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shunsuke-karaki · 3 months
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落語を聴く。
  落語を聴くようになって20年くらい経つ。オムニバスのアルバム音源をスマホに入れている。何代目の誰が演じた『〇〇』が好きといった、いわゆるマニアではないけれど、週に1度くらいのペースで何かしら聴いている。   僕が落語を聴くようになったきっかけは『GO』という映画だ。   この映画は、窪塚洋介演じる在日韓国人三世の高校生が、国籍を超えた恋愛や友情に悩みながらも自我に目覚めていく姿を描いた作品だ。冒頭、主人公(窪塚)がヒロイン役の女子高生(柴咲コウ)と初めて出会うシーン。爆音鳴り響くクラブで、イヤホンをつけて手に持っていた本を読む主人公。そこで彼が聴いていたのが落語だった。薄暗い店内、流れる爆音、ドラッグと酒に酔い騒ぐ若者たちの中、ひとり落語を聴く姿がかっこよすぎた。当時大学生だった僕は、それまで落語など聴いたことがなかった。そこで流れていた噺の内容はわからなかったけれど、とにかくクラ…
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shunsuke-karaki · 8 months
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コーヒーにハマった先輩 '23 秋
  趣味のサーフィンを通してお世話になっている先輩、ムラさんがコーヒーにハマったのは5年前のこと。某店で飲んだコーヒーの美味しさに驚いてからというもの、いろんな店のコーヒーを飲むようになったそうだ。 ある日の海上がり、車で休憩していると、隣に停まったムラさんのハイエースからガリガリと音が聞こえた。見るとムラさん、携帯用のハンドミルでコーヒー豆を挽いている。至って真顔である。 「それ、わざわざ持ってきたんすか」 先の細いヤカンをバーナーの火にかけて「美味しいの飲みたいから」と、ハンドルを回している。誰もいない鳥取の海辺。ムラさんは豆を挽き、僕はムラさんに引く。 「ほい。飲んでみ」 …淹れてもらったコーヒーは、とても酸っぱかった。これが、うまいのか?酸っぱいだけじゃないか…と顔を上げると、ムラさんは自分の一杯を淹れるべくヤカンを揺らしている。至って真顔である。     それからというもの、…
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shunsuke-karaki · 2 years
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カヌー体験
  パソコンの調子が悪いから見てほしいと言われて、仕事帰りに久(きゅう)さんの家に寄ったら、テーブルの上に30センチくらいの、カヌーの小型模型があった。それを眺めながら「カヌー、面白そうじゃと思わんか?」と久さんが言う。   「島根の方に行ったらできるらしいんじゃ」   御年70歳、高齢にもかかわらず、ゴムボートに2馬力エンジンを積んで一人で海釣りに出たり、遠方までスポーツカーを運転して旅行したりする久さん、今度はカヌーに興味を持ったか。しかしなぜカヌーなのか。   「なんでカヌーなんですか?」と聞くと、     「わからん」と一言。   「なんか、ええじゃないか、カヌーって」模型を手に、久さんは言う。模型は奥さんと車で旅行した時に道の駅で見つけたそうだ。カナディアンカヌーの1/12模型の組み立てキットを買って、途中まで作ったらしい。で、だんだん気になってきたと。少年か。   まあ、僕も…
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shunsuke-karaki · 3 years
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そこにいる。
  1999年の春。大学の入学式の日、3クラスが集まった大教室で「週8で日サロ行ってます」みたいな色黒で金髪の男が一際目立っていて、周りに数人のメンバーを引き連れていた。遠くの方でワイワイと盛り上がっている。楽しそうだな。数人で固まってるということは、附属校から上がってきたんだな。   父親の仕事の関係で幼少期はアメリカで過ごし、中学から日本で生活しているというタカダ君。附属高校時代からの友人曰く「かなりヤンチャ」だったそうだ。うむ、見るからにそんな感じだな。と思っているところで皆が口を揃えて付け加えるのが「でも、めちゃくちゃ頭いいよ」だった。   1年の頃はあまり学校に来なかったタカダ君、テストの時期になると突然現れた。「この授業、明日テストか。やべえ、全然やってねえ、ノート貸してくれ」前日の夜中に友人のアパートにやってきて、彼がノートを渡すと、それをコンビニでコピーしてきて、帰ってい…
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shunsuke-karaki · 3 years
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  4月末の夜のこと、小学生の娘二人が口を揃えて「オフロさむかった」と言う。聞くと、シャワーから熱い湯が出ないとのこと。ぬるかったと。その前にシャワーを浴びた奥さんは、いつも通りだったそうだ。   30分ほど経って僕もシャワーを浴びた。レバーを捻ると、冷たい水が出て、やがて温度が上がり始めた。お湯、出るやんけ。手のひらにシャワーを当てながら熱くなるのを待った。   と、ここで異変を悟る。熱くならない。設定温度は42度なのに、シャワーヘッドからはいつまで待ってもぬるま湯が出る。給湯器のリモコンを見ると、残量表示の目盛りが一つしか点灯していない。いつもは三つくらい光っているような気がする。     なるほど。     湯を使いすぎたのだ。給湯器のタンクに湯が貯まるのを待たなければならない。     しかし僕は裸で、足元は濡れている。また外で待つのもめんどくさい。少し我慢してぬるま湯を浴びよう…
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shunsuke-karaki · 4 years
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コーヒーにハマった先輩
    掲題のとおり、コーヒーにハマった先輩の話である。
    >>>
  1年半くらい前だろうか、
  「最近コーヒーにハマってさ、いろんな店に飲みに行ったりしてるんよ」とMさん。
  「そうなんすね」
    趣味のサーフィンを通じて知り合い、もう15年くらいお世話になっている先輩Mさんと、一緒に海に行く車中でそんな話をした。コーヒー、美味いっすよね!でも高いコーヒーって、なんかすっぱいっすよね!と、何を飲んでも美味いと感じる鈍感な僕のコメントに苦笑いしながら、Mさんは近隣の美味しいコーヒーが飲めるお店を教えてくれた。
    >>>
  それから数ヶ月経って、Mさんと海で会った。海から上がって休憩していると、隣に停まっていたMさんのハイエースからガリガリ音が聞こえる。何の音かと覗いてみると、銀色の筒を持ったMさんがハンドルを回している。「何やってんすか?」「豆を挽いとるんよ」・・…
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shunsuke-karaki · 4 years
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正解はこうだ。
  休日、サーフィンに行く。住んでいる広島県福山市から鳥取や島根、また高知や徳島の海まで、片道150キロ~250キロといった距離を運転する。早朝から海に入りたいので、夜中の1時や2時に家を出る。前日仕事から帰るのが遅くなったら寝ずにそのまま出ることもある。家を出て数時間車を運転し、海に着いたら夜明けとともに入水する。
    もう、やりまくる。少し休憩してまた入水。昼食をとって仮眠してまた入水。日暮れまでやってゴーホーム。時々そのまま海辺で車中泊して翌日も海に入る。長距離サーファーは、せっかく海まで来たのだからと、身を粉にして海に入るのだ。ほとんど寝ずに一日中運動する。やりたくて仕方がないのだ。できるだけ多くの、良い波に、自分の思うように乗りたい。
    そうなると、いかに短時間で効率的に休憩を取るかが重要だ。疲れたらサッと横になり、少しでもいいから深い眠りを得たい。
    多くの長…
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shunsuke-karaki · 5 years
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日記
    飲み会で隣の席に座ったひとまわり年下の後輩O君が「オレ、最近日記つけ始めたんすよー」と言う。
    「なんかー、最初はiPhoneのメモ帳にその日食べたものと体重書いてたんすよー。ほんで、だんだん何やったかとかも書くようになったんすよー。ほんで、最近はなんか文みたいなん書いてんすよ。一応日記っすね。日記なんか人生初っすよー。オレもそのうちブログとかやるかもっす」
    O君は話しながら、テーブルの上のグラスを様々な角度から撮影してはインスタに載せる写真を吟味していた。
        日記か、と思う。
  僕も昔、日記を書いていた。
      *
    20年ほど前、怠惰極まりない学生生活にうんざりして、何か毎日やることを取り入れてみるかと書き始めた日記だったけれど、
    ーーーーー
“今日も酒飲んだだけ。”
“3限デシェン寝過ごした”
“AV返し忘れた”
“フーラで…
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shunsuke-karaki · 5 years
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シュパッ
  1年ほど前のある日、奥さんの実家でトイレに入ると、良い匂いがした。それはとても上品な、フローラルの香りだった。巷の芳香剤のようなありふれた香りではなく、高級料理店や結婚式場のトイレに漂っているようなハイクラスな香りだ。
    良い。
    なんなんだこれは・・・
    部屋に戻ってお義母さんに聞くと、電池式の芳香剤を設置しているとのこと。気付かなかったけれど、奥の方に置いてあったのだろう。近所の薬局で買ったそうだ。へぇ、そういうのが薬局に売ってるのか、めちゃくちゃ巷やんけ・・・とネットで検索。
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        おお・・・いいじゃ…
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shunsuke-karaki · 5 years
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コンクリート
        庭の一画に自転車置き場を作っている。
      前回のブログで「建てる場所を決め、水平と直角を出した」というところまで書いた↓↓
    http://officekaraki.com/blog/2019/04/07/そういうもん/
      足場用の単管パイプを使った簡素な構造の自転車置き場とはいえ、基礎はコンクリートでしっかり固めたい。
      よし、コンクリート買いに行くか。
      とホームセンターに行っても、コンクリートは買えない。買えるのは、コンクリートの材料だけだ。「コンクリート」とは、砂、砂利、水などをセメントで凝固させた硬化物のことだ。ちなみに「セメント」は水などの液体と重化合して接着・硬化する粉末のことで、ホームセンターに売っているのはこのセメントか、セメントと砂や砂利があらかじめ混ざったモノだ。これを買って帰り、水と合わせて練るしかない。
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shunsuke-karaki · 5 years
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そういうもん
  庭の一画に自転車置き場を作っている。
        ここに作ろうと決めた場所には2本の木が生えていたので、引っこ抜いて別の場所に移設した。
        華奢な木だったので移設は簡単だけれど、それでも1時間くらい使うのでちょっとめんどくさい。「・・・まったく、誰がこんなところに植えたんだよ。俺だよ」というのを、ひとりで2回やった。
        木が無くなったところに、敷地の長方形を決める。
  といっても、なんの目印もないところに、フリーハンドで長方形は書けない。
  なぜか。
  直角を出せないからだ。
  さて、どうするか。
    ここで、建築の職人さん達が使う「さしご」の法則を用いる。「さしご」とは「3:4:5」、三角形の三辺の比率を3:4:5にすると直角三角形になるというもの。そう、これはあのピタゴラスの定理(直角三角形の底辺の2乗と高さの2乗の合計は、斜辺の…
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shunsuke-karaki · 5 years
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マトリックス
  貯水池の西側と東側にはそれぞれ1本ずつ、南北に細長い道路が走っている。車同士がすれ違うのがやや難しいそれらの道には暗黙の慣習があり、殆どの車が西側の道を北へ、東側の道を南へ走る。道路構造のせいか、周辺を走っていてその道に辿り着くと、自然に一方通行の雰囲気になるから不思議だ。
    当然「一方通行」の標識はないし、そんなローカルルールなんて知らない人もいる。そういう人は「あっ、ここ細い・・・」と気を付けながらゆっくりと走る。対向車もそれに気づき、2台はそっとすれ違う。その場所で接触事故を見たことはない。一度西側の道路を南へ走った人は、途中で「あっ、向こうを走ればいいのか」と気付くようだ。
  いや、でもやっぱり危ないから、警察の人に「ここは一方通行です」と決めてほしい。
  その西側の道を、毎朝(たぶん慣習を知っていて)ワザと南方向に走ってくるオッサンを見るようになって、そう思いだし…
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shunsuke-karaki · 5 years
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有給休暇を取りにくい話。
    A君(29)が勤めている会社でこんなことがあったそうだ。
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  偉い人(50代)からのメール:「2019年4月から施行される『働き方改革関連法』に伴い、年間5日以上の有給休暇を計画的に取得するように」
  A君:「来年は発生する有給休暇を全部消化したいなぁ」
  Bさん(45):「え、ムリムリ。ウチの状況でそんなの到底ムリでしょ。やることいくらでもあるじゃん」
  >>>>>
  A君、そこで(えっ!それっておかしいじゃん!)と思いつつ、「そうですよね」と言ったそうだ。ポイズンか君は。
    うーん、よくないね。よくないねっていうのは、ヘンだなと思いつつ「そうですよね」って言った点がよくないね。自分をだますことなく生きていこうじゃないか。OH OH。
      有給休暇か。
    以前は割と有休を貯め込んでいた僕も、ここ2年ほど、順調に消化している。大体1カ月…
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shunsuke-karaki · 5 years
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月でワーワー言う。
    ある日の会社帰り、車の中から月が見えた。西の空に、新月から二日目くらいだろうか、細く華奢な月が光っていた。
  写真撮ってみるか。
  夕食後、少し休んでからカメラを持って外に出た。車を走らせ、近くの高台へ向かった。ん?
  家を出た時からおかしいと思っていた。さっきまで美しく光っていた月が見当たらないのだ。目的地に着いてどの方角を見ても、無い。
    スマホで調べると、その日の月はとっくに沈んでいたことが分かった。いやちょっと待て。「沈む」ってなんだよ。まだ22時、夜のど真ん中だろう。なんでこんな時間に月が沈むんだ・・・と画面をスクロールして驚いた。なんと、新月から三日目前後の若い月は、太陽が沈む頃に西の空の低いところに見え出して、3時間ほど経ったらすぐに沈んでしまうそうだ。
  えっ?昼はずっと太陽が出てるだろう。夜は月が出てるんじゃなかったのか?と読み進めてもうひとつ驚い…
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shunsuke-karaki · 6 years
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一生モノを作った話
    先日、歳の近い先輩達と”一生モノ”について話した。メンテナンスを繰り返してずっと使おうと決めた愛用品も、10年で壊れて修理不能になるようでは一生モノとは呼べない。また、何をしても絶対に壊れないような頑丈なモノでも、10年使って飽きてしまうのではその条件を満たさない・・・そんな話をした。はて、自分は”一生モノ”をいくつ持っているだろうか・・・と考え、いくつか浮かんだ候補の中にひとつ、間違いなくそう呼べるものがあった。先輩達とは革靴の話をしていたのだけれど、僕の頭に浮かんだのは靴ではなかった。
  一生使いたいし、使える・・・そういうモノを作った話を書く。
    >>>
    5年前の7月のある日。
    「おい、どっかでトラック借りてこい」
    と偉い人は言った。「沢山積めるやつな」
      僕は運搬用のトラックを調達して、偉い人=Kさんと目的地に向かった。そこは山の…
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shunsuke-karaki · 6 years
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近くて遠い場所
    遠く辺境の地の美しい夕焼けをテレビで見た9歳の娘が「わたしも空の色がキレイなとこ行きたーい!」と言う。6歳の妹も同調している。そうだな…とスマホで天気予報を見ると明日は晴れ。・・・あそこならキレイに見えるかも・・・翌朝、家から歩いて5分の小さな山へ日の出を見に行くことにした。(近っ!)
  「6時には出るぞ」
  翌朝、ひんやりした空気��中を歩いて目当ての場所へ行くと、ちょうど太陽が顔を出したところだった。「うわー!すごい!」と大喜びの娘。たしかにキレイだ…と眺めているうちにどんどん昇る太陽をスマホで数枚撮った。写真で見るとなんてことないただの朝日だけれど、誰もいない早朝、冷たい空気の中で眺める日の出は格別だった。
  「空の色がキレイなとこ行きたーい」と娘。そんなもん遠く行かんでもコンディションとタイミング次第でどこでも見れるわい!と6時前に起きて近くの高台狙ってやってきて娘…
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shunsuke-karaki · 6 years
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言うたった。
  ん?それ、おかしくないか?
    と思うことがある。どう考えてもおかしい、自分はこう思う・・・そんな時は相手が誰であろうと、言った方がいい。ただそういうことは、家族や友人には言いやすいかもしれないけれど、会社ではなかなか言いにくいものだ。先輩、上司、社長・・・立ちはだかる職級、権力の壁を目の前に、みんな言いたいことも言えないこんな世の中を嘆いて今日もあちらこちらでポイズンを歌っているのが実情だ。
    そして今日も日本中の居酒屋で、
  「あの表記がおかしいんだ。あそこに***なんて言葉を入れるからターゲットがボヤけるんだ」
「そうだそうだ!あのチームが考えたらいっつもこうなるんだ」
「俺はもう喉まで出かかったけど必死で堪えたよ」
「あいつら営業の現場のことが全然わかってないんだ」
「現場の意見聞かなきゃ何も始まらんだろ」
「だいたいウチの会社はよぉ」
  てな感じで、サラリーマ…
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