水省は農水省」(というふうに、文書保存についてのルールが)バラバラになっているような気がするんですよね。
【長野】 はい。
【石破】 「きちんとやれ」っていう総理のご方針もあって、文書管理って、福田内閣の時に各省共通したルールにしたはずなんですよね(公文書管理法・2009年成立2011年施行)。
(公文書には)『保存期間1年』とか『保存期間5年』とか『永久保存』とか、いろんなランクがあるわけです。 一番要らないのは、「要らなくなったら捨てて良いですよ」っていう『用済み後破棄』。 これの取り扱いは、「誰が判断するんだい?」っていうことがありますんで、結構難しいんですけれどね。
そこをもう一回ちゃんと統一しないと、「あったのかい?」「なかったのかい?」「どこに保存してるんだい?」、みたいなことでですね……。
こういう事務的なことは、いちばん大事なことなんですけど。 (そこ)で「こんなに混乱があって、たまるか」、っていう気がするわけです。 「行政が公平公正でした」っていうことを証明するために、文書はやっぱりなるべく、取っておいたほうが良い。 昔みたいに、紙が膨大になるわけではありませんのでね。 「そこはキチンとしようじゃないの」っていう議論が、あんまり行われていないのは不思議ですね。
私が防衛大臣をやっていたときには、(自衛隊の)航海日誌って、ある一定期間が経つと捨てていたんです。
私が「何で航海日誌なんか捨てるんだ」って言ったところ、「いやいや大臣。戦闘艦はいくさをする船ですから、いくさと関係ないものをなるべく乗せてはいけません」(と答えられました)。 「なるほどそういうものか」「でもこれは捨てちゃいけない。陸上に保管しろ」と言ったのがもう、10年くらい前くらいの話ですね。 (保管しておくきは)それぞれ舞鶴でも横須賀でも呉でも良いんですけれど。
今は全部電子データになっていますので、場所なんか取るはずないんで。 行政文書(公文書)というのは、「今晩飲みに行きませんか?」とかそういう文書じゃない。 「公務に関することで複数の人が目を通したものは行政文書なのだ」「それはきちんと残せ」という事を徹底しないと、また同じことが起きますよ。
【長野】 「総理のご意向」文書を全否定した安倍政権が、(その後)どんどん出てくる文書や証言の前に誤算を重ねて一ヶ月迷走した問題に対する国民の世論調査では、まあ非常に、厳しい結果が出ています。
(現在)衆参両院で与党とそれに協力する勢力が多数を占めているので、安倍政権の政局運営というのは、強引になりがちです。
「テロ等準備罪を創設する法律」の制定でも、最後には、委員会採決を省略して本会議の採決で決めるという、通常とは異なる対応でした。
こういう安倍政治の姿をどういうふうに見られますか?
【石破】 うん、安倍さんは、よく「政治は結果だ」って言いますよね。 憲法改正なんかでもそうなんですけど、つまり、「結果が出なければ意味がない」。 確かにそうなんです。 だけど、「結果が出ればプロセスはどうでも良いのか?」っていうと、そうはならないのであってね。
私は、「適切なプロセス」と「結果を出す」、このふたつとも、政治が目指していかなければいけないことだと思うんですね。 だから――もちろん総理がそう思っているわけではないでしょうけど――「結果さえ出ればそれでいいんだ」というのは、やっちゃいけないことだと思います。
私は全部見たわけじゃありませんけど、一連の「テロ等準備罪」の質疑では、やっぱり、すれ違いが多かったですよね。 つまり、その場で野党を、論難(ろんなん)というか、論破(ろんぱ)というか、難詰(なんきつ)というか、それをするのは、確かに、テクニックとして、ひとつのやり方でしょう。 「印象操作だ」とか、そういうお気持ちは分かります。 分かるんだけど、「野党議員の向こうには国民がいるんだ」ということを忘れちゃいけないと思うんですね。(それでは)国民は何のことだか分からない。
「これが、国民のいろんな人権を侵害しませんか?」とか「運用を間違えると、非常に監視社会になりませんか?」とか「これだけの罪名が必要なんですか?」とかを訊いているわけであって。 (それに答えるにあたっては)訊いている人が、「うんそうだよな」って思ってくれる努力を、これから先、さらにさらにしていかきゃないけないっていうことだと思いますけど。
【長野】 安倍政治の今の状況を見て、各紙(による調査)では「内閣支持率」が急落していますね。 読売は10ポイント減の49%。 日経は、7ポイント減の49%。 共同は、10.5ポイント減の44%。 毎日だけですが、10ポイント減の36%で、不支持の44%と逆転しているんですね。
これが一過性のものなのか、「安倍政権の終わりの始まり」「政治の節目が大きく変わるきっかけとなる」のか。 今後注目をしてきたいと思います。
【長野】 連続4回の国政選挙で野党に勝った安倍政権は、とかく、野党を抑え込むという手法が目立っています。 しかし「国民の4割」とも言われる「無党派層」の中には、次第にこの「安倍政治の手法に疑問の声が蓄積しているのではないだろうか?」と思うんですが、このへんはどう見ておられます?
【石破】 うーん、それは国民すべてに訊いたわけでもありませんし、世論調査って設問のしかたで数字は全然変わるので、「あまり世論調査だけにこだわって政治をやるのは間違いだ」と思っているんですけどね。
私は、選挙の時でもそうなんですけども、「集会にどれだけ人が集まってくれたか?」も大事だけど、「選挙カーを走らせてみて、どれだけの人が手を振ってくれるかな?」っていうのが、一番分かりやすいバロメーターだと思っているんです。
選挙が始まる。選挙カーを走らせる。 (そこで)大勢の人が手も振ってくれると、「この選挙は勝ったな」って思いますし、どんなに集会に人が集まってくれても、対向車の反応とか道を行く人の反応が悪いと、「あ、これは厳しいな」って、思うんです。
で、この、世の中の支持っていうのも……。
わたくし今、役職に就いていないので、SPが付くわけでも秘書官が付くわけでもないし、かなり自由に、飛行機に乗ったり電車に乗ったりしてるんですね。 そうすると実際に、「石破さん頑張ってよ」って人が、そうですね、2月前の3倍にはなりましたね。 向こうから寄ってきてくれるんです。
【長野】 おおー……。
【石破】 この数がすごく増えているというのは、「一体なんなんだろう?」って思うんです。 だから、「世の中の人たちが思っていることが確実に変わりつつある」っていうのが――「肌感覚」っていう言葉はあんまり軽々に使うべきじゃないんですけど――実感ではありますね。
【長野】 その(有権者の)期待が今からもっともっと増えるように、期待をしたいと思います。
【長野】 あと、「無党派層の安倍政権離れ」っていうのは、世論調査でもはっきり証明されているし、そのボディーブローっていうのは、徐々に効いてくると思うんですね。
今まで安倍政権は、例えば消費税の増税などの「国民に痛みを分かちあってもらう政策」を、支持率を確保するためなのかどうなのか、先送りしてきていますが。
私はね、本当に「ウルトラ政権」を目指すならば、最後はこの厳しい課題に取り組む必要があると思うんですね。 そして日本の将来のために、「野党を攻撃し続ければ政権が安泰」という政局観を乗り越えて、「野党との政策的一致点を探る発想」に転換をしてもらいたいなという感じが、強く、します。
石破議員が総理総裁を目指すときには、国民に対して、国会運営のあり方、あるいは野党との関係を、どう構築するという考えをお持ちですか?
【石破】 「それはお前、考え方が甘いんだよ」って言われるのかも知れませんけど、我々が先輩から教わってきたのは、「野党の顔を立てようね」っていうことでした。
顔を立てるという言い方はよくないでしょうね。(議会で)たとえ多数を持っていても「野党の主張で取り入れられるべき点は取り入れる」「取り入れられない点は、なぜ取り入れられないか? というのを分かりやすくお話する」ということを、私は大事なことだと思っているんです。 彼らだって「国を滅ぼそう」と思って言っているわけじゃないし、「全く荒唐無稽」なことを言っているわけじゃないんで。
まだるっこしいかも知れないし、速断即決にはならないけれど、やはり彼らも、憲法の規定によって、全国民の代表者なんですよね。 「ひとりひとりの野党議員が全国民の代表者だ」ってことを、忘れるべきではありません。
【長野】 今日のゲストは、前地方創生担当大臣・石破茂・自民党衆議院議員でした。 石破さん、ありがとうございました。
【石破】 ありがとうございました。
【長野】 来週も引き続き、石破茂議員にご出演いただき、「憲法改正論議」「骨太方針2017」「アベノミクス5年の評価」などについて討論いたします。
お相手は、長野祐也でした。
(書き起こしここまで)
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひ他の機会に放送音声でご確認ください。また、間違いのない作業を出来るだけ心がけていますが、その上での誤字や、編者不見識による間違いについては、どうか温かくご容赦いただけましたら幸いです。
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】荻上チキ×木島英登×石川准「誰もが暮らしやすいバリアフリー社会を実現するためには何が必要なのか」(2017/06/29 TBSラジオより)
「誰もが暮らしやすいバリアフリー社会を実現するためには何が必要なのか」荻上チキ×木島英登×石川准(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)より書き起こし
【南部】 セッション22、TBSラジオをキーステーションに、荻上チキと南部広美が生放送でお送りしています。 ここからはメインセッション、今夜のテーマはこちらです。
『探求モード!
バニラ・エアの車椅子対応をきっかけに考える、バリアフリー社会を実現するには何が必要なのか?』
【荻上】 格安航空バニラ・エアが、今月5日、奄美空港で、『歩けない人は乗れない』として、『下半身不随の男性が車椅子に乗った状態で登場することを拒否する』という出来事がありました。
そのため男性は、車椅子を降りて、腕の力でタラップをよじ登り搭乗したということです。
運営をするバニラ・エア社はその後16日、『不快な思いをさせて申し訳なかった』と電話で男性への対応を謝罪し、奄美空港に、車椅子で搭乗出来るよう、設備を導入しました。
一方で、こうしたニュースが報道されたのち、ネット上では、バニラ・エアを「障害者差別だ」と批判する声が盛り上がる一方で、男性に対しても、「クレーマーだ」「当たり屋だ」と、批判・非難するような言葉が上がったりしていました。
このような議論がネット上などで広がっている現状、この「バニラ・エアの飛行機搭乗をめぐって何が起きていたのか?」「どんなやりとりがあったのか?」。 それから、「今回のケースをきっかけに、『誰もが暮らしやすいバリアフリー社会』を実現するためには何が必要なのか?」ということを、あらためて当事者の方々と考えていきたいと思います。
今夜は、バニラ・エア、そして、このバニラ・エアに搭乗する際に、自力で乗車をされるということになった当事者の方にも、それぞれ取材をしております。 まず、メールを紹介しましょう。
【南部】 はい。 ラジオネーム、(省略)さんから。
『今回のバニラ・エアの問題で、日本は、障害者の方々に対して冷たい社会なんだな、と、あらためて思い知らされました。
車椅子の利用者さんに対して、事前に、言わないのが悪いという批判、バッシングがありますが、「関空・奄美線は、事前連絡があれば搭乗を断る」という、バニラ・エア側の対応が攻められるべきです。
車椅子に乗っていたら、搭乗を拒否されるのは、どう考えても合理性がなく、理不尽です』
というメールを。
【荻上】 ちょうど「障害者差別解消法」という法律が、成立・施行されていて。
(この法律に関連して)「差別の禁止」、それから「合理的な配慮」ということで、「さまざまな配慮をしていきましょう」「東京オリンピックパラリンピックに向けても、さまざまな障害者対応・バリアフリー化を進めていきましょう」という議論も行われています。
ではそうした中で、今回のケースは、いったい何を投げかけているのか?
いろいろ考えていきたいと思います。
【南部】 では、今夜のゲストをご紹介します。
今回の、バニラ・エア搭乗の際の当事者でもある、バリアフリー研究所所長の木島英登(きじまひでとう)さんです。
よろしくお願いいたします。
【木島】 皆さんこんばんは。木島です。
【荻上】 よろしくお願いいたします。
【南部】 では、木島さんのプロフィールを簡単に、ご紹介いたします。
木島秀登さんは、1973年、大阪府のご出身です。 高校3年生の春、ラグビー部の練習中に背骨を脱臼圧迫骨折したため、脊椎を損傷。以来、車椅子の生活を送っていらっしゃいます。 2004年に「木島英登バリアフリー研究所」を設立し、ひとり旅で世界157カ国を報申した経験を活かし、世界のバリアフリー事情などを、執筆・講演などで、発信されています。
【荻上】 はい。
(木島さんは)車椅子になられてから、より積極的に旅行を行うようになった、というところはあるんですか?
【木島】 車椅子になったのが17歳で、さすがに高校生では海外には行けませんから。 僕は「車椅子で海外に行きたい」という夢があったので、大学生になった時にチャレンジして、(それが)どんどん積み重なって。
たくさんの国を訪問しています。 まさかこんなに(数多く)行くとは思っていませんでしたけど。
【荻上】 ということは、いろんな場所に行くために、普段から飛行機に搭乗されているんですね。
【木島】 はい、今まで500~600回くらい乗っていて、世界の300くらいの飛行場を利用しています。
で、歩けないことを理由に「飛行機には乗れない」って言われたのは、今回初めてだったので。 まあちょっと、驚いたんですね。
アフリカとか太平洋とか、南米とか、アジアとか、いろんな飛行場、小さな飛行場も利用しているんですけれど、何も設備がないところでも乗れる。誰か(の)お手伝い(により)乗ったりしていましたので。
【荻上】 なるほど。
そこでまずは、「今回木島さんが、バニラ・エアの飛行機搭乗の際に、どういった出来事に遭われたのか?」ということをまとめたいと思います。
木島さん、本日はよろしくお願いいたします。
【木島】 よろしくお願いします。
【荻上】 では、南部さん。お願いします。
【南部】 はい。
まずは、木島さんのブログの記述などに基づく今回の経緯を、簡単にご紹介します。
関西在住の木島秀登さんが、友人5人と、奄美大島に旅行に行った際の出来事です。
まず、行きの今月3日土曜日、バニラ・エアの、関西空港発奄美空港行きの飛行機に搭乗する際、木島さんは、チェックインカウンターで担当者から、階段の搭乗タラップの写真を見せられ、「歩けますか?」と訊かれました。
下半身不随で車椅子の木島さんが「歩けません」と答えたところ、担当者から「では乗れません」と言われため、「同行者の手伝いのもと乗り降りする」と担当者を説得し、飛行機に搭乗しました。
奄美空港で飛行機を降りる際は、同行者が木島さんの車椅子を取りに行き、三人の同行者に(木島さんが乗った)車椅子を担いでもらって、階段を降りました。
その後、奄美大島での滞在を楽しみ、2日後の5日(月曜日)、帰りの飛行機に搭乗する際に、今回の出来事が起きました。
奄美空港のチェックインカウンターで木島さんは、「空港の車椅子に乗り換えて欲しい」と言われましたが、(その車椅子で飛行機に搭乗するための)設備が無い事は分かっており、同行者にタラップを担いで登ってもらうには自分の車椅子が簡単なため、木島さんは「出来るなら自分の車椅子を使いたい」と返答。
すると、15分ほど待たされたあと、バニラ・エアから業務委託を受けている空港職員から「行きの飛行機で(木島さんが乗った)車椅子を担いで下りたのは規則違反だった」と言われます。
しかし、ここで帰れないと仕事の都合上困るため、木島さんは「飛行機に乗りたい」と主張。 するとようやく、「同行者の手伝いのもとで階段の上り下りが出来るなら」という条件で、搭乗が認められました。
そこで行きの飛行機と同様に、搭乗タラップで同行者が木島さんの車椅子を持ち上げて乗ろうとすると、職員に「駄目」と制止されました。
そこで木島さんは、階段に座って、一段一段這って登ろうとしましたが、それも「駄目だ」と言われます。 しかし、木島さんは静止を無視してそのまま這い上り、同行者は木島さんの足首を持って、それをサポートしました。
登っている途中で、キャビンアテンダントが「手伝います」と駆け下りてきて、ドアの前からは、機内に設置されている折りたたみ式の小さな機内用車椅子に乗り、座席へと移動。 大阪に戻る事が出来た、ということです。
【荻上】 うーん。 というわけで。
「大阪」、それから「奄美空港」。 「行きの飛行機」と「帰りの飛行機」(での話)がありました。
まず、行きの飛行機では、車椅子を担いで乗り降りした?
【木島】 はい。
関西空港は搭乗ブリッジがありますので、(担ぐ必要がなく)簡単に乗れるんですけれども。 到着した奄美空港で階段でしたので、車椅子は担いでもらって、降りました。
【荻上】 なるほど。
そのとき担当の方は(車椅子を担いで)降りる事に同意されたというか、「それで大丈夫ですよ」というような反応だったわけですか?
【木島】 それは分かんないです。 もしかしたら担当者は、僕が同行者のもと、歩いて降りるのを想定していたのかも知れませんけれども。
せっかく決めた旅行ですから、とにかく僕としては、まあ単純に、旅行に行きたいので。
「同行者が(車椅子を)階段で担ぐ手伝いをする」というのも、良くあることなので。
【荻上】 他の飛行機に乗る際には(という意味ですか)?
【木島】 いえ、飛行機に乗る際ではなくて、街中で。 「カフェに入る」「レストランに入る」「友達の家に行く」とかでも、さまざまな場面で段差があったりするので。
【荻上】 ああ、はいはい。
【木島】 まあ、(木島さんが乗った状態で)車椅子を担いでもらうことには、慣れています。
【荻上】 なるほど。
(それで)帰りの飛行機、という事になる���けですよね。 奄美から(帰りの飛行機に)乗ろうとした際に、タラップで。
【木島】 あの、「階段を這って上ったこと」は、僕にとっては屈辱でも何でもなくて。
【荻上】 はい。
【木島】 これもまた、良くあることで。
【荻上】 ええ。
【木島】 海外を旅行した時に、高速バスに乗ることがあるんですね。街から街への移動にはそれしか移動手段がないんですよ。 やっぱり、いろんな街を訪れたいので、高速バスに乗る���
(そのときには)配慮でドアに一番近い席を譲ってもらうんですけれど、やっぱり床を這って登ったりしているので。
大変ですけれども、まあ、そのまま乗れなくて奄美空港に残されるよりは「何とかして乗って帰った方が良い」っていうことで。
ただ、歩けないことを理由に「飛行機は乗れません」と言われたことに対しては「それはちょっと差別かな」と感じたので、昨年の4月から「障害者差別解消法」というのが施行されて発着地の大阪府と鹿児島県に窓口があったので、大阪に戻ったあとに相談をして。
国土交通省にもメールで相談したんですけれども、そうすると、真摯(しんし)に対応していただいて。
担当者の方々も「差別事例にあたると思いますので、事実確認をします」ということになりました。
【荻上】 その担当者というのは、国交省の担当者――?
【木島】 ええと、大阪府と鹿児島県の担当者と、国交省の担当者ですね。
【荻上】 なるほど。
【木島】 具体的に何をしたのか分からないですけれども、その連絡をした5日後か6日後くらいには、バニラ航空から、「申し訳ございませんでした」と(いう電話かありました)。
具体的には、「車椅子の方でも今後は利用出来るようにします」というような回答をいただきました。
僕も、世界中利用してますから(経験がありますが)搭乗ブリッジがない飛行場はたくさんありまして、車椅子を担ぐ(以外にも)車椅子で、一段ずつモーターで上がっていくやつがあるんですよ。ガシャン、ガシャン、と。今後、そういう椅子を導入して。
【荻上】 なるほど。
その回答に対しては、木島さんは、納得されたというか――
【木島】 はい、僕としては、もう、嬉しいことで。
僕が断られた時(の話ですが)。
奄美空港で、素晴らしいバリアフリーのリゾートがあるんですね。 前のビーチにも行ける車椅子があったりとか。僕は、普通に海で泳いでいたら、ウミガメが出ました。 素晴らしいところなんですけれど。
【南部】 おー。はい。
【木島】 そこのお客さんで、車椅子の人で、「行きたい」「バニラ・エアの値段が安いのでそれで行こうかな?」って思ったら、やっぱり「車椅子で断られた」と。
「予約は入ってたけど(飛行機に)乗れなくて来れなかった人が何人もいる」と聞いて。 「あ、僕だけじゃないんだ」と。
今後また、同じようなことが起きると不幸ですので、「それが改善されたら良いな」という思いで、大阪府とか鹿児島県とかに相談したんですけれどもね。
まあそれで、解決をして。 終わったんですよ。
【荻上】 はい。
【木島】 ところが、今週火曜日ですかね。 朝日新聞に大っきく記事が載りまして。 で、ヤフーにも載って。
「階段を這って登らされた」「屈辱的な扱いを受けた」みたいなかたちで報道されて。 それに対して批判が出たりとかで。
まあ、そういう問題に対して考えるきっかけにはなったと思いますけど、僕としては別に、「バニラ航空が悪いとか良い」とかではなくて。
何らかの、勘違いなのか。 「社内ルールがおかしい」「差別的だ」と思ったのですけれど、一応改善されたわけですから。 (今後)無事に、誰もが旅行出来たら良い話なんで。
朝日で取り上げられて「ツイッターとかいろんなSNSで盛り上がっていろんな話が出ている」というので、まあ、驚いています。
【荻上】 あの朝日の記事は、取材はありましたか?
【木島】 はい、取材はありました。
【荻上】 なるほど。
その時は、いま言ったみたいな考えというのは、お話になった――?
【木島】 ああ、もちろん、もちろん。 同じことですね。
【荻上】 ご自身としては、「ちょっとインパクトのあるような記事のニュアンスになったな」という感じがありますか?
【木島】 そうですね。
あの、こういった扱いがあったというのは悲しいことなんですけど、「差別解消法」というのが出来たのでそれを相談して、「解決した」というのが、僕は嬉しくて。
僕、「行政の人も良くやってくれたな」と思うんです。 1週間くらいで解決したので。
僕の場合は飛行機の搭乗問題でしたけれど、例えば、「就職する時に差別にあった」とか、「普通校に行きたかったけど障害があるから学校に行けない」とか、まあ様々な場面があると思うんですけれど。
僕の希望としましては、そういった場合に、「皆さん、声を上げて相談すれば解決するかも知れないよ」という事例のひとつとして取り上げて欲しいな、っていうのが、願いですね。
【荻上】 なるほど。
実際に窓口に相談に行った時には、やっぱり、「障害者差別解消法」の名前を出して相談をされたりもしたんですか?
【木島】 窓口っていうのは、大阪府と鹿児島は、電話です。 インターネットで相談窓口みたいな番号を調べて、電話で報告したした次第です。
【荻上】 「この法律が効いて実際に改善された」というような感覚というのは、あったりするのでしょうか?
(「障害者差別解消法」の有無とは)関係なくやってくれたかも?
【木島】 分からないです。
法律が効いたのかは分からないですけれども、相談する電話番号があっただけでもね。
少なくとも、困った時にどこに(という)行政の窓口が各都道府県で出来ていたので。
【荻上】 ああ、そっか、そっか。
【南部】 ――(どこの)窓口に相談して良いのかが。 はい。
【木島】 例えば、「ドメスティックバイオレンスにあった」とか「セクハラにあった」という時に窓口があったら、解決はワンステップ進みますよね。
【荻上】 はい、うーん。
そういった意味では今回は、「窓口があった」ということが(解決に)繋がるのに、重要だったりするわけですね。
【木島】 はい。
【荻上】 今回はバニラ・エア側にも、取材依頼を出しておりまして。
まず「生放送での電話出演」を希望しまして、それが難しかったら「電話での事前収録」を、それで難しい場合には「文書での回答をお願いする」という格好で、取材依頼をさせてもらいました。
今回は、「文章での回答なら、取材に対してお答えいただける」ということで、文書で質問に回答をいただきました。
なので、木島さんと一緒に回答を確認しながら、もうちょっと深く時系列を確認していきたいと思います。
まず『バニラ・エアとして、どんな対応をしたのか?』という質問をしたところ、こういった回答が返ってきております。
【南部】 はい。
『チェックインカウンターにて、ご自身で、または、お付き添いのお客様のサポートによりタラップを登ることが可能であるとうかがい、ご搭乗手続きをさせていただきました。 しかし、お付き添いのお客様が、タラップを車椅子ごと持ち上げる形で登ろうとされたため、転落の危険性を考慮し、止めさせていただきました』
【木島】 はい、その通りです。 「車椅子を担ぐのは駄目だ」と言われていたんですけれど。
申し訳ございません。 しれっと、やろうとしました。 「見逃してくれたら良いのにな」っていう――
【荻上】 なるほど。
例えば他の空港などでは、どういった対応が多いんですか?
【木島】 はい、僕の車椅子を担いでもらって上がります。
【南部】 同行の方とか、職員の方とか――?
【木島】 僕は、一人(での旅行であることが)多いんですけど、よく、空港職員の人とか。 まわりの乗客に担いでもらったこともありますけど。
【南部】 ああ、そうですか!
【木島】 (タラップは)階段みたいに広いですから、「危なくはない」と、私は思うんですけれども。
【荻上】 なるほど。
今回実際に車椅子を持ち上げて登ろうとした時には、「転落の危険性がある」という事で、職員が止めに入ったわけですね。
この点について、ネット上での反応もいくつかご覧になっていると思うんですけれども。 「事前連絡しとけば良かったじゃないか」みたいな声もいろいろあります。
その点については、どうお感じになりますか?
【木島】 はい。 「事前連絡」は、「意見が分かれる」と思うんです。
わたくし、今日も飛行機に乗ってきたんですけれど。 昨日の夜にabemaTVから依頼があって、それで、昨日の夜にインターネットでチケットを取って、今日の午後便で来たんです。
事前連絡していません。 伊丹~羽田というのは、もう、しょっちゅう乗っているので、事前連絡はしないんですけれど。
まあ、「なぜしないか?」っていうと、「そんなに大したお手伝いは頼まない(から)」と。
(事前連絡を)する時もあって。 この間韓国に行った時は、電動車椅子の女の子と一緒に行ったんで、事前連絡をしました。車椅子2人だし、電動車椅子だと、大きかったりするので。
で、毎回々々事前連絡をしなきゃいけないというのも、「大変だ」と、やっぱり僕は思うんですね。
それで「もっと気軽に動けたら良いのにな」っていうので、ずっと昔から(事前連絡なしで搭乗するということを)やってまして。まあ「突撃」みたいなことを言われることもありますけれど。
JRが昔、15年20年前は、新幹線とか特急には2日前までに連絡しないと乗れなかったんですよ。
【南部】 ああ、そうだった……。
【木島】 家族の危篤で「実家に帰らなきゃいけない」と、当日行って乗ろうとすると、「2日前までに連絡がないから」と、乗れなかったんですね。
「事前連絡がなかったら乗れない」「事前連絡をしなさい」と断られたこともあるんですけれど。
(そういったことでは)困るじゃないですか。
【荻上】 うーん、そうですね。
【木島】 僕もそういう時は、「お手伝いを頼まないで勝手に乗るんだったら良いだろう」みたいなかたちで、隠れて乗ったりしたことがあるんですけれど。
「事前連絡をしたらスムーズに行く」のかも知れないですけれど、まああの、「普通に乗れるようなほうが」「行動制限されずにもっと気楽に動きたいな」ということで自分で動いていて。 「それによって大きな問題は起きていなかった」という認識なので。
海外の航空会社を利用する時に、���前連絡は難しいですよね。 言葉の違いもあるし。 逆で考えると、外国の人が日本に来た時に、日本の国内線の利用で、日本語でどうやって説明するのか分かんないですし。
で、今回の場合は、僕は、「事前連絡しなきゃいけない」というのも知らなくて、行った時に揉めて。 帰ってきてからホームページを見ると「奄美空港に行く人は、ご相談下さい」みたいな記述があったんで、「あっそうだったんだ」と。
で、実際のところ、それでもし僕が事前に連絡をしていたら、飛行機乗れませんでした。
【荻上】 乗れない(というと)?
【木島】 これは毎日新聞(『同社は「関空-奄美線では、歩けない車椅子のお客さまから事前に連絡があった際には搭乗をお断りしていた』)とか、南日本新聞の取材でも明らかになっているんですけれど、「事前連絡した場合、歩けない人は全て断っていました」というので。
これは別の問題かも知れませんけれども、事前連絡をしていたら、僕、乗れなかったんで、それはまた、困っていたかも知れませんね。
【荻上】 なるほど。
例えばバニラ・エアの場合は、「事前連絡を何日前までに」となっているんでしょうか?
【木島】 それは僕は、存じてないです。
【荻上】 なるほど。 今回は「5日前」という情報が出ています。
【木島】 はい。
【荻上】 「5日前」という事であれば、今の木島さんの話ですと、障害者の方には、例えば「急きょ明日来てくれ」というような選択肢が与えられない、ということになるわけですよね。
【木島】 「なる、可能性がある」ということですよね。 それで(搭乗時に)「断る」のか、「乗れる」のかは、ちょっと分からないですけれども。
過去JRとかで、「2日前ルール」とかというのでひんぱんに断られていたっていうのはおかしなことなので、今、そのルールはなくなりました。
【荻上】 なるほど。
バニラ・エアに『事前連絡をした場合、乗れない、という対応をしていたとのことですが、以前はどういった対応をしていたんですか?』という質問も投げています。
そちらに対する回答が、こちら。
【南部】 はい。
『事前連絡によって、一律にお断りすること(乗れない対応)は、ございません。 奄美空港の施設状況をご説明させていただき、ご自身で、または係員やお付き添いのお客様の補助のもとでタラップを乗り降り可能かどうかをおうかがいしておりました。 ご自身のみでは困難な場合でも、お付き添いのお客様、係員の補助で登れる方には、ご搭乗いただいております』
【荻上】 という説明ですけれども。 いかがですか?
【木島】 あの、私の言ったことと違いますね。
【荻上】 そうですね。
【木島】 『断っていない』というので。
あの、まあちょっと分からないですけれども。 僕が直接知っている限りで言うと、搭乗カウンターで乗れなかった人を、少なくとも三人知っています。
成田空港とか奄美空港で、「階段なので乗れなかった」というのは、聞いたことはあります。
【荻上】 なるほど。
この答え方は、『一律にお断りすることはございません』ということなので、「断る」ケースもある――
【木島】 ああ、なるほど。
車椅子であってもちょっと歩ける人であったりとか、さまざまだとは思いますので。 ベビーカー・赤ちゃんがいる人とかは「事前連絡」ですし、高齢者でひとりの人とか、子供のひとり旅も「事前連絡」ですから。それは「スペシャルケアアテンダント」っていうんですけれども(そのように、断らない「事前連絡」もあり得ますね)。
「事前連絡した人を全員お断りする」ということは(ない)――分かりました。日本語としては、正しいですね。
【荻上】 だから、ケースバイケースであると同時に、(回答の)後半では『ご自身のみでは困難な場合も、お付き添いのお客様や、係員の補助で登れる方はご搭乗いただいています』ということで。
「(必要となる)補助のレベルで、どこまで対応出来るか?」というものでも――
【木島】 (今回要求された)「補助のレベル」が、奄美空港で話していた僕の印象では、「補助のもと、足で歩いて上り下りする」みたいな形で。
残念ながら僕は足で歩くことは出来ないので……。 それで、乗れないのは困っちゃうな、というので……。
【荻上】 そうですね。
さて、こういったメール。 先ほどの点とも重なるんですけれども。
【南部】 はい。 この方、ちょっとお名前は無い方ですけれども。
『バニラ・エアの公式ホームページには「車椅子等介助が必要な場合は、事前連絡が必要」とあります。 木島さんは、なぜ連絡されなかったんでしょうか? バニラ・エアの対応は、不手際感が否めませんが、もし、木島さんが事前連絡をされていれば、起きなかったことなのではないでしょうか?』
それから、ラジオネーム(省略)です。
『バニラ・エアの件では、バニラ・エアか、木島氏の片方を一方的に叩いている人が目立ちました。 しかし、詳しい人が書いた記事を読むと、双方に問題があったようです。 バニラ・エアがストレッチャーを用意せず、車椅子の方の搭乗を拒否していたのは木島氏がおっしゃる通り、「障害者差別解消法」の観点から問題です。 一方、いすみ鉄道の社長がブログで、「車椅子の人が座れる席は、航空法上決まっているため、安全上、事前に申告する必要があった」という指摘をされていました。 この点では、木島氏に過失があったと思います』
というメールです。
【荻上】 はい。
「(木島さんが)あらかじめ(申請の負担を負えば)衝突は回避出来たはずだ」というようなご指摘ですよね。
先ほども触れましたが、こうした指摘は、多いと思います。
あらためて、どうお感じになりますか? 
【木島】 航空会社に迷惑かかっているのかも知れませんけれども、実際にずっと事前連絡なしで乗っていて、普通に乗れています。
意見が分かれるとは思うんですけれど、(もし)「障害のある人は事前連絡をしなきゃいけない」のであったら、僕は(その負担を)「息苦しいな」と(思います)。
「(似たケースを考えた時に)ベビーカーの人は連絡しなくても良いのかな?」とか、「もっと気軽に乗れてもよいの(ではない)かな?」と(思います)。
それこそ海外現地の飛行機会社に乗る時に、「どうやって連絡するんだ?」っていう問題もあるので(一律の事前連絡を求めることには疑問もある)。
座席が選びやすかったり、配慮してもらいやすかったりするので、「搭乗カウンターに早めに行く」とかっていうくらい(のこと)はあります。 ギリギリに行くと「まあちょっと大変だ」っていうのは、あるので。
いすみ鉄道の社長さんの、「車椅子の人が座る席は決まっていると思います」というのは――わたくし500回とか600回、いろんな世界の飛行機に乗っていますけれども――決まっているとは思いません。 航空会社によって、「2列目に座る」とか、「ドアに近い後ろ」とかっていうのはありますけれど、決まっているとは思いません。
(別の例として)乗り移りしやすい(から)「(車椅子の人は)通路側に座って下さい」っていうのが、航空会社のルールでよくあるんですけど、僕は最初に乗って最後に降りるんで、僕が(通路側に)座っていると、窓側のお客さんが通りにくいんです。
ふつう(窓側のお客さんが)通る時に(席を)立たなきゃいけないじゃないですか。 僕は立てない(ことが)見た目で分からないですから、「あなた、無礼だ」「いや、僕歩けないんです」「なんで歩けないんだ?」と、喧嘩になるんです。 これがまた、言葉が違うと大変です。 それで僕は窓際に座りたいんですけど、ルールは、そうやって違ってて。
【荻上】 うーん、なるほど。
今回は実際に問題提起するような意味があった。 「異議申し立て」といいますか、「やっぱりこういった事は問題じゃないの?」と。
(特にそれが)「意図的だ」というような指摘がありますけれど――
【木島】 そんなわけないですよ。 誰が好き好んで、怒ったり(するものですか)。
僕、バニラ・エアに直接苦情は言っていませんし、謝罪を求めたこともありません。
「歩けないことを理由に飛行機に乗れない」って言われたことが初めてだったもので、だから、驚いた。
「わざとしたんじゃないか?」っていうような指摘っていうのは、そういったような意図はなくて。 そういった(差別的な)事例があったんで、それは、おかしいことなので(相談をした)。
やっぱり、「おかしいことは、おかしいと言いたい」「美しいものは、美しいと言いたい」「笑いたい時には笑いたい」というのが、まあ、人間の心だと思うんで。
それを我慢するのは、ちょっと出来なかった。 それで、大阪府とかで解決してもらったんで。 (だから、「意図的に荒立てた」というふうな指摘は違っている。)
【荻上】 なるほど。
一般に「言い方がよくない」「やり方がよくない」「メッセージは良くてもやり方がよくない」みたいな形で批判することを、「トーンポリシング」って言ったりしますね。 「トーン」、つまり「話法が良くない」(といって)「取り締まる」。「話法警察」みたいな(意味です)。
今回、そういう「意図的ではないか?」という前提での、やり方がよくない(という「トーンポリシング」)のような発言も、ネット上で見かけました。
(一方で)障害者運動の歴史の中とかでは、「実際にバスに乗ってみる」とか「電車に乗ってみる」とか、あえてコンフリクト(衝突)することで問題提起をしてきた歴史もあったりするので、仮に「意図的だった」としても、じゃあ「それはいけないことなの?」という議論は、別に残るような気はしますけれどもね。
【木島】 はい。
僕は、直接現地の空港職員と、喧嘩のようなやりとりはしていません。
しつこいようですけれども、僕は24年間、実際にいろんな世界中を旅をして。 アフリカの、車椅子も何にもないような空港でも、担いでもらったり、車椅子持ってきてもらったり、自分で這って登ったり、何らかの手段(があって、それで)乗れない、って事はなかったので。 (バニラ・エアにだけ)まさかそんなルールがあると思っていませんから、「その社内ルールがおかしいんじゃないですか?」っていう疑問を投げかけたわけなんですけれど。
彼ら(空港職員)は、社内ルールに基づいて動いているので、まあ、「狭間」であったかも知れませんけれども。
(設備がないということなら)「だったら、自分で勝手に乗るから」っていうので、だから、「お手伝いしてくれ」も、僕は言っていませんから。
それも出来ないんだったら……。 まあ、移動が出来ないなって……。 困るな、っていうので。
【荻上】 その時に、バニラ・エアとしては、「規定です」「規定違反です」という話があったんですけれども。
『もともと、どういった規定があったのか?』 それが、『今回、どういうふうに変える予定なのか?』ということも、質問しました。
それぞれの回答です。
【南部】 はい。
『「奄美空港施設用件に伴い、お体が不自由なお客様、車椅子ご希望のお客様の安全確保、および、ステップ利用時の不意の事故を未然に防ぐために、お客様ご自身、または、お連れのお客様の補助を得て、ステップを昇降いただけるかの事前確認が必要となります。事前のご確認は、予約センターまでお問い合わせいただきますよう、お願い申し上げます」 との案内をさせていただいた上で、ご案内にあたっては、ご自身で、または、ひとの補助のもとで、タラップを乗り降り可能かどうかについておうかがいし、乗り降りが困難な場合には、安全性の観点から、ご搭乗をお断りすることとしておりました』
【荻上】 それを、『今回、文言はどう変わるのか?』ということも、質問しています。
【南部】 はい。
『今般の、改善策の実施とともに、ご案内を 「奄美空港施設用件に伴い、奄美空港出発・到着時に、ターミナルに接続されている搭乗橋をご利用いただけない場合がございます。その際には、アシストストレッチャー、階段昇降機をご利用いただいての階段昇降となります。事前の確認事項がございますので、予約センターまで、お問い合わせいただきますよう、お願い申し上げます」 と、アシストストレッチャー、階段昇降機をご利用いただいての階段昇降となる事を、ご了承いただいた上でご搭乗いただくこととさせていただきました』
【荻上】 はい。
バニラ・エアの回答ですと、今回の件を受けて、6月14日にアシストストレッチャーというものを導入し、今日6月29日から、電動式の階段昇降機を導入をした、ということで。
『これまでより安全、かつ、快適に飛行機をご利用下さい』というような回答をいただいています。
この回答については、木島さん、どうお感じになりますか?
【木島】 そういう道具を使って乗れるようになったので、素晴らしいことだと思いますね。
【荻上】 (そこで)今回も「事前の確認事項があるので、予約センターまでは問い合わせて欲しい」という(一文)は残っています。 この点は、いかがですか?
【木島】 はい、あの……。 まあ確実に乗れるんであれば良いんですけれども。
なぜ僕が「事前連絡をしないか?」というと、「事前連絡をして乗れなかった経験も」しているんですね。
【荻上】 ええ、ええ。
【木島】 (例えば)「車椅子単独で乗れるかどうか、当日、機長が決めます」と。
【荻上】 機長が。
【木島】 会社の休みを取っていて、航空券も取っていて、「最終判断は機長がする」。 乗れなかったら、「終わり」ですよね。 確実じゃないんで、それは諦めたんですけれど。
まあ、あとは、「コンサートを観に行きたい」とかなんでも、「車椅子なんですけど」って言うと、遠回しに「いや、設備がないから無理なんです」とか。 事前連絡をして「嫌な思いをしたり」「時間がかかったり」っていう経験が多いので。
就職活動の時も、「車椅子なんですけれども御社を受けて良いですか?」とか、「ビル行けますか?」って言うと、全部断られました。
【荻上】 うーん。
【南部】 全部ですか。
【木島】 まあ、全部って言っても、4つ5つですけれども。
やっぱり、(事前に)言うと(対応の基準が)固定概念になってしまうので、その辺はややこしい。
「事前連絡したら良い」(というものの)、当事者の体験としては、「事前連絡をしたら100%上手くいくか?」というのは、「事前連絡をして機会を損傷した」っていうことがちょっと多かった、と。
(その他にも)突然の「物理的に事前連絡が間に合わない時」とかでも、「事前連絡がないから対応出来ない」っていうこともあったりとか、先ほど。
【南部】 緊急であったりとか。はい。
【木島】 あとは、「事前連絡していても、現場で、何も用意されてなかった」ってこともありますから。はい。
もうちょっと、スムーズな形で意思疎通をして、お互いが気持ちよく出来るようになったら良いのかも知れませんね。
【荻上】 実際に、「事前連絡がなくても、どういった方でも通常の対応でできますよ」っていう体制か。 あるいは、「事前連絡そのもののハードルを、ものすごく下げる」か。
(例えば)その、予約の時に1個だけポチッと押して――
【木島】 そう、(車椅子との)線引きは非常に難しいんですけれども、高齢者の人で「ちょっと歩きたい」「ちょっと車椅子貸してよ」っていうのも、ベビーカーを預けるのも、事前連絡は要らないですよね。 その場で対応出来ることだと思うんですけれども。
「なるべく気軽に利用出来るほうが、より良いな」って、僕は思っていますので、それを自ら行動で示しているつもりなんですけれども。
それが批判を受けるっていうのは――まあ、確かにそうかも知れません。
【荻上】 うーん。
後半、「今回の件をきっかけに、さらにどういった論点があるのか?」を考えます。
【南部】 TBSラジオをキーステーションに生放送でお送りしている荻上チキセッション22。
今夜のメインセッションは、『バニラ・エアの車椅子対応をきっかけに考える「バリアフリー社会を実現するには何が必要なのか?」』というテーマで、スタジオには、バリアフリー研究所の木島秀登さんをお迎えしてお送りしています。
よろしくおねがいいたします。
【木島】 よろしくお願いします。
【荻上】 よろしくお願いいたします。
さて、こういったメールもいただいております。
はい。 リスナーの方で、ラジオネーム(省略)さんです。
『私は、傷害事件での、中途障害者です。 インフラはある程度充実してきましたが、問題は、人的なバリアですね。
4年くらい前に神奈川で最大手の神奈川中央交通の路線バスに、乗車拒否を何度も受けました。
営業所に電話をしたら、「うちは、サービス業だからね」や「乗る時間を教えてもらえたら対応してあげる」と言い、2度目の時には本社へかけると、運転手を特定して、「もしも自分の身内がそうされたら? と厳しく指導した」と、謝罪されました』
【荻上】 というわけで。
「最近の国内でも乗車拒否の例はある」という。
【木島】 バスに乗るのに、「事前連絡をしてください」というのが、あったりしますね。
【荻上】 また、「サービス業だから」と、ちょっと「退けるような対応」っていうのもある、と。
木島さん、こういったケースも聞いたことがあるんですか。
【木島】 はい、ありますね。
【荻上】 うーん、なるほど。
こういったようなケースから、さらに具体的に、どういう議論に繋げていけば良いのか?
お電話で、専門家の方にもお話をうかがいます。
【南部】 はい。
障害者政策にも詳しく、自らも視覚に障害がある、静岡県立大学教授の石川淳(いしかわじゅん・社会学者)さんにお話をうかがいます。
石川さん、こんばんは。 よろしくお願いいたします。
【石川】 こんばんは。 よろしくお願いします。
【荻上】 まず石川さんは、今回の一連のニュースを、どういうふうにお感じになっていますか?
【石川】 そうですね。 先程来、木島さんのお話をうかがっていたんですけれども。
「差別解消法」が昨年施行になりまして、よくいわれていたのは、「この法律は、作りとして、相談機能とか、問題解決機能に弱点を抱えている」「そういうことは、運用でカバーしていく」っていうことだったんですけれども。
(それで)国・地方公共団体等々が努力をしていて。
今回木島さんの対応も、非常に冷静であったと思いますし、また、相談機能も、なにか、上手く機能したようで。 そういう意味で、「起きたことは非常に残念」ですけれど、その後の、関係者のそういったご努力については、敬意を表したいと思います。
【荻上】 なるほど。
今、「差別解消法」という話がありましたけれども、この法律は具体的にどういったものだったのでしょうか?
【石川】 ええと、ふたつありまして。
「障害を理由とした排除」とか「拒絶」とか「利用制限」とかを、「差別として禁止」しているというのが一点。
もうひとつは、「合理的配慮」というふうにいうんですけれど、「障害特性に応じて個別に求める配慮を、過度な負担でなければ、提供しなければならない」とする法律です。
【荻上】 なるほど。
その、「過度の負担」というものを「どの程度にとるか?」という、「合理的配慮の線引き」というのは、これから、社会で積み重ねていく必要があるわけですか?
【石川】 そうですね。
ひとつひとつの事例を積み重ねていきながらだんだんと、「相場感」というものができてくるし。
また「相場感」も、「環境整備が進んでいくと、だんだん高いレベルのものになっていく」というふうに考えていただければと思います。
【荻上】 今回、木島さんのケースで、「ストレッチャー」それから「昇降機」が導入されたということになるわけですけれども。
こういった「設備を整える」ということ以外にも、「合理的配慮」には「いろいろな手段がある」ということですよね。
【石川】 そうですね。
まず、この「差別解消法」の前に、移動に関しては――鉄道事業者、航空事業者、バス事業者等ですけれども――「高齢者、障害者の移動の円滑化を促進するための法律」という法律がありまして。 通称、「新バリアフリー法」と呼んでいます。
「新バリアフリー法」といってもだいぶ歴史は古くて、20年近くになる法律なんですけれども。 この法律では、事業所に「設備・施設のバリアフリー化」を求めています。
全体として、まず「新バリアフリー法」があった上で、さらに「利用者」は「差別解消法を通して人的な支援等の合理的な配慮の提供」を求め、それに対して「事業者」は「応じる」っていう。 そういう位置づけになっています。
【荻上】 なるほど。
つまり、「事業者はいろいろ整備していく必要がある」と同時に、「差別の禁止」、それから「合理的配慮」。 こういった事が、ふたつの法律でカバーされているいうことになるわけですか?
【石川】 そうですね。
「設備・施設」というのは、いっぺんにはできないところもありますので、やはり段階的に整備していかないといけないもので。
それを求めている人と、その場その場で「建設的な対話」を通して良い方法を考えて、「合意」をして、「提供」するということを(法律は)求めているんですね。
今回、木島さんは非常に冷静に対応されているんですけれど。 「バニラ・エアの担当職員から、現場で、他に何か提案があったのか?」ということを、木島さんに訊いてみたいというふうに思ったんです。
【荻上】 ああ。
木島さん、いかがですか?
【木島】 ないです。
「歩行ができますか?」と、「補助のもと、階段を本当に上れるんですか?」というふうに、「確認」だけですね。
で、「乗れなかった時にどうなるか?」っていうのは、何もないので……。
【石川】 例えば、代案としてすぐ思いつくのは、ボーディングブリッジのあるスポットから飛び立つとことのできる他のキャリア・航空会社のチケットを用意して、「そちらの方を使ってもらえないか?」っていう提案も、(ありえた)かな? と思うんですよね。
【木島】 おっしゃる通りで、そういう解決方法もあると思いますけれども、そういうようなのも無かったですね。
【南部】 ああ、提示はなかった……。
【石川】 この「差別解消法」っていう法律は、そういう「いろんな方法を、両者で知恵を絞って、合意をしていく」っていうことも求めていまして。
必ずしも、なにか「白黒付けるための法律」っていうわけではないんです。
【荻上】 はい。
だから、「今、こういったようなことができます」「こういった対応ができます」「ここまではできません」ということを、双方持ち寄っていきながら。 (そうやって)「合理的な範囲の、可能な配慮」を模索していくことが重要になるわけですね。
【石川】 そうですね。
木島さんの場合は、ものすごく、腕の筋力があって(笑)。 自分で「腕の力で階段を上れるんだ」「だからそうしたい」というふうに――まあ、言葉でか行動でか分かりませんけど――そういう事をいわれたんだと思うんですよね。
しかも、ご本人は「別にそれは恥ずかしくないもないし、屈辱的でもないんだ」と。 「どうしても自分で登れ、っていうんだったら、登りますよ」っておっしゃった。
これもひとつの提案ですよね。
【荻上】 はい。
【石川】 「じゃあ、すいませんけどそれでお願いします」というんだったら分かるんです、まだ。
【荻上】 「だけど今回はそれも難しい」と、最初は制止されつつ。
でも木島さん、後半は、(スタッフから)ちょっとサポートが入りそうになった――
【木島】 あの、半ば諦めたんじゃないですか、僕の強引さに。
まあ、「折れた」みたいな形ですね。
【石川】 でも木島さんがしっかりと登っておられたので、見ていてだんだんとね「まあ大丈夫だな」っていう安心感も(生じたのだと思います)。
【木島】 そう思って頂いたら良いと思うんですけれど……。
【石川】 「じゃあちょっと手助けしようか」っていう気にもなるじゃないですか。
【荻上】 そうですよね。
いうなれば、今回木島さんは、そういう「やりとりの姿勢」で、「ほらできますよ」ということを示したという――。
【木島】 出来る限り。
あの、難しいかも知れないけれど、「どうやったら乗れるかな?」みたいなのを考えたら良いんですけど。 (実際は)「どうやってお断りしようかな?」みたいなところも、まあ少し、感じましたので……。
【荻上】 なるほど。
【石川】 通常、移動というのは、帰るわけですから。移住じゃなく旅行ですよね。 片道切符だけではとても困るので。
だから、「帰るためにどうしたら良いのか?」と一緒に考えるというのは、当たり前のことですよね。
【荻上】 うーん、そうですね。
今回、「規定の問題」「設備の問題」「マニュアルですからという対応」ということでなくて、そういったことを話し合う姿勢というものも(課題だと言えそうです)。
では今後はいろいろと、そのマニュアルでいったん「提案も想定する」ようなことが問われてくる、ということですかね?
【石川】 そうですね。
あとは、その会社の社内規定というのは開示されているわけじゃないですから、「社内規定が、本当にこんにち的に見て、適切なものであるか?」の検証って、誰も出来ないんですよね。
【南部】 あー……。
【石川】 で、私たちが経験するのは、「ひとつひとつの会社ごとに、社内規定って意外と違うな」って感じなんです。
【荻上】 うん、そうですよね。
【石川】 そうすると、「開示」もされていないし、「標準化」もされていないので、(利用者としては)「どこでどういうふうな事が起きるか?」という予想が出来ないわけですよね。
【木島】 (今回)国土交通省に相談していたら、めちゃくちゃ驚いていました。 「こんな事があるのか」と。
【荻上】 ほう、ほう。
【石川】 なので、利用者に関わる部分については、「標準化」して、「透明化」して、(それで)「ガイドラインとして共有」していくということが必要だと思います。
【荻上】 うーん、なるほど。
「透明化」というのが、ひとつのキーワードになりそうですね。
あの、残り時間わずかになりましたけれども。
木島さん、今回のケース、こうやってニュースになって、非常に大きな論点になっていったわけですけれども。
これをきっかけに、どういった事について、「バリアフリー社会について考えて欲しいな」とお感じになりますか?
【木島】 はい、あの。
僕の場合は、歩けない、車椅子ですけれども。 単純に、いわゆる「行動する機会」を「もうちょっと与えて欲しいな」、と(感じています)。 無理に、「助けてくれ」とか、「配慮してくれ」というわけではないので。
今回、僕は、バニラ・エアは安い航空会社なので、友達を「一緒に行こうよ」と誘えて。 やっぱり、2万円くらい安いんですね。 だから、友達も誘いやすかったんで、それで乗ったんですけれども。
まあ、航空会社にいろいろな迷惑・ご不自由をかけるかも知れないけど、やっぱり、安いのも乗りたいじゃないですか。
で、やっぱりそういう、(単純な)「乗れたら良いな」という(ことを実現したい)。 「障害を理由に乗れない」とかっていうのが「少しでもなくなると良いな」とは思います。
【荻上】 石川さんは、これから、どういった議論が起きて欲しいな、とお感じになりますか?
【石川】 そうですね。
まずこの件について言いますと、「障害について、事前に航空会社に伝える責任があるのか?」「それはオプションなのか?」という議論だと思うんですけれど。
「求めたい配慮の質が上がって欲しい」というふうに思って、それで事前に連絡をするっていうのは、旅客の側のオプションとして、「ある」と思います。
【荻上】 うん、うん。
【石川】 (一方で)合理的配慮を求めてもいないのにもかかわらず「私は障害があります」というのを「わざわざ航空会社等に伝えなきゃならない」という話は、「どう考えても、話はおかしい」と思います。
【荻上】 なるほど。
そのあたりは分けて、「先のかたちについて議論していこう」ということですね。
【石川】 はい。
【荻上】 はい。 石川さん、ありがとうございました。
【石川】 ありがとうございました。
【荻上】 そして、木島さんも、ありがとうございました。
【木島】 ありがとうございました。
【南部】 ありがとうございました。
(書き起こしここまで)
(編者感想)
・木島氏は、社会によって「出来ないものだ」とレッテルされていることがらを「出来ないこともあるけれど、あなたか否定しようとしているそれは、出来るの方のことがらです」と証明しつづけようとされている方だと感じました。 番組を通して、個人のハンディキャップへの、企業や社会の「合理的配慮」に関しての話題と、おそらく木島氏がテーマにされている「出来ることまで出来ないことにして押しつけないでほしい」という話題は、さらに分けて扱う必要があるなと感想しました。 それは、社会の権利という以上に、より切実な個人の尊厳の問題であり、個人それぞれが取り組む課題としても不足のない大きなテーマかも知れませんが、しかしそれに否定のラベルを貼ってしまうというのは、個人の取り組みに押しつけたままにすべきではないほど大きな、いまの社会にある悪癖かも知れません。 今回の記事作成を通じて、「出来ることまで出来ないことだと決めつけて個人を押しつぶす社会には改善の課題があるぞ」と、私個人の問題意識として、強く感じました(もちろんこれは、他の、差別一般の問題意識として、当然のものではあるのですが)。
・石川氏の議論は、現実に即していながら将来を向いていて、専門家の力というものに大きく感じ入りました。
・荻上氏による議論の交通整理は、こういった話題では、本当に得難いご実力です。約45分のラジオでの特集時間というのは他よりも時間に余裕があると言えますが、その45分とこの日の座組を、大いに活かしきったお問いかけと、進行ぶりであったと思います。 しかしながら個人的には、荻上氏の話されかたには、逐語的にそのまま読むための文章にするのには、多少、向かないところも感じています。 今回は、編者の独断で整形をしたものを掲載しています。とはいえ、話し言葉というものは、もとの音声に触れるとやはり手応えが格別なものだと思いますから、ぜひラジコや番組サイトなどで、録音も聴いてみられてください。
・南部さんは、番組では出汁パックを宣伝しておいでですが、番組のスパイスです。ピリリ。
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひ番組公式サイトの音声でご確認ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】三木由希子×瀬畑源×荻上チキ「加計学園問題や森友学園問題でも焦点に。公文書管理、そのあり方を考える(2017年6月6日放送分)TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」より
「加計学園問題や森友学園問題でも焦点に。公文書管理、そのあり方を考える(三木由希子×瀬畑源×荻上チキ▼2017年6月6日放送分)TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」より書き起こし
【南部】 今国会で議論になっている、加計学園や森友学園を巡る問題で、焦点のひとつとなっているのが、公文書の管理です。
加計学園の獣医学部新設に関しては、文部科学相の前川全事務次官が「総理のご意向」などと記された内部文書の存在を証言しましたが、政府はこれを否定。 また、森友学園への国有地売却問題についても、政府は、財務省と学園の交渉内容を記した電子データは確認出来ない」としています。
そんな中、財務省では、省内のコンピュータシステムを更新。 これについて専門家からは「コンピュータ上に残っているデータが復元できなくなる」と、懸念の声が上がっています。
これに対し、この番組でもお馴染みの三木幸子さんが代表を務めるNPO法人情報公開クリアリングハウスは先月、財務省などの電子データや職員のパソコンの証拠保全を東京地裁に申し立てましたが、東京地裁はこれを却下。三木さんたちはこれを不服として、今日、東京高裁に抗告しました。
そこで今夜は、三木由希子さんをお迎えして、公文書の管理のあり方について考えます。
では、ゲストをご紹介します。 NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんです。よろしくお願いいたします。
【三木】 よろしくお願いします。
【荻上】 よろしくお願いします。
「公文書の管理のあり方」、それから、管理するだけではなくて「どういうふうに要望に答えていくのか?」。 「開示する」のか? それとも「とぼける」のか? 特定秘密保護法の年もそうでしたけれど、今年も予期せぬ形で、そういったことをすごく問われる国会になっていますね。
【三木】 そうですね。
個人的には「公文書の問題��こんなに政治のど真ん中に来るとは思ってもいなかった」という感想です。
行政機関だと(「公文書」ではなく)「行政文書」という名前になりますけど、皆がそれだけ「公文書を通じて明らかにされなければ、政府が言っていることを信用出来ない」というふうに思うようになったことには、やっぱりすごく、大きな意味があると思っています。
【荻上】 はい、そうですね。
今年はまあ、森友国会からスタートした印象がとても強く、この番組でも繰り返し、「森友学園問題」を取り上げてきました。 この問題は、実は最初から「公文書の問題」です。
途中の経緯で、「安倍昭恵さんの問題」とか、「籠池さんのパーソナリティー」とか、いろいろと目立つ話題が出てきたんですけれど、僕たちは要所々々で「これは公文書の問題だよね」「これはトレーサビリティ(確認可能性)の問題だよね」と言ってきたつもりです。
【南部】 はい、繰り返し。
【荻上】 そこで今日はあらためて、前半で「様々な問題が公文書問題とどう絡まっているのか?」という話をした上で、(後半では)「これからの公文書のあり方」について考えたいと思います。
ではまずは、今国会の冒頭から話題になっている「森友学園の公文書の管理についての話」を、まず、南部さんにまとめていただきます。
【南部】 これまで、森友学園への国有地売却問題を巡っては、財務省近畿財務局が、学園側との交渉記録について「売買契約締結後に破棄した」と説明。
これは、「保存期間を一年未満とした文書については、内閣府の審査を受けずに、各省庁の判断で処分することが出来る」ためで、「どの文書を一年未満に分類するか?」についても、各省庁に委ねられています。
近畿財務局の佐川局長(佐川宣寿・さがわのぶひさ氏)も、電子データについて「短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」と(国会で)答弁。 しかし、数日後、野党が中尾理財局次長(中尾睦・なかおむつみ氏)に国会で追及したところ「自動消去機能というのは基本的にない。消去は職員がパソコンを操作して行う」と、事実上、答弁を修正しています。
そんな中、財務省は先週、四年に一度の、コンピュータシステムを更新。 この更新については、「コンピュータ上に残っているデータが復元できなる」と懸念が上がっていました。
【荻上】 森友学園の時は、「財務省の公文書管理のあり方」というのがメインの論点ということになっていましたが、(財務省が国会で指摘を受けた文章の存在を)「調べることに基本的に非常に消極的だ」という姿勢が目立ちました。
また、(国会で野党から追求される)途中では、「文書は自動的に削除される」というような発言も出て来たんですけれども、それはのちほど訂正されて。 「じゃあ間違った答弁は許されるのだろうか?」ということも問われてきました。
ほかにも、各省庁への入管記録(についての話題も出ました)。 「官邸への入管記録が、一日で破棄される」「上書きされる」っていうようなことも言われて。
(このように)「えっ?」「えっ?」「えっ?」って思うことが次々と出てきたので、ちょっと「どこから手を付けて良いのか?」ということもあるんですが。 三木さんは「森友学園」の論点から、「公文書のあり方」についてどうお感じになりますか? 
【三木】 そうですね。
今の行政機関は、行政文書の保存期間を「自分たちにとって必要だ」という(基準で)設定をしている。(つまり)まったく「自分たちの説明責任を果たすために必要な期間保存する」という発想ではないということが、もう非常にはっきりしたのが、この「森友学園」の一件だと思うんです。
【荻上】 はい。
【三木】 例えば、「森友学園」の国有地って、信じられないくらい破格・格安価格で売却したわけですよね。 そうすると、「なぜそういう金額になったのか?」(が問われる可能性があるはず)。
あと、あれは単に「契約を締結したらおしまい」ではなくて、一応「10年間支払う」っていう契約なので、結局、10年間は「契約の条件をそれなりに説明する必要が出てくる可能性がある」という案件ですよね。
【荻上】 そうですね。はい。
【三木】 「情報公開法」も「公文書管理法」も実は、「行政文書を通じて政府が説明責任を果たす」という作りなんです。
そうすると本当は(森友学園に関しての)行政文書も、「政府が説明責任を果たすために、必要な期間は持ってなきゃいけない」っていう理屈にならなきゃいけないんですけれども。
「要らない」と思ったり、あるいは「無い方が良い」「無くても良いや」あるいは「無かったことにしたい」っていうこともあるかも知れませんけれども(笑)そういうようなものも含めて、「自分たちの都合で廃棄をする」、あるいは「保存期間を設定する」ということが、とてもはっきり分かったというのが、この一件だと思います。
【荻上】 そうですね。 「あったら困る」と。
【三木】 そうですね。
【荻上】 (国会での追求過程で野党が)「この文章を出せ」って言っても、「いや、無いです」「調べる暇無いです」「いや、調べるといっても、個別には答えないです」みたいないろんな答弁のバリエーションで、「ノー」と言い続けてきた。
「断るボキャブラリーってこんなにあったんだ」と思ったんですけど。
【三木】 (笑)。
【荻上】 そういった中で、「いよいよもう電子データが消えてしまう」と。
これは、このまま放置すると(財務省のコンピューター)システムが更新されて、「まだ復元できるかも知れないデータが完全に消えてしまうかも知れない」ということですよね。
【三木】 そうですね。 この件は、ちょっと説明が必要なんですけれども。
今回更新されるのは、「財務省本省の行政LANシステム」なんです。 (一方)財務局では別の、財務局のシステムが動いているのですが、実は、それはもう更新が終わっていることが分かったんです。 なので、「今回消える可能性がある」のは、本省の行政LANシステムに残っているバックアップとか、ログデータのようなものです。
普段使うようなデータそのものは、さすがに(新しい行政LANシステムへ)基本的に移行するわけですよ。 (しかし)普段使うようなデータではなくて、バックアップとかに関しては、運営をしていた事業者が6月1日以降、たぶん7月の終わりまでの間に(保持していたデータを完全に消したという)証明を出すということになっているんですね。
(つまり)今回消える可能性があるのは、その「本省のサーバーとかに入っていたデータ」ということになるんです。
【荻上】 ということは、「財務局の方(にあったデータ)は、もう消えてしまっている」って考えられるんですか?
【三木】 (すでに更新された財務局の)システム上のものは、現実に、消えてしまっていると考えざるを得ないところがあるんですね。
ただ、実は私たちが保全を申し立てた対象っていうのは、そういうシステム上のもの(:データに対して)ではなく、パソコンそのもの(:機器にに対して)なんです。
というのは、文章っていうのは、今、紙文書で保存されているものも、結局手書きで書く人なんていないわけですよね。 あるいは、メールの添付ファイルにすると、パソコンの中にデータが残るので。
【荻上】 そうですね。
【三木】 だから「たぶんパソコンで作って、パソコンの中で一時的に保存されていただろう」と(考えて)、今回は実は、そっちの方を「証拠保全」申し立ての対処にしているんです。
【荻上】 なるほど。
そのパソコンというのは、職員個別のパソコンということになるわけですか?
【三木】 そうです。
今はそれぞれの職員に一台ずつパソコンが貸与されていますので、当時の国有地売却に関わっていたであろう職員のパソコンを、「保全の対象」にしているということなんです。
【荻上】 なるほど。
【荻上】 「証拠保全の申し立てを東京地裁に行った」ということですけれども。 この「保全申し立て」というのは、どういった法的根拠で行えるものなんですか?
【三木】 これは、民事訴訟法の規定によるんです。
私たちがやってる「証拠保全の申し立て」は一般的にそうなんですけれど――例えば機器も含めてサーバーを交換をするのであれば――「(必要なデータがその)中に入っているかも知れないからサーバーそのものを保全しろ」っていう申し立ては、実は(普通なら)出来ないんですよ。
【荻上】 はあ。
【三木】 今回は、もともとの裁判があって、(その過程での)「廃棄によって行政文書がありません」っていう判断に対して、「いや(実際は)文書はあるでしょう?」と、その決定の取り消しを求めるという「情報公開訴訟」なんですね。
その「情報公開訴訟」で私たちは、「文書があるかないか?」を、パソコンの中に入っている「こういうデータ」「こういう文書」っていうふうに、ある程度特定して証明しなきゃいけないんですけれども、(そこで)「存否を証明をするためには、確認するための証拠(:機器)を、保全する必要がある」と(裁判所に申し立てる)仕組みなんですね。
(そこでもし仮に保全対象が)サーバーだと、(その)バックアップデータって、私たちが取るようなバックアップとは全然違って――結局、それだけではなんだか分かんない、データのかたまりのようなもので――そこから、「この文書」って特定するのは無理なんです。
「それで今回、パソコンの方に絞った」っていう経緯があるんです。
【荻上】 それで、ピンポイントで「当時の担当職員」に絞ることになるわけですね。
【三木】 そうです。 それでもまあ、関与したであろう職員の数はけっこういるので、人数が多いんですけどね。
【荻上】 なるほど。
でまあ、今回実際は、そういった「証拠保全」を(裁判所が)退けたということなんですが。 その(裁判所の)判断の内容は、どういったものだったんですか?
【三木】 そうですね。結局、東京地裁が「却下」の決定をしたんですけれども、(その)ひとつの理由が、「探索的な証拠調べ(だから)」っていうことなんです。
【荻上】 「探索的」。
【三木】 うん、例えば、証拠保全がよく行われるのは、「医療過誤」での「カルテの保全」みたいなケースなんですけれども。
その場合は、「この患者さんのこのカルテ」って特定できますよね。 だけど今回は確かに、「なかなかそこまで具体的に特定しきれない」っていうところがあって。
それについて、「探索的なものであって、(保全の理由としては)不適法だ」っていうのが、ひとつの大きな判断なんですね。 (つまり)「もっと特定��なきゃ駄目だ」と。 だたこっちからすると、そんな「具体的な文書名」まで特定できないので。
経緯からすると、財務省も過去に交渉記録を作っていたことは認めていますし、(そのデータは)「どこかに必ずあるだろう」という事になるのですが。 (しかし)ある程度「こういうもの」っていう大枠は特定できても、私たちにはどこにどういう文書があるか分からないですから、結局「この文書です」って、ピンポイントで特定できないわけです。
【荻上】 そこまでできていたら、もう、要求しないですよ。
【三木】 そうなんですよ(笑)。
ただ私たちとしては、こちらの訴えている内容からしてやっぱり、「ある程度絞る努力をすれば、それは認められてもしかるべきだろう」っていうのがありますので。
結局、「探索的」をすごく厳密に解釈されると、本当に全く、認められる余地がなくなってしまう。 「それはやっぱり不服です」ということで、抗告を申し立てているという状況なんです。
【荻上】 そうですよね。
【荻上】 どこまで特定すれば「探索的(だから駄目)」と言われないんでしょうね。
【三木】 それは、難しいですよね。
「それが分かれば、そうしたいくらいです」っていう感じなんですけど(笑)。
【荻上】 (例えば)「『C:』の中の、きっと『ドキュメント』の中にあるはずです」くらいに(保存フォルダを指定して)言ったらセーフなのか――
【三木】 まあ今回は「証拠保全」といっても結局、保全だけでなくて、「証拠調べをして、その結果を残す」というのが大きな目的なんですね。
(「情報公開訴訟」においては)「ここにあるかも知れないからそれ(:機器)を全部、保全してね」っていう請求が、出来ないんですね。 それが出来る可能性があるのは、(「情報公開訴訟」ではなく)実は別の仕組みなんです。
【荻上】 別の仕組み?
【三木】 「民事保全」というのを使うと、そういうのも出来るようなんですけれども。
ただ私は、「民事訴訟」の中の「行政事件」にあたる「情報公開訴訟」としてやっているのですが、これは法律で、「民事保全」っていう手続きが出来ないことになっているんです。
なので(今回の件では)、「証拠保全」っていう、「(そもそもの裁判において)自分たちが証明をしたいことを明らかにする証拠調べのために保全しましょう」、(それで)「それを使って、私たちは本体の裁判の方で立証します」と、そういう手順でしか(保全の申し立てを)使えない、っていうところがあって。
なにか少し、ややこしいやり方になってしまっているんです。
【荻上】 あの、素朴な疑問なんですけれども。 (一般の民事訴訟での)「民事保全」だったら出来るような「情報の保全」「証拠の保全」が、なぜ、(裁判の相手が)「行政の場合だと出来ない」ってことが、あり得るんでしょうか?
【三木】 それはですね。 行政に対しては司法手続き上、例えば「差し止め請求」とか「執行停止の請求」という別の請求手続きが出来ることになっていて、「それで十分」っていうのが、そういう「適用除外」になっている理由なんですけれどもね。
【荻上】 イメージとしては――ただでさえ権力というのは国家に集中しているので、行政に対する証拠保全などは、民事以上に市民に対してより強力な権限を与えないと、いくらでも言い逃れできたり、解釈による乱用が出来たりということがありうるという――何かこう、逆のイメージがあって。
だからまあ、「国民主権」という概念からは、「行政に対する文書保全も、民事以上のものを与える」っていう方が説明が付きやすいですよね。
【三木】 そうですね。
行政の場合には、文書っていうのはひとつの重要な証拠になります。けれどもまあ、「証拠」っていう場合には(文書の他にも)いろんなものがありうる。 だからやっぱり、「情報公開を争う仕組みそのものを、これから少し変えていかなきゃいけない」という議論が必要とは思うんですよね。
【荻上】 うーん、なるほど。
【荻上】 そうした中で、今日、「この裁判の判断を不服として抗告した」ということですけれども。
これからは、どのように戦い方を進めていくんでしょうか?
【三木】 そうですね。 これもなかなか、難しいんですけれども。
抗告をしたということは結局「東京地裁のその決定に不服です」ということですので、こちらが「なぜ東京地裁が却下したか?」っていうことも念頭に置きながら、「いかに東京地裁の決定が適当ではないか」ということを、積み上げていくしかないんですよね。
そんなに時間をかけてできる話でもないので、弁護団の皆さんと一緒にこれから早急に良い対抗策を議論していく、ということになります。
【荻上】 うーん、なるほど。
【荻上】 さて、(はじめに)森友学園問題を取り上げたんですけれども。
続いては「加計学園の問題」を取り上げた上で、さらに、「公文書のあり方」について、議論していきたいと思います。
では、加計学園についても、南部さん、説明をお願いします。
【南部】 加計学園をめぐっては、獣医学部新設計画について、文部科学省から「総理のご意向と言われた」などと記録された文章の存在が問題になっています。
これについて文科省は、「行政文書として存在せず、個人ファイルの調査はしない」としていますが、今年一月まで文科省の事務方トップだった前川全事務次官は「部下から報告を受けた際のレク資料だ」として、「確実に存在していた」と証言。
これに対し、管官房長官は、「怪文書みたいな文書。総理からもそうした指示は一切無かった」として、あらためて文書の内容を否定しました。
しかし「この文書が文科省内で共有されていたことを示すメールの写しがあらたに見つかった」として、昨日の国会でも野党が「再調査を行うべき」と要求。
文科省の常盤高等教育局長(常盤豊/ときわゆたか氏)は、メールの送信者や宛先の人名について「同姓同名の職員は実際にいる」と認めましたが、松野文科大臣は「入手経路が明らかにされておらず、あらためて調査を行う事は考えていない」と述べ、再調査を拒否しています。
【荻上】 三木さん、加計学園の問題についてはどういった注目をしていますか?
【三木】 そうですね。 やたらと「怪文書」という言葉が出てくることに、ものすごい違和感を感じます。
例えば、「作成年月日とか作成部局名がないのは公文書じゃない」ようなことを内閣官房長官はおっしゃっていますけど、そんな文書は、実はたくさんあるんですよね。
「公文書管理法」も、「情報公開法」も、もともと「行政文書」って――皆が思うようなキチッと形が整えられたものでは無いものも含めて――「アカウンタビリティー(説明責任)の観点から必要だから保管しましょう」という仕組みにしてきた経緯があるので。
情報公開請求して、いろんな行政文書を取っていますけれども――もう来た束のままとっておかないと時系列がよく分からなくなるものとか(笑)文脈がよく分からなくなるものとか(笑)――割と良くあるんですよ。
(ですから)この間の、内閣官房長官を中心に政府の言っていることというのは、そもそも「いかに、そういう文章がある事を確認しないで済むか? と一生懸命考えながら答弁をしている」という以上のことではないのかな? とは思っています。
【荻上】 はい。
【荻上】 実際に役所の人と付き合ったりとか、地方自治体の中で付き合っても、こういった文書っていろいろいとありますよね。
例えば、名宛て人がなかったりとか、日付が入っていない(ものだったりとか)、非常に簡素でも重要なものだったりとか、あるいは、何かのペーパーの中の続きものの中には、いちいち全部刻印はされていないということもあったりしますよね。
【三木】 ありますね。
【荻上】 だからメディア上で、「元官僚」と名乗る人が「あんな文書はあり得ない」って言っていることが、けっこう不思議で。
「知ってるはずなのに、なんでそんなこと言うんだろう?」って、ちょっと気になっているんですどもね。
【三木】 まあそもそも、「もともとああいう文章を行政文書として管理するカルチャーがちゃんとあるか?」という問題もあると思うんです。
例えば「情報公開請求」する時にかなり具体的に文書を特定しても、なかなかああいう文書には、お目にかかれないんです。
というのは、内部での調整過程とか、割と率直に内部で話を上げる時の文書なんかは、ある意味「(その文書の存在を)あまり知られたくない」っていうような場合もあるんですよね。
そうすると、事実上内部では共有状態でも、例えば「請求対象からは外してしまう」とか。 あるいは、「一時的に持っていたとしても皆廃棄してしまって、データだけ誰かのパソコンに入っていて、共有出来るような形ではなく一応持っている」とかです。
そういうふうに扱われている可能性は大いにあると思いますし――まあ、そういう話は聞くんですね。 特に、文書で共有しないで口頭で言って、文書は見せないとかいう話も、やっぱり私は、聞いたことがあって(笑)。
【荻上】 はい。 「この資料は回収しますから」というのはね、ありますよね。
【三木】 そうですね。
そもそも、「ああいうものもプロセスとして含めて、行政文書として持っていないといけない」っていう仕事のしかたをしてるのか? っていう問題があると思うんですよね。
そういう前提で、「ああいうのはあるかないか?」っていう話になると、「そんな行政文書があるわけない」っていう人がいても「まあ不思議じゃないな」とは思っているんです。
【荻上】 うーん。
それは、よく聞くと、「行政文書」ということと、「実際に官僚が作成した文書」という言葉を巧みに使い分けていて、世の中に「そんなものはあり得ない」というニュアンスの印象操作をしている人がいそうだな、という感じになりますね。
【三木】 そうですね。
【三木】 厳密に言葉を定義するというよりも、結局、どういう結論であれ「なんでそうなったのか?」というのが分かんないような文書しか残っていないと、「文書を残している意味がどこにあるのか?」という話にもなりますし。
やはり、「ああいう文書が残っていないとおかしいよね?」っていうのが、多くの人の思うところだと思うんですよね。
例えば「加計学園の問題」であれば、「獣医学部できました」っていうところで、もしかしたらこのまま「良かったね」っていう話になっていたかも知れませんけど。 (でも)あとから「でもなんで、あそこだけ出来たの?」「じゃあ、経緯を探してみよう」「辿ってみよう」っていう話になった時に結局��綺麗な状態だけ見ていても、「なんであそこがそうなったのかよく分かんない」っていうことになりますよね。
それって、「情報公開しても、本当のことが分からないだけじゃないか」「そういう政府運営をしているんだ」っていうふうに、皆が思うだけだと思うんです。
だからやっぱりもう、「最低限、プラスもマイナスも含めて残す」とされていないと、結局は、「政府そのものが全く信用出来ない」っていうことになっていくと思うんです。
【荻上】 うーん……。 そうですね。
【荻上】 そうした中で、例えば今回、部下から報告を受けた上司が「レク資料」の(文書を)保存していたのですけれど。 そもそもの「公文書の定義」と、「今回のレク資料は公文書にあたるのかどうか?」 これは、いかがでしょうか。
【三木】 そうですね。 この間出て来ている話とか、あと、昨日(6月5日)くらいから、NHKがわりとはっきりと「内部証言」という形で、内部一次ソースを元にした話を出してしますけれども――
【荻上】 ――しかも、「複数の職員」というふうに取り上げてますよね。
【三木】 そうですね。
ああいうのを見ると、「どう考えても、行政文書の定義に当てはまらないということが、かなり難しいレベル」の状態になってきていると思います。
言い換えると、「行政文書以外の何物でもない」ということになると、思っています。
【荻上】 はい。
「具体的な政治過程において重要な文書」であり、なおかつ「複数の職員が意思決定の参考資料として保存」していて。あるいは、それを見ていた。 まあ、「行政の文章」ですよね。
【三木】 そうですね。
「行政文章」の定義は、「職員が職務上作成した」「組織的に用いている」「行政機関が保有している」というのが主な要件になるんですけれども。 (今回の「レク資料」が「行政文書」として扱われるものかどうかの)ポイントは結局その、「組織的に用いているかどうか?」なんですよね。
で、この件に関して言うと、「幹部職員も含めてそれを皆使っている」わけですよね。 「それを組織的に用いていると言わずして、何を組織的に用いているというのか?」ってくらい、「組織的に用いている状態」です。
【荻上】 そうですよね。
【荻上】 「森友学園の問題」「加計学園の問題」、まあふたつ続きましたけれども、この共通点については、どうお感じになりますか?
【三木】 結局、政治が行政に介入するとか関与するということは――これは良くも悪くも――日常的に、あると思うんですよね。
で、本当は政治家としては「当然それも含めて記録されるものだ」って前提で、行政に対して介入したり、関与してもらわないと困るんですけれども。 つまり、それが、最低限の「政治の責任」「政治家の責任」っていうことになると思うんです。
「森友学園」でも「加計学園」でも結局、そういう前提を全く理解していないで「自分たちにとって望ましい結論を得るために介入している」ということが垣間見える、っていうことだと思うんですよね。
言い換えると、「どこまで、自分たちは責任ある事をやっているっていう自覚があるのかな?」って思うんです。 もし、「良くも悪くも記録されて評価を受ける」っていうくらいに、自分たちの責任をちゃんと認識してくれているのであれば、こんな事態になっていないわけです。
あともうひとつ。 今回言えるのは、森友も、加計学園も、結局ふたつとも、「記録がない」ってことが、「これだけ問題を長引かせている原因」ですよね。
【荻上】 うーん、そうですね。
【三木】 つまり「政府が言っていることを証明するものが何もない」っていう(笑)。
これは、「記録がないことにしてやり抜けよう」としている一方で、結局は、どんどん長引かせていって、逆に自分たちを追い込んでいく状況になっているので。
何もないんだったら、「ないっていうことが分かるように、きちんと全体の記録を出せば良い」と思いますね。
【荻上】 うーん、そうですね。
【荻上】 まあこのふたつ、「モリ蕎麦カケ蕎麦」なんていうふうに言われたりしていますけれども。
【三木】 (笑)。
【荻上】 「ふたつに共通するのは、蕎麦の旨みをすすることだ」ということなんでしょうかね。 ……「言ってみたった感」ありますけれども。
でもそれはけっこう、冗談ではなくて。 (実際に)「近い人に恩恵が与えられた」「近い人ばかりに何か旨みが与えられる」(のだとしたら)、ある種、「民主主義」っていうものの根幹を揺るがすことになる。 そういったことも含めて、ちゃんと、「公文書」などでちゃんとチェックできるようにしよう。
「公文書」というのは、「間違いをチェックする」だけではなくて、「今行われている行政の、正当性を裏付けるためのもの」でもあるわけですね。
【南部】 その通り!
【荻上】 だから、「いや、後ろめたい事がないから残さなかったんだ」みたいなことではなくて。
そういう(うしろめたいとかそうでない)とか分けへだてなく、ちゃんと残し続けていく事が「これからの民主主義社会・議会制民主主義社会の正当性を担保し続けていくんだ」ということは、必要になってくる意識ですよね。
【三木】 そうですね。
「特定の人に利益を与えるのではなくて、より、皆のために仕事をしよう」と考えるのであれば、結局は、「どうやって信頼されるか?」っていう基盤を作んなきゃいけないという話で。
逆に言うと政府って、信頼されなければ――例えば広く薄くでも――私たちに負担を強いるような政策変更とかを絶対出来ないわけですよね。
その基盤が、「説明して信じろ」じゃなくて、「記録として証明する」っていうことで、本来は「公文書管理」も「情報公開」もあるので。 「やっぱりそこに戻んなきゃいけない」っていう話だと思います。
【荻上】 そうですね。
だから、「論より証拠」。 「論」で、「いや、やってないです」「関係ないです」「関係してたらやめます」っていくら言うよりも、「証拠を見て信頼してください」「検証して下さい」って言う。
今、そうしたことを出来る体制作りが、問われているわけですね。
後半も、「公文書管理法のこれからのあり方」について、うかがっていきたいと思います。
【南部】 TBSラジオをキーステーションに生放送でお送りしている荻上チキセッション22、今夜のメインセッションは『公文書管理そのあり方を考える』というテーマで、スタジオには、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんをお迎えしています。
よろしくお願いします。
【三木】 よろしくお願いします。
【荻上】 よろしくお願いします。
さて。
公文書管理のあり方について、森友学園や加計学園の問題から色々と考えておりますけれども。 ここで(番組に届いたメールを紹介します)。
「役所で働いていた」という数人から、メールを頂いているんですね。 まずお一方目。これは、匿名の方です。
【南部】 ご紹介します。
『匿名希望の、埼玉県職員です。
埼玉県では、公文書をパソコンで決済にまわす時、「公開情報か」「非公開部分はなにか」と、細かく入力します。 私は真面目に考えて入力していましたが、ある時上司から、「本当に公開請求されたら面倒だから、全部非公開にしなさい」と命令されました。
確かに埼玉県では、個人的恨みから、特定職員への嫌がらせとして公開請求を連発する方が、複数人います。 公開請求されると、担当者は、ものすごい手間がかかるからです。
私も、逆らうわけにもいかないので、それ以来、言われたとおりにしています。 ほんの数万円の、「契約伺」などもです。
ただ、昭和の頃から情報公開制度がある先進県埼玉の職員としては、内心、忸怩たるものがあります』
【荻上】 はい、匿名の方から頂きました。
実際に、情報公開の制度があるにもかかわらず「運用上、面倒だから全部黒塗りで」っていうことがまかり通っている、というご意見でしたけれど。
こちら、いかがですか?
【三木】 そうですね。
その方がやっておられるのってたぶん、文書管理システムに登録する最初に、「ここは非公開」とか「これは全部非公開」とか、ある程度公開範囲を設定をしているんだと思うんです。 その時に、「面倒くさいから全部非公開にしてしまっている」と。
これは、まあ、「あり得る」と思うんですよね。 ただ、「情報公開請求」されるとそこに登録したとおりに決定はできなくて、結局は中身を見ることになるんです。
だからこの上司の方は、「時間使うな」っていうことを言っているのと同時に、たぶん、制度とか全体のことをよく分かってないのかも知れないと思います。
(それで)そういう、情報公開に対してすごくネガティブな上司とか組織体質というのが結局は、「隠ぺい体質」になったりとか、あるいは、「外の目を意識した仕事をしない」ことに繋がったりするので。
(だから)すごく、組織のあり方としては、根っこに関わる部分ですよね。
【荻上】 そうですね。
まあ、「一体この上司がホワイトなのかブラックなのか問題」というのがありますね。 「仕事はもうちょっと楽で良いんだよ」って言ってくれているのか、それとも、理不尽な「文章公開を許さない」(それで)「自分に対する告発すら許さない」という形になるのか。 ちょっと、怖いところではありますね。
ただ、今のところで「大事だ」と思ったのは……。 結局、その都度(現場の職員が文書管理システムへの登録時に)「公開」「非公開」というふうにやっていたとしても、「情報公開請求の段階で、また別途判断される」という事なんですか?
ということは、(公文書に関しての)一覧を見て、「これは非公開か」と諦めてはいけない、ということなんですか?
【三木】 もちろん、それはそうです。
というのは、結局、「現場レベルで非公開にしたいな」ということと、「条例でそれを認めるか?」っていうことと、「過去の判断がどうだったか?」というのがあるので。
まあ、過去の判断でこれは絶対に「鉄板で非公開です」っていうような「非公開」は動かないと思うんですけれども。 例えばさっきの(メールの内容)だと、「数万円の伺(うかがい)も非公開にします」って言っても、条例の運用を素直に考えれば、そんなのを「非公開」には出来ないんですよね。
なので結局は、「請求があった時点でもう一回判断しなきゃいけない」っていう事にはなるんです。
【南部】 ふーん!
【荻上】 「面倒だからと(何でもかんでも非公開設定に)していた職員は��分される」みたいなことは、あったりするんですか?
つまり、言うなればこれは、「配るのが面倒だから」って葉書を海に捨てている郵便局員みたいな感じの仕事のザルっぷりじゃないですか?
【三木】 そうですね。
(でも)「公開しなきゃいけないものもやたらと非公開にする」っていうことでは、内部では処分されないです。
(情報を)出し過ぎて処分される可能性はありますけれども。
【荻上】 えっ、そっちですか!
【三木】 うん、結局、「秘密保護」も「情報公開」も皆共通しているんですけれども、「非公開や、秘密を守りすぎて処分される」ことはまず、ないんですよ。
(あるとしたら、反対に)やり過ぎて、出し過ぎて、問題になるとかです。
【荻上】 「漏らした」ということで?
【三木】 そうですね。
「情報公開請求」に対して、「自分たちはこれを出せる」と思って決定したあとにそれが大問題になったりすると、「何でそんなものを出したんだ!」って責められるとかですね。
【南部】 はあーー……。
【三木】 「(非公開にしすぎたことで)処分されるかどうか?」ではなくて、そうした、「組織的に責められる」可能性があるのは、むしろ、出し過ぎちゃった場合とか、あるいは、「秘密だけどこれは皆に知らせなきゃ」と思って出して(そうしたら)捕まってしまうとか、そういう場合なんですよね。
そこが実は、とても大きな問題ではあるんです。
【荻上】 この文書公開の制度というのは、「事なかれ主義」で、(なぜ出し過ぎたんだと責められるようなことには)「ノータッチでそのまま出世したい」っていうような公務員の人たちにとっては、実際に「邪魔だ」っていう認識になってしまうわけですね。
【三木】 そうですね。 「やっかいだと思われていてもおかしくない」とは思うんですよね。
(でももし)請求をされても、(もともと)情報公開を前提に仕事をしていれば別に怖くないはずですよね。 「説明出来るようにやってます」「例外的に、一部出せないものもあります」っていう話になると思うんですけれども。
「公開」をデフォルトにして、「それ以外を例外」にすれば、もっとシンプルになるはずなんですけれど、なかなかそういうふうに転換していかない。
結局、組織がそういう運営に転換していないと、「どこまで出せるか?」っていう話を個別にしなきゃいけなくなるということになるので、「請求されればされるほど仕事が増える」という感覚にはなってしまう。
「いかに公開をしないか?」とか、「大事なところを守りたいか?」「自分たちにとって守りたいところを守るか?」っていうことになると、どんどんおたがいに辛い話になってくるんですよね。
【荻上】 そうですね。
「公開を前提」「部分的にロックをかける」。早く、こういったあり方を取り入れて欲しいですよね。
【荻上】 こういったメールも頂いています。
【南部】 苫小牧のNKさんからです。
『私は、地方の市役所に40年勤めましたが、課内の打ち合わせの際には、必ずメモ取って、速やかにパソコンにデータを打ち込んで、少なくとも人事異動で他の部署に異動するまでは、必ず保存していました。 同僚など、他の職員も同じです。
今回の文部科学省の場合もたぶん同じだと思いますし、前川氏の証言は、事実だと思います。
総理以下が同じ答弁をしているのは、あとに退けなくなったので、今更「ありました」とは言えないからで、国民が忘れるのを待っているとしか思えません』
【荻上】 うーん……。
地方自治体ですけれど、やっぱり(具体的な情報のメモは)パソコン入力をして、必要な時期までは取っておくのが官僚の癖だというようなご自身の体験談を頂きましたけれども。
「(この仕事のやり方は)省庁でも同じではないか?」という指摘がありましたけれども、三木さんはどうお感じになりますか?
【三木】 これは、すごい「惜しい話」なんです。
というのは、一般的な解釈では、個人に貸与されたパソコンの中に文書があると、(それだけでは文書が)共有されていないから、(公文書の範囲外である)「個人メモ」の範囲に入っちゃう可能性が高いんですよ。
【南部】 はあー……。
【三木】 個人のパソコンって誰でもアクセスできるわけではなくて、一応、パスワードが分かる人しかアクセスできないように管理されていますよね。
そうすると、そのメモを全部パソコンで完結させちゃうと、「個人メモ」って言われても成り立っちゃうんですね。
だからそれを、「プリントアウトして報告する」とか「同じ課内の人にメールで送る」とかいろいろすれば、それは十分にもう「公文書」って言えるんですけれども。
【荻上】 (それは)「今の定義では」っていうことですね。
ただ、そもそもの疑問としては、公務員として「税金から給料を払われていて」「その時間内は国民のために仕事をしていて」「仕事をしているパソコンも国から貸与されていて」「具体的な業務は、例えば、国有地など国民の財産を取り扱うケース」なので、それを、「私的なメモだから公開しない」という運用もどうか? と思うんです。
これは、どうなんでしょうか?
【三木】 そうなんです。
結局、「法律の定義」と「それをどう解釈するか?」っていう問題なのですが、(ただ)今の、国の「公文書管理法」も「情報公開法」も、そういう「個人メモ扱いが出来るような規定」になっちゃってるところがあるんです。
だから「そもそも見直さないと、これでは政府の説明責任を果たせませんよね?」「法改正の議論をしましょう」っていう話になってきているのですが。
【荻上】 うーん……そうですね。
「だから、小手先ではなく、ガラリと変える必要がある」ということは、十分、分かりました。
【荻上】 では、「今後の話」をする前にここで、「そもそもどういった経緯で今の法律が作られてきたのか?」を、お電話で専門家の方にうかがいたいと思います。
「公文書管理の問題」に詳しい、長野県短期大学助教の、瀬畑源(せばたはじめ・社会学者)さんに、お話をうかがいます。
瀬畑さん、こんばんは。 よろしくお願いします。
【瀬畑】 あ、こんばんは。 よろしくお願いします。
【荻上】 さて、現在の日本の「公文書管理」、それから「情報公開の仕組み」なんですけれども。 これは、どういった経緯で法律が作られてきたという流れなんでしょうか?
【瀬畑】 そうですね、えっと。
もともと日本では、公文書の管理というのは、明治の時から「各省庁に委ねられてきた」というところがあって。 つまりずっと、「各省庁が、自分たちで必要なものは作って残して」「自分たちに必要の無いものは捨てる」という過去があったんです。
で、1970年代くらいからだんだん、情報公開というものを求める運動みたいなものが、アメリカとか、海外から日本にも流れてきて。 (その後)日本でも盛んになって、やっと90年代に自民党が下野した時(1993年から 非自民・非共産連立政権の細川内閣。94年には自社さ連立の村山政権で自民は与党復帰)にやっと、国でも「情報公開法を作ろう」と動き出して。
(それでその後)2001年に、「情報公開法」が出来たというのが、すごい単純な流れで、その時にやっと、「行政文書(国が持っている文書)」に対して、人々が請求をして「それを公開しろと要求する権利が認められた」ということになるんですけれども。
ただ、そのあと(情報公開法にもとづいて)「こういう事を知りたいんですけれども」っていうふうに「公開請求」をしても、実際に出てこないんですね。 「不存在」つまり、「存在しません」っていう(返答になる)ことが多い。 三木さんとかはたぶん、当事者だと思うんですけれど。
「どうしてそういう事になってしまうのか?」というのは、まあ、当然それまでの省庁は「自分たちで必要の無いものは捨てる」っていう考え方でやって来た人たちですから。 つまり、いろんなことを、捨てているわけです。
それ以外でも、請求の対象にならないように「行政文書として登録をしない」(とか、あるいは)先ほどから三木さんがおっしゃっているような、「個人メモ」みたいな形で「公文書にしない形で持っている」とかいったケースというのが、かなり多くてですね。
「請求をしてもなかなか出てこない」ということが、かなり多くあって。 その時に、「行政文書・公文書というのは、どういうものを作らなきゃいけないのか?」とか、「どういうふうに管理をしなければいけないのか?」とか、「どういうふうに保存しなければいけないのか?」っていうのを、「やはりきちんと統一したルールを作りましょう」と。
そのためには、「公文書管理法」という、「ちゃんと、文書を管理する法律を作らなければいけないんじゃないか?」っていう動きが、そのあとかなり大きくなってきて。
で、たまたまその時に――今はかなり昔になりましたけれども――あの、「年金問題」とかがあって。 実際に公文書が、ずさんに扱われていて、国民の側にも被害が出るっていう状況っていうのが生まれて。
かつその時に、公文書管理に興味があった自民党の福田康夫さんが、たまたま総理大臣になって(福田内閣は2007年から2008年)、じゃあ「公文書管理法作りましょう」という事になって。 一応それで、今の問題になっている「公文書管理法」というものが2011年から施行されるという形になった。
……というのが、すごいざっくりした流れですね。
【荻上】 なるほど。
【瀬畑】 やはりこの「情報公開法」や「公文書管理法」っていうのは、もともと「説明責任をきちんと果たしましょう」とか、「きちんと文書を作んなきゃいけない」というふうな外部からの声に、政府の側も応じてきた中で出来た法律だと思います。
【荻上】 うーん、なるほど。
今の話をうかがっていると、例えば、自民党が下野したりであるとか、あるいは社会的な世論の圧力が高まって福田政権下で作られるなどといったような、「何かしら変えなきゃ」っていうような、常態とはちょっと違うようなタイミング(が節目になっています。)
つまり、機運が高まる時は高まるけれども、(一方で)そうではない時はなかなか動かないというような、そうしたような歴史もあるんでしょうか?
【瀬畑】 まあそうですね。なかなかやはり。
「公文書管理」って、「地味」っていうか。 まあ普通は皆、「きちんとやってくれているものだろう」って感じているところがあって。
ただ例えば、今回の「森友学園の問題」にしろ、「加計学園の問題」にしろ、実際に請求してみると、「実はやってない」「ちゃんと作ってなかったんだ」ということが明らかになるということの(影響が)大きくて。
それで、そういったこと���問題になった時に「やっぱり法律の仕組み自体がおかしいんじゃないか?」とか、「じゃあ法律をどうしましょう」とか、どうしても、そういった機会ごとに声が大きくなるということはあると思います。
【荻上】 うーん、なるほど。
【荻上】 この日本の公文書管理の、法律の前景・根本的な考え方は、どういったことでしょうか。
【瀬畑】そもそも2011年から施行されてている「公文書管理法」という法律がやはり、「国民に対してきちんと説明責任を果たす」「ただそれは、今の国民だけではなくて、将来の国民に対しても説明責任が果たせるように文書を作らなければいけない」と(いうものです)。
「情報公開法」にも当然、そういった「文書をきちんと公開をして、国民に対してきちんと説明責任を果たさなきゃいけない」といった理念があると思います。
【荻上】 うん、なるほど。
【荻上】 そうした中で、「しかしながらまだまだ不十分だ」というところもあったこの法律ですけれども。
あの、日本の公文書管理のあり方というのは、国際的に見て(いかがですか?) (例えば)穴があったりとか、あるいは優れている点とかは、どういったところにあるとお感じになりますか?
【瀬畑】 そうですね、えっと。 国際的なことは、おそらく、スタジオにいる三木さんに聞くのが一番はやいのではないかと思いますけれども(笑)。
ただ日本の「公文書管理法」は、法律そのものとは別に、「法律を運用する側の意識がなかなか変わっていかない」というのが、やはり他の国と比べてもかなり弱くなっている部分で。
「情報公開」で請求してもなかなか出にくいとか、そういったことはあるにしろ、制度そのものは当然、他の国も参考にしながら作ったというところはあるわけで。 ただそれよりも問題なのは、官僚側の意識の問題とか、そういったところが、やはり大きいと思っていて。
つまり、今も実際に、「公文書管理法」ってあるわけですよね。 で、先程から三木さんもおっしゃっているように、そもそも、今回の「加計学園の問題」とかも、「文科省の中でメールで回っているっていうレベル」で、公文書管理法上からいうと、どう見たってこれは「行政文書」「公文書」のはずなんですよね。
ですけれども、そもそもそれが「公文書」になっていないとか、それが「怪文書みたいな扱いを受けること自体がおかしい」という話で。
【南部】 うーん……。
【瀬畑】 ですから、「(運用する官僚の)意識をどう変えていくか?」ということが、「日本の場合にはかなり遅れているのではないか?」というふうには思います。
せっかく法律を作ったのにもかかわらず、運用する側の意識がかなり前から変わっていない。
つまり、「自分たちにとって必要なものは作る」「請求されて嫌なものは作らない」とか、そういった「各省庁の側の都合」で、公文書の「作る」「作らない」ということが決められていた。 あとは、「捨てる」「捨てない」という事も(各省庁の都合で選択されていた)。
そういったことが、法律が出来ても、どうもいまだに続いているという状況です。
【荻上】 なるほど。
三木さん、海外と比べては、いかがお感じになりますか?
【三木】 「公文書管理法」とか「公文書記録管理法制」って、わりと国際比較をしにくいんです。
【荻上】 ふーん! 
【三木】 日本と韓国って、法制度が割と似てるところがあるので、そのあたりはまだ、比較可能なところがあるんですけれど。
あの、アメリカなんかはもう、「記録管理法」っていう大きな法律があるわけではなくて、いくつかの仕組みとか法律が合わさって動いていたりとか……。
【荻上】 「法体系」として、ということなんですね。
【三木】 そうです。
なので、公文書管理法の国際比較表がないのは、「単純に比較しにくい」(からだと考えられます)。
「文書の保存期間」なんかも、日本みたいに「保存期間基準表」みたいなものがない場合も、けっこうあるんです。 そのかわり、その、「業務ごと」とか、その中の「文書分類ごと」に保存期間を設定していくやり方なので。
(だから)実は、なかなか「保存期間比較」も出来ない、という感じではあるんですよね(笑)。
どっちかというと公文書管理みたいな話は、それぞれの国の行政組織の仕事のしかたとか、ありかたとか、そういうものに根ざしているところがあって。 (だから)やはり、いろいろな国のやり方を見ながら、それぞれの国に合ったやり方を作っていくしかないのかな? という分野ではあるのです。
【荻上】 うーん。
ということは、先ほどの瀬畑さんの言葉で言うと、同じ日本でも、「官僚の意識」あるいは、「それぞれの省庁のカラー」が、けっこう反映したりするので、例えば「自治体や省庁によって、公文書に対するとらえかたにはずいぶん違いがある」と考えられるわけですか?
【三木】 それはもう、ローカルルールがかなりたくさんあると思うんですよね。
元官僚の国会議員の方が結構おられるので、この間の公文書管理法の問題について「(官僚として勤務していた)当時はどうだったか?」というお話をいろいろと聞く機会もあったんですけれども。 そうするとやっぱり、「どうやってファイルを作るか?」ということでも、個人ごとに、わりといろいろな作法があるらしいんですね。 (ですから)同じ業務でも人によってはファイルの出来かたが違うとか、まとめ方が違うとか、そういうのもあるようです。
ある程度きちんと体系的に管理しようするなら、「どうやったらより、説明責任が果たされるようなファイルの編成になるか?」とか、そういう、わりと技術的な支援をきちんとしていかないと、なかなか動かない世界かな、と思います。 なかなか、個人のやり方を、全部変えるわけにもいかないですが。
【荻上】 そうですね。
少なくとも今は、「加計学園」と「森友学園」を比べても「文科省と財務省でも文書のあり方に対する認識が違うな」とは思います。
(その違いを考える時)「文科省は良くも悪くもアットホームだ」とよく聞くじゃないですか。 (そうしたら)たぶん、「前川先輩が!」みたいな気持ちで、(文科省の)中で燃えている人もいるのかな? という気がするので。 番組としては、そういう人からのリークは、ぜひお待ちしていますけれども。バッチリ守りますからね。
【荻上】 まあそれはそれとして。
あの、瀬畑さんにおうかがいしたいんですけれども。
【瀬畑】 はいはい。
【荻上】 加計学園森友学園のケースを受けて、これからどんな公文書管理の議論を求めたいとお感じになってますか?
【瀬畑】 そうですね。
まあやはり、公文書管理法の理念をもう一回きちんと見直した上で、「官僚たちがどうやってそれをちゃんと自分たちのルールとしていくか?」というところが求められていると思っていて。
今回の「加計の問題」にしろ、「森友学園の問題」にしろ、もう先程から三木さんがおっしゃっているとおりで。 「そもそも情報を出せば話が済む」っていう問題ですよね。
もともと文科省からリークというという形で文科省から情報が出て行っていますけれども、あれとは別に、「加計学園に決まりました」「この加計学園に決まった経緯はこうだったんです」っていうふうに、文科省が文書を公開すれば良いだけの話で。 それで、内閣官房の方がその経緯に文句があれば、別に「内閣官房の方の記録も出せば良い」というだけの話なんですよね。
で、それを、もともと「公開」にした上で、その上で「どういう議論をしますか?」っていうふうに。 やっぱり「公開はデフォルトにして、議論を積み重ねる」というふうに、変わっていかなきゃいけないはずです。
そもそも、「公文書管理法」とか「情報公開法」というのは、「そういうふうな社会に変えていこう」というために作られた法律のはずなんですよね。 当然、理念もそういうふうに書いてある。
ですので、やはり、まずは「そういった理念をきちんと守る」っていうところがまずは大事で。 そのためには、「(理念を)具体的な制度に落としていかなきゃいけない」とか、先ほど三木さんもおっしゃったように、「(理念が)ちゃんと残るような技術的な仕組みを、どう考えていくか?」とかですね。 (文科省と内閣府との違いから生じているような)議論は、そのあとにされなきゃいけない。
今、せっかくそういった理念もあって、法律もあるのに、事実上は守られていない。 しかも、守られていないことを政府が堂々と、「それを守っていないことが何か問題なのか?」みたいに開き直っているっていう状態。
でもそもそも民主主義というものはもともと、「情報を出して」「それに基づいてどうしましょうか? と議論する」のが趣旨なわけで。 それが、「いや、それは怪文書ですよ」「情報がありません」「調べません」とかでは、そもそもと駄目な議論だと思うんです。
ですので、もし「今の公文書管理法でまだその部分に抜け道がありすぎてそれを許している」というのであれば、「それをどう変えていくかを議論しなきゃいけない」っていうことになると思います。
ただいずれにしろ、実際には理念がちゃんと提示されている以上、それに基づいて「ちゃんとルールが守られるような仕組み」をきちんと作っていくのが必要なことだろうと思っていて。 むしろ、それが、当たり前のはずなんだけれども。
「公文書管理法」が出来てもう6年経ちますけれども、こういった不祥事が起こるたびに「理念がなかなか根付かないのだなあ」ということは思います。
【荻上】 うーん、なるほど。 分かりました。 瀬畑さん、ありがとうございました。
【瀬畑】 はい、どうもありがとうございました。
【荻上】 長野県短期大学助教の、瀬畑源さんにお話をうかがいました。
【荻上】 でも、安倍政権にとっても、これはある意味でチャンスだとも言えます。
本当に、「何のいわれもないのに民進党に攻撃されている」と捉えているんだったら、情報公開をした上で――「ほら、民進党の言っていることは印象操作だったでしょう?」「この安倍晋三が、あたかも、加計学園に対して、配慮したがごとく、ごとく、ですね」っていうふうに――証明することが出来るわけじゃないですか。
【南部】 はい、はい。
【荻上】 そういった意味では、文書をさっと丸裸にすることが必要。
だけれどこれから、「公文書はデフォルトで公開しておく発想にシフトした法体系への改正」が必要だということですね。
【三木】 そうですね。
結局、今起こっている問題というのは、ただひたすら「公文書管理法の信頼性を下げている」だけの話なんですよね。
その原因というのは、もう「運用の問題」とか、「組織の文化の問題」とか、「意識の問題」もあるんですけれども。 一方で今、「そういう運用を認めてしまう法制度になってしまっている」という事がひとつの問題なんです。
それがまあ、抜け穴みたいに地雷源のように、あちこちに埋ま��ているんですよね。 で、それはやっぱり、「変えなければ繰り返し同じことを起こす」ということになりますので。
「法律だけ変えれば何とかなる」という話ではないんですけれども。 でも、政府にこういう運用を「問題ないって言わせてしまう法制度」っていうところは、「何とか変えなきゃいけないんじゃないかな」と思っているんです。
【荻上】 うーん。
少なくとも、今回の件で、ちゃんと立法して、「変えていく」という議論がないと(いけないですよね。) 「こういった出来事があったから、通報したやつを監視出来るようにしましょう」とか、「(公開したくない)重要な文章はメールじゃなくて手渡しで」とか、内部で、変な慣習の方向に行ってしまう可能性があるので。
【南部】 「潜る」というかね。
【荻上】 そう。
だから議会で「こっち方向に行きましょう」と法律を立てるのは、重要になりますね。
【荻上】 また、今日気付かされたのは、この公文書管理法の、第1条。 読んでみるとたしかに、手法が書かれている前段で「これは公文書管理をする法律ですよ」と書かれているんですけれども、後半の「もって」というところ以降が大事で。 (そこには)「現在及び将来の国民に説明責務が全うされること」(と書かれています)。
「もって」というのは、「それをすることによって何を目指すか?」です。こういう目的付けになっているんですね。 「公文書を管理する」というのは、「目的のための手段」なんだっていう(ことが法律にはっきりと書かれている)。
【三木】 そうですね。 「公文書管理」も、「情報公開」も、「手段」なんです。
一番大事なのは、「記録として残さないと、時も空間も越えられない」ことなんです。 時と空間を越えるためには、なにかに記録してもらわなきゃ、話にならないんですよね。
【南部】 ああ、その通りだ!
【荻上】 はい、うーん。
それが、もう、今。 「このタイミングで、デジタル化されていることを前提とした公文書管理制度のさらなるアップデートをやらないと駄目ですよ」っていうことですね。
【南部】 今!
【南部】 はい。
今夜は、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんと、お送りしました。 ありがとうございました。
【三木】 ありがとうございました。
【荻上】 ありがとうございました。
(書き起こしここまで)
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひ番組公式サイトの音声でご確認ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】「PKO日報問題にみる”情報公開・公文書管理のあり方”とは?」荻上チキ×三木由希子▼TBSラジオ 荻上チキ・Session-22▼2017年2月17日(金)放送より
『「PKO日報問題にみる”情報公開・公文書管理のあり方”とは?」荻上チキ×三木由希子▼TBSラジオ荻上チキ・Session-22▼2017年2月17日(金)放送』より書き起こし
『PKO日報問題、派遣開始から保存されていた。稲田大臣が明らかに』
【南部】防衛省が「破棄した」と説明していた、南スーダンでのPKO(国連平和活動)に参加する陸上自衛隊の日報が、実際には保管されていた問題で、稲田防衛大臣は、今日の衆議院予算委員会で、派遣の開始以来の日報が電子データとして保存されていた事を、明らかにしました。
(稲田大臣発言の音声)『南スーダンへの部隊派遣の開始以来、日報を電子データとして保存している事を、確認をしたところでございます』
【南部】また当初、この問題について調査する委員会が防衛省内に設置される予定でしたが見送られた事が、政府関係者の話で、分かりました。 与党側が、国会審議への影響を懸念して反対したため、防衛省が配慮したとみられます。
【荻上】ではここで、南スーダンPKOの日報問題についてとりあげますが。
以前は、「戦闘行為」とか「武力衝突」とか、そうした言葉の定義を巡る話を解説したんですけれども。 今日は、公文書のあり方について、お電話でうかがいたいと思います。
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんに、お話を伺います。
三木さん、こんばんは。よろしくお願いします。
【三木】こんばんは。よろしくお願いします。
【荻上】さて三木さん。
専門の情報公開の観点から見て、この「PKOの日報問題」をどのようにご覧になっていますか?
【三木】「組織の中で日報の存在がもともと分からなかったわけがない」っていう問題だと思うんですね。 それが「無い事になっていた」というところが、組織のあり方として「すごく大きな問題がある」という事なんだと思います。
自衛隊とか防衛省という組織は、他の行政機関よりも指揮命令系統が割とはっきりしていて、「情報がどこで共有されてどこに流されているか?」っていうことも、はっきりしていると思うんです。 なので、「どこに情報があるか?」っていう事は当然、「そもそも内部では把握されていないければいけない」っていう問題だったと思うんですね。
【荻上】なるほど。
【荻上】一方で、防衛大臣がそれを管理出来ていなかったなかで、「しっかりとシビリアンコントロールが出来るのだろうか?」等々、いろいろと問われる点はありそうですね。
【三木】そうですね。
結局、防衛省幹部とか、陸上自衛隊の上の方にちゃんと一次情報が上がって、それが評価をされて、意思決定とか政策判断されないと(いけない)。 現場が勝手に判断して色々出来ないわけですよね。
本当は、「情報をきちんと管理・蓄積していく」ということは「組織として非常に重要なこと」のはずなんですよね。それを「きちんと大臣が指示できないという状況」なのだとすれば、それは、すごく大きな問題だと思います。
【荻上】うーん……。
【荻上】そうしたなかで、三木さんが理事長を務めている情報公開クリアリングハウスで、稲田防衛大臣宛に意見書(『南スーダン国連平和維持活動派遣部隊の日報の情報公開・公文書管理問題に関する意見』)を公表したということなんですけれども。
この内容は、どういったものなんでしょうか?
【三木】そうですね。
先ほどお話ししたとおり、まず「不存在」という問題については、「そもそも情報の所在が把握出来ないわけがない」っていうことを言っています。
あともうひとつがですね。 この間の、この問題を受けて、陸上自衛隊自体が「ルール上では文書をわりと簡単に廃棄をしているんではないか?」という状況だということが分かったんですね。
あの、陸上自衛隊にも、「行政文書管理規則」っていうのがあるんですね。そこには「別表」として、「こういう種類の文章は何年保存です」って書かれているんです。
で、「日報」はその中でも「一年未満の軽微な文章である」っていう扱いだったので、防衛省はずっと「短期間で捨てられる文章です」っていうことを言っていたわけなんですけれども。 それからあと、「陸上自衛隊史」みたいなものも「30年経つと廃棄します」っていうルールになっているということが分かって。 わりと重要そうな文章が非常に短期間で廃棄できる仕組み」になっているということが分かったんですね。
なので、「そもそもそれは、組織として問題じゃないですか?」ということを、意見書では述べています。
【荻上】なるほど。
どの省庁でももちろんそうだと思うのですけれども、特に防衛省に関してはやはり、命に直結し、他国民の命にも関わる問題ですし、「のちにじっくりと検証したい」というような様々な繊細なテーマがあるような分野ですけれども。
しかしながらそこで、「しっかりと情報が残されていない」「公文書が保存されにくい」となっているわけですか?
【三木】そうですね。
(けれど)組織の性質を考えると、そうそう「簡単に記録が捨てられる組織である」とも限らないんですね。 結局、「やっぱり派遣以来5年分の日報がありました」って、今、大臣が言っていますよね。だから(実際に破棄されているかどうかは)、これもよく分からないんですけれども。
ただ、例えば、規則上で「1年廃棄になっていますよ」とか「3年廃棄になっていますよ」とか、日報みたいに「1年未満です」となっていると、情報公開請求を受けて「いや、ルール上保存期間過ぎていますよ」「不存在」と言われると、こちらとしては結局、なかなかそれ以上突っ込めないわけですよね。 そうすると、「仮に残っていても発見されにくい」という状況になってしまう。
【荻上】ああ……。そうですね。
【三木】「一次情報を評価して判断する」っていうプロセスが適切に行われていないと、例えば「現場が非常にたいへんな思いをする」とか、「全体の判断の間違いが、多くの市民の命や生活に関わる」っていう事態を招くことになります。 (しかし)もし「本当に(一次情報を)捨てていて全体の記録が残っていない」とすると、結局その(評価と判断の)プロセスが、「果たしてちゃんと適切に機能していたのか?」ということは、あとから確認が出来ないんですよね。
そうするとやはり本当は、「最後の決定の部分だけ残っていれば良い」というよりは、(経緯の記録)全体がちゃんと残っていないと「組織としては適切な仕事が出来ない」っていう話だと思うんです。
この間の議論とかやりとりを見ていると、非常に、そういう「そもそものやるべき事がすごく軽んじられている」ように思われます。 (これが)この問題の根の深いところではないかな? と思います。
【荻上】なるほど。
【荻上】そもそも、公文書に関して「残しておきましょう」「公開しましょう」「全体的に、しっかりと把握しましょう」というルールを「もっとしっかり作るべきだ」という話もあると思うんです。 けれども同時にこれ、あのやっぱり、「防衛省だからこそ、情報公開に対してより消極的」ということもあるんでしょうか?
【三木】確かに、(防衛省が)担当している分野は、情報公開の判断が微妙な内容を含むと思います。
一方で、そういう軍事力や秘密や非公開の部分をやむを得ず持つ安全保障分野の組織だからこそ、やはり、「一般市民に対する説明責任」とか「信頼を獲得する努力」というのは、非常に重要ですよね。 「より信頼される組織になるための努力をしなければいけない」っていうのは、「情報公開に向き合う基本的な姿勢」であるべきだと思うんですね。
どうしても出せない部分があるかも知れない。でも、可能な限り前向きに情報公開をしたり、適切な説明なり評価をしていかないと、「多くの人から不信感を持たれる組織」になっていくわけですよね。 そこがやはり、欠落しているという一面があるんだろうと思うんですね。
【荻上】うーん、なるほど。
【三木】情報公開請求って、「請求があってから30日以内に決定をしなければいけない」って原則なんですね。 それに対して、「決定延長」っていう手続きもあるんですけれども。
で、防衛省は実は、「決定延長」をする率がすごく高いんです。情報公開請求をしても割と時間がかかるし、他の省庁に比べて「不存在」になる案件も多い。情報公開請求をしたり、情報公開を求める人たちから見ればやはり、そんなに制度にフレンドリーな組織ではないわけなんですね。
【荻上】 (情報公開請求をした文章に関して)「無かったです」っていう回答をされる、と。
【三木】 そうですね。
実は、外務省がもっと、別格に、非常に悪い状況なので(笑)、防衛省が「最悪」ではないんですけれども、(それでも防衛省が)制度を使いやすいように運用されているとは、ちょっと言いがたい状況なので。
やはり、(個別の)ひとつの問題とか、情報公開制度(のルールがどうなっているか)というだけではなくて。 やっぱり、「組織のあり方」とか「自分たちがどういう責任を果たすべきか?」特に、「信頼を獲得するために責任を果たすべきか?」ということを考えてもらわないと、なかなかこの状況は変わらないんじゃないかな、とは思うんです。
【荻上】うーん、そうですね。
【荻上】三木さんが稲田防衛大臣に提出された意見書を、僕も拝見させていただいて。 この意見書の中に、データが紹介されていますよね。
行われた情報公開請求に対して「不存在」、つまり、「ありませんでした」という回答が来た割合が、「ここ10数年間では省庁全体では3.62%だ」と。 これに対して「防衛省は6.22%」と、他の省庁よりも著しく高い。
だけど――「外務省は13.75%」と、「もっと高い」ということになっているので、まあ、「外交機密・防衛機密に関わるところなんだろうな」と思いつつも、しかしやっぱり――こうやって数字が出てくると、まあ、「異常だな」という事もわかってきますよね。
【三木】そうですね。
(とはいえ)外務省とか防衛省という安全保障とか外交分野ではそもそも秘密性とか非公開性が高く、どうしても、「そもそも何を持っているのかが分からない」「どういう情報として存在するのかが分からない」というような、「請求する側もよく分からない」ところがあるので。 (それで)探索的に請求される(結果、「不存在」の数字が大きくなる)ということは、それなりに起こるとは思うんですね。
ただそれにしても、防衛省の今回の問題なんかを見ると、本当にこの「不存在」にはどうしても、「本当になかったのか?」っていう疑問を持たざるを得ないですよね。
【荻上】ええ、ええ。
【三木】だから、無いものはもしかしたら結局無いのかも知れないんですけれども、一方で今回の問題からもやはり、「なかったことにされている可能性もあるんじゃないかな?」ということが疑われてしまう、と。
そこはやはり、防衛省としては、今回の問題は、単に「日報問題として何とかすれば良い」とか「その周辺で何とかお茶を濁せば良い」っていう話としてだけではない問題対応をしてもらわないと(いけない)。 (そうでないと)「情報公開請求に対してまともにやっているのか? っていうことそのものが疑われる状態にある」っていうことを、理解して欲しいなと思います。
【荻上】うーん、なるほど。
分かりました。三木さん、ありがとうございました。 NPO法人、情報クリアリングハウス理事長の三木由希子さんにお話を伺いました。
【荻上】というわけで、情報公開の話。「(大臣は)リーダーシップを発揮してしっかりとルール作りをやりましょう」「やれないんだったら、それは大臣としての資質を疑われますよ」というようなところが、もうちょっとクローズアップされなくてはいけないということが分かりました。
【南部】 はい。
(書き起こしここまで)
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り���し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひ番組公式サイトの音声でご確認ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【ラジオ書き起こし】「”共謀罪”法が成立」について、荻上チキがコメント▼6月15日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)より
『「”共謀罪”法が成立」について、荻上チキがコメント▼6月15日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)』より書き起こし
【荻上】さて、今朝がた、「共謀罪」が通りましたね。この法律は、通って施行がはやいんです。もうあっという間で、数ヶ月後にはスタートするんですね。
【南部】そんなにはやいんですか。(他の法律では可決から施行まで)大体一年とか、かけている……。
【荻上】法律が出来たときって、様々な、各関連省庁の準備や、運用上の準備の必要があるわけですよ。 ただ今回に関しては、警察にとっては「今までの捜査の対象をより広げて、より広い権限を貰える」「具体的な警察の捜査対象が広がる」ということになるので、オペレーションとしては、ある意味では変わらない部分があるわけですね。
【荻上】でも今回の共謀罪、何でこんなに問題になっているのか? まあ、問題の論点はたくさんあるんですけれども。
「なぜこの法律が必要か?」というそもそもの立法事実を金田法務大臣がなかなか説明出来ないことであるとか、「委員会運営で異例の出来事が続いた」ことであるとか、まあ色々な論点があったりする。
(政府は国会で)「TOC条約加盟のために必要だ」「テロ対策なんだ」って言っているけども、「この法律がなくてもTOC条約に批准できる」と言う人もいる。 あるいは、そもそもTOC条約は「マフィア対策」のものであって「テロリスト対策」の条約ではない。その条約に批准するためになぜ、国民に「テロ対策の法律だ」と説明をするのか? しかも、最初は法律の中に「テロリスト」という言葉はひとことも書かれていなくて。それが(衆議院での審議の中で野党から)指摘されたから「あとあと入れた」という経緯があったりするわけですね。
で、大臣が実際に法律の趣旨や必要性を説明出来ないまま(参議院の法務)委員会に流れ込んだところ、(金田大臣の代わりに答弁するための)政府参考人(※法務省刑事局長の林真琴氏)招致が、多数決で決まって。 しかもその政府参考人が、「初日だけじゃなくて(審議期間中)ずっと居ます」ということが、また決められて、金田大臣ではなく、その政府参考人がずっと(国会で議員の質問に)答え続けると(いうことになりました)。 「大臣要らないじゃん」っていう状態が、ずっと続いていった。
それで昨日は、その参議院法務委員会での議論が途中で打ち切られて、「中間報告」という形で(議案が法務委員会での審議を終えないままで本会議に)持ち込まれて、また多数決で採決ということになって。
【荻上】(このように、「テロ等準備罪」の審議は)異例づくしの議論だったんですね。
(やはり世論の大きな関心を招いた)「安保法制」の時は一応、政府から「立法事実の説明をしよう」という態度はあったんです。例えば、「ホルムズ海峡が~」とか、「日本が新しい危機にひんしている」ということだったのですけれど。
今回に関しては(政府からの立法事実についての説明が)いろいろ紆余曲折あり、最終的には、「条約批准のために必要です」というところに回帰しました。逆に、それ以外の(現行)法の穴というものを、(法案を提出した政府が)説明出来なかったということです。
【荻上】今回、そういったような形で法律が通って、「警察が実際に運用して捜査対象を広げていく」ことになるわけです。 「これだけスピーディーに法律が適用されていくことで現場は混乱しないのか?」と気になるんですけれども、「そんなに混乱しないのかな?」という気もします。
というのは、今までだって、GPS捜査であるとか、あるいは、かなり大雑把な調査・捜査というものを(警察が)行っていて。逮捕はしないけれども、その前の情報収集というのは、(逮捕)令状を持たない段階で、かなり広く網を掛けて行っていたりするわけですよね。 つまりすでに、一般人は捜査の対象になっているんですよ。
ただ、政府の今の説明だと、「嫌疑が掛けられた段階では(もう)一般人ではない」ということになるので(笑)。 この議論が正しいのであれば、「疑わしくない」「絶対に疑われない」という人は、存在しないじゃないですか。そんな人います? つまり、「日本に一般人は存在しない」ということになってしまうわけですね。
【南部】「嫌疑を掛けられた段階で」って言われたら、それは、いませんよね。だって、どんな人にも、その可能性があるわけですから。
【荻上】「どんな事があっても嫌疑の対象にならない、スーパー私人」ということで言うならば、安倍昭恵さんだけかも知れないですね(笑)。
【南部】あ(笑)。
【荻上】まあでも、それはさておきですね(笑)。
そういう形で、法律としては、定義が非常にあいまいで。 公明党の山口代表が「これからは運用に期待したい」というふうに言っていますが、「ちょっと待て!」と。当然、「運用に自重を期待するような、そんな法律を作ったの?」ということになるわけですよ。
「運用面に任せなくてはいけないような法律」というのは、ある意味ではまあ、「拡大解釈によって恣意的な使われ方をする法律を作りました」って認めていることになってしまうじゃないですか。 「運用面に期待」したら駄目なんですよ。そうではなくて、立法の府で「こういった範囲でしかやっちゃ駄目」っていう適切なしばりをかけることが、国会の役割なんですよね。
【南部】法案で「そういうふうにしか読めないように」っていう事ですね。
【荻上】そうです、そうです。 「しっかりと、解釈の範囲を規定する」という必要があるわけです。
で、それを確認するために、国会では、審議の中で、議事録を作っていくわけですね。 「この法律は、こういった形で書いてあるけれども、その解釈はこういう事ですよね、大臣」という言質を取る。法律は一人歩きしますから、それはのちほど、言質としての機能を持たない事もあるのですけれども。
【南部】でもとにかく、議事録に残るということが――
【荻上】――はい。趣旨を説明したりということは、そういった、一応の歯止めとして(の役割が)あったりするわけですね。 だけれども今回は、「かなり運用面で幅を持たせるような法律が出来上がった」ということになります。
【荻上】今回、(政府が「テロ等準備罪」として国会に提出した法案の事を私たちは)「共謀罪」というふうに言っていますけれども、まあ実際に、「計画をして、準備行為を行った段階で逮捕できる」わけですね。
(警察が逮捕にあたり)「準備行為だ」と言うためには、外形的な判断が可能になるような「材料」が必要です。その「材料」は一体なんなのか? ふたつありますね。
ひとつは、(逮捕する)前の段階から、情報収集をしていて、(犯行の)意図を証明する「材料」がなければならない。 そのためには、「(逮捕対象者が)準備行為を行う前から捜査をする」という事でしょう?
「準備行為を行う前の段階」ということは、「共謀している段階」「計画している段階」から証拠を集めないと、「それが準備行為だ」というふうに規定できないじゃないですか。論理としてはそうですよね。
【南部】そうです。
【荻上】「共謀」の段階から捜査をしないと、「いざ準備行為だ」というふうに認定できないので、「共謀・計画の段階から捜査の対象」である。 つまり、「何もしていない段階」「計画とか準備行為の段階」で、捜査の対象にならないといけない。 ということは、これは、「共謀罪」なんですよ。
逆に言えば、そうしないと事前に取り締まることは不可能なので、「ザル」ということになってし���う。 じゃあ、「ザルの法律」を作ったのか、それとも、ものすごく一般人を対象にする法律を作ったのか。 ……両方なんですけど。 まあ、そういった事になったわけです。それがひとつ。
もうひとつは「外形的な判断をする」ということ。状況的な、「こういった行動を取ったからには、そういう事だろう」っていうような判断を、警察の側に委ねる、と。
「外形的な判断は、あり得る」と法務大臣が言っていましたよね。例えば、「花見であれば、弁当やら何やら持っていくけれども、下見であれば双眼鏡と地図を持って」っていう事を、自信たっぷりに答えていました。
ということは、少なくとも大臣の意図としては、「そういった事を外形的判断というふうに呼ぶような法律にしましたよ」という事になるわけですよね。だって、そのあと、答弁の修正をしていないですから。
で、その意図のもとで法律を作ったという事は、その運用は認められるわけです。だから「法務大臣がお墨付きを与えた」ということになり得るわけですよね。「組織犯罪集団」と認定をして、あるいは(もともとは一般の集団であったがその後、組織的犯罪集団に)変豹した・一変したというふうに認めて、「そこにいる段階で既に一般人ではない」から「嫌疑の対象」になって、「捜査の対象」になって、「あっ、双眼鏡を持って歩いている。覚悟!」という事にして良い。
【南部】外形的なところからのね。
【荻上】それは、(単に)「外形的」なんだろうか。 それは、内面の話にも繋がってくるところで。
勝手に「こう思っているに違いない」と本心を類推されて、「じゃあなんで双眼鏡を持っていたんだ!」「下見じゃない事を説明しろ!」って言われても、「いやいや、双眼鏡くらい持ち歩いたりするでしょう?」とかって(事になるだろうという議論が)あったりするんですけれど。
そういった中でまあ、悪用された場合の事を想定した議論――「不当逮捕」の事とか、いろんな可能性――がなかなか詰められないまま、「捜査権限を持っている警察にこの法律がもう委ねられられる」ということになったわけですよね。
だからこれから、議論が、その状況のまま進んでいくわけですけれども。
【荻上】さてここからは、本番に繋がってくる前振りでもあるんですが。
法律というのは「通ったら、それで終わり」ではないんですよ。そこから先の「運用」もそうですけれども、いろんな事をしていく。 「改正」「廃案」、あるいは「追加の文言を加えていく」。あるいは、別の法律を作る事によって、「捜査機関はこれこれこういった事をしてはならない」とすることが出来たりもする。
なので、共謀罪について注目をした人たちは、これから先も継続的にいろんな議論に繋げていくことで、「権力の監視」であるとか、「日本の法体系の形を議論していく」ということが、必要になるわけですね。
そんな話を今日は、メインセッションでたっぷりとお届けします。
(この日のメインセッション」のテーマは、『「それでも共謀罪を問う 〜日本の司法制度から考えるその問題点」荻上チキ×周防正行×木谷明×浜井浩一』です)
(書き起こしここまで)
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひ番組公式サイトの音声でご確認ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】久保木太一氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 久保木太一氏(くぼきたいち/弁護士・城北法律事務所)によるスピーチ書き起こし
この動画での1:54:05頃から。
紹介いただきました、弁護士の、久保木です。
私は、各地で、憲法、法律についての、学習会の講師を務めています。 その中で、この様な質問をもらいました。
「安倍はどうして憲法を改正したり、共謀罪をつくったりして、戦前回帰を目指しているんですか?」
本当は、安倍に出てきて答えてもらいたいんですけれども、出てこないみたいなので、その時の私の回答を紹介します。
「1945年、日本は、終戦を迎えました。終戦によって、大日本帝国憲法、治安維持法、教育勅語、徴兵制、その他の国民の自由を抑圧していた法制度は廃止され、戦力の法規を定めた憲法9条のもと、日本にようやく平和が訪れました」 これが、私が習った日本の歴史であり、市民から見た日本の歴史です。
しかし、安倍は、日本の歴史を、僕がいま言ったようには見ていないんじゃないでしょうか? 何故なら、安倍は、おじいちゃんも総理大臣、お父さんも、あと一歩で総理大臣になれたはずの有力政治家、そして、安倍さん自身、彼も当然、総理大臣。 安倍は、市民の目で歴史を見た事が、今まで、ないんじゃないでしょうか? 権力者の視点、権力者の目でしか、歴史を見た事がない。そうなんじゃないでしょうか?
戦前と戦後を比べると、私たちは絶対、「戦後の方が良い」と答えると思います。なぜなら、戦後の方が自由があるからです。 しかし、権力者である安倍からすると、違うみたいです。
権力者の目から見ると、1945年の終戦は、終戦ではありません。敗戦です。 大日本帝国憲法、治安維持法、教育勅語、徴兵制といった制度が廃止されたせいで、権力は自由を失います。 気に入らない市民を排除する自由、市民を道具として用いる自由、こういった自由を失ってしまったのです。
彼は、戦前の方が、自分が自由なので、好きなのです。 好き勝手に戦力を使え、権力を暴走させる事が出来る戦前こそが理想であり、「美しい国」なんじゃないでしょうか?
だから、安倍さんは、日本国憲法によって抜かれてしまった、権力の牙を取り戻す、そういう作業に、やっきです。 その中の最たるものが、今回の共謀罪法なのだと思います。
「共謀罪は一般人に適用されない」。こんなあからさまな嘘、ありますか? だって、話し合っただけで、まだ犯罪をおかしていない人を捕まえる法律なんですよ? これは、犯罪者を捕まえる法律じゃないですよね。犯罪をまだおかしていない、一般人だけを捕まえる法律なんじゃないでしょうか。 政府は、「一般人」という言葉を、恣意的に、自分の好き勝手に使って、国民をだまそうとしてんじゃないでしょうか?
「TOC条約に入るためにこの共謀罪が必要なんだ」 これも、完全なる嘘でしょう? 
TOC条約に入るためには、共謀罪は、全く必要ありません。それにもかかわらず政府は、「TOC条約に入るためには共謀罪が必要だ病」にかかってるんだと思います。これは、単なる、仮病です。
こんな、子供の駄々みたいな仮病のために、私たち市民の自由が奪われる、こんな事を許して良いんでしょうか?
安倍さんは、「一億総活躍社会」というスローガンを掲げています。 しかし権力が、好きな時に、好きな人を、好きなように捕まえられる社会、これは、「一億総活躍社会」なのでしょうか? これだと、「一億層犯罪者社会」「一億層監視社会」ではないでしょうか?
……「一億層犯罪者社会」、これはちょっと言いすぎました。なぜなら今回の法案は、公務員や政治家を対象とした犯罪は、見事に、綺麗に除かれています。 ですから正確に言うと、「公務員・政治家を除く、一億層犯罪者社会」。これが、この法案によって、もたらされようとしています。
そうやって、皆、犯罪者にして、捕まえたい奴を捕まえる、反対の声を上げる人間をよりすぐって捕まえていく、こんな法律、めちゃくちゃだと思います。 強行採決じゃないと通らないようなめちゃくちゃな法律、それが今回の共謀罪。そうですよね?
果たして、社会っていうのは誰のためにあるんでしょうか?
安倍政権が嫌いな四字熟語があります。 それは「民主主義」です。
この事は、共謀罪の審議を見ていても、明らかです。 野党議員からの質問には一切正面から答えず、強弁で切り抜けます。そうやって時間稼ぎをして、衆議院では、時間が経つのを、ただただ待ちました。そして、参議院では、時間が経つのすら待たず、そのまま強行採決です。
「安倍政権は民主的な議論が嫌いなんだ」、そう言えるんじゃないでしょうか。 っていうか、民主的な議論が、出来ないんじゃないでしょうか。
安倍政権は、「政府の言う事のみが正しく、政府の外にいる民衆の言っている事は全て間違っている」。そういうふうに、考えているんだと思います。 政府に対する指摘は、全て「あたらない」。そして、政府が発表する文章だけが正しく、政府の外側から出てくる文章は���全て、「怪文章」。 そして、国民の多くが反対している法律を、右から左に、そのまま強行採決をするのです。
これじゃあ、国民の声が政治に入り込む余地なんて、全然ないじゃないですか。 無敵じゃないですか。
そんなの、絶対に間違っています。
傲慢な安倍政権にダメージを与えられるのは、安倍政権が大嫌いな民主主義。これしかないと思います。 そして、共謀罪という民主主義最大の危機を排除する。これも、民主主義、これしかないんだと思います。
届かなくても、届かなくても、声を上げ続けなければならないと思います。諦めてはいけません。もちろん、おそれてもいけません。
民主主義の力によって、共謀罪を、使わせない。 絶対に、廃止に追い込みましょう。 そして、安倍のさらなる暴走を、絶対に止めましょう。
みんな、声上げていきましょう。
(書き起こしここまで)
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】谷虹陽氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 谷虹陽氏(たにこうよう/未来のための公共)によるスピーチ書き起こし
この動画での1:33:05頃から。
こんばんは。 皆さん、連日の抗議、おつかれさまです。 未来のための公共、谷虹陽です。 都内の大学に通う2年生です。
国会前抗議に始めて参加したのはこの前の3月が初めてで、先月からは、毎週ここに来てます。
なぜ自分がここに来るのか。安倍政権のやっていることを目の当たりにして、本当に、心の底から「声を上げなければならない」と感じて、ここに来ています。
安倍政権は、本当に、異常です。 戦後、日本史上、最悪の政権だと思っています。
共謀罪法案の内容や、審議のあり方は、安倍政見の本質を、すごい表していると思います。
まずは、誠実なやり方で審議をやって欲しいと思っています。中間報告って何ですか? 何してるんですか。 法務委員会すっ飛ばして採決に踏み切ろうとするって事は、審議するって事を軽視するって事ですよね。議会を何だと思っているんですか?
議論して同意を求めるというのが、民主主義の根幹です。議論さえしようとせず対話を拒否するのは、独裁者のやることです。 「民主主義が不完全だとしても、権力者への絶対服従を強制し、反対者への過酷な弾圧を行うファシズム的な独裁よりは全然良い」。それが、民主主義です。
安倍政権を見ていると、何のために、歴史とか、自由とか、平等とかの理念を学んできたのか、分かんなくなってきます。 奴らは、そうしたものを、真っ向から、否定してきます。
歴史を学べば分かるんですけれど、ナチスのゲシュタポとか、大日本帝国下の治安維持法とか、そういうのは歴史を学んで知っているんですけれど、そうした国家が国民に過酷な弾圧をしたことを知っているから、共謀罪に反対なんです。 自由に話せず、互いを監視し合い、密告を行う社会――日本をそんな社会には、絶対戻したくないです。
金田法相に関しては、「治安維持法も適法だった」って国会で答弁していて、もう、平成の日本でそんな事言う大臣が、法に関わる大臣をやっているっていう事が、本当に信じられないです。 そんな無知な奴は、いますぐ辞めてください。
それから、虚偽答弁は、本当に、腹が立ちます。 公僕である公務員が、国民に対して嘘をつく――それは、国民に対する侮辱を意味します。国民の知性を舐めきっているという事なんです。
あの、テロ対策とかって言っていますけど、いい加減、嘘はやめて欲しい。 「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)加盟のために共謀罪が必要」って答弁していたんですけれど、各国が立法作業の指針とする国連のガイドを執筆したニコス・パッサス氏(刑事司法学者)は現に、「TOC条約はテロ防止を目的としたものではない」と、明言しています。
どうして議会をないがしろにしてまで成立させたいのか? どうして嘘をついてまで成立させたいのか? 安倍政権は、民主主義を深く傷つけ、議会の存在意義を広くおとしめています。
国民は、安倍政権が、国民の人権を強く制限しようとしている事を知っています。 国民をだまそうとしている事を知っています。 どれほど国民を舐めているのかを、知っています。 そして、安倍政権の支持率は支持率は、どんどん下がってきています。
永遠の権力なんていうものは、存在しません。民意を失えば、安倍政権は、崩壊します。 今日、共謀罪法案は成立してしまいましたが、国民は、まだまだ諦めていません。
安倍政権の圧政には、屈しません。 僕は主権者として、日本の民主主義を守るために、共謀罪法案に、そして、安倍政権に反対し続けて行きます。
ありがとうございました。
(書き起こしここまで)
未来のための公共 谷虹陽くん 「議論して同意を求めるというのは民主主義の根幹。議論さえしようとせず対話を拒否するのは独裁者のやること」 「虚偽答弁は本当に腹が立つ。公僕である公務員が国民に嘘をつく、それは国民に対する侮辱を意味する。国民の知性を舐めきっている」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/SmGeripMP3
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】平間氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 平間氏(高校生)によるスピーチ書き起こし
この動画での1:11:40頃から。
皆さん、連日の抗議行動、おつかれさまです。
すごく夜遅くまで僕もここに来ていて。皆さんも疲れているかも知れないんですけれど、引き続き、声を上げて行きましょう。
今日の朝、通学中に「共謀罪が成立した」っていうニュースが、スマホを見ていたら流れてきて、「もの凄く暗い社会になるんじゃないか?」とか、「こういった活動を、出来るか出来ないかよく分かんなくなるんじゃないかな?」って思っていたんですけれど、決して、沈黙することも、萎縮することもないんですよね。
昨日、広渡先生(広渡清吾氏/法学者・東京大学名誉教授授)が、「私が尊敬する政治学者が、民主主義は永久革命なんだ、そして、民主主義の完成形なんていうものはないんだと言っていた」という話をしていたと思うんですけれど、そういう先人たちの言葉が、精神が、いま僕らの中にも息づいているんです。
過去には、人種差別やアパルトヘイト政策に対して、時には長期に渡って投獄されながらも、それでも自分たちの社会のために声を上げる人がいましたし、僕らも、特定秘密保護法や、安保関連法が強行採決されて、民主主義・立憲主義がないがしろにされても、それでも、諦めずに声を上げてきました。
それと同じ事を、ずっとずっと続けて行くだけです。
官邸なんかに負けるわけないですよ!
(引き続き、シュプレヒコールへ)
(書き起こしここまで)
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】辻田航氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 辻田航氏(つじたわたる/弁護士・北千住法律事務所)によるスピーチ書き起こし
この動画での1:07:00頃から。
皆さん、こんばんは。 弁護士の辻田と申します。 北千住法律事務所というところで、今年の一月から、弁護士をしております。
私が弁護士になるまでの道のりは、安倍政権と共にありました。最悪です。
大学4年生の私が、ロースクールに合格した直後、第二次安倍政権は誕生しました。暗黒時代の始まりです。
ロースクールに入学した2013年12月には、特定秘密保護法が強行採決されました。
そして色々あって、司法試験の合格発表直後、2015年の9月には、安保法制も強行採決されました。
そして、まさに今日の朝、共謀罪がまたまた、強行採決されました。
しかも今回は、中間報告という「禁じ手」を使って、委員会の採決をすっ飛ばすという、究極の強行採決です。 安倍総理、強行採決ばっかりじゃないですか。
特定秘密保護法も、安保法制も、そして共謀罪も皆、政府にとっては、安倍政権にとっては重要法案、そういう位置づけだったはずです。 重要なら、会期をまたいででも、十分に政府が説明して、十分に議論をするべきでした。
それなのに、法案を提出させたその会期で、みーんな無理矢理通してしまった。 国会っていうのは、議論をする場です。政府に言われるまま採決する場ではありません。
安倍総理は、国会での答弁もたいへん不誠実だと思います。
私、この、共謀罪に反対する運動の中で、国会の議事録をけっこう読みました。読めばすぐ分かりますが、安倍総理の答弁は、非常に、読みにくいです。
まず、質問に答えない。 関係ない話をまずたくさんしてから、ほんのちょっとだけ質問に答えます。次に、同じ答えを、すごいたくさん繰り返します。 答えが不十分だから何回も訊き直されているのに、それでも繰り返します。 反省しません。
そして最後。 無駄な言葉が、とっても多い。 「そもそも」「ですから」「まさに」「つまり」「なわけであります」「もうしあげているところであります」。「でんでん」――(これは)ちょっと違います。
要らない言葉を付け倒して、時間稼ぎをしているようにしか思えません。安倍さんには、まともに答弁するやる気も、能力もあるとは思えません。
安倍総理は、どうも議会のルールが守れないようです。
また最近は、一回出た逮捕状をもみ消したとか、お友達に学校をつくってあげたとか、そういう話もたくさん出て来ています。
そしてご承知の通り、安倍総理は、日本国憲法という、総理大臣が一番守らなきゃいけないルールも、大嫌いです。
安倍総理って、ルールに縛られない人なんです。 要するに、「無法者」です。
無法者が今朝作った法律が、共謀罪です。
私も何回も条文を読みましたが、全然意味が分かりません。何が犯罪になるのか、とっても不明確です。ふわふわしています。
「何が犯罪になるのか不明確だ」ということは、「何をしてはいけないかが分からない」ということです。 そうすると、人は、慎重に、必要以上に慎重に行動するようになります。萎縮してしまいます。
安倍総理は、共謀罪を使って、人々、特に自分に抗議の声を上げている今日ここにお越しの皆さんのような人々を、萎縮させようとしています。 今朝の強行裁決のような数の力を見せつけて、私たちを諦めさせようとしています。
しかし、私たちは諦めません。萎縮もしません。 諦めて萎縮すれば、安倍の思うつぼです。
特別報告者の(ジョセフ・)ケナタッチさんも、この前のスカイプで言っていました。 「共謀罪が成立しても終わりの始まりなんかじゃない。まだ始まったばかりだ」「政府が間違ったとしても、政府が間違いを認めれば良い。間違いを認めないとしても、改めさせれば良い」。
法律が成立しても、例えば昔できた破壊活動防止法(破防法)のように、使わせないことだって出来ます。 法改正で、廃止する事も出来ます。 ここに来ている皆さんは、まだ諦めていないはずです。 これからも萎縮しないはずです。
諦めるべきは、私たちで無く、安倍総理、あなたです。
安倍総理を諦めさせるために、これからも頑張りましょう。
ありがとうございました。
(書き起こしここまで)
北千住法律事務所 辻田航さん 「2013年、特定秘密保護法案強行採決。2015年、安保関連法強行採決。そして今日、共謀罪法案強行採決。しかも中間報告、委員会をすっ飛ばす究極の強行採決」 「安倍総理はルールを守れない。憲法という一番のルールすら守れない」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/DeqZ6NVBxO
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】松本ヒロ氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 松本ヒロ氏(コメディアン)によるスピーチ書き起こし
youtube
こんばんは。コメディアンの松本ヒロです。 うちのかみさんと来ました。
かみさんが、共謀罪が通って「家にいたら何かおかしくなる」って言うんで、ここにやって来ました。 ここに来たら、「同じような人たちが居るんだなあ」と思ってね。急にまた、元気になりました。 うちのかみさんは、本当に、「頭にきた」って言ってですね、「もう私日本人やめる」って言って。 そのまま美容院に行って、帰ってきたら、髪が金髪になっていました。 今、来ていますから、良かったら、あとで見ていってやってください。
でもね本当に、おかしいんですから。こんな法律なんか変えれば良いと、私は思っています。
今(ステージでスピーチを)お話しした政治家。政治家でもちゃんとした政治家もいるんだなということを、今知りました。ほかの人たちは何ですか!?
だいたい安倍総理――おかしいですよ。あの総理にくっついている、政治家も……。 みんな、「ソンタクソンタク」じゃないですか。皆「忖度(そんたく)」ですよ。
私はびっくりしたのがですね。 忖度という漢字を、安倍総理が良く読めた!
あの難しい漢字を良く読めたなあ。という事は、やっぱり忖度だけは、きっと、皆にやってもらって、知ってたんですよ。 だってあの人「訂正デンデン」って言ったんですよね。国会で堂々と言ったんですよね。 普通はあれ、「云々(うんぬん)」なんですよ。にんべん付いたら「伝々(でんでん)」です。にんべんが無かったら「云々」なんですよ。それをあの人は、国会で堂々と、「訂正デンデン」! 
あの人は、「デンデンムチムチ」なんです。
「お前の頭はどこにある」。
だいたい、予算委員会とかああいうの観たらどうですか? あそこに並んでいる人たちは「無知無知ムチムチ」ばっかりじゃないですか。
麻生太郎もそうですよ。 真似は簡単です。唇を上げれば良いんです。 (口まねで)「日本の経済はどうか知りませんが。私の唇だけは昔から、ずーっと、右肩上がりです」
ふっふっふ。笑ってる場合でしょうか。
皆、そうじゃないですか?
金田法務大臣。あの人、おかしいですよね。 議長に言われたんですよね。「金田法務大臣。あなたね、質問の意味が分からなかったら答えなくて良いです�� こんな人が法務大臣やっているんですよ。
「金田大臣に訊いたんですよ。”あなたはどうして法務大臣になったんですか?”」 「金だ」
あんなふうに並んでいて、稲田っていう、あの人もおかしいでしょう? 聞いたら、弁護士らしいですね、ええ。
ふつう弁護士って言ったら、人の弁護をするんですよ。 あの人は、自己弁護で、精一杯でしょう? 自己防衛で精一杯でしょう?
「そんな人がなんで国の防衛を考えるんだ?」って、私は言いたいですよ。
(会場の人たちを見て)ほら、やっぱり、同じ考えなんだ。
私はね、思ったんですよ。 共謀罪、これをつくったのは別に、神様じゃ無いんです。人間がつくったんですよ。 人間が作ったものは、また人間が変えれば良いんですよ。
皆さん。変えましょう!
良かったら、私のライブも、見に来てくださーい。
松本ヒロでした!
(書き起こしここまで)
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】初鹿明博氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
初鹿明博氏(はつしかあきひろ/衆議院議員・民進党)によるスピーチ書き起こし
youtube
皆さん、こんばんは。 民進党の衆議院議員の、初鹿明博です。
怒りと、そして、止められなかった申し訳なさと、民主主義を破壊されたかなしさで、本当に心が震えそうです。
6月15日、皆さん、絶対にこの日を忘れないようにしましょう。 戦後70年、我々の先人たちが作り、そして守ってきた民主主義が、安倍晋三というひとりの政治家によって奪われました。 こんな暴挙は、許すことが出来ません。
安倍総理は、答弁で「私は立法府の長」と言いました。皆「何を馬鹿な事を言っているんだ」「行政府の長だろう」と思ったと思います。 でもついに、立法府の長にもなってしまった。 今や、立法府の国会は、行政の下請け機関に成り下がってしまった。 情けなくて、本当に悔���いです。
与党の国会議員は、自分たちが国民であるという自負を持っていないのか? 国民の代表であるなら、たとえ与党であっても、間違ったことを政府がやろうとしている時には、体を張って止めるのが、国会議員の役割じゃないのか? 私は、与党の議員に「恥を知れ」と言いたい。
今のこの、安倍一強体制の中で、民主主義が壊され、独裁政治が行われている。 そう思いませんか、皆さん。
なんで委員会の採決を飛ばして、本会議で、異例のやり方で共謀罪を通したんですか? 答えはひとつですよ。 加計問題・森友問題、蓋をするためじゃないでしょうか?
今日、加計学園の問題で、文科省の調査の結果が出ました。 文章は、あったじゃないですか。文書があったんです。 今まで何て言っていましたか? 総理は、「関係していたら辞める」と言っていましたよね。 私は、「その言葉を忘れた」とは言わせません。
今回のこの一件で、皆さん、本当に「この国は危ない」と思いませんか? 官僚が「これはおかしい」と思って、情報を出した。公益通報ですよ、これは。 それを、「守秘義務違反で罰する」。恫喝じゃないですか。
勇気を振り絞って証言をした前川事務次官のプライベートなことを、何で官邸が知っているんですか? 監視をしていたんじゃないですか?
こんな政権に、共謀罪という武器を渡して、この国はどうなるんですか?
民主主義の基本は、自由と、権利を守ることです。 フランス革命以来、我々は、自由と権利を守るその努力を続けて民主国家を育ててきたのではないでしょうか。 それを、たったひとりの安倍晋三という政治家によって壊されて、本当に良いんですか、皆さん。
本当に今、これからが、戦いの正念場です。 法案は通ってしまいました。しかし、諦めたら、負けであります。 これからが本当の戦いです。 安倍総理は「憲法改正する」と言い出しました。今度は我々が、安倍総理の改正を、必ず止めていかねばならないと思います。
皆さん、憲法12条になんて書いてありますか? 憲法で保障されている自由と権利、これは我々の不断の努力で保持し続けなければならないんです。
「やってやろう!」じゃあないでしょうか! 皆さん、これから、自由と権利を守る戦いを、始めましょう。 このまま、独裁政治を続けさせないために、野党も頑張ります。 どうか市民の皆さんも、我々野党と連携して、安倍政権を打倒するまで、頑張りましょう。
どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
(書き起こしここまで)
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】山添拓氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 山添拓氏によるスピーチ書き起こし
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 山添拓氏(やまぞえたく/参議院議員・日本共産党)によるスピーチ書き起こし
youtube
皆さん、こんばんは。日本共産党参議院議員の山添拓です。
はじめに。 今日午前、与党自民党・公明党が主導し、憲法違反を、異例で異常な本会議での強行採決を行った、この事に対して、あらためて皆さんと共に、断固、抗議の意志を示したい。 許しがたいことではありませんか。
皆さん、昨夜から、本当におつかれさまです。 眠たい方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。私は、眠たいです。 ほとんど寝られませんでした。
しかし皆さんが、国会に向けて、熱い声援を送ってくださっている。その声が、私は、涙が出るほど心強く、背中を押していただくような気持ちがしていました。あらためて感謝を申し上げます。本当に、ありがとうございます。
皆さん、共謀罪法の問われていることは何なのか? それは、「自由と権利に対する重大な制約を犯す刑罰法規である」という事です。
先ほど水島先生もおっしゃっていましたが、刑罰法規でもっとも大事な事は、何をすればどのような罪になるのか? それが明確で無ければならない。「明確性の原則」です。 ところがこの法律は、審議をすればするほど、どんどんあやふやになる。
参議院に移ってからの短い審議時間の中でも、たとえば、「組織的犯罪集団とは何なのか?」(という事について)「周辺者も含まれる」という事を言い出した。環境保護団体や人権団体も、「隠れ蓑であるなら(この法律が定める組織的犯罪集団に)あたる」と言い出した。
法律のどこにも書いていない言葉が、次々飛び出して、どんどんあやふやになっていきました。金田大臣に説明を求めても、皆さん、さっぱり分かんないじゃありませんか。
政府は、「組織的犯罪集団・計画・実行準備行為のみっつもあるから(犯罪対象が)限定されるんだ」と、ずーっと言っていまして。今日も言っていましたが。 (しかし)みっつがみっつともあいまい不明確であれば、なんの限定にもならないじゃありませんか。 この法律が出来れば、あらゆる人が対象になっていきかねない。何が罪になるのか? 誰が対象になるのかが分からない。
「こんな法案は、絶対に通してはならないものである」 「刑罰法規としての最低限備える要件すら満たしていないものだ」 ですから皆さん、こんな法律は、ただちに廃止するしかないではありませんか?
共謀罪の法案を何故そんなに急いで、委員会を飛び越して、本会議の採決なのか?
それは皆さんもお分かりの通り、森友学園・加計学園という、安倍政権の進退に関わるような疑惑に蓋をして、解明に背を向け(るものです)。 しかし、「共謀罪法案だけは何がなんでも通そう」という、その姿勢の表れにほかなりません。
それ自体が、国民のためでも何でもない。 政治を私物化し、国民を監視し、社会を変えていこうという安倍政権の姿勢を、端的に物語っているんではないでしょうか?
皆さん、廃止しなければならない法律が、けっこう沢山あります。 秘密保護法も、安保法制戦争法も、そしてこの共謀罪法も、これから、安倍政権に代わる政治をつくって、廃止していこうではありませんか。
やっぱりこれ、安倍政権には、到底出来ません。 自民党・公明党じゃあ、いつまで待ってもやれない。
私が議場にいて、あらためて感じたんですが、自民党・公明党の皆さん、なぜ今回、本会議での中間報告という形での審議打ち切りなのか、その理由すら、説明しないんですね。
動議を出したのに、動議に賛成の討論はひとつもありませんでした。 あの人たちがやっていることと言えば、「審議時間を10分とか15分とかに制限するための投票をやれ」という。あるいはまた、その審議時間の制約の動議が通ったときに拍手をする。野党議員に対して野次を飛ばす。これくらいしか出来ない。 「国民に対して、まともに語る言葉を持っていない人たちだ」と言わなければなりません。
「政治を私物化する」「事実と道理に向き合わない」 こんな政治は、皆さん、もううんざりではありませんか?
皆さん是非、これからもっともっと努力をして、私たち市民と野党の共同の力で、安倍政権に代わる政治を、できるだけ早く、できるだけ確実に、つくっていこうではありませんか。
私は、引き続き、皆さんとご一緒に、戦い抜く決意です。 時々、皆さん、立ち止まったり、色々考えたり、休んだりすることもあるでしょう。
しかし、安倍政権がここまでやって来ている。 次は憲法9条まで変えて、本格的に、戦争をする国をつくろうとしている。
皆さんその時に是非、私たちは私たちなりに、したたかに結びつきをつくって、仲間をつくって、確実に政治を変えていく。 私たちの未来は、私たちが選び取っていこうじゃありませんか。
これから、都議選、総選挙、様々にチャンスがあります。 どうか皆さん、そのチャンスを、皆で活かして、形にして、新しい政治の時代をつくって参りましょう。
がんばりましょう。
ありがとうございます。
(書き起こしここまで)
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】水島朝穂氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動 水島朝穂氏(みずしまあさほ/法学者・早稲田大学教授)によるスピーチ書き起こし
youtube
皆さん、こんばんは。早稲田大学の水島でございます。
安保法案の時にも話をしていますけれども、私、数日前に今日ここで久々に話すという事を依頼されまして、当然「委員会で強行採決がされるだろう」と思って受けました。 やっぱり、「そういう時に、はっきり言わなきゃ」と思って来ました。
ところが、国会法56条の3という「禁じ手」を彼らは使って、なんと本会議に吸収しました。 これは絶対にね、この制度の乱用です。
何故かというと。 私のホームページをあけていただいて、サイト内検索の窓に「中間報告」と入れてください(https://goo.gl/Ar1qfV)。そうすると、過去の、2007年の7月、2009年の7月の、中間報告をやった事例を、私はその時怒りを込めて書いたものが出てきます。(しかし)今回はその時とも全然違うんです。
(国会法56条の3に基づく中間報告制度は)「野党の委員長が(委員会での)審議を引き延ばすから、(その場合には委員会で審議中の案件を)本会議に吸い上げて、そこで可決しちゃおう」と、そのために作った条文なんです。それを、(今回は)与党の委員長で、いくらでも採決が伸縮自在なのに、本会議に吸い上げた。
明らかにこれは、あの委員長(秋野公造氏・公明党)が、自民党の委員長じゃないから、(強行採決時に)わあーっと人間カマクラをされてテレビに出るのを防ぐために、国会法56条の3を使って中間報告をしたとしか思えない。
日本は「委員会で決めて本会議に」という、委員会中心主義の国会なんです。それを本会議に吸収するには、法律に「特に」という言葉がふたつ書いてあって。「特に必要な場合」「特に緊急な場合」。このふたつです。
(今回は)何が緊急だったのか? 文部省の14の文章が出てきたからじゃないんですか? つまり、そのくらい論理が無い政権が、後ろにいる。
私はこの法案の問題点をふたつ指摘したい。 もう、法案じゃない。来年の六法には、残念ながら載っちゃうのかも知れない。 しかし皆さん、まだ負けていませんよ。勝っていないけど、負けていない。 なぜならば、この法案の本質について、あそこら辺とあそこら辺にいる(霞ヶ関のビル群を指さす)権力機構の人たちが危機感を持っているんです。
実は私、今日、資料を持ってきました。 これは、特攻警察官のポケットに入っていた、本物の、昭和8年版の、いわゆる、マニュアルです。 ここに、各政党の雑誌のタイトル、演劇人なら何々って、全部書いてあるんです。なぜだと思いますか? どんな団体、演劇のなんとかの会、農民の会、映画の会と色んなのが書いてあるのは、警察官にはそういう専門家がいないわけです。当たり前ですよね。
ところがその警察官が、予備も行われていない、未遂ですらない、ただ共謀をしただけで捕まえなきゃいけないとなると、逮捕のうんと手前の、「何を考えているんだろう?」という事を調べないといけないんです。 そうすると、こういうマニュアルを使って、一生懸命勉強して「この雑誌は怪しいぞ」「この雑誌を持っているやつをしょっぴこう」と、そうやって、逮捕する前のところをやろうとする。 相手の心の中、頭の中を調べるために、こういうマニュアルを、昭和8年に作ったんですよ。
警察官は立派な仕事をやってるはずなんです。それぞれの職務があって一生懸命やっています。 警察官は、実際の着手をしている現行犯、あるいは殺人予備、そういうのを捕まえることにはは慣れていて、プロフェッショナルです。 でも、(そうやって勉強したところで)頭の中を調べることは出来ないんです。
で、「お、こいつはマルクスだろう」と思ってしょっ引いたら、マルサスの人口論だった。本当にそういう事が起こる。でも、それは新聞に出ないで、冤罪事件ともならない。 これが怖い世界なんですね。これが、治安維持法の世界なんですよ。 だから、わたくし、今日指摘したい。
2006年に共謀罪が廃案になったときに、大阪高等検察庁の検事長という、検察ナンバースリーの東條さんという方(東條伸一郎氏/弁護士・元大阪高検検事長)が「私は共謀罪に反対である」と(日本刑法学会で反対意見を述べたといういう記事が掲載されました)。 (その事について)私のホームページ(2006年6月26日付「共謀審議に見る国会の末期」)を覗けば出てきます。
その中で、この方はこう言ったんですよ。 「共謀罪がもし出来ると、従来の捜査とは違ったやり方をしなきゃいけない。なぜなら、共謀罪は、結果がないところで捜査を行う事になる」 「捜査が、端緒の掴みかたを含めて、捜査手法が非常に難しい」 「内心に踏み込むために、供述変調になるなどの弊害が出てくる」 「戦前の特別高等警察(特高)のような、特別の捜査機関をつくらないと、警察官は捜査ができない」 こう言って、警察官に同情しているわけです。
つまり、警官は頭の中を調べられないんですよ。このマニュアルを見れば明らかでしょう? だから、警察も、特別の訓練を受けた思想警察が必要になる。277の罪に関連して、色々な形で共謀を処理しようとすると、まさにそういうふうに、警察が変わり始める。
そうすると、そこの総合庁舎2号館にいる警察庁の人たちも「それはやり過ぎじゃないか?」っていう人が、必ずいるんです。 「やっぱり心の中には踏み込んじゃいけない」 「我々はテロリストを捕まえたい」 「テロリストを捕まえるんだったら、国民全体の心の中を覗いたらやり過ぎじゃないか?」 この共謀罪という法律をもしも実施しようとすると、警察も変わらなきゃいけない。皆、嫌々変わる。
それをやるんだったら、野党が対案を出そうとしている航空保安法案のように、成田空港や関空の手荷物チェックを、もっと国が積極的にやれば良い。そうすればテロリストは入れない。 なんでそれをやらない連中が、人々の心の中のことにこんなに全力を挙げるんですか。
これは、本気でテロ対策を考えていないんですよ。 それが、一点目。
二点目はですね、皆さんね、憲法19条の「内心の自由」はもちろん、でももっともっと、憲法を体系的に侵害しているという事を指摘したい。
例えば(参加者のプラカードを指さして)「Lineも見える共謀罪」ってあるけど、これは国会でも認めましたよね。つまり(共謀材では)国民の側が、「皆が反対運動をやろうね」ってやっているだけで、共謀行為が処罰されるわけです。 皆さん、「実行準備行為」って、あれ、デモですから。オバート行為(overt act)というのは、あれは明らかに、共謀そのものを独立して除伐するところに、今回の法律の本質があるんです。 なんら形を伴いません。共謀だけで処罰するんです。
だからこれは、110年前に出来た「既遂」「未遂」「予備」といったような、いわば行為と密着して処罰するというやり方とは明らかに違う処罰の仕組みに、日本の刑事法が大きく変わろうとしているんです。
だから、今回の法律は小さく見えますが、違います。 この110年間の、日本の刑事処罰の世界が大きく変わります。 これは、憲法31条から大問題だという事を指摘したいんです。
憲法31条というのは、罪刑法定主義(ざいけいほうていしゅぎ)というのを保障しています。法律無ければ刑罰なし。 その実質的な保障の意味は、ふたつあります。
ひとつは、皆(本来)自由ですから、それを刑罰で禁止するのは、明らかに限定するべきである。これを謙抑性(けんよくせい)といって、刑罰は抑制しなきゃいけない。 なのに今回、大らかに600だ277だなんて、増やすばっかり。これは憲法31条の精神から、明らかに反しています。
もうひとつ、刑事処罰というのは、誰が何をやれば処罰されるかが明確でなければいけない。 だから、明確性の原則として、憲法31条は、刑事法規は、明確に「これはダメですよ」と、誰でも分かるようにならなきゃいけない。
ところが今回、法務大臣も分かんない。花見と月見と雪見と下見が、区別ついていないでしょう? つまり、専門家も区別がつかないんだったら、国民は(何か犯罪であるかの区別が)つかない。 という事はこれ、憲法31条違反なんですよ、皆さん。
そして、最後になりました。
皆さん、「通っちゃった。もう駄目だ」と思ったらいけません。 我々は、勝ってはいないが、まだ負けていないんです。
2013年の参議院選挙で安倍さんが「ねじれ解消」として勝ったために、ねじれ解消で、参議院も(衆議院と)同じになっちゃったでしょう? あれもし、参議院が多数を野党が占めていたら、こんな事出来ないんですよ。 だから、ねじれを、あらゆるところにつくる。地方と中央にねじれをつくる。
地方選挙で安倍さんに反対する候補者が勝つ。 これもねじれの作り方。
もうひとつは、霞が関の官僚と官邸の間にねじれをつくる。 文部省の33歳の課長補佐が危ない。彼女を捕まえさせないために、国民が文部省と手を結んで、心ある官僚と一緒に戦う。そうすれば官邸のしゃにむな脅かしと恫喝は、官僚機構が、まさに、面従腹背していきます。 警察官だって皆、国民を捕まえたいとは思っていない。心の中に踏み込みたいと思っていない。悪いやつを捕まえたいと思っている警官と連帯して、私たちは官邸とそういう公務員との間にねじれをつくる。
そして最後のねじれは、メディアと政治権力のねじれをつくる。 今(ここに)メディアの人がいっぱいいます。メディアの人は、一生懸命、これを一面で書きたいの。だけど数が少ないと、デスクが(記事の優先順位を)後ろにやっちゃうから、なかなか。 だからいっぱい集まって、沢山動きを起こす。総合的な若者の動きを起こすと、新聞もテレビも報道し始めます。安保法案の時がそうだったでしょう?
だから私たちは諦めないで、この国を前へと進めるためには、あそこにある官邸と、あらゆるところのねじれをつくって、ねじれ解消をやってしまった2013年参議院選まで、戻る。 そうすれば俺たちは、あそこまで取り戻せる。
そうすれば必ず、彼はもうもちません。 あれだけ陰湿な政治をやる政権が、もったためしはない。 皆さん、頑張りましょう。
(書き起こしここまで)
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
【スピーチ書き起こし】漫画家氏@2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動より
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動より (お名前不明)マンガ家の方のスピーチ書き起こし
この動画での1:38:40頃から約3分。
 私は、大学で美術を学びまして、そのあと、漫画を描く仕事をしています。戦後の憲法に基づいた、表現の自由によってつくられてきた作品すべてを、私は愛しています。だけどそれが今、奪われようとしている。
 それの何が許せないって、「何でこんなに程度の低い政権に奪われなければいけなんですか?」って事です。
(この政権の)何が酷いって、まず、して欲しい言い訳をしないんですよね。『土人』っていう風に言ったとして、それを訂正して欲しいんですよ。何かわかんない事があったら、それを、正して欲しい。でもそれをしない。説明をしない。言い訳をしない。しなくても良いって思っている。それが許せないんです。
 そして、本当に根本的な事なんですけれど、何をしゃべっているかわかんないですよね。安倍さんの答弁を聞いて、日本語として理解できる人って、どれくらい居るんですか? 安倍政権の支持率が50パーセントとかいいますけれど、私の体感として、日本人の50パーセントが、あんなに話が通じない人とは思えないです。あの答弁をそのまままるごと1週間テレビ・メディアでずっと流し続けたら、支持率下がるんじゃないですか? あの答弁をしていて、なんで50パーセントもあるんですか?
 安倍さんはそんなに頭が良くないので、別に、安倍さんは良いです。こんな、程度の低い政権をずっと50パーセントも支持させておいて、次にもっとひどい政権が来たとしたら、秘密保護法があって、共謀罪があって、もっと邪悪な言い訳をするような政権が来た時に、どうするんですか?
(つまり、メディアは答弁の様子を伝える事を)「今やってください」っていう事ですよ。
(もし)私が「邪悪な政権を握ったもうちょっと邪悪な人間」として共謀罪を運用するなら、目立って活動している人もそうですけれど、まず、声を上げている人の中からランダムに逮捕します。ちょっとした事を言った人を、何の理由も無しに、よく分からないまま、逮捕します。なぜなら、そうする事によって、ここに一万人集まっていた人が、5000人になって、1000人になって、500人になって、というふうになる。そうすると、逮捕する必要もなくなるからです。まず、減らす事を目的とすると思います。
 だから。皆さんは、ここに集まってください。集まっているうちは、たぶん大丈夫です。
 私は、作品を自分でつくるこの自由を、どうしても奪われたくないです。「今は奪われないかも知れないけど、これからは?」とか、そういう事すら思いたくないです。
 なので、よろしくお願いします。これからも、よろしくお願いします。
(書き起こしここまで)
心は国会前にいます。いま、 高校生と若い漫画家の女の子のスピーチがとてもよかった。
— のり (@poogasuki)
2017年6月15日
※抗議行動全体の書き起こしはこちら
※可読性を優先して、書き起こし時に、もとのご発言を尊重しながらも、繰り返し表現や語順等を積極的に整えています。実際のご発言は、ぜひリンク先等の動画をご覧ください
0 notes
singsprechchor · 7 years
Text
2017年6月15日 未来のための公共 緊急国会前抗議行動より書き起こし
共謀罪法案は成立しました。だからといって終わりなんかじゃない。戦いはここからです。酷い政治は絶対に私たちの世代で終わりにしましょう。自由と民主主義はいつだって私たち一人一人の手で築いていくということです。声を上げ続けましょう。未来を諦めないために。今日夜は、国会前へ。 pic.twitter.com/tneQS6HCJq
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
NEWS23 共謀罪:荻上チキ氏「どう考えてもテロ対策の法律ではない。何のためにこの法律が必要なのか政府は説明できていない」 pic.twitter.com/44GivhIvvE
— Koji (@kwave526)
2017年6月15日
大勢の方が国会前に押し寄せています!#国会前緊急大抗議 #国会に押し寄せよう #共謀罪 pic.twitter.com/fvn1H2uDHX
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
youtube
(司会1)始めさせていただきます。 残っていただける人は、まだ引き続き残ってください。お願いします。
共謀罪、こんな事になってしまったんですけれど、私たちの未来に、共謀罪は絶対要らないです。私たちの未来に、ファシストは、絶対に要らないです。まず皆さん、今日も、権力に屈しないステージをみせていきましょう。
お願いします。コールいきます。
始まりました!! 「共謀罪廃止」 「国民なめんな」 「勝手に決めんな」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/8RonKZytoa
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
(シュプレヒコール)
安倍は辞めろ 共、謀、罪、廃止! 平成の治安維持法廃止 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 共、謀、罪、廃止! I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めるな!)、国民(舐めるな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) 共、謀、罪、廃止! ものが言えない社会をつくるな いいね!が押せる社会を壊すな 共、謀、罪、廃止! I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めるな!)、国民(舐めるな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) 奴らを通すな ファシスト通すな ¡No pasarán! 国民舐めるな say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めるな!)、国民(舐めるな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 安倍は辞めろ 金田、辞めろ 奴らを通すな ¡No pasarán! 盗聴、密告、監視の法案、廃止(廃止!)、廃止(廃止!) 平成の治安維持法廃止 いいね!が押せる社会を壊すな 安倍は辞めろ I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 奴らを通すな ファシスト通すな ¡No pasarán! 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めるな!)、国民(舐めるな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 安倍は辞めろ!
(スピーチ)
水島朝穂氏(みずしまあさほ/法学者・早稲田大学教授)によるスピーチ
「憲法に定められた罪刑法定主義に反する。憲法31条違反。」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/2pUx95sLsd
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
(シュプレヒコール)
安倍は辞めろ 共謀罪はいますぐ廃止 平成の治安維持法廃止 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 安倍は辞めろ 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 平成の治安維持法廃止 告げ口勧める法律要らない 安、倍、は、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 共、謀、罪、廃止! 平成の治安維持法廃止 告げ口勧める法律要らない 全体主義の日本は要らない 共謀罪はいますぐ廃止 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 安倍は辞めろ 国民舐めんな 言う事聞かせる番だ、国民が
(記録動画未確認のため中略)
(スピーチ)
山添拓氏(やまぞえたく/参議院議員・日本共産党)によるスピーチ
共産党 山添拓参議院議員 「憲法違反の共謀罪法案を強行採決、本当に許せない。共謀罪に問われていること、それは自由と権利の制限。刑罰法規の最低限のルール、何が罪に問われるのかが不明瞭。特定秘密保護法も安保関連法も共謀罪法案も廃止していかなければならない。」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/uxsg8SKn9M
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
初鹿明博氏(はつしかあきひろ/衆議院議員・民進党)によるスピーチ
#独裁政権を倒そう 国会前、初鹿さん! 自由と権利を守る!それが民主国家だ! これからが本当の戦い! 憲法12条→不断の努力で自分たちの権利を守ろう! みんなで頑張ろう!! pic.twitter.com/WjjrPzM7RL
— たまにゃん (@akatama0303)
2017年6月15日
松本ヒロ氏(コメディアン)によるスピーチ
コメディアン 松元ヒロさん 「でんでんの安倍首相、よく忖度を読めたな。」 「金田、答弁しなくていいと言われてる。どうして大臣になったのか」 「稲田、弁護士だけど自己弁護で精一杯。そんなやつに国の防衛を任せられるか」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/uVcjg387wr
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
(シュプレヒコール)
共、謀、罪、廃止! 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 安、倍、は、出、て、こ、い! 強行採決絶対反対 自由をまもれ 国民舐めんな 言う事きかせる番だ、俺たちが 言う事きかせる番だ、私たちが ¡No pasarán! 奴らを通すな 安、倍、は、辞、め、ろ! 金田も辞めろ 自由を守れ 共謀罪は絶対反対 強行採決絶対反対 共謀罪はいますぐ廃止 強行採決絶対反対 安、倍、は、辞、め、ろ! 金田も辞めろ ¡No pasarán! 奴らを通すな 強行採決絶対反対 未来をまもれ 憲法まもれ 人権まもれ 共謀罪、絶対反対 共謀罪は絶対反対 ¡No pasarán! 嘘をつくな 強行採決絶対反対
強行採決絶対反対 テロ対策と嘘をつくな 市民の生活のぞき見するな 勝手に決めるな 国民舐めるな 安倍は辞めろ いますぐ辞めろ 安倍は辞めろ I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 国民舐めるな 勝手に決めるな 共、謀、罪、廃止! 勝手に決めるな 国民舐めるな I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めるな!)、国民(舐めるな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 共、謀、罪、廃止! 勝手に決めるな 国民舐めるな I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 勝手に決めるな 奴らを通すな ファシスト通すな ¡No pasarán! 共、謀、罪、反対! いいね!が押せる社会を壊すな 説明できない大臣要らない 説明出来ない法律要らない 安倍は辞めろ 国民舐めるな 勝手に決めるな ファシスト通すな 自由を守れ 平和を守れ 生活守れ 安倍晋三から未来をまもれ 安倍晋三から子供をまもれ 安倍晋三から未来をまもれ 共、謀、罪、反対! 安倍は辞めろ 盗聴、密告、監視の法案、廃止(廃止!)、廃止(廃止!) 国民舐めるな 勝手に決めるな I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めるな!)、国民(舐めるな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決���るな!)、勝手に(決めるな!) 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 説明出来ない法律要らない 説明出来ない大臣要らない 安倍は出てこい 政治の私物化絶対反対 安倍は出てこい 勝手に決めるな
勝手に決めるな テロ対策と嘘をつくな I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めるな!)、勝手に(決めるな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "金田"、You say "辞めろ"、金田(辞めろ!)、金田(辞めろ!) 勝手に決めるな 強行採決絶対許すな 野党は共闘 自由をまもれ 憲法まもれ 自由をまもれ 共、謀、罪、反対! 説明出来ない法律要らない 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 野党は頑張れ メディアも頑張れ 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 監視社会は絶対、認めない 言葉を壊すな ファシスト許すな ものが言えない社会をつくるな 自由を守れ 未来をまもれ 憲法まもれ 権利を守れ テロ対策と嘘をつくな 説明出来ない法律要らない 強行採決絶対許すな 告げ口勧める法律要らない ¡No pasarán! 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 共、謀、罪、反対! 共、謀、罪、廃止! 共謀罪廃止……!
(スピーチ)
辻田航氏(つじたわたる/弁護士・北千住法律事務所)によるスピーチ
北千住法律事務所 辻田航さん 「2013年、特定秘密保護法案強行採決。2015年、安保関連法強行採決。そして今日、共謀罪法案強行採決。しかも中間報告、委員会をすっ飛ばす究極の強行採決」 「安倍総理はルールを守れない。憲法という一番のルールすら守れない」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/DeqZ6NVBxO
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
(スピーチ)
平間氏(高校生)によるスピーチから続いて、シュプレヒコールへ
(シュプレヒコール)
共謀罪は絶対反対 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 共謀罪は絶対反対 テロ対策と嘘をつくな 平成の治安維持法反対 共、謀、罪、反対! 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 安倍は辞めろ 共謀罪は絶対廃止 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 立憲主義ってなんだ?(これだ!)立憲主義ってなんだ?(これだ!) 共、謀、罪、反対! 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 市民の生活のぞき見するな 憲法まもれ 人権守れ 未来を守れ 共、謀、罪、反対! 平成の治安委司法反対 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 立憲主義ってなんだ?(これだ!)立憲主義ってなんだ?(これだ!) 共謀罪は絶対廃止 共、謀、罪、反対! 強行採決絶対許すな 共謀罪は絶対反対 治安維持法復活させるな 絶対止めるぞ 絶対止めんぞ 奴らを通すな ¡No pasarán! 独裁やめろ 共、謀、罪、反対! 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 安倍は辞めろ 金田も辞めろ いますぐ辞めろ さっさと辞めろ 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 共、謀、罪、反対! 絶対止めんぞ 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 共謀罪は絶対反対
共謀罪は絶対反対 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、出、て、こ、い! 共、謀、罪、反対! 平成の治安維持法反対 治安維持法復活させるな 国民舐めんな ファシスト通すな ¡No pasarán! 奴らを通すな 安倍は辞めろ 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 平成の治安維持法廃案 平成の治安維持法廃止 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 廃止(廃止!)廃止(廃止!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "金田"、You say "辞めろ"、金田(辞めろ!)、金田(辞めろ!) 平成の治安維持法廃止 ものが言えない社会をつくるな 安倍は辞めろ 安、倍、は、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 共、謀、罪、廃止! 全体主義の日本は要らない 国民舐めんな I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) 共謀罪はいますぐ廃止 テロ対策と嘘をつくな 平成の治安維持法廃止 安倍晋三は総理を辞めろ 治安維持法復活させるな 勝手に決めるな 国民舐めんな ファシスト通すな ¡No pasarán! 野党は頑張れ 野党は共闘 野党は頑張れ 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 安倍は出てこい 金田も出てこい カ、ネ、ダ、出、て、来い! カ、ネ、ダ、す、ぐ、に、こ、こ、に、出、て、来い! 説明できない大臣要らない 説明出来ない総理も要らない 説明出来ない法律要らない 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) 奴らを通すな ¡No pasarán! 政治の私物化絶対反対 平成の治安維持法廃止 共謀罪はいますぐ廃止 答弁出来ない大臣要らない 全体主義の日本は要らない 治安維持法復活させるな!
(スピーチ)
谷虹陽氏(たにこうよう/未来のための公共)のスピーチ
未来のための公共 谷虹陽くん 「議論して同意を求めるというのは民主主義の根幹。議論さえしようとせず対話を拒否するのは独裁者のやること」 「虚偽答弁は本当に腹が立つ。公僕である公務員が国民に嘘をつく、それは国民に対する侮辱を意味する。国民の知性を舐めきっている」#国会前緊急大抗議 pic.twitter.com/SmGeripMP3
— 未来のための公共 (@public4f)
2017年6月15日
漫画家の方のスピーチ
 【→リンク】
(シュプレヒコール)
安倍は辞めろ 安、倍、は、辞、め、ろ! 平成の治安維持法反対 学びを自由を絶対奪うな 思想の自由を絶対奪うな 表現の自由、絶対奪うな 会話の自由を絶対奪うな 日本の自由を絶対奪うな 共、謀、罪、廃止! Tell me what democracy looks like! (This is what democracy looks like!) 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 立憲主義ってなんだ?(これだ!)立憲主義ってなんだ?(これだ!) 国民舐めんな 言う事きかせる番だ、国民が! 安、倍、は、辞、め、ろ! 安、倍、は、出、て、こい! カ、ネ、ダ、出、て、こい! 安倍は辞めろ 総理も議員もいますぐ辞めろ なんか自民党感じ悪いよね!? 共、謀、罪、反対! 共、謀、罪、廃止! 平成の治安維持法反対 全体、主義の、日本は、要らない 平成の治安維持法反対 全体、主義の、日本は、要らない 安倍は辞めろ
安倍は辞めろ 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、出、て、こい! 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 国民舐めんな 治安維持法復活させるな 平成の治安維持法廃止 国民舐めんな 安倍は辞めろ 答弁出来ない大臣要らない 説明出来ない法律要らない 全体主義の日本は要らない 国民舐めんな 言う事きかせる番だ、国民が! I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 共、謀、罪、廃止! 共、謀、罪、反対! 治安維持法復活させるな ものが言えない社会をつくるな Tell me what democracy looks like! (This is what democracy looks like!) 安、倍、は、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 共、謀、罪、反対! 平成の治安維持法反対 平成の治安維持法廃止 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 全体主義の日本は要らない ものが言えない社会をつくるな 共謀罪はいますぐ廃止 平成の治安維持法廃止 ものが言えない社会をつくるな 共、謀、罪、反対! 共謀罪反対……!
(スピーチ)
久保木太一氏(くぼきたいち/弁護士・城北法律事務所)のスピーチ
(シュプレヒコール)
安、倍、は、辞、め、ろ! 共、謀、罪、廃止! 盗聴、密告、監視の法案、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 安、倍、は、辞、め、ろ! 金田も辞めろ 憲法まもれ 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 共謀罪は絶対廃止 盗聴、密告、監視の法案、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 安倍は辞めろ I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) Tell me what democracy looks like! (This is what democracy looks like!) 言う事きかせる番だ、国民が! 共謀罪は絶対廃止 盗聴、密告、監視の法案、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 安倍は辞めろ 金田も辞めろ I say "憲法"、You say "まもれ"、憲法(まもれ!)、憲法(まもれ!) I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) 憲法まもれ 人権守れ 盗聴、密告、監視の法案、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 共謀罪は絶対廃止 国民舐めんな Tell me what democracy looks like! (This is what democracy looks like!) 共謀罪は絶対廃止 I say "憲法"、You say "まもれ"、憲法(まもれ!)、憲法(まもれ!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 金田も辞めろ 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 国民舐めんな 人権守れ 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 言葉を壊すな ファシスト許すな 盗聴、密告、監視の法律、廃止(廃止!)廃止(廃止!) 共、謀、罪、反対! 共、謀、罪、廃止! 説明出来ない法律要らない 共謀罪は絶対廃止 国民舐めんな I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 安倍は辞めろ 安倍は辞めろ……!
(スピーチ)
馬場ゆきの氏(『未来のための公共』)からステートメントの発表と、続いて、シュプレヒコール
(馬場氏)よろしくお願いします。 それでは、読ませていただきます。
『共謀罪が、6月15日、午前7時46分、自民・公明、そして日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。 この間の政治過程のずさんさは明らかで、特に採決にあたっては、法務委員会での法案審議を省略すべく、一般に「禁じ手」とさえ呼ばれる「中間報告制度」が用いられました。政党間の妥協・交渉の余地を阻むこうした強硬な政治手法は、つまり、多数決の名のもとに、少数派の観点をないがしろにし、安定した国会運営を不可能にするものです。 また言うまでもなく、共謀罪の内容それ自体が、市民の政治的自由を強く制限するものであり、到底許容できるものではありません。
私たちは共謀罪の無い未来を望みます。
都議選は、共謀罪を無理矢理可決させた勢力に対する最初のテストとなるでしょう。 私たちは立憲四党に、共謀罪の廃止を共通公約として掲げる事を、強く望みます。 会期ごとに野党が共謀罪廃止法案を提出するのも、重要な手段です。 また、メディアに対しては、共謀罪のその後について、詳細な調査・報道をする事を求めます。 大切な事は、世論を喚起し、運用実態を明らかにしつつ、市民と共に共謀罪の無い未来をつくっていく事です。 一緒に共謀罪を止めていきましょう。決して、これで終わりではありません。
私たちは、女性の権利が抑圧されない社会を望みます。少数者の観点がないがしろにされない政治を望みます。格差の拡大を止め、より平等な分配を可能にする社会政策の充実を望みます。働く人が尊厳を持って働ける、そんな社会を望みます。核兵器の無い社会を望みます。憲法がまもられ、個人の尊厳が擁護され、生活が保障される日本を望みます。何より私たちは、次の世代に、「おかしいことはおかしい」と言える社会を受け渡したいと考えます。政治について考え行動すること、それは住みやすい社会を次の世代へと引き継ぐ、未来への責任です。
今後、安倍政権は、改憲へと一直線に向かっていくだろうと考えられます。これまで行われてきた政治は、例えば特定秘密保護法、解釈改憲、そして今回の共謀罪に至るまで、一貫して、市民の政治的自由を損ない、民主主義的な政治過程を脅かすものでした。そして、次に待つ政治課題としての改憲は、まず、憲法改正それ自体が目的化されたものであると同時に、自民党改憲草案から明らかなように、市民の権利より、その義務を強調し、公共の福祉より、公(おおやけ)の秩序を優先させ、立憲主義を否定するものです。現政権による改憲は、私たちの求める未来とは、そして、日本国憲法の掲げる理想とは著しく異なる、戦前を想起させるような、暗く閉じた時代をもたらすでしょう。こうした政治を、こうした政治の先にある自民党改憲草案を、決して容認してはなりません。
私たちの未来は、私たちで決めていきましょう。私たちは、政治に関して未熟ではあっても「おかしい事にはおかしいと言うべきだ」と考え、国会前に足を運び、声を上げ、自分の言葉をつむいできました。
一緒に政治を変えましょう。一緒に、次の世代に堂々と受け渡せる社会をのこしましょう。適切に批判をしつつ、共に立つ立憲四党を、メディアを、応援しましょう。日本国憲法に刻み込まれた理念を擁護し、共に、理想に賭けましょう。そして、この国・社会で生活し、未来に新しい世代を待つ、世界に生きるひとりとして、自民党改憲草案を止めましょう。
これ以上の、国家の私物化を許す道理はありません。もとはといえば、安倍政権を選択したのも私たち自身です。それなら、私たち自身の手で、安倍政権を終わらせましょう。
この時代この場所からあらためて、上から一方的に押しつけられる公(おおやけ)なんかじゃない、いま私たち自身の足もとから、未来のための公共を、私たちで立ち上げましょう。
これは新しい始まりです。』
……ありがとうございました。
(記録動画未確認のため中略)
youtube
(シュプレヒコール)
共、謀、罪、反対! 安倍は辞めろ I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) 改憲反対 野党は頑張れ メディアも頑張れ I say "国民"、You say "舐めんな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めんな!)、勝手に(決めんな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 自由を守れ 未来を守れ 子供を守れ 未来を守れ
未来を守れ 共謀罪は絶対反対 安倍政権には改憲させない 共謀罪は絶対廃止 安、倍、は、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 説明出来ない法律要らない ファシスト通すな 独裁許すな ¡No pasarán! 強行採決絶対反対 国民舐めるな 安倍は辞めろ 野党は頑張れ メディアも頑張れ 安倍政権には改憲させない 共謀罪は絶対廃止 I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めんな!)、勝手に(決めんな!) ファシスト通すな 独裁許すな ¡No pasarán! なんか自民党感じ悪いよね!?
なんか自民党感じ悪いよね!? 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 安、倍、は、辞、め、ろ! I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) 野党は頑張れ メディアも頑張れ 安倍政権には改憲させない I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) 安倍政権には改憲させない 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! 安倍政権には改憲させない I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) 安倍政権には改憲させない 安、倍、は、辞、め、ろ! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) 安倍政権には改憲させない I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) 安倍政権には改憲させない 安倍晋三から自由を守れ 安倍晋三から国民守れ 安、倍、は、辞、め、ろ! カ、ネ、ダ、辞、め、ろ! 安、倍、は、出、て、来い! カ、ネ、ダ、出、て、来い! 安、倍、は、す、ぐ、に、総、理、辞、め、ろ! I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) 安倍政権には改憲させない
安倍政権には改憲させない I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) I say "安倍"、You say "辞めろ"、安倍(辞めろ!)、安倍(辞めろ!) I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) I say "勝手に"、You say "決めるな"、勝手に(決めんな!)、勝手に(決めんな!) 安倍政権には改憲させない 安倍は辞めろ 金田、辞めろ 金田も辞めろ I say "改憲"、You say "反対"、改憲(反対!)、改憲(反対!) 安倍政権には改憲させない 声を上げよう 改憲反対
改憲反対 安倍政権には改憲させない 民主主義ってなんだ?(これだ!)民主主義ってなんだ?(これだ!) 野党は共闘 メディアは頑張れ 野党は頑張れ 野党も頑張れ 共、謀、罪、廃止! 安倍は辞めろ 義家辞めろ 安倍は辞めろ 金田も辞めろ 義家辞めろ 改憲反対 管も辞めろ 憲法まもれ 人権守れ 自由を守れ 自由を奪うな 憲法まもれ ファシスト許すな 共、謀、罪、廃止! 野党は頑張れ I say "国民"、You say "舐めるな"、国民(舐めんな!)、国民(舐めんな!) 国民舐めるな 国民舐めるな……!!
(司会2)ラストに一回だけ、「改憲反対」のコールをやりたいと思います。
(シュプレヒコール)
改憲反対! 改憲反対!! 改憲反対!!! 改憲反対!!!! 改憲反対!!!!! 改憲反対!!!!!!
(司会2)今週金曜日は抗議をやらないんですけれど。 共謀罪が通ってしまって、私たちは、安倍政権から受けた酷い仕打ちを忘れないようにしましょう。 絶対にこの、意味の分からない政治を許してはいけない思うし、ずっと忘れないようにして、次の世代に受け継いでいきたいと思っています。 安倍政権は改憲に向けて、これから必死に動き出すと思います。私たちはそれに対抗するために、萎縮せずに、声を上げていきましょう。 今日は、ありがとうございました。
ドラム隊の方々。いっつもありがとうございます。
集まってきてくれる方々。いつも夜遅くまで、ありがとうございます。
おつかれさまでした。
(司会3) はい。それでは皆さん、本当に、参加をありがとうございました。 こちらにて、まず、プラカードを集めさせていただきたいと思います。 それから、カンパの訴えをさせていただきます。 皆さん、お疲れのところ、ありがとうございます。 それから、大学生に準じる年齢の若い方、ぜひ前の方にお集まりください。
本当に皆さん、ありがとうございました。 がんばりましょう。
(書き起こしここまで)
「共謀罪」法が強行採決された15日、成立後も与党の姿勢に怒りが収まらず、各地で抗議の声が上がりました。東京・国会前、札幌、新潟、岐阜、福岡、長崎、那覇での集会、デモの動画、写真をまとめました。(賢)フルバージョンは→https://t.co/bilC9UknMP pic.twitter.com/lxLJE2Lb67
— 毎日新聞映像グループ (@eizo_desk)
2017年6月16日
6月15日、国会前に行きました。怒りを持って集まった沢山の人々。若者たちもコールで怒りを爆発させていました。「憲法くん」のネタを一緒に創った早稲田の水島朝穂先生もスピーチを。挨拶に行ったら「では、ヒロさんも」と。笑いと怒りのスピーチをやりました。そして私がパワーを貰って帰りました pic.twitter.com/nhUd0YPWWc
— 松元ヒロ (@matsumotohiro)
2017年6月15日
共謀罪法案が成立した15日夜、国会前で行われた抗議の写真をアップしました。 BIAS|2017.6.15 未来のための公共 共謀罪に反対する国会前抗議行動 / 新しい、始まり。https://t.co/iH2ZG8Sijc pic.twitter.com/28pyJqr16g
— Shinta Yabe (@257syabe)
2017年6月15日
「#共謀罪」法が15日朝、参院本会議で自民、公��両党と日本維新の会などの賛成多数により可決、成立しました。法施行は7月の見込みです。国会前では15日夜も抗議が続けられました。<撮影・八田尚彦>https://t.co/BmYk16AHSM pic.twitter.com/HSN39zaMBd
— 共同通信写真部 (@kyodo_photo)
2017年6月15日
こうして成立させた共謀罪法の施行は、7月11日です。わずか1ヶ月足らず。https://t.co/uXl4Eg9wXF
— 田崎 基(神奈川新聞 記者) (@tasaki_kanagawa)
2017年6月15日
(書き起こし人より:この日は特に、コーラーもドラムも表現が素晴らしく、また、撮影・公開された動画によっては抗議参加者の皆さんの力強い声も、現場での勢いを感じさせるままで残されていますので、可能であればぜひ、動画や音声でご確認ください)
0 notes