Tumgik
ariteinosyuki · 3 years
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可能性
価値観の相違は違和感の覆い
飲みきれないほどの罵声
映し出すディスプレイの眩い
赤裸々ともいえる活字たちの惑い
行き着く先はただ暗い 暗い
かのうせい
20210723
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ariteinosyuki · 4 years
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閉塞
変則の日常
因果の疎通
損得の因習
薫風の天井
へいそく
20200428
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ariteinosyuki · 5 years
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袋綴じ
蓋する湿り気
与する語り手
路地ゆく二人で
棘抜く薔薇の目
時期過ぐ君の背
ふくろとじ
20190621
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ariteinosyuki · 5 years
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妖精
呼んでいる声
倦んだ眼の夕闇 
千の頁を繰る先
インクで描け未だ見ぬ景色
ようせい
20190527
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ariteinosyuki · 5 years
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目を開ける前から、違和感には気づいていた。
目を開けるまで、それが夢だと気づかなかった。
たわいもない夢だった。
この春異動してきた同僚に、後ろから抱きかかえられている夢。
初めて顔を合わせてから僅か3週間、書類を渡す時に指先が触れたかどうかすらも覚えていない、そんな希薄な関係性。
なのに、夢の中では彼の体温や腕の硬さ、右耳に少し触れた彼の、顎先にあった髭の剃り残しさえ、いやに生々しく感じられた。
目が覚めて寝床に起き直ったとき、真っ先に考えたのは、どうやって平静を保っていようか、と言うことだった。
もともと「わかりやすい」と言われる性質で、心の中で起こっているはずの動揺が容易に顔面に現れるらしい。今回も、たかが夢であっても、他の人がニヤつきながらどうかした?と聞きに来るであろうほど、心の水面に大きなさざ波を立てていた。
いやしかし、たかが夢だ、隠し通せる、と己に言い聞かせて職場に出た。
おはようございます、と口ごもりながら席に着いた。
おはよう、快活に同僚が返してきた。すると、席を立ち、こちらに歩いて来るではないか。触らなくてもわかるほど耳が熱くなっている。これはいけない、挙動不審になっている自分を俯瞰した。
同僚はそんなことを意に介さないように横を通り、傍の壁に取り付けられたスイッチを押して電気をつけた。
そして私の顔を覗き込んだ。てっきり顔が赤いのを嘲笑われるかと思いきや、「今日どうした?大丈夫か?」と体調を気遣う言葉を口にした。
少し驚いて彼の顔を見上げ、大丈夫と口にしようとしてはたと止まった。
彼の顎の先、やや左寄りの位置にある髭が数本、剃り残されていた。
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ariteinosyuki · 5 years
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夕闇
夜の角
誰かひそひそ
咳をする
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ariteinosyuki · 6 years
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A bird in cage
Bird, bird,
You've flown far away,
Though I had an illusion that I caught you in a cage.
I see you in wide, open sky.
You look so free.
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ariteinosyuki · 6 years
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新顔
親切面した人嫌い
頑是ない風が足浚い
恩知らずの明日は待たない
しんがお
20180503
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ariteinosyuki · 6 years
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書籍化
知るもの全て
世の中すべて
世界のすべて
君は手伸べて
掻き寄せ抱く
しよせきか
20180110
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ariteinosyuki · 7 years
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学園
頑迷な陰気と
苦渋の環状が
演者を十重二十重に取り囲む
がくえん
20170813
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ariteinosyuki · 7 years
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箱庭
灰の空を折りたたみ
木陰のポアンを切り取って
丹色の記憶でひとくくり
私の慕情にしまいこむ
はこにわ
20170715
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ariteinosyuki · 7 years
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熱き鼓動の果て
飽いた顔して受ける愛情
つと見れば知らぬ顔の空
君も多分その空のように
孤高を貫き通すのだろう
毒喰らい血を吐く夕暮れ
胡乱な月が浮かぶ夜更け
のこり闇を掃き出す朝焼
吐いた息と共に僕は君を
手に入れられぬ事を知る
あつきこどうのはて
20170531
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ariteinosyuki · 7 years
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春一番
灰色の陽射しの中で
瑠璃の瞳だけが微笑みに光る
意味作用含んで風が吹く
血の色に光る桜と
挽歌こだます水平線
はるいちばん
20170320
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ariteinosyuki · 7 years
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雪景色
猶予ある憔悴と続く足跡
君が不意に現れ手を差し出した
現実の縁を埋めて行く白と黒
死にゆく余韻が地平を形作る
きっとその時僕は一人だ
ゆきげしき
20161225
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ariteinosyuki · 8 years
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ここにある、という確信
こみあげる異常な慕情
論を組み上げては突き崩し
坐して語れば時は矢のごと
驟雨のごとく横切る言葉と
こころざし
20160905
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ariteinosyuki · 8 years
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離別
理解していた 頭では
弁解はしない つもりだった
辛くはない と思っている
りべつ
20160818
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ariteinosyuki · 8 years
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迷い
まっくらくらの、闇
蹌踉け、手を突き
いずれ抜け出る、というふたしかな希望
まよい
20160709
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