Tumgik
scuderialice · 4 years
Text
J1リーグ 全順位予想(ルヴァンカップ後、修正版)
1位 柏レイソル
プレ・シーズン好調だったガンバの攻撃力を吸収し、昨季から時間をかけて完成された柔軟な戦術と、個の融合が素晴らしい。
4-4-2を基本フォーメーションとはするものの、流動性がきわめて高く、形をつくって待ち受けるような瞬間はまずない。アグレッシヴにボールにチャレンジし、ファースト・ディフェンダーと連携した2-3人が常に相手のボールホルダーを囲んで、奪取から素早く三角形のチームをつくり、質の高い攻めを見せる。守備本位で、攻撃的な決め事は少ないが、トップ・チームも苦労しそうな、攻守に深い連動をもっており、特筆に値する。
2位 FC東京(ACL参戦のため、GL参加なし)
3位 鹿島アントラーズ
現時点での完成度はまだまだで、ACLにつづき、ジョーを欠く名古屋にも後れをとった。強かった時期と比べるとメンタル面で課題がありそうだが、主導権を握れる場面も少なくなく、決定機を決められればよかった。伸びしろが大きく、下方修正するほどの悪い要素もないと思われた。町田と関川のCBコンビで、FKの1失点に抑えたのも収穫だった。
4位 横浜Fマリノス (ACL参戦のため、GL参加なし)
5位 川崎フロンターレ
5-1というインパクトのある結果になったが、清水相手に主導権を握られる時間も多く、相手の自滅と、サッカーの未成熟に助けられた。元来、もっている柔軟性と、個人の高い技術はベテラン選手抜きでも十分に体現され、長谷川、脇坂などのタレントが躍動した一方、まだまだ戦術的な面でのトレーニングが欠かせない。結果に対して、完成度の甘さが目立った試合である。
6位 清水エスパルス
対戦相手とは逆の意味でインパクトのある結果だったが、言われたことしかできなかった日系企業の技術者が、いまやグーグルのような会社のアイディアマンへと成長した姿をみせ、川崎との噛み合った好勝負は時間が過ぎるのも早かった。ディテール面で埋めなければならない課題も多く出たが、今後の戦力の上増しも考えれば、かなりポジティヴな兆候が見られた。
7位  ヴィッセル神戸 (ACL参戦のため、GL参加なし) 
8位 セレッソ大阪
ルヴァンカップのレギュレーションにより、DF瀬古をメンバーに入れたかったせいか、木本をボランチで起用した。J2松本に先制を許したが、ブルーノ・メンデスらが決定機を生かし、やや攻撃的に生まれ変わりつつある相手を粉砕した。リーグ戦とは戦い方が異なるかもしれないが、攻撃面には若干の上増しがみられ、新加入の坂元のパフォーマンスが目を惹いた。 
9位 浦和レッズ
4-4-2はやはり、戦術的な硬さにつながっているものの、レオナルドらの決定力が頼もしく、大勝を飾った。カップ戦だけかもしれないが、槙野がスタメンから外れ、鈴木大輔と岩波でセンターを守った。チームは明らかによくなっているが、仙台に主導権を握られる場面も少なくなく、どうしてもリアクション主体のサッカーになりそうであるものの、カウンターはかなり強力だ。
10位 ガンバ大阪
相手が柏だったこともあり、積極的なプレスに対応しきれなかったこともあるが、彼らのよさが出る場面は少なかった。積極的なラインをとり、高めの位置ではめて攻撃的にいくことを磨いてきたらしいが、不発におわった。
11位 サンフレッチェ広島
現時点での完成度は高く、序盤は順調に勝点を積み上げていけそうだ。新加入の横浜FCはメンバーや、配置が大きく変わり、熟成していないこともあり、余裕のある展開で、2点差の勝利を収めた。新加入のレアンドロ・ペレイラが1トップに入り、ドウグラス・ヴィエイラが2列目に、川辺がボランチに下がり、ある程度、狙いどおりに機能した。
12位 大分トリニータ
攻撃的なチームが増え、1年で見馴れた彼らの戦術的な優位性は昨季よりも縮小した。新加入の渡と知念をともに先発させたが、得点パターンに苦労した昨季終盤の課題が克服されていない。結果的にも、シュート3本の湘南にPKを許し、レイト・ゴールを決められて敗戦した。
13位 名古屋グランパス
マテウスのFKが幸運にもゴールインし、鹿島を下して上々のスタートを切った。攻撃面の再構築が課題だが、前田をゼロトップで起用し、シャビエルがベンチに座るなど、実験的な要素の強い1戦だった。守備面は安定感が出てきているが、まだまだで、相手の決定力不足に助けられた。
14位 コンサドーレ札幌
評価を下げたが、結果的に順位の変動は少ない。予想に反し、戦術的には昨季のものと大きくは変わらなかった。前線からのプレスを強化してきたらしいが、その成果はよく見えない。福森のCKからジェイの高さという不動の武器で先行し、さらに相手の裏をかく福森のトリッキーなFKで加点、前がかった相手を武蔵が仕留める展開はさすがだった。しかし、シンプルな鳥栖の戦術に粘る展開になってしまい、痛し痒しとなった。
15位 ベガルタ仙台
選手たちには昨年の渡邉監督の遺産も身体に入っており、木山体制になっても、レーンを維持して守るだけでなく、意外とボールを握ることもできた。守備連携に課題も多いが、軽いコンタクトをPKにとられたり、浦和の選手が目の前で倒れているのを気遣っているうちに豪快なシュートを叩き込まれたりという不運な失点があって、評価はしづらい。一方、クレヴァーなポジショニングと落ち着き払ったキックで2得点した田中渉などの収穫もあった。
16位 サガン鳥栖
戦力の落ちが激しいと思われたが、松岡、本田などが悪くない働きをしている。ブートキャンプ方式に立ち返って、よく動き、ボールをもったら捨て身で前に上がり、縦への意識を強くもったフットボールはシンプルで、相手を苦しめた。プレース・キック絡みで2失点し、鈴木武蔵にとどめを刺されたが、新シーズンに向けてポジティヴな戦いが展開できた。まだ粗削りだが、高い成果の期待できるチームづくりに取り組んでいる。
17位 湘南ベルマーレ
鳥栖と同様に、貴重な戦力を喪ったにもかかわらず、プライドをもってゲームを展開できた。WBがディフェンス・ラインに吸収されて、5バックにならないよう、3バックの両翼が厳しい位置を堅持したが、推進力に欠け、一方的に押される展開となった。身体を張って最後のところを防ぐ展開はいかにも苦しいが、ファンからすれば感動的な部分もあったと思う。相手次第の難しいシーズンが続くことは明らかだが、シュート3本でも、最後にはPKを奪って報われるというあたりは、POも乗りきった昨季のデジャヴーをみせた。
18位 横浜FC
レドミや俊輔、イバのようなベテランの起用を避け、メンバーの変化や、配置の転換によって、必死のJ1仕様へのアップグレードが窺われる。J1で通用するシンプルで、特徴のあるコンセプトがなく、ほとんど見せ場もつくれずにおわった。
0 notes
scuderialice · 4 years
Text
J1リーグ 全順位予想 2/14
今季のサッカー/J1リーグもACLプレーオフを皮切りに、ゼロックス・スーパーカップと、ACLグループ・リーグなどが戦われ、徐々に開幕へと近づいてきた。数日後にはリーグカップである「ルヴァンカップ」によって、本格的なシーズンが幕を開ける。新型肺炎ウィルスの蔓延など、心配なニュースもあるが、楽しみであることに変わりはない。
昨季は横浜Fマリノスが、前年からの躍進を果たして、攻撃的なチームで優勝に辿り着いた。昨シーズンからはリーグ全体のコンペティションの質もワン・ランク上のステージへと上がり、補強合戦も激しくなった。まだ飛び抜けたクラブはなく、差の少ない横一線でシーズンが進むことだろう。以下で、順位の予想を公開する。
1位 柏レイソル
同じ奇跡が、再現するかもしれない。2011年シーズンで、ネルシーニョが率いる柏レイソルは前々年のJ2降格から、1年で再昇格して、即J1優勝を果たした。今季も、同じような良い循環が来ている。
柏はJ2の前半戦ではなかなか結果を出せずに来たが、フォーメーションを変更し、粘りづよいトレーニングで、ネルシーニョの目指すサッカーを体現できるようになった後半は、J2レヴェルではない戦力を十分に活用できるようになって、他クラブを圧倒する内容でJ2を制することになった。
新シーズンに向けては、オルンガや瀬川に移籍の兆候はあったが、結局、主力級の離脱はなく、逆にJ1、J2から才能の光る選手たちを的確に補強して、若く、可能性のある選手層を整えた。
フォーメーションは多分、4-3-3をベースにしたものと考えられ、これは昨季優勝の横浜FMと、そのコーチだったクラモフスキーが指揮を執る清水、そして、やや守備的な形ながらも、フォーメーションをこのシステムにかえた東京と同じである。柏はどちらかというと、東京の形にちかそうだが、後ろの攻撃参加はそれほど重要でなく、アンカーを除く、FW、MFの豊富なアタッカー5人によるコンビワークが冴えることになりそうだ。
前記2選手をはじめ、若手によい選手層を抱えるチーム事情から、夏の移籍などで選手が抜かれる可能性も低くはなく、プレ・シーズンの準公式戦におけるGK中村航輔の怪我も心配されるものの、そのバックアップには神戸で鳴らした名手キム・スンギュを獲得済みで、スタートダッシュから前に出られれば、シーズン最後まで高い順位を維持できる実力が十分にあるはずだ。
問題は、ディフェンス・ラインだろう。ベテランのCB鎌田らを中心とする昨季のバックラインは、J1に入ったときに質の高いものではないことは明らかで、U-23アジアカップで致命的なパス・ミスを犯した古賀など、SBの若手にもかなりの成長が求められる。実績のある三丸や高橋が狙いどおりに機能し、磐田から引き抜いた若手の大型CB大南らの成長具合によっては、優勝も夢ではないと考えている。
2位 ガンバ大阪
ガンバ大阪は、プレ・シーズンの評判がよさげに聞こえるチームのひとつだ。昨季は前半の戦いぶりで、クラブ・レジェンド=宮本監督の手腕に疑問符もついたが、後半は宇佐美がドイツから復帰するなどして、攻撃的な戦術に転換したことが功を奏して、見るべき成果を上げた。大胆な発想の転換と、それに適応できるチーム構成の素晴らしさは素直に評価すべきだ。
近年はその宇佐美をはじめ、井手口、堂安、中村敬斗、食野と、次々に有望な若手を海外へ送り出す流れが続いていたが、その中でうまくキャリアを伸ばせなかった選手の復帰という流れもできつつある。井手口などはスペイン、イングランドにおける過去数シーズンの飼い殺しによって、落ちに落ちたコンディションもようやく回復してくるにちがいない。本来は、代表を背負って立つぐらいのタレントだった。
システムは、3-5-2が予想される。前線は宇佐美を中心に、アデミウソン、パトリックなど、日本での実績も十分で、決定力の高いメンツを揃えている。攻撃の核となるのは宇佐美のキープ力と、倉田や小野瀬からのクオリティの高いボールの供給だ。新加入の福田や、井手口、矢島などが水を運ぶ役目を果たす。90分はもたないが、勝負どころでは遠藤の投入で、まったくちがう展開が望めるだろうし、プレ・シーズンは調子もよかったと報道されている。遠藤、藤春のようなベテランと、若いメンバーの融合は進んでおり、上位進出を期待できる戦力が揃った。
ただ、ディフェンス・リーダーの三浦弦太については海外移籍の志向が強いようで、早ければ、夏の移籍も噂されている。その対策ということもあり、フランスに渡っていた昌子の補強が急転直下で決定した。もっとも、トゥールーズでは怪我の治療が進んでおらず、まずはそれを治して、コンディションを上げ、戦力化してくるまでには、かつての清武や井手口の例を考えても、早くとも半年、もしくは1年以上の猶予をみなくてはならないはずだ。
その間、金英権に加え、呉宰碩、菅沼、そして、新里などの踏ん張りが効けば、優勝にも手が届く位置にあるとみている。今年こそは、素晴らしいホーム吹田に相応しい結果を残せるのではなかろうか。
3位 FC東京
昨季は惜しいところで横浜FMに競り負け、栄冠を掴むには至らなかった。キープレーヤーの離脱や移籍に対して、的確な対応をできた横浜との差が如実に表れた。フリー・トランスファーで、久保がレアル・マドリーに旅立ったあと、左サイドのポジションを埋めることがシーズン最後まで課題として残ってしまった。
今季は4-3-3に組み替え、戦術のブラッシュ・アップを図る。しかし、そのシステムはチャンピオン・チームへの追随ではなく、長谷川監督らしい手堅い変更だ。守備意識を高くもち、切り替えの早さで鋭いカウンターを仕掛ける基本戦術は変わっていない。3トップはどちらかというと中央に絞り、ブラジル人同士の連携で、崩そうという意図が明確だ。そこで空いてくるペナルティ・エリア脇のスペースを、東京のストロング・ポイントを成す室屋と小川の両SBが頻繁に使い、高い精度でクロスを上げて、攻撃を活性化する作戦だと思われる。
この戦術が昨季はディエゴ・オリベイラの個人技と、カウンターにおける永井のスピードだけに頼っていた攻撃力を磨く鍵になるかは、正直、心許ない。ACLグループリーグでの蔚山との戦いをみると、とりたてて攻撃面で進歩があるようには思えなかった。ディエゴ、アデミウソン、レアンドロといったアタッカー陣のスキルはそれぞれに魅力的だが、3人の連動はシステマティックに組み合ってられたものではなく、1試合や、年間を通じて、一貫性があるものではない。
中盤は逆三角形型で、DMFに橋本を置く布陣が基本となりそうだ。これは横浜FMの2ボランチが終始、ポジションを離れて、(偽)SBなどと連携し、攻撃にも頻繁に出ていく布陣とは一線を画し、やや守備的な選択である。代表の常連になりつつある橋本のスキルは、半分しか生かされない点で残念だ。前の2枚は現時点で東が離脱中のため、高萩と、新人の安部柊斗が起用されている。昨季から特別指定で出場可能だった選手だが、大学4冠を達成した昨季の明大から加入した安部のさらなる成長は、高萩、東といった実績あるタレントを十分に脅かすポテンシャルを示しつつある。
中盤では、さらに神戸から復帰した三田のスキルフルで、精力的な動きや、からだの強さが目立つ羅相浩らもおり、オプションが豊富だ。
結局のところ、攻守のバランスが長谷川監督のサッカーの肝だ。CBには森重が座り、相方で五輪代表候補の渡辺も、昨季以上の成長をみせている。そして、バックアッパーには神戸と鳥栖でプレーしたレバノン代表のオマリを確保した。SBは替えが効かない2人だが、ベストメンバーは隙がなく、かなり強力といえるだろう。
室屋と小川、それに橋本は海外から引き抜かれるリスクがあり、その場合は、久保と同様の問題が生じそうだが、SBに関しては、トルコで居場所のなくなった長友の復帰という噂もあり、それが事実となれば、得がたい戦力になるだけではなく、マーケティング的にも大きな意味を持ってくる。資金力のあるロシア・クラブとの綱引きともいわれており、高額な年俸もネックではあるが、2-3億円であれば、安い買い物かもしれない。
4位 鹿島アントラーズ
ACLプレーオフではオーストラリアのチームに敗れ、本戦GLの進出を逃し、悔しい船出となった。しかし、リーグ戦という観点でみれば、重荷を下ろした鹿島の今季は期待が大きいだろう。新監督のアントニオ・カルロス・ザーゴが就任5日目でみせたゲームでさえも、負けて強しの内容だった。伝統の4-4-2のフォーメーションは維持しながらも、そこにザーゴがオリジナルの動きを混ぜ込んで、強固な組織が完成する見取り図が窺われたからだ。
移籍市場では昨季チーム得点王のセカンド・ストライカー、セルジーニョが中国2部に移籍し、CB鄭昇炫が韓国に戻った一方で、名古屋からスキルフルで突破力のあるウインガーの和泉、川崎から経験豊富なCB奈良を補強したほか、横浜FMから広瀬、仙台から永戸という攻撃的な左右のSBを揃え、湘南からもポリヴァレントな若手のタレント杉岡も迎え入れて、十分な戦力を整えた。さらに、静学から入団したアタッカーの松村もオプションに加わり、既存の土居、伊藤翔らとのコンビネーションがはまれば面白い。
アタッカーには監督人事同様、ジーコの強烈なコネクションにより、FWエヴェラウドと、MFファン・アラーノを加えることができた。このうち、エヴェラウドは先のゲームでもスコアこそなかったが、十分な存在感を示し、セルジーニョの穴は完全に埋めてくれるだろう。強力な9番でゴリゴリ行くところもありながら、周りの選手も使えるクレヴァーさが目を惹く。一方、アラーノのほうはブラジルで将来を嘱望されていたタレントという触れ込みだが、現時点では、日本での適応にいささか苦労しているようだ。
問題は、こちらも守備面だろう。多分、移籍組でも奈良が中心となり、犬飼、ブエノ、町田、さらに関川あたりがレギュラーを競うことになるが、ほかのポジションと比べて、やや頼りない。SBが積極的に出ていくタイプの選手である分、後ろの備えをどう整えるかにザーゴの手腕が問われることだろう。
5位 横浜Fマリノス
ポステコグルーの構築した攻撃的なサッカーで、昨季は東京とともに抜きん出た成績を収めて、優勝を勝ち取った。シーズン中には点取り屋のエジガル・ジュニオが負傷離脱して、槍の先端を喪い、三好や天野といった貴重なレフティのタレントを海外へ送り出す難しいシーズンではあったが、エリキらの的確な補強もあり、ペースの落ちこみを最低限に止めての快挙だった。
しかし、私の感想はやや出来すぎというものである。90分間、足を止めず、次々に新しい狙いをもって動き出す理想のサッカーは、十分に完成していなかったものの、東京や鹿島など、上位陣のふらつきと、仲川やマルコス・ジュニオールの破壊力が桁知らずだった点、そして、チアゴ・マルチンスの高い能力と、相方=畠中の成長による守備の安定が決め手だった。
新シーズンに向けてはFWオナイウ、MF水沼、DF前、山本などを獲得し、不動のレギュラー・メンバーに対して、層の薄い部分の厚みを増すことに成功した。このうち、オナイウはスタメン獲得に向けて奮闘中である。また、補強ではないが、スーパーカップ、ACLにおいて成長著しいのが遠藤の動きだ。昨季はRWGの仲川、もしくは、エリキの攻撃力が目立ち、逆サイドから遠藤がフォローする感じだったが、今季はむしろ、遠藤の攻撃力のほうに注目が集まりそうだ。
私が気になっているのは、CB畠中の出来である。ここ数シーズンに飛躍的な成長を見せ、国内組では貴重な手堅いCBとして代表でもフル回転しており、疲れがあるのかもしれない。英コミュニティ・シールド方式で、TM的な性格も持っているとはいえ、スーパーカップでポステコグルー監督は後半から伊藤槙人にチャンスを与え、その後のACLでは畠中がスタメンを続けたが、動き自体はよくなかった。チアゴの相棒役に苦労すると、チーム全体のバランスも揺らぎかねないと思う。
今季はACLの過密日程を戦う必要もあるが、新型ウィルス対策で、日程そのものが流動的ということもあり、参加クラブには難しい事情がある。代表監督も務めたとはいえ、ポステコグルーもこのような戦いに慣れているとは言えないので、適応は簡単ではないはずだ。
また、仲川や遠藤、喜田などには移籍のリスクもある。CFGへの加盟は世界的な情報網を生かして、一貫した強化を行える基盤を得る一方で、日本で発掘された優秀な才能を世界へと送り出していく側面も備えている。その点で、若干の値引きは必要であろう。
6位 浦和レッズ
今季、プレ・シーズンでポジティヴな表情が窺えるのはガンバ以外に、浦和レッズがある。昨季はオリヴェイラ監督がシーズン途中で指揮権を奪われ、後任の大槻監督が現場に復帰して悪戦苦闘したが、リーグ戦は降格も懸念される低空飛行に終始し、ACLは決勝まで進んだことは立派だが、中東チームの前に何もできずに完敗した。
退潮傾向にあるチームを生まれ変わらせるべく、大槻監督はフォーメーションを3バックから4-4-2に組み替え、新シーズンに備えている。すると、戦術的な流動性は出にくいものの、各個のタスクが限定されるシステムがよく機能し、選手が躍動し始めた。鳴り物入りで加入したものの、ロング・ポジションに悩んだSBの山中なども実力を発揮し始め、マリノス時代の勢いが鳴りを潜めて、過去2シーズンはベンチに甘んじたMFマルティノスの好調も伝えられている。
大槻監督は最先端の戦術をバリバリ埋め込んでいくような手腕はないものの、選手のタスクを理解させ、長所を研磨していく指導力には長けている。一時期、代表でも注目されたMF長澤や、個性的な突破力をもつMF汰木などもブレイクの可能性がある。
そして、今季の掘り出し物は、FWレオナルドだろう。当初、これといって際立ったステイタスはなかったが、岡野オーナーのJ3鳥取から、J2新潟へ渡り歩き、2つのカテゴリーで連続して得点王となったスピード感あふれるアタッカーの存在が、近年は「興梠FC」と揶揄されるまでになったレッズの攻撃陣を変えてくれるかもしれない。
昨今は人気の退潮も指摘されるようになったリーグの鑑としてのクラブに、復活の気配が窺われるのは悪いことではない。ただ、後ろの危うさは相変わらずであり、槙野らがさらに年齢を重ねてきたにもかかわらず、後継の補強がなかった。槙野、マウリシオを中心軸に、鈴木大輔、岩波らが競争する形となるが、やや手薄なのは否めないところだ。
7位 川崎フロンターレ
この低い順位に、川崎を置くのはすこし勇気がいる。ベストメンバーはなお有力だが、年間を通しての一貫性をみると、やや層の薄さが目立つのである。また、負傷中の中村憲剛を中心に、家長、小林悠などの主力が、年齢的にフル稼働できるかわからないのも不安要素だ。好調であれば手のつけられない天才の家長も、昨季はゴールがなかった。そのなかで、キープレーヤーとなり得た阿部を手放したのも痛い。
一方で、CMFのクオリティは全球団のなかでもピカイチである。当面、憲剛を除くとしても、大島と、U-23でブレイクした田中碧を中心に、守田、下田といった活きのいいタレントが揃う顔ぶれは魅力的であり、器用な守田に至っては昨季から偽SBのような形で、最終ラインでも起用されるようになった。今季は4-3-3に組み替え、そのような戦術への適応に向けて、本格的なトレーニングに取り組んでいる。このシステムに特徴的な動きによくフィットしそうな選手としては、SBの登里をはじめ、守田、アタッカーでは脇坂や長谷川、斎藤、旗手など豊富なリソースがあり、もともと試合のなかでのポジション調整は得意なチームであることから、大きな可能性を含んでいる。
もっとも、これらの若いタレントは近年、日本に目をつけてきている海外クラブの草刈り場となり得ることも否定できない。最近では、このファクターを重く捉えないといけなくなってきた。例えば、田中碧は東京五輪があるにせよ、その前後にある夏の移籍で、ヨーロッパのクラブに移る可能性が高いのではないか。川崎はエウシーニョの例でも分かるように、財政的にはきわめてシビアなルールがあり、引き止めに大金を投じるようなことはしないクラブだ。親会社である、富士通の業績が渋いこともある。
もちろん、優勝シャーレの奪還も十分に可能なメンバー構成と、戦術ではあるだろう。様々なリスクに対して、4年目となる鬼木監督のマネージメントが問われるシーズンになるだろう。
8位 ヴィッセル神戸
フィンク体制がようやく固まってきたヴィッセルだが、このクラブの着火剤は言うまでもなく、強欲で、要求のシビアなオーナーの側にあることは間違いない。初めての天皇杯を獲得しての今オフは、昨季のフェルマーレンなどの加入を先行させていたこともあり、資金力に対して、補強は物静かなものになった。夏以降はダヴィ・シルバや、ペドロといったスペインの名プレーヤーの加入も噂されているが、どこまで本当になるかはわからない。
清水からFWドウグラスを補強したのは大きいが、当初、2億円ほどといわれた年俸も、移籍元である清水の頑強な抵抗にあい、3億円ほどに膨らんだと噂されている。ブラジルの代理人は、本当に遣り手である。しかも、清水が昨季前に、中国クラブとのマネーゲームに勝って、確立した契約を反故にする解除金を満額払ったうえでのオペレーションであり、さすがの神戸にも重い投資になったことは間違いない。
イニエスタ、噂のスペイン人選手たち、ドウグラスは、年齢を考えてみても、その後、売り抜けすることができない片道の投資といえる。もっともイニエスタ加入によるリターンは、クラブ・レヴェルを越えて大きなものになったが、クラブのバランス・シートそのものは他の堅実な運営をするクラブや、一般の企業からは理解しがたいものになっているはずだ。
天皇杯では、古橋と藤本という日本人の元気のいい2FWが相手を追い回し、その他の選手が的確にレーンを埋めて、ボールを拾うことで、ピッチを支配していただけに、この投資が本当に正しいものだったのかについては疑問が残る。SB西の残留には成功したものの、中盤から後ろの層の薄さも改善しなかった。
スーパーカップでは相手側の自滅もあり、クレイジーなPK戦の末に貴重な賞金も手にしたが、チーム戦術というよりは、イニエスタ、山口、古橋、酒井などへの依存体質が生まれており、チームとして、どれほど高く機能するかには疑問のほうが大きくなった。すこしでもうまくいかなくなると、オーナーが悪魔の顔をみせ、チームをバラバラにしてしまう可能性もあるのだ。このヒステリー体質は、誰にも止められない。
また、大きなリスクとして、古橋の海外移籍も現実味が高まってきている。それまでに、ACL初戦で活躍した小川などの成長が、どこまで来ているかが鍵になるだろう。相手がACLのレヴェルに適応していないマレーシアのクラブだったとはいえ、そこで証明した小川の得点力は高いが、古橋のアグレッシヴな動きと比べると、まだまだ見劣りがする。
また、中盤では安井や郷家の成長も期待される。郷家は高校時代の活躍などから見ても、アタッカーにちかい中盤と思われてきたが、ACLでは山口の離脱から緊急でこなした、やや守備的なタスクも柔軟に務めることができた。柏木のように、柔軟性のあるタレントになれる可能性も示したのはポジティヴなことだろう。
9位 清水エスパルス
贔屓のチームゆえに、優勝を信じてサポートするが、冷静に分析すれば、1桁の順位を獲得するのが最初の目標だろう。経営陣、スカウト体制、監督・コーチ陣、選手を大幅に入れ替え、一挙に成功を掴む体制は出来上がっているものの、オリンピック・イヤーということもあり、準備が例年に比べても短いのに加えて、体制の確立が遅れたことは決してポジティヴとは言えない。そのため、例えば、スイスからの加入がほぼ確実と言われているFWカルリーニョスの加入は、まだ正式に発表できる状況にない。
また、エウシーニョが怪我の影響で、チームに合流できていないほか、中盤のダイナモであるヘナト・アウグストも、昨季中の腕の怪我からの快復過程にあり、ボディ・コンタクト以外のところでコンディションは上がっているものの、起用は3月から4月にずれこむだろう。そのほかの選手にも獲得交渉を行っているようではあるが、2月、3月の時期に行われる6試合は、現有戦力によるサバイバルとなりそうだ。
それでもポジティヴな雰囲気に満ちているのは、昨季優勝の横浜FMを現場レヴェルで強烈にコントロールしてきたピーター・クラモフスキー監督の加入が大きいのだろう。システムも横浜FMのミラーとなる4-3-3のアグレッシヴなスタイルに切り替わり、まだ完成には程遠いものの、ドウグラスの高さと尋常ではない決定力に頼った昨季からは、攻撃パターンが圧倒的に増えているのは明らかだ。
ドウグラスのほか、SB松原もベルギーにフリー・トランスファーとなり、年々、タレントを喪っていく現状ではあるが、新任の大熊GMは、それでもサポーターのポジティヴな反応を生むだけの的確な補強策を進めており、クラモフスキーが求めるフットボールのスタイルに、選手たちも懸命に適応しようとしている過程をみると、感動的でさえある。
かといって、結果が出るかは別問題だ。TMでは不用意なミスからの失点も多く、カウンターの対応など、課題も依然として多い。ブラジレイロ・セリエAのセアラーで主力級だったCBヴァウドが加入したが、トリッキーな日本のリーグでの実績はなく、若い立田とのコンビが予想される守備陣の再構築は決して簡単ではない。しかし、GKにはコロンビア王者から、足もとの技術に優れたブラジル人の正GKネト・ヴォルピを獲得するなど、期待感のある補強はできた。
先にも述べたように、先行する横浜FMの戦術完成度には、まだまだ隙がある。清水は今季中における若手の移籍リスクは少なく、スカッドも当初は大きめになっており、カップ戦のターンオーバーにも余裕がある。この強みを生かし、高度なトレーニングで選手たちが覚醒していった場合、ひょっとすればひょっとするという可能性もあるチームに生まれ変わった。
なお、どれほどの戦力になるかは定かでないが、タイでは、わが国のカズ選手のように英雄視されるFWティーラシン・デンダーの加入も話題性がある。移籍元のムアントンFCとも濃密に手を組んだ移籍は、東南アジアにおけるクラブのブランド価値を高めるのにも貢献するはずだ。今冬の獲得は見送ったようだが、タイU-23代表のSBティタトーンの加入などにつながれば、それはそれで面白い。
ティーラシンは一昨シーズン、在籍した広島では1年で6ゴールを記録。後半は重要な戦力とまではなりきれなかったが、それでも、十分にポテンシャルを評価されていたということだ。身長はやや足らないが、スキルフルな選手で、ミートもうまく、ヘッドの技術も高い。実績十分の元エース鄭大世、大分から新加入の精力的なFW後藤などとポジションを争う存在として、期待は大きい。
10位 セレッソ大阪
J2でヴェルディ川崎を指揮したロティーナが就任して、セレッソはキャラ変し、相手よりも多く獲るサッカーから、まずは守備を固めて、手堅くキープしてボールを握る戦術に移行して、リーグ屈指の守備網を築き上げた。その一例として、一昨季まではすこし足らない存在と思われていたCB木本は今オフ、各クラブが狙いをつける人気株となったが、本人は残留を選択した。これは、クラブにとって大きな決断だった。
チームを離れるとみられていた攻撃の要ブルーノ・メンデスも、レンタル延長に成功し、大きな補強がなくとも、チームの基軸はしっかりと残すことができた。ここに、ベルギーではそこそこの得点力を見せ続けながらも、ついに帰国を選んだFW豊川を加え、山形からはスピード感あふれるサイド・プレーヤーの坂元を、桐光学園からは欧州のビッグ・クラブも熱視線を注ぐ若手のタレント西��潤が加わり、前線には厚みが増した。ただし、西川は早い段階で、ビッグ・クラブに引き抜かれる可能性が指摘されている。
タレントが多くとも、起用できる人数が増えるわけではない。ロティーナのフットボールの問題点は、ボールを保持するにしても、攻めが遅いことであり、相手がリトリートしてからの崩しでは、なかなか効果的な攻めは見せられない。セレッソの布陣は、オーソドックスな4-4-2で変わりないだろう。ソウザが移籍したボランチに目立った補強はなく、デ・サバトと藤田が基本線になるとみられており、攻撃面で特徴が出せる面子とはいえない。
すると、攻撃面は前4人でのコンビネーションが中心となる。前線はブルーノ・メンデスを中心に、柿谷、奥埜 、豊川、都倉、鈴木などのオプションがある。サイドハーフは清武、西川、坂元のほか、新加入のルーカス・ミネイロと、残りの攻撃陣から選ぶ。駒は豊富だが、それよりも、前述のようにスピードアップした攻撃が構築できるかどうかが鍵を握るだろう。守備面の安定を生かすための、攻撃のアイディアに一貫性をもたせることが必要だ。
それがうまくいかない場合、自分たちから主導権を握ろうとするチームも増えた中で、どれだけポゼッションの優位を守れるかは疑問に思うところである。10位というのは、あまりにシビアな予想かもしれない。もちろん、うまくはまれば、優勝も狙えるメンバー構成である。
11位 サンフレッチェ広島
城福体制が期待以上のフィットをみせる広島だが、年々、戦力は渋い状態が続いている。昨季の目玉だった攻撃的なSBサロモンソンは、ディフェンス・ラインの中核とはなれずに、期限付きで放出された。昨季途中からFWパトリックもチームを離れ、今季はさらに中盤の汗かき役であった稲垣や、ストライカーとしてそこそこの働きを見せていた渡も放出した。
ハイネルやレアンドロ・ペレイラという活躍選手を、期限付き延長でクラブに残せたのはポジティヴだ。新加入の目玉であるエゼキエウはまだ21歳で、トリッキーな技術をもつようだが、線が細く、まだ州レヴェルでの活躍しか見られない。むしろ、松本から加入した永井龍のほうが、このチームで可能性がある。
フォーメーションは3-4-2-1となり、前線はドウグラス・ヴィエイラを中心に、森島や川辺が掻きまわす間に、サイドのハイネル、柏が入り込んでくる攻撃パターンが強力だ。稲垣を放出したことで、相変わらず、中盤の軸は青山だろう。誰もが認めるクオリティの高いプレーヤーではあるが、年間を通じての活躍は期待できるのであろうか。守備面では荒木、野上を中心とするディフェンス・ラインに、名古屋から櫛引が加わったのは大きい。代表にも召集された大器、荒木の成長も楽しみだが、その分、移籍リスクも嵩む。
スタメンは十分に強力だが、層が厚いとは言いかねる。年間を通しての一貫性ということで、このクラブには脆弱性が見出せる。しかし、そのような状態でも、ここ数年は下馬評をはるかに上回る安定の実績を挙げてきており、それが崩れるはっきりした兆候も見出せない。
戦力の問題以上に、サポーターとクラブの関係は決して良好とはいえないようだ。新スタジアムの建設場所が決まるなど、ポジティヴな要素も出てきた一方で、アウェイ・ユニフォームをめぐっては他クラブとの連携で、日の丸をモティーフにした赤を採用し、伝統的なチームカラー(紫)とは異なるうえに、広島だけに「カープ・カラー」と揶揄されるなど、ゴタゴタが絶えない結果になっている。サポーターからの反対意見も多く出されたようだが、現時点でクラブに変更の意思はない模様だ。
サポが試合をするわけではなく、また、ユニフォームのことでサポがまったく応援を放棄するとも思えないが、ワン・チームとなって戦うのにネガティヴな要素であることは間違いない。
12位 大分トリニータ
昨季は一時、上位を維持するなど、J1昇格年でも片野坂監督の構築する特異なサッカーは十分に通用した。戦力を上回る強力な実績をあげたが、終盤は息切れがみられ、研究もされたのか、中位に落ち着いた。
若いタレント=オナイウの復帰はならなかったが、今季も主力級の移籍はなく、質の高いサッカーが崩れることはない。移籍市場では地味な動きだったが、FWの渡と知念を加え、弱点である攻撃の切っ先に的確な補強がなされた。両者とも厳しい競争やチーム事情のなかで、活躍が限られていたものの、大分ではブレイクが期待できる素材である。仮に彼らがフィットしない場合でも、チームで長くやってきた三平が控えているのは大きい。
さらに、ロドリゲス監督のJ2徳島では、その躍進を演出したMFの野村もかなりのブレイクが期待されている。小塚と組む2シャドーは、野村のほか、軽快な動きとテクニックを誇る町田という可能性もある。サイドハーフには田中と松本というタレントがおり、3バックからも岩田や三竿が機をみて飛び出し、どこからでも攻撃が成り立つ柔軟性のある戦術はピカイチだ。さらに、香川の加入で、4バックのオプションもあり得るようになった。
この状況で、大分を低くみる理由はないが、私の勘が苦戦を告げている。片野坂監督は、これまでやってきたことを、さらに研磨するためのアイディアをもっているのであろうか。グァルディオラの、マンチェスター・シティをみてみよう。多くの指導者が参考にする、あれだけ成熟したはずのチームが、結果的にはまだまだ上位にいるが、リヴァプールとは差を開けられ、歯車が狂うと格下相手にも勝ち点を落とすようになってきた。CLの結果にもよるだろうが、ペップは近い将来、チームの指揮権を失うかもしれないと噂されている。
13位 コンサドーレ札幌
1季を過ごしたメンバー全員の残留は、ある意味では最強の補強である。ペトロヴィッチの号令一下、その荒業をほぼ実現した札幌だが、より攻撃的なスタイルに移行している過程であり、プレ・シーズンではややネガティヴな結果が聞こえてきている。昨季も、大分と同様、前半戦は周囲の予想を上回る結果を残していたが、終盤まで上位に留まることはできなかった。
新シーズンは代表にも定着しつつあるFW鈴木武蔵や、FKを武器とするDF福森などの移籍なども取り沙汰されたが、岩崎を除く、貴重な戦力の保持に成功した。今季はそのベースに基づき、1対1の競り合いを軸とした新しいフットボールが、まったく仕上がっていないようだ。実際の試合をみないとわからないものの、そのキーワードから想像できるのはイタリア/セリエAに所属する、アタランタのガスペリーニ監督を見本とするスタイルだ。
昨季のメンバーでいうと、例えばフィジカルに優れたCBの金眠泰が積極的に、相手前線のボール・ホルダーに食いついた途端、すべての選手が相手と1対1になる形をつくり、オール・コート・マンマークでボールの行く先を塞いだ上、そこで奪ったボールを素早く相手ゴールまで運ぶというアグレッシヴな戦い方だ。激しくボールに食いつき、球際に妥協せず、相手のロストを誘うのが特徴だが、1対1が外れてしまうと、背後に広大なスペースを与えることになり、リスキーでもある。フィジカルの強さと、タフなスタミナに自信がないとできない戦術である。アタランタは、この新戦術で中小の育成型クラブでありながら、国内リーグの上位に浮上するだけではなく、欧州で最高ランクのコンペティションに当たるCLでも、旋風を巻き起こしている最中だ。
正にペトロヴィッチが、全員残留を勝ち取ってこそ、初めて選ぶことができた戦術である。これがうまくいけば、札幌は確かに大きな野心を達成できるだろう。それだけのタレントも揃っているはずだ。ただ、ジェイのように年齢を重ねた選手や、アンデルソン・ロペスのように攻撃的な選手にはハードルが高いようにも思う。福森も1対1ということでいえば、ディフェンス面で甘いのではなかろうか。
誰もやったことがないサッカーに挑戦する!その志は、大いに応援したい気持ちもあるのだが。
14位 名古屋グランパス
ここ数シーズンは他が羨むような戦力を整えながらも、期待された結果とは遠いシーズンを送ってきた。昨季途中で、ついに風間監督を諦めたが、後任のフィッカデンティも、正反対のサッカー観からチームを建て直せたとは言いがたい状況だった。新シーズン、クラブは監督を信じ、続投させた。一方で、攻撃的なチームの構築を命じている。この矛盾が、再び名古屋の足を引っ張るのは目に見えている。
フィッカデンティはイタリアのプロヴィンツィアで指揮を執ってきた叩き上げの指導者で、セリエA時代のチェゼーナでは、その後、インテルで長く活躍することになる長友を抜擢したことで有名だ。その手堅い手腕に注目し、FC東京が日本に連れてきてからはJクラブに定着して、鳥栖でも実績をあげ、この程、名古屋のファイアーマンに指名された。いずれも守備に軸足を置いたチームづくりであり、攻撃的なスタイルには挑戦したことがない(イタリア時代はわからないが)。
戦力的には、さすがにトヨタ・マネーが効いており、既に一流のものを揃えていて、今冬は比較的、控えめだが、十分なものを維持している。一線級の選手ではジョー、長谷川のバックアップで、質のいい活躍を見せたFWの赤崎と、スキルフルなサイドプレーヤーとして、様々な高さで起用された和泉が、チームを後にしている。さらに、若手のDF櫛引と、経験豊富なSBの金井が放出された。
一方で、横浜FMでは怪我人の穴を埋め、優勝にも貢献したマテウスがレンタル・バック。五輪代表候補の攻撃的なタレントである相馬も鹿島から戻ったほか、湘南からは精力的なポスト・プレーヤーの山﨑、川崎からは気の利いた動きができる「優勝請負」MF阿部、広島からも足を止めない守備的な中盤の稲垣という特徴あるキャラクターを次々に入手した。昨季の戦力と合わせ、強力なスカッドが完成したのは間違いない。
攻撃面では常にJのトップに位置するFWジョーの決定力と、際立った攻撃センスをもつガブリエル・シャビエルの存在感が大きいが、ジョーは現時点で故障しており、年齢を重ねた彼と、安定感を欠くシャビエルは、年間を通して計算できるアタッカーとまでは言えない。それに加え、昨季は前線で大きく成長し、これら2人をあるいは越える存在感を放っていた長谷川アーリアジャスールも、しばらく戦列を離れることになりそうだ。
新加入の山﨑と、突破力のある前田に、阿部、マテウス、相馬が加わるユニットは十分に頼りになると思われるが、ここへきて、LSBにも不安が出てきた。このポジションにも適応できる金井は清水に新天地を求めたが、残ったメンバーに怪我が相次いでいるのだ。この状況では、昨季の川崎のように、中盤の選手の偽SBとしての起用も考えられる。例えば、阿部はそのような役割をこなすことができる柔軟な能力をもっているはずだ。
CBも含め、後ろはやや手薄な印象だ。風間時代と比べ、フィッカデンティが就任してからの名古屋のポゼッションは悪かった。その反省を踏まえて、主導権を握る攻撃の構築が、このあたりの弱点をカヴァーするはずである。しかし、それならば、もっと適任の指導者がいたのではなかろうか?
15位 湘南ベルマーレ
湘南、鳥栖、仙台、横浜FCが、今季のボトムにちかいと思われる。それぞれにネガティヴなポイントがあるが、湘南の場合は攻守の要であったDF山根と、FW山﨑の離脱が痛すぎるのは確かだろう。ただし、FW岩崎や、MF茨田と福田、三幸、CB大岩、SB馬渡など、計算できる補強は十分にできた。
浮嶋監督は、問題になった曹元監督とは対照的に、人柄は優しめの指導者と思われる。ただし、湘南が一時代を築いたブートキャンプ方式を捨てるとは思えない。他サポからすれば、「浮嶋さんって誰?」という感じだが、横浜FCと湘南で長く育成のほうに携わってきた。そのステイタスで、難しい時期の指揮を執り、そのままの指揮権が認められたのだから、素材はしっかりしている。
新加入のタリクはノルウェー代表ではあるが、実は北アフリカの生まれで、典型的なノルマン人種のように長身ではないため、2トップの確立を探っている。茨田や三幸といったメーカーがいるため、トップだけではなく、サイドからの侵入が攻撃の鍵を握ると思われるのだ。
特に攻撃の構築は難しく、守備にも難しい点はいくつかあるが、清水との最終チェックでは手ごたえを感じたようだ。正直、自分たちでも、どれだけ通用するかは予測できないところが大きいのだろう。しかし、パワハラ監督のほうがよかったと言われたくはない。これまでのシーズン通り、クレヴァーに勝点を獲得していってほしいものである。
16位 横浜FC
横浜FCはPO圏でも、自動降格は免れると予想する。戦力は、確かに見劣りする。だが、下平監督は十分でないリソースを十分に生かして、難しいJ2を2位で通過させ、その戦いぶりには安定感があった。
J2では安定的に得点しながらも、J1から声が掛かることはなかったイバのようなストライカーが、J1でどれほど活躍できるかはわからないが、転じて、一美の獲得は間違いなく大きい。中盤には、技術のしっかりした手塚を加え、爆発的なスピードをもつSBのマギーニョも、期限付きで獲得した。水戸から個人昇格した志知も質のいい選手と聞いている。
カズ、俊輔、松井、レドミなどの昔の名前で出ている、話題性のあるメンバーは、あまり戦力にはならないだろう。俊輔がトップ下で起用されるとの報道もあるが、俄かには信じがたく、年間を通じた一貫性も期待できない。しかし、その場合はハーフウェイよりやや前方に位置して、精確なロングボールでサイドを混乱に陥れるか、逆にサイドに開いて、斜めに中央のターゲットを狙う戦術が予想できる。
一方で、GK六反は精神と肉体の不調であるオバトレから快復してきており、十分な戦力になり得るはずだ。清水での好調期のパフォーマンスを考えれば、重要な補強であった。カズにも似たストイックな姿勢をもち、若手への影響力も大きい選手だ。
問題は、チーム全体の運動量であろうか。J1のハードワークは、J2のそれと比べても、はるかに質が高く、タフなものが求められるからだ。それに耐えられるだけの選手が揃っているのかどうか。
メンバーも大きく変わり、下平監督にはまた難しいミッションが待ち受けている。しかし、柏時代にはJ1屈指のマネージメント能力を示し、不幸にして、レイソルのJ2降格の起点にはなったものの、その実はACLへの対応で不調だった早い時期に、クラブが我慢しきれなかったことが大きかった。フリューゲルス消滅から13年。それとはまったくちがうチームの内実にはなっているものの、多くの人が心密かに気にかけているクラブであることに変わりはない。
17位 サガン鳥栖
ネットゲーム大手のサイゲームスの撤退に次いで、DHCがスポンサーから撤退し、それに代わる大きなスポンサー契約は結ぶことができなかった。フェルナンド・トーレス獲得というお祭り騒ぎを頂点に、鳥栖の陣容は大きく厳しさを増してきている。昨季は最終戦で清水に敗れ、最後は他力本願ながら、POを戦わずに済んだ。
今季も重要なタレントの多くを喪ったが、フロントもできるだけのことはしてきている。攻撃面では強烈なキックをもったチアゴ・アウベスを残留させ、金森も完全移籍で獲得し、チームに残留させている。LWGのクエンカや、攻撃的な位置でポリヴァレントな働きをみせる小野を喪ったのは大きいが、鹿島で一世を風靡したFW金崎や、ハートの強いクラブの象徴であるFW豊田がいるほか、ウイング的な動きが鋭い安庸佑なども残留し、アタッカー陣は十分に強力で、ヴァリエーションが揃った。
サイドプレーヤーとしては小谷松を獲得、最終ラインに神戸の宮を獲得するなど、目を惹く加入も演出した。GKは足もとの自信がある高丘が昨季、躍進をみせたが、���本から加入の守田も「1番」をつけ���熾烈なレギュラー争いがみられる。
これらのタレントを、金監督がブート・キャンプ方式の厳しいトレーニングで鍛え上げて、戦力を整えていくことになると思う。カレーラス体制に始まり、どん底に落ちた状態から、昨季、クラブをJ1残留に導いた金の指導力は十分、評価に値する。厳しい状況にもかかわらず、勝点を稼ぐ武器は十分に豊富といえる。中位進出はぐらいなら、やりようによっては可能性のある戦力とみている。
18位 ベガルタ仙台
戦術家の渡邉監督を切り、隣のJ2山形から木山監督を引き抜いて起用した。あくまで攻撃的なサッカーを志向する前監督の継続を選ばず、より現実的な選択がよいとする判断だ。内情はわからないが、フロントと監督の間で、深刻な齟齬があったように見受けられる。木山も、前監督と同様にクレヴァーなチームを構築するが、やや守備的なことは否めない。
攻撃的なサッカーがすべてのクラブにマッチするわけではないが、今季のトレンドをみる限り、仙台はかなりの我慢を強いられるはずである。
才能ゆたかなプレーヤーであったSB永戸がステップアップし、昨季のキャプテンを務めた大岩も、他チームへと去った。補強も渋いが、FW赤崎と、DF浜崎の加入は、ポジティヴである。ベストメンバーをみると、十分にものになる戦力が整ったとみるべきである。堅い守備を武器に、前線は絶対的な高さを誇る長沢の落としに、ジャーメインやクエンカが反応する。これらのタレントの決定力は、決して見劣りしない
しかし、ここにきて、その鍵となる長沢とクエンカの離脱が明らかになった。赤崎やゲデスもいるが、当初、構想した戦術は採れないかもしれない。ただ、赤崎を中心に、道渕、中原、石原、椎橋、松下らが掻きまわす布陣は、相手にとって、かえって厄介かもしれない。
J1チームとして、恥ずかしくないだけの戦力は揃えてきた。横一線のサバイバルに、自信をもってチャレンジできるはずだ。
1 note · View note
scuderialice · 5 years
Text
2019年 F1がオーストラリアで開幕
2019年のF1シーズンが、メルボルンのアルバート・パーク・サーキットで幕を開けた。
Tumblr media
エンジン・メーカーの変更、チーム体制の変化、ドライバーや上級スタッフの移籍、ルーキー・ドライバーの参入などが多く、話題豊富な開幕戦だったが、下馬評を覆して、メルセデスAMGが圧勝を飾った。昨季の圧倒的な成績から、私としては予想どおりだが、スクーデリア・フェッラーリのバランスを欠いた走りには失望感が広がった。レース序盤にアンダーカットを狙ったセバスチャン・フェッテルの動きは、確かにスタートで遅れて2番手に後退した昨季チャンピオンのルイス・ハミルトンからチャンスを奪ったが、トップ効果で快適にラップを重ねたヴァルテリ・ボッタスの圧勝劇をアシストしただけだった。
結局、機能しないソフト・タイヤで長いラップを続けねばならなくなったフェッテル車は、追い上げるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンのフレッシュ・タイヤに対抗できず、4番手に後退。さらに後方から、硬いタイヤで追いついた移籍組のシャルル・ルクレールにチーム・オーダーを発動して、ようやく4位を確保するていたらくとなった。ルクレールは一旦、後方に下がり、最後のラップで急速に接近して、本来のポジションがどこにあるかを軽く訴えてみせた。
もっとも、アルバート・パークの公道コースは特殊な環境であり、専用のコースに移って、同じ結果になるとは限らない。しかし、例年のペースでいえば、フェッラーリがプレ・シーズンでは先行し、メルセデスがヨーロッパ・ラウンドから終盤戦にかけて、開発を進めてくる構図だっただけに、ファー・イースト・ラウンドから不利を強いられる展開は、いささか失望感が深い。
レッドブル・ホンダは、そのフェッテルをオーヴァーテイクしたフェルスタッペンがポディウムを獲得し、ホンダ・パワーユニットが随所に強力なパワーを示して、ポジティヴな開幕戦となった。もっとも、メルセデスとの差は大きく、ホンダの強さが、逆にメルセデスとの大きな差を痛感させる結果になってしまったことも否めない。エイドリアン・ニューウェイを中心とする空力主体のチームは、それを含む総合的な車体開発力に優れたメルセデスに遅れをとっている印象だ。
また、戦略面でもレッドブルのフレキシビリティのなさは悪目立ちした。まず、予選Q1においては、トラック・コンディションの急激な改善を読むことができず、2回目のアタックをおこなわずに、ガレージ内に止まったピエル・ガスリー車をノック・アウトさせる結果となった。昨季までの展開であれば、ガスリーのタイムは盤石だったが、ラップタイムの推移を隙なく見張っていれば、素人でもわかる範囲の判断ができなかったのは大きな問題だ。
また、本戦においても、ガスリー車は前を行くクビアト車に進路を阻まれながら、ミディアム・タイヤで長い周回を続け、全車中の最後にピット・ストップをおこなったが、その結果、再びクビアト車の後ろに戻ることとなり、以後、オーヴァーテイクもできずに開幕戦をノー・ポイントで終えてしまう。
クビアトがピットに入った時点から、何周かの間、ガスリーには選択の権利があった。このレースでは、ソフト・タイヤのロング・ランが機能せず、後半、ミディアム、もしくは、ハードでも遜色ないラップを刻めることが、他車の走りで明らかになっていた。もしも早い段階でハード・タイヤを装着して、クビアトの前に出れば、少なくとも1-2ptの獲得が可能であったはずだ。反対に、レッドブルは当初の戦略どおり、ソフト・タイヤに変えられるウインドウを待ち、すべてを失った。
このような戦略ミスが起こるようでは、レッドブルはメルセデスが何らかの困難に見舞われ、フェッラーリも揮わないときの、僅かなチャンスを生かすことができないだろう。
3強以降では、やはり、ハースが先行しているが、ピット・ワークを含めて、依然として不安定なチーム事情が残る。その後ろのチームは団子状態であるが、多分、ザウバー、ルノー、マクラーレン、レーシング・ポイント、トロロッソの順に速そうだ。総じてフェッラーリのパワー・ユニットはカスタマー・チームでも強力に機能し、ホンダもトロロッソの速さに貢献しているが、メルセデス・パワーユニットはワークス本体のみに特化され、カスタマーに入れても難しいという結果が歴然としている。ルノー勢は可もなく、不可もなしだ。なお、ルーキーのラッセルと、復活のクビサを乗せる名門ウィリアムズだが、残念ながら、レースの埒外に止まっている現状は嘆かわしい。
マクラーレンは、もうすこしポジティヴな結果もあり得たかもしれない。カルロス・サインツ車はPUトラブルにより、車体が燃えてしまったが、前評判の高かったルーキーのランド・ノリスは予選から好結果をもたらし、本戦でもまずまずのラップを重ねた。タイヤ交換後、アントニオ・ジョヴィナッツィに道を阻まれたトレインの1台となって、チャンスを損なったが、ここ数シーズンのなかでは出来のよいクルマを手にしている可能性がある。
Tumblr media
開幕前の話題性の高さからすると、やや腰砕けの印象は否めないが、とにかく新しいスタートが切られた。先に触れたノリスの活き活きした姿が、新しいトピックスの中ではもっとも印象深いものになった。また、キミ・ライコネンはザウバーでなかなかのペースを発揮しており、快適な環境で活躍しそうだ。ダニイル・クビアトも、やや非力なトロロッソを戦闘力あるマシンに変えている。
問題は、ルクレールの処遇だ。目下のところ、フェッテルでチャンピオンを狙うフェッラーリの対応は、この若く、有望なタレントの可能性を損なう可能性があるからだ。フェッテルのポイントを奪うことになっても、ルクレールに先行させたほうが、チーム力は高まったのではなかろうか。人柄のよかったマウリツィオ・アッリヴァベーネに代わり、技術畑の優位を主張して新代表となったマッティア・ビノットだが、チーム・マネージメントには冒頭から、やや禍根を残す結果となった。
0 notes
scuderialice · 5 years
Text
サッカー J1リーグ 順位予想
Jリーグは、ゼロックス・スーパーカップを前年リーグ王者のフロンターレ川崎が獲得し、いよいよ開幕を待つばかりとなった。昨季は長崎と柏がJ2に降格、入替戦にまわったジュビロ磐田はヴェルディ川崎を下して、1部残留を決めた。
以下、順位予想をおこなうが、基準は戦力、戦術、その他の条件によって総合的に判断する。自分自身は清水エスパルスを愛しているが、なるべく客観的に分析した。
1位 フロンターレ川崎
ほとんどの人が、川崎による3連覇の可能性がもっとも高いと考えているだろう。チームとしてのIQが高く、多少の選手の入れ替わりには即座に対応する柔軟さが抜きん出んているからだ。今季は毎年、ベスト・イレブンに選出されてきたRSBエウシーニョが清水に移籍したものの、もう片方の翼である車屋が好条件のオファーを蹴って残留したのが大きく、ブラジルから強力なFWレアンドロ・ダミアンと、エウシーニョの後釜マギーニョを獲得し、チーム力はむしろ向上した。
厳しいACLと重なる序盤の戦いには昨季も苦労したが、日本代表にも選出されたボランチの守田がさらに一成長をみせ、中村憲剛、家長といったベテランも良い位置を保持している。基本フォーメーションは3-5-2をベースとしたポゼッション重視、可変型。鬼木監督は独自の戦術を開拓したわけではないが、選手のコミュニケーション能力を引き出し、的確なバランスを構築している有能な指揮官であり、ひきつづき、チームをよい方向に伸ばしていくことができるだろう。
2位 鹿島アントラーズ
2位以下は実力が接近しているが、一応、鹿島を上位にみる。植田につづき、昌子が海外へ移籍し、DFラインは韓国代表の 鄭昇炫を中心に、犬飼と、下部組織出身の町田がレギュラーを争う形となった。町田は将来が楽しみな逸材だが、まだ経験は十分でなく、清水から移籍して2年目の犬飼は思ったほどの成長がないため、守備はSBやボランチとの連携で補うことになる。 フォルス・サイドバックの動きで相手を翻弄したSB西も引き抜かれたが、SBは人材が豊富で、その点で困ることはないだろう。
一方、攻撃陣は厚みを増しており、若い安部が日増しに成長をみせており、横浜から獲得の伊藤に加え、不動のエースである鈴木優磨が復帰してくれば、リーグでも屈指の攻撃陣が揃う。2列目に土居やセルジーニョといった危険なアタッカーが控えており、守備の構築がうまくいけば、川崎を追う存在になり得る。ACLをたたかう戦力も整っており、安定感のある大岩監督の手腕から大崩れはなさそうだ。
3位 ガンバ大阪
昨季は前半の不調が重荷となったものの、指導経験の少ない宮本監督が予想外の働きをみせ、就任後は破竹の連勝をみせてベスト・フォームに復帰した。ガンバは欧州移籍でも十分にやれそうな韓国代表のFW黄義助の残留が大きく、アデミウソンなどとのユニットはリーグ屈指の破壊力で、わかっていても、止められないレヴェルである。
DF出身の宮本監督だが、不安はむしろ、後ろにあるだろう。昨季の守備陣を支えたファビオが離脱し、代わりに韓国代表のDF金英権や、タイでプレーしていた青山を補強し、DFのテコ入れを図っているが、守備陣の連携には課題が残りそうだ。また、中盤はベテランの今野次第という状況が続いており、彼のコンディションがチームの攻守にわたって、大きな鍵を握りそうなところも不安定要因だが、司令塔を務められる小野瀬の加入で、大分、負担が少なくなった点は評価したい。
宮本監督は現役時代のクレバーさを、指導者としても十分に発揮していけそうなところをみせていたが、今季こそは試金石となるだろう。
4位 コンサドーレ札幌
昨季はペトロヴィッチ監督がその有能な手腕を、改めて証明してみせた。日本代表選手がひとりもいない小粒なメンバー構成のなかで、年間を通して堂々たる戦いをつづけ、結局、年間4位という好成績で周囲を驚かせた。選手のタスクをはっきりとさせ、メンバーが活き活きとプレーしており、新しいミシャ・チルドレンたちが躍動する。���ャナティップも大きく覚醒し、タイでもっとも輝ける選手となった。
レンタルの三好、そして、チームの顔であったアタッカーの都倉を喪ったものの、アンデルソン・ロペスや、昨季、長崎で大きく飛躍した快速FWの鈴木武蔵を加え、むしろ、攻撃陣は厚みを増した。ジェイの老朽化は年々、懸念材料だが、昨季はタスクが限定され、その前の年よりも活き活きとしたプレーぶりを見せており、今季も目立った変化はないと思われる。
チームは安定した観客動員を記録し、補強にも積極的な動きを見せたことから、よく走り、効率的にプレッシャーをかけながら、攻守にわたる厚い連携を布くミシャ式は、さらに磨きがかかることが予想される。あと一歩のところでACLを戦う権利は得られなかったので、リーグ戦では昨季同様、マイペースに日程を進めることができるのも、好結果に結びつくだろう。
5位 FC東京
昨季は強いときと、弱いときの波が大きく、チームのポテンシャルを生かしきれない1年だった。長谷川監督のコンセプトはシンプルだが、チームの支柱となる選手が欠けていることで、精神的に弱さがあるように思われ、それは今季もさほど変わらない。戦力的には相変わらずのトップ・クラスを維持するものの、補強面はガチャガチャしており、米本、田邊といったDMFの放出に対し、攻撃陣中心の補強には疑問符がつく。
もっとも、圧倒的なスピードのある永井と、決定力の高いディエゴ・オリヴェイラの2トップは十分に破壊力がある。反面、代表で成長の見られた室屋は好材料だが、後ろの重さは否定しがたい。ボランチと、バックが、強力な前線とバランスしない場合、また不安定な戦いを強いられるだろう。 高萩は攻撃面ではアイディア豊富はプレーヤーだが、橋本の負担が多そうである。 ACLの日程をこなす必要があり、手薄な東京は大きく順位を下げる可能性もある。
6位 清水エスパルス
われらが清水エスパルスは、6位予想とした。昨季、チームを牽引したドウグラスが不整脈を患い、既にグラウンドには戻ってきたものの、活き活きとしたプレーをいつから披露できるのかはわからない。
敏腕と言われた久米GMが昨秋、天に召される予想外の事態もあったが、後任の大榎らが健闘し、FWエウシーニョ、DMFヘナト・アウグスト、CBヴァンデルソンというブラジル・トリオに加え、昨季は長崎で活躍したサイド・プレーヤーの中村慶太を獲得するなど、的確な補強がみられた。プレ・シーズンでは昨季、習熟した4-4-2の布陣に加え、3-6-1のシステムが成果をあげていると聞いており、ベテランと若手が噛み合い、チームワークの良さも窺える。日本では1部リーグでも、「湘南スタイル」に象徴されるハードワークと連携に頼るチームが多いなかで、清水はヤン・ヨンソン監督を招聘し、欧州から先端的な戦術を導入することで、アドヴァンテージを築いてきたが、その差はさらに拡大しそうだ。
酷暑の中東で、森保ジャパンで多く起用された北川のコンディションは気になるし、ドウグラスのこともあり、スコアに直結する前線の出来はチームの調子をそのまま左右するが、昨季リーグ2位だった得点パターンは明らかに増えそうで、上積みのほうが大きい。チームの不調時と比べ、3バックでも、4バックでも、後ろの重さは解消されており、さらなる上位進出の可能性も十分に秘めている。
7位 浦和レッズ
戦力的には充実しているが、守備面では槙野の衰えが気になるところだ。昨年の序盤は代表でも安定した実力を発揮したが、WCとリーグ戦における1年の激闘を経て、今季のアジアカップなどは不甲斐ない場面が多かった。柏から鈴木大輔を補強し、その点でのカヴァーは用意されているものの、最終ラインのコマ不足は否めない。
鹿島で輝かしい実績を挙げたオリヴェイラ監督だが、安定したチーム力を織り上げていく手腕に疑いはないとしても、以前と比べての戦術的なブラッシュ・アップは期待できず、旧型で、オーソドックスだ。それだけに、多彩な戦力を使いきれるのかというところには疑問も多い。
代表クラスのSB山中の加入はインパクトがあるが、マリノス時代の4バックとは異なり、レッズは3バックの布陣であり、これまでとはちがう役割を求められ、的確な補強だったかはわからない。DF鈴木、FW杉本の補強は、槙野、興梠といったベテランのバックアップの意味しか持たないだろう。顔触れだけをみれば、豪華な補強だが、チーム力を上げるには不十分といえるのではないか。
8位 横浜Fマリノス
昨季は攻撃面の構築に、1年をかけた。決定力の高いウーゴ・ヴィエイラに見切りをつけたが、天野を中心に、仲川、遠藤に加え、三好、李が絡む攻撃陣は爆発力を保っている。チアゴ・マルチンス、ドゥシャン、畠中の守備陣を再構築し、バランスを確立することが課題となるが、2年目のポステコグルーは、ある程度の成果を挙げるだろう。キーマンは、扇原だ。
9位 ベガルタ仙台
財政面で苦しい運営がつづき、主力を残留させることも難しかったが、それでも、最低限、必要な戦力を残すことができた。 渡邉監督は研究熱心に、戦術面でのブラッシュ・アップを図ってきたが、今季はさらなるハードワークに活路を見出している。難しい舵取りはあるが、大崩れはないと予想する。
10位 大分トリニータ
昨季、J2の後半戦で猛チャージを見せた実力は、今季の1部でも通用しそうだ。高度な戦術を組織する片野坂監督は昇格後、戦力面で的確な入れ替えを行い、限られた予算のなかでも戦えるチームを組み立ててきた。得点パターンが多く、実力以上に選手が躍動している。序盤、粘って勝ち点を積み上げることができれば、上位進出にも可能性を残す。
11位 ジュビロ磐田
昨季は入替戦まで回ったが、そのときに深まったコミュニケーションがチームのIQを大きく向上させた。今季、目立つ補強もなかったが、昨季中に監督の望む要素は揃えており、考えようによれば、他のチームよりも早くチーム力を高めていける環境が、新しいシーズンに向けてはプラスだった。昨季、故障に泣いたアダイウトンの状態が戻り、LSBエレンを絡めたサイドからの攻撃、そして、新戦力のルクセンブルク代表FWロドリゲスも一定の活躍が見込めそうで、少なくとも、中村らのベテランがまだフレッシュな前半戦のうちは、好戦を展開できるだろう。
12位 名古屋グランパス
FWジョーが得点王に輝いたものの、風間監督の率いるグランパスは2年目も残留争いギリギリだった。トヨタ自動車をバックにもつJ1きっての裕福なクラブは、昨季中のテコ入れ分も含めて過剰な投資をおこなっており、ACL出場チームかと見紛うようなスカッドを抱えているが、出場できるのは11人で変わらない。風間監督の手腕は、川崎時代ほどには光っていない。組織化は非常に遅れており、旧型だ。目立つところよりは、SB吉田、DMF米本のような渋い補強が光るが、生かしきれるだろうか。
13位 ヴィッセル神戸
ビッグネームの補強が話題を呼んでいるが、ポドルスキ、ビジャ、イニエスタの3人が揃って出場するようなら、広いフィールドはスペースだらけになるだろう。リージョ監督は藤田、伊野波というベテラン選手から新しい持ち味を引き出したが、彼らも去り、山口蛍は有効な補強にみえるが、不十分だろう。昨季終盤の乱闘騒ぎをみても、監督はリーダシップに欠け、イニエスタがチームを操ることで開かれた選手のための楽園は早晩、瓦解するだろう。小川慶、古橋、郷家のポジションを確保することが、夢を現実にかえる唯一の道だ。
14位 湘南ベルマーレ
昨季はタイトルも獲得したが、リーグ戦は苦しい結果がつづき、「湘南スタイル」には一定の評価を与えることができるが、1年を通して、安定した戦い方だったとは言いがたい。選手の入れ替わりが激しいが、曹監督なら、ある程度のクオリティは間違いなく築いてくるだろう。今季はいちどはチームを旅立っていた選手たちも戻ってきて、ファンにとっては嬉しいシーズンになると思う。ただ、経営悪化のライザップからの支援も多くは期待できず、大きく順位を押し上げる要素は見当たらない。
15位 サンフレッチェ広島
昨季は序盤、首位を独走したが、最終的に2位を守ったものの、後半は勝ち星に恵まれずにシーズンを終えた。城福監督は長きにわたってチーム再建に有効な手立てを打てず、その手腕には疑問が。新スタジアム構想はまとまったが、チーム運営も難しく、補強にも苦労している。野津田、皆川、清水が戻り、ファンにとっては愛着のわくシーズンだろうが、ACLを戦わねばならず、昨季は前半につくった貯金を吐き出すことになれば、降格争いの可能性も小さくはない。
16位 セレッソ大阪
昨季の主力であるFW杉本、MF山村と山口がチームを去り、かつての人気チームは退潮傾向にある。ロティーナ監督はヨーロピアン・スタイルを手に収め、スペインで相当のキャリアを積んできたが、ボール保持に定評のある反面、やや攻撃が遅く、昨季、率いたヴェルディも6位になったにすぎない。恐らくロティーナのカリスマ性の下、イヴァンコーチが戦術面を更新している。IQ低いチームが生まれ変わる条件は整っておらず、降格候補だ。
17位 サガン鳥栖
フェルナンド・トーレスと、友人のカレーラスに乗っ取られたチーム。金崎の残留はこころづよく、クエンカの補強も悪くなく、攻撃面での怖さは残っているが、サイゲームスの投資がおわり、バランスを欠く構成は否めない。良くも悪くもトーレス次第のチームにしてしまったのだが、GK権田をはじめ、SB吉田のような象徴的な選手をはじめ、 DF金敏爀、FW田川などのタレントを放出し、さほど実績のない監督に率いられるチームの行末は不安だ。
18位 松本山雅
山雅が一応の最下位予想になったが、降格が必至というほど脆弱なチームではないだろう。長期政権を築く反町監督は堅固に助け合う頑丈なチームを作り上げており、選手層もJ1仕様に耐え得る選手たちに入れ替えた。その守備力はどのチームにとっても困難で、簡単に勝ち点をあげられるような相手ではない。10位ぐらいまでは可能性がある。
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
マンフレッド・ホーネック~日本市場から消えた指揮者たち vol.4
マンフレッド・ホーネックは、時代を彩るライジング・スターのひとりとして、読響に多く登場した。当時、私が接したなかではホーネックのほか、フランソワ・グサヴィエ・ロト、そして、下野竜也が次代を担うであろうという評価になっていた。彼はウィーン・フィルのコンサートマスターを務めるヴァイオリニストのライナー・ホーネックの兄としても知られ、モーツァルトを中心としながらも、多彩なプログラムに、ときにはひと工夫を施して取り組んだものだ。
youtube
順調に共演を重ねて、レギュラー・メンバーのひとりとしても親しまれつつあったが、そのホーネックの評価を悪い意味で一変させる公演があった。それは2007年に、東京芸術劇場でおこなわれたマスカーニの歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』の上演(演奏会形式)である。
この公演はそれまで、どちらかというと贔屓にしていた私の目からみても、事実、酷い出来であり、ホーネックの作品に対する理解も低そうだった。 例えば、そのことは芸劇には立派なオルガンがあるにもかかわらず、それを用いないという些事にも表れていた。 楽団からのリクエストだったのかもわからないが、なぜ、この演目だったのだろうか。日本のオーケストラ・コンサートでは珍しく、終演後は称賛にまじり、ブーイングも飛び交うことになり、彼の日本での人気と名声に瑕をつけることになった。あるいは、彼自身にも(日本のオーディエンスに対する)悪い印象を与えたかもしれない。
彼の最後の客演がいつだったか、いま、資料が整っていないが、次のシーズン以降、ホーネックが日本の指揮台に立ったような記憶はないのだ。
これと入れ替わるようにして、弟のライナー・ホーネックは日本との関係を深め、まずはヴァイオリン奏者として多くの感動をもたらし、指揮者としても深く尊重されるようになっていく。紀尾井室内管でポストを得るなどして、最近も定期的に来日を重ねている間柄だ。
マンフレッドのほうは海外で、その後も次々にポストを得たものの、あまり長続きせず、キャリアは一時、停滞したが、米ピッツバーグ響で多くの実績を挙げて長期政権を築くなどのベースができてからは、欧州でも順調に推移しはじめた。
現在、動画等で確認できる音源をいくつか見直してみると、彼を見限った日本の客席の反応が正しかったかどうかは、微妙なところである。非常にゴージャスな組織をダイナミックにまとめる才能は素晴らしく、自ら編曲などにも手をつけて、相変わらず工夫を凝らした公演をつくる才能を発揮している。反面、時折は響きの厚みにもたれかかった、やや不用意なフォルムを露呈することがある。
youtube
最後の動画は、グレゴリアン・チャントとモーツァルトの作品を交互に演奏し、レクイエムにつなぎ、その絶筆部分(ラクリモサ)から再びグレゴリアン・チャントを歌って、静かな鐘の音で締める入り組んだ構成になっている。終曲の聖歌はアカペラでなく、薄く管弦楽による伴奏がついているのだが、ホーネック自身による編曲かもしれない。
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
バイロン・フィデツィス~日本市場から消えた指揮者たち vol.3
ギリシアの指揮者、バイロン・フィデツィスは2007年と2009年に山響を指揮して、高評を得た結果、多分、同団を率いる飯森範親の紹介によって、2010年の東響の演奏会に出演する予定だった。しかし、その公演が氏の病気でキャンセルとなってからは、日本に来ていない。
youtube
フィデツィスは1945年生まれで、アテネ国立管のチェロ奏者として、キャリアを始めたようだ。程なく指揮者に転向し、母国ギリシアのアテネやテッサロニキ、それに、ブルガリアなどでキャリアを築いたが、あまり国外では知られていなかったのだろう。共産圏で内向きに閉じ込められた指揮者ということでは、第2のエリシュカという雰囲気になっていた。
フィデツィスのホームページを訪問してみると、パヴロス・カレール  Pavlos Carrer 、スピロース・サマラス  Spyros Samaras、マノリス・カロミリス   Manolis Kalomiris、ディミートリ・ミトロプーロス Dimitris Mitropoulos、ニコス・スカルコッタス  Nikos Skalkottas、という5人の作曲家の肖像画が掲げられており、現在ではイオニア大学の評議員として、これら祖国を代表する作曲家らの研究に力を入れているようだ。
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
ドリアン・ウィルソン~日本市場から消えた指揮者たち vol.2
ドリアン・ウィルソンは、1994年の東京国際音楽コンクール〈指揮〉で第2位に入るなど、日本とも縁のあるアメリカ人の指揮者。2006年に群響に初登場して、リムスキー・コルサコフの交響組曲『シェヘラザード』などで話題を浚い、2年後の定期はチャイコフスキーの交響曲第1番などのプログラムで録音もされた。このディスクには私も注目し、所有しているが、なかなか上質な一枚である。いつか東京でと思っていたが、その願望は叶わずにおわった。
ウィルソンの群馬での成功は特別なものにみえ、当時の音楽監督であった高関健と交代するか、何らかの形でポストを得ると思われたが、そうはならなかった。群響との共演は2度に止まり、その後も東京シティフィルや名古屋フィル、広響に呼ばれ、なかなかの売れっ子ではあったが、2014年の広響が最後の来日となったと思われる。
アメリカ国籍のようだが、ロシアものを得意とするほか、基本的には経験豊富な劇場指揮者である。一時期、ペテルブルクでポストをもったときの、美しいホールで指揮する動画がみられる。 ただ、最近の消息はホームページもなく、あまりよくわからない。私が検索したところでは、昨年、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場での指揮機会があったことがわかっており、恐らく、中小の劇場で活動を続けているにちがいない。
youtube
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
アンドレイ・ボレイコ~日本市場から消えた指揮者たち vol.1
日本の楽団を指揮した方で、なかなか好評だったが、その後、呼ばれなくなった人たちがとても気になる。欧米での仕事が多忙になった、招聘にかかる fee が高騰した、楽員や客席からのウケがよくない、本人の日本の楽団に対する印象がよくないなど、理由は様々であろうと思う。
内情は知らないが、顔を売るために、最初は安い fee で仕事を受けるが、それ以後、定期的に呼ぶときには高い fee を要求するというような習慣があるのではないかしら。 そうとわかっていても、日本の楽団はシーズンを新しい顔で埋めることも必要だし、アーティストの側も「その先」がある可能性は低いとしても、スケジュールに余裕があれば、むげに断ることもないわけだ。
日本で仕事をすることは多分、欧米でのキャリアに花を添えるようなプラスにはならないし、移動の時間もかかる。いまだにCDが売れる稀有な市場などという事情はあるとしても、マーケットとして、決して有利ではない日本を重視するアーティストは、今日、さほど多くないといえるだろう。
もっとも、日本の楽団のポストに就けば、GMDとしての仕事が大部分、事務局にいっている日本での役割は比較的、負担が少ない。支援を求めて頭を下げたりする仕事が少なく、音楽的な面だけでのつきあいでGMDとしての評価や報酬が得られるのは悪くない。逆に、故ジェイムズ・デプリーストのように、楽団のためなら何でもするといった献身的なマエストロにとったら、実際に尽力できるような場が少ないのは不満だったかもしれない。
この企画の初回に紹介するアンドレイ・ボレイコは初め、いまから十数年前に東京交響楽団へ登場し、初回で首尾よく好評を得たあと、連続で起用され、次にN響を指揮して、プロコフィエフの交響曲第5番の名演を繰り広げて深い印象を与えたが、客席の埋まり方には東響での好意的な評価が反映されておらず、その後、日本市場から消えてしまったのだ。
youtube
この映像は、2014年のもの。ソリストのカーティア・ブニアティシヴィリの存在感が際立っているが、オーケストラも緻密に構築され、分厚くゴージャスな音楽をつくっている。
この9月には、ワルシャワ・フィル次期音楽監督への起用が報じられ、相変わらず、中堅クラスで非凡な実力を発揮しているアンドレイ・ボレイコの思い出である。大体、オーケストラは3年=1クールくらいで指揮者と契約を結ぶが、ボレイコは大抵、5年くらいで席を譲っている。ベルン響やデュッセルドルフ響、ベルギー国立管などで実績を挙げてきた。レパートリーはロシアの近代ものを中心としながらも、古典派からコンテンポラリーまでカヴァーするコンサート指揮者である。
マネジメントのページ:
https://imgartists.com/roster/andrey-boreyko/
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
ワンサイド・ゲームになったJ1「静岡ダービー」
清水エスパルスとジュビロ磐田によるJ1リーグの「静岡ダービー」日本平決戦は、その名にふさわしからぬワンサイド・ゲームになった。
Tumblr media
満員のサポーターに追い風を受けたエスパルスは前半開始早々、ドウグラスの激しいプレス・バックで奪ったボールを、即座に反応した北川につなぎ、GKカミンスキのタイミングを外す絶妙のショットによって先制した。前半のうちにさらに1点を加えた清水は、後半に1点を返されるものの、その後、スコアを重ねて突き放すと、後半ATには村田がバースデー・ゴールとなるゴラッソを突き刺し、5-1で大勝した。
今季のエスパル���はリーグ戦とカップ戦を通じ、ジュビロに対して3勝1敗とした。リーグ戦はダブル!昨季、ひとつも勝てなかった相手、特にホームでのリーグ後半戦ではDF松原后が相手選手の挑発に乗って退場。北川航也などは、ノック・アウト方式である高校選手権の敗者のように涙し、残留に向けた厳しい状況を生み出した思い出ぶかい試合である。あれから1年、大榎監督、小林監督が積み上げてきたものをヤン・ヨンソン監督が存分に育て上げ、J1有数の戦術的な優位を築きつつある。
一方、名波監督のジュビロは昨季、J1最低失点の堅守で6位の好結果をつなげず、降格争いに巻き込まれている。それほど負けが込んでいる印象はないが、他のチームよりも勝ち点が伸ばせていない現状だ。第17節から大久保、第27節からエレンという新戦力を投入したが、むしろ、チームのバランスは揺らいでいる。
名波も自身の豊富な経験に基づき、優れた戦術家ではあるが、彼自身の負傷まで短期間、効果を発揮した特殊戦術”N-BOX”を頂点に、その戦術眼は一昔前のもので止まったままだ。昨季は中村俊輔が加入し、その多彩な振る舞いのおかげで、守備面のバランスを崩すことなく、したたかに得点をあげて勝ち点を積み重ねることができた。ところが、  組織的なゾーン・ディフェンスと、ポジショナル・プレーを徹底したエスパルスとは差が大きく開いてしまった。
この試合に関しては、不運もあったと思う。ドウグラス、北川という2トップが、あまりにも素晴らしかったのだ。
ただ、采配ミスもあった。最初の失点シーンでは、山田大記に代わって出場した上原がボールをロストし、先制を許す。また、ドウグラスの最初の得点シーンでは、新戦力エレンの上がりが遅れ、オフサイドを取り損ねた。出場はまだ2試合目で、守備陣の息が合わないのは予想できたはずだ。また、2トップで起用された大久保は沈黙を守るどころか、わるい方向で大暴れする。確かに、川又、大久保、中村に、田口の長距離砲を加えたアタッカー陣には怖さがある。だが、後半のあたまから大久保に見切りをつけ、荒木を入れたことで、反撃の攻勢につながったのも事実だ。第17節からの加入で、9試合でスタメンを張っている大久保だが、得点は2にとどまっている。
現代サッカーの要点はリスクをとらずに効率的に攻めていくことであり、名波のチームはまだ早い段階でリスクをとりすぎた。流れのよくなったチームのなかでも、田口のゴールから10分後、速いトランジションからドウグラスに見事な得点を決められ、3-1と突き放される。それからのジュビロは、攻めるにも守るにも中途半端になった。得点シーンのように、サイドの選手がバイタルや、さらに深いところに忍び入って、相手を崩すシーンはなく、エリア外からの偶発的な攻撃が目立った。中村も、ほとんど消えてしまった。27分にエレンを交代すると、名波の作戦失敗という印象は際立つことになった。
ジュビロにとどめを刺した北川の2ゴール目は、左サイドから守備陣形で中に入っていた石毛が好位置に上がってボールを受け、ボランチのような位置から、同じくユース育ちの盟友である北川に絶妙のスルーパスを送って、この試合におけるベストゴールを演出。トップのドウグラスがサイドに流れ、空いたスペースに選手が飛び込んで、効果的にボールを動かしながら、素早くゴールに迫るカタチが決まった。磐田のネガティヴ・トランジションも遅れ、清水が使えるスペースはあまりにも大きかったが。
石毛は本来、セカンド・トップやトップ下でのプレーを得意とするが、昨季のレンタル先で、サイドでのプレーにも習熟した。今季はそのサイドでの起用が嵌ったのだが、こうした場面では、彼本来の持ち味が顔を出す。複数ポジションで戦術に適応できる柔軟性を養った過去数シーズンの努力が、いま、実を結んでいる。そのことは、白崎や金子にも言えることだろう。
名波の采配に比べ、ヨンソン監督の采配はこの日、面白いように決まった。河井が負傷で離脱したが、そこに白崎が落ち、スタメンに戻った石毛が活躍した。得点差が開いたこともあり、この日、誕生日を迎えた村田を終盤に起用する粋な配慮まで見せたが、そのポジションはいつもの右サイドではなく、インサイドに切り込んで直接、右足でゴールが狙える左サイドだった。投入後、積極的に攻撃を切り拓く村田はATに入り、相手につかれながらも狙い通りに右足を振り抜くと、名手カミンスキのジャンピングも及ばない鋭いカーブを描き、無情な5点目で相手の心臓を貫いた。今年はなかなかチャンスの貰えない状況のなかで、リーグ戦では初ゴールとなった一撃で派手な祭りが幕を閉じた。
これで前任者の小林監督が昨季、残留に必要な勝ち点として第一目標として掲げた勝ち点40に到達。3位鹿島アントラーズの背中も、遠くにうっすらと見え始めた。
Tumblr media
エスパルスのファンとしては最高の試合だったが、本当は両チームがより高いレヴェルにあれば、「静岡ダービー」のもつ真の価値も輝くはずだ。エスパルス・サポーターによる「王国清水」だけが誇らしく歌われる状況は決して歓迎できないだろう。
この日、ジュビロの上原はミスを犯したが、本来、とても良い選手だ。静岡の2チームは、質の高い若手を集めて、未来がある。この日、惨澹たる内容のなかでも活躍した荒木のほか、小川や中野といった将来を嘱望されるセンスのいいアタッカーがいる。翌日、日本代表に追加召集となった北川航也に、彼らもつづく存在になれるはずだ。だが、そのためにも危機を乗り越えなければ。ジュビロは消化が1試合少なく、次にアウェイで戦う長崎との「シックス・ポインター」マッチは彼らの命運を握ることになりそうだ。
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
「ドライバーズ・サーキット」鈴鹿をも無力化するメルセデスAMGの最終進化!
F1日本GPは、メルセデスAMGペトロナスモータースポーツのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィンで制した。2位にも同チームのセカンド・ドライバーであるバルテッリ・ボッタスを従えての圧勝劇。チャンピオンシップを争うスクーデリア・フェッラーリのセバスチャン・フェッテルは予選からミスを重ねて、6位まで追い上げるのがやっとだった。
Tumblr media
F1のコースのなかでも���数のテクニカルなコースで知られる鈴鹿は、近年の改修によって、ご多分に漏れず、独特の魅力も少なくなったが、それでもドライバーの腕と経験が特に問われる特殊なコースである。しかし、1、2コーナーからS字、逆バンクへとつづくセクター1で、メルセデスの2台は他チームを圧倒していた。
ルイスの速さは当然だが、バルテッリはどちらかといえば、ストップ・アンド・ゴーの単純明快なコースで爆発的な力を発揮するタイプと思っていただけに、旋回性に優れるレッドブルの2台や、宿敵のフェッラーリを抑えて、彼がルイスの直後につづく展開には驚きだった。メルセデスの車体”W09”の圧倒的な洗練が、この自体を生んでいるのは明らかだ。
現在のPU体制になって、メルセデスは常に馬力(最高速)の点で他チームを圧倒してきた。しかし、その優位を確立すると、次第にチームはこれ以上の最高速を追うよりは、ダウンフォースを重視し、ドライバビリティや旋回性においてもトップのマシンとなることに着々と挑み続けてきた。天才エイドリアン・ニューウェイの関わるレッドブルのマシンが、その面では最強のライバルだったはずだが、今季のシンガポールGPにおいて、メルセデスAMGは従来のイメージを覆し、レッドブル・レーシングに大きなショックを与えた。
予選モードを開発し、最高速ではフェ���ラーリがメルセデスをわずかに上回ったようだが、ライバル・チームは一歩先を行っていたのだ。自らやチームのミスもありながら、最終進化を遂げたメルセデスに、セヴの車はもはや、ついていけなくなった。むしろ、現況では最高速がモノをいうレースだけにおいて、彼らはW09に近づくことができるだろう。
鈴鹿におけるメルセデスのパフォーマンスが与えるインパクトは、他チームにとっては絶望的なほどのものである。鈴鹿のセクター1において、彼らの車に乗っていれば、誰でも・・・よほど下手なドライバーでもない限り、ルイスとともに最速を記録することができるだろう。今季は序盤に苦しんだものの、彼らの先を見据えたコンセプトがチャンピオンシップを左右する終盤戦において、ライバル・チームを沈黙させる。
隘路でフェルスタッペンをパスしようとし、案の定、接触して最後尾に下がったセヴの走りから感じ取れるのは、もはや、手も足も出ないことを自覚させられた自分たちへのストレス以外の何物でもない。フェッラーリはPUの進展に満足し、車体の開発にまたも遅れをとったのだ。
0 notes
scuderialice · 6 years
Link
アルファロメオ・ザウバーは来季より、父親が株主と関連するマーカス・エリクソンから、スクーデリア・フェッラーリ傘下の育成ドライバー、アントニオ・ジョヴィナッツィとの契約に切り替える発表をした。
イタリア人ドライバーのジョヴィナッツィは既に、負傷したドライバーの代役として、ザウバーから数戦、F1にデビューした経験があるが、当時のチームに競争力はなく、ボタン操作のミスで激しいクラッシュを喫するなど、レギュラー・ドライバーに登用されるには至らなかった。今度はチームの競争力もついてきており、その真価を問われるシーズンになるだろう。
チームはザウバーとライコネンとの契約に、フェッラーリとの関係はないことを明言しているが、親チームでフェッテルとルクレール、姉妹チームでライコネンとジョヴィナッツィが組む形となり、期待の若手がトップ・ドライバーの仕事を間近に体験できる環境を整えた。もっとも、あとから追っていくほうにとっては差をつけられないようにするのが大変だ。
フェッラーリとのさらなる関係強化を印象づける契約となり、チームを支える資本と連なったペイ・ドライバーとはいえ、そこそこの速さと粘りづよさも見せていた、マーカスを切ってまでの決断は重い。大柄で不利なところもあるマーカスだが、活躍のわりには気の毒な結末となった。
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
石川淳『紫苑物語』のオペラ化
石川淳の小説『紫苑物語』が、新国立劇場のプロダクションとして、オペラ化される。作曲家は、西村朗だ。
私が通った当時、法政大学文学部日本文学科には「立石伯」こと、堀江拓充教授がいて、大教室での講義は決してみごとではなかったが、著書の『石川淳論』は尊敬していた。当時、講談社の有名な編集者もコマをもっており、講談社文芸文庫を立ち上げて、私小説などに力を入れていた人らしいが、その文芸文庫の石川淳のシリーズにも、堀江が解説を寄せていた。
Tumblr media
『紫苑物語』は中世の東国を舞台に、中央権力の届かない地方の権力者が主役となっている。和歌から弓に道をかえ、独自の成長を遂げて悪魔的に変容する国守、その分身で、巌に像を彫る不思議な仏師と、魔弓の師匠である叔父、狐から美女に変容した女、淫乱放題で残忍な国守の奥方、2つの異世界の狭間をひとり行き交う狡猾な官吏などが活躍する。
魅力的な素材であるものの、オペラ化は非常に難しく、特に、あの語りくちの面白さを表現できたら奇跡だ。その文体こそが、今日の日本文壇から喪われたものであり、石川淳の魅力のすべてであると言ってもよい。もっとも、この時代の「戦後派」は、総じて語りくちが魅力的で、それだけで内容が関係なくなるほどに面白いのだ。坂口安吾など、私が夢中になった素材だが、こういう作家は多分、いま、探そうとしても無理だろう。
多分、成功はしないと期待しないで待つのだが、無論、その試み自体には敬意を払いたい。成功の鍵は、いくつかの作品を組み合わせることではなかろうか。『紫苑物語』一篇では、どうしてもその世界観に呑み込まれる。出来損ないになる。例えば、『マルスの歌』『修羅』『八幡縁起』などの世界観は相性がよいと思う。特に、『八幡縁起』において、戦場の無数の屍の下から這い出た韋駄天の女性が走り去る姿は、石川淳の作品のなかでも、もっとも映像的で、印象ぶかいものに当たる。
・・・外野からの戯言である
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
アップリンク渋谷が、吉祥寺に新館をオープン。クラウド・ファウンディングが進行中。
12月より、吉祥寺パルコの地下階にニュー・シアターをオープンさせるアップリンク。優れたキュレーション(上映作品の選択)と、豊富な発信力で、地道なヒットを生み出し続けてきた劇場が、小規模上映のメリットを引き継ぎながらも、個性のちがう5シアター体制で、映像、音声、アメニティにこだわった新拠点を構築する。
資金は現在、クラウド・ファウンディングで募られている。その成否にかかわらず、既に開館は決まっているようにみえるが、余裕のある運営を支えるためにも成立を願いたい。
Tumblr media
上映作品はアップリンク渋谷ともシェアされ、会員制度も両館で共通のものとなる予定だが、新館の成功を握るのはヒトではなかろうか。
吉祥寺では現在、惜しまれながら閉館したという伝説のバウスシアターの跡地にできた新鋭「ココマルシアター」のほか、駅前の看板が目立つ「吉祥寺オデヲン」、バウスと隣り合っていた「吉祥寺プラザ」という3つの単館系が凌ぎを削っている。
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
2019年のF1~人材の流動化は興味ぶかい謎を生む
2019年のF1は、見どころが多い。空力面でフロント・ウィングの簡素化が図られたものの、パワーユニットなど、主要な技術面のレギュレーション面には大きな変化がない通過年である。しかし、F1がF1であるところのゆえん、つまり、人のところにエキサイティングな動きがあった。フェルナンド・アロンソの、F1からの「撤退」も十分に大きなニュースだが・・・。
Tumblr media
今季はマシンのパワーにおいてライヴァルをどうやら上回ったものの、作戦面の拙さと、ルイス・ハミルトンの勝負強さに屈しようとしているスクーデリア・フェッラーリは今季、F1にデビューしたばかりのモナコ人ドライバー、シャルル・ルクレールを走らせる予定だ。ザウバーでなかなか質のよいペイ・ドライバー、マーカス・エリクソンに対して明らかな差をつけるルクレールの走りが、エースのセバスチャン・フェッテルにどこまで迫るか、最高の話題である。
なにかと煩わしいフェッラーリを出て、自分が王様になれるザウバーへの移籍を選択したのは、キミ・ライコネンだ。F1デビューした古巣であるザウバーは来季も、フェッラーリと同等のPUを積むはずで、ライコネンが実力を発揮できる余地はありそうだ。デイモン・ヒルがジョーダンで暴れまわり、その真価を強烈に印象づけた1998シーズンのドライヴを思い出す。
レッドブル・レーシングのトップ・ドライバーであったダニエル・リカルドは、才気煥発なマックス・フェルスタッペンとの併走に嫌気がさしたものか、新しい挑戦と、将来性を買って、ルノー・ワークスチームに移籍した。チームメイトに有能なニコ・ヒュルケンベルクを要するものの、F1でも随一のマネージメント能力と、オーバー・テイク・スキルをもち、性格的にも楽天的なリカルドの加入は、チームに多くをもたらすだろう。
姉妹チームのスクーデリア・トロロッソから、レッドブルに昇格を果たすのはピエル・ガスリーだ。GP2から日本参戦を経て、トロロッソに昨季途中から配置されたガスリーは、特に新シーズンはホンダとの協働を始めたチームのポテンシャルを明らかにする効果的な走りで、Dr.ヘルムート・マルコらの信頼を勝ち取った。アグレッシヴな天才肌のフェルスタッペンと、2台を並べるレッドブル・ホンダの成功が来季F1の実りを左右することになる。
Tumblr media
一方で、フォース・インディアから参戦し、非常に高いドライビング・スキルを評価されているエステバン・オコンは、実力以外の事情により、そのシートを喪うことになりそうだ。チーム再建の立役者であるセルヒオ・ペレスと、実質的オーナーの息子であるランス・ストロールに対して、シートを用意しない選択肢はない。オコンは契約上、メルセデスの支配下にあるため、レッドブル系の2チームや、他のエンジン・メーカーと関係の深いチームには採用されないとみられている。
いまでも空きがあるシートは、トロロッソの2つと思われるが、そのうち、ひとつはかつてレッドブルにも起用されたロシア人ドライバー、ダニイル・クビアトが占めると信じられている。あとの1席には育成ドライバーのダニエル・ティクトゥムを充てる構想もあったが、F3でのライバル、「皇帝」の息子ミック・シューマッハの躍進もあり、ライセンス取得には黄信号が灯り始めた。技術屋トップのジェイムズ・キーは引き抜かれるが、まだしも魅力的な可能性を秘めたシートをめぐって、激しい鞘当てはつづくだろう。
0 notes
scuderialice · 6 years
Video
youtube
どのクラブにも特別な選手がいる。いま、清水エスパルスがもっとも誇らしいと思っている選手が、北川航也だ。彼が決めるや、尋常ではないほどの喜びがスタンドに広がる。ガンバ大阪戦で、久しぶりのゴールが決まった。あいにく、勝利や勝ち点には結びつかず、エスパルスはいま、残留争いの最上位にいるようにみえるだろう。だが、我々のもつポテンシャルはもっと上にある。
0 notes
scuderialice · 6 years
Quote
諸君、脱帽したまえ天才が現れた
一般音楽新聞 ロベルト・シューマンの寄稿より
ロベルト・シューマンについてよく知らない人でも、この言葉については一般的によく知られている。フレデリック・ショパンのピアノに感銘を受けたシューマンが、その新聞紙上において新しい音楽の息吹を捉えた、まるで絵画のような一言である。
後年、シューマンは神経を病み、自殺を図ったことで、ややバランスを欠いた音楽家と思われがちだが、傑出した創作家でありつつ、当時の思想/音楽/文化史にわたる重要な哲学家のひとりでもあったことはよく知られている。その音楽と歴史的な知の重みに敬意を表する現代の音楽家は、ハインツ・ホリガーなど、少なからず存在する。
youtube
(楽園とペリ)
0 notes
scuderialice · 6 years
Text
自浄作用なし!~静かなる総裁選
9月20日、自民党総裁選において、内閣総理大臣で、現総裁の安倍晋三氏が唯一の対立候補であった石破茂氏を553対254で退け、三選を決めた。これだけの問題が積み重なるなかで、自民党に自浄作用がないことが明らかになった。内心、共感はしていないとしても、今はただ、皆が膝を抱えて、嵐が去るのを待つばかりだ。特に、国会議員の判断は、党員の意思とも大きくかけ離れて、自己保身的なものにみえた。
Tumblr media
数値だけをみれば、安倍がダブルスコアで圧勝という見方もできるが、石破の派閥と竹下派参院議員の大半を除く、国会議員票の8割方を公示前に固め、当初はトリプル・スコアまで決めて、宿敵である石���の存在感を死滅させようとする思惑は破算した。また、石破は当初の予想よりも若干、国会議員票を上増し、安倍陣営はカツカレーの食い逃げ犯、つまり、造反者の同定に躍起となっている。
地方票に至っては地元国会議員らを使った執拗な圧力があったにもかかわらず、安倍55%に対して、石破にも45%の票が流れた。安倍陣営は直前の情勢に鑑みて、勝敗ラインを当初よりも低い55%に設定。その目標はぎりぎりでクリアしたものの、若干、水増しした疑惑まで出ており、微妙な結果となっている。安倍陣営や、その意向をつよく受けたNHKの報道などでは、6年前の野党時代の総裁選での得票数までもちだし、当時、地方票では勝利した石破が大きく得票を減らしたという印象にすることを狙っているが、なかなか苦しい言い訳である。
投票率は61.74%と、総理となるべき総裁を決める選挙としては低調だったが、この裏には、本来は石破のほうに投票したいものの、後で痛くもない腹を探られることを危惧して、棄権したという側面もあるように思われる。
ことしの総裁選に先駆けて、安倍執行部は総裁任期を最高で3期9年にできるよう延長したばかりで、これ以上の任期延長は考えられないことから、無事に三選を果たしたものの、安倍に残された時間は3年と限られ、求心力の漸次低下は避けられなくなった。2020年の東京五輪を経て、この任期を全うできる可能性は低いと私はみている。すこしでも目立つ失敗があれば、安倍政権はたちまち危うくなるだろう。
後継候補としては石破が最短距離にいるはずだが、今度の総裁選ではモリカケ問題などで安倍を中傷する粗暴な戦略を採り、批判票を大きく取り込んだ反面、多くの敵をつくってしまった。江沢民一派を腐敗体制の象徴として色づけする一方、ボスの引退を気長に待って、腐敗一掃運動から中長期的な権力闘争に勝利した習近平を参考にしたかのような石破陣営の戦略は、決して安倍よりも安全という印象を抱かせるものではない。とはいえ、一定の存在感は保ったわりには、習近平ほどの指導力があるようには見えないのだ。
Tumblr media
もっとも安倍陣営を見回しても有力な候補は見当たらず、戦わずして安倍に与した岸田などは元来、関係のよい安倍からの信頼をさらに高める結果とはなったが、世間一般からみての「株価」は大きく下がったというほかない。
野田聖子も2回連続のでるでる詐欺におわっており、推薦人が集まらないと即座に安倍支持にまわった姿勢も、国民一般からの印象はよくないだろう。日報隠蔽問題で稲田朋美が馬脚をあらわした後、「日本初の女性首相に」という看板は魅力的であろうが、党内外からの求心力が集まるようには思えない。
小泉進次郎も最終的には石破を支持して、安倍とは距離を置くポジショニングを固めたが、その姿勢表明のタイミングなどをみると、まだまだ勝負を賭けるのは先と考えている証拠だろう。マスコミの注目を浴びやすい存在ではあるものの、野田よりもさらに、党内の求心力に賭けるのは明らかである。
0 notes