Tumgik
kujiraningen-blog · 6 years
Text
性別関係無しに、人間を好きになるだけです。
そこそこの進学校に、なんとなく受けたらなんとなく受かってしまった。我ながら、とんでもないなあと2年前の自分を思う。
進学校といえば。私の中学はもともとヤンチャな校風で、その中で私も割とイキっていた方なのだが。進学校というだけあって、中学時代黙り込んで生きてきましたみたいな、まあとにかくコンプレックスと自己愛の塊の人が多い。スポーツ推薦で入ってきた人を除いて。
私がその進学校でつるんだのは成績トップ入学、部活では近畿2位、俊足で小顔の美貌の子だった。私はというと、帰宅部で校則で禁止されてるバイト三昧、運動音痴、勉強も平凡もいいとこ。要領よく、他人より努力せず他人と同程度の成果を欲しがるような卑怯な自分。それと比べて彼女はいかにも光属性。私より格上。
そんな彼女は賢く、そして強くあるために弱点を内包していた。それはどの人間にも当てはまる普通のことで、足りているところがあれば欠けているところがあるのが人だ。私はそれを十二分に理解していたつもりだし、彼女のガス抜きにだって付き合った。
しかしある日突然、彼女は私と距離を取り出す。ご飯を一人で食べ、移動教室も一人で行ってしまう。私は別の友人と、彼女が一人で過ごしたことを友人たちと過ごした。
どうやらそれも彼女の気に障ったらしい。
ある日、いつもより早めに登校した日だった。
彼女はいつも朝早くから教室で勉強を始めていて、その日も例外ではなかった。教室に一人で座る彼女を気にも止めずに自分の席に着いた。今まで散々無視されてきて、その頃には自分から話しかけるなんてことに疲れて辟易していたのだ。
「そういうところが腹立つねん」
と。聞き間違いかと思って彼女を見とめると、彼女はフンと鼻息を鳴らして言うのだ。
「私はこんな頑張ってんのに。そっちはさっさとそれなりにこなして。自由な時間を自由に過ごして。私は部活と勉強に追われてんのに。いいよなあ帰宅部は。いいよなあバイトは。いいよなあ、いつもヘラヘラして」
進学校にいる皆は、コンプレックスと自己愛の塊。彼女もそうだった。コンプレックスと、自己愛。
側から見れば確実に充実していて青春を送っているのは私なんかより彼女なのに、彼女は私を妬んでいる。なんで、そんなん言ったら私だってあんたのこと羨ましいし、妬ましい。いいよなあ足長くて。かわいくて。打ち込める何かがあって。追われて忙しなく毎日を過ごして。いいよなあ、いいよなあ!
なんて。その時、言い返す自信も、そこまで文字を組み立てられるほど頭も働かなかった。私は何も言えずに彼女から目を逸らして自分のリュックをあてもなく探すふりをした。
自分にないものを持ってる他人を僻むなんて、そんなことをしてしまうことが勿体無いくらいあなたは人よりも多くを持っているのに。
隙間を疎むより充実しているところを抱きしめれば良いのに。
なんていくら思っても立ち行かない。もう彼女とは残りの学期、話すこともないだろう。名簿が前後だから何かと隣の席になるのが少し厳しい。
もっと私たちはうまくいけたはず。
うまく友達としていけたはずなのに。
どうしてこうなった。私のせいだろう。
気の利いた言葉の一つも言えないし。
空気を読んであなたのその苦味に気づくこともできていなかった。
今ではむしろ嫌いだなんて、心中で吐き捨てている。
私の恋心は無惨にも、自分の不甲斐なさで砕ける。
告白する前に失恋。もう二度と話すこともないでしょう。
9 notes · View notes